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2023年12月13日水曜日

医師は転じて革命家となる

 初めてクソゲーと呼ばれたゲームはファミコンの「いっき」ですが、農民反乱をテーマにした作品なだけに中国共産党からお墨付きをもらってもいい内容のはずですが、周りにいる中国人にゲーム画面見せながら聞いたら、「遊んだことあるかもしれないけど覚えていない(´・ω・)」とつれない反応でした。
 もっとも農民反乱といいながら戦うのは一人だけで(二人プレイなら二人)、「一揆」ではなく「一騎」と呼ばれるほど狂った世界観ゆえかもしれませんが。ちなみに中国での呼び名は「農夫忍者」のようです。

 そんな中国における近代化の幕開けとなる反乱を率いたのは言わずもがなの孫文ですが、先日会社の同僚に孫文について解説した際、彼はもともとは医者であったことを教えたら大いに驚かれました。恐らく政治家、反乱指導者としてのイメージが強かったためかと思われますが、彼は若いころに出稼ぎしていた兄を追いかける形でハワイに行き、香港で医学を学び、マカオで医師として開業してたりします。
 そのような孫文の人生を解説していた際にふと、「そういえばゲパラも医者だったな」ということを思い出しました。南米、いや世界において彼を嫌う人間なんているのかと思うくらい世界的革命スターのチェ・ゲパラですが、彼も母国アルゼンチンで医学を学んでいました。

 ここまで思うに至り、孫文といいゲパラといい、何故二人とも医者から革命家に転じたのだろうかという点が気になり始めました。さらに掘り起こすと、日本の幕末期においても橋本佐内を筆頭に医師出身の志士も数多くいた、っていうか数多くの志士を輩出した緒方洪庵の適塾が医学を教えていたのもありますが、なんか医師から革命家になる率は他の職業に比べて高いような気がしてきました。

 ただこのからくりですが、当時の時代情勢を考えればある意味で自然な結果だといえるのではないかと思います。スパイファミリーのアーニャの声優をしている種崎敦美氏の口癖をまねて「Becauseなぜなら」というと、上記革命家が活躍した時代において医師というのは、国外の情報に深くアクセスできる特異な立場にあったというのが原因だと推察されます。

 封建制が続く近代化以前の国家は鎖国時代の日本よろしく、大抵どこも外国に対して排他的であったり、国外から入ってくる情報を制限する傾向がありました。しかしこと医学に関してはどの国も寛容で、日本も江戸時代に蘭学として真っ先に研究を解放したのは医学でした。
 これは何故かというと、どれだけ独裁的な封建主義の権力者であっても、自らの健康と命を永らえさせる医学に関しては最先端の技術を欲しがるためと言い切れるでしょう。国家として役立つか以前に、権力者が個人として優れた医学を求めることから、排他的な価値観であっても医学だけは例外的に外部から優れた技術や知識を取り込もうと動くため、鎖国下にあっても比較的自由に学ぶことができれば、国外の情報にもアクセスしやすくなるというわけです。

 ただそうして医学を学ぶ者たちはというと、国外の情報にアクセスできることから次第に自国と他国の違いに気づくようになり、場合によってはその矛盾にすら気づいてしまうわけです。実際、孫文もゲパラも他国に比べ自国の政治体制の古さや問題点に気づくようになり、革命家を志すようになったとみられる過程が存在します。
 こうして矛盾に気づくどころか、封建制が続いていた日本や中国においては西欧の民主主義に触れたりなんかした場合、「うちの国めっちゃおかしいじゃん(;゚Д゚)」と思うのが自然な成り行きです。これは多分医師に限らず当時国外の情報に触れた人間なら誰もが気づいたでしょうが、そもそも情報に触れること自体が制限されているため、必然的に早くから気づけるのは国外にアクセスできる医師に限られてくるでしょう。

 こうした成り立ちというか経緯から、鎖国的な国家体制にの中でも国外情報にアクセスしやすい医師というのは得てして革命家に転じやすいのではないかと私は思います。もっとも情報統制がなされていない国の場合はさにあらずですが、北朝鮮やロシアなんかのような情報統制が激しい国だと、今後も医師から代表的な革命家が生まれてくるかもしれません。
 まぁ現代において国外情報にアクセスしやすいのはギークことIT技術者のほうが立場的に強いし、反国家主義者も現代ではこの界隈に多いので、医師から革命家というパターンはもう成立しないかもしれません。しかし19世紀や20世紀において医師というのは国家に仕える外交官以上にインターナショナルな職業で、それが革命家としての下地を作っていたのではないかというのが自分の見方です。

2023年12月12日火曜日

自民党のキックバック資金の用途は何なのか?

 よく家で一人でいるときに、「ネバーエンディングストーリー」の主題歌の歌詞を「ゲイバーエンディングストーリー」と替えて歌ってたりします。どんなエンディングになるのか、歌いながらすごい気になります。

 話は本題ですが炎上が続く自民党のパーティ券キックバック問題ですが、前回記事を書いた際、正直言ってこれほどまでに規模が大きいとは思っていませんでした。せいぜい一人当たり数十万円、言っても数百万単位だろうと思っていたら一人で数千万円もキックバックされ、しかも派閥帳簿に記載せず、議員個人も収入を開示していなかったというのですから、まぎれもない政治資金規正法違反です。かなり長い年月に渡りこの慣習は続いていたという報道から察するに、人によっては累計で億以上の金額がキックバックされていた議員もいたのではないかと思います。

 単純に数百万円単位の未記載でも十分な違反ですが、数千万単位となると立件起訴される可能性は高いような気がします。逮捕も十分あり得る金額であり、国会がこれから閉会した後にこのところ冤罪とかでやらかしまくっている特捜がどう動くのかは注目を浴びるでしょう。
 なお今回の事件に関してかつてのリクルート事件になぞらえる人もいますが、金額といい逮捕者も今後出る可能性も考えると、実体的にはロッキード事件のほうが近いんじゃないかっていう気がします。

 以上のキックバック問題を受け、巨額の未記載がほぼはっきりしている安倍派議員をパージする人事を岸田総理は考えているようですが、私個人の意見で言えば安倍派以外の議員に関しても今後捜査が及ぶ可能性があることを考えると、現段階で内閣改造を含む人事変更に着手するのは悪手な気がします。もっとも役職付きのまま逮捕されるという事態もあんま望ましくないでしょうが、せいぜい逮捕や立件に及んだ時点で安全な次の後任を登板するくらいの内定人事に留めておくのがいいように思っています。まぁ状況と支持率がそれを許すかですが。

 そのうえで、個人的にこの事件で一番気になっているのは見出しにも掲げている通りキックバックされた資金の用途です。議員がそのまま懐に入れて個人消費に使っていたとしても十分噴飯ものですが、仮にそうであれば、帳簿に計上しない理由はあまり成り立ちません。端的に言えば、今回のキックバック資金は一切帳簿に載せられない裏金として配られており、その用途も「表に出せない」用途に使われたと考える方が自然でしょう。では具体的にどんな用途があるかですが、はっきりした証拠はまだ出てないものの、私は選挙買収に使われていた可能性が高いのではないかとみています。

 何故このように思うのかというと、かつて安倍元総理側近であった河井克行、案里夫妻の選挙買収事件があったからです。
 この事件が起きた際、買収に使われていた資金は安倍政権時の自民党本部から交付された資金が使用されていましたが、この資金源については今年においても「すがっち500」という意味深な記述が書かれたメモが見つかるなど、掘り下げたらもっと何か出てきそうな気配を見せています。

 そうした資金源の怪しさ以上に、自分は上記事件を見た際に河井夫妻の買収の仕方があまりにも手馴れすぎているような違和感を覚えました。本当に河井個人の犯罪なのかというとちょっと不自然に見え、何となく組織的な指導があったように見え、表に出ていないだけで自民党のほかの議員でもこのような選挙買収に手を染めている人間がいるのではないかと疑いました。
 それを踏まえて今回のキックバック事件を見るに、この問題の本丸は、キックバックされた金を何に使ったのかになってくるような気がします。ぶっちゃけ熊手買うのに使ったとかならまだ笑えますが、選挙買収に資金が使われていた場合は、とんでもない疑獄事件に発展する恐れがあります。やや偏見で申せば、萩生田氏あたりはやりかねない人物だとひそかにみています。

 もし自民党がこの問題をまじめに処理する気があるのなら、キックバック金額に1千万円などの一定基準を設け、それ以上の金額を受けとっていた議員に関しては、野球の黒い霧事件のように理由の如何なく党から追放すべきでしょう。金額を基準に処罰を決めることで選挙買収は処罰とは無関係という方向にもっていかないと、多分後々えらいことになるというのがこのプランの目論見です。っていうか早めにこうした基準で党内処分しないと、仮に選挙買収に一部でも使われていた場合は自民党は本気で政権を失う可能性すらあるでしょう。

 そのうえで、報道が出る直前になった急に派閥総裁をやめた岸田総理にも疑惑の目が注がれており、ただでさえ不人気で支持率が上がらないことから、まじめに来年早くにも次の総裁人事を決めとかないとならなくなってきています。ただ上記のキックバック事件の余波から、次の総裁の条件としてはキックバックを一切受けていない人間にほぼ限定されるため、選択肢はかなり狭い範囲に絞られることになります。

 その点で言えば、このところキックバック問題でやけに生き生きとしてきた石破茂氏がここにきて有力候補になってきた気がします。そもそも石破氏の場合、キックバックを受けようにもキックバックする派閥がないことから、大昔ならともかく未時効期間においてこの問題に関してはほぼクリーンだと言い切れる立場です。知名度は元から高いのと、自民党執行部と距離を置いていることから非自民党系支持者の間でも一定の人気を持っていることを考えると、ワンポイントリリーフとして博打的に選挙前に総裁にするの案外アリなような気がしてきました。
 かねてから書いているように私は石破氏について総理には向いていないと思うし、若干空気読むの下手だからそもそも周囲には推されず。総理には決してなれない人材だとみていました。彼と同時代に活躍した政治家に関しても、与謝野馨、中川昭一、細田博之、安倍晋三はすでに亡く、谷垣氏も引退しており、今でも政治家やっているのは麻生太郎氏くらいで完全なロートル議員といってもいい年齢になっていますが、まさかここにきて総裁候補となりうる事件が起きるとは、本当に人生何が起こるかわからないものだなと思います。

2023年12月10日日曜日

SFC時代の小学生のゲーム購入事情

ファミコンハウス流山店の思い出(かけるのブログ)

 上の記事で紹介されている流山のファミコンハウスですが、ぶっちゃけ家の近くにあったので一番通っていたゲーム屋です。1990年代前半に南流山にはこのファミコンハウスのほか、テックス、ブルート、マジカルといったゲーム屋が存在しましたが、店舗面積と品ぞろえが一番広いのと、比較的価格相場が安定していたため、迷ったらここのファミコンハウスで自分もゲームを購入していました。
 なお当時は100円でも安くゲームを買うため、隣の松戸市を含め中古ゲーム屋をよく徘徊しては欲しいゲームの相場を調べていて、なんか一人で価格コムの調査員みたいなことをしていました。

 そんな私が小学生だったころ、当時の覇権ゲーム機は言わずと知れたスーパーファミコンで、ある意味ゲームの価格が歴史上最も高かった時代です。なんでも当時のスーパーファミコンのゲームは任天堂系列の問屋を介さないと流通できない仕組みになっていたそうで、問屋を含め忍店頭が粗利の5割近くを持って行ったため、スーパーファミコンのゲーム価格は後半には1万円越えもざらになるほど高騰していったそうです。
 なおこんな阿漕な商売をやっていた反発から、プレイステーションやセガサターンがソフトメーカー向けマージンを下げるやサードパーティのソフトメーカーは一気に任天堂から離れて新興勢力についたと噂されています。当然といえば当然で、任天堂が64の時代に冬になったのはハードやソフト戦略ではなくかつての流通戦略に起因する面が大きいと私は見ています。

 話は戻しますがゲーム価格が高騰していた当時、正直5千円くらいでは中古でもまともなゲームを買うことができませんでした。収入が制限される小学生にとっては非常に難儀な時代で、お小遣いをためて買おうにも月500円だったら1年間ためても6000円にしかならず、とてもじゃないけどまともに買うことはできませんでした。

 そんな小学生がゲームソフトを買うチャンスは年間で3つあり、誕生日、クリスマス、お年玉がその3大チャンスでした。このイベントにおいてはどんだけ高くても好きなゲームを親に要求することができ、またお年玉に至っては購入するソフトを調整すれば複数本購入することができるため、非常に重要な予算となりました。
 このイベントの際、地味に重要だったのは購入するゲームの換金性です。というのも前述の通り当時のゲームソフトは非常に高く、お小遣いではまともに購入することは不可能でした。となれば上の3大イベントのほかにどうやって買うかですが、前述のイベント時に買ってもらったゲームを中古屋に売却して、新たに現金を得るというのが「第四の手段」でした。

 中古ゲーム屋に買い取らせるにしても、古いゲームだったり、人気のないゲームだったりすると買取価格は非常に小さくなります。なので前述の3大イベントの際にはなるべく換金性の高いゲームを選んでおくことが、後々の新規ゲーム購入の際の資金源となりうるだけに、非常に重要な選択肢となっていました。

 具体的にどんなゲームが換金性が高かったのかというと、単純に人気の高いゲームほど買取価格が高くなるのですが、ファイナルファンタジーなど人気は高いものの出荷本数が大きいゲームだと発売から数か月はまぁいいとして、半年も経つと中古へ流れる本数も異常に多くなるため値崩れしやすかったです。
 自分の実感で言えば、「がんばれゴエモン」とか「ロックマンX」といったシリーズ物のアクションゲームが、一番値崩れしにくかった気がします。このほか対象年齢が比較的高かった「信長の野望」や「ダビスタ」シリーズも中古で高価格帯をよく維持していた気がします。逆にジーコサッカーをはじめ、発売から時間を経たサッカーゲームが一番値崩れが激しかったような。

 話を戻すと、私が小学生であった頃のゲーム購入は後々に中古で売却することを前提としていました。ただこれもスーパーファミコンの時代が終わり、プレステ全盛期になると新品でも価格は6800円が上限となり、新品価格の値下がりとともに中古価格も以前に比べれば落ち着き、3000円もあればそこそこ幅広い選択肢の中で買えるゲームが選べるようになったことで、以前ほど中古販売を視野に入れた換金性に関してそこまで意識することはなくなりました。っていうか、あのスーパーファミコンの時代が一番特殊だった気がする。

 近年はゲームのダウンロード購入が増え、冒頭のファミコンハウスも確か2013年あたりに潰れるなど、ゲームの中古販売はまともに商売できないくらいになっています。ある意味、新品価格が異常に高かったスーパーファミコンの時代だからこそああした中古ゲーム屋も商売ができたんだと思います。
 恐らく今後ゲームはますますSteamなどパソコンなどの端末を介したオンライン販売が主流となり、ゲーム単価もますます下がっていくと思います。そう思うと、中古ゲーム屋のあの独特な雰囲気を味わえたいい時代を自分も過ごせていたのだとしみじみ感じたりします。

2023年12月9日土曜日

神戸市の人口150万人割れに触れ

「2006年に閉園した遊園地」“ディズニーランドをパクった”施設が辿った数奇な軌跡(SPA)

 いまだに奈良ドリームランドのこういう記事を見かけるのに驚く一方、以前は関西出身者であればこの「奈良ドリームランド」という単語をひとたびちらつかせば1時間は会話を続けられる魔法の言葉でしたが、さすがに閉園から長くなり、最近はこのワードが使いづらくなってきています。親戚の奈良おじさんなんかは聞いてもなくても奈良ドリームランドについて口にしてくるけど。
 なおこの記事は当初日刊SPAの元記事リンクをつけようとしましたが、なんかあそこはしばらく表示すると記事が見れなくなり、記事一覧ページに強制的に切り替えてきます。いくら何でも、なめすぎだと思う。


 それで本題ですが、なんでも神戸が人口150万人を割り、同じく減少している京都市とともに人口で福岡市、川崎市に追い抜かれ全国7位に後退したとのことです。かねてからこのブログでも神戸市の近年の衰退ぶりは激しいと指摘しましたが、こうして人口面でもはっきり影響が出る水準に陥っています。

 神戸市が衰退している原因として上の記事では市内中心部にタワマンがないせいだという、ちょっと疑問に思う主張をしてはいますが、後半に挙げている大阪への通勤に関しては頷ける点があります。以前と比べると関西圏の大阪中心部への通勤は神戸などの阪神エリアから、京都や滋賀などのエリアへ徐々に比重が移ってきているように思えます。
 特に滋賀県は「「翔んで埼玉2」でも舞台にされるなど、若干関東圏の埼玉のような立ち位置を近年確立しつつあります。通勤に関して言えば大阪まで直通の路線があるのと、また琵琶湖をバックにした住環境の良さから、若い年齢層の間で済む人が増えていると聞きます。まぁ教育環境はめちゃくちゃ悪そうに見えるけど。
 以前は大阪で働く人が住みたい場所といえば神戸や宝塚などの兵庫県でしたが、近年はもはやさほどにも魅力を持たなくなってきているように見えます、

 そうした通勤の問題に加え、神戸においては産業面の衰退、特に海運の衰退が著しいでしょう。かつては国際港として横浜と並ぶ立ち位置にありましたが、アジアにおける海運ハブの地位を韓国のプサンなどに脅かされるにつれ、神戸の海運業は徐々に縮小していったように見えます。また神戸製鋼を筆頭とする製鋼産業も、業界自体が落ち込み、新日鉄と住金がいち早く合併したのと比べると神戸製鋼の外交のもたつきもあって、何となく羽振りがよくなさそうに見えます。

 そのうえで、神戸市自体の行政手腕の悪さも影響要因としてデカいのではとかねてから思ってみています。阪神大震災の後に作られたルミナリエや神戸空港を筆頭として、よくわからないものにお金を使ったりしているのが目立ちます。また隣の明石市が盛り上がるや猛烈なネガキャンを神戸市が率先して行ったりするなど、単純に神戸市の人材が悪く、行政手腕が発揮されないことも衰退の一因だと思います。

 主権にほど近い川崎市はともかくとして、より立地面で厳しい福岡市の人口が伸びているのと比べるなら、今の神戸市の衰退はやはり神戸市自身に起因するところが多い気がします。どう立て直すかわかりませんが、今度当たり視察がてら行ってみようかな。

2023年12月8日金曜日

新たなITサービスが生まれなくなった中国

 日本も今年は異常な暖冬でしょうが、上海も今日最高気温が20度を超すなどかつてないほどの暖冬となっています。不思議なのは暖冬だと湿気が高まる傾向が多かったのに今年はやけに乾燥していて、っていうか空に雲がない快晴日が異常に多いような気がします。

 話は本題に入りますが、ちょっと前まで中国ではシェアサイクルやスマホ決済など、毎年何かしらの新たなITサービスがスタートしていました。しかしコロナ監視関連アプリが氾濫した去年は別として、今年においては何ら新しいITサービスが普及せず、何となく景気同様に成長が頭打ちした感じがします。

 こうした動きの背景としては経済体制が影響しているように思え、特に今の中国政府は個人情報の流出を恐れてIT関連企業に海外上場を厳しく制限しています。こうしたことから中国国内で旗揚げするよりも、第三国でITサービスを立ち上げる方が有利となってきており、システム開発者もどことなくそうした志向を持つようになってきているように見えます。
 そういう意味ではスタートアップの色が濃いIT業界においても、タオパオやテンセントなど、既存IT強者が市場を独占する環境が今後続くかもしれません。世の中の動きが小さくなって個人的にありがたいと感じるものの、それはそれでいいものなのかとちょっと不安に感じるところもあります。

2023年12月6日水曜日

自民党安倍派のパーティ券問題について

 先週からかかっていたインフルエンザですっかり体力を取られて更新も滞っていましたが、ようやく今日になってまともに体が動くようになりました。昨日までは鼻かむと常に血が混じってたし。

 それで久々の政治トピックですが、自民党安倍派で何でもパーティ券販売のノルマを設け、ノルマ達成者にはパーティ券で集めた政治資金をキックバックしていたという報道が出ています。詳しい処理とか管理までは細かく勉強していませんが、正当な収集理由なく集めた資金を情報公開なしで派閥内で再分配していたことが問題だったそうで、特捜部はこの案件で一山上げようしているようです。
 この問題に関して母体となる自民党内では安倍派への批判は薄いのですが、どうも自分が見ている限りだと野党からも批判が薄いように感じます。理由としては言うまでもないでしょうが、この手のパーティ券資金の再分配はどこの派閥も政党もやっているように見え、あまり批判するとその批判が跳ね返ってくることが目に見えているため、どこも薄目な反応になっているのだと思います。

 そもそも論として、私自身はこの問題を見て思うこととしては何故政治資金をパーティ券で集めなければいけないのかという点です。直接現金で集めると意地汚さそうに見えるからというのが恐らく理由ですが、パーティ券という名目上、建前だけでも政治パーティを開かなくてはならなくなります。これにはもちろん食事代や会場代などの経費が掛かってくるため、政治家の手元に入ってくるお金は、

パーティ券売上-経費=集められた政治資金

 という計算となり、パーティ経費の分だけ有権者が支払った政治資金が目減りするということになります。政治家としてはお金が欲しい、パーティ参加者としては支持政治家にお金を寄付したいという目的で恐らくやっているかと思いますが、なんかこれだと双方にとってマイナスな結果にしかならない気がします。

 もちろん個人献金額には上限を設けるなどして金権政治化する事態は避けるべきでしょうが、基本政治活動にはお金がかかるものだし、政策や人柄を支持する人からその資金を募ってかき集めるのも私は政治家の仕事の一つだと思います。逆に徹底的にこうした個人や団体から政治家への献金を規制しようってのなら、政治家の活動資金をすべて税金で賄わなくてはならなくなり、こっちはこっちでまた別の問題を引き起こすというか、すでに政党助成金でいろいろ問題が起きています。

 あくまで主観として述べると、献金にまつわる政治と金の問題を排除するために政党助成金の制度は作られましたが、この結果として政党助成金を分配する党本部の権力が増し、結果的に政治家個人は以前よりも小粒になった気がします。以前はそれこそ献金を集められるような人望なり手腕が求められましたが、今はその辺を助成金で賄うようになったため、知名度さえあればプライベートや能力で劣る色物議員が増えてしまい、また党本部に気に入られるか否かでポストも決まってしまっているように見えます。何となく、政治家の育成という点で政党助成金は失敗だったように見えます。

 これ以上広げると収拾がつかなくなるのでまとめに入りますが、パーティ券の再分配自体はもちろん現行法に反するなら取り締まるべきでしょうが、それ以前として政治献金について、今一度立ち返るべきに来ているのではないかというのが私の見方です。端的に言えば政党助成金の制度が日本の政治を矮小化させ、またこの助成金自体が小沢一郎をはじめとする制度設立者の不正の温床にもなっている点があり、なくせとは言いませんがこの際助成金の総額を思いきり減らした方がいいのではないかと思います。
 その代わりとして、公開を原則に個人献金を受け取りやすい制度にして、党本部が税金をバックとした助成金で異常な権力を持つ今の状況を改革すべきだと思います。そこまで今回のパーティ券に関する報道で議論が広がらない点に、ひそかに不満に思っています。

2023年12月2日土曜日

レオパレスは改修工事をきちんと行っているのか?

 先日、同僚とのふとした会話からテレビ東京が放送する「ガイアの夜明け」という番組に話題が及びました。この番組は企業ドキュメントで、実在する企業を密着取材して放送するという内容で、見方を変えるとテレビで事業を紹介してやるから代わりに宣伝費を出して的な、経済報道であるあるなバーター的な内容となっています。そのため一部視聴者からは「提灯番組」などとも呼ばれていましたが、その評価を覆したのが、あの伝説となったレオパレス回でした。

 この「ガイアの夜明け」で放送されたレオパレス回では、ほかの回同様に社長への直接インタビューシーンも放送されたのですが、そのシーンで番組スタッフはレオパレスの社長に対し、サブリース契約でオーナーに対し賃下げを強く要求するよう社員に指示するメールを提示して、「かなり違法なことをやってませんか?」的に、何故か社長への直接インタビューが直接追及へと切り替わる場面となっていました。なので登場当初はやや楽しそうにインタビューに臨んでいた社長でしたが、一瞬で顔が変わり、「いや、そんなの知らない……」と、苦し気に否定するだけでした。
 敢えて言えば提灯から刃物が飛び出すかのような番組となり、ぶっちゃけレオパレス側も当時は相当混乱したかと思います。こんなサプライズ、それまでになかったんだし。

 その衝撃の放送から翌週、テレビ東京はまたもレオパレス追及番組を組み、サブリース問題だけでなく建設したアパートの多くで界壁が設けられていないなどの建築基準法違反を取り上げ、レオパレス叩きにうなりをあげました。これらテレ東の報道がきっかけとなりレオパレスへ社会の非難が一斉に殺到し、政府もレオパレスに立ち入り捜査を行うなど、事態はどんどんレオパレスにとって悪化していきました。その後、「組織的に指示したわけじゃない」などと誰でもわかる嘘をつきつつも、界壁などの建築基準違反は今後改修工事にて是正していくとレオパレスは約束しましたが、これまでがこれまでだけにどうせ口だけだろうと内心私は思っていました。

 そんなことがあったことを同僚との会話で思い出し、あれからレオパレスが廃業したという話も聞かないけどどうしたことやらと思って業績を確認してみると、騒動発覚後に一時大きく落ち込んだものの、直近においては大分業績が改善し、株価も以前のような水準に戻っていました。はっきり言えば意外この上なく、不正規模の大きさから当時ですら改修にあたってレオパレスのキャッシュフローは尽きるという見方もあっただけに、いったいどうやってここまで持ち直したのかという点で気になりました。

当社施工不備物件の改修に関するお知らせ(株式会社レオパレス21)

 まず初めに、当時やると言った改修工事を実際には行わなかったのかという疑いを持ちました。なので調べてみたところ、一応改修工事は当初掲げた目標完了時期は達成不可能として2024年末へと延期されてはいたものの、現在も工事は続けており、これまでの改修軒数や今後の改修軒数などの数字データを定期的に公開していました。
 割とこういう問題は喉元過ぎたら無視する会社が多いだけに、こうしてきちんとデータを定期的に公開している点は正直に好感が持てます。もっとも敢えて全体母数の数字を隠している節があり、工事の実際進捗率について伏せているのは往生際が悪いとは思いますが。


 もっとも、その改修工事の実施に関して全く疑惑がないわけでもないようです。上記の全国賃貸住宅新聞の記事によると、改修工事を未実施のまま期間満了を理由にオーナーとの契約をレオパレスが切ろうとし、契約が切れた後は改修保証を行わないなどということを契約に盛り込もうとしたという疑惑が、今年4月になんと国会で指摘されていたようです。もちろんこうした改修義務放棄は違法であると国交省も回答しているようなのですが、まぁレオパレスならやりかねないことだと思えるだけに、あまり不思議には感じません。

 むしろこうやってオーナーとの契約を切ることで、改修すべき物件数を減らして、「回収がこれだけ進みました!」的に主張しているのではないかいう風にも見ています。っていうか本当にまじめに回収する気があるなら、過去調査において検出した改修対象軒数と、時系列での改修軒数をリストアップし、場合によっては改修物件の名称なども公開するものだと思います。それをやらないあたり、何かしら数字を操る作為が背後にあると疑ってかかるべきです。

 結論から言えば、業績はよくなっているかもしれないが依然としてレオパレスは後ろめたいものを隠しているという印象を覚えます。そういう意味では今後とも、この会社とはかかわりあいになりたくないものです。