2015年12月29日火曜日

漫画家の主な出版社の移籍事例

 プロ野球のオフシーズンと言えばドラフトとFA移籍ですが、前者はともかく後者が見ていて面白いのは選手の移籍次第で翌年のチーム成績がガラッと変わることに尽きるでしょう。エースや四番が抜けたら痛いですし、逆にがっちり補強ポイントを埋めたチームは翌年の成果が期待できることもあり、そして何より移籍を選ぶ選手個人のドラマが見ているファンを魅せるのでしょう。
 っていうことで、今日は野球界ではなく漫画界での移籍について自分がさっと調べた範囲で実例を紹介しようと思います。我ながら強引な展開の持って行き方ですが、プロ野球持ち出さないよりかはいいかなと思ったので取って付けてみました。

 今回紹介するのは漫画業界、というより漫画家の出版社を跨ぐ移籍例です。別に漫画家はプロ野球選手みたいに契約でチームならぬ出版社が縛られる立場ではないのですが、漫画製作というのは漫画家と編集者による共同作業的な面も大きいだけに出版社を替えるということはなかなか大きな決断になると伺っております。また出版社側としてもエース級の作家が他の出版社に移籍するとなればそれはそれで痛手でもあり、なんていうかドラマチックというか金勘定が絡んでくるだけに、でもってあんまりこういうまとめ書いている人いないと思ったので自分でやってみたわけです。なお今回の調査は自分が適当に調べてまとめただけなので、厳密さとか網羅性は低く話のネタ程度に軽く読んでくれると助かります。

 最初に注意書きを書くと、お家騒動などで出版社が分裂したり、編集者が独立して新雑誌を起ち上げた際に移籍した例は趣旨と異なるので今回対象から省きました。また各例に挙げている作品は独断と偏見で代表作と思うものを入れているだけで、読み切り作品などは対象には入れていません。
 なわけで、まずは比較的移籍時期が近くてエース級だった漫画家の移籍事例を紹介します。

<エース級の移籍例>
移籍した漫画家 移籍元 移籍先
柴田ヨクサル 白泉社 集英社
エアマスター ハチワンダイバー
大高忍 スクウェア・エニックス 小学館
すもももももも マギ
鈴木央 集英社 講談社
ライジングインパクト 七つの大罪
八神健 集英社 秋田書店
密・リターンズ ななか6/17
荒川弘 スクウェア・エニックス 講談社
鋼の錬金術師 銀の匙
木多康昭 集英社 講談社
幕張 喧嘩稼業
井上雄彦 集英社 講談社
スラムダンク バガボンド

 上記に上げた漫画家は作品がアニメ化されるなど名実ともに売れっ子エース級である漫画家の移籍事例です。最近の例だと三番目の鈴木央氏が一番影響強いんじゃないかと思うのですが、というのもこの人は「バイバイジャンプ」という言葉を作った上に、今連載している「七つの大罪」は半端ない大ヒットを続けているからです。集英社時代も全く売れてなかったわけではありませんが何度も打ち切りにあってただけに、移籍先で過去を見返すような大活躍を遂げるようになった例と言えるでしょう。個人的には「ブリザードアクセル」のが好きだったりするけど。
 その他の作家についてはそんなに言う事ないのですが、どの作家も移籍前も移籍後もヒット作を出しており移籍前の出版社からすれば、「次作も当てるんだったらうちで描いてけばいいのに」と歯がゆさを覚えさせたであろう人たちです。もっとも木多康昭氏について集英社は移籍してくれて、案外ホッとしているかもしれません。

<新天地を求めた(?)移籍例>
移籍した漫画家 移籍元 移籍先
武井宏之 集英社 講談社
シャーマンキング ダンボール戦機
尾玉なみえ 集英社 講談社
少年エスパーねじめ マコちゃんのリップクリーム
野口賢 集英社 秋田書店
傭兵ピエール バビル2世 ザ・リターナー

 上記に上げたのは元の出版社では描かせてもらえなかったわけではないものの、これ以上の活躍が望めなかったのか移ったと思われる移籍例です。あくまで個人的所見ですが。
 一番上の武井宏之氏は「シャーマンキング」で大ヒットを遂げましたがこの作品も途中で打ち切られ、続編もいまいち軌道に乗れてなかったことからいつの間にか講談社に行ってたようです。二番目の尾玉なみえ氏は作品のパワーはすごかったけど明らかに雑誌のカラーと合ってなかったこともあって集英社時代は何度も打ち切りを経験してましたが、この人もいつの間にか新天地で活動されてるようです。最後の野口賢氏は「ビータクト」って漫画は読んだことありますが第一話を見て、「何で車田正美の名前をここで出すのだろうか?」と半端ない疑問を感じた人だったので無理矢理ここに入れました。

<二回以上移籍している例>
移籍した漫画家 移籍元 移籍先 再移籍先
弐瓶勉 講談社 集英社 講談社
BLAME! BIOMEGA シドニアの騎士
漫☆画太郎 集英社 秋田書店 集英社
珍遊記 樹海少年ZOO1 珍遊記2
ゆでたまご 集英社 講談社 集英社
キン肉マン トータルファイターK キン肉マンII世
江川達也 講談社 集英社 小学館
BE FREE! まじかる☆タルるートくん 東京大学物語

 こちらは二回以上移籍している例としてまとめたものですが、上の三人は一回他の出版社で描いた後で元いた出版社に戻っているので正確には出戻り組というべきかもしれません。もっとも漫☆画太郎氏にしろ江川達也氏にしろ、あまり出版社に縛られる性格の漫画家ではなかったということの方が大きいのかもしれませんが。
 なお一番上の弐瓶勉の場合はちょっと特殊で、というのも「BIOMEGA」は当初、講談社の「アフタヌーン」という雑誌で連載していたのですが途中で打ち切られ、その後「ウルトラジャンプ」で連載が再開されるという妙な経緯を辿った作品であったりします。もしかしたら編集と何かいざこざがあったのかもしれませんが、三番目の「シドニアの騎士」はまた「アフタヌーン」で連載されたので、何があったのだろうかとなおさら不思議に思うわけです。

<別の出版社で元の作品の続編を描いた例>
移籍した漫画家 移籍元 移籍先
にわのまこと 集英社 日本文芸社
真島クンすっとばす!! 真島クンすっとばす!!
高橋よしひろ 集英社 日本文芸社
銀牙 銀牙
宮下あきら 集英社 日本文芸社
魁!!男塾 極!!男塾
高橋陽一 集英社 日本文芸社
キャプテン翼 誇り〜プライド〜
車田正美 集英社 秋田書店
聖闘士星矢 聖闘士星矢
新沢基栄 集英社 スクウェア・エニックス
ハイスクール!奇面組 フラッシュ!奇面組

 こちらはちょっと特殊というか、出版社を移籍しているのに移籍前の作品の続編を移籍後の雑誌で書いている例です。高橋陽一氏の例は性格には異なるのですが何故ここに入れているのかというと、見てわかる通りに日本文芸社が集英社から引き抜いている例があまりにも多いのでまとめたかったからです。この引き抜きの多さは「飯田橋のふたばちゃん」でもネタにされていましたが、改めてみると「これほんまええの?」って疑問に感じるくらい多かったです。

<番外編・ドラフト外漫画家の逆襲>
移籍した漫画家 移籍元 移籍先
諌山創 集英社 講談社
ドラフト洩れ 進撃の巨人
吉崎観音 小学館 角川書店
ドラフト洩れ ケロロ軍曹

 最後のはちょっと特別ですが元々は別の出版社に通っていたのに日の目を浴びず、別の出版社に通って出した連載作品がシャレにならない大ヒットとなった漫画家の例です。「進撃の巨人」の諌山創氏が元々は集英社に通っていたというのは有名なエピソードですが、「ケロロ軍曹」の吉崎観音氏も最初は小学館に通っていたと言われており、漫画史に残る大ヒット作品を産んだ作家を手中からこぼれ落としてしまったという意味で「ドラフト外」と表現してみました。
 なお吉崎観音氏について言えば、「ケロロ軍曹」を出す前に「少年ガンガン」でいくつか作品を出してて何気に私も「護衛神エイト」読んでましたが、当時から目を引く漫画を描いていたたもののこれほどのヒットメーカーになるとは当時は誰も予想していなかったでしょう。

 以上が簡単に調べた結果で実際にはもっとたくさん移籍例があったり、ゆでたまご氏のようにもっとあちこちの出版社で作品出していたりするのですがまとめるのが面倒なのでさらっと書きました。
 ざっと調べた感じの印象を述べると、なんとなくですがギャグ漫画家は移籍する例が多く、同時に複数の出版社で同時連載を行うケースが多いような気がします。逆にストーリー漫画を書く漫画家は雑誌のカラーを決定づける作品になりやすいのか、読み切りを含め他の出版社で描く例が少ないのではという印象を覚えます。

 逆にというか同じ出版社一筋でずーっと描いているなと思ったのは桂正和氏で、河下瑞希氏も含めジャンプでお色気漫画描いた人は集英社一筋になるのかなという妙な仮説が浮かんできました。

2 件のコメント:

  1. 片倉(焼くとタイプ)2015年12月30日 22:24

    つい最近まで知らなかったのですが、集英社は元々小学館の娯楽部門が始まりで、広い意味では
    今でも同じグループだそうです。小学館と集英社の本社ビルが隣同士になのもそれが理由らしい
    です。

    本記事の例で一番不可解な移籍は新沢基栄氏のフラッシュ!奇面組です。 この手の過去作品の
    続編やリメイクの場合、当時のファンが大人になっているため、青年向漫画雑誌に連載するのが
    一般的です。 ですがなぜかフラッシュ!奇面組は少年ガンガンに連載されました。  この頃
    いわゆる「エニックスお家騒動」があったのでその影響下もしれません。

    ともかくフラッシュ!奇面組の連載は「サイボーグクロちゃん」のパチンコ化と並んで不可解
    な出来事でした。

    ※サイボーグクロちゃんは今は無きコミックボンボンで2001年まで連載されていた作品で、その
    2001年にはパチンコ化されました。  漫画やアニメがパチンコになる事自体はめずらしく
    はありません。ただしそれは当時のファンが大人になり法的にも金銭的にもパチンコで遊ぶ
    事が出来るようになったという大前提があっての事です。なぜ主なファンがまだ幼稚園児
    や小学生である作品をパチンコの題材に選んだのか?  理解に苦しみます。

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    1.  「フラッシュ!奇面組」の連載開始時は私も、「ガンガンで?そんなのデマだろ?」と友人の話を信じませんでした。それくらい確かにミステリーな出来事でしたが、ほんと誰得な連載開始でしたね。明らかに読者層違うし、あの作者にそれほど強い牽引力があるとは思えないし、お家騒動の真っ最中だったことを考慮しても未だに意味不明です。
       「サイボーグクロちゃん」は読んでないし知らなかったのですが、パチンコ業界ものべつまくなく題材を取ってくるところがありますし、客層も何も考えず引っ張ってきたのかもしれません。パチスロは自分もやらないので、あんまこの業界の事わかんないけど。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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