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2012年11月21日水曜日

デフレ経済を読み解く~構造デフレ論について

 また例の如く本題とは関係ありませんが、ついに鳩山由紀夫元首相が政界引退を決めました。野党などはトカゲのしっぽ切りだなどと引退に追い込んだ民主党執行部を批判しておりますが、私に言わせればトカゲのしっぽどこかがん細胞と言っていいくらいの人間なので、批判したい気持ちはわかりますが今回ばかりは日本政治界全体にとっても明るい話題なので「おめでとう!」、「よくやった!」くらい言ってもいいんじゃないかと勝手に思ってます。

 話は本題に入りますが、デフレに関する議論がようやく活発化してきました。一番大きいのは自民党がデフレ対策としてインフレ目標を定めることや日銀に建設国債を引き受けさせる、さらには日銀法を変えるという内容を公約に掲げていることですが、これに対してデフレの諸悪の根源ともいうべき日銀、野田首相を始め批判する人は多く、恐らく選挙における主要なテーマになっていくでしょう。
 ただデフレ自体が議論されることは私としても大いに歓迎したいです。というのも経済対策として公共事業とか支援策とかあれこれ言う人は多いですが、デフレが解決されないことにはそういった政策ははっきり言って無に等しいです。ではデフレはどう対処すればいいのか、麻生元首相なんかは二の矢、三の矢の公共事業だとかいいそうですが、そんなの借金作って終わりだと私は考えてます。

 そういうわけで頃合いもいいし、前から準備していたのもあってこれからしばらくデフレについてあれこれ書いていこうかと思います。書く前に先に紹介しておきますが、ここで書いていく話は先日読んだ岩田規久雄氏の「デフレと超円高」がベースになっています。

デフレと超円高(Amazon)

 学者ということもあって所々に専門用語が多いのがたまに傷ですが、日本のデフレに関してよくまとめられているのでお勧めの一冊です。そんなこの本で構造デフレ論についてなるほどと感じさせられたので、今日はこの箇所に絞って解説します。

 まず構造デフレ論とはなんぞやからですが、いくつか種類がありますが代表的なのはグローバル化に伴う価格下落です。90年代以降、日本を始め世界各国では中国に代表される人件費の安い国で作られた製品が流入しましたが、これらの価格の低い商品に対して国内メーカーも競争せざるを得なくなり、どんどんと商品単価が下がっていったことがデフレの原因だとする説です。
 この議論で整理しなければポイントはいくつかありますが、まず競合する商品の価格が下落していったのは確かな事実です。それこそパソコンなんて90年代は30万円を超すのもざらだったのが、今や10万円を切るのが当たり前です。このほかの家電、繊維、あと100円ショップで売られる雑貨なども中国製に押されてどんどん価格が下がっていきました。

 そうした状況を見れば確かに中国製品との競争の結果、物の単価が下がっていきデフレになっていったと言われればなんとなく納得できそうですが、上記の岩田氏はこの構造デフレ説をただの一言で否定しています。その一言というの、「海外と競合していない商品、サービス代も下がっている」というものです。
 岩田氏が例に挙げたのは散髪代というサービス費用ですが、統計によると90年代以降はこの散髪代はほぼずっと下がりっぱなしです。仮に家電などの製品が安くなれば手元に残るお金は増え、自然な経済環境であればその余ったお金は別方面に使われていきますが、先ほどの散髪代のようにほぼすべての方面で日本は90年代以降は価格下落が起こっております。ならその余ったお金はどこに行ったのか、言ってしまえば社会保障の先行き不安から大半は預金へと回ったのが実情ですが、こうした競合しない商品・サービス代でも価格が下がっていることから構造デフレ説は間違いだと主張していますし、私もこの説を支持します。

 では何がデフレの原因なのか。これもパパッと語ると預金へと回ったお金がその後どこへ運用されたのか、こういったところがポイントになって最終的な結論として日銀の金融政策と世界の状況が問題だと岩田氏は主張するわけですが、その辺についてはまた次回以降に説明します。


2012年11月17日土曜日

家電エコポイント制度の是非を問う

 前から書きたかったネタなので連投でもう出してしまいます。それにしても夕方5時から6時の一時間を昼寝に費やしたのになんでもう眠いのだろうか。あくびが止まらん。

エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業(Wikipedia)

 日本ではリーマンショック後、政府の景気対策として自動車と家電製品を対象に環境性能の高い商品に限り消費者の購入に際し補助金を支給する政策、エコカー制度とエコポイント制度を実施しました。今回はエコカー制度に関してはそれほど触れずに家電のエコポイント制度に限り主張を展開しますが、結論から言うと果たして投資効果はあったのかという疑問を持っております。
 まず最初になんでこんな話をしようかと思ったのかですが、私の周囲の人間だけかもしれませんがエコポイント制度は失敗だったという人間が非常に多いからです。特に家電業界に近い人間ほど、「あれは市場を歪めた」といって、家電大手企業が現在大赤字を記録する下地を作ってしまったと指摘しています。私としてもほぼ全く同じ考えで、プラスの面よりはマイナスの面の方が大きかったのではないかとみています。

 具体的に何がまずかったのかというと、友人が主張している通りに「市場を歪めた」というべきか、本来そこにないはずの需要を無理やり引っ張り出して利益の先食い現象を作ってしまったということにつきます。眠いのでなんかすっとんだ書き方がさっきから続いていますが順を追って説明すると、そもそもエコポイント制度は2009年のリーマンショック直後、消費が急激に落ち込むことを懸念して作られた消費促進策です。この制度によって家電を安く購入できるようになったことから懸念されていた消費の落ち込みは家電業界(+自動車業界)では起こらず、むしろ売上げ的には一時的に伸びました。しかしこのエコポイント制度が昨年3月を以って終了するやそれまでの反動から今度は急激に売れ行きが悪化し、ソニー、パナソニック、シャープの家電大手3社が揃って大赤字を記録する一因となりました。

 私がエコポイント制度に何故疑問を持つのかというと、上にも書いてある通りに誰も誉めていないということが一つです。「いやぁあの制度には助けられた」という輩は一度も見たことがなく、むしろ今の惨状を作った要因だとして問題視する人が圧倒的に多いです。またもう一つ大きな理由を挙げると、今の中国も似たような感じだからです。
 中国でもリーマンショック直後に家電の購入促進策「家電下郷」、「以旧換新」という2つの政策を実施して一部地域を除いて昨年に終了しましたが、日本ほどではないですがそれまで空前の利益を叩きだしていた家電メーカーが終了後は一転して苦しい経営へと追い込まれるようになり、確か空調が強い挌力(グリー、ゲーム会社と同じ名前なのは偶然の一致)なんかは単期で一度赤字にも転落していたような。成長市場の中国ですら反動の影響がこれほど強いのだから、日本での影響は中国以上なんじゃないかと思います。

 実際に細かい数字を検証したわけではありませんが、エコポイント制度を実施していなければリーマンショック直後に家電メーカーの売上げは大きく落ち込んでいたでしょうが、果たして現在の落ち込みほど落ち込んだのかと疑問に感じます。また更に付け加えると、リーマンショック直後に下手に延命策など取らなければ事業見直しがもっと早くに進んで、無駄な設備投資が行われず今ほどの赤字を先ほどの3社は作らずに済んだのではないかとも思います。机上の空論ではありますが。
 ただいくつか根拠を挙げるとこれもちょっと細かく確認しておらず友人からの情報なのですが、今年上半期に三菱電機は液晶パネル事業で黒字だったそうです。同事業で大赤字を記録したシャープはその原因を世界的なパネル価格の下落と主張しましたが、それだと三菱電機は何故黒字だった野かということになります。友人曰く結局は設備投資の差で、無駄なことをしなかったから三菱電機は黒字となったとのことです。

 事業を見直すのは早ければ早いに越したことがなく、そういう意味でエコポイント制度は本来死ぬべき患者に無駄な延命治療を施してかえって苦しませる結果となったのかもしれず、たとえリーマンショック直後に大赤字を記録することになっても、やはり市場に任せるべきだったのかもしれません。
 政府はエコポイント制度についてCO2排出量削減につながったなどと自画自賛していますが、この制度はもっと検証する必要があるかと思います。敢えて私の方から改善点を挙げるとしたらもっと分野と範囲を絞るべきで、それこそテレビや冷蔵庫は除外してまだ普及途上にあったLED電球などに絞って小規模に実施するべきだったでしょう。

 じゃあ家電と一緒に補助金が出された自動車業界はどうなのか、それほど反動があるのかという論点もありますが、少なくとも家電業界ほど自動車業界は反動の影響を受けていません。一体何故と言われるとちょっと自分もわかりかねますが、両業界でどうしてこう違うのか、原因をしっかり検証することが次回以降の政策に役立つのではないかと思え、ちょっと問題提起を兼ねて今回こうして記事化することにしました。
 なお全く根拠なく推論を述べると、自動車業界のエコカー補助金はなんていうかプリウスの一人勝ち、次点でホンダのハイブリッド車に恩恵が集中したから家電業界ほど影響なかったんじゃないかという気がします。その売れまくったプリウスは今でも納車待ちが長いというし。

次回総選挙に対する雑感

 昨日はプライベートでの嵐の一週間が終わり、なんか燃え尽き症候群のような状態でまたブログを休んでしまいました。というか一週間に取材三回、特集記事数本を抱えるのは無理があるだろう……。そんなわけで今日は頑張って書こうと考えており、まず一本目には折角解散したわけだし次の総選挙について思うことを片っ端から書いてこうかと思います。

 まず今回の解散時期ですが、前の記事で時期を一ヶ月勘違いしたくらいに私も驚いています。昨日になるまで本当に11月16日に解散するのか半信半疑でしたが本当に解散していて、何故だか取材先から帰る際に地下鉄の駅で目の前で乗りたい電車が走り去って「ファッキン……」とつぶやいたら前のおっさんがビクッと反応してたのを思い出しました。ほんとどうでもいい。
 前の記事でも書いてありますが今回これほど急に解散が行われたのは、野田首相が以前から構想していたということもありますが、新党の連中が選挙準備を整える前に勝負に出て突き崩すという狙いが民主、自民で一致したからだと思います。やるべき課題を残してなどあれこれ批判もされていますが、私としてはこのタイミングで解散に出た野田首相はやるなと思うのと同時に、解散するや次々と民主党から離党者が出ていることから割と期待しております。前回の総選挙時の時点で民主党が大勝したら理想と現実に揺れて離党者が相次ぎ、政界再編が起こると各所で予想されていましたが、小沢一派も抜けていることだし三年かかったとはいえようやく実現したと言ったところでしょうか。あと鳩一羽を除名でもしてくれたら民主党は完璧なのに。

 それで次の選挙後の結果ですが、私の予想としては民主から離党者が相次いでいることに加えて新党が乱立していることから、前にも主張した通りに単独過半数を握る政党は出ないと見ております。そのため次の内閣は連立政権になる可能性が高く、日本維新の会などは連立政権に第三局として与し実権を得る方向を目指しておりますが、実際には恐らく民主、自民、公明の民自公の連立になる可能性が高い気がします。それこそ民主党に小沢一派、自民党が谷垣総裁だった時代ならともかく、野田首相と安倍総裁はともに親米保守であるだけでなく考えている方針が近いようにも感じますし、消費税増税でも谷垣時代に公明とと共に一緒にやっていることからこのまま連立化するのが自然な流れに思えますし、その後の政局を考えるとこういう形が私としても望ましいと考えています。連立政権の首相は野田首相が私にとっては好ましいですが、流れとしては安倍総裁になるでしょう。

 一方、第三局についてはやっぱりガタガタになるのがこちらも自然な流れでしょう。今日になって日本維新の会と太陽の党が一緒にやっていくと発表しましたが、この両党では政策方針が所々異なっており、かつ太陽の党はあくまで私の印象ですが初めから選挙後に当選した議員を引き連れて自民党に合流する気じゃないかとにらんでます。また日本維新の会に関しては友人が言っていたようにスポンサーの不在が明らかで、普通の選挙戦を展開するだけでも苦しく、どれだけ候補者を立てられるのか未知数もいいところです。加えて柱に掲げる政策方針がちょっとはっきりしておらず、むしろ民主党がTPP交渉参加を掲げるとしていることに対して反対すると反応し、相手のペースに載せられてしまっている始末です。人気も発足当初から落ち込んでおり、橋下市長の想定通りとはいかないと予想します。
 また付け加えておくと、前回総選挙時にできたみんなの党などのほかの第三局に関しても同様です。みんなの党に関しては私もそこそこ期待しておりましたが主張する政策が公務員制度改革しかなく、この手の議論が下火になるや一緒になってフェードアウトしてほかの政策はみんな反対という当たり前の野党と化してしまったのが残念です。今回出来た新党も早くもそうなる気配があり、その辺を見越して民主党もTPP議論を改めて吹っかけてきたのでしょう。

 それにしても来月選挙時に自分が日本にいないというのが悔やまれます。こんなの私だけでしょうが水野晴郎ばりに言わせてもらうと政治って本当にいいものですねぇ、考えてるだけでも楽しいし。

2012年11月15日木曜日

中国の新指導部が発足

 既にコメントで指摘を受けておりますが、昨日の記事で衆議院の解散時期を正しくは11月16日だったところを12月16日と勝手に勘違いして記事を書いちゃってました。早すぎるからさすがに今月はないだろうとか思ってましたが、しっかり確認しとけばよかったよ……。

中国の新指導陣が決定…中国共産党常務委員「チャイナセブン」(サーチナ)

 話は本題に移って、というかこのところ政治記事ばかりですがようやく今日になって中国の新指導部が発足しました。前にも書きましたがまた簡単に説明すると、中国の最高意思決定機関は中国共産党常務委員会といって、ここのメンバーから総書記や首相といった役職の人間が選ばれます。でもって本日この常務委員のメンバーが発表され、下馬評通りに次の総書記の習近平と首相の李克強がちゃんと入っております。
 今回のメンバーの特徴ですが、リンク先のサーチナの記事に書いてある通りにメンバー人数が9人から7人に減っております。もっともこの辺の仕組みはよくわからないので理由とかそこらは別の解説者に任せますが、あまりまだ共産党の政治構造とか勉強してないのもあって上記の二名以外はあまりどういった経歴なのかはわかりません。ただ敢えて一意見を書いておくと、ちょっと日本のメディアは陰謀論が過ぎるかなという気がします。

 たとえば今一番多く出ているのは「前の総書記の江沢民が裏で糸を引いている」というものですが、影響力が全くないというわけではないものの言われているほど大きくはないんじゃないかというのが私の意見です。さすがに今回の党大会で胡錦濤の横に座っていたのは何かしら意図があってのことだとは思いますが、なんでもかんでも黒幕をこの人に押し付けるのはちょっと無理がある気がします。そんな無理のある話が何故だか好きなところが日本人にはありますが。
 あと今出てきた胡錦濤ですが、前の記事で気になる点として挙げておりましたがどうやら人民解放軍のポストも下りて、事実上政界から完全引退するようです。色々推測は出ておりましたが、前の江沢民は数年間は軍事ポストを渡さなかったこともあって本当にそうなるとは驚きです。もっともこの辺のパワーゲームの内幕は、数十年後にならないとわからないでしょうが。

 話は新指導部に戻しますが、早くも習近平政権になったら日中関係はこうなるとかあれこれ出ていますが、これは断言してもいいですがどれも憶測記事で信用に足るものはないと言っていいです。これも前に書きましたが、中国はトップ個人の意思で外交が動くのではなく党の意思で決められるため、長期的には影響はするでしょうがトップが交代したからと言って急に方針が変わるようなことはあり得ません。中国としても対日交易は重要視しているため今の尖閣問題も落としどころを探しているような状態でしょうし、何かまた動きがあれば、それこそ石原新党がホームラン打つようなことがあるならともかく急激に悪化するようなことはないと私は考えています。

 最後に個人的な話ですが、早くこのネット検閲をどうにかしてもらいたいというのが私の願いです。昨日もスカイプで友人と会話中にきっかり8分ごとに回線が3回切られました。日本にいると信じられないでしょうがGoogleも反応が悪くなっている上、一部のキーワードを入れると検閲されたりと、フランス革命張りに自由を叫びたくなる日々です。

2012年11月14日水曜日

野田総理の解散時期発表について

 久々に大きな政治ニュースが入ってきて解説のし甲斐もあるのですが、既に皆さんも知っての通り野田首相は本日に解散時期を「16日にする」と発表しました。最初聞いた時は「え、16日って明後日じゃん!?」とか思いましたが、どうやら来月16日のようです。いやもしかしたら1月ってこともあるかもしれませんが。
 何はともあれこれで総選挙はいつだ、近いうちとはなんだとかいう低次元な議論は終わりを迎え、制限時間が出来てようやくまともな政策議論が期待できそうです。一番大きな関門は1票の格差問題事議員数削減、区割り議論ですが、今日の自民党の安倍総裁との党首討論を見ている限りだともう合意できているようなのでそれほど難しくなくすんなり決まるんじゃないかと思います。

 その安倍総裁との党首討論ですが、あくまで私の推測ですが二人とも既に合意があった、つまり解散時期は初めからお互いに決めていたのだと思います。政治にはこうした裏の駆け引きも必要ですし、なによりお互いに党内の統制を図るという目的からこれまで敢えて公表しなかったのでしょう。見ている方からすればやきもきさせられますが、まぁこんなもんでしょう。
 それで具体的な時期についての私の意見ですが12月16日で間違いないと仮定すれば年内ということで、日本全体にとっては悪くない時期だと言えるでしょう。少し慌ただしいですが来年度予算の編成作業への影響も最小限で済みますし、天皇陛下の体調を考えるとあまり先延ばしにしない方がいい様な気がします。

 あと少し邪推をすると、急転直下にここで解散時期が決まった最大の理由は第三極潰しではないかと私は考えています。ちょうど今日は石原慎太郎氏が「太陽の党」を結党しましたが、このニュースを目立たなくさせるために敢えて党首会談もこの日にセットされたと言って間違いないでしょう。そして12月に急に解散するというのも、日本維新の会などに選挙準備を整わせる前に選挙にもつれ込ませ、いうなれば先手必勝的に叩き潰すという方針が民主と自民で一致したんじゃないかと思います。厳しいようですが、これも政治の世界でしょう。
 となると民主も自民も既に選挙準備は大分整っているというか算段は出来ていることが想像できます。公約内容やポスターその他諸々はもうある程度できていて、後は如何に党内の反対勢力をなだめるかにつきますが、民主党の場合はむしろここで異分子をあぶりだしてはじくかというのも一つの戦略に入っている気がします。代わりの候補をどこから見つけてくるかまではまだかもしれませんが。

 あまりうまくまとまっておりませんが、選挙関連ではまた何か動きがありましたら今後も書いてきます。それにしても、今日はエコポイント制度について書こうと思ってたのにな……。

2012年11月13日火曜日

中国の業界別天気予報

 なんかちょっと今日は気分があまり乗らないのですが、中国の業界別景気状況を簡単にまとめたいと思います。

1、鉄鋼業界 (;´Д`)
 全体景気が鈍化していることに加えこれまでに設備投資をし続けて生産過剰に陥っていることから、はっきり言って不景気もいいところです。一番最悪だったのは今年の6月くらいでこのところは少しマシにはなってきている雰囲気ですが、恐らく来年前半までは苦心が続くでしょう。

2、太陽電池業界 。゜(゚´Д`゚)゜。
 死亡確認、と言ってもいいくらいに絶望的な状況です。こっちは全世界で生産過剰で価格下落も歯止めがかからず、日本国内でも「液晶の次は太陽電池だ」と言っていたシャープも「た」の字すら言わなくなるほど危機的状況です。さらにアメリカ、EUが中国製太陽電池に反ダンピング措置を実施する準備を進めており(アメリカはもう決まり)、中国国内でも大型倒産や合併が起こり得るでしょう

3、自動車業界 (´・ω・`)
 かつてほどの急成長はないものの、まだ比較的悪い状態ではありません。特に先月からは日本車の売れ行きが悪くなった分、代替先となるほかのメーカーの売れ行きがよくなる傾向を見せており、今年前半に販売台数が落ちていた中国民族系メーカーもなんか10月はそこそこいい業績を出しております。特別景気がいいというわけじゃありませんが、ちょっと明るさを感じます。

4、家電業界 (゚д゚;)
 自動車同様にこれまで急成長を続けてきた家電業界ですが、こっちは危機的というほどではないもののあまり良くはありません。理由を挙げるとしたらやはり日本のエコポイント制度よろしく中国政府が長く実施してきた販売奨励策が終了し、その反動が予想以上に大きかったことが原因だと考えています。

5、レアアース業界 (;゙゚'ω゚')
 かつては一世を風靡した業界ですが、レアアースも価格下落が止まらない上に需要も低下し続けているのではっきりいってやばいです。この原因は至極明快で日本がレアアースを買わなくなったからです。中国のレアアースは今もそうですけど輸出先では日本が確か6割以上を締めているのですが、2010年に中国が輸出規制を行ったことから日本も代替物を使うようになり、またほかの輸入先開拓を始めて消費量が急減しています。いちおう資源保護の名目で通年の輸出枠というものが定められていますが、現状ではそれを使い切ることなく今年も終わりそうです。

6、白酒業界 (゚∀゚)ラヴィ!!
 ここははっきり言ってもうけ過ぎです。白酒はこのところ価格が高騰し続けててこの前自分も調べましたが、高級白酒のマオタイ酒の1本当たり単価はこの10年で10倍にまで高騰しており、利益率も半端じゃなく伸び続けてます。何気に衝撃的だったのは、白酒業界のトップ2社の純利益がこの前、上場しているすべての家電メーカー42社の純利益を上回っておりました。

7、金融業界 ( ´Α`)
 日本も、というより世界中でそうですが株式市場が低迷しており、上海市場もそれほど大きなニュースとか大規模上場がないので盛り下がっています。

8、運送業界 ('・c_,・` )
 あまり大きく取り上げられていませんが、電子商取引が急激に普及している影響から地味に大きくなっています。なんか業界全体で人手不足が問題になっており高給でも配達人、トラック運転手が募集されており、今後も増えてく余地は高いんじゃないかとみています。

2012年11月9日金曜日

共産党中央党大会の気になるトピック

 初めにほんとくだらないですが、下の記事で昨夜大爆笑してました。

「売国クソ禿」で落ち込む孫社長に応援団 高須克弥氏が「植毛をプレゼントします」(J-CASTニュース)

 書かれている内容というのはハリケーンのサンディで被災したアメリカにソフトバンクの孫社長が寄付金を出したことをツイッターに書いたら、「売国クソ禿」と罵られて落ち込んでいたところ、高須クリニックの高須院長が、「バカにも返事をするあなたは偉い。ただで植毛をプレゼントします」とツイッターに書き込んだというものです。高須院長としてははげましているつもりなんだろうけど、フォローになってないだろこれ。
 さらにこれは二年くらい前の話ですが、同じ孫社長のツイッターに「ハゲ割というのがあると面白いと思いました」というツイートがあり、それに孫社長も「ハゲホーダイ?」と返信していたそうでこれもなんかツボにはまりました。孫社長が偉大過ぎる。

 話は本題に入りますが、前から予告していたように今日から中国で最大の政治イベントと言っていい、五年に一回の中央党大会が開幕しました。内容に関してはNHKもやけに力を入れて報じているのであまり書くこともないのですが、今回で何が一番大きいのかと言えば最高幹部会にあたる中央常務委員会のメンバーが刷新されることです。簡単に説明するとこの中央常務委員会は中国共産党の最高意思決定機関であって、この中から総書記、首相、そして全人代の議長が選ばれます。
 今回の中央党大会では総書記職は胡錦濤から習近平へ、首相職は温家宝から李克強へと移り変わることはほぼ確実視されており、それに合わせて複数名がこの常務委員会で入れ替わる予定です。もっともこの辺の話はあまり得意じゃないのでよくわかりません。

 それで敢えて自分の興味ある点を一つだけ書くと、胡錦濤が軍事ポストを維持するかどうかがポイントじゃないかと考えています。というのも一時死亡説も流れた江沢民が総書記職を退いた十年前、彼は総書記職は譲ったものの軍事ポストに当たる人民解放軍の指揮権は保有し続け、確五年前の中央党大会でやっとその軍事ポストも胡錦濤に譲ってます。いくら戦争がないとはいえ軍事ポストはやはり重要で、次の政権への影響力を残すためにも引退する総書記は軍事ポストを保有し続けることが慣例となっております。
 そんなわけで今回も胡錦濤は総書記職を習近平に譲っても人民解放軍の指揮権はあと五年は持ち続けるだろうというのが大方の見方なのですが、日本の一部報道で江沢民派に詰め寄られて、今回の党大会で指揮権も譲るというのがありました。本当かなぁと疑う気持ちもあるのですが、政治とか権力争いは有りえないと前提を作るものではありません。仮に本当だとしたらちょっと想定と変わってくることもあるので、個人的にはこの一点だけはどうなるか注目してます。

 最後に政権交代後の中国の対日政策ですが、基本的に大きな変更はないと断言してもいいです。日本やアメリカはトップが変わると外交方針も多少変わりますが、中国は総書記や首相個人が外交すべてを決めるのではなく共産党が組織として決めるので、長期スパンでは変わることはあっても短期で急旋回することはありません。基本的に中国共産党も日本との経済関係は重視しているし、この前初めて知ったけど上海市の税収の三分の一は日系企業が出していることだし、一部の陰謀論者が言うような日系企業の追い出しなんてことはまずしないというのが私の意見です。