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2021年6月21日月曜日

元寇一発目


 というわけでまた自分の記事紹介ですが、朝自宅出る際に確認してからこれまでずっとJBpressのサイト内アクセスランキングでずっとトップですので、終日1位はもらったも同然でしょう。過去2回の記事は外してたのでほっと一息ですε-(´∀`*)ホッ
 もっとも今日は新着記事が少なかったという幸運に恵まれたということが大きいでしょう。宿敵ムンジェインも出張ってこなかったし。

 記事解説に移ると、例によって夏の歴史特集をどうするかと4月ごろから真剣に考え始め、これまでの経験から最低でも教科書で基礎知識を覚える範囲の内容じゃないとアクセス稼げないと思え、尚且つ中国が絡んでくる歴史ネタだと自分の強みが発揮できるのではという風に絞っていったところ、ちょうど去年にゲームの「ゴーストオブ対馬」がヒットして、知名度が上がりつつある元寇がいいのではと思いつきました。割とこの辺の発想は我ながら見事だったと思います。

 そもそもこの元寇、記事にも書いていますが近年になって新発見が相次いでおり、実際に乗り入れられた高麗船とかも海底から見つかったりしているなど地味にホットな話題です。尚且つ中国が絡む、っていうか攻め込んできた当事者でもあるので、その辺の事情はこの後の第3回でまとめています。

 記事を書くに当たってはやはり根拠づけできる資料が必要だと考え、前々からターゲットに入れていた服部英雄氏の「蒙古襲来」を読もうと決めたものの、誤算だったのはこの本の電子書籍版がなかったということです。仕方ないのでハードコピー版をわざわざ日本の親父に連絡して取りよせ、読み込んだうえで執筆に臨みました。
 なお親父はなか卯の牛丼パック詰め合わせセットのダンボール箱に本を入れて送ってきましたが、これがびっくりするくらい「蒙古襲来」のサイズにぴったりはまっててびっくりしました。

 こうして資料を揃えて万端とばかりに記事を書こうとしたのですが、読んだ人ならわかるでしょうがこの本はガチの学術本で、記事に仕立てるためのストーリー立てで苦しみました。最終的には目立つトピックとして第1回は一騎打ちと残虐行為に絞って書きましたが、思ってた通り後者の残虐行為に対するヤフコメが多くなりました。
 記事にも書いていますが、モンゴル軍が対馬などの住民の手のひらに穴開けて、数珠つなぎにして船のへりに並べたという表現は私は事実ではないと考えています。根拠としてはこの証言をしているのが日蓮だけなのと、はっきり言ってこの行為を行うには以上に手間がかかるし、戦場でわざわざやるのかと思うとあまりそんな気しません。そもそも手のひらに穴を開けて鎖を通して吊るしたら、多分体重で肉そげて落ちると思うし。

 この数珠繋ぎに関してですが、自分が認識する限りだと何故か3年くらい前あたりから急にネットで言われるようになりました。ついでに書くとそのつなげられた捕虜に日本兵は構わず矢を射かけたとか、腐乱した牛馬の死体をモンゴル軍の船に投げ込んできたという説もネットに見られますが、どれもこれも原典史料は明記されておらず、「元側の記録」としか書かれていません。どの元の史料かもわからず、また内容もなんかコピペっぽさを感じるだけに、現時点で自分は上記の説に対して疑念を持っています。

 以上を踏まえてこの記事では徹底して「史料の信憑性」をテーマに書いているところがあります。八幡愚童訓の信憑性については服部氏の指摘に沿いましたが、数珠つなぎに関しては自分の意見として日蓮だけの証言で事実認定はどうかとはっきり書きましたが、後悔はありません。やはりこの元寇関連の史実に関しては、「史料にあるから」だけで事実認定してはならないでしょう。少なくとも複数リソースを比較して、その史料が他の部分でどれだけ整合性を持つかを前提に語る必要があり、そういう主張もできたということでこの記事にも満足しています。

 もっとも次の第2回は苦しみながら書いたので内容にあまり自信がないです。第3回は盛り上がりに欠けるけど、多分日系メディアとしては初の事実を盛りだくさんで載せているからまぁアリだと思うのですが。

2021年6月20日日曜日

東芝の株主総会調査報告書の概要

 先週は月曜が中国だと祝日だったので土曜は1日しっかり休養を取り、日曜と月曜に頑張って仕事してもあまり影響ありませんでしたが、今週土日は2日合わせて6時間程度しか働いて無いものの、疲労からか目が痛いです(´;ω;`)ウッ…

 話は本題ですが、誰もが知る不適切会計という言葉を生み出した東芝において先々週、去年の株主総会の疑義に対する調査報告書が出ました。各メディアでも大きく取り上げられましたが情報がやや断片的なのと、内容が実際かなり複雑ということもあって、いまいち核心が掴めなかったため、合計121ページある公開された調査報告書を先週から徐々に読み進めていました。
 同じように核心掴めていない人もいるのではないかと思うので、あくまで自分が理解した範囲内でこの調査報告書の内容をここで簡単にまとめることとします。

1、提起された疑義は二つ
 まず今回の調査は東芝の株主である、旧村上ファンドの幹部が起ち上げたエフィッシモというファンドが提案したことにより実施されました。調査対象は2020年7月末の東芝株主総会の運営が構成であったのかについてで、具体的な疑義として以下の通りです。

1、投票締切日間際にきちんと郵送された議決権行使書が無効とされたのは意図的な処理か
2、大口株主に対し株主提案を退けるため経産省と組んで非合法な圧力をかけていなかったか

 このうち1に関しては東芝は無罪で、議決権集計業務を請け負っていた日本株主データサービス会社の不手際によるものだと断定しています。一方、2に関しては提起された疑いの通り、何の法的根拠もなく経産省職員が実質脅迫とも取れる恫喝を行って一部大口株主の議決権行使を妨げ、東芝側関係者もこれを把握していたと断じています。

2、議決権集計問題
 先ほどの二つあるうちの一つ目の疑義についてまず解説すると、株主総会後、発送した議決権行使書の一部が票に反映されていなかったことに一部株主が気付き、東芝にとって不利となる株主提案の賛成票を意図的に「締め切りまでに届かなかった」ことにして、無効票としたのではないかと指摘されました。
 この点について今回の調査チームが調査したところ、集計業務を日本株主データサービス会社が会社が作業負担の軽減、迅速化のため、行使書の郵送を請け負う地元郵便局と協議して、通常の配送方法ではなく、特定の時間帯に前後に届いた行使書をまとめて配送するという手段を取ったことで、本来なら有効とされる票が一部無効とされていたことがわかりました。

 詳しい経緯については報告書に書かれていますが、確かに締め切りまでに届かなかった票も混ざってはいたものの、一部には通常の配送方法なら締め切りまでに間に合っていた票も含まれていて、この件に関しては完全に業務請負側の処理によるミスであったとしています。
 また東芝側についてもこの処理ミスに関しては全く把握していた素振りは見られないそうです。その上というか、仮に無効票が有効となっていたとしても、東芝側に有利となる会社側提案の票比率がむしろ増える結果となるため、意図的に無効とする動機も見当たらなかったそうです。
 そのためこの件に関しては東芝は無罪であるとしており、私もこの見解に同感です。

3、きっかけは東芝ITサービス株式会社の循環取引
 続いて二つ目の株主総会への経産省による干渉案件ですが、すべてのきっかけは小見出しに掲げた東芝ITサービス株式会社の循環取引です。ここでは先ごろ2015年から2019年にかけて24件も架空の循環取引をしていたことがわかり、この件に関して東芝も調査して報告書を出しています。しかしこの報告書に対し株主のエフィッシモが内容が不十分であるとして再調査を要求し、どうしても聞かないってんなら株主権の行使も辞さないと伝えてきました。
 こうしたエフィッシモ側の態度に警戒感を強めた東芝経営陣は、「そうだ、日本政府を使って奴らを叩き潰そう」的な結論にどうも至ったようで、その手段として改正外為法が選ばれ、泣きつき先に経産省が選ばれました。

4、改正外為法
 地味に本件でキーワードとなるのはこの、2020年6月に改正された改正外為法です。これは外資の日系企業に対する投資をより円滑にして誘致することを目的に改正された内容となっていますが、一部の重要産業、また軍需関連産業(コア業種)に対しては、外資投資比率の制限、または投資の事前承認制とすることを定めています。
 東芝とエフィッシモが揉め始めたのは2020年3月で、6月ごろに改正が予定されていたこの改正外為法にかこつけてエフィッシモを株主から排除することを画策します。具体的には、外資であり東芝そのものの支配を画策しているなどとして、保有している東芝株式を日本政府の命令で強制売却させるということも目論んでいたようです。また強制売却に至らずとも、それをちらつかせることで上記の循環取引再調査に関する株主提案を取り下げさせようとしていました。

5、話違うじゃん(;´・ω・)
 ただ、このような東芝の期待を一身に背負った改正外為法でしたが、可決前に出てきた具体的内容はどちらかというとこれまでよりソフトで、外資による日本向け投資ルールをよりはっきりさせるという内容が中心で、外資排除的な文言は思ってたより少なかったそうです、東芝にとっては。正直、この内容だとエフィッシモに強制売却を命令するには無理がある(実際無理がある)ということが分かり、どうしたもんかなとやたら東芝に肩入れする経産省職員(K1課長)と相談し始めます。

6、K1課長
 本件のキーワードが改正外為法なら、キーパーソンはこのK1課長(けーいち課長)です。報告書を読む限り異常なほど東芝に肩入れしており、上記の改正外為法による外資排除案について省内で同案件を統括する部署にわざわざ確認しに行ったりしてくれています。結果から言うと、「(外資排除命令は)いや無理だろ」、「むしろエフィッシモの意見に他の株主も同意じゃね?」的に担当部署から言われちゃいます。
 ここで何故かけーいち課長は妙なやる気を出し始め、自らエフィッシモに面談を行って再調査の株主提案を取り下げさせると言い出してきました。でもってそれを実行しました。

7、マジビビる(;´・ω・)
 何故か突然面談を要求してきたけーいち課長(とその仲間の経産省職員)に対しエフィッシモもひとまず受けて話を聞き、コロナがどーたら、余計な混乱は避けるべきだなどといろいろ言われ、エフィッシモ側も東芝絡みで日本政府が動いてきていると感じちょっとビビり始めます(けーいち課長談)。そのため妥協策としてエフィッシモは、再調査提案は取り下げないものの、東芝を丸ごと支配しようというつもりがないという気持ちの証として取締役の推薦人数を減らす用意があることを経産省職員に伝えますが、言われた経産省職員は「それじゃダメダメ(ヾノ・∀・`)ナイナイ」と、あくまで提案内容を丸ごと変えるよう要求しました。

8、嫌味を言って喧嘩別れ
 上記やり取りを経てエフィッシモ側は態度を硬化させ、当初の計画通りに再調査を提案した上で、取締役も3人を推薦することを経産省職員に伝えます。これに対し対応した経産省職員は、エフィッシモ側が直前に東芝側の役員候補指名決議日程を伸ばしてくれと言っていたのに結局元の内容を維持してきたことを槍玉にあげて、「なんで延期しろっつったの?」、「一社会人としてどうなの?」的な嫌味を言ったそうです。
 なお一連のやり取りに係った経産省職員は、このような外資投資に関して外資企業を指導する部署に属しておらず、このような行為を行う権限も一切なく、上記行為は越権行為だと報告書では指摘されています。一社会人としてどうなの?

9、3Dインベストメントへの脅し
 エフィッシモについて細かく書きましたが、やはり論点はエフィッシモの再調査提案にあるからです。東芝と経産省職員はエフィッシモが出す再調査提案、並びに推薦する取締役の当選を非常に恐れ、これを何としてでも阻止するために他の大口株主にも根回しをするようになります。その一つが3Dインベストメントです。
 例のけーいち課長がまた変なやる気を出して、エフィッシモと本格的に揉め始めた2020年6月に3Dインベストメントにも面談を申し出ます。この面談でけーいち課長は「悪い投資家も世の中に入るもんだよね」的に説明し始め、3Dインベストメントが「うちに問題あるわけじゃないならもう帰りたいんだけど。他の投資家の話なんて聞きたくない(´・ω・)」と言ったら、

「隣が大火事になっている隣でバーベキューをしていると、それでは済まなくなることもある」

 という、多分関連ニュースで一番引用されている名言を発したそうです。
 この「隣」というのはエフィッシモを指すとみられ、発言の意図としては「エフィッシモの提案に賛成したらどうなるかわかっているよな?」という恫喝で間違いないでしょう。このように解釈できない奴は空気読めないと言われて日本じゃ生きてけないでしょう。

 結論を述べるとこの恫喝は3Dインベストメントの意思決定に影響を及ぼしたとされ、エフィッシモ側の提案に細かくは覚えていませんが完全賛成を取らないようにしたようです。経産省の作戦勝ちとなりまいた。

10、HMCへの脅し
 HMCとはハーバード・マネジメント・カンパニーという米国のハーバード大学系のファンドで、かねてからの東芝の大口株主です。
 HMCは2020年3月、循環取引問題で東芝の株価が下落した際に、もう少し株価対策を行うようレターを送っています。ただこのレターで、「うちの出資者の目もあるからこういうこと言うけど、東芝のことは応援してるよ(^_-)-☆」的な文言も入っていたそうです。そして東芝はこのHMCからのレターに対し、約3ヶ月間無視して返信を送らずにいました

 こうした東芝側の不遜な態度にカチンときたHMCは202年5月、東芝が要求した電話会議を拒否し、レターでやり取りするよう要求してきます。友好的だと思っていたHMCのこの態度に慌てた東芝は経産省に泣きつき、けーいち課長らとHMCのレターを共有し合って、最終的にHMCにコネのある経産省のM氏を通してコンタクトを取ることとしました。
 どうもこのM氏を通して、HMCにも3Dインベストメントみたく脅しをかけたみたいです。特に株主総会直前に一部議決権行使票が集まって票読みが始まってきた辺りからは猛烈にやり取りが繰り返され、エフィッシモ提案の阻止に動いていたことが報告書内で細かく書かれています。

11、提案阻止も……
 最終的にエフィッシモ、3Dインベストメント、HMCは互いに互いの提案や推薦取締役への投票を控えることとなり、会社(東芝)側提案が強く反映された取締役選任に至ることが出来ました。
 しかし総会後、HMCが東芝役員に対し、「うちが議決権を行使しなかったのは日本のある人物から圧力を受けたせいだ。そいつは正式な業務権限を持つ者じゃなかったことが後でわかり、非常に悔しい。次は投票するから待っていろ(ΦωΦ)フフフ…」的な連絡をしてきました。

 この圧力問題がフィナンシャルタイムズ、ロイターなどの記事が徐々に取り上げて疑惑が立ち込めていきます。ある意味決定的となったのは2020年12月に出たロイター記事にHMCに接触してきた経産省職員のM氏がツイッターで「脅したわけじゃない(;´・ω・)」と、接触を認めるかのようなツイッターを寄せたことだと思います。
 ロイター記事が出る直前にはエフィッシモなどを含む複数株主が圧力問題に関して東芝に調査を要求しており、2021年1月に監査委員会がこの件について調査を開始し、A法律事務所(匿名になっているけど大体わかる)に委託して調査が行われました。結果は、

1、HMCへの圧力はなかったよ
2、東芝は無関係だよ
3、HMCに怪しい人物が東芝の総会直前にいろいろ言ってきたけど関係ないよ

 というかなり凄い内容の報告書を出してきました。それどころか東芝関係者は、「これ(HMCが出した疑惑)は東芝を陥れようとするブラフだ!」などとメールに残しており、今回の報告書でも槍玉にあげられています。いい仕事するよね。
 なおA法律事務所はこの最初の調査時において、エフィッシモに関する東芝と経産省の生々しいやり取りメールを見ていますが、それらはガン無視しています。調査範囲じゃない言うつもりでしょうが、コーポレートガバナンスを失墜させかねない行為を見て見ぬ振りするその姿勢には頭が上がりません。

 無論こんな報告になっとする馬鹿は普通いないので、2021年3月の臨時株主総会にて当初の提案通りに調査担当者に今回の調査チームが選任され、こうしてこの事件が明るみに出たわけです。

 既にへろへろなためこれ以上の言及は避けますが、敢えて一言だけ言うと、この会社を生かすことが果たして日本にとって有意義なのか、強い疑わしさを覚える内容です。また社内にあまりにも人材がいないというか、この際だからソフトバンクにでも買われて血を入れ替えてもらった方がいいんじゃないかという気持ちしか覚えません。

2021年6月18日金曜日

酒類提供の緩和について

 毎年のことながらこの時期忙しく今日もヘロヘロ(ヽ´ω`)になって帰ってきたのでブログ書くつもりなかったけど、一言いいたいので書きます。


  上の記事見出し見て、「馬鹿じぇねぇの」と思いました。一応言っときますが、毎日と朝日のことじゃないですよ。

 酒類提供の緩和はまず間違いなくオリンピックが近づいているが故の「日本は安全です」的な五輪シフトでしょう。このタイミングだと気の緩みを誘発しかねないように思え、案外来週あたり新規感染者数は増えるような気がします。
 それ以上に馬鹿だと思ったのは、何故これを有効に活用しないのかという点です。結論から言うと、「ワクチン接種者なら夜遅くまで飲んでもOK!」みたいにしちゃえば、酒飲みはみんな一気にワクチン接種に殺到して業務がスムーズにいくように思ったからです。さらにこの理論を伸ばして、いわゆる夜の店界隈の人も夜遅くまで酒類を提供するに当たってはワクチン接種を義務化するようにすれば、リスクの高いゾーンから真っ先にワクチン接種者を増やせるような気がします。

 以上のように、折角ワクチン接種の世論と熱意を高める材料なのに、何故こうも無駄にしてしまうのか日本政府のセンスを疑います。ちなみに自分は昨日2発目打って、「あんたはエライ!」的なワクチン接種証明書をもらいました。あと中国はパノプティコンだから、健康管理アプリを見たら速攻でワクチン接種記録のページに接種した履歴がついていました。多分今後、中国国内の移動とかにはこの記録のあるなしで大きく制限されそうです。

2021年6月17日木曜日

児童、生徒へのパソコン配布について

 コメント欄でリクエスト来たので小学校や中学校、と言うより児童、生徒一人ひとりへのパソコン配布計画について所感を述べます。

 この計画自体は数年前から始まっており、数年後から開始する予定だったとのことですが、コロナ流行を受けて計画が早まったそうです。その際、文部科学省が例によって使用できるパソコンのスペックを決めたせいで各メーカーやブランド側がその基準をギリギリ満たすやや歪なノートパソコンやらタブレットパソコンをこのところ乱発しており、一部界隈で「こりゃねぇだろ」的な話題を振りまいています。

 本題と関係ないですが今日午前中にひたすらパソコン業界に関するレポートを翻訳していたのに、何故家帰ってもまたパソコン関連記事書いてんだろうという疑問が一瞬よぎりました。やっぱコロナのおかげで世界中でパソコン、特にノートパソコン業界は甦った的に景気のいい内容のレポートでした。
 なおそのレポートによると、中国でも学習用の子供向けノーパソが売れてて、しかも今後毎年同じような量が吐けていくという風に書かれてました。日本もそうなるかもしれませんが、少子化だから毎年量は減ってくな。

 話を戻すとこのパソコン配布政策ですが、一見して思ったのは「時期が悪い」でした。というのも例の半導体不足でパソコン関連製品はどれも値段が高騰しており、何もこの時期に一斉にこんなことしなくってもなぁという感じがせずにはいられません。まぁこれはけち臭い価値観からの見方ですが。

 次に気になったのは学習効果です。率直に言って、パソコンのあるなしならあった方が学習効果は高いと思いますし、また日々の学校側とのやり取りに関してもメール機能があれば圧倒的にプラスです。またテストなども選択式であれば授業中にパソコンを通して行わせることで、教師の採点負担は劇的に減らすことができます。まぁ計算機とか漢字変換使われないように対策しないといけないでしょうが。

 上記のようなメリットは確かに感じる一方、果たして本当に子どもがパソコンを役立てられるのかという懸念もあります。自分自身もそうですがこの手の電子機器持っても勉強とかに使うのはほぼ稀で、やっぱりゲームとかそういう方面に使っちゃいがちです。やるなとは言わないものの、それだったら汎用PCとかじゃなく、日本お得意のガラパゴス技術でフィーチャーPC、メール機能と学習機能に限定された奴とか作って配った方がいいんじゃねとか思います。むしろそういうのだったら任天堂辺りに作らせた方がコミュニティ機能的にもいいかも。

 結構場当たり的に書いていますが、この一連のパソコン配布政策を見ているとなんとなく思い付きっぽい、というか詳細がきちんと練られてないのではと感じる節があります。あまり細かく内容を見ていないだけなのかもしれませんが、予算や配布方法、機能、将来的な検証ポイントとかが報道だとほとんど触れられていないし、子供や親側の意見ばかりしか取り上げられていません。私個人としては費用的にも安価だし、最低限のリモート授業を成立させるためだけに通信機能に絞った格安スマホの方がかえっていいんじゃないかと内心では思っています。それこそ、もう使われなくなったPHS用周波数とか使って。

 最後に、これで日本のIT能力が底上げされるかとなるとは、それはまた別の話というか、少なくとも何も貢献はしないと思います。大抵ITに入ってくる人って自分で独学するタイプが多く、教えられて伸びる者かと言ったらそういうのじゃない気がするし。

2021年6月15日火曜日

スマホを落としただけなのに(中国編)

 先日友人とチャットしている最中、タイトルに「中国」とつければ何でも壮大になることに気が付いて、「インデペンデンスデイ(中国)」とか「それでも僕はやっていない(中国)」、「サマーウォーズ(中国)」などといくつか浮かぶ中、友人には「スマホを落としただけなのに(中国編)」を提示したら結構受けました。受けたどころか、「探してみたらもうあったわ」と下記リンクまで送ってきました。


 上のリンクには、実際に中国でスマホを落とした日本人の方がその体験をまとめています。面白いのは見出しの通り、ほんとRPGみたく一つずつ手がかりを追って行って、その先々で次のヒントが出されていくという経過です。教えてくれた友人は監視カメラの映像を警察が出してくれたという点で、自分は警察に厄介になったことはないけど、実際この手の捜査で監視カメラ映像の確認を警察がやってくれるというのは聞きます。
 真面目に日本も警察の手が足りないというのなら、こういうところでIT化による効率化を進めるべきなんじゃないかと思います。監視カメラで事件解決案件も日本国内で増えてるのだし、顔認証システムくらいは早く入れろよと本気で思います。中国なら安くで売ってくれそうだけど、そもそも日本は自前じゃ作れないかもなもはや。

 話は脱線しましたが、真面目に自分も今の中国でスマホなくしたとしたら生きた心地がしないです。以前にシムカードが壊れてWIFIは使えるもののモバイル通信が出来なくなったことがありましたが、あの時もお店で決済できなくなり、めちゃくちゃ焦りまくりました。2日くらいして通信キャリアのアンテナショップですぐシムカード交換してもらえましたが、それまで不安だったからお店の人の手を取って「感谢您!( ;∀;)」とお礼言ったほどでした。

 一応言っておくと、私は配車アプリも出前アプリも一切使わないほどローテクで、スマホ依存度は現代中国においてはかなり低い部類だと自分では考えています。それでも今の中国は成人の誰もがスマホを持つこと前提で社会が成り立っており、スマホがないと身分証がないくらいの厳しい生活が要求されます。

 その上で地味に気になるのが、これから電子マネーがさらに普及した場合、子供のお小遣いとかどうなるのかとなんか気になりました。小遣い渡して自由に買い物できず、密かにお金貯めて漫画とかゲーム買うとかもできなくなるのかもと考えたら少しさびしさを覚えます。
 しかしこのまま電子決済が流行ったら、スマホなしでは一切決済ができなくなります。敢えて妥協点作るならプリペイドカード使うってのもありますが、私個人の想定では今後は子供一人ひとりにも機能を制限したスマホを持つ時代が来るような気がします。

 さらにその上で、そうした時代においては本人認証が今以上にまた重要になってくると思え、手軽で且つ安心、それこそ紐づけたらその本人しかスマホが使えなくなるような本人認証手法が出来たらかなり使われるのではないかと思え、金になる気がします。一時期出てた静脈認証はなんか最近見なくなったけどどうしたのかなあれ。

2021年6月14日月曜日

金額でクオリティの差がつかない日本

 つい先ほど、夕食がてら時計屋で電池を交換してもらってきました。電池交換した時計はカシオの1000円で売っているゴムバンドのスポーツウォッチで、薄くてゴムバンドだから夏場自転車乗る時とかに良くて数年前に購入しました。あとで知りましたがうちのソ連人民の敵である親父も文字板が違うだけの同じ時計買っててなんやねんとか思いました。
 ちなみに買ったのはヨドバシで、調べてみたら「MQ-24-9ELJF」という型番で、今も1000円のままでした。

 その電池交換の際、店員から「50元(850円)と80元(1360円)のどっちだ?」と聞かれ、迷わず「80元」と答えました。これは何かというと電池の料金のことで、50元の方は約1年、80元の方は約2年もつ電池だと前に同じ店で聞いていたので、迷わず80元を選んだわけです。
 っていうか今書いてて気が付いたけど、電池の方が時計本体より高くなってんじゃねーか。これじゃ本体買いなおした方が安かったじゃん……。

 話を戻しますが、かつての自分だったらこういうところで変なケチ意識を出して50元の電池を選んでたと思います。しかしいくらかお金に余裕ができたのと、あと中国で暮らす期間が長くなったことから、こういう二者択一の際は高い金額の方を選ぶようになってきています。一体何故かと言うと、価格が品質に直結しているからです。

 中国の場合、安い商品を探そうとしたら本当に底がないくらい安い商品がいくらでもあります。しかしその手の安い商品、それこそ例えば布団シーツとかだと本当に質が悪く、選択したら一瞬で色落ちしたり、肌触りが悪かったり、経年劣化が激しかったりと不都合な事実が後からどんどん湧いて出てくるので、一番安い商品は基本買わないようにしています。
 一方、高けりゃいいってわけじゃありませんが、ある程度値段で差別化されている商品は差別化されるだけの要因をきちんと兼ね備えており、少なくと同じ店の商品であれば品質面で「安価<効果」の図式が成り立つため、単発ではなく比較的長く使う耐久消費財であれば意図的に高いものを購入するようにしています。そっちの方が明らかに生活上のストレスは小さいし。

 これが日本だと逆で、私も日本だったら一番安い商品を手に取る確率が上がると思います。何故かというと高い商品であっても安い商品とほとんど品質や機能面で差がなく、また安い商品でも全く使えないということはほぼなく、下手すりゃ高い商品を1回買うよりも、安い商品を買い換えていく方がコスパで上回ることも少なくないでしょう。

 そんな風に電池交換した後ですき家の焼肉キムチ丼を食べながら考えていると、案外こういう金額でクオリティに差がつかない、言い換えると最低価格製品に対する手厚い保障が日本のデフレを加速させているんじゃないかとふと思いました。
 前述の通り、中国だったら価格と品質がかなり相関してくる、感覚的には価格が2倍なら品質は4倍という具合で乗数的に正比例してくるのですが、日本の場合は加算的、価格が2倍なら品質はプラス2くらいな正比例に留まるため、安い商品でいいやと選ばれてしまうことがある気がします。っていうか企業側も、そうした感覚で価格を設定しているようにすら見えます。

 その結果と言うか、高価格帯よりもエコノミーな低価格帯商品が売り上げの中心となってデフレが加速しているというのが私の見方です。ついでに言うと、消費者もその感覚に慣れてしまって高価格帯商品をほとんど選ばない、というより低価格帯商品であっても高価格帯商品並みのクオリティと保障(アフターサービス)を当たり前のように求めてくるのが習慣となってきているようにも見えます。この辺もデフレに悪い意味で貢献しているでしょう。

 なお金額とクオリティが一致しないという点に関してかつて、関西人の知人が東京の飲食店がそうだと言っていました。曰く、高いお店でもおいしいとは限らないそうで、関西は高いお店だったらきちんとうまい店が多いとのことです。味音痴な自分はあんまその辺気にしたことはないです。
 逆にい自分が金額とクオリティが一致しないと思うのは主にゲームで、アホみたいなクソゲーに高い金額で買ってしまった後は悔しさでいっぱいになります。特に最近はインディーズゲーが増えており、単価自体は全体的に低いものの、アクセル踏むだけで軸線が勝手にまっすぐ向くレースゲーとか、ほんとなめんなよとやたら怒り狂ったことがあります。

2021年6月13日日曜日

和歌山カレー事件に関する所感

和歌山カレー事件 林眞須美死刑囚の娘と孫が関空連絡橋で飛び込み自殺(ガハろぐ)

 既に一部で報じられていますが、先日の関空連絡橋での母娘心中事件で亡くなった母親の方が、和歌山カレー事件の林死刑囚の娘だったと知り、非常に驚いています。そもそもの投身事件自体、自宅では虐待と疑わしき別の娘の遺体があるなど全容が掴めない異常さがあって興味を覚えていましたが、事件とは恐らく関係ないものの、関係者が林死刑囚の係累だったという事実が加わったことでなおさら衝撃を覚えました。
 こっちの事件に関しては関係者の多くが亡くなっているのでこの後全容が解明されるかは、正直難しいでしょう。尼崎事件といい、闇入りする事件が最近多い気がします。

 話を変えると、今回の事件を受けて和歌山カレー事件に関する言及がネットを中心にまた増えてきているような気がします。一時期冤罪事件を調べまくっていたこと、また事件発生時にリアルタイムで報道を見ていた自分としても気になる事件なのですが、私自身の所感を述べると、やはりこの事件は有罪とすべきでなかったという見解を持ちます。

 一部で報じられていますが、犯人とされた林死刑囚は過去に保険金詐欺を繰り返していたことは事実であり、善良な一市民とはとても言えない人間であることは間違いありません。しかしこのカレー事件に関しては有罪の根拠とされた証言があやふやであり、また証拠とされた混入ヒ素の同一性に関しても強い疑いが残されています。確実に林死刑囚が犯人であるという証拠はなく、事件当時に際立って怪しいかというとまたそうでもない立場であるというのが私の見方です。
 では何故犯人視されたのかというと、やはり前述の保険金詐欺という経歴からでしょう。この過去の経歴から容疑者扱いされるという点に関して幾分仕方のない点もあると思いますが、しかし事件の有罪性となると話は別で、確実な証拠がないのであれば無罪とすべきだった、少なくとも死刑ではなく将来の再審を考慮して無期懲役にすべきだったと自分は思います。

 なおこの和歌山カレー事件に関して昔中国で職場に不満を持った中国人が食堂の料理に毒入れたというニュースを話題にしたら、「日本でも前あったじゃん」と中国人の友人に言われました。年代的に事件発生当時に日本にはいなかったはずですが、そんな彼でもこの事件のことを知っているほど有名な事件だったのだなと当時に認識しています。