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2026年4月15日水曜日

特定キャラに肩入れして台無しとなった作品

 先日「特定キャラへの肩入れはよくない」という見出しで、特定キャラを愛するあまり偏った贔屓とかを作品で見せると作品そのものの価値を損なってしまう危険性について触れました。そこで今回は、個人的にまさにそうなってしまった作品と、贔屓にされたキャラクターを具体的に挙げて冷笑じゃなく例証していきます。

高遠遥一(金田一少年の事件簿)
 このキャラは金田一少年の事件簿に出てくる犯人の一人なのですが、ほかの犯人は基本シリーズごとの使い捨てで、一回登場したら自決するか捕まるかしてその後は出てこないのが定番です。しかしこの高遠は数少ない例外で警察の捜査から逃れ、ほかのシリーズにも登場しては犯人となる人物を唆して殺人を行わせるトリックスター的なキャラクターにされています。
 数ヶ国語を扱う(言語舐めるな)上に犯罪トリックをいくらでも指導するなど滅茶苦茶な天才として描かれ、私に限らず多くの人から原作者などにやたら愛されていると指摘されています。ただその溺愛ぶりについては一読者である自分からみると正直白けるものがあり、話の展開に詰まったからとりあえずなんでもできる天才キャラを配置して、無理やり話し作ってるようにしか見えませんでした。

 それ以前に、この高遠というキャラクター個人に対して私は全く魅了を感じませんでした。いつもなんでもわかっているようなセリフを吐きながら悉く金田一に悪だくみを見抜かれ、警察には捕まるけどすぐ脱獄するなど展開がお決まり過ぎてざらであり、シリーズによっては過去と矛盾することを平気で口にするなど作者にとって「都合のいいキャラ」にしか見えませんでした。
 私の周りでも高遠を評価する人は見たことがなく、またシリーズもこいつが出てくると大体つまらなくなるように見え、むしろいない方がよかったキャラではと思っていました。


 こちらはゲームのキャラクターですが、一時はこのキャラの評価を巡って滅茶苦茶掲示板が荒れていました。詳細は上のゲーム解説に詳しく書かれていますがかいつまんで話すと、作中でこのキャラだけ異常に持ち上げられており、また人を殺そうとすると呪われるような世界観設定に反して殺し屋稼業を営みながら全く呪いを受けなかったり、とにもかくにも特別扱いが極端になされていたことから批判の的となっています。
 そもそもこのゲーム、明らかに当初の発表ではこのロゼではなく別のキャラがヒロインとして紹介されていたにもかかわらず、途中から過去の発表はなかったことにされ、ロゼが作中メインヒロインとしていつの間にか変更されていました。プロデューサーは頑なにこの事実を認めなかったもののさすがにそれを信じるには無理がある状況で、むしろ否定していることからこのロゼの異様なゴリ押しはプロデューサーの意向によるものだったとみられています。

 この見ていて不快に感じるほどの贔屓ぶりにゲームそのもの内容の拙さからゼスティリアの評判は非常に悪く、実際この作品以降、それまでは雨後の筍の如くシリーズ作品が連発されていたテイルズシリーズのリリースが急に止まるようになり、テイルズシリーズそのものに大きな打撃を与えてしまったようにすら見えます。かつてはドラクエ、FFに並ぶ日本三大RPGシリーズとも言われましたが、今やその地位はペルソナシリーズに完全に取って代わられているように見え、ゲームそのものではなくシリーズそのものを貶めたある意味凄いキャラでした。
 なおこのゼスティリア、ゲームは前述の通り評判は悪かったのですが、アニメ版は原作完全無視ともいうくらい内容改変が行われたそうなのですが、その結果がめちゃくちゃ高い評価となっており、「あのガタガタな原作をどうしてここまで立て直せるのか(;゚Д゚)」という妙な評価のされ方されていました。そのゼスティリアのアニメ版監督ってのが「鬼滅の刃」の監督というあたり、大ヒット作を作る片鱗をこの作品で見せていたと言えるでしょう。


 またゲームのキャラクターですが、この夜鳥子(ぬえこ)というキャラクターは「俺の屍を越えて行け2」に出てくるNPCキャラクターです。この作品はとがった作りしていてプレイヤーが使用するキャラクターはすぐ寿命で死んで、死ぬ前に作った子供のキャラクターを次々と切り替えて戦っていかなくてはならないのですが、夜鳥子だけは半永久的に登場し続け、しかも一部のボス戦で必ず使わなければならず、攻略する上で使いたくなくても使わなければならないキャラクターだったそうです。
 このようなゲームシステム面だけでなくシナリオにも食い込む、というかプレイヤーキャラクター以上にストーリーの中心に据えられており、発端となる事件からラスボスとの因縁も全部夜鳥子が担っており、エンディングにおいてはむしろ主人公であるはずのプレイヤーキャラが置いてきぼりで話が進められるような始末でした。

 それほど贔屓にされながらこの夜鳥子というキャラの人気はそれほど高いとは言えず、むしろ必ずしゃしゃりこんでくることからウザいとみられ、「このキャラがいい!」と評価する声はマジで一つも目にしない一方、「こいつさえいなければ……」という怨嗟の声はこのゲームのレビューで必ず入っていました。
 そもそもこのキャラ、このゲームのプロデューサーである桝田省治氏の小説に出てくる登場人物が元となっています。設定はいくらか変えられてはいるものの、自作の小説キャラクターを縁もゆかりもない別のゲーム作品に流用するのはさすがに無理があったのではと思え、またそんな無茶をやらかすくらいこのキャラに入れ込み過ぎた結果、桝田氏の思いとは裏腹に不評を買うだけのキャラとなったのは皮肉な結果でしょう。

 ちなみに自分は前作の1は非常にやりこんでいて2も遊ぼうとしていたものの、あまりの不評ぶりから手を出すのを控え、中古で安くなっているのをみて(確か千円)ようやく手に取りましたが、オープニングを一目見て「あ、これ違うな」と思ってそこで遊ぶのを止めてしまいました。何となく、ゲーム内の美術が前作と根本的に入れ替わっており、趣味の悪いものになってしまっていると直感で感じました。


  番外編
 以上までで特定キャラを贔屓にし過ぎて失敗した作品を紹介してきましたが、それらとは真逆の結果となったのがこのライナー・ブラウンが出てくる「進撃の巨人」じゃないかと思います。

 このライナーは超人気作の「進撃の巨人」で裏主人公ともいえるほど序盤から終盤まで常に登場し続け、物語の核心に居続けたキャラクターです。作者自身も一番のお気に入りキャラクターであることを公言しており、自分が尊敬する先輩をモデルにしていることをはじめ、インタビューで聞かれてもないのにライナーについて語りだす(しかも延々と……)など、ライナーに対する入れ込みぶりは常軌を逸するほどのものとなっています。
 しかしそんな作者の入れ込みようとは裏腹に、作中におけるライナーの扱いは悲惨そのものとしか言いようがありません。蹴ったり殴られたりするのは当たり前なうえ、時折発するストーカーじみたセリフから作中のキャラクターはおろか読者からも気味悪がられるほか、しょっちゅう手足を切られたり拷問されたり殺されかけたりしています。挙句には良心の呵責に悩まされて深刻な精神分裂症らしき症状を起こしたり、自殺を図ったりするなど精神的にも作中で追い詰められています。なお自殺未遂シーンに関して作者は、そのコマを拡大印刷して壁に貼っていたそうです。

 こうしたひどい扱われようから、ライナーについてネットでも「サディスト(作者)に愛された」、「悲しきラブドール」など、その愛着に反した仕打ちぶりに同情する声が非常に根強いです。ただ読者からの評価は決して引くなく、むしろ明らかに人気キャラ(ネタ的な意味でも)に入っており、実際私もこの作品の中で一番好きなキャラクターだったりします。
 前述の良心の呵責に悩むシーンは強いリアリティを感じられ、虐殺と戦争の渦中にある人物の姿を非常に良く描いているとすら感じました。やってることは確実にクズな行為ですが、そのクズぶりを自ら自覚して悩む姿はこの作品のテーマに深く合致するものである気がします。

 何が言いたいのかというと、突き詰めると作者が特定キャラに入れ込むかどうかではなく、明らかに不自然に感じられるほど持ち上げてしまうことの方が作品を損なってしまう行為なのでしょう。作者のライナーへの溺愛ぶりはかなり異常な部類ですが、決してライナーを作中で持ち上げることはなく、その行為の肯定や否定といった評価は理に適っており、読者の共感を得るものだったからこそ彼は人気キャラになったのだと思います。これがきちんとできなかったのが最初の3キャラクターで、単純に作り手の腕が未熟だったゆえに入れ込むキャラクターどころか作品そのものも不人気にさせてしまったと言えるでしょう。
 まぁそれはそうとして、改めてライナーの扱い見ているとマジ泣けてくる。普通に早く死ねた方が多分幸せだったろうな(´;ω;`)ウッ…

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