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2025年6月21日土曜日

「南米の春」に関する思考

 すでに報じられている通り、イランとイスラエルの本格的な衝突が起き、事態は今も沈静化せず過熱し続けています。これにより主にドローンなどの供給を受けていたロシアはその供給が途絶えるため日本にとってはプラスですが、イランの人々のことを考えると素直に喜べない気持ちもします。さすがに、先のパレスチナへの攻撃といい、近年のイスラエルの行動には疑問を覚えます。

 そもそも何故イスラエルがこれほど好き勝手やるようになったのかというと、トランプ政権の発足もあるでしょうがそれ以上に、米国がイスラエルを抑えられなくなっているというのが最大の原因でしょう。その米国にとって最大の黄金期はいつかと言ったら、それは間違いなく冷戦終了後から9.11までの90年代におけるクリントン政権時だと思います。恐らくこの時期ならイスラエルどころかロシアも抑え、紛争を和解に導くことができたでしょう。

 逆を言えば90年代、というより9.11以降、米国の権威は年々落ちてきています。独占していた半導体も今や台湾のTSMCなしには生産すらできない有様で、トランプは製造業の復活を掲げていますがいまや米国なしでは成り立たない産業なんてないどころか、米国が他国に依存しなければならない産業が年々増える有様です。そこへきてトランプの関税政策によってドル体制も揺らいでおり、ただでさえ米国は毎年巨額の赤字を積み増しているだけに、何かの拍子に一気にドル体制が崩壊する可能性も出てきたんじゃないかと懸念しています。
 っていうかシニョリッジを自ら投げ出すというのはなかなかできるもんじゃない。

 恐らく今後も、米国の権威は下がることはあっても上がることはもはやないんじゃないかと思います。言わば帝国の崩壊の途中にあるようなもので、今後象徴的な事件が起きるたびに米国はパワーを落とし、世界各国で紛争が起きても止められず、しまいにゃ米国自身も紛争に巻き込まれる気がします。
 でもって、この手の帝国の崩壊は意外と足元から起きることが多く、そうした観点に立つなら米港の裏庭こと南米あたりで今後何か動きが起こるのではないかという気がしてきました。

 実際既に、中米ですがメキシコでは一部地域がマフィアの跋扈によって無法地帯化しており、選挙すら行えない、っていうか選挙すると候補がどんどん殺されるような状況ながら、誰もその状況を変えられなくなっています。そのほかの国でも治安が崩壊している地域がいくつか出ていると聞き、こうした無法地帯から軍閥なり政権が出てきて米国を今後脅かしてくることも今後あるかもしれません。

 実際には意味は逆ですが、そうした「南米の春」があながち絵空事じゃなくなっているような気がするのですが当の米国はむしろ関心を弱めているようにも見えます。キーマンとなるのはやはりメキシコと南米の雄ことブラジルで、この二ヶ国が地理的条件から影響力を今後増してくるような気がします。幸いというか日本とは距離が離れすぎているので、この辺の影響はまず及ばないということですが。

 最後に極論を言うと、恐らく日本人としては米中の紛争に巻き込まれないで済むなら必ずしも米国追従じゃなくてもいいと考えている人が大半だと思います。それならガンダムのサイド6みたく、米中の周辺海域通行を一切とがめないけど領域内での戦闘は完全に禁止するような中立外交も今後選択肢に入ってくるかもしれません。

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