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2024年7月14日日曜日

トランプ前大統領の暗殺未遂

 記事リンクを貼るまでもないでしょうが、仕事のし過ぎなのか(今日も家で作業してた)頭痛に悩まされながら起きてニュースを開くや、いきなりトランプ前大統領の暗殺未遂事件が報じられてて「映画のようやな」と一人ゴチてました。友人は正午ごろにチャットでこのニュースについて、触れてきたので、恐らく正午ごろまでずっと寝てたのでしょう。
 まぁ自分も9時に1回起きた後、すぐまた寝入って、正午に起きて昼食取ってからずっと仕事してたけど。ってか頭痛と鼻水がすごいから上海でも流行っているコロナにまたかかったのかと思って検査キット使ってみたら陰性だったし。だったら何なんだ犯人は(;´・ω・)

 要人警護に定評のある奈良県警とは違って、米国の警察は見事にトランプ氏を守っただけでなく犯人も射殺したとのことです。動機解明についてはこれからでしょうが、まぁトランプ氏を狙う人はそこそこいるだけに解明したところで大作なんかできるわけないのでだから何だってとこでしょうし、自分としてはあまり興味ありません。それよりも今後の政局が気になるというか、これでも次の大統領はトランプ氏で決まりでしょう。

 ただでさえ現職のバイデン大統領は健康不安説が高まっており、仮にその通りであれば彼の取り巻きによって傀儡化する、もしくはしている懸念もあるだけに、よその国とは言え私自身もそれでいいのかと不安に感じていました。米国民も同様で民主党内でも日本の岸田総理同様にバイデン下ろしの動きがみられ、大統領選への不安が高まっていました。
 そこへきて今回の暗殺未遂事件、またその直後にこれ以上ないくらい不屈の姿勢を見せたことから、トランプ氏への支持の動きは今後一層高まってくるでしょう。数々のスキャンダルがあるとはいえ、この事件を見て彼を応援しない人はほとんどいないと断言でき、次の大統領はもう今日この日によってトランプ氏に決まったも同然です。

 となると次に考えるのはトランプ氏が大統領になった後、どう動くかです。まず一番影響を受けるのはやはりウクライナと思え、ウクライナに対する米国支援が縮小、下手すりゃ打ち切られる可能性があります。これは日本としてはあまりいい状況ではなく、幸いというかNATOがウクライナの加盟に乗り出していることから、実現した場合はウクライナを西側の核の傘に入れることができ、これ以上のロシアの侵攻は防がれるという期待があります。
 もっともロシアもかなり苦しい状況に見え、本音では早く停戦したがっているように見えます。もっともロシアの場合、停戦した後が本当の地獄で、大量に失った労働力に加え西側からの経済性を受け、下手すりゃ「大きな北朝鮮」か「中国の経済植民地」ができるかもしれません。

 次に日本への影響ですが、ぶっちゃけそこまで大きな影響はないような気がします。強いて言えばこのところ続く円安を受け、日本に為替是正として中国に替わって大量の米国債を引き受けさせてくる可能性がある気がします。
 ここで出てきた中国ですが、一番の本丸はやはりここでしょう。中国に対する風当たりはトランプ以後は確実に強くなると断言でき、ただでさえ経済で弱っている状況なだけに、中国の経済的混乱はトランプ大統領の再任以降、さらに拍車がかかるかもしれません。速攻で行われるのは中国製EVへの関税引き上げ、下手すりゃ輸入停止、次に人民元への八つ当たり的攻撃、最後に中国籍者の米港不動産購入の制限または没収とかもあるかもしれません。

 よく日本国内の話ばかりされますが、本当の中国の金持ちや権力者が購入するのは米国の不動産です。日本の不動産を購入するのは日本に生活経験やビジネスでつながりのあるミドルアッパーでクラスで、割と平和的な人たちばかりです。
 本当のガチなアッパー、特に中国共産党幹部こそ米国の不動産を買いあさっており、だから反米を口にはするものの実際には米国との関係を何よりも重視するのが中国の当局関係者だったりします。

2024年7月13日土曜日

お札に相応しい人物とは?(漫画家編)

 先日の記事について友人に他に候補はいないかと尋ねたところ、「っぱ水木しげるっしょ」と、よくわかった回答してくれました。

 実は真面目な話、お札の顔に漫画家を選ぶのは以前からいい選択肢ではないかと考えていました。日本の文化輸出において忍者と並ぶ最強コンテンツの一つで、名実ともに日本の顔となる産業であるとともに、歴史や文化的な摩擦も少なく差し障りのなさでは非常にいい分類じゃないかと考えていました。
 また、近年の日本のお札は政治家よりも文化人を選ぶ傾向があり、そういう意味でも漫画家はうってつけであるような気がします。


 では漫画家の中から誰を選ぶかと言ったら、やはり筆頭候補は言うまでもなく漫画の神様こと手塚治虫でしょう。日本の漫画産業、ひいてはアニメ産業は彼なしでは切り開かれることはなかったと言われ、恐らく今後数百年にもわたり語り継がれるであろうことを考えると、お札の顔にするのに彼を抜くことはまずありえません。




 そんな手塚に続くと言ったらやはりこの人こと水木しげるでしょう。手塚ほどの影響力はないものの、京極夏彦氏や荒俣宏氏などその方面の著名人から熱烈な信仰を受けたり、また妖怪という概念を普及させて日本の民俗学、ひいては精神文化方面への功績は計り知れません。
 個人的な贔屓もありますが、やはり水木作品は心に残るというか読み終わった後も場面場面がはっきり記憶され、目に浮かぶのが大きな特徴である気がします。また過酷な戦争体験を経ながらも、下手すりゃ作品よりも本人が面白いという特段のユーモア性は群を抜いており、日本漫画史においてナンバー2となれば私の中では水木しげる以外ありえません。

 で、困るのはこの次のナンバー3です。順当に行くならギャグマンガの王こと赤塚不二夫なのですが、以前の記事にも書いたようにギャグマンガは流行の影響を受けやすく、赤塚も例外でなく近年はその名がかたられることもほとんどなくなってきていることを考えると、ちょっと厳しかなという気がします。
 そのほかの候補としては藤子不二雄やさいとうたかを、横山光輝、石ノ森章太郎、また存命の人物であれば永井豪氏や大友克洋氏がいますが、敢えて選ぶとしたら先日亡くなった鳥山明が最も相応しい気がします。日本漫画の世界的普及においては彼が歴代ナンバーワンといってよく、見方によっては先の2名よりも海外発信の面では上だとも言えます。

 なお同じ海外発信という点では、「キャプテン翼」の高橋陽一氏も十分候補になるでしょう。特に中東や欧州方面での人気はすさまじいと聞くだけに、存命中であっても彼であればお札になってもらってもいいように思います。

  おまけ




 闘魂三銃士で武藤札作ったし、蝶野札も作ってみました。やっぱプロレスラーは顔に力があるからお札が強く見える。


 何故か知らないけど突然浮かんだ山本昌の顔をやっつけで当て込みました。この人も独特の風味のある風貌しているだけに、お札に合う気がするんだけどなぁ。

2024年7月10日水曜日

お札に相応しい人物とは?

 自分は手に取ってないですが日本では新札に切り替えられ、福沢諭吉が淘汰されつつあるようです。そして新たにお金の顔となるのは渋沢栄一とのことですが、恐らく今までの慣れもあるせいか何となくしっくりこないという意見ばかり目にします。

 では誰だったらいいのか。この辺地味に面倒くさいのは戦前の人物だと韓国とか中国がいちいち文句言ってきて、実際渋沢栄一も日系企業の役員ばっか務めてたからさっそく韓国で文句言う人もいるそうです。どうせ誰にしたって文句言ってくるんだろうから、もうこの際三浦梧楼とかにしてもいいような気がします。
 まぁ冗談は置いといて、個人的に思う点としては「過去に功績のあった人物」にこだわらなくてもいいんじゃないかという点です。別にお札に使われるから日本の顔ってわけでもないんだし、単純に絵面で判断して、視認しやすく偽造されづらい人物だったら現代人でもいいんじゃないかと思います。むしろ芸能人とかの方が、後でスキャンダル起こされたらきついけど、とおりもよくていいようにすら思います。

 では具体的に誰が適任か。よくお札は髭のある人物の方が偽造されにくいと言われ、また濃い顔の人の方が映りもいいというのを前に聞いたことがありました。この条件に合致するとなると……

























阿部寛しかいないじゃんか

 上の画像はなんかお札に好きな顔写真を当てこめるサイトで作ったものですが、めっちゃいい自然にお札の顔となっています。ほかのお札でも作れはしますが、変に髪型とかが元のお札のが残されているため、いまいちいい感じには作れません。一応、作ったのを上げていくと。





 日本は樋口一葉verの五千円札しかテンプレがなく、なんでよりによってこれにしたんだよっていう気がしますが、元が元だけに女性の髪形にもかかわらず一目で阿部寛とわかるあたりさすがです。

 なお阿部寛のほかに顔が濃くてお札向きな人物として自分の中で浮かんできたのは、プロレスラーなんかが割合いいように思え、とりわけ武藤敬司氏あたりはいいのではないかと思います。っていうか武藤氏をお札にするなら、蝶野正洋氏、故橋本真也と合わせて闘魂三銃士で三枚のお札に対応させたらもっといい気がします。多分手に取る外国人も本国に持ち帰りたくなるでしょう。
 
 最後に今回の新札切り替えを受け私の周りでは、「日本人はまだ現金使ってるんだ(´・ω・)」と言う中国人が多いです。っていうか最近の中国人の子供に至っては、そもそも現金自体ほぼ見ないで育っているので、「現金って何?(´・ω・)」とか言いそうです。


  追記
 結局作っちまったよ……。




2024年7月8日月曜日

都知事選の結果を見て

 昨夜窓際の床に裸足で立ったらめちゃ熱を感じました。これが本当の床暖房ってやつかと割りながら、冷房かけても涼しくならない部屋で暑さに耐えてました。

 話は本題ですが昨日開票された都知事選ですがやはりというか現職の小池氏が当選しました。っていうかこの選挙で小池氏の当選を予想できなかった人は政治で語るべきじゃないというくらいはっきり結果が見えたもので、何の驚きもないしイベント的にも面白みありませんでした。
 その小池氏に真っ向から立ち向かったのは蓮舫氏ですが、代名詞である二位どころか石丸氏にも負けて三位という惨憺たる結果でした。恐らく立件民主党としては、小池氏に負けるにしても二位となってその存在感をアピール出来たら御の字と考えてたのでしょうが、まさかまさかで三位という結果になり、巨額の選挙資金をかけて自らの地位を下げるだけの結果になったという感があります。

 もっとも私はやや違う見方をしていて、蓮舫氏は頑張った方じゃないかと評価しています。何故かというと蓮舫氏は都知事選なのに全く無関係な国政の話をしては小池氏を通して自民党の批判を繰り返し、あまつさえ現行制度の内容すら勘違いした発言を繰り返すなどしており、普通こんな人には票なんて集まりません。ぶっちゃけ、1万票来るのも怪しいと言っていいほどの人材であり、それでありながら三位にまでこぎつけられたのは逆の意味ですごいんじゃないかと私は思います。言い方変えると、有権者は蓮舫氏に対して政治家としての質を全く期待せずにいたのじゃないかとも思います。

 そんな今回の都知事選でしたが、全く無関係なポスターを貼ったり、公開演説番組でパフォーマンスを行うなど、初めから真面目に選挙活動をする気のない不道徳な候補者が今回目立ちました。別に日本の道徳心が落ちたとかそういう風には思ってないのですが、単純に選挙供託金が300万円だとすると、テレビやラジオに広告出すよりもずっと安価で露出を増やせてしまうということから、今後もこの手の人間が出てくるのではないかと思います。

 そういう意味では今後の対策として、都知事選など投票規模の大きな選挙に関しては思い切って供託金の金額を引き上げる、具体的には1000万円くらいにしてもいいのではないかと思います。反対に地方議員選挙など立候補者数が定員ギリギリ、もしくは無投票当選が決まったりする選挙に関してはこちらも思い切って供託金額を無料にする、もしくは立候補しただけで準備金10万円くらい包むのもありじゃないかという気がします。っていうか変に一律にせずこういう風にしないと今後制度として持たなくなるでしょう。

2024年7月7日日曜日

今中国で一番勢いのある日系企業は?

 日本も猛暑と聞きますが上海もやばいくらい暑くて、ガチで蚊やコバエがいなくなりました。今年は意識して暑さに耐えるよう6月中は薄着を控えていたこともあり、冷房なしでも比較的暑さにも耐えれていますが、外出て自転車を押しながら陸橋渡ってまた乗り出したら、ほんの少しの時間でシートがめちゃ熱くなっててビビりました。

 それで話は本題ですが、かつて自分が今中国で一番勢いのある企業、または製品やサービスは何かと聞かれたら、迷わずヤクルトと答えていました。この10年くらいヤクルトは中国で異常に売り上げを伸ばし、工場も作るそばからフル稼働で増産に次ぐ増産が続いていたのですが……


 上の記事は今年2月のものですが、去年あたりから販売が不振となって事業規模を縮小し始めたそうです。スーパーとかに行くといまだにヤクルトはどこでも見かけられるので致命的って程ではないとないと思いますが、それでも以前と比べると伸び悩んでいるようです。

 ではそんな曲がり角を迎えたヤクルトに代わって今一番勢いのある日系企業はどこか。結論から言うと、自分はファミレスのサイゼリヤではないかと思っています。

 サイゼリヤも以前からずっと中国で好調を続けていますが、近年はそれに拍車がかかっているとでもいうべきか、前以上の勢いと強さを感じます。中国人の同僚もよく「またサイゼ行ってきた(´・ω・)」と話し、中国人の友人にサイゼに行くことあるかと聞いたら「ちょうど今日行ってきた(´・ω・)」と返事されたりするなど、マジで中国人はサイゼに通い詰めています。

 一体何故サイゼがこれほど中国で今勢いがあるのかというと、日本でもファミレス業界で好調をキープしている理由と共通しますが、敢えて言えばやはりその圧倒的な低価格路線にあるでしょう。安けりゃ客が来るのは当然ですが、中国に関してはこのところの不景気でみんな財布のひもが固くなっており、安い商品やサービスに前以上に引き寄せられるようになってきた感じがします。
 この辺、2000年代初頭の牛丼屋が繁盛していた日本と同じような光景に見え、端的に言えばデフレ下らしい傾向がはっきり見て取れます。

 もう一点サイゼの強みを挙げると、サイゼのメニューは子供でも食べやすいものが多く、親子連れが訪れやすいのが大きな強みです。中国のレストラン、特に中華系は四川料理をはじめ子供だと食べれるメニューが少ない店が多く、家族連れで外食しやすい店が意外に少なかったりします。その点でサイゼはメニュー面で強く、また格安ワインをはじめおっさんたちも通いつめやすいメニューがあり、間口が圧倒的に広く感じます。

 話を戻すと、サイゼのこのところの中国における繁盛ぶりは間違いなくデフレの影響が少なからずあるでしょう。反対に高級品はこのところどこも苦戦しており、化粧品も安い低ブランドが勢いを増してきています。
 この辺を掘り下げると、今後中国ではこの手の低品質、低価格な商品やサービスが延びる可能性が高いと予想しています。日系で言えばダイソーや山善などで、逆に弱まりそうなのは無印や資生堂といったところです。そういう意味で今後の中国ビジネスは、デフレの影響をどれだけ意識するかがカギになってくる気がします。

2024年7月4日木曜日

武田信玄はクズ

 しかのこのこのここしたんたんが耳から離れない……。

 話は本題ですが以前にJBpressで「評価が逆転した歴史人物」として、石田三成や田沼意次を取り上げたことがありました。この記事では評価がいい方向に逆転した人物を挙げているのですが、好評だったら続きとして逆方向の評価が下がっている人物を取り上げようかと思っていました。ただあんま好評でなかったのと、書き方によっては反発される可能性が大きいと思って結局執筆を見送りましたが、もし敢えて今書くとしたら、武田信玄について書いていたでしょう。

 武田信玄とは言うまでもなく甲斐こと現在の山梨県を根城にした戦国大名で、織田信長が最も恐れ、また三方ヶ原で家康にうんこ漏らさせたことからも、人によっては戦国最強武将(上杉謙信を除く)とも呼ばれる超有名戦国武将です。実際に彼の存命中に武田家は最盛期を迎え、甲斐一国から現在の長野県こと信濃も併呑するなど周囲に押しも押されぬ勢力を築いてはいるのですが、近年見ている限りだと彼の評価は年々下がっているように思えます。
 一体何故下がっているのかというと、外交にあまりにも一貫性がなく、その結果として大きな負債を後代の武田勝頼に残し、結果的に武田家を滅亡に追いやったとみられるようになったからです。

 前述の通り、信玄は甲斐一国から信濃、あと静岡県東側ことの現在の静岡市(当時は駿河)に至るまでの勢力範囲を築きました。これだけ見れば戦国大名としては十分評価に値するのですが、ここに至るまでの過程で、外交で反復常ならぬ態度を繰り返した結果、周辺大名からは総スカンを食らってたりします。

 元々、武田家は今川家と家族ぐるみで仲が良く、今川家に嫁いだ姉妹を見に父親が駿河を訪れたところで信玄は親父を追放し、家督を乗っ取るくらい今川家とは仲が良かったです。自分で書いててアレな気がしますが。
 その今川家は国境を接する北条家とは、その始祖の北条早雲の代から親戚ぐるみで付き合っており、武田家以上に深い関係を保っていました。そうした関係で、なおかつお互いに国境を接していたことから、武田家、今川家、北条家の三家は文字通りの三国同盟、いわゆる甲相駿三国同盟を結び、今川義元が桶狭間で亡くなるまではの同盟は非常に機能しました。

 特に、武田家と北条家の共通の敵である上杉謙信に対し、謙信が関東に来るや武田家は信濃北部に攻め入り、また謙信が越後に戻るや北条家は関東北部に攻め入るという、交互に殴りかかる戦略で謙信を大いに苦しめました。多分これがなければ、謙信は関東全域を支配した可能性もあったでしょう。

 しかし1560年の桶狭間の戦いで今川義元が亡くなるや、武田家は今川家に対しそっけなくなります。跡を継いだ今川氏真を頼りなく思ったのか、最終的には徳川家康と組んで一緒に今川家に攻撃して滅亡させ、徳川家は浜松を、武田家は駿河を支配するに至ります。
 これに怒ったのが北条家で、たくさん親戚もいることから武田に対抗して今川家に援軍を送るほどでした。これにより、武田家と北条家の同盟も解消となり、昨日の友は今日の敵と相成ります。

 ただこうした今川、北条との同盟関係の破綻以上に武田家にとって大きかったのは、今川家から嫁を貰っていた嫡男の武田義信が抗議の自殺を遂げたことでしょう。これにより信玄は跡継ぎを失い、後継として自分が滅ぼした諏訪家の姫から生まれた武田勝頼を指名することとなります。
 しかしこの継承は非常にややこしいものがあります。勝頼はすでに諏訪家を継承することとなっていたため、武田家を率いる立場にはなるものの、武田家の正当な継承者としては指名されませんでした。武田家を継承することとなるのはあくまで勝頼の息子であり、勝頼はその後見人としての立場しか認められないという不安定な立場にされたため、後の武田家の統率に影響を与えたとされます。

 こうして対外的にも対内的にもヒビを入れた後、信玄は長年の敵であった上杉謙信とは足利義昭の斡旋を受ける形で和睦します。これ自体はおかしいものではないものの、結果論となりますがむしろもっと早くに謙信とは和睦し、織田家や徳川家と戦っておけばよかったのにということになります。
 むしろ対上杉に集中するため、織田家や徳川家とは互いに不干渉という同盟関係を維持したことで、結果的に両勢力の拡大を許してしまい、武田が天下を取るチャンスをみすみす失ってしまったともいえます。まぁこれは予測し辛いが。

 結果的には外交方針に一貫性が余りにもなく、また今川家のように超絶仲良かった他勢力も裏切ったことから信用を無くしており、次代の勝頼の代にいろんな負債を残すこととなりました。その勝頼は上杉家の後継争いの際に上杉景勝に肩入れするなど、より一層上杉家の関係強化に取り組んでますが、時すでに遅しで織田家にあっさりとやられることとなります。
 単純にこのような反復常ならない態度から、武田家の孤立を信玄は招いたと思えます。はっきり言えば三国志の呂布のような態度もいいところで、名将と呼ばれるにはあまりにも黒すぎる気がするのですが、この点は織田家に恐れられた、うんこ漏らされた家康が「負けるのも仕方ない相手」と持ち上げたこともあって、なんか名将扱いされるようになった気がします。

 実際のところ、信玄の代に武田家は織田家とは直接ぶつかっていないことから、本当に武田家が強かったのか疑問視する向きもあります。勝頼の代には長篠の合戦で織田家に大敗してるし、またその滅亡時も信長の息子の信忠が軽く攻撃仕掛けるつもりで進軍したらめちゃよわよわで、そのまま武田家を丸ごと潰しちゃってますし。
 なお以前にもこのブログで書きましたが、武田騎馬軍については実際にはその存在は怪しいです。存在したか定かじゃないのに代名詞のように語られてきた辺り、武田家の実力誇張の大きさが知れます。

 以上のような見方から、近年に武田信玄はクズという評価が強まってきており、少なくとも以前のような完全無欠な名将という評価からは陥落しています。領国統治に関しては確かに見るべき点がありますが、上記の通り外交姿勢や拡大戦略では疑問に思うところがあり、やはりその点も評価に酌むべきでしょう。
 もっとも拡大戦略が二転三転したのは周囲と同盟結んで敵を絞ったところ、その絞った先の敵がよりによって戦国最強の上杉謙信で、どうあがいでも彼を攻略できなかったためにあります。仮に相手が謙信でなければ北進に成功してもっと勢力も拡大できたかもしれませんが、この点は確かに不幸な点だったと言えるでしょう。

2024年7月2日火曜日

アニメ史で何故か語られない東映アニメーション

 今や巨大な産業となった日本のアニメ産業ですが、その発達史を追うような気地鳴り番組ではほぼ確実に手塚治虫が作った虫プロが触れられ、ここから日本のアニメ史は始まったかのように語られます。でもってその後にはジブリが続き、近年においては評判の高い京都アニメーションがよく取り上げられるように見えます。まぁエヴァのガイナックスはこの前消滅したけど。
 しかしこうした日本のアニメ史に関する報道や解説を見ていて密かに不思議に思う点として、東映アニメーションについて誰一人として触れることがありません。

東映アニメーション(Wikipedia )

 東映アニメーションとは東映傘下で始められ現代もなお続く動画スタジオで、なんとその発足は1947年と戦後まもなくで、虫プロなんかよりもずっと早くにスタートしています。また制作した作品は「北斗の拳」や「ドラゴンボール」をはじめ、日本はおろか世界中で視聴されるトップクラスの人気作品を数多く揃えています。
 まぁ貸し切り状態の映画館が続出した「ポッピンQ」も作ってるけどね。

 そもそも、虫プロの発足自体が東映アニメーション出身者が参画しており、日本のアニメ史を語るのであれば本来なら東映アニメーションから始まるのが筋なはずです。しかしながら前述の通り、東映アニメーションは虫プロやジブリ、あとガンダムのサンライズなどと比べると、その活動や歴史について触れられることはほぼ、っていうか全くありません。
 ここで簡単にその理由について推測で述べると、一つには宮崎駿氏や富野御大などの大物というか一般にも知名度のある名物監督がおらず、いまいち注目が低くなっている可能性があります。ただそうした大物の不在以上にでかいと思うのははっきり言うと、この会社がかなりブラックなことで有名で、常に労働関連で裁判を抱えていることから、東映アニメーション出身者もあまり多く語らないのではないかという気がします。

 その辺の下りは上のWikipediaによく書かれていますが、よくアニメ業界の過重労働は虫プロに絡めて語られることが多いですが、ぶっちゃけ虫プロなんか生ぬるく感じるような激烈な話が東映アニメーションには多いです。

 ただ会社の労働環境はブラックだとしても、日本アニメ界への影響というか貢献では明らかにでかい組織なだけに、もっと東映出身者らから過去の製作現場やスタジオとしての発展史などについてもうすこし語ってほしいものがあります。

 オチらしいオチにやや欠けますが改めて東映アニメーションについて調べた時に感じたのは、意外と日本のアニメ史については作品の変遷について述べられるばかりで、制作側のスタジオやクリエイターについてはあまり触れられてきていないような気がします。この点は明らかにマイナスだと思え、今後こうした点についてももっと光が当たり、労働環境の改善を含め議論が深まればと思います。

 さて「久遠の彼方」やらなきゃ。ツンデレでヤンデレな妹キャラめちゃつよい。