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2012年12月11日火曜日

デフレ経済を読み解く~インフレターゲットの実効性

 この連載もこれが最終回になりますが、今回は自民党の安倍総裁がデフレ脱却策として公約に掲げたことによって注目を集めている、インフレターゲットについて思うことを一気にまとめます。それにしても、選挙前に執筆が間に合ってよかった。

インフレターゲット(Wikipedia)

 最初にインフレターゲットの説明をしますがこれは読んで字の如く、というか日本語だとインフレ目標といって一定期間の間のインフレ率に何%にするかという数値目標を政府、または中央銀行が掲げて目標達成に向けた政策を実行するという行為を指します。このインフレターゲットについて岩田規久男氏はその著書の「デフレと超円高」(講談社現代新書)で、デフレに対する唯一かつ最も効果的な政策だとして、政府や中央銀行が具体的な数値目標を掲げることによって投資家の心理に影響を与え、円安にも誘導することが出来ると主張しております。
 岩田氏によると、投資家というのは現時点の資金の動きや金利だけではなく数年先のインフレ、デフレ率を考慮した上で長期国債を買うのであって、それこそ数年後にインフレとなるかデフレとなるかは非常に重要なファクターになるそうです。そのファクターを推量する上で何よりも材料となるのは貨幣供給を決める中央銀行、日本で言えば日銀がどのような政策方針を持っているかであって、そうした姿勢を見せる上でインフレターゲットを定めることは価値があると説明しています。

 こっからが私の意見となりますが、まずインフレターゲットがデフレ対策として実効性を持つかどうかに関しては運用に仕方によると考えています。仮に設けたとしても政府だけが掲げて日銀が掲げなければ効果はなく、やはり日銀が掲げてこそ意味がある政策です。そしてその目標達成に対する制約もどの程度かも重要で、これは岩田氏が言っているだけで私は確認していないのですが、インフレターゲットを導入している国では仮に目標値から±1%離れた場合、政策担当者こと中央銀行の総裁を力不足として遠慮なく追放するそうです。これくらいやってのけるほどの気概がなければやはり効果は望めず、目標が全然達成できなくても政策担当者が全く処罰されないようであれば画餅に化すでしょう。

 これらを踏まえた上で言うと、日本でインフレターゲットを導入することはやはり難しいと言わざるを得ません。というのも日本では政府が政策の実行をお願いするほどやけに日銀の権力が強い上に、当の日銀がインフレを誘導することに対して拒否といってもいいくらいに嫌っているからです。岩田氏はこれだけ中央銀行がえらそうにしてるのは日本くらいだとまで言っていますが、中国と米国しか私も見ていませんが私もどうもそんな気がします。

 一体何故日銀がこんなに偉そうなのかというと、複数の理由がありますが日銀法がかなり日銀に対して有利に作られているのが一番大きいです。そして第二に、「中央銀行は政府から独立している」という主張が日本で誤って伝えられているということもあります。この日銀の独立性ですが日本では貨幣供給政策の方針から手段はまでべて日銀が決めて、政府は一切介入すべきではないと信じられていますが、仮にこれが通るのであれば日銀は政府以上に権力を持つということになりかねません。岩田氏の解釈では日銀が持つ独立性というのはあくまで日本の国益に沿った政策を実行することが前提で、現在の日銀のように円高を容認してむしろ不利益を誘導している状態ではその限りではないそうです。また私の意見だと、中央銀行の独立性は手段においてのみ認めるべきで、方針に関してはきちんと選挙の洗礼を受ける政府に従うべきであると考えます。
 更に日銀を助長させているものとして、マスコミの誘導など世論もあります。わかる人ならわかるでしょうが安倍総裁がインフレターゲットを口にするや一部メディアでは早速批判を初め、殴られたダルマみたいな顔した経団連の米倉会長なんかもかなり口汚く批判してました。ちょっと偉そうですが強気に出て言わせてもらうと、意外と日本の政治部記者って馬鹿ばかりなんじゃないかとこのところ思います。バブル崩壊から20年間何も成果を上げていない日銀をかばう神経がわからないですし、安倍総裁の主張に対する批判も感情論ばかりで理論的な隙を突いた批判は見受けない、というかインフレターゲットを理解しているのすら疑わしい批判をしている記事も見受けます。

 まぁこんな感じで小泉元首相の言葉を借りるなら「抵抗勢力」がやけに多いので、恐らく導入は難しいというのが私の意見です。また仮に徹底した導入が実現したとしても、果たして本当にインフレに誘導できるのかという懸念も持っています。冷戦期とは違い今の経済は社会保障不安が高いことから貨幣供給量が増えてもみんな貯金や預金に回る事が多く、もう一つ二つスパイス的な政策が加えられなければ効果ないように思え、そして政策担当者もこの方面の実行策に手馴れているかといったらそうでもないでしょうし。
 ただこのままデフレ、ひいては円高を座視してみているというのも癪な話ですし、やるんだったら私も賛成です。やるならやるで徹底するべきで、中途半端に実行するくらいならやらない方がいいという立場を取ります。

 最後に日銀の政策方針について述べると、ここにも書いている通り私はかねがねなんで連中は働いてもいない癖に給料もらってるんだと疑問に感じています。日銀の白川総裁も安倍総裁を批判するなどインフレターゲット導入に反対していますが、彼に至ってはそもそもインフレなんてとんでもなく、安定しているならデフレでもいいじゃないかと本気で信じている節があるように見えます。
 何故日銀がデフレ、円高を容認しているのかというと、一説には90年代に急な引き締め策を取ったことでバブル崩壊を招いたトラウマがあり、多少の損失があってもリスクは避けるべきだという思想が日銀内に蔓延していると聞きます。こういってはなんですが非常に官僚的な思想で多分間違いないと私も思うのですが、恐らくデフレ率を毎年2~3%程度にコントロールできるのであれば、このままを維持した方が日本のためだ、下手に手を付けて急激なインフレを招いてはいけないという風な方針を持っているように見えます。だからこそ金融政策の方針は政府が持つべきで、日銀はそれに従うべきだと私は主張するわけです。


2012年12月10日月曜日

「アクシズの脅威V」プレイ日記

 間隔が開きましたが、また友人とやっている「中国景気観測局」というサイトで経済コラムを書きました。

中国進出地における業種別集中都市

 仕事といいブログといいこのコラムといい、一体自分はどれだけ文字書いてるんだとちょっと詳しく問い詰めたいです。

 話は本題、といってもまたゲームの話ですが、前にもちょこっと書いてこの前コメントももらった「機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V」というPSPのゲームに非常にはまってます。このゲームは序盤があまりにも難しいのですが、苦労を乗り越えてコツをつかみ、ようやく楽しさを覚えてきました。

 このゲームでは限られた予算で新兵器を常に開発し、量産化しながら戦うというのが醍醐味なのですが、一部の開発機体はイベントを通してでしか作れないことがあります。なもんだから今日ちょっと遊んでて変な風になったのか、あるイベントで「ティターンズが新しいガンダムを作っているそうです。強奪しましょう!」とクワトロさんが申すので強奪に行かせたところ、「ガンダムMkⅡ」という機体を見事に奪ってきました。けどこの時点で既に自軍では「ガンダムMkⅤ」という機体を既に開発しており、しかも総大将であるレビル将軍が自ら搭乗して最前線でインコム使って無双していた状態だったので、なんでそんな旧式の機体を今さら強奪してきたのか、そもそも「MkⅡ」がないのになんで「MkⅤ」がもうできているんだとちょっと考えさせられることとなりました。

 こんな感じで一部イベントの順番が崩れるといろいろとややこしいことになりますが、そのカオスぶりがかえって面白いです。やりすぎないように気を付けないと。


2012年12月8日土曜日

アベンジャーズの吹き替え問題について

【大炎上】『アベンジャーズ』ブルーレイ吹替版にファン激怒「購買者をバカにしてる」「予約キャンセルした」「消費者をなめるなよ」(ロケットニュース)

 自分のブログにしては珍しい話題を取り上げますが、上記リンク先のニュースで報じられている通りに今年大ヒットしたハリウッド映画「アベンジャーズ」の日本語吹き替え版が騒動になっているようです。具体的に何が問題なのかというとこの日本語吹き替えには竹中直人氏や米倉涼子氏など声優が本業でない有名芸能人が使われていて、しかもその演技ぶりもあまり評価されていないことから一部ファンが起こっているそうです。ただ同じ有名芸能人でも、ある意味で今一番ホットな宮迫博之氏に関しては肯定的な評価が出ています。

 一体なんでこんな話題を取り上げようかと思ったのかというと、実は自分も以前、飛行機でこの日本語吹き替え版を見ていたからです。でもってこのニュースで書かれているように竹中氏と米倉氏の演技は聞いてて「(;゚Д゚)……」となりました、マジで。特に竹中氏については元々キャラが濃い俳優なだけに映像に移る映画俳優となんかギャップがあるというかイメージが一致せず、正直に言って強い違和感を覚えました。
 念のため書いておきますが私は竹中氏は嫌いではなく俳優としても高く評価しておりますが、上にも書いてある通りキャラが濃いだけに、よっぽどイメージに近いキャラクターをやるのであればともかく声優をやるのはちょっと向いてない気がします。

 さらに同じ系列で話を進めると、ドリームワークスの「長ぐつをはいたネコ」の日本語吹き替え版でも竹中氏は主役である猫のプス役をやっていますが、アベンジャーズほど違和感プンプンではなかったもののちょっと違うような気はなんとなくしました。ただ同じ映画でハンプティダンプティ役を勝俣州和氏が演じているのですが、こっちは物凄いイメージ通りというか、いい演技をしているなぁと心底思いました。勝俣氏も割と特徴のある声してますがそれがこのキャラとマッチしていて、勝俣氏の演技っぷりを聞くだけでもこの映画は見る価値あると太鼓判まで押します。やっぱりキャラに合ったキャスティングが大事ってことなのかな。


中国在住日本人の買春事情

 かなりきわどいネタですが、だからこそ自分が書くべきだと思うし昨日に友人からも是非書くべきだと背中押されたので思い切って書くことにします。そんな今日のネタはタイトルにもある通り、中国に在住する日本人の買収事情についてです。結論から述べると、倫理的にも対外的にもあまりいいものだと私は感じていません。

 まずどっから説明すればいいかちょっと悩みますが、中国で現地女性を買春する日本人は割と多くおり、日本人同士だとどこでどういう人を買ったかという話をかなりあけっぴろげに言い合っています。相手の現地女性はマッサージ店、カラオケスナックに当たるKTBに勤務する女性などが中心ですが、私の印象ですが妻子持ちでも割と頻繁に買春しているという日本人男性も少なくない気がします。
 ここでくれぐれも言いますが、日本人海外駐在員が現地で買春するというのはそれほど珍しくない話です。タイでもカンボジアでも韓国でも話に聞く限りだとどこの駐在員も風俗店を利用していると聞きますし、程度も大きな違いは感じられません。にもかかわらず何故こうして中国を今回やり玉に挙げようとしたのは、あくまで伝聞ですがマナーの悪さが際立っているという印象を覚えるからです。

 これは複数の国で駐在経験がある人からの話ですが、ほかの国では買春をする際に少しは忍ぶというか、人目を気にするように買春を行うのに対し、上海ではむしろあけっぴろげに現地女性を連れだったり人前で平気で値段交渉を始めるなどという行動が目立つそうです。私自身もそういう現場を見ておりますし、中国語の使える日本人の友人に至っては日本からやってきた社長にスナックへ付き合わされた挙句、一晩いくらかという交渉の通訳までやらされたというバカみたいな話すらあります。そういうことばっかだからその友人も会社辞めましたが。
 また先程の駐在経験が多数ある人の話に戻りますが、その人によると今私がいる上海が最も買春をする際のマナーが悪いそうです。それこそ中国人から見たらきっと嫌悪感を持つだろうというほどの態度で、人数が多いというのもありますが日本人海外駐在員のレベルで言えば上海が最も低いと言い切っていました。私もこの意見には同感です。

 ではそういう買春を行う日本人に対して中国人はどう思っているのか。サンプルが少ないですが私の友人の中国人は「デマンド&サプライ」と言い、需要に対して供給があるのだから別にいいんじゃないのと言ってました。こういう風に考える中国人が大半だったらまぁありがたいとは思うものの、仮に日本国内、それも東京とか大阪等の大都市で中国人が日本人女性の買春を派手にやっていたら果たして日本人は何も思わないのかといったら私はそうは思いません。
 仮定に仮定を重ねますがそのような中国人の行為に何も言わないのであれば私は何も言いません。だが私は中国人に限らず外国人が日本であけっぴろげに買春行為を行ったら、きっと日本人は口汚く罵って、咎めて、日本からその外国人を追い出せと主張すると確信します。何が気に入らないかといったら、自分達にばかり都合のいいダブルスタンダードを日本人が取りかねないというところが気に入らないのです。

 友人の言う通り、買春を行う日本人もいれば売春する中国人女性もいるわけですから、その行為自体をいちいち非難する気まではありません。それに仮に買春を完全に禁じたら、あまり言いたくないことですが性犯罪を引き起こす可能性は確実に高まるので、沖縄の米兵じゃないですけど買春行為が認められているからこそ最悪のケースは少なくとも避けられるとは思います。
 それでも敢えて言うなら、買春するならするでもう少し現地中国人の目や感情を考えて控えめな態度を取った方がいいのではないかというのがこの件に関する私の意見です。お金を払っているから何してもいいと言い切るのであれば、外国人がお金を払ったらなにされても我慢するべきです。それが出来ないのであれば初めからそんなこと言うなといいたいです。

 なおこんなテーマでブログ書いておきながらですが、私自身は日本国内はもとより中国でも買春したことは一切ありません。理由は単純に金がないということに尽きますが、だからこそこういう記事も書けるんだという気がします。

2012年12月6日木曜日

一つの政策しか主張しない候補について

 今日は久々、というか今週始まって以来初めて9時前に家に帰ってこれました。体力的にはそんなにきつくはないけど、仕事でずっと画面見てるので目が痛いのと、集中力がさすがに落ちているのがきついです。今日なんか早く帰れたこともあって余力ありますが。

 なわけでぱぱっとまた書いてきますが、16日の選挙が公示され選挙戦も本格化してきました。中国も今度の日本の選挙への関心は高くよく特集記事が組まれているだけでなく、写真入り一面で報じている新聞も珍しくありません。全体的な反応としては次の選挙で勝って首相になる可能性が高い自民党の安倍総裁が右翼だとして日中関係を悪化させるのではないかと、警戒する向きが強いです。その一方で野田首相は既に尖閣問題で関係をこじらせているので、民主党が勝ってもまた面倒。映画の「エイリアンVSプレデター」のキャッチコピーは「どっちが勝っても、人理に未来はない」でしたが、敢えてもじるなら「どっちが勝っても、日中関係に未来はない」的な報道が多いように思えます。

 まぁこの辺はまた今度詳しく解説するとして、今回の選挙では小政党が乱立してて第三極とはもはや言えない、有象無象の様な選挙戦となっております。これら小政党についてはっきり言えば物足りなさというか、真面目に資質を疑う候補者が少なくありません。一体どのような候補が私にとって不満なのかというと、タイトルにも掲げている通り一つの政策しか掲げていない候補です。
 主だったもの、というか代表格を上げると滋賀県の嘉田知事が作った未来の党で、ここの人たちは原発廃止しか主張していません。かと思えばかつての民主党よろしく子ども手当も主張してきましたが、ではほかの政策、社会保障から外交、景気対策、国債問題はどういう見識でいるのかが全く見えてきません。またここ以外にもTPPに反対とか、消費税増税反対とか、なにかこう目立つ政策一つ反対するということをオウムのように繰り返し、じゃあほかの分野に関してどういう考えを持っているのか詳しく問い詰めたくなる政党、候補が今回の選挙では特に多いです。

 もっとも連中もまかり間違って政権与党になるわけないとわかっているから何も考えないのでしょうが、私個人としてはそういう、何か一つの政策に反対するから立候補するという人には国会議員になってもらいたくありません。何故なら当選してしまえばその人は国会審議で一票を持つことになります。原発反対しか主張がない人が予算案の承認から刑法、民法の改正等に対してほかの国会議員と同じ一票を持つことになります。何か一つの政策を重要視して優先的に主張するというのは全く問題ありませんが、国会議員となるからにはその他の分野、財政から外交、民政に関してもやはり一定度理解してその一票を投じてもらいたいと強く感じます。
 もうこの際だから実名を挙げてしまうと、タレントの山本太郎氏の出馬は如何なものかと思っております。国会議員となれば時間に制約もつく上、資金管理などに膨大な労力が食うことを考えると、何か一つの政策を主張するなら市民運動をしっかり続ける事の方が価値があるでしょう。本人も当選する気はさらさらなさそうですが、今回は政治を少し茶化した行動ではないのかとここで強く主張しておきます。

 ただ候補者、というより政治家の資質を言ったらこれまでの与党も同じようなものだったのかもしれません。タレント候補に○○チルドレン、杉村太臓氏のような明らかに資質に問題のある人もこれまでにいましたし、民主党に至っては前の前の党首が人間としても明らかに問題だったわけだし。
 そういえば陰に隠れてですけど、先々月あたりに野田首相は鳩山元首相が国際会議でいきなりぶち上げた、2020年までにCO2排出量を25%削減するという目標を、達成は難しいとして引き下げてました。ネットでも、「鳩のフンの処理は大変だ」と書かれていましたが、全く以ってその通りでした。

2012年12月1日土曜日

デフレ経済を読み解く~デフレと円高の関係

 この連載も今回で三回目ですが、久々に骨のあるテーマに向かったという気がします。それもこれもこのところは余裕のある日が続いているというか、先月にたまってた仕事がまとめて片付いたというのが大きいです。それで三回目の今回ですが、デフレが円高を誘導しているという説について解説します。
 今回も引用元は岩田規久男氏の「デフレと超円高」(講談社現代新書)という本です。何度も引用しているんだし、もし会う機会があったらサイン位書いてもらおうと思うほど大活躍中ですが岩田氏はこの本で、このところはやや持ち直しておりますが日本が過去かつてないほど長期的な円高となっているそもそもの原因はデフレにあると指摘しております。その主張について私が理解した範囲で今日は書こうと思いますが、やや複雑な話なのでかなり噛み砕いて書くことにします。

 まず何故日本が円高となっているのかというと、単純に国際市場で円が買われまくっているからです。何故円が人気なのか、一つの理由はリーマンショック後に世界経済が不安定となってほかの基軸通貨であるドルやユーロ、ポンドの信用ががたついているということがありますが、それにしたってここまで日本円が買われるというのは奇妙な話です。というのも日本は現在ゼロ金利政策を敷いており、その政策金利はわずか0.3%しかありません。これは仮に1000万円を預けたとしても定期後にもらえる利息は3万円しかなく、仮に政策金利が1%ある国の銀行に預ければ利息は10万円になるだけに、日本円を買うメリットはなくむしろ資金運用で言えばデメリットの方が大きいように一見見えます。

 しかし岩田氏によると、海外の投資家からすると米ドルを日本円に変えて日本で定期預金をする方が実入りが大きくなると考えられているそうです。何故そうなるのかというと、単純に金額が大きくなるのではなく、デフレによってそのお金で交換できる価値が大きくなるというからです。

 ここで簡単にデフレの解説をしますが、デフレというのは通貨の価値が上がる現象、つまり単一の通貨量に対して交換価値が時間と共に高まることを指します。簡単に例を挙げると、たとえば現時点で大根一本の値段が100円だとします。この一年後、デフレが進んだことによって大根一本の価格が10円安くなって90円に下がれば、(100-90)÷100=0.1という計算によってはじき出されるように10%のデフレとなるわけです。この意味は1円の交換価値が10%上がったと言えます。

 話は戻りますが日本は現在デフレの真っただ中で、年率にして大体1%前後のデフレが続いております。これはつまり大根(それ以外の商品も含む)の価格が毎年1円ずつ下がっていくような状態であるのですが、これは外国の通貨と比べた場合、毎年1%の金利が付くのと同じことになるそうです。なんか大根と浅からぬ因縁があるのかもという気がしてきましたがまた例を作ると、以下のような感じです。

<デフレ率が0%の場合、基準年の価格が1本100円の大根を1万円で購入できる量>
基準年→次年:10000÷100=100本→10000÷100=100本(変化なし)

<デフレ率が10%の場合、基準年の価格が1本100円の大根を1万円で購入できる量>
基準年→次年:10000÷100=100本→10000÷90=111本(11本増える)

 非常に大雑把な表で申し訳ないですが、大根を基準とした交換価値で言えばデフレが進むことによって11本ほど購入量が増えるように、その価値が上がります。この交換価値で言えば購入できる量が11本増えるということはデフレ率が0%と比べた場合、金利が11%つくのと同意義となります。
 こんな具合で、金融の世界で言えばデフレが付くということは金利が付くのと同じ扱いだそうです。公民やったことのある人ならわかるかと思いますが金利が5%に対してインフレ率が3%だとすると名目金利は5%で実質金利は5-3=2%で、実質的に価値が高まる量は2%という計算になります。これがデフレ率が3%の場合、インフレとは逆に5+3=8%ということになり、まぁ預金をしていたらウハウハなこととなるわけです。

 わかりにくい話を続けておりますが今の日本で何が起きているのかというと、政策金利こそ低いもののデフレであることから貨幣の実質金利は世界的にも高く、米ドルを円に換えてでも定期預金する価値が高いとみられていることが円が買われる理由になっていると、ややこしいこと全部投げている気がしますが岩田氏は言っているのです。
 ある仮定条件を書くと、日本が政策金利が0.3%を維持するものの来年度も2%のデフレと予想される場合、米国は政策金利を2%にするものの1%のインフレが予想される場合、両国の実質金利は下記の通りとなります。

日本:0.3+2.0=2.3%
米国:2.0-1.0=1.0%

 この場合、同じ金額を預けても日本円であればその交換価値が2.3%高まるのに対し、米国は1%しか高まりません。こうした予想の上で世界のトレーダーは日本円を買い漁り、ひいては円高を誘導しているというのが岩田氏の考えです。
 そこで仮に日本が米国同様に1%のインフレとなった場合はどうなるかですが、下記の計算式になります。

日本:0.3-1.0=-0.7%

 この場合、交換価値で言えば0.7%減少する。つまり大根を買える本数が減るということになり、こんな条件では日本円なんか持たずに米ドルに変えた方が得です。つまりは政策金利はこれ以上下げようがないのだから、トレーダーに対してデフレ予想ではなくインフレ予想を持たせることこそが円高を脱出させる方法ということになります。
 そんなわけで、次回はちょうど今議論が旬なインフレ目標の必要性とかについて書いてきます。我ながら今回は不完全燃焼な記事となりました。


2012年11月29日木曜日

男女の嫉妬の違い

 このところ同僚と顔を合わす度に、「漢字は一緒でも、男と女で嫉妬という感情の意味は変わるよね」というわけのわからない会話を繰り返しているので今日はこの辺について書きます。我ながら素晴らしく意味の分からない出だしです。

 私が男女の嫉妬の違いに着目したきっかけは大きく二つあり、一つは佐藤優氏がその著作の中で「男の嫉妬ほど醜いものはない」と、本人が外務省内にいた時に目撃した外務官僚同士の嫉妬劇に対する言及と、あまり知られていませんが密かに高く評価している楠桂氏の漫画作品の「鬼切丸」からです。前者はともかく後者についてもう少し説明しておくと、この鬼切丸という漫画は「激しい憎悪や嫉妬にかられると鬼に取りつかれる」というお話で作中では男女関係なく鬼となって虐殺を繰り返すという、こう書くと身も蓋もない話なのですが、鬼になる人間、それもとりわけ女性がなる回というのが非常にえげつないというか、よくもこんな話をこの作者は書けるもんだと思うものばかりなのです。
 一例をあげると、女子高生が数人の男に誘拐されて父親が身代金を要求されます。男たちのうちの一人は誘拐された女子高生に同情して身代金を得たら必ず開放するからと声をかけるのですが、父親は身代金を運んでいる最中に事故死してしまいます。もうこうなったらお金も取れないしその女子高生を殺すしかないと別の男が言うのですが、先程同情した男はもちろんここで女子高生をかばい、開放するべきだと主張します。すると、「何言ってやがる、そもそも誘拐してお金を取ろうと言い出したのはお前じゃないか」と、別の男に言われてしまい、その後なんだかんだあって女子高生は鬼になって主人公に斬り殺されてチャンチャンとなるわけです。

 はっきり書きますが上記のお話なんてまだ緩い方です。ほかの話に至っては全く罪もないのに拷問を受けたりとか変に同情してしまったばかりに事件に巻き込まれたりとかで、ハッピーエンドで終わることはほぼ皆無といっていいくらいありません。全体を通して嫉妬とか恨み、憎悪という感情が前面に出てきており、やっぱこういったもの男の自分では思いつくことすらできず女性の感性じゃないと書けないのではと思うに至ったわけです。

 そんなことを先日に同僚に話したことから盛り上がったのですが、やはり同じ嫉妬という言葉を使っていながらも男と女ではそれが指す感情は全然別物だというのが私の意見です。あくまで男である自分の側から具体的な違いを上げるとすると、男はどちらかというと嫉妬の対象となる人物の性格や能力といった本人の資質ではなく、その地位や財産、身分といった保有するものに対して嫉妬するような気がします。一方、女性はこれがまるで逆で相手の地位や財産に対してはあまり無関心である一方、相手の資質こと性格や見た目、さらに具体的に言えばどれだけ男性にモテるかなんかに対して物凄い執着を見せるような気がします。
 更に女性に関してもう一言付け加えるなら、変な言い方になりますが感情という形のないものに対して嫉妬という感情を強く持つようにも思えます。それこそ先ほどのモテるという点でも、男性の感情を集めるという女性に対して嫉妬しますが、その逆にある男性(大抵恋敵)に対して嫉妬の対象となる女性が意識することに対してすらも持つんじゃないかという風にも見えます。

 ここまで書いてようやく気が付きましたが、そもそも嫉妬というものは基本的に同性にしか向かないものなのかもしれません。男の自分が女性に嫉妬するというのも普通はないですし、自分自身でもそんな感情持ったことのある自覚がありません。逆に同性に対しては、情けない話ですが金のない大学生時代にいくらかその手の感情を持ったことがあります。

 最後に嫉妬と聞いて真っ先に思いつくものとなると、昔あった「突撃!パッパラ隊」という漫画でカップルに対して理不尽な攻撃を繰り返す「しっとマスク」というキャラクターが私の中で挙がってきます。「究極!!変態仮面」といい、あの頃の漫画キャラクターはインパクトが今と比べて絶大だったなぁ。