では近年における歴史の転換点はいつなのか。先ほどは「気づき辛い」と言っておきながらですが、近年においてはむしろ気づきやすい大事件が頻発して起こっています。
まず直近で言えば2022年のロシアによるウクライナ侵攻でしょう。仮に今後奇跡的にロシアがウクライナに有利な条件で和睦したとしても、ロシア、素子tプーチンの世界に対する影響力は戦前と比べ激減することには変わりなく、またその余波としてロシアと反米で共同歩調を取ってきた中国の影響力もそがれることが確実です。中国に至っては景気も減速してきており、まさにダブルパンチの衝撃でしょう。
このウクライナ侵攻より一つ前の転換点はというと、こちらも非常にわかりやすい2020年のコロナ流行でしょう。各国の防疫体制だけでなく、同じ読みの貿易ことグローバルビジネスに与えた影響もさることながら、リモートワークをはじめとするライフスタイルでも大きな転換を促しており、これ以前と以後でITの活用の幅は大きく違ってきています。またその変化に対応し切れなかった企業らは廃業に迫られており、コロナはネガティブな面ばかり言われていますが、社会に対しポジティブな影響も十分及ぼしていると私は感じます。
また2020年は長く続いた安倍政権が終わり、「すがっち」こと菅内閣も誕生しています。安倍政権は長く続いたことで日本への影響が大きいこともさることながら、翌年の暗殺事件とそれに伴う統一教会問題事件など安部元総理が居座ったことにより蓋をされていた出来事も少なくなく、政治的な転換点であったとみていいかと考えています。
これ以前はしばらく転換点はありませんが、世界的にはともかく、日本にとってはやはり2011年の東日本大震災は転換点となり得るでしょう。世界的で言えば2008年のリーマンショックで、これにより金融や会計業界は規制が強化され、それ以前と以後では全く世界観が異なってきます。
そのリーマンショック以前の転換点と言えば、自分が間を見落としているだけかもしれませんが2001年の米国における同時多発テロだと考えています。この事件がなければアフガン、イラクの戦争はなかったということと、ソ連崩壊に始まる90年代における米国全盛期の転換点にもなっていて、以上に挙げた転換点の中でも最も大きな影響力を持つように感じます。
以上の通りざっと列記してみましたが、自分が転換点と感じる出来事が2021年のコロナ流行、2022年のウクライナ侵攻が非常に短いラグで起きています。あまりシンギュラリティというのを信じてはいませんが、何か一つの出来事をきっかけに、影響が波及して大きな事件が連続で起こるということは現実にもありえ、それを踏まえるとウクライナ侵攻はコロナ流行がなければ起きたのか、起きなかったのかは後々研究テーマとして成立するような気がします。
同様に、ウクライナ侵攻が今後どのような事件を波及して起こすのか、今世界史を俯瞰する上ではこの点を最も注目すべきでしょう。端的に言えば東欧と北欧のほぼ完全なNATO入りが、EUことヨーロッパ統合の行く末にどう影響するのか、ロシアの影響力ダウンによる中国や北朝鮮への影響は、近年に社会の分断が激化している米国は今後どうなるのか、この点が論点になってくるでしょう。