なんでこんな風に思うのかというと、プーチンの経歴と性格、そして態度などを見てそう感じるからです。まず経歴ですが言わずと知れたKGB出身で、なんでも子供のころからKGB入りを夢見ていたそうです。念願かなってスカウトを受けてKGBとなったわけですが、ソ連崩壊のきっかけにもなったベルリンの壁崩壊時、ちょうど東ドイツのその現場にプーチンはいたそうです。
割とこの時の体験はかなりのトラウマだったらしく、本国に何度も軍隊を送り込め、暴徒を鎮圧しろと言っていたにもかかわらず黙殺され、いろんな人間が彼のターニングポイントになった事件だったと指摘しており、私自身もそう思います。
次に彼の性格についてですが、一言で言って執念深く、非常に自分の評判を気にする性格であるように見えます。過去のロシア国内におけるテロ事件などに対する発言を見ると、テロリストらに対し感情をはっきり込めてマジギレしており、やられた分は必ず報復し返さないと気が済まないような人間に見えました。過去を水に流して、なんていうとそれこそさらにヒートアップしそうな印象があり、和解するには最低でも、向こうに殺された分だけ向こうの人間を殺し返さないと絶対に応じないような人間だと私は考えています。
それくらい過激な性格なのですが、意外とナイーブなのか自分の評判をかなり気にする素振りも見えます。この辺は大統領の座を一時下りていた頃にやや顕著だったと思うとともに、自信を批判したジャーナリストの多くが不審死、っていうかほぼ確実に暗殺されていて、国内に厳しい報道規制を敷く点などからも、このように感じます。
上記のような要素に、やはり赴任地で思い入れもあったのか、ドイツに対する態度がなんか柔らかいと感じることも多いです。もちろん打算からそうした態度を見せていただけなのかもしれませんが、日本や米国などと比べても対ドイツとなるとなんか全然表情も変わってくるように思え、どことなくドイツに対し深いシンパシーを持っているように見えました。
以上の要素を総括し、またロシア人全体として王権神授説のような、上に立つべきものはそのような神の決めた運命が初めからあるという神秘的価値観も匂わせることから、旧ソ連の影響範囲を取り戻すことが自分の生れて来た意味だと考えている節があります。尚且つ個人的に思い入れのある東ドイツに関しては、西側に「奪われた」と考えるならば、プーチンの性格からして取り返さない限りは絶対に納得しないように思え、今回はウクライナが狙われましたが、最終的にはポーランドも丸ごと取り込んで衛星国化し、長期的には東ドイツまで切り取ることを狙っていたのではないかと自分は考えています。
そうした観点からすると、仮にウクライナの併合を認めたところでプーチンの野心が止まることはなく、むしろさらにエスカレートしていたと思います。恐らくこの次はグルジアやバルト三国で、その後でポーランドやルーマニア、ハンガリー、ポーランドときて東ドイツまで影響を及ぼす気満々だったと考えています。
そういう点も踏まえて言うと、仮に今起こっているウクライナ戦争が終了したとしても、プーチンが残っている限りは火種は残り、仮にその座に残ることを米欧が認めた場合、かつての中東戦争後のフセインのような存在になるのではないかという気がします。従ってもし停戦協議をするならば、最低でもプーチンのロシア追放まで仕向けないと将来の禍根を残すことになるようにも見えます。
とはいえ、戦果を止めることが何よりも優先されるため、実際にはこの条件を米欧やウクライナは出すことはできないでしょう。無論、出さずとも国内反発を受けてプーチン政権が崩壊する可能性も十分あり得ますが、何が起こるかわからないロシアのことだから、そういう楽観視はよした方がいいのではとも思う次第です。