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2025年6月7日土曜日

日本に鉄砲を伝来させた倭寇

 今日本で世界に誇れる技術としては、私の中で米軍すらあきらめたのに海上試射にまでこぎつけたレールガンを挙げます。アニメになぞらえ「とある海自の超電磁砲」などとも呼ばれていますが、正式配備には「美琴砲」とか「ビリビリ砲」などと言うのかと思いつつ、原点に立ち返って「TANEGASHIMA CANNON」などと言っても格好いい気がします。
 その種子島は言うまでもなく日本における火縄銃の伝来地でその代名詞ですが、この伝来には実は倭寇の頭目が関わっていました。

王直(Wikipedia)

 今年初めから倭寇のコラムを連載しようと着々と準備しているのですが、そもそも倭寇ってどういう人たちで、どんな活動をしていたのかということをまず読者にイメージさせる必要があると常々感じてました。こうしたイメージはモデルとなる代表的人物の人生を紹介したりすることが手っ取り早いのですが、そうした典型的倭寇モデルを探していたところ一番最適だと思ったのが、この王直でした。

 王直という名前を聞いて多くの人は漫画のワンピースに出てくる海賊をまず想像するかと思いますが、恐らくそのキャラのモデルもこの倭寇の王直でしょう。彼の経歴を簡単に説明すると、元々は別の倭寇の頭目の手下で浙江省沖にある双嶼という離島でポルトガル人と密貿易をしていたそうです。この辺りは漫画の「ブラックラグーン」に出てくるラグーン市に近いです。
 ただその双嶼も明の摘発を受けて崩壊し、それから王直は独立して手下を従える倭寇となり、ポルトガル人だけでなく日本とも密貿易を行うようになって勢力を拡大していったそうです。

 この密貿易で交易された品々は、ポルトガルからは火縄銃や大砲、天文機器などの当時としては科学技術の詰まった品々を買って、中国市場に流していたそうです。一方、日本に対しては中国から衣類などを主に持ち込み、逆に日本からは火薬の原料となる硫黄などの鉱物を主に仕入れて中国市場で販売していたそうです。いわば中国が製品を作り、日本は原料を提供するような貿易関係で、中国で二束三文の衣類が日本だと金、銀換算で数倍の金額で交換できたとされ、かなりうまみのある取引だったそうです。

 先に結末を話してしまうと、この王直は勢力も大きかったことから明の役人の中には過去の罪を水に流す代わりに投降を促す人もいました。明政府も倭寇を取り締まろうにも予算も軍隊もなく、また倭寇の側も重税にあえいで密貿易でもしなければ生活していくことはできず、現場の役人の中には幕末よろしく明政府に海禁政策を止めて開国するよう進言する人もいました。
 王直としても合法的に貿易ができるなら何も言うことないと先の投降の呼びかけに応じたのですが、新しく来た役人は彼の投降を認めず、ホイホイと出頭してきた王直を捕えて処刑してしまいました。この辺りの流れはまんま水滸伝です。

 そんな王直ですが、日本では主に今の長崎県にあたる平戸に拠点を設け、ここで日常的に居住するなどかなり日本に根付いていたそうです。現地の領主である松浦氏も貿易のうまみを得るため彼を保護し、本国である中国では追われ者という立場もあって、日本を海外逃亡の拠点として使っていました。
 ところがある日にポルトガル人とともに航海中に船が難破し、流れ着いたのがあの種子島でした。ここで現地領主の種子島時尭らに対し王直は筆談での通訳を務め、その鉄砲の供与の場面に居合わせていたそうです。

 まじめにこの辺のくだりは日本史の教科書に王直の名前とともに自分は載せてもいいと思っています。何故かというと戦国時代においても倭寇が活発に、九州周辺で活動していたことを伝えられるとともに、当時の大航海時代を取り巻く状況の一端を教えられることができるからです。
 先にも述べた通り王直ら中国人が頭目を務める後期倭寇は当初、ポルトガルと中国間の密貿易を主に行っていました。ところが摘発や競争が強まるや日本との密貿易を行うようになるものの、先の鉄砲伝来のあたりから日本は中国を介さずポルトガルなど南蛮人との直接貿易を活発化させていきます。無論、それ以降も中国との密貿易は続いていたと思いますが、日本側としては以前よりそれが密貿易であるという自覚はほぼなかったでしょう。

 こうした東シナ海を中心とする日中西洋の貿易構造というか物流は世界史を見るうえでも、また九州や堺の商人や大名の力関係を比較する上でも重要なポイントだと思え、単純にロマンを感じます。この辺を中国側の資料を中心にコラムで書いていくつもりで、自分にしてはなかなか面白いトピックに手を付けた気がします。

2025年6月5日木曜日

説明がまるで具体性を欠くJA

 だんだんと暑さに慣れてきたとはいえ、今夜はなんか蒸し暑くてげっそりします。これでも今日の最高気温は30度ちょいで、夏本番には上海は40度くらいまで行くからもう少し我慢しないといけないけど、来週あたりは扇風機を使うことになりそうです。


 さて備蓄米の放出で少しずつ改善の兆しがみられてきた令和の米騒動ですが、この問題の発生原因についてJAがかたくなに口を閉ざす中、小泉農相からかなり具体的な話が出てきました。ぶっちゃけこの内容が真実だったら、米価高騰の原因は明らかに流通というか途中の悪徳卸売業者にあると判断していいでしょう。っていうかこの手の業者は打ちこわししてもいいと思う(´・ω・`)

 しかし残念なのは、こうした具体性ある説明をJAがこれまで一切してこなかったことです。さすがに「いくらで売っているのか?」と各卸売業者に聞くのは独禁法に引っかかる恐れがありやるべきではないと思うものの、米の仕入量、売量くらいは聞いても問題ないかと私は思います。前年比で倍以上高騰するという異常状態でもあり米離れを防ぐためにもこうした調査を行い、仕入量に対し販売量が極端に少ない、米をスタックして価格を吊り上げようとしている業者くらいは独自に調べ、排出しない限りそこには今後米を回さないなどの対策をJAなら取れたと、これまた私は思います。

 また小泉農相が動くとともに事態が動き出すや、失言した元農相をはじめ急にJAの肩を持つ発言する人が増えましたが、どの人の話を聞いてもJAに問題がないと判断する論拠は見当たりません。それどころか、備蓄米をなかなか出荷しなかったことについて精米や梱包に時間がかかるといった言い訳が各大手小売業者の迅速な対応ぶりからも嘘だったことが明るみとなった時点で、今回の米騒動の真犯人はやはりJAだったかと信じる論拠になってくるような気がします。

 ぶっちゃけJAの人の発言に関する報道を見ていると、旧左翼連中の話し方にすごい似ているなと前から感じていました。具体的には、

・数字根拠を絶対に出さない
・素人にはわからない苦労や問題があると主張するが、その問題の中身には触れない
・核心を突く質問が来たらすぐ話題を変える(その指摘はともかくとして、問題点は別にあってetc)
・最後の方になると「何が問題なんだ!」と逆ギレし始める

 昔ならこれで通用したかもしれませんがさすがに現代ではもはや通用するわけでもなく、私自身も農政に詳しくないからこれまで表立って激しく批判するのは控えていたものの、一連の動きと彼らの主張や説明の矛盾からもはや躊躇する必要はないと思うに至りました。過去の記事でも述べていますが日本の農政を追い込んでいるのはやはりJAであり、その解体も視野に入れた改革をすることこそが日本の農業を救うことになるという確信が持てるようになりました。
 少なくとも、JAの金融部門は完全に切りはなさなければならないとは思え、この点を含め今回の米騒動を契機に一気に物事が進むことを陰ながら祈っています。

2025年6月4日水曜日

長嶋茂雄の逝去と昭和の終わり

 すでに各所で報じられている通り、ミスタープロ野球こと長嶋茂雄が逝去されたとのことです。この報道を見て私が感じたこととしては、これで完全に昭和という時代が終わり、現代ではなく過去となったという感傷でした。

 かつてコラムニストの佐野真一がその著書や講演にて「昭和とは美空ひばりがいた時代」と評していました。この表現にも私は異論はなく、美空ひばりは確かに日本の昭和時代を代表する人間であり、平成の訪れとともにこの世を去った点から言っても象徴的存在であったと思います。ただそれを考慮しても昭和という時代をもっとも代表する人物はやはり昭和天皇と長嶋茂雄だったと思え、平成期にも監督として活躍してはいるものの、やはりその人物性は昭和という時代の中で語られるべきだと思います。

 私自身は昭和末期の生まれのため選手時代の長嶋茂雄を見ていませんが、友人の大学での指導教授が「昭和とは?」と聞かれて「長嶋茂雄」と答えたという話が今でも印象深く残っています。友人がその意とはとさらに尋ねたところ、「うまく言えないが、昭和という時代は長嶋茂雄とともに常にあった」と話したそうで、同時代を生きた人間からすればその昭和における存在感が圧倒的だったということを垣間見るエピソードとしてたまに引用します。

 もちろんほかにも世界のホームラン王こと王貞治氏や、八甲田山の映画などで活躍したい北大路欣也氏、そして我らが足立区のたけしも存命中で活躍を続けられているものの、長嶋茂雄を超えるほど昭和を代表する人物はもはやいないと断言でき、一つの時代が完全に終わったと私の中では感じられます。それにしてもナベツネも死んで間もないのに長嶋茂雄も亡くなるとは、なかなか時期が重なるものだと思います。

 私個人の意見として、平成というのは昭和の延長でありあまり独自の時代という印象はないのですが、逆に令和はその前の時代と明確に区別されているというか切り離されており、周りに聞いても令和で価値観などが一新されてきたと話す人が多いです。その点を踏まえても、これで日本も昭和の呪縛めいたものから少し解放され、また新たな文化や価値観が令和において芽生えてくる端緒となってくるかもしれません。
 もっとも、令和の次の時代でも山本昌氏は元気に活動し続けてそうだけど。

2025年6月1日日曜日

次回参院選の行方は?






 中国は明日は端午の節句でお休みで、今日は朝から1日中雨なプラモ日和だったのでシャーマンことM4A3E2、通商ジャンボのプラモを作って遊んでました。シャーマンはバリエーション多くて、同じ型でいろんな商品作れる当たり、プラモ屋を潤すために生まれてきたと思うところのある戦車です。

 話は本題ですがこのところよく取り上げる日本の米価高騰について、江藤前農水大臣の米を買ったことない発言で次の参院選は自民大敗で決まりと踏んだのですが、後退して小泉農水大臣に代わるや迅速な判断で備蓄米が流通し、党として先の失言を埋め合わす活躍がこのところ見られます。無論、安価な備蓄米が尽きた後にまた価格が戻る可能性もあるし、この後更なる失言が続く可能性もありますが、現時点で見れば農水族の嫌味に負けず小泉大臣はしっかり働いていると私も思います。
 っていうか彼は前の環境大臣が全く合ってなかったんでしょうね。

 そんなこともあり、今年夏に予定されている次回参院選についてその勝敗が現状、全く読めません。前述の通り小泉大臣は今評価されていますがこの後でいくらでもひっくり返る可能性もあります。ただ自民党全体で失言に気を付けてさえいれば、国民民主の玉木代表の「家畜の餌」発言をはじめ、野党の方が調子に乗って勝手に失言増やして自滅していく可能性の方が高いと思うだけに、如何に出血を抑えるかがポイントになるかと思います。
 失言のほかにも立憲民主を含む野党では、蓮舫氏や山尾氏など、立候補そのものに批判が起こる議員を批判を恐れずに擁立しており、攻め所が結構多いです。ぶっちゃけ私もこの二人の擁立は疑問しかなく、特に蓮舫氏に至ってはもはや完全に政治家として終わった人物だと捉えており、また本人の判断力というか言動もかなり怪しくなっているように見え、選挙戦中に何かやらかす(立候補批判者に対する逆批判など)可能性が高いとすら考えています。

 仮に自民党が選挙まで米価高騰対策にこのまま成功を維持し続け失言を防げれば、勝利と行かずとも負けもせず、政権を維持できるだけの結果を得られるのではないかと思います。逆に野党が議席を伸ばして敗北ととらえられれば石破政権はもう持たず交代となり、自民党内にもむしろそのような結果をすでに予想していたり、望んでいる議員も多いんじゃないかと思います。なのでトピックとしては、大敗しなかった場合に石破総理が下りるか下りないか、下りる場合には次に誰が来るかというのが目下の論点でしょう。

 その次の総理に関しては、やはり現状で見ると小泉大臣の確率がかなり跳ね上がってきたという風にも見えます。目に見える政策で存在感を出すことに今回成功しており、世間の評判も悪くないだけに、選挙戦でのパフォーマンスによっては一気に総理になる可能性もあるように見えます。逆に、次の総裁選を狙ってか表立った発言をせず選考を続けてきた高市氏は、露出が少なすぎて若干フェードアウト気味であるように見えます。なお先に言っておくと、私はあまり彼女の方針や価値観にあまり賛同できないため、やや批判的な立場を採ることが多いです。

 また総理の席のほか、連立再編について岸田前総理がこの前口にしており、何かしら水面下で動きがあるのかもしれません。一時は国民民主がかなり接近していましたがこの選挙直前になって再び自民と距離が開き、先の玉木代表の発言などもあって関係も冷え込んでいます。その一方で立憲民主とは年金関連法案でやや動きがあり、野田代表の価値観も自分の党より自民党のがかねてより近いところもあるだけに、裏で何かあるのかもと少し疑っています。

 以上のように何もはっきりしたこと書かずあいまいなことばかり口にしましたが、先月と現在で参院選の予想は一気に霧が濃くなったというのが言いたいことです。もう期限も近いだけに今後は一つ一つの発言が大きく影響すると思われ、予断が許せなくなるとともに予想の上ではどんな動きも見逃せないかなと思います。

 最後に、もう一つの大きな懸案だった米国の関税問題については、「トランプに何言っても無駄┐(´д`)┌ヤレヤレ」ということを日本国民の多くが理解しているように見え、交渉で日本が何も得られなくても政権ダメージにはつながらないかと思います。この点は石破政権にとってラッキーというか追い風で、先のUSスチール買収問題に片を付けただけでも十分だと思います。
 なお次の総理に関してはかねてから贔屓にしているリンに今度こそ来てほしいと密かに願ってます(´・ω・)

2025年5月31日土曜日

米価高騰はJAのせいなのか?

 昨年から日本のトップニュースをひた走り続ける米価高騰ですが、本日より一部小売チェーンにて備蓄米の販売が開始され、朝も早くから大勢の人が並んで購入するなど事態が刻々と動いています。
 一方、最初の入札でJAが購入した備蓄米は入札からしばらく経っても市場に全然流通していないと報じられていましたが、現時点の流通状況はどうなのかについて続報はありません。
 この一連の米価高騰について、JAを批判する声は少なくありません。先の流通しない備蓄米いい、全国の多くの農家を束ねる中心的存在であることもあって、価格高騰を引き起こした主犯だとか、対応に問題があるなどといろいろ言われています。しかしJAの側もいろいろ弁解を行っており、今回の米価高騰は意図したものではなく突発的なもので、また根が深い問題ゆえに対応が難しいなどと主張しています。

 そのため、今回の米価高騰はJAのせいかというトピックで今あちこちで議論が見られます。結論から述べると、私自身はJAの責任はめちゃ重く、実質的にこの高騰はJAのせいだという風に思います。
 初めに述べておくと、私自身農業についてあまり詳しくなく今回のトピックは各種報道を見た上での判断に過ぎません。ただ農業には詳しくなくてもロジックには詳しい自信があり、報道で見受けた指摘やJA自身の発信の論理から上記結論に至っています。

・根拠その1、発言がコロコロ変わっている
 当初、具体的には去年年末に高騰し始めた段階ではJAはまだ、政府要請を受けて米価高騰に対し対策に取り組むなどと主張してきました。しかし高騰がその後も続くと、「農家の手取り問題がある」、「JAだけの責任じゃない」などと責任転嫁をする発言へと変わり、現在に至っては今の高価な状態を「かえって今くらいが適正価格だ」などと主張するに至っています。
 もちろん上記のJAの発信がJAの総意ではなく一部の人間の発言である可能性もありますが、少なくともこれら発言をJAが否定するような報道は見ていません。ただでさえ高騰が激化していてちょっとした発表によって消費者も影響されやすい状況であることを考えると、その迂闊な発信姿勢についてはかねてより疑問を思えていました。

 そもそも上記の適正価格発言に関しては、理解の使用がありません。江戸時代みたく飢饉が起きているわけでもないのに、前年同期比で単価が倍にも高騰している状態を適正価格というのは何をかいわんやです。仮に末端農家の収入を考慮しての発言だとしたら、何故これまでに価格引き上げに努めてこなかったのかを問い詰めたくなります。
 少なくとも1年でこれだけ価格が倍にもなったら米離れも十分起こり得て、それによって全体市場規模が縮小するリスクの方が高いと言わざるを得ず、今の価格が適正価格だというのら最低でも数年かけて今の水準に持ってくるべきで、1年で倍となったこの状況を是とする姿勢はどう考えても理解できません。

・根拠その2、価格安定に対する取組内容を一切口にしていない
 今現在、コメの流通はほぼ自由化しておりJAが必ずしも全量を取り扱っているわけではないものの、それでも絶対数では圧倒的首位にあり、価格に対して政府よりも強いイニシアチブを持つ組織であると言わざるを得ません。もちろんそれでも価格は市場が決めることなのでJAの思うがままではないということは理解できます。
 しかし、そのJAがこれまで米価安定について具体的に行った取り組みというのを私は一度も見たことがありません。見たことと言えば「出荷量はこれまで通り、または少し増やしているなのに流通しない」と言い訳くらいで、だったら何故流通経路というかサプライチェーンを確認しないのかと殴りたくなる言い訳でした。

 少なくともある程度サプライチェーンを把握している立場であることから、コメの流通経路を追うなりしてどこか流通を止めていないか、または価格高騰を促していないかの調査くらいはやれよと思うものの、今のところそうした動きは見られません。そのため高騰の原因についても諸説乱れて無駄にヘイトを高め合っている状態にあります。
 前述の通り日本は今飢饉にあるわけでもないし去年の収穫も劇的に落ちているわけでもありません。訪日外国人客の増加によって消費量がやや増えているという事実はその通りだと思うものの、単価が倍になるほどの消費量増加とは言えないでしょう。燃料費などの高騰を価格上昇の原因に挙げる人もいますが、何も原油価格や人件費が倍になったわけでもなく、やはり以上を踏まえるとすでに転売ヤーも出ているだけに流通が価格高騰の主犯だと考えざるを得ません。

 その流通に対してJAは何をやっているのか。もちろん販売価格を指定することはいけませんが大量の米をスタックしている業者を調べるくらいの行動を取らないのかがかねてより疑問で、それ以外の価格安定化も消極的というか日本人得意の「やってますアピール」で何もしているように見えず、この点で批判を受けるのは当然だと思います。

・根拠その3、備蓄米が流通しないことの言い訳
 農水大臣が小泉氏に代わるまで、JAは入札した備蓄米が流通しないことの言い訳として「精米に時間が価格」とも主張してました。しかし冒頭でも書いたように先の入札で備蓄米を得た大手栗チェーンは精米したうえでの販売を今日から開始しています。精米に関しては最もノウハウと供給能力を持っているのはJAと思うだけに、備蓄米流通の遅れに関してもその責は免れないかと思います。
 ただこの最初に放出された備蓄米に関しては、入札で市場価格よりも高い金額での落札であった点から、JAでも赤字販売でなければすぐ流通させられない主張は至極もっともだと思います。私個人の意見としては、第1次報酬の備蓄米は余ってる分だけでも落札価格で政府が買い取り直し、前回入札の通り再び小売業者に配るべきなのではとも考えています。

 全部書き切れたわけではありませんが、大まかな判断理由としては以上の通りです。特に2番目のサプライチェーンの問題については、ドン・キホーテが5次問屋まであるのが原因と小泉農相に意見書を出すなど根深い問題だと思え、これを機に大幅な改革を行うべきじゃないかと思います。
 具体的には農家から小売業者までのサプライチェーンを効率、短縮化するように図り、両社のマッチングを支援するとかがありますが、政府主導でやるとなると農水族が抵抗するのは目に見えています。個人的にこうあってほしい案としては、今回入札に参加した小売業者らが共同で一次問屋業者を設立し、農家との調達取引交渉や分配まで行ってはどうかと考えています。

 私自身はかねてからJAという組織を疑問視しており潰すべきだという立場を持っていましたが、色々報道を見るに農家の方からすればワンストップで農業業務取引を行える相手で必要だという意見が見られました。とはいえ業界改革は必要で、以前にも主張したようにJAが業界単独で存在することが一番の問題だと思え、対抗馬となる別組織を設立することが、JA自身にも改革を促す上で市場いいように思え、上記の通り小売業者らによる共同大規模代理店の設立が落としどころじゃないかと思うわけです。

2025年5月28日水曜日

ホンダジェット模型を巡る中国の闇(´◉◞౪◟◉)

 先日、たまたまYouTubeでホンダジェットの解説動画を見る機会がありました。かねてからその羽の上にエンジンを載せる特異な設計に関しては聞いてはいましたが、改めてそこへ至った経緯などを解説されて俄然興味が湧き、実際に手に取ってその形状を確かめたいという欲が湧いてきました。言いてしまえば、またプラモかなんかでホンダジェットの模型を触ってみたいというわけです。


 そんなわけでいい模型ないかなと早速検索かけてみたところ、組み立てプラモのほか完成品ダイキャストモデルとして上記リンク先のページに行き当たりました。ただやけに値段が高いのと、なんか販売説明がおかしいように思えてコメント欄を見ていったところ、

「数年前に楽○でも予約注文していたのですが、いつまで経っても商品到着せず、予約した販売店に問い合わせると、実はエブロが委託していた中国の生産工場で部品と金型などの盗難事件が発生。そのまま部品を盗んだグループが中国だけで勝手に模倣品の生産を続けて販売しようとした事がホンダに発覚し、怒ったホンダ側はエブロへの生産・販売権を停止。日本で本物の1/144サイズのエブロ製ホンダジェットは生産も販売もできなくなった…という事です。楽○にテナント加入していた某模型店ですら確認するまで連絡もなく返金を渋られたロクな思い出がありませんが…」

 という、衝撃的な事実が書かれていました。さらに調べてみたところ、この商品を販売していたEbbroブランドを保有する有限会社エムエムピーが昨年3月に倒産していたことまでわかりました。つまり、メーカー自体がもうなく、正規品が新たに流通することはないということです。

 組立プラモもこのEbbro製しかなく、上記内容が事実なら新たに購入することは難しいこととなります。となるとほかのメーカーが新たにホンダジェットの模型を発売しない限りはもう手に入らないのかなと、自分もあきらめの気持ちが芽生えてきました。


































売っとるやん!


 ふと、中国で金型が盗まれた云々が気になったのでタオパオで検索をかけてみたところ、すでに倒産していて存在しないはずのEbbroのブランド名を引っ提げてホンダジェットの模型がいまだに売られていました。お値段も135元(2700円)とお得で、自分がこの前かった飛行機のプラモより安いです。
 っていうかこのブランド名からしてこれ本当に売っていい商品なのかよ、それどころかホンダもきっと流通や販売許諾してないだろと、ツッコミどころが多くて仕方ない状況です。そうした諸々が気になるところから、興味はあるけど買っていいか迷うだけに今のところはまだ注文を出してはいません。なんかAmazonのレビューも部品取れやすいとかいろいろ書かれているし。

 なおタオパオに関しては先月、ストレスたまっていたのかほぼ毎日何か注文しては届くたびに「なんで買うたんやろ」と言いながら使わず処分することが多かったのですが、ここにきてようやくその妙な買い物依存症が終わりを見せて注文しなくなりました。この間不眠がひどかったので耳栓も2個買ったり、眠りがよく案る香りスプレーとかも買いましたが、一番効果あったのは通気性良くて蒸れないアイマスクでした。耳栓も後に買った方は活躍中です。
 プラモも今電子戦機のグラウダーとM4シャーマンのジャンボって呼ばれた型式のを組み立て前でキープしてます。こんな状態だから買い物欲も落ち着いてきたんでしょう。マジで先月は狂ったように注文してマグカップとかも増やしましたが、間違って送られてきたあのカップはなんか心理的ダメージデカかったです。

2025年5月25日日曜日

維新は「倒幕」ではなく「武家社会の打破」が目的?

 先日の記事で私は大政奉還の公式最速記録にあたる大久保忠寛のエピソードについて触れました。このエピソードで記事を書くにあたって構想を練っていた際、改めて「そもそもなんで徳川慶喜の大政奉還に対して薩長は納得しなかったんだ」という疑問点を思い出しました。
 あの正式な大政奉還の時点で、少なくとも島津斉彬らが構想していた天皇を中心とした新たな政体の成立は約束されており、徳川家がその後も存続するとはいえ、危ない橋を渡ってでも戊辰戦争を起こすまでの必要性があるのだろうかと、実はかねてから疑問に思っていました。実際、土佐藩など大政奉還を主導した手前もあり「もう許したれや」的に薩長を牽制していましtが、薩長は徳川家に対し所領の全放棄ともいうべき要求を出して無理やり戦争に持ち込み、幕府の完全討伐を図っています。

 この辺りの事情というか何故大政奉還ではいけなかったのか、どうしてそこまでして徳川家を潰そうとしていたのかがかなり前から不思議でした。よく言われる説としては「薩長が徳川家に成り代わって圧倒的権力を掴みたかった」というのがありますが、その後の明治時代を見るとこの討幕を積極的に進めた維新の元勲たちはかつての主君である藩主らを裏切り、廃藩置県などを続々と実施してむしろその権力を削いでいきます。途中で変節したと言い訳することもできますが、この説はなんか違うような気がしてなりません。

 もう一つの説としては、いくら大政奉還したとしても徳川家の所領や影響力は他の大名家を大きく突き放しており、徳川家がいる限り大胆な改革は行えず、何が何でも今ここで潰しておくべきという意見です。恐らくこの説が最も有力だと思え私も納得する部分がないわけではないですが、仮にそうだとしても、あの時点ですぐ戦争吹っ掛けるほどまで切迫していたのかという点で疑問が残ります。
 それこそ新しい政体が発足した後にあの手この手で難癖付けて弱らせていく方が、時間はかかるとはいえ確実であるような気がします。また新規政体に幕府側からはかねてより改革に熱心で薩長の志士たちとも仲の良い松平春嶽なども参加することがほぼ確実視されており、あそこまで焦る必要があったのかとやっぱり疑問です。

 以上のような疑問について今回、改めて大政奉還の意義と戊辰戦争勃発の原因というか背景を考えてみた際、そもそも薩長側は倒幕が目的ではなく手段であり、その本当の目的は武家社会の破壊、つまり武士そのものをこの日本から完全に消し去ることが目的だったんじゃないかという気がしてきました。

 この考えのもとになっているのはかねてから引用している保坂正康氏の「明治維新は二重の革命だった」説です。これは明治維新は薩長による徳川幕府に対する革命のほか、下級武士による上級武士に対する革命だったとする説で、西郷隆盛や山形有朋といった明治の元勲には武士と呼ぶのも墓場られるくらい低い身分の者のほか、伊藤博文など農民出身者もおり、彼らは武士社会から恩恵を受けるどころか迫害を受ける立場であり、だからこそ武士であることに執着なく、冷酷に士族を切ることができたという解釈です。
 基本的に上記主張に私からも何の異論はなく実際その通りだったんだろうと思っているのですが、この下級武士による上級武士への革命は結果的に起こったものであり、意図したものではなく、たまたまあの時代に能力を持って革命で成り上がった層が下級武士たちが主だったからだと考えていました。しかし今回、この革命も幕末において意図されたもの、つまり武士をこの世から抹殺することを考えていた者がいたからこそ、性急に徳川家を潰そうと戊辰戦争が起きたのではと思うようになりました。

 そもそも一体何故武士を潰そうとしたのか。背景理由としては上記の通り、当時大きな決定権を持った維新の元勲らが武士という身分そのものに執着がなかったことがあるでしょうが、やはり新たな時代を迎えるにあたり武士という身分そのものが邪魔というか障害になると考えていたのではないかと思います。
 仮に大政奉還の後に新規政権が発足したとしても、恐らくその参加者は薩長や徳川家の有力者、それも武士だけに限られていた可能性が高かったでしょう。それどころかあまり働かず、社会にほとんど貢献しない武士の身分や特権がそのまま残り、廃藩置県や秩禄処分も実際に歴史通りにスムーズにはいかなかったでしょう。それ以上に、優秀な能力を持った武士以外の層の人間を登用が難しく、四民平等ともならなかったでしょう。

 この武士という身分の打破にあたって、やはりキーとなるのは徳川家の存在です。部門の棟梁を長年続けてきた徳川家がいるかいないかで武士という身分の社会保証や概念は大きく変わるように思え、本気で武士身分を完全抹殺するには、やはりあの時点で徳川家を叩き潰しておかないと無理だったのではないかと思います。実際、会津藩を代表する東北諸藩など徳川家を支持する勢力もまだ多数残っており、徳川家が残るということはそのまま武士が残るということにつながりかねません。
 だからこそ、政権を放棄したとしても新たな時代を迎えるために徳川家には完全降伏してもらうか、薩長という新勢力が叩き潰さねばならなかった、こんな風に武家社会の打破のために倒幕という手段が固執されたのではないかと思うに至ったわけです。

 では仮にその通りだとして、一体誰がこんな構想を持っていたのか。可能性があるというかマジで実際こういう風に考えて行動していたと思う節があるのは小憎らしいあいつしかないでしょう。もったいぶらずに言うと、岩倉具視です。
 武士がそのまま残ったら公家出身の彼は政治に参画できずそのままフェードアウトする可能性もあったでしょう。公家としての勢力を維持するのと、彼自身の徳川幕府、というより武士に対する異常なほどの反感から、倒幕以上に武士の撃滅を考えていたとしても不思議じゃないと思います。

 その上でもう一人、坂本龍馬が提案した大政奉還に大反対し、実際実施後も倒幕を強固に主張し続けたのは薩摩藩だったといわれます。その薩摩藩を動かしていたのはこれまた言うまでもなく西郷隆盛と大久保利通で、本来の最高権力者である島津久光なんかは後年に「倒幕なんて考えたことなかった。下の連中が勝手にやり始めただけだ」と述べています。
 となると、西郷と大久保の両方またはどちらかが武士の撃滅を考えていた可能性もあるような気がします。実際そうだと思うところがあるというか、明治以後の廃藩置県に至るまでのあまりのハイペースぶりからみても、倒幕前の時点で武家社会を崩壊させることが構想に入っていたのではないかと思えます。もしそうだとしたら、彼らの敵は外国列強でもなく徳川幕府でもなく、日本国内にいたすべての武士だったということでしょう。

 そもそも明治維新自体、本音と建前が完全に別々で世の中動いていました。末端の兵士らは「攘夷のために幕府を倒すと思い込んでいた」と言ってましたが、あの時点で群を動かしていた薩長首脳らは攘夷は不可能とはっきりわかっていましたがそれは口に出さずあくまで「攘夷のため」に倒幕するんだと実際に言ってました。でもって明治になると「攘夷?何のこと?(。´・ω・)」としらばっくれるわけです。
 この攘夷についての方便だけでなく、実際には「武士をこの世から消すために倒幕する」という目的も隠されていたのでは、というのが今回の自分の考えです。なにかしらそう伺わせる史料とか出てこないかな。