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2023年8月30日水曜日

景気が良さそうに見える日本

 「魔が集う街、松戸」というキャッチコピーを考えたのですが、誰かこれ実際使ってくんないかな。

 そういう松戸ジョークは置いといて、率直に言って今の日本は自分の目から見てかなり景気がいいように見えます。外国からの観光客でホテルをはじめ観光業はどこも人手不足の大入りだと聞きます。地味にそうした状況なだけに処理水問題で中国がネガキャンやって日本に来る中国人客が減っているのは供給面を考えるとかなり都合がいいようにも見えます。

 その観光業以外でも、日々のニュースを見ているとなんとなく今日に関するニュースが少ないように見えます。職に就けないとか、大卒後の進路に関する話題をこの数か月の間はほぼ全く見ることがなく、むしろビッグモーターやジャニーズなどのお騒がせ系のニュースが多く、悲壮感を煽るような社会系ニュースが少ない気がします。まぁただ単に私が見えてないだけかもしれませんが。
 以上のような感想を友人に伝えたところ、実際はガソリンをはじめとする物価高騰で生活費方面で困っている人は多いと返事されました。ただこの価格上昇に関しても、長い目で見たら経済全体にプラスになり得ると思えるし、何より価格が下がっていったデフレ化と比べると「ったく、また値段上がりやがって┐(´∀`)┌ヤレヤレ」的な感じで、見た目の印象は悪くないように思えます。この辺、長い間物価が上昇し続けた中国にいる自分だからこそそう思うのかもしれませんが。

 逆に、何故報道がないのかという点で気になるのは年金生活者などの話です。本来、物価高騰が直撃するのはこの層のはずなのですがネットのニュースを見ている限りだとあまり話題に上がってこず、メディアの嗅覚に疑問を感じます。ついでに言うと物価は上がっていると聞きますが、住宅費はどうなんだろうか。ライフルホームズを見ている限りだとそんなに上昇していないように見えるのですが。

 その逆にというか、中国の方はマジでデフレに入ってきているんじゃないかと思うくらい物価が動かなくなってきました。今日会社でマジ暇だったのでその辺色々調べてみましたが、今年7月の中国の物価は前年比ほぼ横ばいで、品目別では食品が季節要素もあるかもしれませんが4%くらい下がっていました。なお原油高のせいか衣類は逆にプラスだったのが印象的です。
 一方、みんな気になる住宅については下の表が一番わかりやすいです。これは中国の国家統計局が毎月出している全国70都市の新築住宅価格の前月比変動状況をまとめたもので、項目は左から順番に「上昇」、「横ばい」、「下落」と書かれてあります。
(中国証券報が国家統計局データをもとに整理作成)

 先日、馬鹿なメディアが中国の住宅価格が49都市で下落していたなどと大袈裟に報じていましたが、去年11月とか12月をはじめ50都市以上が下落している月もよくあるので、たいして騒ぐ数字じゃありません。配信を止めなかった周りを含め、そのメディアには素人しかいないのでしょう。
 話を戻すと、住宅価格に関しては上の表の通りに今のところそこまで明確に下落してきていると感じるデータは出ていません。下げ幅自体は都市ごとに差はあるものの、前年同月比でも10%幅で下がるような都市はまだなく、ほかの物品と比べてもまだ中国の住宅は物価下落傾向は小さいと感じます。

 ただ今のところは明確な値下がりはないものの、やはり住宅に関してはつい不気味さを感じます。今のところ中国人にとって住宅は「価値の上がり続ける資産」ではなくなったかもしれませんが、「価値が下がることのない資産」という認識は圧倒的に強いです。これが「下がるかもしれない資産」になった場合、価格が一気に下落する可能性は否定できず、その場合にどこで下げ止められるのか、またその手段は何になるのか、真面目にこの辺の塩梅で今後の3~4年後の中国経済が決まるように見えます。

 以上の日中比較を終えて言うと、物価というのはやっぱ上がり続ける方が健全なんだなと思えてきます。もちろん通年で二桁上がるというのはやばいですが、5%以内の割合で毎年上がるってのは経済にも絶対的にプラスでしょう。そういう意味では日本人は物価高騰をもっと怖がるなと言いたいです。





2023年8月28日月曜日

恒大集団を巡る2年間の空白をどう読むか


 また週末にMig25のプラモ作っていましたが、写真だといまいちわかりづらいですが無茶苦茶でかいです。エアインテークなんか胴体部並みのでかさで、よくこんなもんソ連は作ったなと思います。
 ちなみにこの飛行機は日本にも縁が深い機体で、興味がある方は「ベレンコ中尉亡命事件」を参照ください。

 話は本題ですが、先々週辺りから「恒大集団の件はどうなってるの?」とやたら日本から問い合わせきます。恒大集団とは言うまでもなく現在すでに債務超過に陥っている中国不動産業大手企業ですが、先日業績を発表し、今年1~6月の上半期は前年同期から赤字幅は縮小したものの依然と債務超過の赤字であり、保有現金も減少していることを明らかにしました。もっとも利払いが遅れているとされた社債が現在はどの程度なのかがややはっきりしないのと、監査法人自体が監査意見を提出していない内容なのですが。

 この恒大集団に関してほかの人が指摘していない点を私から指摘すると、この2年間に債務超過に対して何をやっていたかです。恒大集団はコロナ流行初年度の2020年に経営危機が明らかになり、社債の利払いを延期したほか、当時においてすら債務超過状態にありました。本来ならば債務超過となった時点で企業は破綻して経営者は追い出され、買収なり再建プランを作るなどするのですが、そこらへんは親方五星紅旗で、債務超過が2年続きながらも破綻には至っていません。
 ただ逆を言えば、経営危機が明らかとなってからこの2年間において、経営再建に関する政策的アクションは目に見える形で一切行われなかったとも言えます。いわば債務ちょか状態の超大企業をそのまま放置していたとも言え、そうこうしているうちに別大手の碧桂園も大幅な赤字を計上するに至るなど、不動産業界のリスクを高めています。

 この空白の2年間、恒大集団は一体何故放置されたのか。そんな詳しく調べないで推測でのみ語ると、中国当局は2年間放置すれば市場は好転すると踏んでいたのではないかと思ってみています。

 詳しく説明すると、恒大集団の経営危機発覚時は言うまでもなくコロナ流行初年度でした。当時は政治や経済が大いに混乱し、住宅市場も先行きに対する懸念が増えていた矢先でしたが、実際にはそれほど市況は落ち込まず、むしろ当時の中国はコロナ下で生産が落ち込んだ他国の受注を引き受ける形で製造業は活況を呈していました。
 ただそれでも中国当局関係者は、コロナの影響で売却前の住宅といった資産額は本来の相場より低く、コロナが過ぎれば今以上の資産価値を持つと踏んだのではないかと思います。であれば今すぐ債務整理を行うのではなく、市場もコロナも落ち着き、資産価値が高まってからやった方が恒大集団にとっても、社会にとってもダメージが低くなると考えたのではないかというわけです。

 しかし、実際にはそうはなりませんでした。

 言うまでもなく、去年の2022年は中国の気違いじみたゼロコロナ政策によりち、他国がコロナ規制緩和によって日常を取り戻していったのと逆行する形で、中国国内はやばいほど大混乱に至りました。しかも年末には突然ゼロコロナをやめて、あらゆる都市機能をマヒさせるくらいのレベルでコロナが流行し、多くの中国居住者が感染する羽目となりました。
 なお自分は去年の12月に感染していますが、その2ヶ月前には3回目のコロナワクチンを打っています。少なくともいえることは、中国製ワクチンは2ヶ月間も効果を持たないっていうことです。

 話を戻すと、上記のようなゼロコロナ政策が引き起こした混乱により、皮肉なことに2020年の流行初年度以上に中国の不動産業界、並びに全体経済は落ち込むこととなりました。その結果、資産価値の上昇を見込んで塩漬けした恒大集団の資産はこの間にさらに目減りし、余計に再建が難しくなったのではないかと思っています。
 なおこの2年の間に、恒大集団の監査法人は外資から中国資本の監査法人に切り替わっています。

 以上の流れですが、知ってる人には早いですが日本のバブル後の不良債権とかなり似た経過を辿っています。当時の日本も時間が解決してくれるとばかりに時価が簿価を下回った資産に対して塩漬けし、余計に時価が下がってしまって早く売っとけばよかったというケースが多くありました。私自身は中国の住宅市場は世間で言われているほど悪化してはいないとは思っているものの、今後劇的に改善するかと言ったらそれはなく、資産価値上昇もあるとしても微々たる水準にとどまるとみています。
 その場合、時間をかければかけるほど再建コストは増大する、というか不良債権化がますます進むことになるのですが、今の中国当局の動きを見ていると、マジでこのまま待ちの一手を取って最悪の道を辿るような気がします。

 日本の例にとるなら不良債権に対しては初動が一番大事で、黒字を維持しているのならともかく、赤字を垂れ流している企業についてはスパっと債務整理し、経営者を追い出し、スポンサーを見つけてやるのがベストだと私は思います。もっとも政府関係者の利権や資産も絡んでるだろうから、野郎ったってできないのは分かってますが。
 その上で碧桂園などほかの不動産企業にも影響が波及してきていますが、なんとなく今の姿勢を見る限り同じように放置戦略を取ってくるのではないかと思います。果断な対応はあまり期待できず、不良債権化をどんどん広げるような感じがしており、ともなるとかなり中国の不動産業界はかなり暗澹とした未来が待っているような感じです。まぁ中国では現金しか持ってないから自分は気になんないけど。

2023年8月27日日曜日

中国の清朝が維新に失敗した背景

 例によって「蒼穹の昴」を世に続けていますが、この作品は戊戌の変法)(1898年)と言われる、中国清朝末期に行われた政治改革とその失敗を主なテーマとしています。

 簡単に戊戌の変法について説明すると、中国は1840年代のアヘン戦争などを経て西洋技術の導入が必要だと考え、李鴻章らが主導する形で西洋式軍隊をはじめとする改革を行いました(洋務運動)。しかし政治体制は古いまま、官僚も中国の古典の丸暗記で登用する科挙を使用し続けたことからこの改革は当初より限界がありました。
 その限界が露呈したのは何を隠そう日清戦争で、西洋列強ならまだしも同じ東アジアの日本に見るも無残な惨敗を喫し、日本が行った明治維新との差をまざまざと見せつけられることとなりました。

 この結果を経て、康有為をはじめとする急進的な改革派は時の皇帝であった光緒帝に対し、日本に範を取った改革の必要性を強く主張します。これに対し光緒帝も、かねてから叔母である西太后に実権を握られ続けていて自分でも親政を行いたいと考えたことから利害が一致し、西太后が紫禁城から頤和園に引っ越して影響力を弱めたその日からこの戊戌の変法は始められ、約100日後に失敗に終わります。

 失敗に至った原因は守旧派の反発でした。康有為らは科挙も一気に廃止するなど急激に改革を進め、これにより既得権益を失うと恐れた満州貴族、そして漢民族官僚らが大きく反発し、当初は改革に協力的だった人物も距離を置くようになり、西太后を頼るようになります。
 こうした動きを受け西太后も守旧派に祭り上げられるまま光緒帝の妨害を開始するようになる、具体的には日本で上皇が天皇の頭越しに院宣を出すように光緒帝の出した布令と真逆の指示を出し続け、二重権力状態を作りました。こうした状況に光緒帝側は西太后の捕縛も検討しますが、ここで頼ってしまったのが袁世凱で、彼は光緒帝より西太后の捕縛を命ぜられるやそれをそのまま西太后に報告し、逆に西太后の手先として光緒帝を捕縛するに至ります。

 こうして光緒帝の改革はとん挫し、そのまま幽閉され、最後には毒殺されるという末路になっています。

 この一連の改革の流れを見て少し感じたこととして、仮に当時の中国の王朝が清朝じゃなかったら、また違ったのかもなという印象を覚えました。言うまでもなく清朝は満州人による王朝で、数十万人の満州人が数億の漢民族を支配する征服王朝でした。
 それでも統治自体は安定していて漢民族の既得権益や文化も守ったことから、アヘン戦争までは平和にやってこれてましたが、帝国主義時代にあってはかえって古い体制を守り続けたことから国家としては弱くなっており、上記の様な顛末に至ることとなっています。

 日本も中国の西洋列強にどう対抗し、どう独立を守るかという立脚点から改革を進めようとした点は共通していたものの、日本の場合は天皇と徳川幕府のどちらをトップにして政治改革を行うかで対立が起こりました。結果的には幕府を取り潰し、既得権益層をほぼ可能な限りに叩き潰してから新体制の設立へと至り、廃藩置県を経て完全なる既得権益層打破に成功しています。
 これに対し中国では、既得権益層は科挙出身の士大夫層だけでなく、その上に満州人貴族も存在するという二重箱状態でした。またそうした体制もあって、康有為や梁啓超のように「清朝を主体に改革を進める」という勢力もいれば、「古くなり切った清朝を廃止して一から国会を作るべし」という孫文のような勢力もありました。日本の明治維新と比較するなら、やはり孫文の方針が近いでしょう。

 このように、確かに日本でも尊王派と佐幕派が存在しましたが、中国の場合はトップ争いにおいて満州族と漢民族の民族対立もやや絡んでおり、いまいち人材が一つの改革勢力に結集しきれなかったのではないかと思う節があります。それだけにもし当時の王朝が征服王朝ではなく漢民族王朝だったら、もう少し既存政体を中心に改革を進めようとする勢力がまとまりを見せ、改革ももっと円滑に進んだのではないかという気がします。もとより、満州貴族という既得権益層もこの場合はいないんだし。

 そう考えると、当時の中国が征服王朝であった清朝であったというのはかなり大きな不幸であったように見えます。清朝の統治は末期を除けば非常に安定していて悪くはない王朝と言えるのですが、如何せんあの時代にあっては征服王朝であったのはあらゆる方面でマイナスに働いており、実際に戊戌の変法を見ていても漢民族に対する革命への懸念もいくらか見て取れます。
 ただ仮に漢民族の王朝であっても、果たして日本の明治維新のようにうまくいったかと言えば話は別です。日本と比べると中国は広くてでかいし、それだけに西洋列強の干渉も強かっただけに、そっちはそっちでうまくいかない要素がたくさんあります。

 何気にこの手の革命で思うことは、革命に成功するか否かより、革命の過程でどれだけいい人材を輩出するか、生き残らせられるかの方が大きい気がします。日本の場合は坂本龍馬と高杉晋作、久坂玄瑞が途中脱落となっていますがそれ以外はうまく生き残ったのに対し、中国の場合はそれ以降の辛亥革命までの過程でかなり多くの人材が死んでいて、それらもまた後の混乱に拍車をかけたような気がします。

2023年8月25日金曜日

中国の日本料理店への風評被害について思うこと

 ようやく仕事がひと段落したというか、比較的正気を保った状態で家にいられます。なんかこう書くと昨日の記事は正気じゃない状態で書いたように聞こえますが、昨日も正気で書いてます、マジで。

 で、昨日から始まった福島原発処理水の放出、特に中国の反応が今日ずっと日本で報じられていますが、日本の報道に関しては若干大袈裟が過ぎるような気がします。確かにこのニュース亜h中国でも報じられているし前にも書いた通り官製ネガティブキャンペーンも行われていますが、実際には多少不安がる中国人もいますが、それほど気にしていない中国人も少なくありません。
 少なくとも、今日自分が同僚といった日本料理のチェーン店は昼時にすぐ満席となるほど繁盛しており、天津にいる同僚も「なんだ普通に日本料理店でも客来てるじゃん(´・ω・)」と連絡してきました。もちろん風評被害を受けている店も少なくないでしょうが、いわゆる打ちこわしにあったりとか客が全く来なくなるというような状況にはまずなっていません。

 そういう意味では、かつての尖閣諸島問題で揺れた2012年の方が日本料理店へのボイコット、影響はデカかった気がします。いやそれ以前に上海限定ではあるものの、去年4月から2ヶ月間行われたロックダウンの方が、飲食店にとっての負担は確実にでかかったと断言できます。マジであれ、飲食店などに対する補償は完全ゼロでしたし。
 また前回にも書いた通り、この騒ぎはそんなに長くは続かないと思います。中国人にも聡い人間はいるのか、この問題に対する反応をグラフ化して「今がピーク!」と書いている人もいましたが、まさにその通りでしょう。

 以上を踏まえると、この程度の反応くらいで日本のメディアはちょっと大騒ぎし過ぎです。騒ぐならもっとあの非人道的なロックダウンの時にもっと騒げよと言いたいです。実際体験した身からすると、本当にあれはきつかった。
 なお小話として話すと、中国のほかの地域で働いている自分の同僚はたまたまビザ更新のためにロックダウン直前に上海を訪れて、そのまま2ヶ月間の隔離に巻き込まれてました。しかもその間、別の同僚の部屋に滞在していたので、2ヶ月間も男同士の同棲生活を繰り広げることとなり、職場でアンラッキー賞を与えるとしたら去年は彼しかいませんでした。

2023年8月24日木曜日

プリプリプリコジン

 自分でもくだらないってことは十分わかってるけど、今日を逃したらもう一生この言葉は使えないと思ったのでこの見出しにしました。後悔はありません。

 さてそんなロシアのPMOのワグネル創設者でありリーダーであったプリコジンが今日、プリ故人になったというニュースが入ってきました。
 結論から言うとあのプーチンに対する反乱からよく2ヶ月も無事でいたなと思うと同時に、この2ヶ月の猶予期間中に何故身の安全を図らなかったのが逆に不思議です。プーチンがあのまま許すはずなど考えられず、まだ手出ししてこない間位にイスラエルやサウジなどロシアが手を出しづらい中東諸国にでも亡命しておけばよかったというのに、呑気にロシアとベラルーシの間をいつまでもうろうろしていた辺り、この暗殺は当然の帰結でしょう。あまりの迂闊さから、同情心は全く覚えません。

 それよりもウクライナ戦争に関しては、ちょっと気になるニュースが入っています。それは何かというとF-16の供与ではなく、あのグリペンの供与です。
 グリペンとはスウェーデンのサーブが作っている小型戦闘機で、現代の偵察、空戦、地上空爆のあらゆる作戦をこなすマルチロール機の走りともいうべき戦闘機で、米露以外の戦闘機としてはフランスのラファール(この前日本に来た)と並び世界各国で比較的セールスに成功した傑作機です。

 このグリペンについてスウェーデンがウクライナに供与する、とはっきり言わないものの、ウクライナ人パイロットの訓練を進めていることを明かしました。実質的に供与することはもはや決定的なのですが、一部の専門家も言っていましたがF-16以上にこのグリペンの方が今のウクライナにとっては有用な戦闘機となり得るのではないかと密かに思っています。
 その理由というのも、グリペンはF-16と比べると操作系がウクライナがこれまで使ってきたミグ29などに近いほか、メンテナンスが圧倒的に簡潔で、1回出撃してから再び出撃するまでほかの戦闘機だと数時間は必要だというのに、グリペンだと数十分ですぐ再出撃できます。また一般高速道路からも離発着できるほど利便性が高く、ロシアから度々飛来するドローンやミサイルにいちいち迎撃せざるを得ない状況を見ると、こちらのグリペンの方が今役に立つように思えます。

 そのグリペンは確か数年前に大幅改修が行われ、電子システムなどが一気に更新されたと言われています。スウェーデンとしてもこのウクライナ戦争でグリペンが活躍すれば更なるセールスにつながる可能性があるだけに、多少の費用が嵩むとしてもウクライナに供与する価値はあるでしょう。

 その上で、このウクライナ戦争は恐らく誰もが今年秋までにウクライナ軍がクリミアまで進出してロシアを追い出して終戦することを願っているでしょうが、現実にはその公算は難しくなってきています。恐らく来年も戦争は続き、ロシアも持久戦によって兵数や物資で劣るウクライナが音を上げるのを待っているようにも見えます。
 しかしこの戦争でウクライナが中途半端な妥協に至ったり敗戦することは、日本のみならず世界にとっても悪影響を及ぼします。そうならないためにも、これまで通り、否これまで以上に世界はウクライナを支援する必要があると感じます。

2023年8月23日水曜日

原発処理水反応に見る中国外交の拙さ

 恐らく今は甲子園に次いで原発処理水の海洋放出が騒がれているトピックでしょうが、中国では先週あたりはいったんトーンダウンしたのに、今週に入ってからまた激しく報じられるようになりました。ただ中国における国際報道は基本的にお上が決めるので、中国人の関心が高いというよりかは中国政府が「騒げ、宴だ!」的に指図しているので、民意かというとそうでもありません。
 もっとも中国人がこのニュースに全く関心がないというわけでもないでしょう。このところまた忙しくて周りの中国人に話を聞いていませんが、やはりできることなら海に流してもらいたくないでしょうし、日本産の魚介類を食べることに抵抗を感じる人は少なくないと思います。そこへきて官製報道で大きく取り上げられれば、嫌が応にも不安は高まるでしょう。

 ただあくまで私個人の感想で述べると、恐らく2ヶ月も立たずにこのニュースに対し中国人は関心をなくすと思います。

 こう考える理由はいくつかあり、まず既に中国は日本産魚介類に対して検査を強化して事実上通関を止めており、市場で日本産魚介類を食べる機会がかなり減ってきてるからです。直接目の前で並べられるならともかく、そうでもなければそこまで気にし続けられるとは思えません。
 むしろ、今思いついたけど中国近海にも放射能が流れてくると盛んに煽っているから、中国近海で獲れる魚介類の方に風評被害きて、中国の漁師が困る事態になるような気がします。っていうか多分そうなるだろうし、不安払拭するためにモニタリングしたら日本以上にトリチウム含有量多いのがばれたりして延焼させるかもなぁ。

 関心が長く続かないもう一つの理由として、今中国の経済がマジでやばい状態でリストラも普通にありふれていることから、経済懸念が強すぎて国際問題に気が回らないという予想です。そして最後に、今回中国が大きく煽り過ぎているからこそ、かえって長く続かないという見方です。

 人間というのは感情を出すのにもエネルギーを使うもんで、激しく激怒し続けるというのは案外難しかったりします。国際問題とかでもそうで、短期間にワーッと騒ぎ立てられるものほど翌年にはきれいさっぱり忘れられるのに対し、ちょっとした事の積み重ねによる不信感の増大なんかは逆にその後も長く覚えられる傾向があるように思えます。
 今回の原発処理水に関しては、放出後に健康被害が目に見える形ではっきり出る人が続出すれば話は別ですが、報告されているデータが真実だとしたら逆に体調悪くする方が難しい水準です。放出後も日本人が国産の魚介類をおいしそうに食べていて健康でい続ければ、「なんでこんなことにいつまでも騒いでいるんだろう?」と逆に自問するようになるでしょうし、何か月、何年にもわたって「日本の魚介類はやばい」と騒ぎ続けようにも、多分そこまで気力も持たなくなってくるでしょう。そこらへん含めて、騒げるのはもって2ヶ月じゃないかと考えています。

 以上が中国世論に対する私の個人的見解ですが、今回の中国の反応としてはむしろ、中国外交の拙さというか手数のなさの方が気になります。今回何故中国がこれほど大きく騒いでいるのかというと、一にも二にも日本が米国などと組んで行う中国に対する半導体規制に腹立ってて、その意趣返しとして嫌がらせをしたいということに尽きます。口では中国人の健康のため放出に反対だと言っていますが、この国の政府が国民の健康を考慮するなぞアヘン戦争以前からしてまずありえません

 中国としては日本の半導体規制参加はマジで頭の痛い問題らしく、だからこそやたらと「米国の手先め、恥ずかしくないのか!」などと盛んに非難してきて、今回の原発処理水問題で騒ぐのも、あわよくば半導体規制からの離脱を日本に促したいという狙いもあるように見えます。
 ただ仮にそうだとすると少し奇妙な点として、半導体の問題で何故水産物に話を広げるのかということになります。敢えて邪推すると、半導体規制に対抗する材料が中国にはほかにないという外交における手数のなさが今回の問題で透け出ているのではないかと思います。

 一応、今月から半導体材料のガリウムとゲルマニウムの輸出規制を中国は開始していますが、それ以外には半導体問題で目立つアクションはありません。まだ隠し持っているのかもしれませんが、かつてのレアアース規制と比べるとずいぶんと大人しいなという印象を覚えます。
 むしろ過去のレアアース規制で、日本を含む世界各国でレアアース代替が一気に進み、中国はそれ以前に持っていたレアアース市場を一気に失って未だ挽回できていないという痛い経験もあるだけに、あの時と比べると今の中国の貿易紛争における態度は大人しいもいいところです。今回の日本の魚介類を狙った世論誘導を見ていると、マジでほかに手がないのではないかと思うくらいで、仮にこれから日本や米国が半導体規制をどんどん強化していっても、何ら対抗策が打てないかもしれません。

 それにしてもこの原発処理水問題、時間をかければかけるほど中国にとっては不利になる外交問題だと私は思うし、反対するならデータをきちんと示して代案出せばいいのですが、それすらできないあたり中国外交は合理性と自己利益の追求を失ってきているようにも見えます。以前と比べていてもこのところの外交の拙さは目に余るほどであり、また経済絶好調時代も東南アジアを筆頭に上から目線の外交を繰り返して恨み買ってるから、これから景気が下振れしていってもマジで誰も助けてくれない気がします。

2023年8月20日日曜日

ビッグモーター元社員は雇う価値があるか?

 「もしかしたらあるのかな?」と思ってネットで検索したら宦官のBL漫画が存在することがわかりました。このことを知り合いの中国人OLに話したら「中国なら小説だってあるよ(*^▽^*)」と返事され、さすが本場だと思いました。
 っていうか確認するつもりはないけど、宦官なのにどうやってするんだろう?

 話は本題ですが今も新たな情報が出続けているビッグモーターですが、正直ヤクザでもここまで阿漕な商売やるのかって疑問です。ネットで誰か言ってたけど、街路樹切断を鬼滅の刃にかけて「木殺隊」などと呼んでましたが、ほぼ全店舗でやってれば仮に本社指示がなかったとしても経営陣は監督責任を十分問えるでしょう。
 っていうか、この事件で未だ逮捕者が一人も出ていないという点がそもそもおかしいです。仮にヤクザがこういう行為を行っていたら問答無用で逮捕されるだろうことを考えると、ヤクザ差別もいいところでしょう。でもってこの逮捕者に関しては、冷たい言い方かもしれませんが本社指示に従って保険金不正を直接行った従業員も対象とすべきだと私は考えます。

 前述の通り、故意に顧客の商品を壊したり、保険金を不正に搾取するなどといった行為は明確な犯罪です。近畿日本ツーリストの社員が国庫補助金を搾取してこの前捕まりましたが、規模、搾取元の違いこそあれやってることはそんなに変りないと思えるのに、何故かいまだに逮捕者が出ていません。検察が証拠集めを準備しているならまだ理解できますが、100人くらい一斉に逮捕したってもこの事件に関しては全く問題ないでしょう。
 そうはいっても本社のノルマ矯正などでやむなく犯罪に手を染めた現場従業員は可哀そうだという意見もあるかもしれませんが、極端な比喩を用いれば、「命令されたら不要な殺人にも手を染めるのか?」といったところです。ビッグモーターで行われた行為は小学生ですら明らかに犯罪だとわかる行為で、指示命令されたからと言ってそうした行為に手を染めておいて「自分は無罪だ」とほざく人間がまともだとは私は思いません。悪いことだと思わなかったとも言い訳するかもしれませんが、悪いことかどうかすらわからない人間(小学生レベル)だと自分で言っているようなもので、そんな人間を社会に野放しにしていいかと言ったらそうではないと私は思います。

 その上で、買収による救済などはあり得るものの、今後ビッグモーターは破綻することは間違いありません。その破綻時、または現在進行形で離職している従業員をほかの企業が野党価値はあるのかと言ったら、上記理由から私は全くその価値はないと思います。少なくとも騒動が表面化してから離職した人間に関しては全く救う価値がない、はっきり言えば人間だとすら思えません。

 前述の通り、ビッグモーターで行われた行為は小学生でもわかるレベルの犯罪行為です。そうした行為を上が命令した、周りがやっているからという判断理由で実行数らたり、まともな思考判断能力を持っている人間ではないと断言できます。未成年ならまだしも、そのような言われたとおりに犯罪行為すら行うロボットっぽい人間が業務で役に立つかと言ったら、多分物の役に立たないでしょう。まぁ鉄砲玉みたく犯罪のお先棒を担がせる程度ならいけるかもしれませんが。
 その上で実際どうなるかは今後の捜査にも寄りますが、ぶっちゃけビッグモーター従業員はこれまた前述の通り逮捕処分される可能性が全くないとは言い切れません。退職後とはいえ勤務中に行った行為で今後訴追されるリスクがあるように見えるだけに、雇用主の立場で見ればリスクの高い求職者にしか見せません。

 もっとも違法行為を強制指示された際に将来を見越して、強制の証拠を何らかの形で残していた人間であれば話は別かなという気がします。逮捕リスクが劇的に低くなるのに加え、その抜け目なさは業務で役に立つ素養を示しているように思えます。

 何もビッグモーターの社員に限るわけじゃないですが、日本人は自律性、自我があまりにも低すぎることから、本人の素養以上に所属した組織によって犯罪に手を染めるかどうかが左右されすぎる気がします。こういった周りに流されてはならないと戦後に口を酸っぱく散々反省すべきと言われたのに、未だ日本人は自らを律することのできない人間が多すぎると言わざるを得ません。
 どことなく、「上が命令してきただけだから自分は悪くない」という考えを免罪符にしているようにも見えるだけに、将来の禍根を絶つためにも、ビッグモーター従業員に関しては退職済みの人も含めその行為に対ししっかり罪を問うべきだと考えます。

 今日家から一歩も出ずにゲームして、昼寝したからなんか文章のノリがいい。やっぱ普段働き過ぎてるんだろうな(ヽ''ω`)