この件について中国側の原材料に関する報道の真偽についてはもう少し待ってから判断すべきと思いますが、個人的には日本側の反応の方が興味深いとみています。ポイントは二点あり、一点目は「何故今回だけ大きく反応するのか」という点です。
というのも中国ではこれ以前、秋口くらいから外国から入ってきた冷凍魚などの一部貨物からもウイルスが何度も検出されており、食品や貨物からのウイルス検出は今回が初めてじゃありません。やはり「国産アイスクリーム」という点で中国を叩くに好材料であったことが大きいです。
二点目は、「っていうか中国はアイスにもPCR検査しているのかよ?」といった反応です。感がいい人ならわかるでしょうが、人から人への感染ではなく物から人へのモノヒト感染に対する意識がやはり日本は薄いことを示す証左であるように感じます。
現在日本の感染対策としてはともかく対人接触を避ける、いわゆる三密対策が主となっています。
ちなみに以前ネットで「三密では何を意味しているのかわかりにくい」といって、「集まらない、近づかない、密閉空間にいない」の三つをとって「集・近・閉(しゅうきんぺい)」を流行らせるべきと言った人がいましたが、確かに私もこっちのが分かりやすい気がします。
話を戻すと現実にはコロナウイルスはヒトヒト感染もさることなら、物を媒介としたモノヒト感染の割合もかなり高いように感じます。そもそも最初に大規模感染が確認された武漢市においても海鮮市場が起点とされており、その場所がらを考えると、冷凍された海鮮物を経由してきた可能性も考えられます。また上海で去年秋に確認された感染者も空港の物流倉庫勤務者の方々で、これも冷凍されたような貨物に付着していたのではないかと言われています。
少なくとも感染者は夏に一時減少し、冬に再び増大していったことを考えると、コロナウイルスは低温で乾燥した状態ほど長持ちし、活発化しやすい傾向があることはほぼ間違いありません。そうした特徴を考慮する限り、貨物、特に冷凍物などは格好の媒介物となりえ、こうした貨物経由でのモノヒト感染に対する注意も求められてきます。
なお個人的な見解を述べると、緊急事態宣言が出されながらも東京では依然と満員電車が見られるとされながら、そうした満員電車でのクラスター発生は未だ報じられているのを見たことがありません。報道が隠蔽されている可能性もありますが、あの密閉空間でのすし詰めと、東京での感染者数の増加ぶりを考えるとどうして満員電車クラスターが発生しないのかがやや不思議で、実はヒトヒト感染は実はあんま移り辛く、モノヒト感染のほうが経路としては大きいのではと勝手に睨んでいます。
話を戻すと、こうしたモノヒト感染について中国側はある程度警戒しており、エレベーターなの設備は商業ビルなどでは1時間ごとのアルコール殺菌が今も続けられています。また今回のアイスクリームに対するPCR検査も、日本側で驚きとともに報じられるということは、日本ではあまり行われていないのだなと類推します。
日本でも殺菌措置などはある程度行われているとは思いますが、それでもやはりモノヒト感染に対する意識が極端に薄いのではと去年から考えていました。もちろんヒトヒト感染対策の徹底はモノヒト感染対策も兼ねることになりはするものの、もう少し人が触れやすいところとかへの警戒があってもいい気がします。それ以上に、前述の通りコロナが長く付着し続けやすい冷凍物については、特に感染が爆発的に流行している欧米からの貨物に特別な警戒がもっと必要でしょう。
改めてモノヒト感染で検索したところ、あまり日本語では情報がヒットしません。冒頭には嫌なページが出てくるし。もしかしたら別の用語があるのかもしれませんが、少なくとも私はモノヒト感染に相当する用語を見たことがありません。
この点について日本にいる友人に話したところ、「恐らくその感染ルートを報じたら日本の物流とかでパニックが起こる」と言われ、なんとなくそういう背景だからメディアとか政府も黙っているのではとやや疑っています。はっきり書くと、私の目からして日本のモノヒト感染の無警戒ぶりは異常です。