ページ

2015年3月20日金曜日

中国での連日の汚職事件摘発

 あまり長く書くネタではないのですパッと書きますが、中国ではこのところ汚職事件での政府関係者、財界人の逮捕が相次いでる、というかヤバいくらいに摘発されています。友人なんかは面白がって摘発のニュースが流れる度にそのニュース記事を私に送ってきて、「明日は誰が捕まるかな?」なんてメッセージを書いてくるのですが、あながち冗談ではなく日めくりカレンダーの様に毎日誰かが摘発されるニュースが出ています。こういってはなんだけど天気予報みたいにテレビニュースで、「それでは、今日の逮捕者ニュースの時間です」という感じで毎日報じるコーナーがあってもいい気がします。

 捕まる人間も市役所とかの小物程度ではなく、見ていて驚くような大物も相次いでいます。先日私も記事にした第一汽車の会長の逮捕なんて日本で言えば日産の会長が逮捕されるような内容ですし、また上海の副秘書長、昆明の副省長(今日捕まった)なんて、こちらも日本にたとえれば都道府県の副知事が逮捕されるようなレベルです。
 そういう意味では習近平総書記が掲げている「反腐敗闘争」は決して看板なだけではなく、本気で中国国内の汚職を可能な限り叩き通そうとする気迫に近い意気込みを感じます。こう言ってはなんですがこの施政方針は市民からも支持を得られますし、また数少ないであろう真面目な役人にとっても頑張ろうというやる気を湧き起こさせ、中国全体にとってもいい影響を生み出すものだと思えます。

 ただうちの同僚曰く、「中国の役人は99%が悪人だからまだまだ叩き足りない」とのことで、反腐敗闘争の終結はもっとずっと先だとの見方を示しています。あとこれは汚職といえるかどうか微妙ですが、以前に中国のサッカーリーグで数人の審判が賄賂をもらっていたのがばれて捕まったことがありましたが、その際に捕まった審判員の写真が並んで新聞一面に掲載されて、「なにこれ、新手のかつらメーカーの広告?」という不思議な感想を抱かせる紙面がありました。そんなくだらないネタを次回の記事への引きにしつつ今日の記事を書きあげる次第です。

2015年3月18日水曜日

日本における三種類の二次大戦

 先日の日本帰国中に読んだ雑誌で、佐藤優氏の書いた評論が載っていたので読んでみました。その評論というか連載記事では北方領土交渉について書かれてあり、その回では交渉の前提にあたる北方領土の歴史や条約の経緯について解説されていたのですが、その中で日本にとって二次大戦は三種類の戦争があったという指摘が興味深かったです。

 三種類のうちの一つは、日本と米英、オランダ、オーストラリアとの太平洋を跨いだ戦争で、これは佐藤氏の言葉を借りるなら「典型的な帝国主義戦争の性質を帯びていた」とのことです。その上で両者の言い分なり立場は五分と五分の関係でどちらかが正しく、どちらかが間違っているという要素はないと言い切っています。
 二種類目は日本と、中国、フィリピン、インドネシアなどアジアを舞台にした戦争で、これに関してはアジア諸国から日本の行動が侵略と受け止められたとして「侵略的性質を帯びていた」とこちらも言い切り、日本は真摯に反省するべき戦争であったと述べています。
 そして最後、案外これは出てくる人は少ないのではないかと思いますが日本とソ連(ロシア)の戦争を指し、これは日本が侵略された戦争だったとして不当に日本の領土がソ連に掠め取られたと述べています。

 この佐藤氏の主張に対して私の感想を述べると、漠然と上記のような価値観は持っていたもののこれまで戦争相手国によって戦争の性質が異なるとははっきりとした定義分けは出来ておらず、非常に新鮮で見事な視点だと感心しました。その上で日本は侵略国でもあり被侵略国でもあり、また太平洋の覇権を競おうと戦争した国だったのかと、その認識を改めさせられました。

 正直に述べれば私はあの戦争における日本は侵略国家的な要素が強く、米国との戦争に関しては追い詰められたというより何も考えず、なんとなく仲が悪くなっていったから戦争に発展していったという風に考えてました。ただ佐藤氏の言い分を聞いて、太平洋戦争は覇権を競う戦争、要するに主義主張の正当性はどちらも全くない戦争であったという説明を聞いて深く納得でき、やはり大陸での戦争と定義を一緒にすべきではなくこのようにはっきりと分けるべきだと重ねて思います。

 改めて考えてみると、右翼と呼ばれる集団は米英との戦争を取って日本は侵略された(追い詰められた)と主張し、左翼と呼ばれる集団は大陸での戦争を取って日本は侵略したと主張し、同じ二次大戦でもそれぞれの都合のいい部分を切り取ってあの戦争を色んな材料に使ってきた節があります。しかし本来なら太平洋、そして大陸での戦争は「日本の二次大戦」として一つにくくるべきではないほど要素が異なり、かえってこうした各勢力による「いいとこどり」が続いたせいできちんとした歴史の分析が出来てこなかったのかもとも思えてきます。

 その上で最後に述べるとするならば、期間は短かったとはいえソ連との戦争についても改めて再考するべきかもしれません。佐藤氏の言う通りにあのソ連の侵攻は紛れもない条約違反で、日本側から侵攻だと言っても特に門は立たないように思えます。私がこの歴史を再考すべきだというのは何もロシアへの憎悪を煽ろうとかそういうものではなく、どうすればこの何するかわからない猛獣のような国と付き合っていけるのか、そうした問題点を解くヒントが得られる要素があるかもしれないと考えるからです。
 よくこのブログでも主張していますが、中国も何するかよくわからないけど、ロシアはもっと何するかわからず潜在的な危険度で言えば中国の比ではありません。少なくとも中国はその辺をよく認識しており、いつかは米国を下して世界の覇権を握ろうと考えてはいますがロシアとは覇権がどうのこうの以前になるべく関わりたくない、非常に危険な相手だけど仮想敵国にはしたくないという態度をはっきりとみせています。まぁその気持ちはよくわかりますが……。

  おまけ
 この佐藤氏の評論ですが、何に載っていたのかっていうと「ベストカー」というカー雑誌です。なんでこんなのにこんな評論載っているんだろうかと少し不思議です。

2015年3月17日火曜日

美濃加茂市長の裁判での検察控訴について

 既にこのブログで何度も取り上げている美濃加茂市の藤井市長に対して収賄容疑で起こされた裁判ですが、私の意見通りというか希望通りというべきか、第一審では市長側の主張が認められ無罪判決が下りました。ただこれは第一審であって果たして第二審はどうなるのか、通常なら検察は控訴するがこんな証拠もほとんどなくいい加減な捜査で本気で控訴する気あるのかと考えてましたが、どうやら検察は自分の想像以上の存在だったようです。

「市長ははめられたんだ!」潔白を信じた市民…異例ずくめの汚職事件 〝青年市長〟無罪判決(産経新聞、これまでのまとめ)
美濃加茂市汚職:市長の無罪判決不服で名古屋地検が控訴へ(毎日新聞、控訴について)

 上記の毎日新聞の報道によると検察は判決を不服として控訴し、二審へと挑むつもりのようです。既に美濃加茂市議会は検察に対し、裁判が続けば市政の停滞を招くとして控訴を断念するよう求める決議を採択しましたがどうやらこれをガン無視する模様です。
 もちろん決議なので法的拘束力はありませんが、そもそも決議以前にこれまでの裁判過程から何をどうやって控訴しようっていうのか理解に苦しむ点が多いです。一言で書けば、この裁判では証拠は存在せず贈賄したという怪しいおっさんの妙な供述しか根拠はなく、第一審ではそれが根本から信用できないとされたのですからほかに新証拠がない限りはひっくり返しようがないでしょう。

 私の意見をここで書くと、やはりこれまでの裁判経過を見ていてもこの裁判、というよりは事件は検察が中心となって捏造されたもので、これは汚職事件ではなく疑獄事件ではないのかというのが偽らざる真情です。むしろ今議論すべきなのは検察、もしくは愛知県警の誰がこの事件を捏造し、無実の罪に藤井市長を追い落とそうとしたか、いわば事件の黒幕を捜すべき時期ではないかと思えます。
 しかしそうは言うものの、じゃあ誰がその黒幕を捜すのかとなると若干不安がもたげます。まず身内の検察や愛知県警は全く信用ならないし、ならばと特捜が出てきてもこいつらも内部不祥事の隠蔽など御手のもんなだけに大概です。現実問題として、捜査機関の不正を捜査する組織がないというのは現代日本における大きな課題だと思います。

 隠蔽事件も冤罪事件も続々と明るみに出ているものの処分に関しては結構しょうもなかったりすることが多く、神奈川県警や大阪府警もこれだけやっても免職にならないのかと呆れる例が多数あります。それこそ内閣直属、もしくは法務省直属の独立した「捜査機関を監視・捜査する組織」こそが今必要ではないかと考えています。もっとも、こんなこと言うのも自分一人だけだろうなぁ。

 最後にこの検察の控訴について、中日新聞の記事中に癇に障る一文が入っていました。それはどこかというとリンク先の記事末尾にあるインタビュー引用文で、

「同市太田町の商店主の男性(73)は『グレーなつながりを持っていたと分かった時点で、泥仕合になると思っていた。検察・警察にもメンツがあるから、控訴は仕方がない』と話した。」

 この引用文にある「グレーなつながり」ってなんやねんというのが私の疑問です。藤井市長は裁判で汚職の疑いのある行為はしていないと認められており、また贈賄をしたと主張する謎のおっさんと親密に交際していたわけでもありません。にもかかわらずさも市長に疑われても仕方ない要素があったかのように見せるこのインタビューをわざわざ引用する当たり、中日新聞の態度というか腹積もりが透けて見えます。この会社は私が目の敵にしているのもありますが、目の敵にする理由は決して私憤からだけではないというのを理解いただければという言い訳を書いて今日は筆を止めます。

2015年3月15日日曜日

一汽汽車トップの捜査について

 今日はちょっと準備していたネタを下調べを済ませて書こうと思っていたら先日の帰国中に買ってきたPSVitaのゲーム「極限脱出ADV 善人シボウデス」の謎解きにはまり時間を費やしてしまいました。結局図形を組み合わせて平行四辺形を作るパズルは攻略できなかったけど……。
 そんなわけですぐに書ける時事ネタ、なおかつこのところ急激に増えている中国ネタとなりますが、興味深いニュースが友人からも送信されてきたのでちょこっと解説します。

中国自動車メーカー会長が規律違反容疑 当局が取り調べ(朝日新聞)

 上記リンク先のニュースによると、中国の自動車メーカー大手である第一汽車の徐建一会長が重大な規律違反の疑いで捜査を受けていることが明らかとなったようです。重大な規律違反というのは要するに汚職で、贈賄や収賄、または横領などが当てはまりますが実質この三つのどれかだと思っていいでしょう。
 そもそもこの徐健一という人物がどんな人物かですが、既に書いた通り上海汽車、東風汽車と並び中国国内の自動車メーカービッグスリーに当たる第一汽車のトップです。第一汽車の売上げは先の二つと比べると一段劣ってて実質三番手ですが、それでも多数の自動車メーカーひしめく中国において一定の地位を保つ超大企業であります。

 なおこの第一汽車ですが日系メーカーではトヨタとの間で合弁契約を結んでおり、合弁会社の一汽豊田では「カローラ」や「クラウン」、「REV」4などの車種を販売しております。もっともト中国において一番人気なトヨタ車である「カムリ」は広州汽車とトヨタの合弁である広気豊田で販売されているため、トヨタの中国におけるメインパートナーと言えるのはやっぱ広州汽車ってところです。
 あと第一汽車は傘下の海馬汽車がマツダとの間でライセンス契約を以前に結んでおり、その伝手で古いアテンザなども販売していました。さすがにもう生産はしていないと思いますし、マツダも中国市場では合弁先である長安汽車とメインでやっているため、実質的に第一汽車と関連する日系自動車メーカーはトヨタ一社となります。

 話は戻りますがこれまでにも中国では多くの経済人が逮捕されていますが、その多くは国内市場での販売が主な国益企業幹部とかでしたが、第一汽車の様に海外メーカーとも絡む大物ともなると今まであまりなかったような気がします。会社の規模もそうですが今回の逮捕は大物も大物で、注近平も全く手を休めないというか手加減をしない活動ぶりの様に思えてきます。
 あとこれは推測ですが丁度今日が中国の国会に当たる全人代の閉会日であるため、この捜査発表は全人代閉会にタイミングを合わせた発表であると考えられます。逆を言えばそれ以前から相当マークしていたということになるので、まずこの会長は有罪判決からは逃れられないでしょう。
 恐らく今回の発表によって第一汽車の販売は大きな影響を受けることはないと思われますが、政府調達の公用車の入札では今後制限が課せられる可能性はあります。第一汽車は国内VIP車に当たる「紅旗」というブランドを持っているだけに、この分野での売り上げ減は十分にあり得ると予想します。

 最後に補足として述べると、あんまりほかのメディアでは書くことがありませんが中国ではどの主席も政治スローガンみたいな標語を必ず掲げます。古くは「大躍進」や「改革開放」で、直近だと胡錦濤前主席の「和階社会(=平等社会)」です。では現在の習近平主席のスローガンは何なのかですが、はっきりとこれだとばかりに掲げられていませんが実質的には「反腐(汚職追放)」が当たると思えます。
 日本ではあまり報じられませんが以前の胡錦濤政権時とは比べ物にならないほど現在の習近平政権は政財界、果てには軍をも問わずに大物の汚職摘発に力を入れています。特に胡錦濤政権は、パワーゲームの影響でしょうが、解放軍幹部に対しては絶対に捜査のメスを入れることはありませんでしたが、習近平政権は全くお構いなしと言わんばかりに解放軍の超大物幹部を平気で逮捕したりして、これには一般の中国市民も大喝采を送っててその支持度は半端じゃないほど高いように見えます。

 ただこれは逆を言えば解放軍が習近平政権を恨んでいる可能性が高く、市民からも嫌われているのでさすがに軍事クーデターを起こすことはないでしょうが尖閣諸島周辺は南沙諸島周辺で嫌がらせとばかりにわざと騒動を起こす可能性はあるように思えます。特に尖閣絡みだと日本とぶつかり合うのでこの辺はきちんとした共通認識を日中の事務方同士で持って、あらかじめ対策を準備しておいてもらいたいものです。

2015年3月14日土曜日

千葉のマッドシティ~すぐやる課

 どうでもいいですがこのところやけにネット回線の通信速度が極度に落ちています。むしろ先週までが春節の長期休暇の影響を受けてやけに速度が速かったこともありますが、VPNの速度で以前は秒速最大で200kb出てたのが今はどうあがいても40kbしか出ず、現在に至っては20kbが関の山です。地味に調べものとかで影響でるからどうにかしてもらいたいところですが、こっちの通信会社はまるで仕事しないからなぁ。

 そんなわけで本題に入りますが、マッドシティこと松戸市といって何が一番有名かとなるとSTAP細胞を生みだした科学者の出身地であることや、女子大生が殺害され放火された事件があったとか色々ありますが、恐らく全国区で聞くとなると今日取り上げる「すぐやる課」だと思います。
 このすぐやる課というのはドラッグストアチェーン最大手のマツモトキヨシの創業者である、松本清が松戸市長時の1969年に松戸市役所で創設した部署の事です。マツキヨについてはまた今度解説しますが、当時から「お役所仕事」と呼ばれるほど対応の鈍かった市役所の仕事ぶりにメスを入れるため、住民からの要望を市長直轄でダイレクトに応えるために作られました。

 当時の日本は革新市長や革新知事など地方行政改革に注目が集まっていた時代ということもあり、このすぐやる課もメディアなどで大きく報じられるなどして全国区で有名な部署となりました。私個人の評価をここで入れると、案外市役所に相談したいことがあってもどの部署に連絡すればいいのかわからないことが多いだけに、こうした万請負所みたいな部署が一つの窓口となって他の部署とも連携していければなかなか有効な改革だったのではないのか思えます。
 実際、この松戸市での創設を受け似たような部署を創設、またはそのまま同じ「すぐやる課」を創設する自治体も出ており、ウィキペディアの記事によればデンマークのグラズサックセ市も導入したそうです。

 それでこのすぐやる課ですが、現在もなお自分の潜伏地からほど近い所にある松戸市役所内に存在し、活動を続けています。やることは先ほどにも書いたように万請負的な所があるのですが、市役所職員もやってくるカレー屋のおじさん(生粋のラリースト)に話しを聞いたところ、ハクビシンだとかスズメバチなどの害獣、害虫の捕獲、駆除が主な仕事になっているそうです。そのほかの雑務も多いようですが、机仕事ではなく実行部隊的な仕事が多いため話を聞く限りだとなかなか大変な部署とのことだそうですが、もしできるのであればクリミアにまで行って余計なことをしでかしてくる鳩も駆除してもらいたいものです。

2015年3月13日金曜日

中国人に受けやすい日本のお土産

 昨日の記事で近頃流行の中国人の「爆買い」を取り上げましたが、具体的に中国人は日本でどんなお土産を買っていくのかについては案外知られていないような気がします。そこで今日は在中歴がもう4年も突破していて日本で働いていた期間より実質長くなっている私の独断と偏見による、中国人が喜びそうなお土産をいくつか紹介しようと思います。

1、家電
 鉄板といえば鉄板ですが、それでも依然と比べればその人気は幾分落ちてきているように思えます。何故人気が落ちているのかというと日系家電のブランド価値が世界的にも低下してきていることに加え、中国国内のメーカー製品でも性能的には日系製品と比べても極端に低くない物が出てきているからでしょう。
 なお中国でも日系メーカーは家電を販売しているのに、何故だか中国人はやたらと日本で日系家電を買いたがります。これは何故かというと、日系メーカーは自社で生産する製品に対して日本市場向け、中国市場向けで異なる二種類の品質基準を持っており、中国には品質の悪い商品しか流していないと中国人が考えているからです。実際はどうだかわかりませんが品質基準を二重に持つと管理上で手間がかかるのでそんなことないとは思いますが、中国人は日本で流通している製品の方が中国に流通しているものより圧倒的に品質が上だと考え、だからこそ日本国内で買おうとしているのだと思われます。

 もう一つおまけに述べておくと日本で買われる家電製品の種類でどうして炊飯器が多いのかについてですが、確証はもてませんが恐らくそのサイズが影響しているとみています。別に中国人は炊飯器に対して並々ならぬこだわりは持っておらず、恐らく日本国内で購入して中国に持ち帰るに当たってテレビや冷蔵庫では大きすぎ、ドライヤーだとハゲ親父には渡せず、ノートパソコンだと高すぎるので、そこそこのサイズでビッグなお土産として持っていくのに炊飯器がベストなサイズだから人気を得て定着してきたのではと考えています。

2、食品
 自分がこれまで見てきた限りだと意外とローカルな食品に対して興味を持つ中国人が多いように思えます。具体名を挙げるとご当地プリッツやスナック菓子など、あと味噌汁とかインスタントラーメンなどなんかスーパーで買えるものに強い反応を示しているように見えます。
 この食品こそマーケティング次第では中国市場で化ける可能性を秘めた商品であり、現実にヤクルトは全中国工場がフル稼働しながら販売都市が広がるというほどのヒットぶりを見せており、近年はコンビニスイーツを売り込もうとお菓子メーカーもよく来ていると聞きます。
 ちなみ今回私は従業員に対して変わったものを持って帰ろうと思ってスーパーを見て回りましたが、最終的に選んだのは丸美屋のふりかけ(のりたま)でした。なんでこんなの選んだのかというとそもそも中国にはふりかけが存在しておらず、念のため辞書でも調べましたが該当する単語は出て来ず、「対米飯使用的調味料(ご飯に使う調味料だよ)」と言って従業員に渡しました。渡した時の反応なかなか悪くなく、なんか昨日今日と従業員の自分に対する態度が良くなっている気もしました。

3、ビタミン剤
 この記事の主題でもあるのですが、実は今回の一時帰国に当たって同僚、そして友人の二人の中国人からそれぞれビタミン剤を買ってくるよう依頼されました。日本人からしたら「なんでビタミン剤?」と思われるでしょうがこれにはわけがあり、一言で言えばああいう錠剤の形したものは色々混ぜ込みやすく、まともな製品が中国だと流通していないというか消費者に警戒されているからです。
 考えてみればごくごく単純なことですが、ビタミン剤と称してただのブドウ糖だったりすることもあり、下手すれば変な有害物である可能性すらあります。そんな修羅の国、中国でビタミン剤を買う人なんてほとんどおらず、結局信用できる日本市場から調達しようって話です。

 案外これはビジネスチャンスかもしれませんが、中国人は普段から変な食品のニュースが多いだけに日本人以上に健康志向が高く、ビタミン剤に代表される栄養剤を始めとして漢方など健康食品に強い興味を示します。ただ面白いことに現在流通している大半の漢方薬の特許は日系企業がほとんど独占しており、中国からしたら中国発祥の物なのに日系企業に先こされているとそこそこ警戒感を持っていると共に負けてらんないぞと政府も支援しつつ特許取得に励んでいます。
 もっとも中国で漢方薬作って売っても偽物が混ぜられる可能性があって市場としてはなかなか通じないでしょう。逆を言えば日本で流通している漢方なり健康食品をうまいこと中国に持ってきて販売ルートを確立したら儲けられそうだと後輩に伝え、既に先行者もいるだろうけどなんか準備しておけとこの前伝えておきました。

2015年3月12日木曜日

原油安の背景にあるもの

 調子がいいので本日二本目の記事です。全盛期は一日三本とかわけのわからない投稿量でしたからその頃に比べれば大人しくなったものです。

 最近はめっきり落ち着きましたが、昨年後半から今年にかけて長期にわたり原油価格が大幅な値下がりを続けていました。一時はリーマンショック前の水準にまで落ち込んで、エネルギーが安く使えるのはいいがここまで急激に落ちては世界経済に影響が出るのではなどと言う憶測まで出ており、各種の経済雑誌などではその背景などについて様々な面で検討する記事が載っていました。

 この原油安は円安が続く日本にとってはもちろん追い風ですが、原油産油国にとっては逆風以外の何物でもありません。しかし中東の産油国諸国で構成されるOPECはこれほどの原油安が起こっていながらも産油量の調整などは行わず、むしろまだまだ増産するかのような態度まで見せて原油安を自ら誘導してきました。一体何故OPECはそんなことをしたのか各種メディアで私が見た論評に多かった解説では、石油にとってライバルとなる米国やカナダのシェールガスとの価格競争というもので、産油国は石油の安値攻勢でシェールガスを潰そうと働きかけたのだという風に書かれていました。
 この解説も確かに一理はあると思えるのですが、だからと言ってここまでやるほどなのかと私個人としては完全に腹の中まですとんと落ちては来ませんでした。また一部で見た報道ではOPEC内でも意見が分かれているが、意見力の大きいサウジアラビアが生産調整の提案を誇示しているなどとも報じられており、なんか違うようなという風に思っていました。

 そうして最終的に私が辿り着いた結論というか妄想は何なのかというと、この原油安の真のターゲットはシェールガスではなく天然ガスで、その産出国であるロシアだったのではないかというものでした。

 この結論に至ったきっかけは、昨今の原油安で天然ガスを輸出するロシアが非常に苦しんでおり、大きな影響を受けているという報道をみたことからでした。特にロシアはウクライナの問題で米国を中心とした欧米諸国から経済制裁を受けており、それと天然ガスの価格下落が相まってダブルパンチなどと報じられていたのですが、このダブルパンチは偶然の産物ではなく意図して起こされたもので、原油安は経済制裁と連動して行われているのではないかという気がしてきました。
 またこのように考えるとOPECの動きも納得できます。サウジアラビアは中東きっての親米国家で米国の要請を受ける形で意図的に原油価格の下落に協力するというのも理解できないわけでなく、仮にそうであれば他国が反対していながらもサウジアラビアは生産量の調整に同意しなかったのもなんとなくつじつまが合うように思えてきます。

 もちろんこんなの私個人の勝手な推論であって確証に足る根拠なんてどこにもありませんが、状況的にはこういう理由の方が私は納得できると思えたわけです。でも仮にこうだとしたら結構皮肉なもので、米露という大国同士の争いで世界経済が動き、円安下の日本なんか漁夫の利を得ているということになります。となると日本は米露の緊張を煽った方が良いのか、この辺は時と場合に寄るでしょうね。