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2025年1月2日木曜日

2025年に台湾有事は起こるか?

 自分の自称専門が国際政治であることを忘れそうになるのでまた誰も離していないと思うトピックとして、2025年に台湾有事は起こるかについて書こうと思います。結論から言えば確率は依然低いものの、2024年と比べるならその確率は確実に上昇していると考えています。

 こう考える根拠は何といっても韓国です。これまでの韓国ユン政権は日米との協調路線を強く出し、これは中国にとっても大きな抑止力になっていたと私は見ています。というか中国の海軍拠点のある山東省との距離を考えても、韓国の姿勢が中国の軍事行動に対する大きな抑止力足り得ると前から考えています。
 そのユン大統領は先の戒厳令失敗により近いうちに失脚することはほぼ確実で、次に北朝鮮、中国寄りの姿勢を見せる現野党が政権を取ることもほぼ確実でしょう。折も折で米国では今年、在韓米軍の費用についてかねてから文句言ってたトランプ政権が発足するだけに、新たな韓国大統領が米軍撤退を打ち出す、またはそこまでいかなくても縮小や活動制限を出すことで、中国側としては東シナ海での活動がしやすくなるのではないかと思うわけです。

 これらを踏まえると、少なくとも去年に比べれば中国が軍事行動を起こしやすい環境は出来つつあるように思えます。もっとも実際にやろうとなるとロシアみたいに準備なしでいきなりやるアホはそう相違ないと思うので、実際の準備にはいろいろ手間がかかることを考えたらまだまだ準備不足な段階に見え、実際やる確率はまだ低いというのが自分の見方です。
 とはいえこの手のものは起こるときには起こるものであり、いつ何時に起きようが対応できる対策を日ごろから準備しておくのが吉ともいえます。特に日本としては台湾有事が起きた際にどこまで介入するのか、もっと国民的議論を深めるべきでしょう。

 実際に自衛隊を台湾防衛のために派遣することは憲法上でも厳しいし、世論も許さないためこちらは度外視していいと思います。論点となるのは台湾に対しどこまで支援するかで、仮に今のウクライナみたく膠着状態になった場合の行動くらいは決めておいた方がいいでしょう。
 具体的には新兵の訓練地を日本国内で用意する、傷病兵の治療を日本で行うなどのオプションが挙げられますが、この二つくらいは日本も受け入れるべきじゃないかと個人的には思います。それ以上に日本に求められる役割としては難民の受け入れで、戦火から逃れてきた人たちや亡命を望む人たちをどう受け入れるか、この点をもっと考えるべきでしょう。

 仮に受け入れるとしたら距離的にも、またTSMCが拠点を作っていることもあり、九州地方がやはり適切であるように思います。であれば今のうちに港湾や鉄道といったインフラを、九州で整えておくことは、台湾有事に対する対策としてなり得るのではないかとも思えます。真面目に避難物資の備蓄などは、九州でやっておいた方がいい気がします。

 その上で考えなければいけないのは、日本国内にも戦火が広がった場合はどうするのかという点です。特に私が懸念しているのは尖閣諸島で、台湾有事のどさくさに紛れて「台湾省の一部だ」と言って中国軍が尖閣諸島を占領してくる可能性があると睨んでいます。
 こうした事態に備えるため、中国軍艦を入れさせない海上封鎖網や封鎖計画、そして艦船などもあらかじめ計画しておくことはもとより、実際に火ぶたが切られる場合、どこまで軍事行動を起こし、また防衛するのかも、国民の間でもある程度意識というか覚悟を持つべきじゃないかと思います。

 もし可能ならば、個人的には九州、沖縄地方のどこかの離島にイージス・アショアを築けないものかと考えています。エースコンバットやってこいつの恐ろしさが初めてわかりましたが、射程に入るとどんどんミサイル撃ってくるし、腹立つから落としてやろうとミサイル撃ちこんでもCIWSでバスバスミサイル防がれるだけに、秘密裏にどこかの離島にこれ設置できれば実際の開戦時にかなり中国側の計画を崩せるような気がします。

 イージス・アショアがだめならば、やはり一番用意しておきたいのはアッシマーとハイゴッグでしょう。空と海からこの二機種で攻撃かければどんな敵だって一網打尽にできるように思え、日本は次期戦闘機よりも次期モビルスーツの開発にもっと力を入れるべきでしょう。真面目に「ギレンの野望」ではハイゴッグがあれば世界の海を支配できたし(´・ω・)

2025年1月1日水曜日

シミュレーションゲームはマジだれる

 中国の年末年始は元旦が1日休みとなるだけで、実際昨日は私も普通に勤務してました。なので特別感もないですが、今日がお休みとなるので昨夜は夜遅くまで「キングダム&キャッスル」という中世不運街づくりシミュレーションを久々に引っ張り出して遊んでいました。

 このゲームはシムシティみたく街を作って人口を増やしていくのが目的のゲームで、なんだかんだ言いつつ結構楽しめました、最初は。昔買って1回遊んだところ何故かやらなくなり、もう一回やってみたくなって今回引っ張り出しましたが、最初の数時間はめちゃ楽しかったけど、大体人口が1000人を超えたあたりからだるくなり、今日は一切起動せず、作りかけのF-22ラプターのプラモのシール貼りをすることとなりました。

 一体何故だれるのかというと、序盤から中盤にかけては人口を増やしながらインフラを整え、同時に金策をして大型施設を作ったりしなければならないのですが、後半に入るとそれまでやってきたことを繰り返すだけになるというか、住宅を作って周辺に市場や井戸を作ることの繰り返しとなり、何ら新鮮な要素がなくなってきます。敵の襲撃アリにすれば城壁とか防衛施設も作る必要が出てくるものの、それはそれでめんどいというかあまり考えたくない要素で、なんていうかここでこのゲームに対する情熱が尽きました。

 この「キングダム&キャッスル」に限らず、シミュレーションゲームというのは後半にだれる、というか行動に制限のある序盤が一番楽しいというのは割かし共通します。カイロソフトのゲーム会社を運営するゲームでも、最初はどのハードにソフトを出すとか、どの従業員を雇うかでいろいろ悩むし、細かな指示が必要となりますが、ある程度会社大きくなるといい加減な指示でも問題なく収益出るし、人材も育っているからプロット適当でもゲームが売れるようになり、つまんなくなってきました。
 ちなみにゲーム名を自由に決められるのでいつも、「みだらな~」というタイトルで、「みだらなテトリス」、「みだらなファイター2」というゲームを作ってました。

 この後半にだれるというシミュレーションゲームで特に顕著なのが戦国シミュレーションこと信長の野望や三国志で、大体半分近くの領土を獲得すると後は消化試合となり、なんだか弱い者いじめしているようで作業感の強いゲーム展開となっていきます。
 唯一の例外が「信長の野望 天翔記」で、これはプレイヤーが出せる行動の指示数が制限されているため、最初は全領土に細かな指示を出せるけど、勢力が拡大すると指示が追い付かなくなるため、ある一定の段階で特定の領土の管理を選抜した武将を軍団長にして委任させる必要があります。このシステムがなかなか曲者で、優秀な武将ほど裏切りやすく、裏切られたら領土や物資どころかその配下武将ごと寝返るので、後半においても気の抜けない展開が続きました。

 この「天翔記」のシステムですが地味に会社の一般従業員と管理職のように、前半と後半でやる業務の内容が全く異なる点で共通しています。前半は目の前の課題をひたすら処理し、後半は勢力の方針を作って各スタッフに伝達してやらせるという運営業務が主となり、こうした「やることの変化」が後半にだれない大きな要素になってたと思います。
 もっとも、「ギレンの野望」シリーズのように敵を追い込めば追い込むほど、CPU勢力の資金力や開発力が増して反撃が激しくなるというシステムでも、やることは同じでも最後まで気が抜けなくなるためだれることはなくなりますが。

 そういう意味では後半にどうスパイスを利かせるかが、シミュレーションゲームの最終的な評価というか面白さにつながってくるのではないかと思えます。この辺考えて今度買うゲームを決めよ。

2024年12月30日月曜日

ドニー・イェンってパネェ(´・ω・)


 このところ中国では「誤判」とか「誤殺」とか「誤」の付く映画が多い友人に言ったら、「誤判(The Prosecutor)」は見たけど面白かったと言われたので、昨日自分もこの映画を見に行きました。タイトルからして冤罪をテーマにした社会は作品なのだろうと何の前情報もなく見に行ったら、冤罪が話の主軸であることは間違いではなかったものの、裁判所の中でよりも、裁判所の外で悪人を殴り倒すシーンの方が多いまごうことなき香港カンフー映画でした

 もう少し具体的に話すと、警察官から検事に転身したドニー・イェンが弁護士に嵌められて本来は無実であるにもかかわらず犯罪組織のスケープゴートで懲役食らった少年を助けるため、麻薬組織相手に証拠や証人を集める傍ら、それを妨害しようとする麻薬組織の手先らと何度も殴り合う映画でした。どれくらい殴り倒すのかというと、ナイトクラブで乱闘している最中に警察に応援を求めた同僚の検事が電話で、「あいつは今一人で100人くらいと戦っている。嘘じゃない!」としゃべりますが、マジで嘘じゃないです。

 それで主演の甄子丹ことドニー・イェンですが、彼を映画で見るのはこれが初めてでしたが、これほどすごいカンフースターがいたのかと見ていて驚きました。すでに60歳を超える年齢ながら動きがともかく早く、撮り回しの長いシーンでも連続した複雑な動きをきれいにこなしており、映画の中とはいえ「なんでこんな強い奴が検事やってんだよ」と突っ込みたくなるほどでした。
 中国人の同僚によると、ドニーは「そんなかっこよくない」との評価ですがこれには私も同感で、見た目は本当に普通のおじさん、なんていうかコンサル会社とかの中間管理職っぽい感じです。逆にそういう普通さを出しつつあれほど激しいアクションこなすから、余計見栄えが良くなっている様にすら思います。

 そんなドニーに限らずほかの俳優やエキストラの動きも非常に早い上に殴打するところなんか重く感じられ、香港映画を見るのも本当に久々ですが、かつてのカンフーアクションは今も色あせていないと非常に感動しました。っていうかこの映画の中だと香港が足立区並の治安の悪さで街歩きするのが怖くなる(;´・ω・)
 ちなみに冒頭は麻薬組織の拠点を警察隊が制圧するところから始まりますが、そのあまりの動きの速さと銃と盾を使ったアクションに、日本の警察ドラマとかの動きが幼稚園のお遊戯にしか見えなくなりました。

 その香港に私はかつて三ヶ月ほど滞在したことがあるため、映画を見ていてもどこかで見たような路地があるかと思えば、セリフの中で「ワンコックからチムシャアツゥイまで犯人を走って追いかけた」という言葉に「あんな距離をマジで?」などとそこそこわかったりして楽しめました。

 自分はまだ見てないけど、今回のこの映画で興味持ったのでドニー主演のイップマンシリーズも今度見てみようかなと思っています。香港映画は中国返還以降は盛り下がっていると聞いていましたが、決してそんなことはないと今回わかりました。

2024年12月29日日曜日

相次ぐ航空事故を見て

 すでに各所で報じられていますが、韓国で大型旅客が着陸に失敗して爆発炎上する事故が起きたそうです。確認されている生存者2名を除いてその他の乗客乗員の生存は絶望的とされ、当人や遺族の気持ちを考えると胸が痛むばかりです。

 折も折というかつい先日にはアゼルバイジャン国籍の機体がロシアのチェチェン共和国領内で攻撃を受け、撃墜される事故が起きています。まだ確定というわけではないもののロシア側はすでに何度も供述を翻しており、また比較的残した機体状態から言っても攻撃を受けたことは間違いなく、証拠隠滅を図るため敢えて近くの空港への着陸を拒否してカスピ海方面へ誘導したのも事実でしょう。
 こんな国がこの世にあっていいのかと言えば、無い方が絶対マシでしょう。

 ただこちらのアゼルバイジャンの事故に関しては、非常に困難な状況の中、カザフスタンまで飛んだ上に一定の生存者を出すにまで至った殉職されたパイロットには強い敬意を覚えます。あれだけの妨害を受けながら空港近くまで飛び続け、このパイロットがいたからこそ助かった人も多く、その技術と苦境に対する精神力には頭が下がります。

 以上、年末にもかかわらず二件の痛ましい航空事故を目の当たりにすることとなりますが、これらの事故を見るにつけかえすがえす、今年年初に起きた羽田空港の衝突事故における乗客乗員の脱出劇にのすごさを改めて感じ入ります。状況は違うとはいえ大量の死者が出てもおかしくない中、衝突した海上保安庁の機体からは死者が出たもののの、JAL機からは全員脱出に成功し、またその際に通信途絶がありながらクルーは迅速に行動し、機長も最後に脱出するという強い責任感を見せていました。
 私が言うまでもなく本当にこの事故は奇跡的ともいい事後対応ぶりで、事故後は私の周りの中国人らもこれからはJALに乗ると称賛が相次いでいました。実際、それだけのプロフェッショナルらしさが見られた事故でした。

 末筆となりますが、今回冒頭の二件の事故で亡くなられた乗員乗客には、私個人が言ったところでなんだという気持ちもいますが、深くご冥福をお祈りします。 

2024年12月28日土曜日

中国式DIY術

 今蒸かしたあんまん食べてますが、この時期はよく乾燥に注意、加湿器を活用などと言いますが、あんまん蒸かせば自然と湿度上がるので加湿器買うくらいならあんまん買うべきだと密かに思っています。
 そんなあんまん食べながら、いま火のついたキャンドルをテーブルの上において眺めています。なんでそんな一人で無駄にロマンチックなことをしているのかというと、単純にキャンドルが余ったからです。ではキャンドル、っていうかろうそくを何に使ったのかというと、床板の穴埋めだったりします。

 日本の家屋ではまずないと思いますが、中国の家屋ではピース状にはめられた床板のパネル同士に隙間があるのはごく自然なことです。どれもこれも隙間があるってわけじゃないですが、大体窓際とか壁際になるとはめてきた床板の寸法が微妙に合わなくなって、ちょっと隙間あるけどまあいいか的にそのまま内装工事を終えられているのだと思います。これまで私が住んできた中国の部屋では、隙間なく埋められたフローリングなんて見たことないです。

 そんな隙間に何故ろうそくということになりますが、単純に蝋を溶かして隙間を埋めるのに使うからです。本音で言えばシーリング材なり使って埋めたいところですがさすがに賃貸の部屋でそこまでやると色々面倒です。なので隙間を長期的に埋められ、且つ退去時にすぐ元通りにできる方法はないかと数年前に思案した結果、「せや、ろうそくで埋めりゃええやん!(σ・∀・)σゲッツ!!」という結論に至り、ダイソーでろうそく買ってきてマジで埋めました。
 この時のろうそく効果は結構素晴らしく、その後長期にわたり無駄な隙間に物を落として挟むことはありませんでした。自分の生活の中ではプラモ部品を隙間に落とすことが多かっただけに、これが亡くなっただけでも大助かりでした。あと地味に虫も隙間から発生することあったな。

 そんなろうそく穴埋めも何年も経ち、一部個所が劣化してはがれたりとか、まだ埋めきってない箇所を発見したこともあり、先月に数年ぶりにまたダイソーからろうそく買ってきて、火をつけてぽたぽたと蝋を落として穴埋め作業をやってました。数年ぶりとはいえ二度目の作業とあってかなり手順よく、前回以上にカチッとした固め具合でまた隙間を埋めてやりました。
 でもって埋めた後、数年前に購入したろうそくが家の棚の奥にまだ眠っていたことに気が付きました。

 そんなわけで今回買ったけど使い切らなかったろうそくがマジ余っており、そのまま捨てるともったいない神様に怒られそうなので、無駄にムーディな雰囲気づくりとばかりに今燃やしています。こういう火はほんのちょっとしたことで延焼したりすることもあるのでむしろ使いたくないですが、まぁしっかりちゅいしながらやればいいだろう的に使っています。

 以上の床板の隙間埋めですが、私以外にも悩んでいる人が多いのかECサイトのタオパオを見ると「簡単一瞬で穴埋め!」みたいなキャッチコピーとともにシーリング材がたくさん売られています。私自身もろうそくが一番手軽でいいけどほかになにかいい感じのシーリング材ないかなと探していたところ、日本語で「すきま接着剤」と書かれた商品が何故か中国で売られていることに気が付きました。でもって、トイレや台所の隙間に使えると書かれており、マジでこの方面でも対策が必要と前から考えていたので先日購入してみました。

 届いた商品を見ると、「委託企業:日本羽田株式会社」と書かれており、恐らく日系企業が中国メーカーにOEMで生産させ、中国国内でも流通させている商品なのだと思います。それでこの商品でどこの隙間を埋めたかったのかというと、トイレと床の間の隙間です。

 これもこのブログで過去に何度も書いていますが、中国ではトイレの接地面から水が漏れるのは日常茶飯事です。また普段はもれなくても、大雨とかで配管内の流水量が増えると漏れたりするケースもあり、今の自分の部屋もそうでした。
 無論、これまで何も対策してこなかったわけじゃなく、接着面が分厚く残る接着剤を使っては何度も埋めてきました。しかし接着剤では劣化が早く、漏水を止めたかと思いきや数年たつとはがれてまた漏水起こしたりするし、また見た目的にも接着剤だとやや良くありませんでした。

 そこで前からこの手のシーリング材をマジで熱望しており、床板と違ってトイレだったら大家に対してむしろ施工してやって感謝しろとはっきり言えるので、こっちの方では何も迷わず今回このシーリング材を使ってみました。そもそも頻繁ではないので漏水をこれで防げるようになったかはまだ経過観察が必要ですが、見た目的には白くてカピカピした接着剤と比べれば純白、というか象牙色したシーリング材は悪くなく、またプラモで鍛えた手先を活用して付属のへら使って割ときれいに設置面に沿って塗れたのでかなり満足しています。少なくとも、以前の接着剤の時のように深淵を覗くかのような黒い穴は全く見られないほど埋めることができ、漏水対策としてもかなり期待できます。

 こんな感じで、恐らく中国に来なければまず体験することのなかったDIY工事を自分は中国来てたくさんやる羽目となっています。前には壁紙も貼ったし。
 こうしたDIYをやってて思うこととしては、内装屋さんは本当に偉大だなぁという敬意です。やってみなければどれだけこれらの作業が難しいかはまず知ることなかったでしょうし、日本国内であれだけきれいな内装を当たり前のようにこなす職人にはリスペクトしかありません。ってかあんだけきれいにやれるんならプラモとか作らせたらどんな感じなんだろうか。

 ちなみに今日はF-22ラプターのプラモを作っていたほか、裾がほつれかけていた布団カバーに補強とばかりに縫い直したりしていました。なんか指先使うことの多い一日だったな(´・ω・)

2024年12月27日金曜日

自動車業界の巨星こと鈴木修の逝去

 リンクは貼りませんが各種報道でも大きく扱われているように、自動車大手スズキの元会長で相談役であった鈴木修が亡くなられたそうです。彼についてはこれまでもこのブログで何度も取り上げてきましたが、経営において重要な場面において悉く成功に至る決断を下しており、あまり認知されていませんが日本自動車市場においてトヨタに次ぐ第2位のシェアを持つに至るまでスズキを大きくさせた立役者です。文字通り日本自動車業界の最長老とも言うべき人間で、また一つの時代が終わったことを強く感じさせられます。

 鈴木修の好決断を挙げれば切りがないですが、まず第一にあげられるのは現在も納車2年待ちはざらと言われるジムニーの買取でしょう。知ってる人には早いですがジムニーの設計ははスズキではなくホープ自動車で、この会社が自動車事業を撤退する際にジムニーの権利売却を図ったところ、車内全員が大反対する中で鈴木修が「婿養子の分際で」などと言われながら買取を決断したと言われます。それが半世紀近くも世界中で売れ続けるベストセラー車となりスズキの顔となるのだからまたすごいものです。

 また会社経営においてはやはりVWとの提携解消でしょう。対等な提携という約束だったのにスズキに対する支配を強めようとし、挙句には自慢のクリーンディーゼルエンジン技術も一切共有しようとしない態度を見て、会社規模では大きく劣るにもかかわらず提携解消を申し出たところ、VWのディーゼル不正が明るみとなり、提携解消手続きが遅れれば巻き添えで株価下落に遭うところでした。
 多くの人が指摘している通り、鈴木修はVWにディーゼルエンジン技術はないと見抜いてこの提携解消に動いたとされています。その眼力もさることながらこれだけ自動車技術に精通した経営者はこれまでいなかったともいわれます。

 そんな鈴木修の一般的ではないエピソードとして過去にこのブログでも書きましたが、静岡県内の自動車サプライヤーに勤める知り合いがある年の年初の挨拶にスズキへ伺い、その時に初めて鈴木修とあったそうです。その翌年も機会があったところから訪問したところ、顔を合わすなり知り合いの名前をいい当てたそうで、たった一回の顔合わせで相手の顔と名前を完璧に覚える人物だったそうです。
 実際この知り合いも、今まで見てきた経営者の中で図抜けた存在だったと恐懼していました。

 そんなカリスマが亡くなったことでこれからのスズキはどうなるのか、と言いたいところですが、恐らく今後もスズキが大きく揺らぐことはないでしょう。というのも事業継承はすでに果たされており、またこれからの時代にスズキが一人でやっていくことは難しいと考えていたのか、すでにトヨタとの提携を深めその経営においてトヨタの支えをしっかり備えさせています。
 トヨタ側も元から創業家同士で仲が良かったこともあり、スズキに対する信頼は人一倍強いように見え、急に身代が傾くことはまずもってないでしょう。


 最後に上の記事において

「また、アルトの名前の由来は、イタリア語の『秀でた』という意味だった。これを鈴木氏は発表会見で『あるときはレジャーに、あるときは通勤に、またあるときは買い物に使える、〝あると〟便利なくるま』とアドリブで説明。一連の鈴木氏のひらめきがアルトのヒットにつながったとみる向きもある。」

 という話が載せられていますがこれを見て、初代スイフトのテレビCMのキャッチコピーの「泣く子も黙る79万円」は、もしかしてこの人が考えたんじゃないのかという疑いがもたげてきました。だとしたら相当な親父ギャグ使いだったことになるな(;´・ω・)

2024年12月26日木曜日

米国人のルーツに対する自己認識


 無駄に震電Ⅱの画像を撮りためてます。っていうかこれの元パイロットの声がなんか違うように感じてたら、やっぱり声優が蘭姉ちゃんから変わってたし。

 話は本題ですが先々週あたりに、近くの映画館では上映していなかったので遠くまで(チャリで20分)言って映画の「グラディエーターⅡ」を見に行きました。前作の1も当然見ていましたが、1で主役のラッセル・クロウを食うほどの怪演を見せたホアキン・フェニックスなしで成立するのかと思いきやこの2作目も素晴らしい出来で、各俳優陣の演技も申し分ありませんでした。
 個人的には顔の濃い銭湯設計士が出てこないかなと期待しましたが、さすがに出てきませんでした。まぁ阿部寛氏なら普通にグラディエーターに混ざっていても誰も気にしなかったでしょうが。

 それで1作目のグラディエーターですがこちらも大ヒットを記録して、その後「300」をはじめとして「ソードサンダル」と呼ばれるローマ物ハリウッド映画のブームを引き起こしています。このブームについて知った際に私は、そもそも縁もゆかりもないローマの歴史作品に米国人は共感するのだろうかという疑問をやや抱きました。
 それこそ日本人にたとえるなら、その文化のルーツともいうべき中国の古代史作品で盛り上がっているように見え、確かに日本人も「キングダム」がヒットしていますが、米国人的には入植期の欧州よりも、なんか古代ローマの方が自分たちのルーツとしてより共感を持っているようにも感じました。

 実際のところどうなのかはさすがにわかりかねますが、そもそも米国が国としての歴史が短く、また移民国家ということもあって国民のアイデンティティを形成するルーツをあまり持たないことは間違いありません。

 同じく映画の話で言うと、以前だヒットした「ブラックパンサー」では米国生まれ米国育ちだけど、祖先はアフリカ大陸から連れて来られた奴隷である黒人層の間で、祖国を持たないアフリカ系米国人というキャラクターに強い共感が得られ、ヒットにつながったという話を聞きます。
 この話からすると、黒人層に限らず白人層も一応は英国系、フランス系、イタリア系、アイルランド系と自認する層が米国にはいると聞きますが、それでもその自分のルーツに対する意識は我々日本人と比べると希薄であるような気がします。

 そんな自分ら日本人を比較にすると、日本人のルーツに対する意識は恐らく世界的にも非常に強固な部類に入ると思えます。というのも、人種、国土、歴史、文化のすべてが結びついており、自分が日本人であるということに疑いを持つ日本人は日本国内においてほぼいません。
 祖先にはニンジャやサムライがいるし、すしやうどんという独自の食文化もあれば人種的にも単一性が非常に高く保たれています。

 もっとも日本国内においては在日韓国人やアイヌ系民族の方もおり、必ずしも完全統一されているわけではありません。でもって特に在日韓国人の方においては、やはり自分のルーツについて悩むことが多いと聞きます。

 話を米国に戻すと、まずアイデンティティの形成においてはその民族や文化に対するルーツの意識が非常に重要であることは言うまでもありません。その上で米国人は私の目から見るとそのルーツ意識が弱く、かえって比較的近い時代の近代ヨーロッパ以上に、遠い昔のローマの方がよりルーツを持っているように見えます。
 何故かというと古代ローマの文化はヨーロッパ世界の根底を形成したものであり、ヨーロッパにおける万人にほぼ適用できるほど汎用性が高いからです。また時代が遠い昔なので、実際の人種とか血統についてとやかく考えずに済むというのもある気がします。
 まぁイタリア系米国人なら、ある意味自分のルーツだと主張することに強い正当性を備えていますが。

 以上はあくまで自分の勝手な憶測に基づく見解ですが、ルーツをベースとしたアイデンティティは日本人と比べた場合、米国人はやはり弱いというのはかなり自信があります。その上で今回こうして考えてみて、アイデンティティをルーツで補強しきれないから日本と比べて米国は宗教が強くなるのかなとも思いました。
 逆を言えば、日本人はルーツ意識がかなり強いから、宗教によってアイデンティティを補強する必要がないからこそ、そこまで宗教に関心を持ったり、活動する人も少ないのではないかという仮説ももたげてきました。この辺は日本人以上にルーツ意識が強い、中国人にも当てはまってきます。この辺、掘り下げればもっと色々思いつくことも出てくる気がしますが、先行研究とか呼んだ方が早いかもしれません。