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2009年8月9日日曜日

大きな悩み、小さな悩み

 唐突ですが私は現在、あるくだらないことで深く悩んでおります。女々しいもんで昨日なんか友人を呼び出してわざわざ相談したくらいなのですが、この一週間はほぼずっとそれの件で悩み、昨日今日の休日はゆっくりとなにもしないままこの件であれこれ思案に暮れておりました。

 まぁそんな私個人の話はどうでもいいのですが、今回その件で悩んでいる際に、大きな悩みを持ってみるとそれまで抱えていた小さな悩みが一挙に吹き飛ぶというか、あまり気にならなくなったことに気がつきました。それこそ今回の悩みを持つ前は「リオレウスをどうやって倒すか( ̄~ ̄;)」といった細々とした悩みを持っていたのが、「そんなどうでもいいこと考えなくてもいいだろう(- -;)」という具合にほとんどが雲散霧消するかことごとく自己解決するに至りました。

 ここで私が何を言いたいのかというと、大きな悩みは確かに抱えずに済むもんならそれに越したことはないのですが、たまには持ってみることでほかの悩みを一気に吹き飛ばすきっかけになるんじゃないかということです。もちろん私みたいに頻繁に悩むことは精神健康上はあまりよくないとは思いますが、悩むことが必ずしも全部が全部悪いというわけじゃないと言いたいわけです。

2009年8月8日土曜日

外国人研修制度について

 今朝の朝日新聞に、自分がここ数年で最も起こってほしくないと願っていた事件の報道がついにありました。

中国人実習生、初の過労死申請 残業最大180時間(asahi.com)

 まず最初に、外国人研修制度とその現状について説明いたします。
 外国人研修制度とはその名の通りに日本の進んだ技術を学ぼうとする研修生を主に発展途上国より募り、日本の農業や工業の現場で働きながら直にその技術を教えるという制度の事を指します。この制度は言うまでもなく国際貢献の一環として設けられた制度なのですが、リンクに貼ったウィキペディアの記事にもあるとおりはっきり言ってここ十年間は完全に形骸化した制度となっており、かねてより私はこの制度を直ちに廃止しなければと考えておりました。

 具体的にこの制度のどこに問題があるかですが、近年この制度は技術を外国人研修生に教えるという名の下に体のいい労働移民制度となっていたからです。というのも外国人研修生にはその働きながら学ぶという目的上一定の賃金が支払われることとなるのですが、その賃金額は日本の法律上で定められている最低賃金を下回ってもよいということになっておりました。そのため不道徳な一部の経営者は安価な労働力を得るためにこの制度を利用して大量の外国人を雇い、文字通り馬車馬のように働かせては安い賃金しか支払ってこなかったのです。

 もちろん日本にやってくる外国人研修生、主に中国人は安い賃金だと分かっていても日中の通貨格差ゆえにこの制度に応募して来られるのですが、たとえ同じ労働をしたとしても日本人と外国人で受け取る賃金が違うなど明らかな人種差別です。そしてそれがまだ立派な技術を教えるのならともかく、実態的にはそうした研修という目的がほとんど果たされないまま単純労働の現場などで働かされている例が大半だそうです。

 また日本の側としてもそのような過重労働を嫌う労働者が増えてきていることから、この制度を利用しなければ経営が成り立たないとはっきりと言う事業者もおります。これは二年前のテレビの報道でしたが、長野県のある高原野菜農家でもこの制度を利用して大量の中国人を雇って毎年の農繁期の作業を行っており、インタビューでは以前は大学生のアルバイトが大量に来てくれたが今では国内だと誰も募集に応じず、この制度がなければ農繁期を越せないと洩らしておりました。このように非常に皮肉な話ですが、日本は輸入野菜にとどまらず国産野菜の生産においても中国にすでにかなりの面で依存している状態なのです。
 なおこの農家ではしっかりと定時を守って外国人研修生と働いておりましたが、研修生の側からするともっとお金を稼ぎたくて出来れば残業がしたいという方もおりました。

 この頃、私が夜中に居酒屋などに行くとアルバイトの多くが中国や韓国の留学生で占められている店をよく見かけます。実際に私が在学中だった頃に知り合った留学生らはその日本の物価の高さゆえに、仕送りだけに頼らず昼は授業に出て夜にはバイトに行って日々の生計を立てている者が数多くおりました。聞くところによると居酒屋の方でも深夜のアルバイトはきついとこの頃はフリーターなどからも敬遠されており、一般のアルバイト先に働きづらい外国人留学生くらいしか来てくれなくなっているそうです。
 私が見てきた外国人留学生はみんなそのような環境下でも、はっきり言って日本の学生よりずっと真面目に勉強している方ばかりでした。チリからの留学生に至っては卒業後にすぐに帰国するのかと聞いたら、「帰国費用をまず貯めないといけない」と言われてぐっと心が痛みました。

 今回、一番最初にリンクに貼ったニュースでは、就寝中に息を引き取った中国からの外国人研修生の方に初めて過労死が申請されたということが報じられております。本来、外国人研修生には残業時間に制限があるにもかかわらずこの亡くなられた方は多い月には180時間も残業を行っており、家族にもそのせいで疲れると電話で洩らしていたそうです。異国の地で、しかも家族を残して亡くなったこの方の無念を思うと非常にやりきれない思いがするとともに、同じ日本人として心から申し訳なく思います。
 同じ記事によると去年一年間の外国人研修生の死亡件数は34人で、そのうち過労死の線が高い心臓発作などが原因の方は16人もおられ、今回の件がたまたま起こったわけではないと見てほぼ間違いないでしょう。

 この外国人研修生といい先ほどの外国人留学生の深夜アルバイトの増加といい、すでに日本は他の移民国家同様にきつい労働の一端を外国人に担わせていると私は見ております。しかも賃金は大抵は日本人より一段下に置かれている状態で、これで日本が彼らに恨まれたとしても私は何の言葉も返せません。
 現在のところ日本では外国人の移民が政策問題として話題に上がるだけで肯定派の政治家が激しく攻撃され、また外国人の地方参政権一つとっても私の記事のように議論一つ許さないといわんばかりに批判する方もおります。

 特に一番ひどいと思うのが、中国人や韓国人全員がまるで犯罪者だと言わんばかりの主張をする方です。よくそういう方は日本人と比べて外国人は犯罪率が高いといいますが、これははっきりと私も断言できますが、長期滞在の外国人登録者数とスポット来日の外国人の合計を表す正確な統計は今のところ全くなく、外国人の犯罪率が高いということを示せるような信用に足る母数データは全くありません。また仮に外国人に犯罪が多いとしても、過労死するまでに低賃金で働かされている方たちも「犯罪をよく犯す外国人」という同列で語られるのは個人的に非常に残念です。

 私が外国人の地方参政権に賛成なのもここにあります。こうした明らかに劣悪な環境下で働かされ続けているという事実を少しでも声にのせるために、表にするために、何が必要かといったらやっぱり地方参政権ではないかと考えるわけです。

 最後に、この度過労死が申請されている蒋暁東氏に心からご冥福をお祈りします。

2009年8月7日金曜日

ブログアンケートの結果

 ちょっと前から本店の方でのみ開いていたこのブログへのアンケートを本日に締め切りました。アンケートに協力してくれた方は9人で、少ない票数ではありますがそこそこ参考になる結果となりましたので感想を書こうと思います。

 まずブログ内容に関する質問で、「どんな内容の記事が楽しみか」という複数回答の出来るアンケートの結果は以下の通りとなりました。

・政経関係の記事:4 (44%)
・中国関係の記事:3 (33%)
・歴史関係の記事:6 (66%)
・哲学関係の記事:3 (33%)
・サブカル関係の記事:4 (44%)
・私の体験談:2 (22%)


 私にとって意外だったのが、自分の予想を覆して「歴史関係の記事」がこの質問においてトップの票を得たことでした。別に手を抜いているわけでもなく内容に自信がないわけでもないのですが、どちらかというと堅い政経関係の記事の間に挟みこむ柔らかいクッションのような感じに今まで書いてきていたので、まさかこれがトップに来るとは夢想だにしませんでした。

 ただその傾向はあったというべきか、Gogle analyticsにてうちのブログに来る人の検索ワードを調べると、ブログタイトルである「陽月秘話」を追い抜いて「宮崎繁三郎」がランキングでトップであったところ、一時はそのトップの座を現在二位の「商鞅」が奪っていました。どちらも歴史人物の人名ですから、いかにこうした歴史ワードが私のブログを支えているのかが良く分かります。宮崎繁三郎はややマイナーな人だからまだ分かるにしろ、商鞅のことを書いているブログはほかにもたくさんあるのにという気が少ししますが。
 ほかの項目についてはどれも似たり寄ったりですが、前向きにこの結果を捉えるならどの内容の記事もそれなりに期待している読者がおられるという結果で、割と幅広い範囲を意識的に扱っているだけに0票の項目がなかったというのはそれなりにほっとしています。

 これら内容に関する質問の次に聞いたのが、「このブログの文章は長い? 短い?」ですが、その結果は以下の通りとなりました。

・長過ぎ:0 (0%)
・ちょうどいい:8 (100%)
・短過ぎ:0 (0%)


 はっきり言ってこの結果は自分にとってかなり意外でした。投票してくれるからにはきっと私が顔も分かるような親しい知人ばかりでしょうが、その中でも一人や二人はこのブログの記事が長過ぎると感じているだろうと踏んでいたのですが、結果は見ての通りに「ちょうどいい」が100%を占める結果となってしまいました。
 実はこの頃このブログの記事が長過ぎるのではないかと、人知れず方針転換を覚悟しておりました。それこそブログを始めた当初の記事と最近の記事を比べると一つの記事あたりの文字数が二倍から三倍近く増えており、一つの内容にくどくど語るよりは分量を減らしてでももっと扱う内容を広くした方がいいのではと先月くらいから徐々に考えており、そこで試金石とばかりに今回のアンケートを見ようと思ったのですが、この結果だとやっぱりもう少しこのままでやっていく方がいいかもしれません。

 元々このブログは始めた当初より玄人好みのブログにしようと、多少読み辛いかもしれませんが私の書ける限りのことをびっしり書いて、それでも読んでくれるような読者をゆっくりでもいいから獲得していこうと始めました。そんなもんだから始めた当初なんてほとんど誰も来なかったのですが、FC2の出張所の方では半年前くらいは一日の閲覧者数が二十人くらいだったところ、このところは毎日四十人くらい来てくれるようになって我が事ながら非常に驚いております。

 それにしても、自分でもよくこれだけ毎日書けるなとこのブログを読み返すたびにしみじみ思います。伊達に中学生の頃からほぼ毎日文章を鍛えていなかったわけじゃありませんが、このごろは調子によって文章のリズムが激しく変わるあたりはまだまだです。

 最後に、アンケートにご協力してくれた方にはこの場にて深くお礼を申し上げさせていただきます。ありがとうございました。

芸能人の麻薬摘発事件続発について

<酒井法子容疑者>覚せい剤所持容疑で逮捕状 自宅から覚せい剤 警視庁(YAHOOニュース)

 ここまでくると、下手な小説より全然面白い展開です。
 上記のリンクに貼ったニュースはもはや説明するまでもないですが、旦那が大麻所持疑惑で逮捕された直後から行方不明となっていた酒井法子氏の自宅からもまた大麻が出てきて、現在もなお行方不明ながらもこっちにも逮捕状が出たというニュースです。ここまでくるとなんだが、昔のドラマの「逃亡者」を連想させます。

 さて今回のこの大麻摘発事件ですが、酒井法子夫妻の摘発直前にはこちらもまたいろんな意味で面白い押尾学氏が逮捕されており、タイミング的にほぼ同一であることから芸能界の大麻一掃を警察が行っているのではないかという見方が広がっております。
 警察が一斉に摘発を行っているかまではわかりませんが、今回のこの一連の摘発を見て私は以前と比べて麻薬に対する世間の見方や警察の処罰が厳しくなったという気がします。それこそかつては故勝新太郎氏がパンツにコカインを隠し持って文字通り「コカインを股間にイン」と言われるような大事件を起こしたことがありましたが、その後勝新太郎氏はすぐに復帰することが出来ました。

 しかしいちいち挙げませんが近年に麻薬事件で摘発された芸能人の復帰は明らかに当時より厳しくなり、また世間の見方も厳しくなっていることからそのまま引退に至るケースも多くなってきております。どうして以前と比べて昨今は効した事件に対する風当たりが強くなったのかをすこし考えたのですが、結論はというとやはり田代まさしが何度も繰り返して捕まったことが一つの契機になったんじゃないかという気がします。今思い出すと一回目の逮捕直後は周囲も復帰を応援しており、また視聴者の方も割と温かい目をしていたように思います。しかしそれが何度も逮捕されるにつれて、「やっぱり一度手を出したらもう駄目なんだろうなぁ」という感傷が私の中では広がって行きました。

 それに合わせるかのように大麻事件への処罰が厳しくなっていったと、ここ十年くらいを振り返るとそんな気がします。どっちにしろ、手を出さなければ何も気にすることはないのですが。

2009年8月6日木曜日

随意契約の裏にある無駄遣い

 現在選挙も真っ只中ということで政策論争がかまびすしく行われてきていますが、その中の恐らく最大とも言っていい論争の種は政策に必要な財源の目処でしょう。この点はよく民主党の提唱する政策が槍玉に挙げられ、マニフェストには子供を持つ全世帯に教育費を支給し、生活保護費も拡充し、農家の賃金保障も引き上げるとは言うものの、果たしてそれらのばら撒き政策を実行するだけの財源はどうするかとよく批判されております。赤字いっぱいの現状の予算で、しかも消費税は据え置きのままでどうこれらの政策を実行するのかと問われると民主党は、「現状の歳出の無駄を省くことで捻出する」と主張していますが、まぁ都合がいいといえば都合のいいことを言っている気がします。もっとも民主党に負けじと自民党が出したマニフェストも、はっきりとした財源の根拠も挙げることなく教育費補助の拡充を謳っていることからどちらも五十歩百歩ではありますが。

 結論から言えば、どれだけ無駄を省くことによって歳費が浮かせられるかが現状でははっきりしないのはまだ見逃すにしても、現在主張している政策を実行するのにどれだけの費用が必要なのかをはっきりと出していない時点で、私は民主党が今主張している政策を実現することは出来ないと考えております。ちゃんと世帯別の人口などを計算すれば、相当厳密な額まで必要な予算は計算できるはずなんですけどね。
 とはいえ、全く以って民主党が主張している財源こと「歳出の無駄遣い」に裏づけがないというわけではありません。そこで今日はどんなところに国の無駄遣いがあるのか、その最たる例の「随意契約」というものについてタイミングがいいので解説します。

 通常、官庁ら公共団体が物品を購入したり何かしらの建設工事を発注する場合には「競争入札方式」といって、複数の民間企業らに受注価格を提示させてその中で最も安い価格を提示したところへ入札するようになっております。これは国民全体の税金を使うという観点から法律上でもはっきりとこの競争入札方式を取るようにと明記されております。
 しかしここまで言えば分かるでしょうが現実にはさにあらず、数年前にNHKが真珠湾級の大戦果となったスクープで暴いた事実によると、当時の環境省の発注のなんと八割近くがこの競争入札方式を取らない随意契約方式で契約が交わされていたのです。

 この随意契約というのは、本来は官公庁の発注には競争入札を行わねばならないところを非常に機微のある内容だったり、技術的な面などで他の業者に任せられないという場合にのみあらかじめ発注先を官公庁が指名できる特別な発注方式のことを指します。具体的にどんなところでこの随意契約が使われるのかといえば、まずはなんといっても防衛省の軍事関係です。この辺は国防上からもいろいろと表に出来ない内容もあり、また技術的な面でも他の業者には漏らせない内容が多いために必然的に多くなってきます。本当かどうかはわからないけど。

 しかしこれが環境省ともなると、しかも全発注の八割近くも随意契約になるのかといえば全く以って理解できません。しかもその中の発注にはトイレで使う調度品だったり、机とかのOA機具も含まれており、明らかに競争入札で発注すべき内容ばかりでした。
 それにも関わらず何故これほど多く随意契約が行われたのかといえば、それは一言で言えば天下りが元凶であるとしか言いようがありません。かいつまんで説明すると、本来存在する必要のない団体を天下り先を確保するために官僚は片っ端から作っていく一方、官庁に残った者たちは自分たちでその団体へ本来必要のない発注を行い、さも業務を行っているかに見せて採算を取りつつその存在の正当性をアピールするのです。

 そんな一例として、先日に東京都内の道路下に大きな落盤を引き起こしかねない空洞が見つかったのですが、実は去年にも同じ場所で同じ調査が行われていたもののその空洞を見過ごしていました。その際に調査した団体というのが、まさに国交省OBの天下り先団体で、契約もまた随意契約でした。

環境省の総合評価方式で「1者応札」7割…「随契」隠しの指摘も(産経新聞)

 そして今日、これはmsnニュースですが良く出来たスクープなので産経新聞の名前をちゃんと載せておきます。このリンクに貼ったニュースはNHKのスクープによる批判を受けてその後随意契約を減らしたものの、その代わりに「総合評価方式」というまた胡散臭いものを環境省は利用して、競争入札に一社しか応募できない状況を自ら作り、随意契約と全く変わりがない入札をまだ続けていたということを報じているニュースです。それにしても、公務員もよくこれだけ悪知恵が働くなぁ。この前後輩に久々に連絡したらそいつも公務員になってたけど。

 もう一度言いますが、この随意契約というのは天下りとセットで効果を発揮する無駄遣いです。これまで自民党の暗部を担ってきた政治家らはこの随意契約に自分の支援者をかませることで公務員と結託してきましたが、もしこの部分に環境省といわず全官公庁にメスを入れることが出来たら、私は相当な額の予算を浮かせることが出来ると思いますし、またそうして真に民間企業へ競争入札が開かれることで経済の活性化にもつながると考えています。民主党はこの随意契約についてこれまでにもはっきりと、重点的に洗いなおすと主張しておりもし本当にそれが果たせるのなら、それで全部の財源が保証されるとは思いませんがある程度は用意できると私は見ています。

2009年8月5日水曜日

日本の若者に知ってもらいたい、ベトナム戦争の歴史

 この記事はちょっと機微な問題が関わっているので、見る人によっては激しい怒りを覚えられるかもしれません。しかも私はベトナム戦争史について特に専門的に勉強したわけでもなく、そんな人間がこんな記事を書くなんておこがましい事この上もありませんが敢えて批判を覚悟で書かせていただきます。

 よく日本人は中国のことを「歴史を歪曲して教えている国だ」と批判します。これについて私は文化大革命や第二次天安門事件などといった歴史的大事件を自国の若者に敢えて隠そうとする態度などから、はっきりと「その通りだと」言い切る自信があります。ついでに書くと、これは日本でもあまり研究者がいませんが戦時中の南京政府こと汪兆銘政権についても全く教えていないそうなのですが、やっている人からするとなかなか面白い範囲だそうです。
 しかしそうやって中国の態度をよくないといいつつも、ひょっとしたら日本も歪曲とまでは行かずとも、敢えて教えることを避けているような歴史があるのではないかと私は前々から感じていました。その歴史的事実というのも、今回のお題となっているベトナム戦争についてです。

ベトナム戦争(ウィキペディア)

 私は1980年代前半の生まれですがこれまで公教育の範囲内で習ったベトナム戦争というのは、映画の「仁義なき戦い」ではありませんが朝鮮戦争のようなアメリカとソ連の代理戦争であって、大義もへったくれもないひどい戦争だったという具合に教えられました。また小学生の頃は環境問題の高まりとともにダイオキシンがよく槍玉に挙げられ、ダイオキシンがベトナム戦争でゲリラ掃討のためにアメリカ軍が巻いた枯葉剤に含まれていたということも合わせて教えられていました。
 もちろんこれだけでもベトナム戦争がひどい戦争であったということは十分に理解できたのですが、今思うとそれはずいぶんと甘い認識だったように思えます。そんな甘い認識を一気にひっくり返したのは、大学の講師のこの一言からでした。

「僕は君らくらいの頃、日本人であるのがすごい嫌だった。なぜなら毎日沖縄からベトナムへ向かう爆撃機が飛んでいたからだ」

 この講師の言葉を聞くまで、私はベトナム戦争というのはアメリカとソ連、そしてベトナム本国のみが当事者の戦争だと考えていました。しかし平和憲法下で戦後は大きく他国の戦争に関わってこなかったと信じていた日本も、間接的とは言えない位にこの戦争に関わっていたと知って慌ててこの戦争を調べることにしたのです。

 このベトナム戦争は非常に複雑で一言では説明しきれない内容であるために、あまり詳しくないという方は出来れば先にリンクを貼ったウィキペディアの記事を初めから最後まで読んでもらいたいのですが、このベトナム戦争は時代的にはすでに40年近く前の戦争ではあるものの至る所で現代に強い傷跡を残した戦争であります。その中でも特に影響が強いものをいくつか項目を選んで説明すると、下記の項目が挙がってきます。

1、韓国軍の参戦
 このベトナム戦争ではアメリカ側の南ベトナムを支援するために韓国から韓国軍が派遣され、戦闘行為も現地で行われました。もちろん韓国としてはアメリカの強い要求があった上での派遣だったのでしょうが、この時の派遣時に韓国軍兵士が現地の女性との間に子供をたくさん作っており、日本の中国残留孤児のようにその時の子供らの今後の処遇について未だに韓国国内では問題となっているそうです。
 なおこれは仮の話ですが、憲法九条がなければ日本も軍隊を派遣していたと私は思います。

2、無差別爆撃
 二次大戦下の日本での例と同じように、ベトナムにおいても米軍は無差別爆撃を実行しております。しかもそれらの爆撃機の一部は日本の沖縄から飛び立ったものであり、この点について日本人は自分らを強く卑下する必要まではないとは思いますが、知らないよりは知っているべきであると私は思います。

3、退役軍人の問題
 太平洋戦争では全体の約一割程度しか実際に銃の引き金を引かなかったところ、米軍は心理学的見地から引き金を確実に引かせる訓練をベトナム戦争前より行い、この戦争では約四割が引き金を引くようになっていたそうです。しかしその反動というべきか、ベトナム戦争後の退役軍人の中には精神に異常をきたす者も多く、また枯葉剤の毒を受けて発ガンした兵士もたくさんいたそうです。

4、戦後の中国軍の侵略
 ベトナム戦争後、何故か中華人民共和国が「制裁」と称してベトナムに対し侵略を行ってきました。しかし世界最強のアメリカ軍を追い返しただけあってベトナム軍は圧倒的に強く、散々に中国軍を叩いた上に撃退して見せました。この敗戦から中国は軍事計画を大きく見直すとともに、ウイグル、チベットといった地域を次々と自国に併呑していった領土拡張政策も見直しております。

 上記の項目は私がベトナム戦争について調べるまで全く知らなかった事実ばかりです。これらの事実を知った時にはショックを受けたとともに、何故今まで誰も教えてくれなかったのだろうという気持ちが沸き起こりました。これは邪推かもしれませんが、私はどうも公教育では敢えてここまで踏み込んで教えようとはしていなかったのではないかという気がします。内容的には現代にも連なる非常に重要な価値のある歴史でも、日本はやはり同盟国のアメリカに気兼ねしているのではないかと、考えすぎかもしれませんがこのところ折に触れてそう思います。

 もちろんまだ時代が浅い上に、非常に複雑な範囲であるためにあまり取り扱われないというのも理解できます。しかしそれを推しても、私はこのベトナム戦争こそ日本の中高生には勉強してもらいたいし、私のようにこれまであまり学んでこなかった世代には是非とも父母から当時の話を聞いてもらいたいです。

民主党、小沢氏の存在感の増大について

 おとといの押尾学容疑者の覚せい剤逮捕から「のりぴー」こと酒井法子氏の失踪によって、先週までは主役だった選挙戦のニュースが今週に入るや一気に少なくなってしまいました。まぁ確かにこの両事件は見ていて面白いんですけどね。
 そんな世間の流れに逆行して陽月秘話では今日もいつもの通りに政治系記事ですが、今日はあまりどこも報じていない、選挙後に予想される民主党の小沢一郎氏の立ち位置について私の勝手な予想を紹介しようと思います。結論から申せばもしこの流れのまま民主党が与党となって政権を取った場合、小沢氏の存在価値が非常に大きくなってくると私は予想しております。

 まず現在の選挙の状況ですがちょっと手元に資料がないので私の記憶だけで概要だけをかいつまんで説明させてもらうと、今週月曜のテレビ朝日の早朝ニュースにて紹介された世論調査では自民党への支持率が前回時より微増したものの、民主党への支持率はそれ以上に増加しており結局両党の差は前回時より広がったという結果が紹介されていました。この結果について解説員の吉澤氏は選挙が近づいてきて無党派層が徐々に投票の意思を固めてきた傾向の証拠であり、やはり民主党が圧倒的に優勢な状況であると締めくくったのですが、私もこの意見に同感です。

 別にこの結果にとどまらず各地の選挙戦の話を聞いているとどこも自民党には強い逆風が吹いており、本当によっぽどのことがない限り民主党が次の選挙で大勝するであろうとどのメディアも予想しております。しかし民主党が次の選挙に勝ったとしても、自民党も党内意見に非常にばらつきのある政党ではあるものの現在の民主党はそれ以上に党内意見がまとまっておらず、政権奪取のために現在はまとまっていても政権を取った暁には党内の右派と左派が激しく対立を起こし、早晩機能不全に陥るのではないかという不安もいろんな場所で言われております。いくつか例を出すと、例えば憲法改正問題については党首の鳩山由紀夫氏はまさにパイオニアとも言うべきほどこの問題に早くから手をつけてきましたが、旧社会党の人間からすると何が何でも抵抗する議題であります。また同様にこちらは自民党が必死になって批判している安全保障問題についても、自衛隊に対する意見一つでも大きな火種になりかねない状態です。

 そういった意味で民主党が政権を取るにしてもその後をどうするかという意見は、やや気が早いかもしれませんが憂慮すべき内容ではあります。この不安要素について鳩山党首などは、自民党でも様々な党内対立を行ってきたからこそ党内に活力を保ち続け、政権を守り続けてきたのだという意見を主張していますが、確かにそれはそれで一理ある意見ですがやはり楽観論だと言わざるを得ません。今から20年近く前の細川連立政権からその後しばらく続いた新進党時代には党内意見が全くまとまらず次々と瓦解していった歴史があるので、もうすこしこの問題については警戒感が必要でしょう。

 では具体的にどういった事態が予想されるのでしょうか。私は今回の場合、今日も橋本大阪府知事と会ってきた小沢一郎民主党元代表が最大のキーパーソンになると見ています。
 確かに民主党は党内意見が立党当初よりまとまらず常に全体での行動が整わない政党だったのですが、小沢氏が代表に就任して以降はその「豪腕」の異名に違わずピシャリと党内を糺し、2007年の参院選での大勝利から現在の総選挙で民主党に優勢とさせる体勢を作ってきました。私はそんな小沢氏が政権奪取後も鳩山党首の黒子となって党内統制にしっかり取り組むのであれば、ひょっとしたら本当にまとめ上げてしまうのではないかという淡い期待があります。

 仮に小沢氏が鳩山党首に協力しつつ全力で取り組んでも民主党内がまとまらないとすれば、恐らく誰も意見をまとめることは出来ないでしょう。そういう意味で選挙後は小沢氏がその役割を存分に果たしてくれるかどうかに、私は民主党の政権維持がかかってくるのではないかと見ております。
 7月号の文芸春秋での鳩山党首のインタビューに、「猛獣、小沢をどう扱うか」というサブタイトルがついておりましたが、改めて現状を見渡すと非常に意味を成すサブタイトルだったと今では思います。事実小沢氏が本当に最後まで党内統制に力を砕いてくれるのか、また執行部の寝首をかかないかという不安はいくらでもあります。ただ小沢氏自身が党首討論を逃げ回ってやっぱり選挙対策の責任者がいいといって党首職を鳩山氏に譲ったことを考えると、案外こういう黒子役の方が肌に合っていると本人も思っているのかもしれません。

 私としてはその経歴からあまり小沢一郎という政治家は好きではありませんが、民主党が政権奪取後に意見がバラバラとなって日本の政治が混乱するのだけはなんとしても避けたいと願っているだけに、ほかに人がいないのであれば小沢氏にこの役目をしっかり果たしてもらいたいと期待しているわけです。まさに猛獣を如何に使うか、鳩山党首の手腕にも期待するとしましょう。