また本題と関係ありませんが昨日勤務先の工場に警官二人が来て、何でも先日に工場近くの川で死体が見つかったので何か心当たりはないかと尋ねて情報提供を呼びかけるチラシを置いて行きました。チラシによると死体は壮年男性で身長は162センチ。赤いジャンパーを着ていてその写真もついていましたが、有力情報提供者には1万元(約20万円)を出すと書かれてあったので殺害されたような跡でもあったのかもしれません。ちなみに同僚たちは、「うわー死体だって。どうしよー」などと女子高生みたいにちょっと盛り上がってました。
そういうわけでまたマッドシティ。毎回、地元の人間以外を置き去りにしたネタばかりを展開しているので今日はもうちょっととっつきやすく松戸市に縁のある有名人をいくつか紹介しようと思います。
・松戸市出身もしくはゆかりの有名人(Wikipedia)
正直な所、私の記事読むくらいなら上のウィキペディアの記事読んだ方が早いだろうし詳しいでしょうが、ひとまず松戸市に縁があって私もそこそこ知っている人を幾人かピックアップして紹介します。
まずスポーツ選手の枠で語れば、阪神タイガースの現監督である和田豊氏の名前が私の中で真っ先に挙がってきます。和田氏は松戸市出身ですが高校は別の市の高校に通っており、その高校では「ガンダムF91」の主役であるシーブックの声優をしていた辻谷耕史氏と、「少年アシベ」にでてくるアザラシのゴマちゃんの声をしていたこおろぎさとみ氏と同級生だったようです。ちなみにこおろぎ氏はゴマちゃんの収録中、喉から血を出したと聞いております。
同じ野球枠だとかつての西武のエースで現在は千葉ロッテに在籍する涌井秀章選手も地味に松戸市出身です。また松戸市出身ではないものの、新松戸にあったスケートリンクにはこの前引退したフィギュアスケートの男子選手の町田樹氏が幼少の頃に通っていました。
次に芸能人枠だと私が反応できる名前は安倍サダヲ氏、高木美保氏、あとラッシャー板前氏がウィキペディアのリストから上がってきます。なんでこの三人なんだろうという気もしますが、この三人以外だといまいちピンと来ないのが本音です。あと押切もえ氏も一応反応できるが、彼女は今どこで何やってるんだろう?
文化人の枠だともう少し反応できる人が増え、「どうぶつ奇想天外」などで活躍された千石先生こと千石正一、女性宇宙飛行士の山崎直子氏など著名な人物も名を連ねています。特に山崎氏に関しては松戸市も地元の英雄のような扱いをしていて、松戸駅内の通路には常に山崎氏が写ったポスターが貼られてあるくらいです。
そんな有名どころの下、既にウィキペディアのリンク先を見た方ならもう察しが付くでしょうが、先の二人を軽く凌ぐような超大物の名前がさりげなく書かれています。そう、小保方晴子氏です。去年の騒動の際には彼女が松戸出身であることがネットの掲示板に書かれるたびに、「またマッドシティ出身かよ」などと書かれることもあり、「またってなんだよ……」なんて妙な感想を覚えました。
それにしても去年の今頃はSTAP細胞でちょうど大騒ぎし始めた頃でしたが、今年も既にみつきも過ぎているにもかかわらず、佐村河内、野々村前議員といった世間の関心を一挙にさらうような人物が一人も出てきていません。当時からも実感していましたが去年はなんかこう、十年や二十年に一度歩かないかってくらいの人材の当たり年だったんだなぁとしみじみ思います。
ここは日々のニュースや事件に対して、解説なり私の意見を紹介するブログです。主に扱うのは政治ニュースや社会問題などで、私の意見に対して思うことがあれば、コメント欄にそれを残していただければ幸いです。
2015年3月27日金曜日
2015年3月26日木曜日
文章は口ほどに物を言う
この頃、初赴任地が金沢だったので飲めないのにヤケ酒するほど落ち込んだことのあるうちの親父から送られてくるメールに、「ブログの文章が荒れているが何か嫌なことでもあったの?」とか、「最近ブログが落ち着いてて調子良さそうだね」などという文言が書かれてあり、どうやらこのブログの文章から勝手に私のメンタルチェックを行っているもようです。文章からメンタルチェックをするというと多分大半の人が「なんやねんそれ」とか思うかもしれませんが、私個人としてはあながち親父のこの行動を的外れなものだとは考えておらず、私自身もよく他人の文章を読んで書き手の性格、知識、当時の心境などを分析してます。そんな私に言わせれば文章というのは書き手の人間性を強く出すもので、時と場合によっては書き手の意図しない部分まで見せることもあると考えております。
実際にこのブログを定期的に読んでいる方ならわかるでしょうが、私の文章は書いた当時の気分を割とストレートに出しているので、記事ごとにどんな気分で書かれたのかがわかりやすいと思います。しょうもない内容を嬉々として書いていることもあれば明らかにやる気がなく何か義務的に書いている感じもする文章もあり、叩き甲斐のある相手を見つけて多少の正義感と共にニヤニヤした感情剥き出しで書いてある文章なんかは、「ああ、あるある」って具合で思い当たることも多いことでしょう。また私に限らずとも他の人でも、ブログの文章にプライベートで切羽詰っていそうな印象を覚えることもあれば、本気で悩んでそうだったり、逆にうれしくてしょうがなそうだったりと、表現力の差はありますが多かれ少なかれ書かれた当時の心境が出てきてしまっています。
しかし、文章から読み取れるのは何も書かれた当時の心境だけでなく、読み方によってはそれ以外のパーソナリティも一瞬で喝破することができると断言します。その一例と言ってはなんですが先日、友人が「こんなメールが来たんだけど」と一通のメールを見せてくれました。そのメールの内容は友人がやっているサイドビジネスに関する問い合わせで、何かコラボできないかと提案した上で今度お会いしたいと書かれていたのですがこのメール文を一読して言った私の返答はなんだったのかというと、
「メール文を読む限りこの人はそんなに頭が良くないから、提携する、しないという議論以前にビジネスパートナーとして頼りにならないだろう。会うのは勝手だがあんまり期待しない方がいいかもしれない」
という、我ながら身も蓋もない返答の仕方をしました。恐らく友人は向こうの提案内容について私に意見を求めたのでしょうがこんな返事が返ってきて、「え、なんなんそれ(;゚Д゚)」という具合でやや唖然とした顔を浮かべていました。それからしばらくしてこの友人が実際にメールの送信主に会ってきたので印象を尋ねると、「花園君の言う通り、確かに馬鹿そうだった(;´Д`)」、などと言うもんだから、「だろぉ(・∀・)ニヤニヤ」と言って私もどや顔を浮かべてました。
この時の種明かしをすると、その問題のメール文ではまず接続詞の使い方が未熟で文章のつながりが悪かったことと、ビジネスプランの説明の際に余計な修飾語を頻繁に使ってくどく長くわかり辛い文章に仕立ててビジネス文書としては核心が掴み辛くふわふわした文章だったので、恐らく書き手は事務的な見かけにこだわるあまりに本題を上手く伝えきれないタイプの人間で対面で説明聞いてもなんかピンと来ない説明のされ方をするだろうと判断しました。友人にこの分析を話したら、「大体そんな感じ」と言われてここでもまたガッツポーズしました。
文章だけでそこまで分かることが出来るのかと思われるかもしれませんが、案外わかるというか私の実感では分析の的中率はそこそこ高いような気がします。もちろん万能というわけでなく外れることもありますが、やはり文章がわかりやすくまとまっている人は話を聞いていても賢そうだなぁと思えますし、逆に単文を何度も区切ってほとんど複文を使わずに文章をまとめる人は話しを聞いててて失礼ながら、「一体何を言いたいんだこの人?」って言いたくなる人が多いです。
このほか内容の少なさの割に文字数が多い人は体面を気にしやすかったり、カタカナ語を多用する人はボキャブラリーが少なかったり、私に言わせれば文章というのは相手の人格分析をするに当たって宝の山みたいなもんです。あとこれは偏見かもしれませんが、無駄に難解な言葉を使用しようとする人は左翼的な平等思想の持ち主が多いような気もします。
こうした文章に滲み出る人格というのは、意識して集中すれば覆い隠すことは不可能ではありません。しかしいちいち書く文章にそこまで気を使う人はまずおらず、大抵は馬脚が出るというか少なからず性質が出てくるでしょう。私などはそういう文章に出てくる性質こそがその人が持つ個性だし隠すべきじゃないと思うのでむしろ露骨に出すようにして書いていたら、「ブログが無駄に攻撃的過ぎる」と注意されるようになったわけですが、逆を言えばきちんと自分の個性をうまく表現できている証拠かなと前向きに見ています。
以上までがまた私の独創的な考え方というか暴論のあらましですが、最後にもう一つだけ文章から読み取れる性格分析方法を記しておくと、文章から相手を一番簡単に図れる指標は文字数です。
それこそ「ソ連は何故崩壊したのか」というような壮大なテーマであれば文字数が多くなるのは仕方ないですが、「よいコミュニケーション方法とは?」などといういかにも採用試験で出てくるようなどうでもいいテーマに対する文章で大量の文字数で書いてくる人間を私は評価できません。先程にも書いた通りに内容に対して文字数が少なければ少ないほど簡潔にかつ分かりやすくまとまっていると言え、数式で書くなら、「内容/文字数」の数値が高ければ高いほど評価できます。それだけにしょうもない内容に対して長ったらしく書くのは書き手にも読み手にも無駄な行為でしかなく、先ほどの様に人をおちょくっているとしか思えないテーマであれば自分の考えを一言述べればそれでOKだし、私はそういう人間ほど評価します。
なお先ほどのテーマに敢えて回答するなら私は、「目と目で通じ合う」とだけ書きます。こんな返答の仕方ばっかしてたから書類で落とされまくってたんだろうな俺。
実際にこのブログを定期的に読んでいる方ならわかるでしょうが、私の文章は書いた当時の気分を割とストレートに出しているので、記事ごとにどんな気分で書かれたのかがわかりやすいと思います。しょうもない内容を嬉々として書いていることもあれば明らかにやる気がなく何か義務的に書いている感じもする文章もあり、叩き甲斐のある相手を見つけて多少の正義感と共にニヤニヤした感情剥き出しで書いてある文章なんかは、「ああ、あるある」って具合で思い当たることも多いことでしょう。また私に限らずとも他の人でも、ブログの文章にプライベートで切羽詰っていそうな印象を覚えることもあれば、本気で悩んでそうだったり、逆にうれしくてしょうがなそうだったりと、表現力の差はありますが多かれ少なかれ書かれた当時の心境が出てきてしまっています。
しかし、文章から読み取れるのは何も書かれた当時の心境だけでなく、読み方によってはそれ以外のパーソナリティも一瞬で喝破することができると断言します。その一例と言ってはなんですが先日、友人が「こんなメールが来たんだけど」と一通のメールを見せてくれました。そのメールの内容は友人がやっているサイドビジネスに関する問い合わせで、何かコラボできないかと提案した上で今度お会いしたいと書かれていたのですがこのメール文を一読して言った私の返答はなんだったのかというと、
「メール文を読む限りこの人はそんなに頭が良くないから、提携する、しないという議論以前にビジネスパートナーとして頼りにならないだろう。会うのは勝手だがあんまり期待しない方がいいかもしれない」
という、我ながら身も蓋もない返答の仕方をしました。恐らく友人は向こうの提案内容について私に意見を求めたのでしょうがこんな返事が返ってきて、「え、なんなんそれ(;゚Д゚)」という具合でやや唖然とした顔を浮かべていました。それからしばらくしてこの友人が実際にメールの送信主に会ってきたので印象を尋ねると、「花園君の言う通り、確かに馬鹿そうだった(;´Д`)」、などと言うもんだから、「だろぉ(・∀・)ニヤニヤ」と言って私もどや顔を浮かべてました。
この時の種明かしをすると、その問題のメール文ではまず接続詞の使い方が未熟で文章のつながりが悪かったことと、ビジネスプランの説明の際に余計な修飾語を頻繁に使ってくどく長くわかり辛い文章に仕立ててビジネス文書としては核心が掴み辛くふわふわした文章だったので、恐らく書き手は事務的な見かけにこだわるあまりに本題を上手く伝えきれないタイプの人間で対面で説明聞いてもなんかピンと来ない説明のされ方をするだろうと判断しました。友人にこの分析を話したら、「大体そんな感じ」と言われてここでもまたガッツポーズしました。
文章だけでそこまで分かることが出来るのかと思われるかもしれませんが、案外わかるというか私の実感では分析の的中率はそこそこ高いような気がします。もちろん万能というわけでなく外れることもありますが、やはり文章がわかりやすくまとまっている人は話を聞いていても賢そうだなぁと思えますし、逆に単文を何度も区切ってほとんど複文を使わずに文章をまとめる人は話しを聞いててて失礼ながら、「一体何を言いたいんだこの人?」って言いたくなる人が多いです。
このほか内容の少なさの割に文字数が多い人は体面を気にしやすかったり、カタカナ語を多用する人はボキャブラリーが少なかったり、私に言わせれば文章というのは相手の人格分析をするに当たって宝の山みたいなもんです。あとこれは偏見かもしれませんが、無駄に難解な言葉を使用しようとする人は左翼的な平等思想の持ち主が多いような気もします。
こうした文章に滲み出る人格というのは、意識して集中すれば覆い隠すことは不可能ではありません。しかしいちいち書く文章にそこまで気を使う人はまずおらず、大抵は馬脚が出るというか少なからず性質が出てくるでしょう。私などはそういう文章に出てくる性質こそがその人が持つ個性だし隠すべきじゃないと思うのでむしろ露骨に出すようにして書いていたら、「ブログが無駄に攻撃的過ぎる」と注意されるようになったわけですが、逆を言えばきちんと自分の個性をうまく表現できている証拠かなと前向きに見ています。
以上までがまた私の独創的な考え方というか暴論のあらましですが、最後にもう一つだけ文章から読み取れる性格分析方法を記しておくと、文章から相手を一番簡単に図れる指標は文字数です。
それこそ「ソ連は何故崩壊したのか」というような壮大なテーマであれば文字数が多くなるのは仕方ないですが、「よいコミュニケーション方法とは?」などといういかにも採用試験で出てくるようなどうでもいいテーマに対する文章で大量の文字数で書いてくる人間を私は評価できません。先程にも書いた通りに内容に対して文字数が少なければ少ないほど簡潔にかつ分かりやすくまとまっていると言え、数式で書くなら、「内容/文字数」の数値が高ければ高いほど評価できます。それだけにしょうもない内容に対して長ったらしく書くのは書き手にも読み手にも無駄な行為でしかなく、先ほどの様に人をおちょくっているとしか思えないテーマであれば自分の考えを一言述べればそれでOKだし、私はそういう人間ほど評価します。
なお先ほどのテーマに敢えて回答するなら私は、「目と目で通じ合う」とだけ書きます。こんな返答の仕方ばっかしてたから書類で落とされまくってたんだろうな俺。
2015年3月24日火曜日
ゲームレビュー:極限脱出ADV 善人シボウデス
昨夜友人に、「体調大丈夫?」と聞かれましたが、多分友人はどっちかっていうと「ゲームし過ぎじゃね?」と聞きたかったんだと思います。まぁその後の返答には、「もうすこしでエンディングだから大丈夫だよ」と答えましたが。
そんな友人にも心配されるほど何のゲームをやっているのかというと、この前の一時帰国時に買ったPSVitaのゲーム「極限脱出ADV 善人シボウデス」です。どうにかこうにか昨夜にエンディングを見ることが出来たので、久々にゲームレビュー記事として書こうと思います。
・極限脱出ADV 善人シボウデス(Wikipedia)
このゲームソフトはニンテンドー3DSとPSVitaの2ハードで発売され、私が遊んだのはPSVita版です。ゲームジャンルはアドベンチャーで、なんで遊んでみようと思ったのかというとなんか無性にテキスト読まされるアドベンチャーゲームをやりたくなって、他にもいろいろ買い込みながら「折角だから」と思いつつ、質のいいアドベンチャーゲームとして評価が高かったこのゲームも買ってみました。結論から述べると期待に反さず、「かまいたちの夜」を始めとする傑作サウンドノベルゲームを作ったチュンソフトなだけあって面白いゲームでした。
先に述べておくと、このゲームは2012年の発売ですが2009年に発売された「極限脱出 9時間9人9の扉」の続編に当たり、前作の登場人物も何人かがそのまま出演しています。前作を遊んでいればシナリオの裏側というか背景も読めてプラスでしょうが、私の様に前作を遊んでいなくてもシナリオが理解できないということは全くなく、マイナスの影響はほとんどないためこのゲームから始めてもほぼ問題はないでしょう。
ストーリーのあらすじを話すと、大学生の主人公がある日目を覚ましたらエレベーターの中に閉じ込められており、同じエレベーターの中にはヒロインに当たる女の子も閉じ込めらていて、二人とも何故ここにいるのか、誰に連れてこられたのか記憶が全くない中でひとまず脱出を試みるという出だしとなっております。
このゲームは通常のアドベンチャーゲームのように選択肢を選んでテキストを読み進める「ノベルパート」と、上記のエレベーターのような閉じ込められた状態から室内を探り、パズルなどを解いて脱出する「脱出パート」という二種類のゲームパートに分かれて構成されています。メインはもちろん「脱出パート」ですが、ノベルパートも選択肢が豊富にあり、そのシナリオは樹形図のように細かく分岐していき、分岐後の各シナリオを読んでいくことで徐々に物語の真相がわかっていくという形式になっています。
脱出ゲームのほか、ストーリーの中ではいわゆる「囚人のジレンマ」に題材を取ったようなゲームも展開され、信頼していた仲間に裏切られることもあれば逆にプレイヤーが裏切ることもあり、なかなかにシナリオは展開が大きいです。また複数のシナリオを跨ぐことで初めてシナリオの進行に必要なパスワードがわかるようにもなっており、ゲーム後半では文字通りに各シナリオの集大成のような展開となり、ただテキストを読んでいるだけでも結構熱くなってきます。
ちなみにゲームの展開というかシナリオによっては一方的に裏切られて主人公が死ぬこともあれば、一緒に探索する仲間が殺されたりする展開も起こり得ます。果てには主人公以外全滅なんていう結構ショッキングな結末もあれば主人公とほか二人だけが監禁場所から脱出できたものの、ほかの人間は置き去りになるという展開もあって、全体的にはハードな結末が多いです。
それでこっから私個人によるレビューとなりますが、まず一番言いたいことはそのテキスト量の膨大さです。私のエンディングまでのプレイ時間は約30時間ですが、これは今まで遊んだアドベンチャーゲームの中では異例なくらいに長いです。調べてみるとほかの人もクリアまで30時間程度かかったという人が多く、その誰もがテキストが膨大だったという感想を述べています。
このテキストの膨大さはもちろん欠点ではなく、長く遊べるという意味ではむしろ長所です。しかしほかのレビュアーによっては複数のシナリオで似たような展開があったりするので、読んでて間延びするなどという評価も出ており、これには私も同感です。具体的に言えば、「そろそろあいつが病気で倒れる頃だな」とシナリオ途中で段々わかってきます。
次に脱出パートについてですがこれは非常によく出来ており、一応難易度ハード(ハードとイージーしかない)で全問クリアしましたが、どれも時間をかければなんとか解けるものの要所要所で頭を使う必要があり、うまいこと脱出に成功したら軽くガッツポーズを取りたくなるような達成感が感じられます。ただ一部のパズルは明らかにヒントが少なすぎて余計な誤解生んだりするのもあり、特にサイコロの目を決まった位置に決まった目で置くというパズルではヒントの方角が曖昧だったため、解釈は正しかったものの配置方向が間違っていてなかなか突破できず苦労させられました。
最後にシナリオの出来ですが、このゲームのシナリオライターはゲームの設定をシナリオに組みこむのが上手いと評価されているそうで、このゲームでもそれが如何なく発揮されています。具体的に述べればプレイヤーがプレイ途中で別のシナリオに「ジャンプ」するという設定を組み込んであり、理由づけといいシナリオの立て方は確かに腕の良さを覚えます。またゲーム終盤の怒涛の展開は息もつけないとはああいうもので、各シナリオにちりばめられていた細かい要素が一気に集まってはじけるような、人によっては多少のくどさを感じられるかもしれませんが真相が超スピードで明らかになるあの展開は大したものだと目を細められました。
しかし、というかこのゲームの最大の賛否両論点でしょうが、最終的な結末に関しては確かに人を選ぶでしょう。多少ネタバレになりますがその結末というのはどんなものなのかというと、続編を前提にした結末になっています。大まかに書くと、「全ての真相は次のステージで明らかになる!」って具合でブン投げられており、一応主人公たちが何故監禁させられ、何故命を張ったゲームをさせられていたのかなどの理由は判明するものの、そのゲームの最終目的と結末に関しては「次回を待て!」で終わってしまうので、仮に次回作がこのまま出ないなら未完成作品として終わりかねません。事実、「善人シボウデス」の発売から約三年経っていますが、続編の噂は未だとんとありません。
特にこの続編を前提とした結末で割を食っているのはヒロインで、他のキャラクターはほぼ完全にその来歴や目的といった人物像が最終的に明らかとなるものの、このヒロインだけは結局最後までどういう人物なのか、何故連れてこられたのかが不明なまま終わるなどかなり不遇な扱いです。どうもネットで見ていると、このシナリオライターはこういう尻切れトンボ的なシナリオを書くことで有名だそうです。
以上がゲーム内容に関する感想でこっからは適当なことを書いていきますが、このゲームでは主人公を除き8人の主要人物+AI1体が出てきますが、どれも声優陣は豪華で、特に、「クレヨンしんちゃん」の園長先生役をやっていて昨年亡くなられた納谷六朗氏の演技は思うところもあって色々と耳に染みました。
能登麻美子氏や田村ゆかり氏、TARACO氏など出演する声優のほぼ全員が実力者で構成されているのですが、この中でもその演技ぶりに一際驚いたのはヒロインの声を当てている小見川千明氏です。私は小見川氏の出演作だと「それでも町は廻っている」のアニメを以前に見ているのですが、この作品で主人公の嵐山歩鳥を演じる小見川氏の声は一度聴いたらまず忘れられないくらい特徴的なキンキン声で、演じるキャラクターには確かにはまっているからいいけどこんな特徴際立つキンキン声ならほかのキャラクターはまず演じられないだろう、要するに「ワンオフ声優」だろうと当時思っていました。
しかし、この「善人シボウデス」で小見川氏が演じたヒロインの「ファイ」というキャラクターはクールで冷静沈着かつ毒舌な性格で、先ほどの元気だけが取り柄な天然ボケ系の性格した嵐山歩鳥とはまさに正反対なキャラクターであったものの、かなりイメージに近い声で見事な演技ぶりを見せています。特に要所で見せる絶叫系のセリフは聴くだけに切迫感を感じさせられるような見事な声の出し方で、こんな風に演じ分けが出来る器用な声優だったのかと一気に評価を改めさせられました。小見川氏は出演作が少ないだけに、もうちょっといろんなところに声出した方がいいのではと思うくらいに。
ちなみに、声優の演技のうまさはさっき書いたように絶叫するセリフで差が出てくるように思います。絶叫というと大声を出せばいいだけでなくその状況に合わせた切迫感、怒り、恐怖といった感情をまとめて表現しなければならず、なおかつ発音もしづらい声の出し方なのでこの辺で実力の違いが一気に出てくると勝手に考えています。
そんな私からして今まで聞いた絶叫系のセリフが上手い声優を挙げるなら、「キルラキル」というアニメで主人公役を演じた小清水亜美氏です。このアニメ自体、いつどのシーンでも誰もが絶叫しまくるというカオスなアニメでしたが、その中でも群を抜いているというか「この人どっから声出してんの?」と聞いてて不思議になるくらいに演技が上手かったです。もはやゲームのレビューなのか、声優の批評記事なのかわからない記事になってしまったなぁ。
そんな友人にも心配されるほど何のゲームをやっているのかというと、この前の一時帰国時に買ったPSVitaのゲーム「極限脱出ADV 善人シボウデス」です。どうにかこうにか昨夜にエンディングを見ることが出来たので、久々にゲームレビュー記事として書こうと思います。
・極限脱出ADV 善人シボウデス(Wikipedia)
このゲームソフトはニンテンドー3DSとPSVitaの2ハードで発売され、私が遊んだのはPSVita版です。ゲームジャンルはアドベンチャーで、なんで遊んでみようと思ったのかというとなんか無性にテキスト読まされるアドベンチャーゲームをやりたくなって、他にもいろいろ買い込みながら「折角だから」と思いつつ、質のいいアドベンチャーゲームとして評価が高かったこのゲームも買ってみました。結論から述べると期待に反さず、「かまいたちの夜」を始めとする傑作サウンドノベルゲームを作ったチュンソフトなだけあって面白いゲームでした。
先に述べておくと、このゲームは2012年の発売ですが2009年に発売された「極限脱出 9時間9人9の扉」の続編に当たり、前作の登場人物も何人かがそのまま出演しています。前作を遊んでいればシナリオの裏側というか背景も読めてプラスでしょうが、私の様に前作を遊んでいなくてもシナリオが理解できないということは全くなく、マイナスの影響はほとんどないためこのゲームから始めてもほぼ問題はないでしょう。
ストーリーのあらすじを話すと、大学生の主人公がある日目を覚ましたらエレベーターの中に閉じ込められており、同じエレベーターの中にはヒロインに当たる女の子も閉じ込めらていて、二人とも何故ここにいるのか、誰に連れてこられたのか記憶が全くない中でひとまず脱出を試みるという出だしとなっております。
このゲームは通常のアドベンチャーゲームのように選択肢を選んでテキストを読み進める「ノベルパート」と、上記のエレベーターのような閉じ込められた状態から室内を探り、パズルなどを解いて脱出する「脱出パート」という二種類のゲームパートに分かれて構成されています。メインはもちろん「脱出パート」ですが、ノベルパートも選択肢が豊富にあり、そのシナリオは樹形図のように細かく分岐していき、分岐後の各シナリオを読んでいくことで徐々に物語の真相がわかっていくという形式になっています。
脱出ゲームのほか、ストーリーの中ではいわゆる「囚人のジレンマ」に題材を取ったようなゲームも展開され、信頼していた仲間に裏切られることもあれば逆にプレイヤーが裏切ることもあり、なかなかにシナリオは展開が大きいです。また複数のシナリオを跨ぐことで初めてシナリオの進行に必要なパスワードがわかるようにもなっており、ゲーム後半では文字通りに各シナリオの集大成のような展開となり、ただテキストを読んでいるだけでも結構熱くなってきます。
ちなみにゲームの展開というかシナリオによっては一方的に裏切られて主人公が死ぬこともあれば、一緒に探索する仲間が殺されたりする展開も起こり得ます。果てには主人公以外全滅なんていう結構ショッキングな結末もあれば主人公とほか二人だけが監禁場所から脱出できたものの、ほかの人間は置き去りになるという展開もあって、全体的にはハードな結末が多いです。
それでこっから私個人によるレビューとなりますが、まず一番言いたいことはそのテキスト量の膨大さです。私のエンディングまでのプレイ時間は約30時間ですが、これは今まで遊んだアドベンチャーゲームの中では異例なくらいに長いです。調べてみるとほかの人もクリアまで30時間程度かかったという人が多く、その誰もがテキストが膨大だったという感想を述べています。
このテキストの膨大さはもちろん欠点ではなく、長く遊べるという意味ではむしろ長所です。しかしほかのレビュアーによっては複数のシナリオで似たような展開があったりするので、読んでて間延びするなどという評価も出ており、これには私も同感です。具体的に言えば、「そろそろあいつが病気で倒れる頃だな」とシナリオ途中で段々わかってきます。
次に脱出パートについてですがこれは非常によく出来ており、一応難易度ハード(ハードとイージーしかない)で全問クリアしましたが、どれも時間をかければなんとか解けるものの要所要所で頭を使う必要があり、うまいこと脱出に成功したら軽くガッツポーズを取りたくなるような達成感が感じられます。ただ一部のパズルは明らかにヒントが少なすぎて余計な誤解生んだりするのもあり、特にサイコロの目を決まった位置に決まった目で置くというパズルではヒントの方角が曖昧だったため、解釈は正しかったものの配置方向が間違っていてなかなか突破できず苦労させられました。
最後にシナリオの出来ですが、このゲームのシナリオライターはゲームの設定をシナリオに組みこむのが上手いと評価されているそうで、このゲームでもそれが如何なく発揮されています。具体的に述べればプレイヤーがプレイ途中で別のシナリオに「ジャンプ」するという設定を組み込んであり、理由づけといいシナリオの立て方は確かに腕の良さを覚えます。またゲーム終盤の怒涛の展開は息もつけないとはああいうもので、各シナリオにちりばめられていた細かい要素が一気に集まってはじけるような、人によっては多少のくどさを感じられるかもしれませんが真相が超スピードで明らかになるあの展開は大したものだと目を細められました。
しかし、というかこのゲームの最大の賛否両論点でしょうが、最終的な結末に関しては確かに人を選ぶでしょう。多少ネタバレになりますがその結末というのはどんなものなのかというと、続編を前提にした結末になっています。大まかに書くと、「全ての真相は次のステージで明らかになる!」って具合でブン投げられており、一応主人公たちが何故監禁させられ、何故命を張ったゲームをさせられていたのかなどの理由は判明するものの、そのゲームの最終目的と結末に関しては「次回を待て!」で終わってしまうので、仮に次回作がこのまま出ないなら未完成作品として終わりかねません。事実、「善人シボウデス」の発売から約三年経っていますが、続編の噂は未だとんとありません。
特にこの続編を前提とした結末で割を食っているのはヒロインで、他のキャラクターはほぼ完全にその来歴や目的といった人物像が最終的に明らかとなるものの、このヒロインだけは結局最後までどういう人物なのか、何故連れてこられたのかが不明なまま終わるなどかなり不遇な扱いです。どうもネットで見ていると、このシナリオライターはこういう尻切れトンボ的なシナリオを書くことで有名だそうです。
以上がゲーム内容に関する感想でこっからは適当なことを書いていきますが、このゲームでは主人公を除き8人の主要人物+AI1体が出てきますが、どれも声優陣は豪華で、特に、「クレヨンしんちゃん」の園長先生役をやっていて昨年亡くなられた納谷六朗氏の演技は思うところもあって色々と耳に染みました。
能登麻美子氏や田村ゆかり氏、TARACO氏など出演する声優のほぼ全員が実力者で構成されているのですが、この中でもその演技ぶりに一際驚いたのはヒロインの声を当てている小見川千明氏です。私は小見川氏の出演作だと「それでも町は廻っている」のアニメを以前に見ているのですが、この作品で主人公の嵐山歩鳥を演じる小見川氏の声は一度聴いたらまず忘れられないくらい特徴的なキンキン声で、演じるキャラクターには確かにはまっているからいいけどこんな特徴際立つキンキン声ならほかのキャラクターはまず演じられないだろう、要するに「ワンオフ声優」だろうと当時思っていました。
しかし、この「善人シボウデス」で小見川氏が演じたヒロインの「ファイ」というキャラクターはクールで冷静沈着かつ毒舌な性格で、先ほどの元気だけが取り柄な天然ボケ系の性格した嵐山歩鳥とはまさに正反対なキャラクターであったものの、かなりイメージに近い声で見事な演技ぶりを見せています。特に要所で見せる絶叫系のセリフは聴くだけに切迫感を感じさせられるような見事な声の出し方で、こんな風に演じ分けが出来る器用な声優だったのかと一気に評価を改めさせられました。小見川氏は出演作が少ないだけに、もうちょっといろんなところに声出した方がいいのではと思うくらいに。
ちなみに、声優の演技のうまさはさっき書いたように絶叫するセリフで差が出てくるように思います。絶叫というと大声を出せばいいだけでなくその状況に合わせた切迫感、怒り、恐怖といった感情をまとめて表現しなければならず、なおかつ発音もしづらい声の出し方なのでこの辺で実力の違いが一気に出てくると勝手に考えています。
そんな私からして今まで聞いた絶叫系のセリフが上手い声優を挙げるなら、「キルラキル」というアニメで主人公役を演じた小清水亜美氏です。このアニメ自体、いつどのシーンでも誰もが絶叫しまくるというカオスなアニメでしたが、その中でも群を抜いているというか「この人どっから声出してんの?」と聞いてて不思議になるくらいに演技が上手かったです。もはやゲームのレビューなのか、声優の批評記事なのかわからない記事になってしまったなぁ。
2015年3月23日月曜日
リー・クアンユーの逝去について
このところ気温の寒暖差が大きいせいか、それとも昨夜夜中二時までゲームし続けたせいかまた頭痛を起こして調子が悪いので、今日はパッと書ける時事ネタにします。それにしてもあのサイコロの謎解きは酷い……。
あちこちで報道が既に出ていますが、名実ともにシンガポール建国の父といえるリー・クアンユー元首相がこのほど逝去されました。シンガポール自体がまだ若い国ということもありますが、建国からその独自発展の礎を築いた人物なだけにまたも世界の大物が去ったかという印象を覚えます。
私自身はリー・クアンユーについてそれほど詳しくはないのですが、前の会社の上司が彼のあるインタビューを引用して「桁違い」だと高く評価していたことをよく思い出します。そのインタビュー内容というのは米国の9.11直後、この事件について感想を求められた時に答えた以下の一言です。
「テロリストと革命家というのは成功するか否か、紙一重の差に過ぎない」
この場合のテロリストというのは言うまでもなくオサマ・ビンラディンを差し、後者に関してはいくつか候補はいますが無難な所だとキューバのカストロ議長あたりでしょう。
この言わんとする内容はテロリストも革命も既存政権に対して過激な反抗行動を取るという点で一致しており、その後の政権奪取に成功すればそれは革命となるが失敗すればテロリストという犯罪者に終わるという意味で、本質的に両者は同じ存在だという意味です。
この意見に対して肯定論も否定論もいくらでもあるでしょうが、9.11の感想を求められて用意していたかどうかは置いといてパッとこの一言を言えてしまう、しかもビンラディンなどの具体名は出さずにやれるあたりは並外れていると元上司は言っていました。私自身の評価も元上司と同じで、9.11の行為そのものが善か悪かという概念で見るのではなく、国家というシステムという枠で捉えるとすればその視点はやはり国家元首を務めた人物の物だという迫力を感じます。
現在、シンガポールは小国ながら中継貿易と金融で世界のグローバル市場で確固とした地位を築くに至っております。個人的には完全なライバルである香港に思い入れがあるためこっちに頑張ってもらいたいものですが、このようなシンガポールという国を文字通り引っ張っていったリー・クアンユーに対し改めて敬意を払うと共に哀悼の意をこの場にて表明しようと思います。
あちこちで報道が既に出ていますが、名実ともにシンガポール建国の父といえるリー・クアンユー元首相がこのほど逝去されました。シンガポール自体がまだ若い国ということもありますが、建国からその独自発展の礎を築いた人物なだけにまたも世界の大物が去ったかという印象を覚えます。
私自身はリー・クアンユーについてそれほど詳しくはないのですが、前の会社の上司が彼のあるインタビューを引用して「桁違い」だと高く評価していたことをよく思い出します。そのインタビュー内容というのは米国の9.11直後、この事件について感想を求められた時に答えた以下の一言です。
「テロリストと革命家というのは成功するか否か、紙一重の差に過ぎない」
この場合のテロリストというのは言うまでもなくオサマ・ビンラディンを差し、後者に関してはいくつか候補はいますが無難な所だとキューバのカストロ議長あたりでしょう。
この言わんとする内容はテロリストも革命も既存政権に対して過激な反抗行動を取るという点で一致しており、その後の政権奪取に成功すればそれは革命となるが失敗すればテロリストという犯罪者に終わるという意味で、本質的に両者は同じ存在だという意味です。
この意見に対して肯定論も否定論もいくらでもあるでしょうが、9.11の感想を求められて用意していたかどうかは置いといてパッとこの一言を言えてしまう、しかもビンラディンなどの具体名は出さずにやれるあたりは並外れていると元上司は言っていました。私自身の評価も元上司と同じで、9.11の行為そのものが善か悪かという概念で見るのではなく、国家というシステムという枠で捉えるとすればその視点はやはり国家元首を務めた人物の物だという迫力を感じます。
現在、シンガポールは小国ながら中継貿易と金融で世界のグローバル市場で確固とした地位を築くに至っております。個人的には完全なライバルである香港に思い入れがあるためこっちに頑張ってもらいたいものですが、このようなシンガポールという国を文字通り引っ張っていったリー・クアンユーに対し改めて敬意を払うと共に哀悼の意をこの場にて表明しようと思います。
2015年3月22日日曜日
ハゲ市場~広がる世界、広がるかつら
きっかけは友人との会話中に出てきた何気ない一言からでした。
「アートネイチャーのかつらって、どこで作られているんだろ?」
なんでこんなことを口走ったのかというと、この情報が無ければ「あなたのかつらはどこから?」、「私は○○から」という掛け合いが成立しないのではと考えたからです。もっともその時は本気で調べるつもりもなく適当に口走ったつもりでしたが、話を聞いていた友人がちょっとマジになってIR資料とか取り寄せて調べ始め、「どうやらマレーシア辺りで作っているらしいぞ」と報告してきたので、これはニュースになると思い引き継ぐ形で私も調査を始めました。
ただかつら市場に対しては以前から興味があったというか調べてみたら面白そうな業界だとは認識していました。何故かというと男性が金額に糸目を付けずに欲しがって購入するものときたら昔は自動車でしたが近年は消費嗜好が変わりこれからも離れつつある一方、かつらに関しては未だに消費意欲が高いと方々で言われており、自分も会社作ろうとした時にこの方面で何か入り込めないかと思案していました。
そのかつらですが、全くこの業界に関与していないのでほとんど知識はありませんが見るからに手作業で作ってそうな代物で、労働集約型産業の産物にしか見えない代物です。となると日本国内で生産すれば人件費が高くついて商売にならないだろうから、恐らく人件費の安い海外工場で作っているのでは。ならば日本で流通しているかつらはどこで作られ、どういう流通を経て消費者の手元へ届けられるのかがどんどんと気になり、また海外市場で日本のかつらは売られているのかも同時に知りたくなって折角だから気合入れて調査しようという結論へ至りました。
調査に当たっては日本を代表するかつらメーカー二社のアートネイチャーとアデランスを調査対象に選び、この二社の動向から世界市場を分析することにします。
<両社の会社規模>
調べるに当たってまず、調査対象の二社の企業規模をまとめました。結果は以下の通りです。
業界関係者の方には大変申し訳ないのですが、今回調査するまでこの二社は同じくらいの規模ではないかと勝手に考えていました。実際にはアートネイチャーに対してアデランスは資本金額は約3倍、従業員数も約2倍と大きく上回っており、業界大手同士とはいえ規模の違いがはっきり出ています。
<両社の直近の売上げ>
会社規模でアデランスの方が大きいということはわかったので、それでは売上げはどの程度差があるのかについても調べました。アートネイチャーの会計期間は一般的な4月開始3月末締めですがアデランスは何故か3月開始2月末締めというちょっと変わった期間設定のため厳密な意味での同時期の営業成績というわけではありませんが、直近1年間のそれぞれの売上げと純利益を下記にまとめました。
見ての通りに会社規模が大きい分、売上高もアデランスがアートネイチャーを上回っております。ただ売上高に対する純利益の割合に当たる利益率ではアートネイチャーが7.8%とアデランスの6.3%を1.5ポイント上回っており、単純に売上高だけでは見えない両者の質の違いも出ております。
それにしても両社とも売上げ、純利益ともに二桁超の増収増益で、一見して「やっぱ儲かってるんだなぁ」という妙な頼もしさを覚えます。今時30%超も当たり前のように増益する業界もあるのだと惚れ惚れする成績ぶりです。
上記データは直近会計年度1年間の営業成績で、今度は今期第1~3四半期(Q1~Q3)の営業成績を見比べてみましょう。
こちらのデータははっきりと両社に差が出ており、アートネイチャーの売上げは微増に留まり純利益は-32.2%と大幅に減少している一方、アデランスは依然と二桁超の増収増益を達成しており、利益率でもアートネイチャーを逆転しています。実はこの両社の数字にはからくりがあり、口述しますがアートネイチャーはカンボジア工場の新規投資で資金を使っており、アデランスに関してはアベノミクスの追い風というか円安の恩恵を多大に受けている節があります。
それにしてもこういう記事を書いていると毎日財務諸表を見ていた経済記者時代を思い出すなぁ。よくこういう表も作ってたもんだから我ながら手慣れたもんだし。
<海外展開>
いよいよ本番の話です。両者の海外展開に関しては姉妹サイトの「企業居点」の方で早速昨日、保有する海外法人をまとめてアップしたので以下をご参照ください。
・アートネイチャーの海外拠点
・アデランスの海外拠点(どちらも「Comlocation 企業居点」より)
結果を述べるとアートネイチャーが海外6拠点に対しアデランスは21拠点と大きく引き離しており、またアートネイチャーはアジア地域でしか展開していないのに対してアデランスは欧州、北米でも手広く販売網を広げているため、海外展開に関しては間違いなくアデランスが大きく先を走っている状態です。この点はアートネイチャーも自覚している節があり、今季上半期決算のプレゼン資料を見ると海外展開の注力を今後の課題と目標に掲げています。
では海外の生産工場はどこにあるのか。これについては別にまとめましたので以下をご覧ください
・アートネイチャーの海外工場:フィリピン、マレーシア、カンボジア(現在建設中?)
・アデランスの海外工場:タイ、フィリピン、ラオス
自分の予想通りというか、如何にも人件費が安そうな国にそれぞれ立地しております。被っているところはフィリピンであとは恐らく相手先を懸念してかそれぞれ異なっていますが、何気にラオスの日系現地法人はかなりレアなので見つけた時は「ワォ」とアメリカ人みたいに驚いた振りしました。
アートネイチャーのカンボジア工場は今年に設立して恐らく今頃はまだ工場建設の最中であると思われます。Q3の決算報告書では今期の減益理由はこの工場の建設投資にあると説明しており、前年からの大幅な目減りの仕方を見ると恐らくその理由が事実で間違いないでしょう。
<海外販売>
国内と海外の販売比率に関してはアートネイチャー側は資料で公開していないため、アデランス側の公開資料にあるデータを紹介します。
同社の今期Q1~Q3の売上げは560.5億円(前年同期比15.9%増)に対し国内売上げは310.4億円(同5.9%増)、海外売上げは250.1億円(同31.3%増)で、国内外の販売比率は「国内:海外=55.4:44.6」となります。
このデータは私個人としてはなかなか驚かされるデータでした。アデランスの売上げの半分近くは海外から出ており、しかも同社はヨーロッパ各地に販社を持っているだけあって同地域での売り上げをかなり大きく出しております。また北米でも2012年に米国かつらメーカー大手のヘアクラブという会社を買収して市場展開を一気に進めようという意欲も感じるなど、総じて海外展開に積極的な企業と言えそうです。
また海外販売が大きいということは円安による為替差益も得やすいということで、実際に決算資料をみるとQ1~Q3における為替差益は32億円だと発表しており、陰に隠れてアベノミクスの恩恵を多大に受けております。
その逆にといってはなんですが、アートネイチャーは円安が逆風となっている節があります。同社の上半期決算資料を見ると減益理由について「人件費が11.2%増加した」と書かれてあり、メイン工場が海外にあることを考えると円安による海外現地社員の給与が増大したのではないかと見られます。アデランスも海外工場で生産をしていますが、同社は生産と同時に海外での販売も行っているだけに、ここで円安による影響が両社で別れたとのではないかと思います。
<その他雑考>
このほかネタになるデータはないかとそれぞれの決算資料を見ましたが、両社ともに決算資料で「被る方のかつら」よりも取り付けて使う「ウィッグ」の販売強化を強く打ち出しております。恐らく「被る方のかつら」は完全オーダーメイド品のため単価が高いため拡販が難しい一方、ウィッグはオシャレファッションとして認知が広がってきはじめ単価も安いことから拡販しやすいためではないかと考えられます。実際に両社の中国法人のホームページでは女性用ウィッグをメインに打ち出しており、海外市場はやっぱりこれメインで行くつもりでしょう。
では被る方というかオーダーメードかつらはどうなんだろうと見てみたところ、なんでもアートネイチャーの消費者の男女比は6:4に対してアデランスは4:6だと発表しており、両社で男女比が対照的な感じで分かれて面白かったです。更にアートネイチャーの資料によるとオーダーメイドかつらの売上げのうち、新規とリピーターの割合は「22.6:77.4」と、圧倒的にリピーターの割合が高いことがわかり、営業社員も末永く利用してもらうようサービスの向上に努めるというような文言も書かれてありました。
元々かつらは単価が高く、通の間では「頭にベンツを載せている」というおっさん臭い例えもされており、実際に高級車を売るような販売のされ方がされているのかもしれません。
更にアートネイチャーではオーダーメイドかつらの作り方もホームページで紹介されており、多分そうじゃかと思っていましたがやっぱり3Dスキャナみたいな装置で頭の型枠データを取り、その後で職人が毛髪を一本一本埋め込んでいくという作り方がされているようです。埋め込む毛髪は天然素材というか多分人間から取った髪のほか、原価圧縮のため人口毛髪も使われており、この配合比をどうするかというのが技術的な分かれ目となるそうです。
勝手な予想ですが今後技術が発達すれば恐らく、3Dスキャナで採ったデータから3Dプリンタで型枠が作られ、そのまま毛髪も自動的に生成されてドローンで購入者の所(頭の上)まで運ばれる時代が来ると思います。
このほかほんとどうでもいいことを書くと、やっぱり会社としてはアデランスの方がしっかりしてそうという印象を覚えます。というのもアートネイチャーの決算資料は一部見辛い所があり、純利益よりも営業利益の解説に重きが置かれていて個人的に「なんやねん」とか思いました。あとアートネイチャーのホームページは英語表記切り替えボタンもないし、全体的にアデランスの方が大人な会社の印象を覚えます。
そのアデランスですが、ホームページ上では会社の経営スローガンのつもりなのでしょうけど「クレド(信条)」というページがあり、そこに書かれている言葉には「ありがとう・・・あふれる感謝を形にしよう」という、ちょっと一読して「んん?」となる言葉が書かれてます。そもそも、クレドって何語やねん。
こんな感じでちょっと「んん?」ってなるアデランスのホームページですが、「CSR活動」のページでは昨年12月、病院に入院していて自宅に帰れない子供たちに対してサンタやトナカイに扮した職員が病院を訪問し、プレゼントを渡すという取り組みを行ったことが報告されています。この活動はオーガニック的なアニメ風にいうなら「イエスだね!」と賞賛したくなる活動で、こちらはアデランスを心底見直しました。
おまけ
中学、高校時代、薄毛に悩む友人によく、キャンディーズの「春一番」の替え歌で、「もうすぐは~げますね~、ちょっとリアップしませんか♪」とみんなで歌っていました。今思うと酷なことをしたと思います。
おまけ2
この記事を書くため両社のホームページ何度も言ってたから、ネットのバナー広告でやたらとかつらを薦められるようになりました。別に全く必要としてないし。
「アートネイチャーのかつらって、どこで作られているんだろ?」
なんでこんなことを口走ったのかというと、この情報が無ければ「あなたのかつらはどこから?」、「私は○○から」という掛け合いが成立しないのではと考えたからです。もっともその時は本気で調べるつもりもなく適当に口走ったつもりでしたが、話を聞いていた友人がちょっとマジになってIR資料とか取り寄せて調べ始め、「どうやらマレーシア辺りで作っているらしいぞ」と報告してきたので、これはニュースになると思い引き継ぐ形で私も調査を始めました。
ただかつら市場に対しては以前から興味があったというか調べてみたら面白そうな業界だとは認識していました。何故かというと男性が金額に糸目を付けずに欲しがって購入するものときたら昔は自動車でしたが近年は消費嗜好が変わりこれからも離れつつある一方、かつらに関しては未だに消費意欲が高いと方々で言われており、自分も会社作ろうとした時にこの方面で何か入り込めないかと思案していました。
そのかつらですが、全くこの業界に関与していないのでほとんど知識はありませんが見るからに手作業で作ってそうな代物で、労働集約型産業の産物にしか見えない代物です。となると日本国内で生産すれば人件費が高くついて商売にならないだろうから、恐らく人件費の安い海外工場で作っているのでは。ならば日本で流通しているかつらはどこで作られ、どういう流通を経て消費者の手元へ届けられるのかがどんどんと気になり、また海外市場で日本のかつらは売られているのかも同時に知りたくなって折角だから気合入れて調査しようという結論へ至りました。
調査に当たっては日本を代表するかつらメーカー二社のアートネイチャーとアデランスを調査対象に選び、この二社の動向から世界市場を分析することにします。
<両社の会社規模>
調べるに当たってまず、調査対象の二社の企業規模をまとめました。結果は以下の通りです。
会社名
|
資本金額
|
従業員数
|
アートネイチャー
|
36億6,328万円
|
2,909人
|
アデランス
|
129億4,400万円
|
5,305人
|
業界関係者の方には大変申し訳ないのですが、今回調査するまでこの二社は同じくらいの規模ではないかと勝手に考えていました。実際にはアートネイチャーに対してアデランスは資本金額は約3倍、従業員数も約2倍と大きく上回っており、業界大手同士とはいえ規模の違いがはっきり出ています。
<両社の直近の売上げ>
会社規模でアデランスの方が大きいということはわかったので、それでは売上げはどの程度差があるのかについても調べました。アートネイチャーの会計期間は一般的な4月開始3月末締めですがアデランスは何故か3月開始2月末締めというちょっと変わった期間設定のため厳密な意味での同時期の営業成績というわけではありませんが、直近1年間のそれぞれの売上げと純利益を下記にまとめました。
会社名
|
期間
|
売上高
|
純利益
|
利益率
|
||
アートネイチャー
|
2013年4月~2014年3月
|
400.2億円
|
14.0%増
|
31.3億円
|
35.5%増
|
7.8%
|
アデランス
|
2013年3月~2014年2月
|
677.6億円
|
32.6%増
|
42.8億円
|
29.7%増
|
6.3%
|
※パーセンテージは前期比との比較
|
見ての通りに会社規模が大きい分、売上高もアデランスがアートネイチャーを上回っております。ただ売上高に対する純利益の割合に当たる利益率ではアートネイチャーが7.8%とアデランスの6.3%を1.5ポイント上回っており、単純に売上高だけでは見えない両者の質の違いも出ております。
それにしても両社とも売上げ、純利益ともに二桁超の増収増益で、一見して「やっぱ儲かってるんだなぁ」という妙な頼もしさを覚えます。今時30%超も当たり前のように増益する業界もあるのだと惚れ惚れする成績ぶりです。
上記データは直近会計年度1年間の営業成績で、今度は今期第1~3四半期(Q1~Q3)の営業成績を見比べてみましょう。
会社名
|
期間
|
売上高
|
純利益
|
利益率
|
||
アートネイチャー
|
2013年4月~2014年12月
|
298.9億円
|
3.5%増
|
16.2億円
|
32.2%減
|
5.4%
|
アデランス
|
2014年3月~2014年11月
|
560.5億円
|
15.9%増
|
41.2億円
|
39.2%増
|
7.4%
|
※パーセンテージは前年同期比との比較
|
こちらのデータははっきりと両社に差が出ており、アートネイチャーの売上げは微増に留まり純利益は-32.2%と大幅に減少している一方、アデランスは依然と二桁超の増収増益を達成しており、利益率でもアートネイチャーを逆転しています。実はこの両社の数字にはからくりがあり、口述しますがアートネイチャーはカンボジア工場の新規投資で資金を使っており、アデランスに関してはアベノミクスの追い風というか円安の恩恵を多大に受けている節があります。
それにしてもこういう記事を書いていると毎日財務諸表を見ていた経済記者時代を思い出すなぁ。よくこういう表も作ってたもんだから我ながら手慣れたもんだし。
<海外展開>
いよいよ本番の話です。両者の海外展開に関しては姉妹サイトの「企業居点」の方で早速昨日、保有する海外法人をまとめてアップしたので以下をご参照ください。
・アートネイチャーの海外拠点
・アデランスの海外拠点(どちらも「Comlocation 企業居点」より)
結果を述べるとアートネイチャーが海外6拠点に対しアデランスは21拠点と大きく引き離しており、またアートネイチャーはアジア地域でしか展開していないのに対してアデランスは欧州、北米でも手広く販売網を広げているため、海外展開に関しては間違いなくアデランスが大きく先を走っている状態です。この点はアートネイチャーも自覚している節があり、今季上半期決算のプレゼン資料を見ると海外展開の注力を今後の課題と目標に掲げています。
では海外の生産工場はどこにあるのか。これについては別にまとめましたので以下をご覧ください
・アートネイチャーの海外工場:フィリピン、マレーシア、カンボジア(現在建設中?)
・アデランスの海外工場:タイ、フィリピン、ラオス
自分の予想通りというか、如何にも人件費が安そうな国にそれぞれ立地しております。被っているところはフィリピンであとは恐らく相手先を懸念してかそれぞれ異なっていますが、何気にラオスの日系現地法人はかなりレアなので見つけた時は「ワォ」とアメリカ人みたいに驚いた振りしました。
アートネイチャーのカンボジア工場は今年に設立して恐らく今頃はまだ工場建設の最中であると思われます。Q3の決算報告書では今期の減益理由はこの工場の建設投資にあると説明しており、前年からの大幅な目減りの仕方を見ると恐らくその理由が事実で間違いないでしょう。
<海外販売>
国内と海外の販売比率に関してはアートネイチャー側は資料で公開していないため、アデランス側の公開資料にあるデータを紹介します。
同社の今期Q1~Q3の売上げは560.5億円(前年同期比15.9%増)に対し国内売上げは310.4億円(同5.9%増)、海外売上げは250.1億円(同31.3%増)で、国内外の販売比率は「国内:海外=55.4:44.6」となります。
このデータは私個人としてはなかなか驚かされるデータでした。アデランスの売上げの半分近くは海外から出ており、しかも同社はヨーロッパ各地に販社を持っているだけあって同地域での売り上げをかなり大きく出しております。また北米でも2012年に米国かつらメーカー大手のヘアクラブという会社を買収して市場展開を一気に進めようという意欲も感じるなど、総じて海外展開に積極的な企業と言えそうです。
また海外販売が大きいということは円安による為替差益も得やすいということで、実際に決算資料をみるとQ1~Q3における為替差益は32億円だと発表しており、陰に隠れてアベノミクスの恩恵を多大に受けております。
その逆にといってはなんですが、アートネイチャーは円安が逆風となっている節があります。同社の上半期決算資料を見ると減益理由について「人件費が11.2%増加した」と書かれてあり、メイン工場が海外にあることを考えると円安による海外現地社員の給与が増大したのではないかと見られます。アデランスも海外工場で生産をしていますが、同社は生産と同時に海外での販売も行っているだけに、ここで円安による影響が両社で別れたとのではないかと思います。
<その他雑考>
このほかネタになるデータはないかとそれぞれの決算資料を見ましたが、両社ともに決算資料で「被る方のかつら」よりも取り付けて使う「ウィッグ」の販売強化を強く打ち出しております。恐らく「被る方のかつら」は完全オーダーメイド品のため単価が高いため拡販が難しい一方、ウィッグはオシャレファッションとして認知が広がってきはじめ単価も安いことから拡販しやすいためではないかと考えられます。実際に両社の中国法人のホームページでは女性用ウィッグをメインに打ち出しており、海外市場はやっぱりこれメインで行くつもりでしょう。
では被る方というかオーダーメードかつらはどうなんだろうと見てみたところ、なんでもアートネイチャーの消費者の男女比は6:4に対してアデランスは4:6だと発表しており、両社で男女比が対照的な感じで分かれて面白かったです。更にアートネイチャーの資料によるとオーダーメイドかつらの売上げのうち、新規とリピーターの割合は「22.6:77.4」と、圧倒的にリピーターの割合が高いことがわかり、営業社員も末永く利用してもらうようサービスの向上に努めるというような文言も書かれてありました。
元々かつらは単価が高く、通の間では「頭にベンツを載せている」というおっさん臭い例えもされており、実際に高級車を売るような販売のされ方がされているのかもしれません。
更にアートネイチャーではオーダーメイドかつらの作り方もホームページで紹介されており、多分そうじゃかと思っていましたがやっぱり3Dスキャナみたいな装置で頭の型枠データを取り、その後で職人が毛髪を一本一本埋め込んでいくという作り方がされているようです。埋め込む毛髪は天然素材というか多分人間から取った髪のほか、原価圧縮のため人口毛髪も使われており、この配合比をどうするかというのが技術的な分かれ目となるそうです。
勝手な予想ですが今後技術が発達すれば恐らく、3Dスキャナで採ったデータから3Dプリンタで型枠が作られ、そのまま毛髪も自動的に生成されてドローンで購入者の所(頭の上)まで運ばれる時代が来ると思います。
このほかほんとどうでもいいことを書くと、やっぱり会社としてはアデランスの方がしっかりしてそうという印象を覚えます。というのもアートネイチャーの決算資料は一部見辛い所があり、純利益よりも営業利益の解説に重きが置かれていて個人的に「なんやねん」とか思いました。あとアートネイチャーのホームページは英語表記切り替えボタンもないし、全体的にアデランスの方が大人な会社の印象を覚えます。
そのアデランスですが、ホームページ上では会社の経営スローガンのつもりなのでしょうけど「クレド(信条)」というページがあり、そこに書かれている言葉には「ありがとう・・・あふれる感謝を形にしよう」という、ちょっと一読して「んん?」となる言葉が書かれてます。そもそも、クレドって何語やねん。
こんな感じでちょっと「んん?」ってなるアデランスのホームページですが、「CSR活動」のページでは昨年12月、病院に入院していて自宅に帰れない子供たちに対してサンタやトナカイに扮した職員が病院を訪問し、プレゼントを渡すという取り組みを行ったことが報告されています。この活動はオーガニック的なアニメ風にいうなら「イエスだね!」と賞賛したくなる活動で、こちらはアデランスを心底見直しました。
おまけ
中学、高校時代、薄毛に悩む友人によく、キャンディーズの「春一番」の替え歌で、「もうすぐは~げますね~、ちょっとリアップしませんか♪」とみんなで歌っていました。今思うと酷なことをしたと思います。
おまけ2
この記事を書くため両社のホームページ何度も言ってたから、ネットのバナー広告でやたらとかつらを薦められるようになりました。別に全く必要としてないし。
2015年3月20日金曜日
中国での連日の汚職事件摘発
あまり長く書くネタではないのですパッと書きますが、中国ではこのところ汚職事件での政府関係者、財界人の逮捕が相次いでる、というかヤバいくらいに摘発されています。友人なんかは面白がって摘発のニュースが流れる度にそのニュース記事を私に送ってきて、「明日は誰が捕まるかな?」なんてメッセージを書いてくるのですが、あながち冗談ではなく日めくりカレンダーの様に毎日誰かが摘発されるニュースが出ています。こういってはなんだけど天気予報みたいにテレビニュースで、「それでは、今日の逮捕者ニュースの時間です」という感じで毎日報じるコーナーがあってもいい気がします。
捕まる人間も市役所とかの小物程度ではなく、見ていて驚くような大物も相次いでいます。先日私も記事にした第一汽車の会長の逮捕なんて日本で言えば日産の会長が逮捕されるような内容ですし、また上海の副秘書長、昆明の副省長(今日捕まった)なんて、こちらも日本にたとえれば都道府県の副知事が逮捕されるようなレベルです。
そういう意味では習近平総書記が掲げている「反腐敗闘争」は決して看板なだけではなく、本気で中国国内の汚職を可能な限り叩き通そうとする気迫に近い意気込みを感じます。こう言ってはなんですがこの施政方針は市民からも支持を得られますし、また数少ないであろう真面目な役人にとっても頑張ろうというやる気を湧き起こさせ、中国全体にとってもいい影響を生み出すものだと思えます。
ただうちの同僚曰く、「中国の役人は99%が悪人だからまだまだ叩き足りない」とのことで、反腐敗闘争の終結はもっとずっと先だとの見方を示しています。あとこれは汚職といえるかどうか微妙ですが、以前に中国のサッカーリーグで数人の審判が賄賂をもらっていたのがばれて捕まったことがありましたが、その際に捕まった審判員の写真が並んで新聞一面に掲載されて、「なにこれ、新手のかつらメーカーの広告?」という不思議な感想を抱かせる紙面がありました。そんなくだらないネタを次回の記事への引きにしつつ今日の記事を書きあげる次第です。
捕まる人間も市役所とかの小物程度ではなく、見ていて驚くような大物も相次いでいます。先日私も記事にした第一汽車の会長の逮捕なんて日本で言えば日産の会長が逮捕されるような内容ですし、また上海の副秘書長、昆明の副省長(今日捕まった)なんて、こちらも日本にたとえれば都道府県の副知事が逮捕されるようなレベルです。
そういう意味では習近平総書記が掲げている「反腐敗闘争」は決して看板なだけではなく、本気で中国国内の汚職を可能な限り叩き通そうとする気迫に近い意気込みを感じます。こう言ってはなんですがこの施政方針は市民からも支持を得られますし、また数少ないであろう真面目な役人にとっても頑張ろうというやる気を湧き起こさせ、中国全体にとってもいい影響を生み出すものだと思えます。
ただうちの同僚曰く、「中国の役人は99%が悪人だからまだまだ叩き足りない」とのことで、反腐敗闘争の終結はもっとずっと先だとの見方を示しています。あとこれは汚職といえるかどうか微妙ですが、以前に中国のサッカーリーグで数人の審判が賄賂をもらっていたのがばれて捕まったことがありましたが、その際に捕まった審判員の写真が並んで新聞一面に掲載されて、「なにこれ、新手のかつらメーカーの広告?」という不思議な感想を抱かせる紙面がありました。そんなくだらないネタを次回の記事への引きにしつつ今日の記事を書きあげる次第です。
2015年3月18日水曜日
日本における三種類の二次大戦
先日の日本帰国中に読んだ雑誌で、佐藤優氏の書いた評論が載っていたので読んでみました。その評論というか連載記事では北方領土交渉について書かれてあり、その回では交渉の前提にあたる北方領土の歴史や条約の経緯について解説されていたのですが、その中で日本にとって二次大戦は三種類の戦争があったという指摘が興味深かったです。
三種類のうちの一つは、日本と米英、オランダ、オーストラリアとの太平洋を跨いだ戦争で、これは佐藤氏の言葉を借りるなら「典型的な帝国主義戦争の性質を帯びていた」とのことです。その上で両者の言い分なり立場は五分と五分の関係でどちらかが正しく、どちらかが間違っているという要素はないと言い切っています。
二種類目は日本と、中国、フィリピン、インドネシアなどアジアを舞台にした戦争で、これに関してはアジア諸国から日本の行動が侵略と受け止められたとして「侵略的性質を帯びていた」とこちらも言い切り、日本は真摯に反省するべき戦争であったと述べています。
そして最後、案外これは出てくる人は少ないのではないかと思いますが日本とソ連(ロシア)の戦争を指し、これは日本が侵略された戦争だったとして不当に日本の領土がソ連に掠め取られたと述べています。
この佐藤氏の主張に対して私の感想を述べると、漠然と上記のような価値観は持っていたもののこれまで戦争相手国によって戦争の性質が異なるとははっきりとした定義分けは出来ておらず、非常に新鮮で見事な視点だと感心しました。その上で日本は侵略国でもあり被侵略国でもあり、また太平洋の覇権を競おうと戦争した国だったのかと、その認識を改めさせられました。
正直に述べれば私はあの戦争における日本は侵略国家的な要素が強く、米国との戦争に関しては追い詰められたというより何も考えず、なんとなく仲が悪くなっていったから戦争に発展していったという風に考えてました。ただ佐藤氏の言い分を聞いて、太平洋戦争は覇権を競う戦争、要するに主義主張の正当性はどちらも全くない戦争であったという説明を聞いて深く納得でき、やはり大陸での戦争と定義を一緒にすべきではなくこのようにはっきりと分けるべきだと重ねて思います。
改めて考えてみると、右翼と呼ばれる集団は米英との戦争を取って日本は侵略された(追い詰められた)と主張し、左翼と呼ばれる集団は大陸での戦争を取って日本は侵略したと主張し、同じ二次大戦でもそれぞれの都合のいい部分を切り取ってあの戦争を色んな材料に使ってきた節があります。しかし本来なら太平洋、そして大陸での戦争は「日本の二次大戦」として一つにくくるべきではないほど要素が異なり、かえってこうした各勢力による「いいとこどり」が続いたせいできちんとした歴史の分析が出来てこなかったのかもとも思えてきます。
その上で最後に述べるとするならば、期間は短かったとはいえソ連との戦争についても改めて再考するべきかもしれません。佐藤氏の言う通りにあのソ連の侵攻は紛れもない条約違反で、日本側から侵攻だと言っても特に門は立たないように思えます。私がこの歴史を再考すべきだというのは何もロシアへの憎悪を煽ろうとかそういうものではなく、どうすればこの何するかわからない猛獣のような国と付き合っていけるのか、そうした問題点を解くヒントが得られる要素があるかもしれないと考えるからです。
よくこのブログでも主張していますが、中国も何するかよくわからないけど、ロシアはもっと何するかわからず潜在的な危険度で言えば中国の比ではありません。少なくとも中国はその辺をよく認識しており、いつかは米国を下して世界の覇権を握ろうと考えてはいますがロシアとは覇権がどうのこうの以前になるべく関わりたくない、非常に危険な相手だけど仮想敵国にはしたくないという態度をはっきりとみせています。まぁその気持ちはよくわかりますが……。
おまけ
この佐藤氏の評論ですが、何に載っていたのかっていうと「ベストカー」というカー雑誌です。なんでこんなのにこんな評論載っているんだろうかと少し不思議です。
三種類のうちの一つは、日本と米英、オランダ、オーストラリアとの太平洋を跨いだ戦争で、これは佐藤氏の言葉を借りるなら「典型的な帝国主義戦争の性質を帯びていた」とのことです。その上で両者の言い分なり立場は五分と五分の関係でどちらかが正しく、どちらかが間違っているという要素はないと言い切っています。
二種類目は日本と、中国、フィリピン、インドネシアなどアジアを舞台にした戦争で、これに関してはアジア諸国から日本の行動が侵略と受け止められたとして「侵略的性質を帯びていた」とこちらも言い切り、日本は真摯に反省するべき戦争であったと述べています。
そして最後、案外これは出てくる人は少ないのではないかと思いますが日本とソ連(ロシア)の戦争を指し、これは日本が侵略された戦争だったとして不当に日本の領土がソ連に掠め取られたと述べています。
この佐藤氏の主張に対して私の感想を述べると、漠然と上記のような価値観は持っていたもののこれまで戦争相手国によって戦争の性質が異なるとははっきりとした定義分けは出来ておらず、非常に新鮮で見事な視点だと感心しました。その上で日本は侵略国でもあり被侵略国でもあり、また太平洋の覇権を競おうと戦争した国だったのかと、その認識を改めさせられました。
正直に述べれば私はあの戦争における日本は侵略国家的な要素が強く、米国との戦争に関しては追い詰められたというより何も考えず、なんとなく仲が悪くなっていったから戦争に発展していったという風に考えてました。ただ佐藤氏の言い分を聞いて、太平洋戦争は覇権を競う戦争、要するに主義主張の正当性はどちらも全くない戦争であったという説明を聞いて深く納得でき、やはり大陸での戦争と定義を一緒にすべきではなくこのようにはっきりと分けるべきだと重ねて思います。
改めて考えてみると、右翼と呼ばれる集団は米英との戦争を取って日本は侵略された(追い詰められた)と主張し、左翼と呼ばれる集団は大陸での戦争を取って日本は侵略したと主張し、同じ二次大戦でもそれぞれの都合のいい部分を切り取ってあの戦争を色んな材料に使ってきた節があります。しかし本来なら太平洋、そして大陸での戦争は「日本の二次大戦」として一つにくくるべきではないほど要素が異なり、かえってこうした各勢力による「いいとこどり」が続いたせいできちんとした歴史の分析が出来てこなかったのかもとも思えてきます。
その上で最後に述べるとするならば、期間は短かったとはいえソ連との戦争についても改めて再考するべきかもしれません。佐藤氏の言う通りにあのソ連の侵攻は紛れもない条約違反で、日本側から侵攻だと言っても特に門は立たないように思えます。私がこの歴史を再考すべきだというのは何もロシアへの憎悪を煽ろうとかそういうものではなく、どうすればこの何するかわからない猛獣のような国と付き合っていけるのか、そうした問題点を解くヒントが得られる要素があるかもしれないと考えるからです。
よくこのブログでも主張していますが、中国も何するかよくわからないけど、ロシアはもっと何するかわからず潜在的な危険度で言えば中国の比ではありません。少なくとも中国はその辺をよく認識しており、いつかは米国を下して世界の覇権を握ろうと考えてはいますがロシアとは覇権がどうのこうの以前になるべく関わりたくない、非常に危険な相手だけど仮想敵国にはしたくないという態度をはっきりとみせています。まぁその気持ちはよくわかりますが……。
おまけ
この佐藤氏の評論ですが、何に載っていたのかっていうと「ベストカー」というカー雑誌です。なんでこんなのにこんな評論載っているんだろうかと少し不思議です。
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