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2024年8月28日水曜日

空の軌跡FCの思い出

『英雄伝説 空の軌跡FC』リメイクが2025年に発売決定!!(ガハログ)

 なんか今日はときメモをはじめ昔のゲームのリメイク制作発表が相次ぎましたが、こちらの「英雄伝説 空の軌跡FC」のリメイク発表を見て、「ああ、こいつかよ」とげんなりした思い出が浮かんできました。

 このゲーム、確か自分が大学生の頃に秋葉原のジャンク屋にて500円くらいで売っていたのを見て購入しました。さっそく自宅に帰って遊んだのですが、結論から言うと非常に面白くなく、途中で遊ぶのやめて放り投げました。
 一体何が不満だったのかというと一言で言えばお使いゲーの極みみたいなもので、全然ストーリーが進まないのに「あれ買ってきて」、「あれ何匹か殺してきて」、「これ届けに行って」などというお使いを延々こなし続ける内容で、これの何が面白いんだと当時すごい疑問に思いました。

 しかも使用キャラはエステルとヨシュアの二人ですが、この二人に性能差はほぼなく、ただ殴るかスキル使うか、しかもスキルも似たり寄ったりで戦闘に一切戦術性がなく、はっきり言ってドラクエ1の方が戦闘はよく練られていたほどです。こんな感じで異常につまらないと思い、その後続編が出たと聞いて「あの内容で?」と正直耳を疑ったほどでした。

 そんなこのゲームですが一つだけすごい思い出があります。それはこのゲームのヒロインのエステルのことで、彼女の名前を見るたびにかつて少年ジャンプで連載されていた「少年エスパーねじめ」に出てくる練川えすてるというキャラクターを思い出すため、このゲームを遊んでいる最中は「少年エスパーねじめ」、そして同じ作者の別作品である「純情パイン」がずっと頭をもたげました。
 特に「純情パイン」の方は小学生男女二人組のヒーロー物だったため、男キャラのヨシュアの方も段々と作者の小玉なみえっぽいキャラに見えてならなくなりました。なので今回のリメイクの報道を見るやまた「練川えすてる」という単語がもたげ、今日は仕事になりませんでした。

 いやはっきり言うけど、このゲーム作った人には本当に金返せって言いたくなるくらいつまらなかったと言ってあげたいです。20年近く経つけど、この20年間で一番つまらなかったRPGゲームを挙げるとしたら迷わずこのゲームを私は挙げます。

2024年8月26日月曜日

政策議論がいまだ薄い総裁選


 この週末に友人から贈られたT-34-85を作ってました。いつもの1/35サイズでなく1/48ですがコンパクトで非常によく、またディテールも戦車なので薄まってなくて久々に作ってて楽しいキットでした。やっぱロシアは嫌いだけどロシアの戦車はすごくいい(´∀`*)ウフフ

 話は本題ですが今日、自民党の河野太郎氏が総裁選出馬会見を行い、これまで主張してきた脱原発は抑えた一方、パーケンプールしてた自民党議員には返金を求めるという政策を打ち出しましたが、これ見て私が思ったことは「ああ、受かる気ないんだな」ということでした。
 前者はともかく後者の主張は大衆受けするかもしれませんが肝心の総裁選で投票権を持つ自民党の議員からは反発食うことは間違いないし、そもそも他の派閥が悉く解散したのに対しその支持母体である麻生派は意地になって残っていて河野氏をバックアップしているのを見ると、なんか矛盾しているような印象を覚えます。そもそもパーケンプール問題について河野氏は先の麻生派存続もあってかこれまであまり言及していたように見えず、なんか唐突に批判始めたなという印象があります。逆にこれまで主張していた脱原発は放棄したりと、言い方悪いですが日和見な態度に見えます。

 もっとも、こうして「総理になったらこうする」という政策主張の口火を切った点はまだ評価できます。というのも今回の総裁選、立候補を表明しているどの候補も具体的な政策や方針についてあまり言及しておらず、政策というよりイメージで選んでくれと言うようなあまり政治的じゃない総裁選を呈しているからです。一体何故し得柵議論が深まらないのかと言えば、ぶっちゃけ岸田政権が主要な問題をあらかた片付けて、今差し迫って議論するトピックが少ないせいじゃないかと思います。

 先のパーケンプール問題でも、国民には手ぬるいと思われていますが関係議員らには一応の処分が下され、主要派閥も会計団体が解散したりとかつての自民党ならありえなかった対応は取られています。また外交に関しては特に差し障りなく順調で、経済も株価を含め上がり調子だし、統一教会も完全にとどめは刺していませんが安倍政権だったらありえない対応を岸田政権はやってのけています。
 またここ数年で一番の懸案だったコロナ対策に関しても、脱コロナ政策がすでにいきわたり、むしろ現在は人食いバクテリアの方が恐れられるなど社会衛生に関しても議論する点はもはやありません。自分としては次にどんな産業を育成するのかがトピックにして議論にしてもらいたいですが、こちらに関心のある人は少ないのが現状です。

 以上を踏まえると、政治トピックというか課題が少ない状況下から河野氏がパーケンプール問題をやり玉に挙げたというのも苦肉の策だったのではないかとすら思えてきます。一応、岸田政権下で行われた増税に対する批判も多いですが、具体的にどう税制を弄るかというところまではエコノミストを含め日本ではほぼ誰も議論してないし、私自身もこの増税は団塊の世代の医療費がこれからかかってくる日本にとって必要だと思うことから、減税なんてとんでもないという立場です。

 こうした背景から、これから本格的に総裁選を争う候補者にとっては何を政治トピックにして、世間の関心を集めるかが重要になってくると思います。それこそ以前であれば年金問題が最重要トピックとして注目を浴びやすかったですが、近年においてはもはや誰も議論しなくなってるし、見て見ぬふりする人も多いことから、こちらはあまり取り扱われないでしょう。政治家も、あまり触れたくないでしょうし。

 唯一、もしかしたら火付け役になるかもと思うのが立件民主党の総裁選に出馬する野田元総理の存在です。彼がもしその総裁選で野党の立場から今の日本における政治的課題を的確に指摘し、それがホットトピックとなったら、自民党の総裁選でもその問題への対策、対応について各候補者に質問が続き、大きな流れになるかもしれません。そういう意味では、ぜひこのタイミングで野田総理には与党を攻撃、批判する上でも、的確な指摘をしてもらえればと密かに願っています。

 でもって、その火が付いたホットトピックに対し実効性は別として支持される対策や見解を出した自民の候補者は、運が良ければ一気に目玉になるかもしれません。特に今回の総裁選は派閥があらかた解消された状態での総裁選であり、議員間でも浮動票が増えるように思え、本当に読みづらい選挙となっています。この中でどれだけキャラクターを出しつつ、政治玄人もうならせる方針を出せるかが今後カギになるかもしれません。

2024年8月24日土曜日

石破氏の可能性はもうない

 岸田総理の突然の辞任発表によってある意味で誰も準備していない平等な状態でスタートした今回の自民党総裁選ですが、かねてから立候補を検討していた候補者が今週は次々と正式に立候補を表明するようになりました。このうちアンパンマン顔でおなじみの石破氏についてですが、私自身は彼のことを嫌っているわけではないし鳥取県出身の友人が修学旅行で東京に来た際に国会議事堂を案内したのは彼だったと話していたこともあって好感も持っていますが、現状で比較的はっきり予想できる点としては彼の落選位しかありません。

 今回の総裁選では前述の通り前状況なく突如始まったのと、これまであまり知名度の高くなかった比較的若い層の議員も立候補を表明していることから、正直に言って非常に読みづらく、今後どう転ぶかまだ予断のつかない状態です。にもかかわらず何故石破氏の落選だけこうもはっきり言えるのかというと、完全に時機を失っているからです。
 元々、彼の人気が高かったのは彼自身のカリスマや評価によるものではなく、「反安倍」というスタンスによるものであったことは間違いありません。自民が安倍一色だった時代に冷や飯食いとなりながらも反安倍スタンスを続け、自民内外を問わず安倍元総理に反感を抱く層からの支持を一身に受けていたことがこれまでの彼の人気の原動力でした。

 しかし統一教会問題を経て安倍は自体がほぼ瓦解しており、また菅政権にはともかくとして直近の岸田政権に対してはそこまで批判的な姿勢を見せず、端的に言って埋没するような状態にありました。
 それでも立候補者らがこれまで自民を率いてきた旧来からの政治家、具体的には菅氏や二階氏、麻生氏らの息のかかった人間ばかりだったり、萩生田のような安倍派然とした候補者だけであれば石破氏にも得られる票があったと思うものの、今回の総裁選では小泉氏や小林鷹之氏をはじめ比較的若い層も立候補しており、「これまでの自民党政治とは一線を画す」イメージでは石破氏よりも彼らの方が強く、これまで石破氏が得ていた支持も彼らが持っていきそうな雰囲気です。

 それ以前に石破氏には総理になって何がしたいかという方針や政策に至っては完全皆無であり、その能力についてもはっきり言って疑問視しています。極端なこと言えば、反安倍、反麻生しかないでしょう。
 恐らく今後討論会が進むにつれてこの点がどんどん露呈する可能性もあり、これらを考慮すると立候補初日に言うのもなんですが現時点で自分が予想して言えることとしては彼の落選くらいしかありません。

 では誰が受かるのか。現状は小泉氏リードですがかつての総裁選と比べると派閥の力が弱まり自民重鎮の影響力も薄まっていることを考えると、本当に予想し辛い印象を受けます。比較的表立って活動しているのは菅氏で早くもかつての盟友の河野氏を切って小泉氏支持を鮮明にしたものの、内心、これはちょっと早すぎるのではないかという気がします。仮に「キングメーカーぶっている」という批判が強まればこのダメージが小泉氏にも回る可能性もあるだけに、せめて9月に入ってから表明すればよかったのではという風に私には見えます。まぁ偉そうなこと言える立場じゃないですが。

2024年8月23日金曜日

漫画「ナポレオン」の完結に触れて

 見出しにもある通り、長谷川哲也氏の漫画「ナポレオン-獅子の時代(途中から覇道進撃)」の最終巻が今日発売され、昨夜夜遅くまで日本から来た友人らと人民元の効率的な送金方法を議論したにもかかわらず、夜中にダウンロードして読んでました。でもって今日の通勤途中に3回くらい読み直してました。

 完結巻とあってこの巻ではセント・ヘレナ島に流されたナポレオンが死ぬまで、そして死後の関係者のその後が描かれていますが、出てくるのは揃いも揃ってジジイばかりで、若手キャラと言えば息子のナポレオン2世くらいでした。まぁいいんだけど。
 ただそれもあってか、イタリア遠征を思い出す最終シーンでナポレオンやその旗下の元帥たちが当時の若々しい姿で一斉に描かれるのは感無量であり、万感の思いとともに自分も眺めていました。

 それにしてもこの漫画ですが総巻数は42巻にも及び、横山光輝のライフワークと言える「三国志」の60巻には及ばないものの、連載期間は20年超を数え、ナポレオンを描いた漫画としては最長であり最高であるというのは揺るがないでしょう。
 私はこの漫画を1巻が発売された大学生の頃から読み始めたのですが、大体6巻くらいの頃に地元の本屋が何故かこの漫画を入荷するのをやめやがったせいで途中で中断を挟んだものの、その後覇道進撃に入ったあたりから再び読み始めるようになりました。

 ナポレオンについては少年時代よりその関心は強く、割とよく歴史漫画だけじゃなく評伝も読んではいたのですが、大体どの評伝もナポレオン本人にばかりスポットを当てていてその周辺人物についてはあまり触れられてきませんでした。それがこの長谷川氏の漫画では主人公のナポレオン以上にその部下であるネイやダヴーといった元帥らの活躍が華々しく描かれているばかりか、彼の政敵となったタレイランやロシア皇帝らも細かく描かれ、正直今まで読んできた評伝は何だったのかと言いたくなるような衝撃を受けました。それと同時に、ナポレオンも一人で成り立つのではなく、その優秀な部下らがいて初めてあれだけのことをやってのけたのだということも理解しました。

 そんなナポレオンを伝説足らしめているのはやはり、栄光を極めた後で転落をしている点にあると思います。説明するまでもなく、ロシアと英国を除いたほぼすべての欧州大陸を一時支配したものの、ロシア遠征での失敗を皮切りにフランス以外の支配をすべて失い、流刑後に一度は復権するもワーテルローの戦いを経て百日天下に終わり、流刑地で寂しく死去するという結末が、死後に多くの人間の共感を得たのだと思います。

 今回改めてそのナポレオンの事績を思い浮かべるにつれ、彼の場合は彼自身の後継というより、彼の部下の後継を育てられなかったことが致命的だったのではないかという風に思い至りました。ナポレオンの部下のほとんどはイタリア遠征時における幕僚たちであり、アウステルリッツの戦い以降は目立った戦績を残すようになる新参の将軍はあまり出てこなくなります。しかも従来からの幕僚たちも時代や戦争を経るにつれてランヌやベルティエをはじめ徐々に世を去り、残ったネイやスルトを率いて挑むも彼らがワーテルローで致命的な敗戦を犯し、ナポレオンは失脚するに至ります。
 それこそ仮にロシア遠征時にでも従来の元帥らに並び立つような才覚の人物を新たに登用し、幕僚の層を厚くして年代層を若返らせておけば、また何か違ったのではないかという気がしないでもありません。この辺、人気漫画作品に頼ってたところその作品が連載終えるや人気が急落する漫画雑誌に近いような気がします。

 まぁそれを言ったら、ナポレオン自体も後年の軍事的才能の枯渇ぶりは目に余るのですが。

 それにしても20年以上の読み続けてきた漫画がこうして終わるというのはなかなか感慨深いものです。長谷川氏はナポレオンの連載中にも「セキガハラ」をはじめ色々ほかの作品も描いていますが、今後どういう作品を描くのか、恐らくまた手に取ると思うので今から楽しみにしています。

2024年8月21日水曜日

日本人が何故体臭で騒ぐのかが不思議

 あまり興味がないのでこれまでブログで取り上げてきませんでしたが、女性フリーアナウンサーが男はもっと体臭を気にしろ、日に三度はシャワー浴びろと公に発言して顰蹙を買い、契約していた会社から契約を切られたニュースがなんか延々と話題になっています。この会社側の処置について解雇は厳しすぎるという声もありましたが、報道を見る限りそもそも雇用契約ではなく仲介登録契約であったようで、であればそもそも解雇じゃないんだし、またあんな発言する時点で危険要素が盛りだくさんなだけに契約切るのは当然だと私的には思います。需要があるなら、拾う会社もあるだろうし。

 それでこのニュースに出てきた体臭についてですが、去年あたりからアイドルの交流会やカードゲーム大会にやってくるお客の体臭がひどい、ヤバ過ぎるというニュースをよく見るようになってきました。実際にそうした現場に行って嗅いだわけでもないためどれほどの体臭なのかは測りかねますが、私個人の見解で述べると、「そんな大騒ぎするほどかよ」と疑問に思う節の方が多いです。何故かというと、日本人で体臭が気になるほど臭う人はそんないないだろうと高をくくってるからです、なんでそんな風に言えるかって、自分が今いるのは中国だからです

 断言しますが、街中で感じる体臭で言えば中国の方が圧倒的にきついです。上海とかならまだマシですが、地方都市なんか行くと周りの中国人ですら表情から見て明らかに引くようなレベルの体臭を出している人間なんて手の指が足りないくらいいます。また上海市内でも、地下鉄とか乗っているとえーって言いたくなるくらい臭う人がおり、でもってそういう人に接近されると大抵その日はダニに噛まれる羽目になり、「臭いくらいなら実害ない」と言いたくなります。

 また私の場合だと北京での留学時代、相部屋のルーマニア人がガチでシャワーを浴びるのは月に1回程度で、部屋の中は体臭に満ちていました。なので玄関ドアとか開けておくとその臭いが廊下中に蔓延して、別の日本人も今日自分が部屋を開けているとエレベーターから降りた瞬間にわかったそうです。
 もっともこんなの慣れてしまえばどうってこともないのですが、数ヶ月にいっぺん、彼が洗濯するときは自分も夜は寝れなくなりました。何故かというと当時の学生寮には洗濯機がなく、基本手洗いで下着とか洗うしかなかったのですが、彼は洗面器に下着を水につけるだけで、ゆすいだりとか以前に洗剤も一切使用しませんでした。でもってそれを部屋干しにするもんだから、さすがにその時は自分も眠れないほどの悪臭に悩まされ、洗面器につけてる間にそっと洗剤を少し蒔くようにしてました。

 そんな私のハードな体験、そして冒頭に書いたように日本人より体臭がきつくてもそんなに気にしない中国での生活を踏まえると、元々異常なくらい臭いを出さないし、普段から割と清潔にしている(中国人基準で)日本人が体臭でどうこう言うのはちょっと過剰過ぎるのではという疑念を持っています。鈍感力じゃないですが、礼儀マナーなどと同様に必要以上に過敏に気にするというのはむしろ社会にとっても本人にとってもマイナスで、逆にそうしたことを気にせず寛容に受け止める西郷さんのような人の方が私は立派だと思います。
 なので日本人は、もっと西郷さんを見習うべきだと無駄に薩摩推しな感情がこのところもたげます。

2024年8月19日月曜日

日本のホラーコンテンツ産業の成り立ち

 
 本題と関係ないけどこちらの上原氏と赤星氏の対談が毎回面白くてつい見ちゃいます。練習が厳しすぎて亜細亜大と駒沢大の試合はどちらもイップス発症者が多く、現広島監督の新井氏なんか典型的なイップスだったから試合でサードにバントし続けるという鬼畜な戦術取られてたとかやばいです。



 でもって本題動画がこちらとなりますが、本日公開されたホラーゲームの金字塔と呼ばれる「サイレントヒル2」のリメイク版ストーリートレーラーです。あいにく私はこのゲームを遊んではいないのですが日本はおろか世界中で最高級の評価を受け、その評価は十年以上たった今も色あせず、こうしてリメイクが作られるに至りました。

 そのサイレントヒル2を含め輸出競争力という観点で見ると、意外と日本のホラーコンテンツ産業は侮れない実力があります。美少女アニメコンテンツとかよりもずっと稼いでいるように思えますし、またソフトパワーという観点でも非常に食い込みがよく、アニメファン以外からも支持を得ている点で範囲が広いように思います。
 などと日本のホラーコンテンツにこの前友人との会話から着目した矢先にこのストーリーオレーラーが出たのでこうして書いていますが、そもそもいつから日本はホラー映画やホラーゲームが世界的コンテンツになるほど成長したのか。案外この点は語られることが少なきがします。

 敢えて私の独断と偏見で語らせてもらうと、日本のホラー産業の始まりは海外作品の影響が端緒であったように感じます。それは何かというとズバリ映画の「羊たちの沈黙」です。それ以前からもホラーコミックが少女漫画を中心にありましたが、この作品からサイコスリラーというジャンルが日本でも広がり、「幽霊なんかよりも本当に怖いのは人間」というオチをつけたがる日本人に新たな成長の種を蒔いたかのように思います。
 こうしてサイコスリラー作品が日本でも模倣的に作られ、またオウム真理教などマインドコントロールを行うカルト団体が世間で認識されるに伴い、漫画や映画だけでなく、ゲームでも述べる系を中心にホラーゲームが徐々に増えていった気がします。具体例を挙げると「クロックタワー」シリーズや、最近はアクション路線に入りましたが「バイオハザード」シリーズなどが代表的で、こうしたホラーゲームが後々海外で稼ぐ下地が90年代中盤からみられるようになりました。

 そこへきて一気に日本のホラーコンテンツが花開く作品として、貞子でおなじみの「リング」が1998年に映画化され、大ヒットを飾ります。今になって思うとこの作品のヒットは日本のホラー産業にとって非常にでかかったように思え、前年に同じく映画化された「パラサイト・イヴ」と合わせてホラー小説→実写ホラー映画というコンテンツセットを確立し、その後も同様の工程フローを経たホラーのヒット作品が次々と生まれていきました。今じゃあんまり存在感ないけど、当時は「角川ホラー文庫」こそが角川書店を代表するコンテンツで影響力も強いものがありました。

 話を戻すと「リング」、その後に続く「呪怨」などのホラー映画作品のヒットは日本国内にホラー愛好家を増やしただけでなく、ハリウッドでも映画が製作されて「ゴジラ」以上に大ヒットを決めるなど、一気に日本製ホラーが海外で売れるようになりました。これ以降は明らかに海外で売ることも視野に入れてホラー作品が作られるようになり、また実際にヒットを連発し続けるになって、日本のホラーコンテンツ産業が一躍スターダムになった気がします。
 私自身は「リング」の小説については確かに文章が読みやすく展開の運びは非常にうまいと感じたものの、オチがやや突飛だし強引な感じしてあまり好きではなく、ヒットの要因はどちらかというとあの貞子のビジュアルを映像化して再現した映画関係者による貢献が大きいと考えています。ただそんな私の評価は別として、日本製ホラーが海外で花開く嚆矢となったのは間違いなくこの作品であり、その点で言えばオリジネーターとしてもっと評価されてもいいとすら感じます。

 話を続けると、その後にPS2が発売されてゲームのグラフィックが強化されると、ホラーゲームでも国内外でヒットする作品が連続します。その代表こそまさに冒頭で挙げた「サイレントヒル2」で、舞台が米国であるためか欧米に受け容れられやすく、こちらもハリウッドで映画化を果たしています。
 また舞台も世界観も完全に和というか日本色の強い作品であるものの、自分もよくやっていた「零」シリーズも海外でヒットを飛ばします。無論、この間も先に挙げた「バイオハザード」シリーズは売れ続け、今日に至るまで派生作品が出続けています。

 ただ大体時期にして00年代中盤、PS3が出たあたりから映画でもゲームでも国内外で高い人気を得る新規のホラー作品が急にでなくなってきたように思います。先述の角川ホラー文庫も存在感をなくし、「この夏絶対に見逃せない」的なホラー作品もなくなって「サマーウォーズ」とか「君の名は」などのアニメ作品の方が夏に強くなってきました。でもって「サイレントヒル」も「零」もシリーズがその後打ち切られるし。
 一応、ホラーゲームとしては今でも日本は結構作られていますが、そのどれもが同人、インディーズゲームで、一般のゲーム会社がプロモーション込みで作る作品は本当に見なくなりました。今やホラーゲームはインディーズが主体で、「青鬼」などをはじめ映像化を含むマルチメディア化される作品もありますが、往年と比べるとその勢いには陰りが見えます。

 なんでホラー作品が前ほど親しまれなくなったのかに関しては、ホラーというよりグロ系作品が増えたからという意見をよく見ますが、理解できないほどではないものの本当にこれなのかという一抹の疑問を私は覚えます。かといってほかにめぼしい理由があるというわけでもなく、単純にコンテンツとして飽きられた、映像が鮮明じゃなかった昔の方が恐怖感を煽れた、粗製乱造による質の低い作品が溢れたなどの複合的結果なのかもしれません。
 そう思うと90年代後半から00年代中盤までの10年足らずの間が日本のホラーコンテンツの短い黄金期だったと言えるのかもしれません。なかなか特殊な時代を過ごしたものだと、今更ながら感じ入ります。

 ちなみにトイレでは幽霊を見るよりも水が流れないことに恐怖を感じる私が心底怖いと感じたホラー作品は、ちっちゃかったせいもありますがスーパーファミコンの「弟切草」と「学校であった怖い話」、セガサターンの「ディープフィアー」、漫画だと「殺し屋イチ」とかが挙がってきます。押切蓮介氏の「ミスミソウ」は全く怖くなく、「サユリ」は1巻だけならやや怖いと感じました。伊藤潤二氏の「富江」は不気味さを感じましたが恐怖はそこまでありませんでした。
 ああそうだ、近年は海外で売れるホラー作品が減ったとは言いましたが、伊藤潤二氏は現在絶好調というか海外でも売れまくっています。まぁホラー漫画のくくりでいれば「彼岸島」も入るけど、あれは怖いと思うシーンよりも圧倒的に「そうはならんやろ」と爆笑するシーンの方が多すぎる。

2024年8月18日日曜日

日本は次どの産業を育成すべきなのか

 候補者が乱立する気配を見せている自民党総裁選ですが、敢えて各候補者に何か一つ質問できるとしたら、日本は今後、どの産業を国家として育成していくつもりなのかを聞きたいです。というのも、国際競争力という観点では日本が持つ中でコンビニ業界こそが最強だと信じて止みませんが、外貨を稼ぐ輸出産業という観点ではもはや自動車と化学品など素材産業しかなく、自動車が倒れたら一気に傾きかねない状況になっていると思うからです。

 かつての日本であれば繊維、家電、鉄鋼、半導体、ゲームなど数多くの強力な輸出産業が存在しましたが現在においてはもはや見る影もなく、ほぼ自動車一本足打法のような状態になってきています。もちろんまだ自動車が力を持っているだけマシなのですが、EVを含む転覆的技術が自動車業界では現れてきており、過去の積み重ねが文字通りひっくりかえされる状況も今後発生する可能性もあるだけに、自動車偏重で行くのはかなり危険だと考えています。
 であれば国家としてどの産業を今後育成し、日本の主力とするのかを政治レベルで決めていかなければなりません。その点について書く政治家に聞いてみたいのですが、ぶっちゃけどれを推していくかは私の中でもいまだ確としたものはありません。

 アプローチ方法は主に二つあると思え、一つは全く未知の産業に挑むという方法です。現在であれば、いまだ技術や規格が確立されていない3DプリンタやAIといった類で、ある程度知られていればいるほど競争も激しくなるだけに、誰も手を付けていない分野ほど成功確率も高いものの、そのまま市場が成立せず失敗に終わる可能性もあります。
 もう一つは、既存技術の水平再利用みたいなもので、いくつか例を出すとPHSの電波を使った全く新たな通信網とか、すでに確立された技術に対して新たな応用分野を作るというものです。自分の中ではドローン対策で効果を発揮しているゲパルトがいの一番に来るけど。

 どちらにしろ日本が世界で戦える、なるべくなら製品まで日本国内で作って輸出して外貨を稼げるような産業を、急ぎ日本は育成する必要があるでしょう。こうした新規産業に対する意識はまだ20年前、それこそ森元総理ですら「IT革命」などというなど当時の政治家は意識していましたが、近年においては口にする者すらいなくなり、密かに憂えています。最近唯一こうした危機感を持っていると感じたのは神田元財務官で、そういう点からも彼が今後日本の経済政策で主要な地位につくのをこれまた密かに期待しています。