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2021年10月6日水曜日

杜月笙に対する中国の見方

 やばいくらいのピーカンでスモッグに覆われた頃が恋しくなるほど暑かった昨日ですが、今日は一転して雲が多く、気温は相変わらず30度越えだけど体感的にかなり涼しく過ごせました。と言っても家でゲームしかしてないけど。

 話は本題ですが、以前にちょっとタイトルに引かれたので「満州アヘンスクワッド」という漫画を読んでみました。時代と舞台はそのタイトルの通り戦前の満州で、この満州を舞台にした麻薬取引活劇漫画といったジャンルなのですが、一目見て時代考証がかなりいい加減だと感じたのと、なんかアヘン中毒者の描写の誇張が過ぎて現代におけるパリピ系の人にしか見えないなどといった点から、1巻を読んでもうそれ以上読むのをやめてしまいました。また上記の描写のほか、ヒロインの父親が満州のアヘン王こと杜月笙だと明かされるシーンを見て、

「またかよ(´・ω・)」

 という風に感じた点も、自分の中で評価を下げた一因です。なんで満州、アヘンときたら毎回の如く杜月笙が出てくるんだか。他に人いないのかよ。

 その杜月笙さんですが、知ってる人には早いですが戦前の上海にて青幇(チンバン)というマフィアのボスで、アヘン王であったと日本ではよく紹介されています。中国でも有名人で、この人の名前を挙げると「ああ、あの人ね」みたいな感じの反応が見えます。
 ただ、彼に対する見方は日本のそれとは違って、マフィアのボスという点は間違いなく一致しているものの、どちらかというと「蒋介石のマブダチ」みたいな評価がなされているようです。

 何かのネタになるかと思って調べてみたのですが、まず青幇は確かにマフィアとして裏社会、特に犯罪関連の賭場や麻薬取引を取り仕切る団体であったものの、その成立は18世紀くらいで、組織内に専用の名前を持つ位階などを設けるなど、マフィアというかは秘密結社、イルミナティみたいな組織に近いような印象を覚えました。
 その上で当時の青幇ですが、何も杜月笙がただ一人トップだったというわけじゃなかったようです。どうもシノギごとに部門が分かれてて、アヘン取引部門は杜月笙がトップであったものの、彼のほかに当時の青幇にはもう二人のトップがおり、その三人による三頭体制で運営されていたようです。なので青幇の当時の最高権力者=杜月笙というのはやや日本人の間違った見方かもしれません。

 その上で最初に書いた内容に戻ると、どうも蒋介石は国民党の派閥抗争に孫文ともども負けて零落していた頃、自らの資金稼ぎのために上海で株取引に明け暮れた時代があったそうです。その時に大損して、殺し屋差し向けられるくらい大借金抱えた際に、自らの保身を条件に青幇に加入したそうです。
 青幇側としても、国民党関係者との縁故を作っておくことは得策だと考えて彼の加入を受け入れ、借金を棒引きするとともに、陰から蒋介石の活動をサポートするようになります。この過程で、蒋介石と杜月笙は意気投合し、互いに義兄弟となったそうです。

 そんな両者の関係が最も花開いたのは1927年に起きた上海クーデターです。第一次国共合作を経てとりあえずは連携していた国民党と共産党でしたが、共産党勢力の追放を画策した蒋介石率いる国民党が上海市内にて、突如共産党員らを襲い大量に殺害した事件です。この事件時に大活躍したのが杜月笙で、配下の手下たちを使って共産党員を襲い、成功へと導いたとされています。

 このように見てみると、やはり日本の杜月笙に対する見方はアヘンこと麻薬王のみに集中しているきらいがあり、彼の実像からむしろ離れてしまっている印象すらあります。この辺また調べて記事化するかもしれません。

2021年10月5日火曜日

暑すぎる:(;゙゚''ω゚''):

 このところブログでも暑い暑いと書いていますが、マジでやばいくらい暑いです。



 上の二枚の写真は今日お昼にラーメン屋に行くときに12時台で撮影した写真ですが、見ての通り雲一つない青天です。これは今日たまたまじゃなく、マジでこの1週間くらいずっと続いています。
 気温は最高気温で毎日30度を超えていますが、それでも真夏時と比べると日陰に入ると涼しい風が吹いてくるので死なずに済みます。ただずっとやばいくらい晴れてて、日差しがあり得ないくらい強いため、野外で活動するガチで日射病の危険性を感じるくらい体が焼かれている実感があります。そのため、連休中に自転車で遠出しようと考えてはいたものの、マジで危険だと思うため取り止め、家に引っ込んでいます。

 これまでに何度も中国で国慶節過ごしていますが、マジでこれだけ暑いのは今年が初めてです(;´Д`A ```

 木漏れ日越しに降り注ぐ陽光


 ちなみに今日行ったラーメン屋はこの「友友面館」(紅松路62号)というところです。見ての通り、「ここは中国か?(;´・ω・)」と感じさせられる店構えで、内装も日本のロードサイドにあるラーメン屋を連想させる妙にデジャビュ感の強い店です。
 店長の方は中国人ですが浜松に長くおり、この店も浜松餃子を名物としていて実際かなりうまいです。ラーメンもオーソドックスな味なため、塩分欲しい時なんかによく利用しています。

河野太郎の中国太陽光利権癒着に関するデマについて

 気づいた人はどれだけいるかはわかりかねますが、昨日の記事は今日の記事の布石です。早速本題ですが、先日の総裁選結果について書いた自分のブログ記事に先日、下記のようなコメントが寄せられました。


河野太郎氏の在中企業問題について何ら触れることなく総裁本命視され、他候補を侮蔑しておられましたが、先の問題に言及されないのは、貴殿が現地当局の手先だからですか?現地で日本sageしてヌクヌクと暮らせるのはそのためじゃないのですか。訪中されること度々で現地にも知己がおられるという、筆坂秀世氏の秘書を務めておられた元日共専従のジャーナリストの篠原常一郎氏を見習われればいかがかと申し上げます。


 率直に言えば、一目見て「( ゚Д゚)ハァ?」と感じるコメントでした。そもそも、中国に関する話題で自分に張り合おうとしている時点で身の程知らずも大概でしょう。


 上記の先日の総裁選で敗れた河野太郎氏に関する「在中企業問題」とは、上のITメディアの記事に大まかにまとめられています。私自身は上記のデマが総裁選の最中に流れていることも知らなかったのでコメントを受けた段階で軽く調べ、でもって5分で「ああ、根も葉もないデマだな」と判断するに至りました。判断ポイントを疑惑として指摘されたポイントごとに取り上げると以下の通りです。

1、河野氏の親族企業が中国に現地法人を設置しており、中国と利権で結んでいる
→中国に現法のない上場企業の方が今は少なく、仮にこの通りなら日本の全産業は中国に利権を握られているということになります。

2、河野氏の親族企業は中国企業と合弁で、合弁先の企業トップは共産党員である
→中国企業と合弁して事業を展開している日系企業はいくらでもあり、またそのトップが共産党員というのも別段珍しくないです。ちなみに中国だと最近は審査厳しくなってきているものの、ライン工の人にも共産党員がいるなどかつては入党条件が緩く、割と町中に溢れています。

3、河野氏の親族企業の中国現地法人の出資比率は6:4で、通常は49:51で中国側が過半となるのに、特別な優遇がなされている
→事実無根もいいところ。実際には2:8とか5:5とかもあり出資形態や産業種類によって千差万別。当該企業(日本端子)の取扱製品は端子という比較的汎用性の高い部品であることを考慮すると、進出時期(1995年)を考慮しても特別な配慮がある出資比率とは考えられません。っていうか49:51じゃないとおかしいという人は、ビジネスを知らないにもほどがあるでしょう。

4、河野氏の親族企業の中国現地法人は太陽光発電機器用の端子を製造しており、だから河野氏は脱原発を訴えて太陽電池を日本に買うよう訴え、中国と親族企業に利益を誘導させようとしている
→この辺に関してはITメディアさんの方がよく調べてくれており、実際には日本端子の売上げの大半は自動車用端子で、太陽光発電機器用端子の売上比率は微々たるもののようです。自分も日本端子、そして件の中国法人である北京日端電子有限公司(北京日端)の製品ページを見ましたが、扱っているのは汎用端子製品で、特に太陽光発電機器に特化している印象はありません。
 っていうか、太陽光発電機器用の端子ってあるのか疑問です。割と端子って汎用的な部品だから、○○用というよりかは○○向けみたいに、製品特性よりも川下顧客が誰かによってその製品種類が定義されるような部品であるように思うし。

 一番否定的に言われている4についてもう少し掘り下げると、そもそも論として「太陽光ビジネスとの癒着」と書かれているのを見て私は即疑問を感じました。というのも、太陽光関連機器の市況は絶賛大不況で、なんでこんな惨澹たる有様の市場で癒着しようとするのか意味不明だったからです。


 上の記事は財新から引用した東洋経済の記事でジンコソーラーの苦境を伝える記事ですが、これに限らず太陽電池関連企業はいずれも死に体です。普通癒着しようってんなら利益の大きな産業になるはずで、この時点でこのデマはまともな人間なら相手にしないし、そもそも信じる奴がいるのかと激しく疑問に感じました。

 その上で決定的におかしいのは、やはり北京日端の合弁相手です。この合弁相手はBOEこと京東方で、恐らくこのデマを流した連中はBOEがどんな企業なのかを全く理解していなかったのだと思います。
 このBOEは直近データまでは見てませんがこのところ世界の液晶ディスプレイパネルの出荷量で世界最大を誇るディスプレイメーカーです(大半の日本人は知らないのだろうが)。ディスプレイ以外にもいくつか事業がありますが、産業属性としては基本的に家電、スマホ系に属す企業で、太陽光関連でなんか投資とか激しい事業しているってのは自分は聞いたことないです

 液晶ディスプレイの生産ラインは太陽光パネルの生産ラインと材料からして近く、転用も可能で、実際にシャープなどは液晶ディスプレイパネルと太陽光パネルの両方を取り扱っています。ただそれを踏まえても前述の通り太陽光関連機器業界はいま世界中でやばいくらいの大不況で、BOEがこの分野に手を出すのかと疑問だし、何度も書いてる通りBOEが太陽光に力入れてるなんて聞いたことがないです。
 私の個人的な推測ですが、デマを流した人間、若しくはデマを発案した人間はBOEが「(ディスプレイ)パネルメーカー」だと知り、勝手に「(太陽光)パネルメーカー」と勘違いしたのではないかと見ています。真面目に太陽光関連で利益誘導させようってんなら、北京日端の取引先、合弁先にガチな太陽光関連企業がなければお話にならないでしょう。

 以上、果たして自分がこんな当たり前すぎることをいちいち解説しなければならないのかと頭が痛くなる内容をまとめましたが、追加検証をするまでもなく、冒頭のコメントの主張は根も葉もないデマ、っていうかあれを真実と考える人間の頭を疑うくらい穴の多い内容で、こんなアホらしいデマにつき合わされる辺り自分も落ちたなと思わざるを得ません。
 その上でコメント書いた人が今この記事を読んでいるかわかりませんが、己が自分に口きけるような立場ではないことをもっと自覚してください。最低限の判断力、知識力にすら事欠き、こんな穴だらけなデマを真に受けて無関係な他人まで批判しようとする辺り、今後どれだけ努力したところで人の足を引っ張ることしかできないでしょう。なので己の無力さを自覚し、口をつぐんで生きていくことがあなたにできる唯一の世の中への貢献となるでしょう。

 一点だけ加えると、このところマイブームな日本人の属性主義もよく出てたなぁと感じます。どんな政策を訴えているのかではなく、どんな人物背景なのかだけで総理候補を選ぼうとしているあたり。

2021年10月4日月曜日

金のある所に陰謀論アリ

 連休中ですが暑くて死にそうなため、今日は昼から極楽湯行って過ごしてました。朝夜などはまだ気温が落ちるのが救いですが、日中に関しては正直真夏時よりも今の方が暑い気がします。最高気温は30度を毎日超えてるし、何よりも日差しがやばいくらい強く、PM2.5も以前と比べかなり減ってやたら無駄に青空なため空みると目が潰れそうです。

 さて本題ですが私が話題にするわけでもなく反ワクチンの陰謀論を信じる人がなんか日本でも一定層いて、離婚に至る家族なども出ているそうです。この陰謀論は、ワクチンを打つと2年以内に死ぬとか、ワクチンこそがコロナウイルスであり感染を広げているとか、ワクチン内にマイクロチップが埋め込んであり5G電波を受信するようになって操られるとか、冗談としてならそこそこ面白い想像です。
 そもそも論として5Gをやたら敵視するのが非常に不思議です。まぁ前の記事にも書きましたが、携帯電話黎明期には「電車内で電波が反射して電子レンジと化す」と言ったメディアもいたくらいだから普通かな。

 それでこの陰謀論が何故流行るかですが、単純に見出しにも掲げた通り儲かるからでしょうね。実際、反ワクチンセミナーなどがコロナの中で開かれてて結構荒稼ぎしているという話も聞くし、こうした情報に踊らされて怪しいお水とかがワクチンに聞くなどとして売れてるでしょうし、お金が動くから陰謀論も動くのが実態だと思います。でもってさらに背後を突き詰めると、こういう怪しい陰謀論に騙される人が一定層いるっていうことが何よりも条件になってくるでしょう。

 真面目な話、こういう陰謀論は大手メディアなどがきちんと否定してあげないと社会としては良くないのですが、さすがに反ワクチン陰謀論は大手メディアが否定しなければならないものかというと「こんな低レベルなものも?(;´・ω・)」という気がします。真に嘆くべきは、こうした次元の低い陰謀論すら見抜けないほど日本の科学リテラシーが低下しているという事実かもしれません。

 この辺の陰謀論絡みではいくつか研究も出ているので、自分もまた興味向けば勉強するかもしれません。最近はなんか大陸浪人ブームで、今児玉よしおの本読んでるのでまだ先ですが。
 関係ないですが「~よしお」って書くのはやっぱりよくないな(;´・ω・)

2021年10月3日日曜日

中国でSteam買えなくなった(´;ω;`)


 連休で暇だったので近年のトヨタの中でも屈指のヤンキー御用達者となったbBのプラモを作ってました。


 タミヤ製のキットで非常に部品点数も少なくパパっと作れて楽しかったです。車高の低いスポーツカーばかり作ってるとこういう箱型の一般車は作っててほんと楽しく感じられます。

 話は本題ですがなんか日系メディアの間でも中国が最近ゲーム規制に厳しくなってきていると報じられています。曰く、ゲームは1日1時間、それも週末限定としたら、羽のある人を登場させてはならないなど細か規制要求が出されているそうです。
 なお中国人は羽のあるガンダムことウィングガンダムゼロカスタムは好きです。っていうかバンダイ、名称をウィングガンダムゼロ(EW版)とか後になって名称変えるな。

 まぁそんなこんなも立派な大人となった自分には無関係と思って甘く見ていたのですが、連休だからと何かSteamでゲームでも買って遊んでようと思っていたところ、いい感じなアドベンチャーゲームがセール中なので購入しようとしました。でもって買えませんでした。
 どういうことかというと、ほぼすべての決済方法でエラーが発生し、購入することができなかったためです。これ以前からもクレジットカードやWeChatによる決済は受け付けず、仕方なくユニオンペイこと銀聯カードのデビット機能で購入してきたのですが、今朝試してみたところこのユニオンペイすら受け付けませんでした。

 恐らくですが、中国人であればWechat決済なども問題なくSteamに使えると思います。しかし外国人で、個人認証でやや枠外にある対象に対してはどうも、これまでは特に規制してこなかったSteamでの購入をここにきて中国は規制してきたと考えるべきでしょう。はっきり言っていい迷惑だ( ゚д゚)、ペッ

 その上で述べると、ここ数年の間に中国のゲーム産業は驚くほど力をつけ、独自IPも生まれるなど非常に善との明るい状態を維持してきました。それだけに今回のゲーム規制については、例のオーストラリアへの報復とばかりにオーストラリア産石炭を購入せずに各地で電力不足が発生している県と合わせて、セルフ経済制裁のような「なんでそんなことすんの?」という疑問を抱かずにはいられません。外貨的にもゲーム産業は決して悪くない産業だというのに、ここで規制かけて成長止めてしまうのははたから見ていてももったいなく見えてしょうがないです。

 そうした背景から目下の問題としては、残りの連休中に何するかです。いや普通に原稿書いて記事出せよと自分でも思いますが、こういう時に限ってあまり記事ネタがなかったりします。明日はちょっとタミヤにでも電話してみるつもりですが。

2021年10月2日土曜日

給与をもらっている人ほど「給与が少ない」と言う

平均手取り「27万円」の悲惨…岸田内閣誕生間近で露呈する、日本人のどん詰まりな生活(幻冬舎)

 上の記事見て、つい先日に取引先に出向している同僚の話を思い出しました。取引先の企業は自分のいるところと業種が違うことからその社内で自社のことをどういう風に言っているのかと尋ねたところ、「給料が少ない」という人が多いということです。それを聞いて、「ああやっぱり」と自分は思いました。

 その取引先はメーカーではあるものの上場していて取扱製品の世界シェアはガチで世界トップクラスな超優良企業です。でもって外部調査の給与ランキングでもたまに顔を出すような企業であり、少なくとも同じ業界の中にあって給与が少ない方の会社ではないのですが、中にいる人の印象は違うようです。
 実はこうした価値観にはからくりがあり、結論から言うと、給与をたくさんもらっている人ほど給与に対して不満を覚えやすい傾向があります。

 かつて米国で行われた実験ですが、陸軍、海軍、空軍それぞれの軍人に自らの出世スピードについて尋ねたところ、空軍が圧倒的に「遅い」と答える割合が高かったそうです。しかし実際には空軍は他の軍と比べても階級が上がりやすい軍隊であり、上記の回答は現実とはむしろ乖離したものとなっています。
 では何故空軍の連中は出世が遅いと感じるのかというと、周りの人間がポンポンと出世していく人が多いせいだとその調査報告書では結論付けています。要するに、自分を含め出世速度が早いことから、なんとなく自分は遅いのではないかと思いやすくなるそうです。要するに、人間というのは全体平均的な基準よりも、自分の目に見える範囲の基準で物事を捉えがちということです。

 そういう意味で、冒頭の超優良日系企業の社員らが「給与が少ない」と言ったからには、きっと半端ない給与を周囲を含めてもらっていることの証左であると自分は考えました。多分間違いない。
 逆にというか、「それなり/分相応の給与を会社からもらっています」と謙虚に答えてくるケースは、ブラック企業に勤めている可能性が高いのかもしれません。っていうか自分、こっち側なんだけどσ(゚∀゚ )オレ

 もっとも自分の場合、価値判断基準が「中国現地採用日本人」なため、ブラック以前の話かもしれません。この業界なら月1.5万元(約26万円)ならもらってる方になるだろうし。ただ昔と比べると、ほんとに中国の平均給与は高くなったと思え、中国大都市部の平均給与が日本全体平均給与を追い抜く日も案外近いかもしれません。

2021年10月1日金曜日

かんぽの宿の今更の売却

「かんぽの宿」88億円で売却、日本郵政が発表…来年春メドにまず32施設(読売新聞)

 かつて郵政の無駄遣いの象徴といわれたかんぽの宿がようやく売却されたそうです。この件については自らの反省を込めて今この記事をまとめています。

 読売新聞の報道によると、今回の売却額は88億円だったそうです。ただこのかんぽの宿の売却は何も今回初めて出てきた話というわけではなく、2008年にもオリックスへ売却することでほぼ決まっていました。その売却額も、今回の金額より高い109億円でした。
 しかし当時に売却が内定してあとは執行する段階であったのですが、何故か最終承認権限者であった鳩山邦夫総務大臣(当時)が、「売却額が不当に安い」などと述べて承認せず、最終的にこの売却話は流れてしまいました。

 一体当時に何があったのか。鳩山邦夫は当時、かんぽの宿の建設投資額に対し109億円は大きく下回っていることを、価格が不当に安いという根拠としていました。また最終入札においては、郵政民営化を決めた小泉政権の有識者会議に参加していた宮内氏が経営するオリックスしか参加せず、入札そのものが出来レースであったのではないかなどと述べ、決定プロセスに不公正な動きがあったのではないかなどと騒ぎ立てました。
 当時のこのブログの記事を見ると、私自身も鳩山邦夫の意見を真に受けて、かんぽの宿の売却プロセスはおかしいのではないかと言及しています。しかし現在において、この自分の見立ては明らかに間違っていたと考え直しており、深く反省する意識を強く持っています。

 一体何故自分が判断を誤ったのかというと、そもそもの資産価値の評価方法をきちんと理解していなかったことに尽きます。当時の時点でかんぽの宿は一部施設を除いてほとんど赤字であり、保有する機関が長いほど損失が出るという状態でした。そのため郵政本業とは無関係な事業であることからも、可能な限り売却してこれ以上の赤字発生を阻止する必要があったのですが、仮に各施設ごとに売却した場合、赤字施設は買い手がつかなくなる恐れがあり、また仮に買い手がついたとしても従業員の大幅なリストラが行われる可能性が高いとみられました。

 そうした観点から、黒字の施設も赤字の施設も丸ごと売却する代わり、従業員の雇用維持を入札条件とする一括売却が方式として適切であるという結論が出たため、一括売却という流れになりました。当然、この雇用維持という条件はハードルを引き上げる条件となり、確か最初の入札にはオリックス以外の企業も応じたそうですが、最終入札には結果的にオリックスしか残らなくなったとのことでした。
 そういう意味では、確かに建設投資額に比べ109億円という金額は大幅に下回る金額であったものの、赤字を垂れ流すだけだったかんぽの宿事業の資産価値としてみればむしろ売れるだけでもありがたいもので、オリックスとしてもテコ入れによって黒字化する可能性はあったものの、火中の栗を拾うような応札であったと言えるでしょう。

 この辺の過程について、実はつい最近読んだ郵政初代社長の西川善文(畝傍出身)が生前に出していた「ラストバンカー」という本で、詳しく解説されています。この本を読んで改めて当時の自分が浅学なあまり間違った批判をしてしまったと悔悟するとともに、一体何故鳩山邦夫は売却を最終局面でひっくり返したのかが気になりました。
 その辺の事情についても「ラストバンカー」で少し触れられており、そもそも小泉政権が終わった時点で自民党内の反郵政派が安倍政権内で復活しており、安倍政権以降の自民党自体が郵政民営化を潰そうとする姿勢であったと指摘されていました。鳩山邦夫が総務相を務めたのは麻生政権時でしたが、この時の自民党は下手すりゃ野党以上に郵政の民営化を阻止する意識が強く、実際その後に郵政は予定していた株式の一般公開も延期するなど、実質的に再国有化へ巻き戻されています。

 また鳩山邦夫は上記のかんぽの宿売却案件を事実上阻止しただけでなく、古くて容積率も低かった旧東京中央郵便局庁舎の再開発に関しても「貴重な文化財が喪失する」と主張し、既に計画が決まって工事が始まっていたにもかかわらず工事中止をして保存計画を練るよう命令しています。最終的に旧庁舎の保存部分を少し増やすことで妥結に至りましたが、あれに文化的価値があったのか、また保存部分を増やすことに意味があったのかという点については甚だ疑問です。敢えて京都人の目線に立つなら、高々100年ちょいの建造物の価値なんてという気がしてなりません。

 以上のような背景をよく熟知しているのか、読売新聞も過去の売却案件についてもきちんと紙幅を割いており、当時の金額なども載せていてくれて大変助かる次第です。また最後の段落には「民営化以降14年間の累積赤字は約650億円に上る。」という情報も載せており、あの時鳩山邦夫が止めたせいで109億円で売れた資産が88億円となり、また売れるまでに600億円超の赤字が垂れ流されたという事実をまざまざと示してくれています。兄同様、彼もまた日本の足を引っ張る政治家であったなと評価せざるを得ません。