そんな東ドイツの歴史についてはこの本読めばいいので詳しく書きませんが、もう一つ真面目にこの本を読み終えてしみじみ思ったのは、日本は二次大戦後に本当に幸運だったんだなってことでした。特にこの東西に分割されたドイツと比較すると明確です。
いうまでもなく、ドイツは二次大戦後に東西に区切られて分割され、首都ベルリン市に限っては東ドイツ領内にあるものの、ベルリン市内で西側と東側で分割されるという手の入れようでした。そのためベルリン市内からは西側への逃亡が容易だったことから、往来が自由だった頃はベルリン経由での逃亡が相次ぎ、東ドイツの労働力低下が激しかったことからベルリンの壁が作られることとなりました。
話を戻すと、そうしたドイツに比べて日本は分割されることなく、強いて言えば沖縄が米国に占領されただけでした。日本とドイツは人口や面積(日本は大半が産地であるが)などの国家数値が比較的近く、尚且つ主力産業も自動車や精密機械などで被りまくっている上、元枢軸国同士という点でも共通しています。そうしたことからソ連人民の敵であるうちの親父をはじめ無駄にドイツにシンパシーを感じている日本人も少なくないのですが、こと東西ドイツの統合前で比べるならば、日本は経済的にはかなり恵まれた環境にあったと言えます。
単純に大きいのは市場人口で、ドイツは東西に分かれていて約半分だったのに対し、日本は同じ言語、同じ日本円を使う日本人が最初からフルパワーで活用することが出来ました。それに加え、軍事費に関しても西ドイツは文字通り共産圏に対する最前線であり米軍の支援こそあれどもある程度自前で用意しなければならなかったのに対し、日本は自衛隊への制限から軍事費も抑制され、その分を思う存分経済に回すことが出来ました。
もっとも、昭和時代から意外と日本の軍事費は極端に低くはなかった気はしますが。
こうした点を比較すると、分割されたドイツに比べると日本は同じ敗戦国でもかなり経済的に恵まれた環境にあり、この辺をドイツ人はどういう風に感じているのだろうかなどと少し気になるところです。
またかねがね主張しているように、何故日本が戦後に高度経済成長を達成できて、バブル経済を迎えることとなったのかと言うと、日本人の努力だとか基礎教育などいろいろあげつられていますが、それ以上に何よりも大きかったのは冷戦構造による恩恵を日本が一手に受けていたため、つまり日本人の努力以上に、冷戦という世界背景という幸運が日本の経済成長を支えていたのではという風に考えています。だからこそ、冷戦構造の終了とともにバブルがはじけたという風にもついでに見ています。
そのように考えると日本人は上記の分割されたドイツとの比較を含め、もっと冷戦構造というものをしっかり見直す必要があるのではないかという風に思います。何故かというと未だにバブル経済を懐かしんだりする声が多く、まだあの時代を清算しきっていないように見えるからです。この辺、JBpressでも今度書いてみようかなとも考えていますが、過去に引きずられ過ぎな気がします。
さて今日も昼過ぎからずっと自宅作業だったので、これから思う存分ゲームして遊ぼうと思います。この約1ヶ月にわたり毎週末家でも仕事するのがさすがに嫌になってきました。