・山本太郎氏のテロ非難決議棄権 民主・榛葉氏「決議の意味、分かっているのか?」 連携見直しも…(産経新聞)
詳しい説明は無用でしょうが、本日参議院で行われたISILのテロ行為を非難する決議の採択の際、山本太郎議員が投票を棄権する行動を取りました。この山本議員の行動に対して私の感想を述べると、どうあっても理解できない上に望ましいとは思えない行動で、なんでこんな人が議員やっているんだろうという強い不信感を覚えました。
山本議員がどういう思惑で棄権したのかまではわかりませんが、私の勝手な推量で話させてもらうとこの決議が政府の主導で進められたからだという理由でしかないのではないかと思います。山本議員は反原発を掲げて政界へ進出しましたが、当初でこそ具体的な政策案も出さなかったもののまだ原発反対という基本的な政治姿勢を持っているように見えてました。ただ年を経るにつれて次第に原発問題以外の面でも様々に意見するようになり、政治家なのだからそれ自体は問題ではないものの、発信する意見はどれも時の政府の方針に反対するというものしかなく、国家や政治ををどう持っていきたいのかというイメージは全く見えないままただ逆らうことにだけに意義を持って活動してるように私の目には見えました。
今回の棄権も、個人的な推測ですがどうせ政府が定義した内容だからとか、他者の存在を否定するためだけの内容だからとかそういう考えからやっただけで、ISILがどんな組織であるのかなんていうのは度外視しているのではないかと思います。それこそ、ISIL自体が自分たちの価値観以外を全く認めない組織であることなんて度外視で。
私はこのブログでISILを初めて取り上げた際、日本は国家としてこの組織に対しどのような姿勢を持つのかしっかり考えるべきではないかと言うようなことを書いたと思います。これははっきりとは書きませんでしたが、ISILを潰そうとする米国を初めとした国家連合を政府として本腰入れ、資金援助なり後方支援なりで応援するべきか否かを考えなければならないし示さなければならないと暗に述べていました。私の意見は言うまでもなく実際に自衛隊を派遣するかどうかは別問題として置き、やれるのであれば全力でもってISILを潰すよう日本は支援なりで動くべきだと当時考え、現時点でもそのように考えています。
一体何故そのように考えるのか。色々記事を読んでいると識者などはISILは国家システムを否定する存在だから危険などというようなことを書いていますが私の意見は少し違い、単純に彼らの暴力性や破壊行動に対し歯止めをかけるべきであることと、現代の倫理的価値観を守るため彼らの存在は許されないと考えたからです。
その上で仮に日本がISIL潰しのために動いたら日本でテロを起こされたり、日本人が捕縛されたり殺害されたりするリスクが生まれると考えられますが、私は今のISILの行動を見ている限りだと支援をしようがしまいが何らかの形で危害を加えてくると踏んでいました。なんでかっていうと彼らは他者に対して服従するか破壊するかの二択しか選択肢を持っていないように見えるからです。
どう解釈されるかは任せますが、今回の日本人人質事件でもって私の考えは大筋で正しかったと証明できたのではないかと思います。仮に日本が人道支援も含めて中東事情に関わらないようにしても、今回の様に日本人が人質になることもあれば日本のどっかでテロ事件が起こる可能性はなくならないと思います。それこそ、「日本人はアメリカ産牛肉を牛丼にして食べている」とか、「日本はイスラム教の教えに染まっていない」なんてふざけた攻撃理由を挙げられて。
私にしては丁寧な言葉で書き綴っていますがちょっとだけ本音を出すと、何したって突っかかってくるんだったら二度と立ち上がれないよう確実に仕留める以外にリスクをなくす方法なんてありません。折角米国とかが潰そうと動いているのだし日本は直接手を下さずに済むのなら、資金を回したり後方支援するなどして彼らが一刻も早く潰れてしまうよう動くべきなのが今求められている外交じゃないかと思いますし、これを対岸の火事と思っててはいけない気がします。自衛隊を派遣せずに済むのならそれに越したことはありません。
ここで話を戻しますが、このように考えるにつけ今回の山本議員の行動は一有権者としては不愉快極まりありません。恐らくこの一件は海外にも報じられ、「日本はISILに対して一枚岩ではない」なんて報じられ方もするかもしれません。この非難決議はただ決議するだけで意味がないという方もいますが、国内以上に国外へメッセージを発信するという意味ではやらないよりやった方が価値があるし、今後何かしらの行動を日本が取っていくというのであれば必要な決議だと思います。
それだけに山本議員は、重ねて言いますがどうでもいい理由で今回の行動を取ったというのであれば正直議員を辞めてもらいたいのが本音です。そもそも何故彼のような人間が議員になるのか、小沢が当選することといい日本の民主主義にはまだまだ課題が多いように感じたのが今日一日です。
ここは日々のニュースや事件に対して、解説なり私の意見を紹介するブログです。主に扱うのは政治ニュースや社会問題などで、私の意見に対して思うことがあれば、コメント欄にそれを残していただければ幸いです。
2015年2月7日土曜日
2015年2月6日金曜日
自分の食べ物の好み
特にこのブログでは書きませんでしたがスパイアクションゲームとして名高い「メタルギアソリッドシリーズ」の3のPSVita版をを昨年日本に帰国した際に購入し、昨年のうちにクリアしていました。メタルギアソリッドシリーズは何本も作品が出ていますがその中でもこの3が最高傑作とも呼ばれているだけに自分も楽しめ、そのゲーム性からストーリーまで文句なしに人に薦められる出来でした。
このゲームをやったことのある人なら話が早いのですがこの作品のテーマはサバイバルにあり、戦場で蛇やカエル、蝙蝠、果てにはツチノコまで捕まえて時に捕食し時に敵兵へ投げるなどして遊べますが、食べる際に主人公であるスネークは様々な反応を見せ、「まっずぅ……」と言うこともあれば「もっと食わせろ!」、「最高だぁ!」などと大塚明夫氏の渋い声で見事な演技ぶりを見せてくれます。
そんなこのゲームの後半には主人公に加えヒロインを同行して戦う場面が入ります。ヒロインも主人公同様に食べ物を食べないと体力が落ちていくので蛇とかカエルを食わせるのですが、この時にヒロインがみせる反応は主人公と同様というべきか、色っぽい声で「もっと食べさせてぇ」などと言うなど様々な反応を見せます。ただ食べ物の好みは主人公と同じで、主人公が絶賛した物には同じく絶賛し、嫌う食べ物は嫌う反応を見せます。
そんな反応を見ていてふと思ったのは、「食べ物の好みは案外、根源的な人間の相性にも影響するんじゃないか?」という点です。よく夫婦喧嘩の元になるのは食べ物の好みの違いだと聞くし、逆に好みが一致した相手とは意外と関係が続くということも耳にします。実際このゲームの主人公とヒロインはその後のストーリーだと一旦離れ合うものの後に盟友となり、最終的にヒロインは主人公のデザイナードベビーの代理母となります。
では男女関係なく自分と相性を図る上で自分と同じ食べ物の好みを持つ相手を捜したらどうなるのか。これはまだ実証していませんが、少なくとも自分がやたら食べるカレーが嫌いな奴とは仲良くなれそうもないと思えるだけにやっぱり食べ物の好みは相性に影響するのでは、なんて思います。
そういうわけでこの場で私の食べ物の好みについて書いていくと、まず食べられない食べ物に関してはほぼなく、出されたら一般的な範囲内で何でも食えます。辛い料理に関してもさすがに四川料理のきついのとかは無理ですが、標準的な中華料理の辛さであれば一般的な中国人同等に口にすることができ、酸味が効いたものとかでも対応できる自信があります。
ただ苦手と言うか率先して食べないものはあり、ズバリ言うと牡蠣に代表される貝類です。貝類は食べててあまりおいしいとは思えないし身も少ないので、出されても一口しか端をつけずその後は放置することが多いです。食べられないわけではないのですが、他に食うものがあればそっちの方を優先してしまいます。
シーフード系で言えばほかにもウニやいくらも全く手をつけません。これも食えないわけじゃないですが値段の割に身が少なく、なんか食べてて損した気になるのでパック寿司のネタに入っていれば大抵欲しがるほかの人にあげてしまいます。なお寿司ネタで言えばイカが一番好きで、開口一番にイカを5皿頼んで周りにドン引きされたこともありました。
反対に好きな食べ物となると、既に挙げているカレーとサンドイッチが代表格です。カレーに関しては三日連続、場合によっては一週間連続でも飽きない自信があり、自分でもしょっちゅう作ればインド料理屋などにしょっちゅう通ったり、カレー専門の小さなレストランの親父とは顔見知りになるくらいに通いました。
サンドイッチに関してはそれほど特別な感情はないものの、具材を変えれば味はいくらでも変わるので対外的に「好きな食べ物は?」と聞かれた際にこれを挙げると便利だからという理由でいつもあげています。ただこう言いながらも実生活で食べることは多く、前の会社では昼食に食べるものと言ったらコンビニで売ってるカレーかサンドイッチの二択で、周囲からもっと他のを食べたらと言われましたがコストパフォーマンス的にこれがいいと言って譲りませんでした。
このカレーとサンドイッチが好きな食べ物の代表格であることは間違いないものの、この二つの陰に隠れて真に一番好きなのは厚焼き煎餅です。以前香港に滞在していた時に尋ねてきた友人にわざわざ買って持ってこさせたことがありましたが、久々の再会ということもあって友人とあれこれ話をしながら平気で袋を開け、そのままバリバリと食べ続けながら話し続け、結局中に入っていた八枚くらいの煎餅を友人には一枚もくれてやらずにそのまま全部平らげたこともありました。自分でもよくわかりませんが厚焼き煎餅が目の前にあると一心不乱に食べ続ける癖があり、その甲斐あってか歯もやたら丈夫に育ちました。胡桃の殻だって噛んで割るし。
何が言いたいのかっていうと、多分自分と同じ食べ物の好みの人間はきっと少ないだろうなってことです。食べ物の味よりも栄養価で選んじゃう癖もあるしなぁ。
おまけ
最初に取り上げた「メタルギアソリッド3」ですが、やや難しいゲームであるものの上にも書いてある通りに文句なしで人に薦められるゲームです。声優陣もほかにかわりがいないと思えるくらいに各キャラクターとマッチしていることもさることながら、ストーリーもエンディングのラストシーンは秀逸の一言に尽きます。
なおそのエンディングでヒロインが事件の真相を涙声の独白形式で語るシーンがあるのですが、このセリフは実際に声優が泣きながら収録したという噂があります。真偽はどうかわかりませんが、実際にそのシーンは自分も涙流しながら聞いてました(ノД`)
このゲームをやったことのある人なら話が早いのですがこの作品のテーマはサバイバルにあり、戦場で蛇やカエル、蝙蝠、果てにはツチノコまで捕まえて時に捕食し時に敵兵へ投げるなどして遊べますが、食べる際に主人公であるスネークは様々な反応を見せ、「まっずぅ……」と言うこともあれば「もっと食わせろ!」、「最高だぁ!」などと大塚明夫氏の渋い声で見事な演技ぶりを見せてくれます。
そんなこのゲームの後半には主人公に加えヒロインを同行して戦う場面が入ります。ヒロインも主人公同様に食べ物を食べないと体力が落ちていくので蛇とかカエルを食わせるのですが、この時にヒロインがみせる反応は主人公と同様というべきか、色っぽい声で「もっと食べさせてぇ」などと言うなど様々な反応を見せます。ただ食べ物の好みは主人公と同じで、主人公が絶賛した物には同じく絶賛し、嫌う食べ物は嫌う反応を見せます。
そんな反応を見ていてふと思ったのは、「食べ物の好みは案外、根源的な人間の相性にも影響するんじゃないか?」という点です。よく夫婦喧嘩の元になるのは食べ物の好みの違いだと聞くし、逆に好みが一致した相手とは意外と関係が続くということも耳にします。実際このゲームの主人公とヒロインはその後のストーリーだと一旦離れ合うものの後に盟友となり、最終的にヒロインは主人公のデザイナードベビーの代理母となります。
では男女関係なく自分と相性を図る上で自分と同じ食べ物の好みを持つ相手を捜したらどうなるのか。これはまだ実証していませんが、少なくとも自分がやたら食べるカレーが嫌いな奴とは仲良くなれそうもないと思えるだけにやっぱり食べ物の好みは相性に影響するのでは、なんて思います。
そういうわけでこの場で私の食べ物の好みについて書いていくと、まず食べられない食べ物に関してはほぼなく、出されたら一般的な範囲内で何でも食えます。辛い料理に関してもさすがに四川料理のきついのとかは無理ですが、標準的な中華料理の辛さであれば一般的な中国人同等に口にすることができ、酸味が効いたものとかでも対応できる自信があります。
ただ苦手と言うか率先して食べないものはあり、ズバリ言うと牡蠣に代表される貝類です。貝類は食べててあまりおいしいとは思えないし身も少ないので、出されても一口しか端をつけずその後は放置することが多いです。食べられないわけではないのですが、他に食うものがあればそっちの方を優先してしまいます。
シーフード系で言えばほかにもウニやいくらも全く手をつけません。これも食えないわけじゃないですが値段の割に身が少なく、なんか食べてて損した気になるのでパック寿司のネタに入っていれば大抵欲しがるほかの人にあげてしまいます。なお寿司ネタで言えばイカが一番好きで、開口一番にイカを5皿頼んで周りにドン引きされたこともありました。
反対に好きな食べ物となると、既に挙げているカレーとサンドイッチが代表格です。カレーに関しては三日連続、場合によっては一週間連続でも飽きない自信があり、自分でもしょっちゅう作ればインド料理屋などにしょっちゅう通ったり、カレー専門の小さなレストランの親父とは顔見知りになるくらいに通いました。
サンドイッチに関してはそれほど特別な感情はないものの、具材を変えれば味はいくらでも変わるので対外的に「好きな食べ物は?」と聞かれた際にこれを挙げると便利だからという理由でいつもあげています。ただこう言いながらも実生活で食べることは多く、前の会社では昼食に食べるものと言ったらコンビニで売ってるカレーかサンドイッチの二択で、周囲からもっと他のを食べたらと言われましたがコストパフォーマンス的にこれがいいと言って譲りませんでした。
このカレーとサンドイッチが好きな食べ物の代表格であることは間違いないものの、この二つの陰に隠れて真に一番好きなのは厚焼き煎餅です。以前香港に滞在していた時に尋ねてきた友人にわざわざ買って持ってこさせたことがありましたが、久々の再会ということもあって友人とあれこれ話をしながら平気で袋を開け、そのままバリバリと食べ続けながら話し続け、結局中に入っていた八枚くらいの煎餅を友人には一枚もくれてやらずにそのまま全部平らげたこともありました。自分でもよくわかりませんが厚焼き煎餅が目の前にあると一心不乱に食べ続ける癖があり、その甲斐あってか歯もやたら丈夫に育ちました。胡桃の殻だって噛んで割るし。
何が言いたいのかっていうと、多分自分と同じ食べ物の好みの人間はきっと少ないだろうなってことです。食べ物の味よりも栄養価で選んじゃう癖もあるしなぁ。
おまけ
最初に取り上げた「メタルギアソリッド3」ですが、やや難しいゲームであるものの上にも書いてある通りに文句なしで人に薦められるゲームです。声優陣もほかにかわりがいないと思えるくらいに各キャラクターとマッチしていることもさることながら、ストーリーもエンディングのラストシーンは秀逸の一言に尽きます。
なおそのエンディングでヒロインが事件の真相を涙声の独白形式で語るシーンがあるのですが、このセリフは実際に声優が泣きながら収録したという噂があります。真偽はどうかわかりませんが、実際にそのシーンは自分も涙流しながら聞いてました(ノД`)
2015年2月3日火曜日
よくわかってない江戸時代の庶民の生活
一昨日、日本語を教えている中国人労働者が誘ってきたので昆山市内にある周荘という観光地に行ってきました。そこで中国人労働者が焼き焼売を買って自分にも勧めてくれたので食べようとしたところ落っことしてしまいましたが、何のためらいもなく拾い上げて口の中に放り込もうとしました。「汚いからよせ!」と中国人労働者は止めてきましたが、「日本には3秒ルールというものがあるんだ。よく見ておけ!」と言って結局食べましたが、その晩にちょっとお腹が痛くなるに至り、「いい年こいて何やってんだよ俺……」とさすがに後悔しました。盛ってるようにも見えますが、実話です。
話は本題に入りますが派遣マージン率の記事を終えてやや燃え尽き気味ということもあり、リハビリがてら歴史記事を書きます。
私が小学校の中学年から高学年の頃、江戸時代の庶民の生活について学校で習うことがありました。その中でも特に強烈と言うか当時にして、「なんでやねん」と思ったことで、「『切捨御免』という制度によって武士は庶民を斬り殺しても処罰されなかった」という説明がありました。
大名行列を横切ったとか高位の武士に対する露骨な嫌がらせとかしてれば無礼討ちとして確かに放免されましたが、何の理由もなく庶民を斬り殺した場合はその武士もほぼ間違いなく処刑されていただろうと現代では考えられています。しかし私が子供だった頃は、ただ単に私が無知だったせいかもしれませんが、まだこの「切捨御免」という制度が変な風に曲解され、江戸時代は武士が威張りに威張って好き放題していた時代だったという風に認識されていたのではと思います。さすがに歴史学者でないので実際に考証することはできませんが、武士が自由に庶民を殺していいのなら何故「辻切り」という言葉があるのかという疑問が出てくるため、現代の解釈の方が正しいように思えます。
上記の例は極端なものですが、これに限らず案外江戸時代の庶民の生活がどんなものだったというのかは意外とわかっていません。もう一つ代表的な例を出すと「慶安の御触書」に対する後世の解釈で、詳しくはリンク先のウィキペディアのページを見てもらいたいのですがこの文書では農民はお茶・酒は飲むな、米も祭日を除いて食うな、煙草も吸うななどと農民の生活について事細かに指示してあり、ほんのつい最近までこの文書は江戸時代の幕法、つまり全国で使われた法律だと思われ農民は苛め抜かれていたという証拠として使われてきました。しかし近年の研究によるとこれは甲府の一部地域で配布された、どっちかっていうと農民生活のスローガン的な文書だったようで、実際にはほとんど出回っていなかった上に当時の農民も素直にこの文書の指示に従っていたわけなかったようです。普通に考えて、お茶もお酒も飲まずに農業なんてやってられっかよと禁酒法時代のアメリカを見るにつけ思います。
このようにほんの200~300年前の生活すら現代では案外理解されておらず、どちらかと言うとプロパガンダに使われるような形で変な誤解が広まっていることも少なくありません。武士と違って作法や礼節、日記など残っている文書資料が少ないこともあってか、それほどまでに庶民の生活というのはわかっていない部分が広かったりします。
もっともそのような暗黒大陸的な庶民生活も近年は研究が進んでおり、たとえば私が直接大学で授業を受けた講義では、離島における寺子屋の進学率から識字率を導きだし、当時の日本は約4割、男子に限ると8割くらいは寺子屋で読み書きを習って識字できたという研究結果を聞きましたが、意外に感じると共に、逆に当時は多くの人が文字を読み書きできなかったという根拠も確かにないなという具合で納得しました。
あとこれは以前に雑誌で読んだ記事ですが、江戸時代というととかく女性の地位が低かった時代に思われがちですが、武家の女性はともかく庶民は必ずしもそうではなかったとする研究も出ています。その研究によると、当時の男女の結婚の際は仲人が両者が保有する財産をしっかりと記録を取り、もし離婚となった場合にはその記録に基づき妻の財産を夫が必ず返却しなければならないという習慣があったそうです。
またその離婚を行う決定権は江戸時代は男性側にしかなく、DVなどでどうしても離婚したい女性はそこに行けば無条件で保護される「駈込寺」に行くしかなかったかのように時代劇などで描かれていますが、場所や地位によっては必ずしもそうではなく、女性の側から夫に三下り半を突き付ける例もあったそうです。中には逆に妻からのDVから逃げ出し、「頼むから妻と離婚させてくれ」とお寺に駆け込んだ夫がいたという話も伝わっており、案外こっちの方が現実味があるというか人として自然な姿なんじゃないかなと妙な真実味を覚えます。私なんかむしろ、明治から終戦までの日本人の方がそれ以前、以後と比べて日本人として特別だったのではと考えていますし。
まとめとしましては武家や公家といった社会的に高い地位の人間の生活はそこそこ研究されているものの、地べたの庶民の生活はそれほど研究史料も多くないこともあって案外わからないことが多いということです。なおこれは江戸時代以前となるとよりわからなくなっており、鎌倉時代や室町時代の農民や町人の生活となると、せいぜい1日2食か3食か程度しかわかってないんじゃないかと思います。
なおこうした庶民の生活を知る上で最大の手掛かりとなるのは、恐らくは外国人による見聞録でしょう。外国人というのはいい意味でその土地の習慣になじんでいないため、れりごーなままの情景を日記などに書き記してくれることが多いです。室町後期であればキリスト教宣教師が代表格ですが、戦後に上野に来て日本人の生活を分析した英国人社会学者であるロナルド・ドーア氏の論文は私も読みましたが、「ああ、こういうところは当たり前すぎて俺たちにはわからないかもな」と感じるくらい示唆に富んだ内容でした。
おまけ
ちょっと検索かけたら、ロナルド・ドーア氏が昨年11月にまた本を出していたようです。噂には聞いてはいたが、本当にタフで元気な人だなぁこの人。
話は本題に入りますが派遣マージン率の記事を終えてやや燃え尽き気味ということもあり、リハビリがてら歴史記事を書きます。
私が小学校の中学年から高学年の頃、江戸時代の庶民の生活について学校で習うことがありました。その中でも特に強烈と言うか当時にして、「なんでやねん」と思ったことで、「『切捨御免』という制度によって武士は庶民を斬り殺しても処罰されなかった」という説明がありました。
大名行列を横切ったとか高位の武士に対する露骨な嫌がらせとかしてれば無礼討ちとして確かに放免されましたが、何の理由もなく庶民を斬り殺した場合はその武士もほぼ間違いなく処刑されていただろうと現代では考えられています。しかし私が子供だった頃は、ただ単に私が無知だったせいかもしれませんが、まだこの「切捨御免」という制度が変な風に曲解され、江戸時代は武士が威張りに威張って好き放題していた時代だったという風に認識されていたのではと思います。さすがに歴史学者でないので実際に考証することはできませんが、武士が自由に庶民を殺していいのなら何故「辻切り」という言葉があるのかという疑問が出てくるため、現代の解釈の方が正しいように思えます。
上記の例は極端なものですが、これに限らず案外江戸時代の庶民の生活がどんなものだったというのかは意外とわかっていません。もう一つ代表的な例を出すと「慶安の御触書」に対する後世の解釈で、詳しくはリンク先のウィキペディアのページを見てもらいたいのですがこの文書では農民はお茶・酒は飲むな、米も祭日を除いて食うな、煙草も吸うななどと農民の生活について事細かに指示してあり、ほんのつい最近までこの文書は江戸時代の幕法、つまり全国で使われた法律だと思われ農民は苛め抜かれていたという証拠として使われてきました。しかし近年の研究によるとこれは甲府の一部地域で配布された、どっちかっていうと農民生活のスローガン的な文書だったようで、実際にはほとんど出回っていなかった上に当時の農民も素直にこの文書の指示に従っていたわけなかったようです。普通に考えて、お茶もお酒も飲まずに農業なんてやってられっかよと禁酒法時代のアメリカを見るにつけ思います。
このようにほんの200~300年前の生活すら現代では案外理解されておらず、どちらかと言うとプロパガンダに使われるような形で変な誤解が広まっていることも少なくありません。武士と違って作法や礼節、日記など残っている文書資料が少ないこともあってか、それほどまでに庶民の生活というのはわかっていない部分が広かったりします。
もっともそのような暗黒大陸的な庶民生活も近年は研究が進んでおり、たとえば私が直接大学で授業を受けた講義では、離島における寺子屋の進学率から識字率を導きだし、当時の日本は約4割、男子に限ると8割くらいは寺子屋で読み書きを習って識字できたという研究結果を聞きましたが、意外に感じると共に、逆に当時は多くの人が文字を読み書きできなかったという根拠も確かにないなという具合で納得しました。
あとこれは以前に雑誌で読んだ記事ですが、江戸時代というととかく女性の地位が低かった時代に思われがちですが、武家の女性はともかく庶民は必ずしもそうではなかったとする研究も出ています。その研究によると、当時の男女の結婚の際は仲人が両者が保有する財産をしっかりと記録を取り、もし離婚となった場合にはその記録に基づき妻の財産を夫が必ず返却しなければならないという習慣があったそうです。
またその離婚を行う決定権は江戸時代は男性側にしかなく、DVなどでどうしても離婚したい女性はそこに行けば無条件で保護される「駈込寺」に行くしかなかったかのように時代劇などで描かれていますが、場所や地位によっては必ずしもそうではなく、女性の側から夫に三下り半を突き付ける例もあったそうです。中には逆に妻からのDVから逃げ出し、「頼むから妻と離婚させてくれ」とお寺に駆け込んだ夫がいたという話も伝わっており、案外こっちの方が現実味があるというか人として自然な姿なんじゃないかなと妙な真実味を覚えます。私なんかむしろ、明治から終戦までの日本人の方がそれ以前、以後と比べて日本人として特別だったのではと考えていますし。
まとめとしましては武家や公家といった社会的に高い地位の人間の生活はそこそこ研究されているものの、地べたの庶民の生活はそれほど研究史料も多くないこともあって案外わからないことが多いということです。なおこれは江戸時代以前となるとよりわからなくなっており、鎌倉時代や室町時代の農民や町人の生活となると、せいぜい1日2食か3食か程度しかわかってないんじゃないかと思います。
なおこうした庶民の生活を知る上で最大の手掛かりとなるのは、恐らくは外国人による見聞録でしょう。外国人というのはいい意味でその土地の習慣になじんでいないため、れりごーなままの情景を日記などに書き記してくれることが多いです。室町後期であればキリスト教宣教師が代表格ですが、戦後に上野に来て日本人の生活を分析した英国人社会学者であるロナルド・ドーア氏の論文は私も読みましたが、「ああ、こういうところは当たり前すぎて俺たちにはわからないかもな」と感じるくらい示唆に富んだ内容でした。
おまけ
ちょっと検索かけたら、ロナルド・ドーア氏が昨年11月にまた本を出していたようです。噂には聞いてはいたが、本当にタフで元気な人だなぁこの人。
2015年2月2日月曜日
秋葉原通り魔事件に関するムカつく毎日記者の記事
書くことと言ったら昨日中国人労働者と周庄という観光地に行って三つ足の蛙の置物を買ったくらいしかないので、ちょうど本日当事者の死刑が確定したのもあるので、先日書こうと思って一旦は放置した毎日新聞記者が秋葉原通り魔事件について書いた記事に文句書こうと思います。ここまでストレートに嫌悪感出すのも自分にしては珍しいな。
・7人が死亡した無差別殺傷事件 「秋葉原事件」とは何だったのか(THE PAGE)
2008年に起きた秋葉原通り魔事件の詳細については省きますが、この事件について取材したという毎日新聞記者の伊藤直孝氏がTHE PAGEでこの事件について寄稿したものが上記記事です。なんでこの記事をいちいち取り上げるのかと言うと、上にも書いている通りに一見して非常強い不信感と腹立ちを覚えたからです。どの点が不満だったのかと言うと、このライターがどうしても犯人は社会に不満があったため事件を起こしたという風に話を完結させたいようにして書かれてあり、客観性がまるで見えないからです。
まず最初にカチンときた点を引用すると、
「進学校の青森高に進んだが、母親への反発から四年制大学に進まず、短大を経て宮城、埼玉、青森と非正規雇用を転々とした。事件前年の07年には静岡県の自動車工場で派遣社員として働き始めた。
08年5月末、加藤被告は上司から派遣契約期間を6月末で終了すると伝えられ、6月5日には職場で作業着が見つからず怒りをぶちまけ帰宅。職を失った。不安定な若者が行き場のない怒りをぶつけたように見えた事件に、ネットでは共感の声があふれた。」
この箇所を見てピンと来る人なんてまずいないでしょうが、犯人は確かに派遣社員でいた期間が長かったですが事件の一年前には正社員としての就職を果たしていたというのにそうした事実については一切触れず、常に非正規雇用と言う不安定な立場でストレスをためていたような書き方が成されているように私には見えます。この正社員でいた、そしてそれすらも自己都合で退職したという事実は犯人の動機を考える上でもなくてはならない要素だと思えるのに、それすらをスルーするというのは私には理解できません。
続いて気になった箇所はこちらです。
「加藤被告は、現実では決して孤独ではなかった。中学時代は2人の女子生徒と交際。青森の幼なじみとは一斉メールで連絡を取り続け、静岡では同僚と居酒屋に行き、秋葉原で遊んだ。『リア充』な生活の一方で、掲示板にのめり込んでいく心情は理解しがたい。」
こっちはまだピンとくる人も多いのではないかと思いますが、「リア充」という言葉の意味をどこかはき違えていないかと言う気がします。でもってそんな充実している生活している人間が掲示板にのめり込むはずがないと言いますが、それこそそんなの人それぞれじゃないかと思え勝手にだkれ家が判断することじゃない気がします。
そして最後の結論部に至っては、
「秋葉原事件は、孤独を恐れる弱い若者が、並外れた行動力を発揮してしまったゆえに起きた、極めて不幸な事件だった。」
と断定してくれています。友人も少なく、中国で毎日ネットでブログ書いたり派遣企業調べてる私はどうだってんだと文句の一つくらい言ってもいい気がしますし、行動力も自分は並外れている自身があるけどこういう事件起こせってのか。
要旨をまとめますが、この記事は全体を通して「犯人はネットにしか居場所のない孤独な人間で、不安定な雇用形態といったストレスと相まって事件を起こした」というこじつけを徹頭徹尾押し付けるかのような印象を覚えました。しかし私は、以前に書いた記事でも書きましたが犯人も手記でこのような理由を否定しており、ただ単にネット掲示板で成りすましを受けて腹立ちまぎれに起こした事件以上でも以下でもない気がします。
こう考えるのもこの犯人の格別に際立った特徴で、自分が感じたストレスをそのストレスの発信源たる本人には必ず向けないという大きな特徴を犯人は持っているようにみえます。辞めた会社でも人間関係に不満があると言いながらその問題の人物との関係を改善するためには何ら行動は起こさず、「抗議」と称して無断欠勤するなどして自然退職するパターンが主で、また過去に一度自殺を試みた際は、トラックで壁なり路肩なりにツッコんで自分に迷惑をかけた人間を公開させてやるん度というメールを知り合いに出しています。私に言わせるならムカつく人間の所に直接トラックで突っこめばいいってのに、犯人は絶対にそういうことをしません。
秋葉原の事件もそうで、逮捕後に話した供述では大きな事件を起こすことで成りすましをした人物にとんでもないことをしたと思い知らせてやろうと起こしたと話しており、彼のこれまでの行動、「当事者には直接攻撃せず、関係ない所で一人勝手に大騒ぎして相手を困らせてやろうとする」という指針とピタリと一致するので、特に疑問は感じません。何故彼がこんな行動指針を持つに至ったのかについても大体想像はつきますが、自分はそこまで残酷な人間ではないのでその仮説は敢えて書かずにおきます。
話しは毎日のライターに戻りますが、はっきり言って彼は事件をちゃんと取材したのかとても疑問に感じます。分析に何の着眼もないどころか最初の引用文中にある、「08年5月末、加藤被告は上司から派遣契約期間を6月末で終了すると伝えられ、6月5日には職場で作業着が見つからず怒りをぶちまけ帰宅。職を失った。」という記述に関しても、私の記憶が確かならその職場では一旦は派遣社員に対して契約を6月末で打ち切ると通告したものの、その後延長することになったと犯人を含む従業員は再度通告されており、そうした事実を書かずに都合のいい部分だけ切り取るのは如何なものかと感じます。それこそ、まるで派遣契約の打ち切りがきっかけになったような書き方に使うなんて。
最後にこの犯人の経歴が明らかになって事件直後はネットを中心に不安定な雇用に喘ぐ若者から共感の声が上がったと書いていますが、私はそんなことはなかったと思います。確かに一人や二人は変な奴が賞賛してましたがそれはあくまで例外というような変な人間で、むしろマスコミの方が犯人を「不安定な雇用に喘ぎ、社会に復讐しようとした抵抗者」に仕立て上げようと遠回しに賞賛していたような印象を覚えました。この毎日の記者の様に。
以上が私の言いたいことすべてですが、所詮は毎日というか、風の息遣いを感じられると妄想するだけのレベルだなと思います。犯人の動機について私の仮説の方が絶対正しいなんて言うつもりはありませんが、少なくとも事実を都合のいいように切り貼りしているこの記者よりはまだ物事を客観的に見ているよと言うだけの自信が自分にはあります。
・7人が死亡した無差別殺傷事件 「秋葉原事件」とは何だったのか(THE PAGE)
2008年に起きた秋葉原通り魔事件の詳細については省きますが、この事件について取材したという毎日新聞記者の伊藤直孝氏がTHE PAGEでこの事件について寄稿したものが上記記事です。なんでこの記事をいちいち取り上げるのかと言うと、上にも書いている通りに一見して非常強い不信感と腹立ちを覚えたからです。どの点が不満だったのかと言うと、このライターがどうしても犯人は社会に不満があったため事件を起こしたという風に話を完結させたいようにして書かれてあり、客観性がまるで見えないからです。
まず最初にカチンときた点を引用すると、
「進学校の青森高に進んだが、母親への反発から四年制大学に進まず、短大を経て宮城、埼玉、青森と非正規雇用を転々とした。事件前年の07年には静岡県の自動車工場で派遣社員として働き始めた。
08年5月末、加藤被告は上司から派遣契約期間を6月末で終了すると伝えられ、6月5日には職場で作業着が見つからず怒りをぶちまけ帰宅。職を失った。不安定な若者が行き場のない怒りをぶつけたように見えた事件に、ネットでは共感の声があふれた。」
この箇所を見てピンと来る人なんてまずいないでしょうが、犯人は確かに派遣社員でいた期間が長かったですが事件の一年前には正社員としての就職を果たしていたというのにそうした事実については一切触れず、常に非正規雇用と言う不安定な立場でストレスをためていたような書き方が成されているように私には見えます。この正社員でいた、そしてそれすらも自己都合で退職したという事実は犯人の動機を考える上でもなくてはならない要素だと思えるのに、それすらをスルーするというのは私には理解できません。
続いて気になった箇所はこちらです。
「加藤被告は、現実では決して孤独ではなかった。中学時代は2人の女子生徒と交際。青森の幼なじみとは一斉メールで連絡を取り続け、静岡では同僚と居酒屋に行き、秋葉原で遊んだ。『リア充』な生活の一方で、掲示板にのめり込んでいく心情は理解しがたい。」
こっちはまだピンとくる人も多いのではないかと思いますが、「リア充」という言葉の意味をどこかはき違えていないかと言う気がします。でもってそんな充実している生活している人間が掲示板にのめり込むはずがないと言いますが、それこそそんなの人それぞれじゃないかと思え勝手にだkれ家が判断することじゃない気がします。
そして最後の結論部に至っては、
「秋葉原事件は、孤独を恐れる弱い若者が、並外れた行動力を発揮してしまったゆえに起きた、極めて不幸な事件だった。」
と断定してくれています。友人も少なく、中国で毎日ネットでブログ書いたり派遣企業調べてる私はどうだってんだと文句の一つくらい言ってもいい気がしますし、行動力も自分は並外れている自身があるけどこういう事件起こせってのか。
要旨をまとめますが、この記事は全体を通して「犯人はネットにしか居場所のない孤独な人間で、不安定な雇用形態といったストレスと相まって事件を起こした」というこじつけを徹頭徹尾押し付けるかのような印象を覚えました。しかし私は、以前に書いた記事でも書きましたが犯人も手記でこのような理由を否定しており、ただ単にネット掲示板で成りすましを受けて腹立ちまぎれに起こした事件以上でも以下でもない気がします。
こう考えるのもこの犯人の格別に際立った特徴で、自分が感じたストレスをそのストレスの発信源たる本人には必ず向けないという大きな特徴を犯人は持っているようにみえます。辞めた会社でも人間関係に不満があると言いながらその問題の人物との関係を改善するためには何ら行動は起こさず、「抗議」と称して無断欠勤するなどして自然退職するパターンが主で、また過去に一度自殺を試みた際は、トラックで壁なり路肩なりにツッコんで自分に迷惑をかけた人間を公開させてやるん度というメールを知り合いに出しています。私に言わせるならムカつく人間の所に直接トラックで突っこめばいいってのに、犯人は絶対にそういうことをしません。
秋葉原の事件もそうで、逮捕後に話した供述では大きな事件を起こすことで成りすましをした人物にとんでもないことをしたと思い知らせてやろうと起こしたと話しており、彼のこれまでの行動、「当事者には直接攻撃せず、関係ない所で一人勝手に大騒ぎして相手を困らせてやろうとする」という指針とピタリと一致するので、特に疑問は感じません。何故彼がこんな行動指針を持つに至ったのかについても大体想像はつきますが、自分はそこまで残酷な人間ではないのでその仮説は敢えて書かずにおきます。
話しは毎日のライターに戻りますが、はっきり言って彼は事件をちゃんと取材したのかとても疑問に感じます。分析に何の着眼もないどころか最初の引用文中にある、「08年5月末、加藤被告は上司から派遣契約期間を6月末で終了すると伝えられ、6月5日には職場で作業着が見つからず怒りをぶちまけ帰宅。職を失った。」という記述に関しても、私の記憶が確かならその職場では一旦は派遣社員に対して契約を6月末で打ち切ると通告したものの、その後延長することになったと犯人を含む従業員は再度通告されており、そうした事実を書かずに都合のいい部分だけ切り取るのは如何なものかと感じます。それこそ、まるで派遣契約の打ち切りがきっかけになったような書き方に使うなんて。
最後にこの犯人の経歴が明らかになって事件直後はネットを中心に不安定な雇用に喘ぐ若者から共感の声が上がったと書いていますが、私はそんなことはなかったと思います。確かに一人や二人は変な奴が賞賛してましたがそれはあくまで例外というような変な人間で、むしろマスコミの方が犯人を「不安定な雇用に喘ぎ、社会に復讐しようとした抵抗者」に仕立て上げようと遠回しに賞賛していたような印象を覚えました。この毎日の記者の様に。
以上が私の言いたいことすべてですが、所詮は毎日というか、風の息遣いを感じられると妄想するだけのレベルだなと思います。犯人の動機について私の仮説の方が絶対正しいなんて言うつもりはありませんが、少なくとも事実を都合のいいように切り貼りしているこの記者よりはまだ物事を客観的に見ているよと言うだけの自信が自分にはあります。
2015年1月31日土曜日
上海で日本人が遭うぼったくり詐欺について
今日は派遣マージン率の調査も終わった後の休日ということもあり、昼食食って部屋帰って掃除してからは「ウォーシップガンナー2」で68㎝誘導魚雷でも発射して遊んでようと思っていたところ本社から、「月曜までにこの契約書翻訳し終わらないとまずいから助けて( ;∀;)」と連絡が来て、午後二時半から五時半にかけて計三時間も仕事する羽目となりました。この翻訳ですが日本語の契約書を中国語に翻訳するという奴で、前にも一回やってはいるものの面倒くさい用語とか多くて分量の割には苦戦しました。
ついでに書くとここだけの話し、英語から日本語への和訳の作業速度であればそこそこ自信があり、これまで所属したどの会社でも最速を誇っておりました。あと英文の契約書翻訳も何度かやってて、素人としてはそこそこ自信のある分野であります。
そういうわけで本題ですが、先日コメントで上海で日本人が引っかかるぼったくりについて質問を受けたので今日はそのことについて書きます。こうしたぼったくり事件は日本でも一部で報じられていますが中国、特に上海の日系人社会では「昔からのおなじみだね!」というくらいに認知度が高く、現地駐在員の間でも大半の人は知っており、上海領事館も度々注意情報を流していますがまだ報道されるってことは未だに行われているという事でしょう。
このぼったくりは上海で一番の繁華街である「南京路」という、東京で言えば原宿みたいな歩行者天国の通りで起こっています。主な手口は日本人旅行者らしい人間を見つけると中国人女性が日本語で「今何時ですか?」などと話しかけ、その後で日本語を勉強したいのでもしよければどこかお店入って話でもしないかと連れて行き、会計時に法外な料金を請求するというやり方です。
古典的な手法と言えばそれまでですがこのぼったくり詐欺は十年前からもこういう詐欺が起こっていると私は聞いており、そんなに続くってことは騙される人間が多いからということになるでしょう。
中には一度に二度騙されたというべきか、最初のお店で法外な料金を支払った後で、「何も知らずあんな高いお店に連れて行ってしまいすいません。お詫びをしたいのでまた別のお店に行きませんか?」と言われてまた別のぼったくり店に連れてかれて会計したという話しすら聞いたことがあります。
恐らくこの手の詐欺師は仕草や挙動を見て日本人かどうかをまず識別し、手当たり次第に声をかけまくっているのだと思います。実際に私もこの辺りを歩いているとしょっちゅう日本語で「今何時ですか?」と聞かれており、どういう人間かわかっているので一回リアルに、「うるせぇ知るかボケ、死ね!」と日本語で言い返したこともあります。話しかけてきた相手より一緒にいた知り合いの方が驚いてましたが、あいつらは詐欺師だから同情しなくていいと言って黙らせました。
注意としては南京路、もしくは人民広場といった繁華街で日本語で話しかけてくる中国人は間違いなく詐欺師と思って間違いありませんので、上記の私のように言い返してもいいし、むしろそうした方が付きまとわれなくていいかもしれません。どうせ周囲の中国人は日本語が分からないので、「ぶっ殺すぞクソガキ!」とヤクザばりの脅しをかけても誰も気にしませんし。
念のため書いておきますが何も常日頃から私はこんな暴言を所構わず吐いているってわけではなく、最低限のTPOは守っております。一日一回は「殺す」と口にはしますが、本気で人間相手に怒鳴ったことなんてまだないし。
ついでに書くとここだけの話し、英語から日本語への和訳の作業速度であればそこそこ自信があり、これまで所属したどの会社でも最速を誇っておりました。あと英文の契約書翻訳も何度かやってて、素人としてはそこそこ自信のある分野であります。
そういうわけで本題ですが、先日コメントで上海で日本人が引っかかるぼったくりについて質問を受けたので今日はそのことについて書きます。こうしたぼったくり事件は日本でも一部で報じられていますが中国、特に上海の日系人社会では「昔からのおなじみだね!」というくらいに認知度が高く、現地駐在員の間でも大半の人は知っており、上海領事館も度々注意情報を流していますがまだ報道されるってことは未だに行われているという事でしょう。
このぼったくりは上海で一番の繁華街である「南京路」という、東京で言えば原宿みたいな歩行者天国の通りで起こっています。主な手口は日本人旅行者らしい人間を見つけると中国人女性が日本語で「今何時ですか?」などと話しかけ、その後で日本語を勉強したいのでもしよければどこかお店入って話でもしないかと連れて行き、会計時に法外な料金を請求するというやり方です。
古典的な手法と言えばそれまでですがこのぼったくり詐欺は十年前からもこういう詐欺が起こっていると私は聞いており、そんなに続くってことは騙される人間が多いからということになるでしょう。
中には一度に二度騙されたというべきか、最初のお店で法外な料金を支払った後で、「何も知らずあんな高いお店に連れて行ってしまいすいません。お詫びをしたいのでまた別のお店に行きませんか?」と言われてまた別のぼったくり店に連れてかれて会計したという話しすら聞いたことがあります。
恐らくこの手の詐欺師は仕草や挙動を見て日本人かどうかをまず識別し、手当たり次第に声をかけまくっているのだと思います。実際に私もこの辺りを歩いているとしょっちゅう日本語で「今何時ですか?」と聞かれており、どういう人間かわかっているので一回リアルに、「うるせぇ知るかボケ、死ね!」と日本語で言い返したこともあります。話しかけてきた相手より一緒にいた知り合いの方が驚いてましたが、あいつらは詐欺師だから同情しなくていいと言って黙らせました。
注意としては南京路、もしくは人民広場といった繁華街で日本語で話しかけてくる中国人は間違いなく詐欺師と思って間違いありませんので、上記の私のように言い返してもいいし、むしろそうした方が付きまとわれなくていいかもしれません。どうせ周囲の中国人は日本語が分からないので、「ぶっ殺すぞクソガキ!」とヤクザばりの脅しをかけても誰も気にしませんし。
念のため書いておきますが何も常日頃から私はこんな暴言を所構わず吐いているってわけではなく、最低限のTPOは守っております。一日一回は「殺す」と口にはしますが、本気で人間相手に怒鳴ったことなんてまだないし。
派遣企業調査記事の執筆後記
日本は今各地で降雪が観測されるほど寒い日となったようですが、中国も今週はずっと寒く、積雪とはなりませんでしたが霙っぽいのが降る日もありました。昨夜も非常に寒かったのですが、折り悪くエアコンのリモコンの電池が切れていたため寒さに震えながらブログ記事を執筆していました。
そんな寒い思いしながら書いた昨夜の「人材派遣企業各社のマージン率一覧、及びその公開率」は執筆時間が約3時間と、通常30分~1時間程度で一本書きあげる私からすると異常に時間のかかった記事でした。調査したデータ量もさることながらあれこれ派遣業界について提言することも多く、正直に言って書いてて非常にしんどい記事でした。もっともそれだけ時間をかけながら書き切れなかった内容も多いので、今日は続きとばかりに言いたいこととか書きたいことをまとめて書き記すことにします。
<調査対象企業の選定>
今回、再び派遣企業各社のマージン率を調査するに当たって調査対象とする企業は一般社団法人日本人材派遣協会に登録している企業のすべてに当たる560社を選び出しました。何故この560社を対象にしたのかというとサンプル数も調査するにはお手頃で、なおかつ業界団体加盟企業ということで統計を取るに当たって業種や規模の偏りをある程度抑えられ一種の代表性を持たせられると考えたからです。
結果的にはそれら期待していた効果をきちんと内包するいいデータに仕上げられたと自負していますが、実は日本人材派遣協会のリストを選び出す前にもう一つ、厚生労働省職業安定局のサイトにある派遣業登録企業を調べられるページから対象企業を抽出しようかとも考えていました。ここでは日本国内で派遣業として登録してある全事業所をリストアップすることが出来るため、文字通りオールオーバーな調査にすることが出来たのですが、試しにリストアップさせてみたら調査対象となる事業所が6万件超もヒットし、一般派遣登録事業所に限定しても1万8000件という膨大な数が出てきました。
当初はこの1万8000件を全部調べてやろうか、次の旧正月中にがんばればなんとかなるかななどと思ってましたが、途中で無理だと思って方針を転換してまず正解でした。まぁ6万件の中からランダムサンプリングしてもよかったのですけどね。
<調査期間について>
今回調査対象となった企業数は560社で、これらを全部調べ終えるまでには約二週間かかりました。この二週間という期間をどのようにとるか人それぞれですが、私個人の感触としては一週間程度で完了させるべき調査ったように思え、無駄に時間をかけ過ぎてしまったと反省しています。何故これほどまで時間がかかったのか言い訳を述べると、調査をしていて全くと言っていいほどモチベーションが上がらなかったことに起因すると考えています。
というのも調査結果にも書いていますが、マージン率を公開している派遣企業は5社中1社程度という割合で調べても調べてもほとんどの会社でデータが得られず、そういう企業を繰り返し見ることでモチベーションが下がっていったのだと思います。時間にして大体30分くらいでテンションが落ち、一時間もすれば眠気すら覚えるほどだったためある日に至っては夜十一時にベッドに入って就寝したくらいでした。日系企業の海外拠点を調べる時なんかは三時間くらいぶっ続けでやってても集中力が切れないというのに。
<派遣企業名に使われる頻出ワード>
文字通り主要な派遣企業各社全てのホームページを検索し、見て回ったわけですが、調査中に困ったのは同業でなおかつ似たような名前の会社が多かったという事でした。パッと見だと区別つかず、検索してヒットしてみてみたら完全に同名の別会社であったこともあり、それから先はきちんと住所確認などをしてリスト中の企業であるかどうかを判別して作業しました。
そうした派遣企業の会社名に頻出するワードとして挙がってくるのだと、「ヒューマン」、「キャリア」、「スタッフ」が三本柱でしょう。三つとも横文字ですがこの業界はどうも横文字を尊重する文化があり漢字名だけのごつい会社名はほぼ全く有りません。折角だから上記三つのワードを縦文字に変えた上で組み合わせ、「人間職歴従業員株式会社」みたいな会社を誰か作ればいいんだなどとよくわからない愚痴をこぼしながら調査してました。
<グループ内派遣企業の異常な多さ>
知ってる人には当たり前ですが派遣業界には大手企業の完全子会社として、グループ内に人材を派遣する会社も数多く存在します。それらの会社の派遣先はほぼ100%親会社、もしくはグループ会社で、何故直接雇用せず子会社を経由させてまで採用するのかというと派遣社員として雇えば給与も抑えられ、またいつでも切ることが出来るというメリットがあるからです。このほかグループ間で人員の調整が効かせやすくなったりとか、企業秘密を守りやすいというメリットもあります。
こう書くと身も蓋もないような言い方に見えますが現地採用を経験した身からするといつ切られてもおかしくない身分の人間がいることはそんなおかしいことだとは思いませんし、そうやっていつでも切れる社員を抱えておきたいという企業側の思惑も理解できなくはありません。
ただ今回調査をしていて、そうした大企業傘下の人材会社がいくらなんでも多すぎやしないかと疑問に感じました。それこそ「大企業一社につき人材派遣会社一社」といっていいくらいの量で、派遣業界全体にとってもこの乱立振りはかえって発展を妨げるのではと思うほどです。
一応、平成24年の派遣労働法改正によってこうした大企業傘下の子会社などに対し、関連企業へ社員を派遣するいわゆる「グループ内派遣」の割合を80%以下にすることが規定に加えられています。しかしマージン率の公開義務同様にこちらも罰則がないがため事実上形骸化している状態といってもよく、業界全体の発展を考えてこの際だから強力な罰則を設け再編を促した方が良いのではにかと個人的に感じました。
<マージン率の公開場所、公開の仕方>
この調査で実に様々な会社のマージン率公開の仕方を見てきましたが、ホームページ上でデータを見つけやすい企業もあれば、見られたくないという思惑もあってかやけに見つけづらい所にこっそり公開している会社も多々ありました。
私個人の意見としてはマージン率の情報は原則、トップページ、もしくは会社概要のページに直リンクをつけて公開していただけると閲覧者も見やすいのではないかと思います。数ある公開企業の中で一つの理想形と感じたのは株式会社ステップワーク日光で、会社概要のわかりやすい所にマージン率公開ページの直リンクがつけられ、またその公開の仕方も細かい内訳を明かすと共にグラフを用いて公開してあって一目で情報がわかります。しかもこの公開ページはjpg画像になっててPDFより軽くてサッとみられる点も好印象なだけに、公開していない会社は是非ともここを参考にして情報公開に努めてもらいたいものです。
<公開情報の対象期間(事業年度)>
派遣マージン率は直近年度一年間の平均データを公開することが義務となっておりますが、いくつか見てきた中でマージン率を公開こそしているものの、そのデータを採った対象期間をきちんと明記していない企業が結構多くありました。今回調査ではあまりにもデータが少なくなる恐れがあるため毒を飲む覚悟でそのような会社は「公開している」として○評価としましたが、実際には直近年度ではなく二、三年前のデータで公開している可能性も高いと考えています。
恐らくもうやる必要はないでしょうが次回の調査ではそのようなデータの対象期間を明記していない会社は須く情報公開義務を果たしていないカス野郎と判断するつもりです。このあたり、派遣企業各社には注意してもらいたいものです。
<初年度しか公開しなかった企業>
上の事業年度と関連する話ですが、派遣労働法が改正された直後の事業年度はきちんとマージン率の情報を公開しておきながら、次年度以降は更新をサボるというか情報を公開しなくなった会社も多数ありました。恐らくほかの会社があまり報じていないのを見て、「だったらうちもいいや」的なノリでやめちゃったんだと思いますが、逆を言えばこの手の会社は公開が義務だとわかっていながら公開していないというようなもので上記の言葉を又使うならカス野郎ども、といったところでしょう。
<労働組合系団体によって設立された非公開企業>
株式会社フォーラムジャパンと株式会社ワークネットはどちらも労働組合系団体によって設立された人材派遣会社でありながら、マージン率などのデータは公開していませんでした。そもそもこの業界にコンプライアンスを求める方が間違っているのかもしれませんし、労組系団体が口先ばかりで信用できないというのは今に始まったわけではありませんがなんかなぁって気がしてきます。ちなみに名古屋で冷や飯食ってるであろううちの親父は、昔に会社の労働組合に行ったらそこで「同志」とリアルに言われたという思い出話を語ったことがあります。
<問い合わせればデータを送ると嘘を吐いた企業>
そんな寒い思いしながら書いた昨夜の「人材派遣企業各社のマージン率一覧、及びその公開率」は執筆時間が約3時間と、通常30分~1時間程度で一本書きあげる私からすると異常に時間のかかった記事でした。調査したデータ量もさることながらあれこれ派遣業界について提言することも多く、正直に言って書いてて非常にしんどい記事でした。もっともそれだけ時間をかけながら書き切れなかった内容も多いので、今日は続きとばかりに言いたいこととか書きたいことをまとめて書き記すことにします。
<調査対象企業の選定>
今回、再び派遣企業各社のマージン率を調査するに当たって調査対象とする企業は一般社団法人日本人材派遣協会に登録している企業のすべてに当たる560社を選び出しました。何故この560社を対象にしたのかというとサンプル数も調査するにはお手頃で、なおかつ業界団体加盟企業ということで統計を取るに当たって業種や規模の偏りをある程度抑えられ一種の代表性を持たせられると考えたからです。
結果的にはそれら期待していた効果をきちんと内包するいいデータに仕上げられたと自負していますが、実は日本人材派遣協会のリストを選び出す前にもう一つ、厚生労働省職業安定局のサイトにある派遣業登録企業を調べられるページから対象企業を抽出しようかとも考えていました。ここでは日本国内で派遣業として登録してある全事業所をリストアップすることが出来るため、文字通りオールオーバーな調査にすることが出来たのですが、試しにリストアップさせてみたら調査対象となる事業所が6万件超もヒットし、一般派遣登録事業所に限定しても1万8000件という膨大な数が出てきました。
当初はこの1万8000件を全部調べてやろうか、次の旧正月中にがんばればなんとかなるかななどと思ってましたが、途中で無理だと思って方針を転換してまず正解でした。まぁ6万件の中からランダムサンプリングしてもよかったのですけどね。
<調査期間について>
今回調査対象となった企業数は560社で、これらを全部調べ終えるまでには約二週間かかりました。この二週間という期間をどのようにとるか人それぞれですが、私個人の感触としては一週間程度で完了させるべき調査ったように思え、無駄に時間をかけ過ぎてしまったと反省しています。何故これほどまで時間がかかったのか言い訳を述べると、調査をしていて全くと言っていいほどモチベーションが上がらなかったことに起因すると考えています。
というのも調査結果にも書いていますが、マージン率を公開している派遣企業は5社中1社程度という割合で調べても調べてもほとんどの会社でデータが得られず、そういう企業を繰り返し見ることでモチベーションが下がっていったのだと思います。時間にして大体30分くらいでテンションが落ち、一時間もすれば眠気すら覚えるほどだったためある日に至っては夜十一時にベッドに入って就寝したくらいでした。日系企業の海外拠点を調べる時なんかは三時間くらいぶっ続けでやってても集中力が切れないというのに。
<派遣企業名に使われる頻出ワード>
文字通り主要な派遣企業各社全てのホームページを検索し、見て回ったわけですが、調査中に困ったのは同業でなおかつ似たような名前の会社が多かったという事でした。パッと見だと区別つかず、検索してヒットしてみてみたら完全に同名の別会社であったこともあり、それから先はきちんと住所確認などをしてリスト中の企業であるかどうかを判別して作業しました。
そうした派遣企業の会社名に頻出するワードとして挙がってくるのだと、「ヒューマン」、「キャリア」、「スタッフ」が三本柱でしょう。三つとも横文字ですがこの業界はどうも横文字を尊重する文化があり漢字名だけのごつい会社名はほぼ全く有りません。折角だから上記三つのワードを縦文字に変えた上で組み合わせ、「人間職歴従業員株式会社」みたいな会社を誰か作ればいいんだなどとよくわからない愚痴をこぼしながら調査してました。
<グループ内派遣企業の異常な多さ>
知ってる人には当たり前ですが派遣業界には大手企業の完全子会社として、グループ内に人材を派遣する会社も数多く存在します。それらの会社の派遣先はほぼ100%親会社、もしくはグループ会社で、何故直接雇用せず子会社を経由させてまで採用するのかというと派遣社員として雇えば給与も抑えられ、またいつでも切ることが出来るというメリットがあるからです。このほかグループ間で人員の調整が効かせやすくなったりとか、企業秘密を守りやすいというメリットもあります。
こう書くと身も蓋もないような言い方に見えますが現地採用を経験した身からするといつ切られてもおかしくない身分の人間がいることはそんなおかしいことだとは思いませんし、そうやっていつでも切れる社員を抱えておきたいという企業側の思惑も理解できなくはありません。
ただ今回調査をしていて、そうした大企業傘下の人材会社がいくらなんでも多すぎやしないかと疑問に感じました。それこそ「大企業一社につき人材派遣会社一社」といっていいくらいの量で、派遣業界全体にとってもこの乱立振りはかえって発展を妨げるのではと思うほどです。
一応、平成24年の派遣労働法改正によってこうした大企業傘下の子会社などに対し、関連企業へ社員を派遣するいわゆる「グループ内派遣」の割合を80%以下にすることが規定に加えられています。しかしマージン率の公開義務同様にこちらも罰則がないがため事実上形骸化している状態といってもよく、業界全体の発展を考えてこの際だから強力な罰則を設け再編を促した方が良いのではにかと個人的に感じました。
<マージン率の公開場所、公開の仕方>
この調査で実に様々な会社のマージン率公開の仕方を見てきましたが、ホームページ上でデータを見つけやすい企業もあれば、見られたくないという思惑もあってかやけに見つけづらい所にこっそり公開している会社も多々ありました。
私個人の意見としてはマージン率の情報は原則、トップページ、もしくは会社概要のページに直リンクをつけて公開していただけると閲覧者も見やすいのではないかと思います。数ある公開企業の中で一つの理想形と感じたのは株式会社ステップワーク日光で、会社概要のわかりやすい所にマージン率公開ページの直リンクがつけられ、またその公開の仕方も細かい内訳を明かすと共にグラフを用いて公開してあって一目で情報がわかります。しかもこの公開ページはjpg画像になっててPDFより軽くてサッとみられる点も好印象なだけに、公開していない会社は是非ともここを参考にして情報公開に努めてもらいたいものです。
<公開情報の対象期間(事業年度)>
派遣マージン率は直近年度一年間の平均データを公開することが義務となっておりますが、いくつか見てきた中でマージン率を公開こそしているものの、そのデータを採った対象期間をきちんと明記していない企業が結構多くありました。今回調査ではあまりにもデータが少なくなる恐れがあるため毒を飲む覚悟でそのような会社は「公開している」として○評価としましたが、実際には直近年度ではなく二、三年前のデータで公開している可能性も高いと考えています。
恐らくもうやる必要はないでしょうが次回の調査ではそのようなデータの対象期間を明記していない会社は須く情報公開義務を果たしていないカス野郎と判断するつもりです。このあたり、派遣企業各社には注意してもらいたいものです。
<初年度しか公開しなかった企業>
上の事業年度と関連する話ですが、派遣労働法が改正された直後の事業年度はきちんとマージン率の情報を公開しておきながら、次年度以降は更新をサボるというか情報を公開しなくなった会社も多数ありました。恐らくほかの会社があまり報じていないのを見て、「だったらうちもいいや」的なノリでやめちゃったんだと思いますが、逆を言えばこの手の会社は公開が義務だとわかっていながら公開していないというようなもので上記の言葉を又使うならカス野郎ども、といったところでしょう。
<労働組合系団体によって設立された非公開企業>
株式会社フォーラムジャパンと株式会社ワークネットはどちらも労働組合系団体によって設立された人材派遣会社でありながら、マージン率などのデータは公開していませんでした。そもそもこの業界にコンプライアンスを求める方が間違っているのかもしれませんし、労組系団体が口先ばかりで信用できないというのは今に始まったわけではありませんがなんかなぁって気がしてきます。ちなみに名古屋で冷や飯食ってるであろううちの親父は、昔に会社の労働組合に行ったらそこで「同志」とリアルに言われたという思い出話を語ったことがあります。
<問い合わせればデータを送ると嘘を吐いた企業>
派遣企業の中にはメール、もしくはお問い合わせページで請求すればマージン率などの情報を公開すると書いてある企業もありましたが、そんなの素直にくれるわけありませんでした。ファッキンな対応されて非常に悔しかったのでそのような会社を下記にリストアップします。
上のプラスアルファは調査対象リストに入っていませんがほかの似た名前の会社と間違えてサイトを訪れ、メールで公開すると言っていたので要求しましたがガン無視されました。こう言ってはなんだけど向こうもいい迷惑だろうな。
下のスタッフサービスさんは次の項目で詳細に書きますが、もう一社、株式会社サウンズグッドという会社も問い合わせで対応すると書かれてあり試しに送ってみたらなんと、ちゃんとデータを教えてくれました。なおサウンズグッドの問い合わせページでは会社名や役職などを書く欄があったのですが個人による調査だったため、会社名には「個人」と書き、役職には「名ばかり松戸市民」と書いたもんだからまず返事くれないだろうと思っていただけに意外でした。
ただサウンズグッドは残念なことに、全事業所のデータを送るように伝えていたにもかかわらず本社のデータしか送ってもらえず、向こうの手違いかもしれませんが間を取って公開度評価は「△」にしました。本当に惜しい……。
<裏MVPのスタッフサービスさん>
そんなこんだでようやく業界大手のスタッフサービスさんの登場です。上記にも書いた通りにホームページ上で同社は請求すればデータを送ると書いてあったので全事業所のデータを送るよう請求した所、会社名と利用目的を明かすよう返信が来ました。そのメールの返答として私は、会社名については個人の立場であるためそもそも答える必要はないと書き、利用目的については正直にマージン率調査による取材であることを明かしました。この私の回答に対する相手の再回答は以下の通りです。
スタッフサービスグループホームページお問い合わせ担当窓口でございます。
ご返信ありがとうございます。
お問い合わせいただきました件につきまして
弊社は法令に基づき、適切にマージン率等の情報公開を行っております。
各事業所ごとに備え付けをしておりますので、そちらにてご覧ください。
スタッフサービスグループ
ホームページお問い合わせ担当
決して文章を弄っているわけではなく、本当にこのままの文章で返信されました。要するに、遠回しにデータの公開を拒否されたようなもんです。第一、「データが知りたければ事業所に来い」と言われるのは私としては非常に心外で、「マージン率を調べるためだけに、中国にいるこの俺に国境を渡ってこいとでも言うのか(#゚Д゚) プンスコ!」という具合でちょっとカチンと来ました。まぁこうなるのは目に見えてたけどね。
このメールに対して私はスタッフサービスさんにもう一度返信を送っており、厚生労働省のサイト内の解説でインターネットなどにより公開することが義務だとはっきり書かれていると断った上で、「元記者の立場から言わせてもらうとお宅の法務部は日本語が読めないのかと、本来ならば追加質問するところです」と書き送り、最後に取材に協力ありがとうと言って終いにしました。恐らくここに限らず、ほかの大手に聞いても同じような回答と結末に至ったでしょう。
何もこのスタッフサービスに限らずインテリジェンスとテンプスタッフ以外の大手は揃ってマージン率をホームページ上で公開していません。今に始まるわけではありませんが派遣業界は異常なまでに法令順守の意識が薄く、これまでにも二重派遣、偽装請負、製造現場への日雇い派遣などが騒がれてきましたが、騒がれた一瞬だけ話題となって今ではまたこれらの違法派遣行為が日常化していると聞きます。少なくとも福島原発の現場作業員はいくつもの派遣会社を経由して派遣されているということは周知の事実で、派遣業界自体が法律を破ってナンボな空気があるように見えて仕方ありません。なんでこうなるのかは重ねて言っているように罰則がないからで、違法があれば経営者に対し懲役刑を必ず課すようにすれば一気に改善に向かうのではと私は考えます。
<面白かった企業>
最後にこの調査中に見たホームページで面白いと感じた企業を紹介します。
サイト内に「お局様度チェッカー」というのがあり、男なのにやってしまった。
何故か「占い・情報の泉」というページがあり、「海外旅行占い」という謎の占いページがあります。ちなみに自分が選んだ行きたい海外旅行先は何故か「中国」と「ロシア」でした。
2015年1月30日金曜日
人材派遣業界のマージン率とそのデータ 2015年版
追記
最新の2017年版データとその解説はこちらへ。
昨年四月に私はこのブログで「人材派遣業界のマージン率(2014年予備調査)」という記事を著し、この記事でマージン率を公開している人材派遣企業数十社の調査データを公開しました。私が何故自らマージン率を調べこの記事を書いたのかというと、平成24年施行の派遣労働法改正によってマージン率の公開が義務付けられるようになったにも関わらずその事実を知らない人間が多いと思ったこと、他にこのようなデータを作っている人がいないということ、そして何よりも実態的に平均的なマージン率はどの程度なのだろうという個人的な興味が一番の動機でした。
そのような動機から調査を始めましたが記事を書く前にこの構想を友人に話したところ、社会的にも有意義なデータになるはずだと太鼓判を押され、自分自身も派遣労働者の方々に悪くないデータを提供できると思い完成時には意気揚々とアップロードしました。正直、アップ当初はそれほどアクセスは集まりませんでしたが、時間が経つにつれじりじりと閲覧者は増え続け、現在ではこのブログの人気記事の一角を占めるに至っています。
ただ前回記事の調査をしている際に気になったこととして、そこそこ名の知れた派遣業界の大手企業のほとんどがこのマージン率を公開しておらず、その後もこうした情報を公開していない企業の存在が気になり続けていました。前回調査ではマージン率の平均値を探ることが主眼であったためマージン率を公開している派遣企業しか調べていなかっただけに、調査後はマージン率を公開している企業の割合はどの程度なのかという疑問が新たにもたげてきました。
もちろん今を以ってしても派遣業界のマージン率を調査している人間はパッと見だと私以外にはおらず、公開率を知ろうったってそんな都合のいいデータがあるわけありません。となると、「なければ作る」が信条の私の出番かと、企業データ調査に関しては「企業居点」の調査で一定の自信があるだけに一つちょちょいとやってやろうかという妙なやる気が昨年末あたりからもたげていたわけです。
そんなわけで前置きがいつもながら長くなりましたが、前回調査と比べてサンプル数が十倍以上と大幅にスケールアップしたマージン率調査を先日完了したので、その調査結果を下記に記すと共に全調査データをまとめたPDFファイルをその下のアドレスから惜しむことなく配信致します。
なおこのブログでは画像ファイル以外のデータはアップロードできないので、調査データのPDFファイルはこのブログの生き別れの姉妹サイトこと「企業居点」のサーバーにアップしております。そのため下記の配信アドレスはこのブログのアドレスとは異なりますが、ブラクラとかではないので安心してください。それにしても、レンタルサーバーも借りておくといざって時に役に立つもんだ。
<調査概要>
・調査期間:2015年1月10日~1月25日
・調査対象企業:一般社団法人 日本人材派遣協会(JASSA)の登録企業全部
・調査サンプル企業数:560社
・リストアップ事業所数:841拠点
・調査方法:インターネットを使い該当情報の有無を各社ホームページ上で確認する
<調査結果>
・マージン率の公開率:19.1%(公開企業が107社、非公開企業が453社)
・全体平均マージン率:26.8%
・上位下位10%を除いた中間平均マージン率:26.6%
・マージン率最大値:50.0%(旭化成アミダス株式会社 IT事業グループ)
・マージン率最低値:11.6%(株式会社インテリジェンス 九州支社)
<調査データPDFファイル>
・アイウエオ順(オリジナルデータ)
・マージン率ランキング順
・地域別順
※2016年版調査データの公開に伴い公開停止。こちらのデータが欲しい方はメールでご連絡ください。
<データ注意事項>
1、マージン率は各社の公開値に対し少数点第二位を切り上げ。
2、マージン率0%の事業所は統計目的上、平均値などの計算では除外対象とした。
3、マージン率数値は各社が発表している直近年度のデータを引用。
4、「2012年12月~2013年12月末」より前のデータしか公開していない企業は「×(非公開)」評価として扱った。
5、公開データの事業年度が明らかでない会社は今回に限り、「○(公開)」評価として扱った。
6、本社で派遣事業を行っていない企業は便宜上、一番上に来る事業所を「本社」として表記した。
7、交通費を賃金に含めるマージン率の計算方法を優先的に掲載。
8、個人による調査のためデータの誤字脱字はもちろん、情報が公開されているにもかかわらず見落としている可能性もございます。この点に関しては予め了解の上、一つの調査データとして参考していただくと助かります。
<解説>
本調査の主眼であったマージン率をネット上で公開している企業の割合は上記の通り19.1%で、きちんと法律通りに公開しているのは5社中1社だけという、事前にある程度予想していた通りの結果となりました。
なおここでマージン率の公開について簡単に説明しておくと、平成24年に派遣労働法が改正され派遣企業は事業年度ごとにその年のマージン率を事業所別に公開することが義務付けられるようになりました。厚生労働省のサイトに書かれてある指針には、
「労働者や派遣先となる事業主がより適切な派遣会社を選択できるよう、インターネットなどにより派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などの情報提供が義務化されます。」
などと書かれてあり私個人による解釈では、「マージン率などの情報をホームページ上で誰もが見られるようにすることは派遣企業の義務であり、これを果たさないのは明確な法律違反である」と考えております。まぁ罰則がないもんだからそれをいいことにみんなして公開してないということが今回よくわかったのですが。
ではそのマージン率とはどういう数字なのかですが、端的に述べると派遣先の企業が派遣元に支払う派遣料金に対する派遣社員の賃金の割合で、今回の調査対象企業のリスト元となった人材派遣協会のページでもきちんと解説されています。
このマージン率は派遣企業の取り分とも言えますがこれ全部が派遣企業の売上げというか収入になるわけではなく、実態的には派遣社員に対する研修費や有給取得費用、福利厚生費も含まれるため、マージン率が高い企業ほど派遣社員に対する搾取がひどいと一概には言えません。調査していた実感では教育研修費がかかりそうなIT、不動産系が高い傾向にあり、あくまで一つの指針としてみるべきデータだと思います。
<マージン率数値>
そのマージン率の数値ですが今回調査の全体平均は26.8%、外れ値を排除するため上位下位10%を除いた中間平均マージン率だと26.6%となり、去年四月調査時の平均である27.9%と案外近い数値に収まりました。平たく言えば20%台後半が一般的な水準で、30%以上だとやや高い、20%切るとかなり低いと考えればいいかと思えます。
今回調査でマージン率が最も高かったのは「旭化成アミダス株式会社 IT事業グループ」の50.0%でしたがこれについてフォローというか補足しておくと、旭化成アミダスのほかの事業所のマージン率はどれも30%前後で標準的な範囲内に収まっています。「IT事業部グループ」という名称からしてこの事業所だけやや特殊な派遣の仕方をしているがため数値が高くなったのではと思え、こう言っては変ですが私としてはこの会社にそれほど敵意を感じません。逆を言えばどんだけ高くたってマージン率は50%を越えることはほぼないと言えるわけですし。
<交通費の取り扱い>
なお調査をしている傍らで、派遣先へ派遣社員が通勤する際の交通費を賃金に含めて計算しているであろう会社が散見されました。この交通費を賃金に含めることでマージン率は見かけ上で低くなるのですが、私自身は交通費は経費であって賃金に入れて算出するべきではないと考えます。
この点をしっかり考慮している派遣企業もあり、株式会社TJホスピタリティと株式会社ヨットの2社はわざわざ交通費を賃金に含めた場合、含めない場合のマージン率を算出して公開しております。両社のデータを見ると交通費を含めるか含めないかでマージン率はそれぞれ5ポイント、3ポイントも変動するなど小さくない数値で、この点に関しては当局も基準を明確にするはっきりとした指針を出すべきだとここで提案させていただきます。
<非公開企業の特徴>
同じく調査中に気になった点として、派遣労働法改正直後の事業年度ではマージン率を公開していながら次年度以降は公開しなくなった企業も数多く見受けられました。この手の会社は恐らく同業他社があまり公開していないのを見て確信犯的に公開をやめてしまったのだと私は考えています。
ちなみにマージン率は事業年度ごとに公開することが義務付けられていますが、事業年度(会計年度)の期間が1月から12月の会社だと直近の事業年度は「2014年1月~2014年12月」となりますが、さすがに締めてから1ヶ月もしないうちにデータを集計して公開しろってのは酷な話に思え、「2013年1月~2013年12月」のデータを公開していればきちんと公開義務に対応していると判断しています。逆を言えばこれ以前のデータしか公開していない会社は例外なく義務を放棄していると判断しました。
このほか調査中にはホームページ上では公開せず、最寄りの事業所に来るかメールで問い合わせれば情報を公開するという会社もいくつか見られ、問い合わせに対応するという会社数社に対してメールを送っては見ましたが一社を除いたほかのすべてからは結局教えてもらえませんでした。特に、業界大手のスタッフサービスさんなんかは今回調査の裏MVPとも言うべき期待通りの対応を見せてもらっただけに、次回に書く続きの記事でしっかり特集させてもらおうと考えています。
<公開していない大手一同(*^^)v>
今日の記事の最後として、調査対象リスト(作業途中から閻魔帳に見えてきた)に含む、含まないに関わらずマージン率をネット上で公開していない派遣業界大手企業を下記にリストアップします。
・ザ・アール
・フルキャスト
・メイテック
・スタッフサービスさん
・ジェイコムホールディングス
・ニチイ学館
・パソナ
・マイナビ
・マンパワーグループ
・リクルートスタッフィング(順不同)
書いてて思いますが、ここの会社の人たちも自分のこの記事を読んでくれるのかなと思うと何やら不思議な気持ちになってきます。
見る人によっては悪ふざけが過ぎるているのではと思われるかもしれませんが、敢えて茶化すような表現で書いているのは本気でやったら絶対こんなもんじゃ済ませないという意思を表しているからです。もしまだ記者やっていたら自分は各社の広報部に電話取材をかけて、一言一句を録音した上でネット上に全部公開していることでしょう。必ず。
なお全国区で誰もが知る業界大手にくくれば、同じグループ企業ですがテンプスタッフとインテリジェンスの二社のみがマージン率を含めたすべてのデータを公開しています。恐らく派遣会社にとってマージン率データを公開することは不利な条件だからこそほとんどの会社が対応していないのでしょうが、それにもかかわらず、大手であるにもかかわらずきちんと対応しているこの二社には強い敬意を覚えます。
これは本調査、前回調査でデータを引用させていただいた公開企業各社も同じことが言え、特に中小規模であるにもかかわらず大手がガン無視決め込んでいる中で法律にきちんと従っているということはその一点だけとっても非常に素晴らしい行為だと思います。末筆ながらデータを引用させていただいた公開企業各社に対しここで厚くお礼を申し上げさせていただきます。
このほか調査中に感じた事や派遣業界に対して提案したいことなどまだまだ書き切れていないので、続きはまた次回にまとめさせてもらいます。
最新の2017年版データとその解説はこちらへ。
昨年四月に私はこのブログで「人材派遣業界のマージン率(2014年予備調査)」という記事を著し、この記事でマージン率を公開している人材派遣企業数十社の調査データを公開しました。私が何故自らマージン率を調べこの記事を書いたのかというと、平成24年施行の派遣労働法改正によってマージン率の公開が義務付けられるようになったにも関わらずその事実を知らない人間が多いと思ったこと、他にこのようなデータを作っている人がいないということ、そして何よりも実態的に平均的なマージン率はどの程度なのだろうという個人的な興味が一番の動機でした。
そのような動機から調査を始めましたが記事を書く前にこの構想を友人に話したところ、社会的にも有意義なデータになるはずだと太鼓判を押され、自分自身も派遣労働者の方々に悪くないデータを提供できると思い完成時には意気揚々とアップロードしました。正直、アップ当初はそれほどアクセスは集まりませんでしたが、時間が経つにつれじりじりと閲覧者は増え続け、現在ではこのブログの人気記事の一角を占めるに至っています。
ただ前回記事の調査をしている際に気になったこととして、そこそこ名の知れた派遣業界の大手企業のほとんどがこのマージン率を公開しておらず、その後もこうした情報を公開していない企業の存在が気になり続けていました。前回調査ではマージン率の平均値を探ることが主眼であったためマージン率を公開している派遣企業しか調べていなかっただけに、調査後はマージン率を公開している企業の割合はどの程度なのかという疑問が新たにもたげてきました。
もちろん今を以ってしても派遣業界のマージン率を調査している人間はパッと見だと私以外にはおらず、公開率を知ろうったってそんな都合のいいデータがあるわけありません。となると、「なければ作る」が信条の私の出番かと、企業データ調査に関しては「企業居点」の調査で一定の自信があるだけに一つちょちょいとやってやろうかという妙なやる気が昨年末あたりからもたげていたわけです。
そんなわけで前置きがいつもながら長くなりましたが、前回調査と比べてサンプル数が十倍以上と大幅にスケールアップしたマージン率調査を先日完了したので、その調査結果を下記に記すと共に全調査データをまとめたPDFファイルをその下のアドレスから惜しむことなく配信致します。
なおこのブログでは画像ファイル以外のデータはアップロードできないので、調査データのPDFファイルはこのブログの生き別れの姉妹サイトこと「企業居点」のサーバーにアップしております。そのため下記の配信アドレスはこのブログのアドレスとは異なりますが、ブラクラとかではないので安心してください。それにしても、レンタルサーバーも借りておくといざって時に役に立つもんだ。
<調査概要>
・調査期間:2015年1月10日~1月25日
・調査対象企業:一般社団法人 日本人材派遣協会(JASSA)の登録企業全部
・調査サンプル企業数:560社
・リストアップ事業所数:841拠点
・調査方法:インターネットを使い該当情報の有無を各社ホームページ上で確認する
<調査結果>
・マージン率の公開率:19.1%(公開企業が107社、非公開企業が453社)
・全体平均マージン率:26.8%
・上位下位10%を除いた中間平均マージン率:26.6%
・マージン率最大値:50.0%(旭化成アミダス株式会社 IT事業グループ)
・マージン率最低値:11.6%(株式会社インテリジェンス 九州支社)
<調査データPDFファイル>
・アイウエオ順(オリジナルデータ)
・マージン率ランキング順
・地域別順
※2016年版調査データの公開に伴い公開停止。こちらのデータが欲しい方はメールでご連絡ください。
<データ注意事項>
1、マージン率は各社の公開値に対し少数点第二位を切り上げ。
2、マージン率0%の事業所は統計目的上、平均値などの計算では除外対象とした。
3、マージン率数値は各社が発表している直近年度のデータを引用。
4、「2012年12月~2013年12月末」より前のデータしか公開していない企業は「×(非公開)」評価として扱った。
5、公開データの事業年度が明らかでない会社は今回に限り、「○(公開)」評価として扱った。
6、本社で派遣事業を行っていない企業は便宜上、一番上に来る事業所を「本社」として表記した。
7、交通費を賃金に含めるマージン率の計算方法を優先的に掲載。
8、個人による調査のためデータの誤字脱字はもちろん、情報が公開されているにもかかわらず見落としている可能性もございます。この点に関しては予め了解の上、一つの調査データとして参考していただくと助かります。
本調査の主眼であったマージン率をネット上で公開している企業の割合は上記の通り19.1%で、きちんと法律通りに公開しているのは5社中1社だけという、事前にある程度予想していた通りの結果となりました。
なおここでマージン率の公開について簡単に説明しておくと、平成24年に派遣労働法が改正され派遣企業は事業年度ごとにその年のマージン率を事業所別に公開することが義務付けられるようになりました。厚生労働省のサイトに書かれてある指針には、
「労働者や派遣先となる事業主がより適切な派遣会社を選択できるよう、インターネットなどにより派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などの情報提供が義務化されます。」
などと書かれてあり私個人による解釈では、「マージン率などの情報をホームページ上で誰もが見られるようにすることは派遣企業の義務であり、これを果たさないのは明確な法律違反である」と考えております。まぁ罰則がないもんだからそれをいいことにみんなして公開してないということが今回よくわかったのですが。
ではそのマージン率とはどういう数字なのかですが、端的に述べると派遣先の企業が派遣元に支払う派遣料金に対する派遣社員の賃金の割合で、今回の調査対象企業のリスト元となった人材派遣協会のページでもきちんと解説されています。
このマージン率は派遣企業の取り分とも言えますがこれ全部が派遣企業の売上げというか収入になるわけではなく、実態的には派遣社員に対する研修費や有給取得費用、福利厚生費も含まれるため、マージン率が高い企業ほど派遣社員に対する搾取がひどいと一概には言えません。調査していた実感では教育研修費がかかりそうなIT、不動産系が高い傾向にあり、あくまで一つの指針としてみるべきデータだと思います。
<マージン率数値>
そのマージン率の数値ですが今回調査の全体平均は26.8%、外れ値を排除するため上位下位10%を除いた中間平均マージン率だと26.6%となり、去年四月調査時の平均である27.9%と案外近い数値に収まりました。平たく言えば20%台後半が一般的な水準で、30%以上だとやや高い、20%切るとかなり低いと考えればいいかと思えます。
今回調査でマージン率が最も高かったのは「旭化成アミダス株式会社 IT事業グループ」の50.0%でしたがこれについてフォローというか補足しておくと、旭化成アミダスのほかの事業所のマージン率はどれも30%前後で標準的な範囲内に収まっています。「IT事業部グループ」という名称からしてこの事業所だけやや特殊な派遣の仕方をしているがため数値が高くなったのではと思え、こう言っては変ですが私としてはこの会社にそれほど敵意を感じません。逆を言えばどんだけ高くたってマージン率は50%を越えることはほぼないと言えるわけですし。
<交通費の取り扱い>
なお調査をしている傍らで、派遣先へ派遣社員が通勤する際の交通費を賃金に含めて計算しているであろう会社が散見されました。この交通費を賃金に含めることでマージン率は見かけ上で低くなるのですが、私自身は交通費は経費であって賃金に入れて算出するべきではないと考えます。
この点をしっかり考慮している派遣企業もあり、株式会社TJホスピタリティと株式会社ヨットの2社はわざわざ交通費を賃金に含めた場合、含めない場合のマージン率を算出して公開しております。両社のデータを見ると交通費を含めるか含めないかでマージン率はそれぞれ5ポイント、3ポイントも変動するなど小さくない数値で、この点に関しては当局も基準を明確にするはっきりとした指針を出すべきだとここで提案させていただきます。
<非公開企業の特徴>
同じく調査中に気になった点として、派遣労働法改正直後の事業年度ではマージン率を公開していながら次年度以降は公開しなくなった企業も数多く見受けられました。この手の会社は恐らく同業他社があまり公開していないのを見て確信犯的に公開をやめてしまったのだと私は考えています。
ちなみにマージン率は事業年度ごとに公開することが義務付けられていますが、事業年度(会計年度)の期間が1月から12月の会社だと直近の事業年度は「2014年1月~2014年12月」となりますが、さすがに締めてから1ヶ月もしないうちにデータを集計して公開しろってのは酷な話に思え、「2013年1月~2013年12月」のデータを公開していればきちんと公開義務に対応していると判断しています。逆を言えばこれ以前のデータしか公開していない会社は例外なく義務を放棄していると判断しました。
このほか調査中にはホームページ上では公開せず、最寄りの事業所に来るかメールで問い合わせれば情報を公開するという会社もいくつか見られ、問い合わせに対応するという会社数社に対してメールを送っては見ましたが一社を除いたほかのすべてからは結局教えてもらえませんでした。特に、業界大手のスタッフサービスさんなんかは今回調査の裏MVPとも言うべき期待通りの対応を見せてもらっただけに、次回に書く続きの記事でしっかり特集させてもらおうと考えています。
<公開していない大手一同(*^^)v>
今日の記事の最後として、調査対象リスト(作業途中から閻魔帳に見えてきた)に含む、含まないに関わらずマージン率をネット上で公開していない派遣業界大手企業を下記にリストアップします。
・ザ・アール
・フルキャスト
・メイテック
・スタッフサービスさん
・ジェイコムホールディングス
・ニチイ学館
・パソナ
・マイナビ
・マンパワーグループ
・リクルートスタッフィング(順不同)
見る人によっては悪ふざけが過ぎるているのではと思われるかもしれませんが、敢えて茶化すような表現で書いているのは本気でやったら絶対こんなもんじゃ済ませないという意思を表しているからです。もしまだ記者やっていたら自分は各社の広報部に電話取材をかけて、一言一句を録音した上でネット上に全部公開していることでしょう。必ず。
なお全国区で誰もが知る業界大手にくくれば、同じグループ企業ですがテンプスタッフとインテリジェンスの二社のみがマージン率を含めたすべてのデータを公開しています。恐らく派遣会社にとってマージン率データを公開することは不利な条件だからこそほとんどの会社が対応していないのでしょうが、それにもかかわらず、大手であるにもかかわらずきちんと対応しているこの二社には強い敬意を覚えます。
これは本調査、前回調査でデータを引用させていただいた公開企業各社も同じことが言え、特に中小規模であるにもかかわらず大手がガン無視決め込んでいる中で法律にきちんと従っているということはその一点だけとっても非常に素晴らしい行為だと思います。末筆ながらデータを引用させていただいた公開企業各社に対しここで厚くお礼を申し上げさせていただきます。
このほか調査中に感じた事や派遣業界に対して提案したいことなどまだまだ書き切れていないので、続きはまた次回にまとめさせてもらいます。
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