友人からリクエストを受けたので、今日は自衛隊について自分の知っている内容と見解をたらたら書いてこうと思います。ただ先に言い訳をしておきますが、私は軍事関連の領域は専門としておらず、せいぜい「ニューナンブを作ってるのはミネビア」とか言うどうでもいい知識しか持っていません。じゃあ何が専門なのかと言われると変な意味で答えに詰まってしまいますが、あくまで今回の記事は一素人の意見としてみてもらえば助かります。
まず最初に自衛隊成立の歴史について簡単に触れますが、二次大戦の敗北後、日本を占領した米国を中心とするGHQは一次大戦後のドイツの様に日本でも徹底的に非軍事化を推し進めます。その目的は二度と米国に反抗しないようにすることが主眼であり、元軍人たちに対しても公職から追放するなどして社会から徹底的に排除します。
そうした非軍事化の流れから潮目が変わったのは、個人的な見解だと1949年の中華人民共和国の設立です。米国は恐らく中国大陸は蒋介石が勝つだろうと踏んでたように見えますが、予想とは違ってソ連の支援を受けていた毛沢東率いる中国共産党が勝利し、中国大陸を握ります。更に翌1950年には朝鮮半島で朝鮮戦争が起こり、米国としてはこれ以上の東アジアの共産化を食い留めるためにも日本における軍事的プレゼンスが非常に重要となってきました。なおちょうどこのころのGHQでは「右旋回」といって、本国の赤狩りと軌を一にして社会民主主義的思想のメンバーが排除された一方でタカ派が勢力を伸ばしていた時期でもありました。
ちょっと古い記憶(小学生の頃に読んだ歴史漫画)なので年号間違っているかもしれませんが、確か1950年の元旦における挨拶でマッカーサーは、「日本もそろそろ自営する力が必要だ」と話したそうです。この発言の裏には既に日本の再軍備化が始まっており、同年には旧軍人を多く採用した「警察予備隊」が組織されます。この警察予備隊は二年後の1952年には「保安隊」と改称し、さらにその二年後の1954年に現在の「自衛隊」という名前へと至ります。
米国が何故ここまで日本の再軍備化を推し進めた原因はなんといっても朝鮮戦争で、朝鮮半島に米軍を派遣する事で日本国内の防衛が疎かになる可能性が出始め、また日本を防衛するための米国の軍事費削減も喫緊な課題だったからです。要するに、米軍を後方支援するという役割として自衛隊が設立されたとみていいでしょう。
何はともあれ結成された自衛隊は旧日本軍の軍人が主に教官などで再雇用され、主旨こそ違えど事実上、日本軍の再建と言ってよかったと思います。未だに日本国内では自衛隊を「自衛軍」という呼称に切り替えるべきか否かでグダグダ議論していますが、海外では英語で「SDF=Self Difence Forces」とモロに「軍」だと言っているのだから、もうどうでもいいじゃんとか内心思ってます。まぁ自衛隊という呼称がかなり定着しているから無理して変える必要もないかな。
話は戻りますが結成当初の自衛隊はお世辞にも日本国民からは支持されておらず、特に憲法で謳った戦力の不保持に違反するとしてどちらかと言えば「いない方が良い存在」としてみられていたように私には思えます。実際に自衛隊員が殺傷される事件もあれば吉田茂には「君たちは日陰者として歩まなければならない」などと言われたりしてて、肯定派もいなかったわけじゃありませんが反対派も近年までは確固として存在し続けておりました。
そのような自衛隊への日本人の見方が一変、というよりむしろ逆転したきっかけは1995年に関西地方を襲った阪神大震災で、この時に自衛隊が災害救助として活躍したことと、その自衛隊の出動をためらったと見られている当時の社会党出身の村山富一首相との対比もあり、「やっぱり自衛隊は必要ではないか」という声が俄然と強まってきました。私も当時小学生でしたが、こういう大災害の救助の際には訓練された軍人が非常に重要なんだと思え、小学生の分際でそれまで自衛隊を否定していましたが一気に肯定へと考え方をひっくり返されました。
その後、2011年の東日本大震災でも自衛隊の活動は高く評価され、当時の世論調査で日本国内で自衛隊を評価するという声は90%超にも達し、2012年に米国の調査会社が実施した調査でも89%が「自衛隊は日本にとっていい影響を与えている」という回答結果が出るに至っています。現代においてはもはや自衛隊を否定する方が圧倒的少数派になっており、仮に昔あったような反自衛隊デモでもしようものなら総スカン、下手すりゃリンチすらも喰らいかねません。やろうって団体はまだいるのかな?
このように災害派遣においては圧倒的な実績と活躍を誇る自衛隊ですが、果たして軍事力となると如何か。陸上戦力に関しては主力兵器が山地の多い日本じゃまともに運用できない戦車であり、また特殊部隊の質で他国に劣るという話を聞くだけに国際的には一般的なレベルかと考えていますが、こと海上戦力となると間違いなく海上自衛隊は世界屈指、実質的には米国に次いでナンバー2くらいの実力を持っているのではないかと私は見ています。
海上自衛隊はイージス艦を始め潜水艦を含む艦船装備で米国から技術供与を得ているだけでなく自国でも開発、整備を行っています。これらの艦船は侵略するには向いていない兵器ですが防衛線となるとあまりにも充実し過ぎているとの声もあり、隣の中国がまだまともに空母を運用できてない話を聞くと、普通に数隻の空母を保有して運用している日本は一体どんなレベルなんだとよく思います。
残るは航空自衛隊ですが、これについてはあくまで素人目ですが、一応米国のお下がりではあるものの世界屈指の戦闘機を配備しておりパイロットも練度は高いと聞くのでまぁまぁ戦える装備ではないかと思います。ただ米国や中国と比べて訓練できる空域が海上ならともかく陸上では非常に限られている(住宅地が多く)と聞くだけに過信は禁物でしょう。
以上までは割と持ち上げる話ばかり書きましたが、自衛隊にも欠点というか問題点は少なからずあります。まず第一に言えるのは最近また取り沙汰されてきた自衛隊内のいじめです。防衛大に友人が行ったという友人からの又聞きですが日本人らしくここでのいじめもやっぱり陰湿で、体力的にきついのもありますが防衛大を出ても任官を受けずに辞めちゃう学生が毎年大量に出ているそうです。ほかの国もある程度一緒でしょうが必ずしも士気も仲間意識の高い連中とは言い切れない面があります。
もう一つこっちは真面目な話で、一言で言えば田母神俊雄氏です。この人は元航空幕僚長ですがその発言、思想は攻撃的であることに定評のある私の目から見ても明らかに歪で、なおかつ自衛隊員であった時代からも自身の歴史観や政治意見を声高に発言するなど明らかに分をわきまえない行動が見えました。
「軍人が政治に口出ししてはならない」というのが日本の敗戦における最大の反省材料だったにもかかわらずそれを平気で破る人間が自衛隊幹部としていたという事実は看過できず、恐らくほかにもこの手の人間が自衛隊内の幹部にいるのではと邪推せざるを得ません。今のところは田母神氏以外では表立っていませんが、この手の人間が表に出ることで日本の国内外を問わず自衛隊にとって悪い影響が出るのではと懸念しています。
最後にどうでもいい個人的意見ですが、自分のような社会学士からすると戦争というのは外交手段でもなく国家的決闘でもなく、災害の一種であるとみています。この戦争や地震などの自然災害を含めあらゆる災害に対してその被害の拡大を食い止める、こういう風な定義が自衛隊にとって無難なのでは思う次第です。
適当に書いたつもりなのに、なんでまたこんなに長くなったんだろう。執筆時間30分だよこれ。