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2014年3月16日日曜日

超然主義の再考

 先々週に一週間以内に書くと言いながらまたずいぶんと伸び伸びになってしまいましたが、日露戦争、並びにポーツマス条約前後で日本がどう変わったかについて一筆書きます。結論から書くと、日露戦争によって日本の国民が慢心を持ったことから他国を侮るようになり、その慢心が後の太平洋戦争への無謀な参戦へとつながったと考えております。

  まず歴史的事実から簡単に整理しますが、日本は前年に開戦したロシアとの日露戦争で勝利し、1905年にロシアとの間でポーツマス条約を結び戦争を終結します。この日露戦争は海外の目から見ても日本の勝利と位置付けられておりますがその内実は辛勝も辛勝で、当時の日本は既に戦争継続能力が尽きており、仮にポーツマス条約がまとまらなければ戦況がひっくり返ることも十分あり得たでしょう。また歴史の授業では旅順攻略、日本海海戦の勝利によってさも自然とポーツマス条約がまとまったかのように書かれておりますが実際の交渉は非常に難航しており、交渉期限ギリギリにおいても日本側は交渉決裂を覚悟していたとも伝えられます。もっとも確か合意の一日前かに、ロシア側の「樺太の南半分は妥協してもいい」という電信を傍受したことによって、一気に合意へと進んだとされてます。

 このように日露戦争は薄氷の勝利と言ってもいいもので勝利したことは確かに誇れるものの、まだ日本は欧米列強の一員完全に肩を並べたとは言えないような状態にありました。この事実に対し当時の日本政府のリーダーたちは理解していた節があり、だからこそポーツマス条約においても賠償金なしという条件を飲みました。ただ日本の国民はどうだったのかというと逆で、これだけロシアに勝っているにもかかわらず条約交渉で及び腰過ぎたと、むしろ日本政府を批判する声の方が大きかったようです。
 その結果起きたのが日比谷焼打ち事件で、これは明治以降に都市部で起きた大規模暴動としてはもっとも最初の事件なのですが、政府の条約交渉に不満を持った民衆が日比谷公園に集まった後に官邸や交番が襲撃され、死者17名負傷者500名以上にも上った事件です。明治政府に対する批判や反対行動はこれ以前からもなかったわけではありませんが、政治活動家や団体ではなく一般大衆が政府に対する不満から起こされた最初の事件としてみるならば非常に意義深い事件と言えます。

 この日比谷焼打ち事件が起こった背景として、日本におけるジャーナリズム、デモクラシーの勃興があります。既に当時の日本では制限選挙ではありませんが国会も開設されており、それに伴って大都市を中心に新聞社もあちこちにできて一般大衆も一連の政治の動きを追うことが出来る時代になっていました。
 ただ当時、と言っても今もそういう面がなくなったわけではありませんが、どの新聞社も部数を伸ばすために読者受けのいい記事を載せる一方、反感を買うような記事は敢えて排除する傾向がありました。 特に日露戦争中は文字通り「煽る」記事が多く出回り、日本政府が戦争への支持をつなぎとめるために戦果を過大に宣伝していたこともありますがどの新聞も日本がさも圧勝しているかのように報じ、条約交渉中も多くの割譲領土ならびに大量の賠償金が得られてさも当然かの様な予想記事が並び、国民もそれを見て過大な期待を抱いたと言われます。

 にもかかわらず実際の交渉結果は賠償金が得られないどころか日本が支配権を得た領土も期待より少なく、八万人以上も戦死者を出した一般国民としては非常に不満を覚える内容だったのでしょう。また国民を煽っていた新聞社も条約内容は手ぬるいとして政府を激しく批判して煽り、徳富蘇峰が主宰していた国民新聞が唯一、条約交渉の結果について政府を支持したら猛批判を浴び、日比谷焼打ち事件の際に国民新聞の社屋には五千人が集まり襲撃される事態を招いています。それにしても五千人って、黒田官兵衛もびっくりだ。

 言ってしまえば当時の日本のジャーナリズムは未熟で、実態をよく把握せずに部数獲得という俗物的な目的から国民を煽り、余計な暴動を引き起こしてしまったと考えることも出来ます。こうした傾向は大正時代以降も続き、昭和に至って極大化して太平洋戦争へと国民を駆り立てる大きな要因になったと断言してもいいでしょう。こうした歴史の流れを改めて振り返るにつけ、もしかしたら超然主義というのは正しかったのかもなと最近思うようになってきました。
 超然主義とは明治初期に維新の元勲内閣が主張した政治姿勢で、平たく言えば「民意を無視して自分たちが考える政策を推し進める」というような姿勢です。この超然主義の代表格とも呼べるのが山縣有朋が首相、または桂太郎など彼の腹心が首相だった内閣で、本当に清々しいほど民意を無視しまくって政策を進めていたので現代における山縣の評価は高いとは言えません。

 私は以前の記事で山縣有朋と伊藤博文を主役に置いた小説を書いてみたいと書きましたが、折々に両者の人生とその時代背景を探っていくと、この日露戦争後を初めあの明治という時代において、日本はまだ民主主義をやっていくには早かったのではないかという考えがどんどん強まっていきました。もっともそれを言えばほかの欧米列強に関しても同様ですが。
 そのような時代にあって民意を無視して推し進める姿勢、もちろん露骨な選挙干渉とか勧誘物の払い下げといった汚職(山縣は汚職政治家の第一号)も黙認できるわけじゃありませんが、あの時代にあってはそうした超然主義の方が正しかったのかもという考えが強まってきていました。原敬に至っては民意を無視してたら暗殺までされたけど。

 翻って現代を見てみると、果たしてどうなのかって話に発展してきます。私は常日頃から民意にだけ従う政治家や政党は間違っているし、また国民を「煽る」新聞も論外だと主張してますが、特定機密保護法案やSTAP細胞に関する初期の報道などを見ている果たして今、必要なレベルに日本は達しているのかななんて思ってしまいます。

 少し脱線しましたが話を戻すと、山縣に対する否定的な評価要因は裏返してみると太平洋戦争の遠因にもなりかねず、時代背景を考えると超然主義は今言われているほど否定的に見るべきではないのではというのが私の意見です。それにしても超然主義を支持するなんて、自分も中国共産党に感化されてきたかななんていう気もしてきます。

2014年3月14日金曜日

産経新聞の自虐ネタ

 なんか朝日新聞の「天声人語」が意味不明な文章だとして盛り上がっているとジェイキャストなどが報じておりますが、その陰に隠れて今日の産経新聞の社説にクスリと来ました。その産経の社説というのも、下の記事です。

これも右傾化? 3月14日(産経新聞)

 この社説ではアンネの日記が都内各所で破られている騒動に触れて、なんかこの事件も日本の右傾化を表しているという中国や韓国からの批判は的外れだということを書いているのですが、その末尾にて、

「ちなみに、『右』寄りの小欄は子供のころ、『アンネの日記』を読んで涙し、今も大虐殺を経験したユダヤの人たちに、深い同情を寄せている。」

  うん、「右寄り」ってやっぱ自覚してるんだねと、その潔さになんかクスリと来たわけです。自分だけかな、こういうのがツボに来るのって。

理研の会見、そしてSTAP細胞捏造疑惑について

 先日にも同じテーマで記事を書いておりますが個人的に甚だしく憤りを覚える内容であり、今まで黙っていた理研が妙な会見を開いたので続きを書くことにします。結論から述べると、理研の杜撰な対応もさることながら未だ言い訳に終始する小保方氏についてはもう二度と研究なんてしてもらいたくないというのが本音です。

 どっから整理したらいいか非常に迷うところですが、最初は無難に今回の騒動の発端と指摘されている問題点をまとめます。

 まず発端となったのは今年初め、理研に所属する研究員の小保方氏がIPS細胞と同じような万能性を持ちながら簡単に作成できるSTAP細胞の存在を示す論文を、世界的に権威のある科学雑誌「ネイチャー」で発表したことからでした。発表当初は画期的な発見だとして大きく注目されたものの、私の記憶では発表から二週間後くらいにはもう論文に使用された画像に流用があるなどと問題点が指摘されました。問題点は画像にとどまらず一部文章も他の論文から引用の示しなくコピペした形跡も見られましたがこれらの指摘に対し小保方氏が所属する理研をはじめ共同執筆者らは、これらは執筆上の軽微なミスであり、論文の核心部分であるSTAP細胞の存在証明は揺るがないとの反論を展開しておりました。

 しかし論文のミスに関する指摘は止まらなかったどころかほかのどの研究機関も再現実験に失敗し、研究そのものが捏造ではないかとの声まで上がり始めたところ、今週に入っては核心部に当たる細胞分化を示す画像に、三年前に提出された小保方氏の博士論文の画像が流用されているという指摘まで出てきました。この指摘によって一気に風向きが変わった気がするのですが、共同執筆者も小保方氏に論文の撤回を促すなどして報道も一気に加速し、ついには画像の流用元である三年前の博士論文も全体の五分の二程度のページが他の論文を丸々コピペしていたと指摘される始末で、こんだけ芋蔓状に疑惑が次々と出てきたのは私の中では「疑惑のデパート」こと鈴木宗男氏以来です。まぁ私は鈴木宗男氏のことを嫌ってはいませんが。

 こうした数々の不正の指摘を受けて今日ようやく理研が会見を行い、張本人である小保方氏はやはりというか出てきませんでしたが上記の問題点について一通りの回答を行いました。最近中身だしを付けるのがマイブームなので各ポイント別に私が報道で知った内容を下記にまとめます。

1、文章のコピペについて
 理研は指摘されている文章のコピペに関しては相似性から言ってそうやったとしか思えないと認めた上で、そのコピペした箇所について小保方氏は、「自分で書いた」と述べていることを明かしました。ただ会見映像を見ていて疑問に感じた点としてその後、同じく小保方氏の証言として「どこから取ってきたのか覚えていない」と言ったことも明かしていて、なんで自分で書いたと言っている傍からどこから取ってきたのかという話になるのか不思議に感じました。まるでコピペしたけど自分で書いたってことにしているような言いぐさです。

2、画像の加工・流用について
 こちらも理研側は指摘をほぼ認めており、過去の博士論文からの流用については小保方氏が認めたかどうかはっきりと言及しなかったものの、加工の痕跡が見られた画像に関しては「やってはいけない行為だとは思わなかった」と述べたことを明かし、加工したことを本人も認めていてこれは問題の合うる行為だったと断じております。流用した画像に関しても理研は博士論文に使われた画像と同一であるとしか思えないと説明したものの、悪意があって流用したのかどうかに関しては現在調査中であるなどとお茶を濁したまとめ方をしています。このほか研究全体において不適切な行為があったかどうか、これらの結論も調査中として先送りしています。

3、検証対応が遅れた理由について
 こちらに関しては指摘通りに対応が遅れたことをほぼ認めた上で、当初は外部からの指摘に関して楽観視して研究結果は揺るぎないものと考えていたと述べました。なおこの時に回答した理事の方が発言している途中、「研究内容に自信を持っていた、と言ってもいいでしょうか?」と隣にいる、ノーベル賞受賞者でもある野依良治理事長に尋ねるシーンがありましたが、野依氏は一瞥もせず厳しい顔を保ち続けていたので結局その理事の方はその通り話しました。私個人の印象ですが、やっぱり今回の一件で野依氏としては相当腹に据えかねているような表情に見えました。

4、小保方氏の現況
 多分一番気になる点はみんなここだと思うのですが、具体的には「内外からの声に非常に憔悴している」という一言だけでしたが、テレビニュースで見た映像の中に気になる別の一言がありました。それは執筆者たちは論文の撤回を決めたのかという質問に対する回答なのですがそれについてある理事が、「論文を撤回してもいいか尋ねたところ、(小保方氏は)言葉を出さず頷いたのでそういう意思があると判断しました」と述べるシーンがあり、勝手な予想ですが小保方氏は数々の疑惑に対して回答できない状態というか、ノックアウト状態でまともに会話できない状態にあるのかもしれません。こういってはなんですが会見に出てこない上に理研の対応が歯切れ悪く遅いことを考えると、本人への事情聴取が出来ない状態だと考えるのが自然に思えるため仮にそうだとしても不思議に感じません。それを考慮した上でなお言いますが、自分でしでかしたことなのだから甘ったれないでちゃんと自分自身でケリつけろ、なんて言いたいです。

5、STAP細胞は捏造か、そうでないか
 核心も核心も大核心な部分ですが、ここについては現在調査中だとして明言を避けました。早く決めた方がダメージも少ない気がしますが。

 今日の理研の会見についてまとめを書くと、いくつかの疑惑に対して理研としても不正を疑うと認めたことと、そしてその原因が未熟な研究者の経験不足と研究倫理意識の欠如にあると断じたことはまだ評価します。しかし問題点が指摘されだして既に一ヶ月近く経っているにもかかわらずこの程度の内容しか発表できないというのは身内に甘い組織だと言われても仕方ない、というより如何にも日本らしい組織だなと私としては呆れてきます。
 既に事態は捏造ではないかと検証する段階ではなく、捏造ではないということを証明する段階にあります。言い換えるなら、前者は問題点や矛盾点を証明する段階で、後者は指摘されている疑惑に対して研究が真実であると証明しなければいけない段階にあるように思えるだけに、今回の会見は消化不良と思える内容でした。さらに強く言わせてもらうと、論文の提出前チェックもしっかりできないような未熟な組織であるならばもうこの際とっとと解体した方がいいように思えます。

 最後にどうして私がこの問題で本気で怒っているのかというと、仮にというかそうとしか思えませんが、STAP細胞の研究が捏造だとしたら日本の万能細胞研究に大きく水を差しかねないように思えるからです。言うまでもなく万能細胞研究において日本は山中教授のIPS細胞の研究によって最先端をひた走っており、文字通り世界をリードしております。そんな最中にこんな大々的、世界的に捏造騒動が起こってしまえば、山中教授の業績が揺らぐことはないものの、少なからず日本の研究に疑念の目が持たれるのも仕方ありません。
 折角大勢の人間が頑張って発展させようとしている重要な研究に、突然割って入って信頼を損なうような行為をするなんて人として最低な行為の一つとしか私には思えません。それでなくても小保方氏は博士論文でも盗用の疑いが出ており、こんな問題の多い人間が真面目にやっている人の足を引っ張ろうかとしていると考えるとむかっ腹が立ってしょうがなく、関係者たちにはより誠意ある対応を取ってもらいたいという主張を述べて筆をまとめます。

2014年3月12日水曜日

人を見る目があるゲームクリエイター

 もはや定番となっていますがほんとどうでもいいこととして、マレーシア航空の消息不明となった機体は今も残骸すら見つかっておりませんが今日社内で、「中国軍が撃ち落したんじゃねぇの?」って言う人がいました。もちろん冗談なのはみんなわかってますし目くじら立てるほどのことではありませんがこれの返しとして私は、「イギリスなら今頃UFOのせいにしてますよ」と答えました。多少不謹慎であることは百も承知ですが、ちょっとはこういうユーモアもいるんじゃないかなと思ったわけです。

 話は本題に入りますが、まだ疲労が残っているのか左耳が中耳炎の様になんか痛いです。なので今日はブログサボって企業居点の作業(登録拠点数が8000件突破!)だけやってようかとも思いましたが、ネタが有り余っているのとちょっと気分転換にくだらないネタを書きたいと思い、やっぱ書くことにしました。

 そんな長い前置きをした上で何を書きたいのかというと、このところの日本は政界はもとい財界や官界、芸能界などにおいても際立つ人物が新たに出てくることがほとんどありません。特に芸能界は深刻で、お笑いBIG3(タモリ、北野たけし、明石家さんま)の後に続く大物司会者が出てこないまま20年近く経っており、明石家さんま氏が既に匂わせているように60歳で引退したら吉本とかどうなるんだろうと他人事ながら気になります。
 一体何故日本はこのところ人材不足なのか。結論から述べると人材が不足しているというより才能を持つ人材を見つける、引き上げるような伯楽の不足の方が深刻である気がします。プロ野球界とかならスカウトなど人を見る専門職もおりまだそういう事はありませんが、政界や財界(企業)においては「よりによってどうしてこんな奴を……」と思う人材を支援したり、採用して来たりするから救いがありません。学界でも最近、論文で大量にコピペしてた人に博士号あげるくらいだしな。

 では具体的に伯楽はいるのか、いるとしたらどんな人かって話ですが、私が思うあたり一人、確実に伯楽というか人を見る目がすごいと思う人物がいます。もったいぶらずに言うとその人の名は岡本吉起氏といって、ゲーム会社大手のカプコンの元役員で、独立した後はあまり芳しい業績を残していないもののアクの強いキャラで有名な人です。岡本氏は創業まもないカプコンに入社して自ら開発に携わる一方で従業員の採用担当も行っていたのですが、この時に岡本氏が採用した人物らはどれも粒ぞろいだったというか、後のカプコンの躍進につながる人物が数多くみられます。

 その中でもまず紹介したいのは船水紀孝氏で、この人は看板タイトルでもあるストリートファイターシリーズだけでなく任天堂の委託で作った「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実」などでも開発を指揮しており、私も高く評価している人物です。この船水氏を採用したのは言うまでもなく岡本氏なのですが、その採用理由というのも岡本氏のキャッチボールの相手としてだったそうです。そんな基準で昔のカプコンは採用してたのかよと思いたくなるエピソードですが、結果的に優秀な人材をGETしているのでまあありかなと納得しちゃいます。なおこの船水氏、若い頃は創業まもないカプコンが発売した「ソンソン」というゲームで高得点を出すまで家に帰らせてもらえなかったというエピソードがあります。いじられっ子だったのかな。

 この船水氏に関しては多少冗談も入っていますが、岡本氏が採用した人物の中で文句なしに超一流と呼べるのは安田朗氏でしょう。安田氏はデザイナー、イラストレーターとしてカプコンの中興に関わった人物で、代表作としてストリートファイターのキャラデザインがあり、ドット絵に仕上げることを前提としたデザイン設計という分野ではパイオニアに近い存在です。このほかカプコンの外でも活発な活動をしており、有名なのだと「∀ガンダム」のキャラデザインも行っててその独特な画風はさすがだとため息つかされます。
 そんなすっごい安田氏ですが、若い頃はなんでも上京してまで入学したデザイン学校を中退(親に内緒で)した後、家の中でじーっとして動かないまま過ごしてたそうです。見かねた同居人に言われてカプコンの採用募集に応じたそうですがなんとその面接にはパジャマ姿で登場し、しかも「帰りの電車賃がないので今日採用してくれたら給料は日割りで欲しい」(Wikipediaより引用)と言ってのけたそうです。更にすごいのはそんな安田氏を見て、「すごい人が来た」と岡本氏は考えて速攻で採用を決断したという事実です。もちろん持ってきたイラストを見た上ですが。

 こんな具合というのも変ですが、このように岡本氏はカプコンの中核となる人材を悉く採用しているだけに人を見る目は確かにあるなぁと感心させられます。さらにというか最近、また岡本氏の人物眼に関するエピソードを手に入れたのですが、百聞は一見にしかずというので下の画像をご覧ください。


 これはなんかのインタビュー記事でしょうが、カプコンが昔発売した「鬼武者」というゲームでBGMを作曲した佐村河内(実際には新垣氏でしょうが)に対して持った印象を述べています。このインタビュー文で何がすごいかって言うと、「最初、佐村河内さんと会ったときの印象は『こいつ、相当ワルだぞ』って感じでした」と述べており、初見である意味本質を見抜いているっていう点です。変な話、岡本氏はゲーム作っているよりももっと人物批評とかしている方が向いてるんじゃないかな。

2014年3月11日火曜日

STAP細胞論文の騒動について

 今日は311ですが妙な空気に飲まれたくないのでマイペースに記事を書くことにします。ちなみに三年前の311の日に自分は杭州におり、バカみたいな働かせ方させられた会社を辞める日だったのでちょっとテンション上がってました。もっともその日の終業後、夕方に家を引き払ってそのまま上海に予約していたホテルへと移動したので結構慌ただしかったです。次の日には宝山路へ中古ノートPCも買いにいったし。なおその時買った東芝製ノートPCは友人にプライスレスであげましたが、その友人は従弟にプライスレスでまたあげたそうです。

 話は本題に入りますが、今まで敢えて無視してきましたが万能細胞の一種であるSTAP細胞の論文に関する騒動が山場を迎えつつああります。論文の内容や使用されている画像、文章に関してこれまでにも数多くの指摘が挙がってきましたが、先週くらいから研究の核心部を示す、STAP細胞から作られた細胞の写真も以前に使われた写真が流用されているのではと報じられ始め、共同執筆者からも一旦論文を撤回するべきだなどという声まで上がってる状態です。
 先ほど私もその問題となっている核心部の写真をテレビニュースで見ましたが、筆頭執筆者の小保方氏が三年前に提出した博士号論文に、骨髄から採取したものとして使用していた写真と似ているどころか全く同じで、正直な感想を述べると流用したとしか思えない写真でした。これまでも一部の写真が説明している内容の写真と異なっていると指摘された際には取り違えの事実を認めた上で単純なミスだったなどと執筆者側は主張していましたが、この核心部の写真に関しては、こういう研究の世界のルールについて知らないまでもあくまで素人としての考えですが、もはや取り違えなんてレベルでは済まないように思えるだけに現段階で私はこの研究に真実性を感じることが出来ません。

 そもそも、この論文問題では当初から小保方氏、及び小保方氏が所属する理研の態度に一種の奇妙さが見えていました。その奇妙さというのも論文の不備に対する指摘にほぼ全くと言っていいほど反応がなく、むしろ共同執筆者のいるハーバード大学がこうした指摘に対して反論をする始末で、一体何故本来メインであるはずの小保方氏と理研が黙ったままなのか不思議を通り越してきな臭さを感じるほどでした。
 そして昨日、山梨大学にいる共同執筆者が論文の一時撤回を口にしてようやくというか理研も会見を行い、プレスリリースでは検証を進めるが「論文撤回も視野に入れている」という文言がはっきり加えられています。皮肉な言い方をしますが、この状況から逆転ホームランはなかなか難しいように思えるし、さらに皮肉を続けると何故理研が一ヶ月間もこの問題にだんまりを決め込んでいたのかというと、案外結論は早くに分かっていてどう着地させるかという対応をこれまで練っていたんじゃないのと勘ぐっております。どっちにしろ、まだ小保方氏本人が表に出てこないというのも切り札として持ってるつもりなのか、あまり悠長なこと言ってる場合じゃないと思うのですがね。

 厳しい言葉を続けますが、仮にこの論文の内容が捏造されたものであれば日本としても赤っ恥この上ない失態でしょう。それだけに疑惑がもたれるほど不備の多い論文を発表前に内部で精査できなかった理研の責任は重く、今後どっちに転ぼうが甘んじて批判を受け今後の改善に力を入れてもらいたいものです。

 それにしても今年は佐村河内の事件といい捏造・詐称問題が年初から頻繁に上がってくるものだという気がします。それと今回のSTAP細胞はあの天下のネイチャーが載せたのだから日本のマスコミが何の疑いもなくフィーバーして報じたのはまだ仕方なかったと思いますが、個人的に「リケジョ」って言葉を多用したことは強い憤りを感じます。なんで一人で勝手に怒っているのかというと、仮にこの発見が男の研究者だったらここまで取り上げたのかっていうことと、女性だから大きく取り上げるというのは別な意味での女性差別なのではと思うのと、耳障りのする余計な日本語単語を作るなって理由などからです。それこそ、自分だったら「文系男子」だから「ブンダン」とか言うのかよってとこです。

2014年3月10日月曜日

「デスレス」の乙金まどかについて

 日本全国そうでしょうが今夜はやけに冷えて指も動かしづらく、ブログを書くモチベーションもやや低めです。なのでどうでもいい話でもと思いつつ日露戦争後に日本人が勘違いしてしまったというむちゃくちゃ重いテーマを書こうとしましたが、やっぱり神経が持たないのでどうでもいい話をちょこっと書きます。

 ついさきほど別の記事に頂いたコメントの返信文に、「驕る平家も」という文言を入れたのですが実はこのフレーズ、最近現実世界でも使うことが増えています。なんで増えているのかというと、「エクセル・サーガ」を代表作に持つ漫画家の六道紳士氏が現在、「デスレス」というまた別の漫画作品を書いているのですがこの中に出てくる「乙金まどか」というキャラクターがまさに最新刊で、「驕るがいいこの平家ども!いずれ壇ノ浦の空の下で……」なんていうセリフを述べていたのがやけに印象に残り、すっかり影響されてしまったのか無意識に自分も何故か使ってしまいます。

 先に「デスレス」について簡単にあらすじを紹介すると、この作品は法学部に通う女子学生の主人公がひょんなことからヤクザに刺殺されたところ時間を巻き戻す能力のある妖怪に命を救われ、命を救った代わりに残りの寿命分の時間をいただくとばかりに食べられそうになったら逆にその妖怪を取り込んでしまい、その後もハプニングが続いていくという書いてて自分もなんだかよくわからなくなってくるようなストーリーです。
 こういうドタバタ系のストーリーは今時珍しくとも何ともないでしょうが、六道氏は「エクセル・サーガ」の連載後半期から顕著になってきましたが頭身の高い女性キャラクターを描くのが非常に上手く、やややセクシーすぎるきらいもありますがそうした絵柄面で一般の萌えマンガと一線を画す出来となっています。なお「エクセル・サーガ」の連載初期に私が読んでて「何これ?」と思った点を今述べると、一話ごとにキャラクターが着る私服デザインが毎回変わっており、当時は今ほど絵が上手でなかったもののこの作者は独特なセンスがあると当時から見ていました。

 話は戻りますがこの「デスレス」は当初こそ絵は一流でもストーリーは並の萌えマンガとみて高をくくっていましたが、連載が進むごとに段々伏線が貼られていって今現在だとストーリーも楽しめるようになってきました。またそれ以上にというか、元々六道氏の漫画キャラクターはどれもテンションが異様に高いキャラばかりで、セリフ回しも読んでてためらうような毒の強い物が多い(昔の作品で、「20世紀中盤にニューメキシコで実験が上手くいくよう陰で働いてやった」なんてセリフも)のですが、この「デスレス」でもみんなぶっ飛んでて、その中でも際立っているのが今日槍玉に挙げる「乙金まどか」というキャラです。


 このキャラがどういう人物かというと、当初は主人公の敵役としての立場で登場してくるのですが、実際に絵を見てもらえばわかりますが顔のパーツは揃っていて美女として描かれているものの、どのシーンでも目の焦点が常に合っていないというか常に瞳孔が全開みたいな異様な風貌で、その風貌に負けず劣らず口から出るセリフも常軌を逸しているものばかりです。今覚えているのを片っ端から挙げると、

(夜中に電話に出て)「イエス、グッドミッドナイ!乙金、乙金でございます!」
(両人差し指をこめかみに当てながら)「来ました、電波が!」
(主人公宅に物乞いに来た際)「ところで私、お腹がすきましたわパ〇ラッシュ!」
「あんな~に一緒だったのに~!」(ガンダムSEEDのED曲の歌詞をそのまま引用している)
(両親指を地面に向けながら)「ざ~んね~んしょ~!」

 文面では非常に伝え辛いのですが、どのセリフも瞳孔全開でかつ妙なポーズを取りながら発するので、見ていて有り得ないくらいにインパクトが強いです。っていうかこれだけインパクトを受けた漫画キャラクターは「餓狼伝」に出てくる「泣き虫サクラ」以来と言っても過言じゃありません。私はこの「デスレス」を今は漫画喫茶で読んでいる状態ですが、六道氏の漫画なだけに一冊当たりのセリフ量が多くてコンテンツ量が多いし、あとこの乙金まどかがやけに気に入ったのでもうこの際だから電子書籍で買っちゃおうかなと検討しております。
 それにしてもというかこの記事を書くきっかけにもなっているのですが、この乙金まどかに関するレビューがネットを見ていてやや少ない気がしました。もうちょっとこの作品は評価されてもいいと思い、なら自分が書いちゃえとばかりに30分でサラリと仕上げた次第です。

  おまけ
 六道氏のキャラクターは女性キャラクターのセクシーさばかり注目されがちですが、「デスレス」を読んでて、「ごつい男キャラもいけるやん」とちょっと思いました。女の子ばっか書いてないでもうちょっとカッコいいおっさんキャラも増やしたらいいようなと一ファンとして思います。


2014年3月9日日曜日

パソコン本体価格の高騰(;´Д`)

 昨日、消費税増税前ということと、体調不良からここ一ヶ月休日はほとんど家から出ていなかったこともあり、気分転換を兼ねて秋葉原へ買い物に出かけました。先に買ったものを述べると、1080円と安かったのでUSB3.0のメモリースティック(16GB)と、下記写真の同じくUSB3.0の外付けハードディスク(1TB)です。



 なんで外付けHDを買ったのかというと、単純に使ってて便利なのと今使っている外付けHDは容量が320GBで、なおかつ2010年11月に買ったものであることからそろそろ新しいものに切り替える時期だと考えたからです。HDクラッシュほど恐ろしいものはないし、数年単位での交換あればありかと納得しました。
 肝心のお値段は11800円で、数あるメーカーの中からこの東芝製を選んだ理由はデザインが気に入ったためです。写真を見ればわかる通りにシルバーの地をやすりで擦ったような侘寂を感じるデザインで、バッファローとかアイ・オー・データより値段は高かったけど長く使うことを考えて嫌いにならないデザインを選びました。あと自宅に着いてから早速使ってみましたが、今回初めてUSB3.0のHDを使ってみるのですがやはりUSB2.0より段違いに読み込み、書き込みが早いです。特にこういう大容量だと速度の差が大きいだけに、今後購入を検討している方は断然USB3.0を選ぶことをお勧めします。

 それで話は本題に移りますが、今回の買い物では外付けHDのほか小型のノートパソコン購入も視野に入れておりました。今現在も15.6インチのノートパソコンを持っておりますが、外出の際に使えるような14インチ以下のノーパソがあればなぁと前から思っていたので、いいのがあったら買おうかと考え乗り込みました。
 それでいろんなお店を眺めましたが、一見してどこも価格が高い印象を受けました。そんな中、ソフマップでASUS製11.4インチのパソコンがOffice付きで約6万円だったのでちょっと悩んでたところ店員が寄ってきたので尋ねてみると、こう教えてくれました。

「おっしゃる通りに今どのメーカーも価格を上げています。去年の秋冬モデルから値段が上がり、それ以前と比べ大体2万円前後上がってますね」

 たとえば今私が使っているNEC製のノートパソコンは2011年7月に約8万円で購入しましたが、これとほぼ同スペックのパソコン(15.6インチ、メモリ4GB、ブルーレイディスク、Office付)を今買おうとすると冗談抜きで10万円くらい値が張る有様で、さっきの店員の話とピタリと値上げ分が一致します。まぁ三年前にいい値段で自分が買えただけかもしれませんが。なんでどこも値段を上げているのかと続けて聞いてみると、頭の中にはありましたがやはり円安が影響しているのではという答えが返ってきました。

 今現在、ノートパソコンはほとんどホンハイなどといったEMSによって中国の深圳か重慶で作られている状態で、多分この二都市で世界シェアの過半数を占めるとおもうのですが、向こうで作って日本に持ってくるわけだからそりゃ円安になれば値段も高くなるのが自然の摂理です。今後価格が下がるかどうかは未知数ですが、少なくとも今このタイミングは買うのに適していないと判断したため結局買わずに帰ってきたわけですが、案外こういう物価動向ってニュースで報じられないもんだねと思った一日でした。