ページ

2020年9月12日土曜日

昨今の中国の拡張政策について

 たまには真面目なこと書こうと思うので、昨日知人にやってきた昨今の中国の拡張政策について少し意見をまとめます。

 報道でも出ている通り、最近中国はコロナの世界的流行にかこつけてやたらと拡張政策を取ってきています。東は日本の尖閣諸島と台湾、南はベトナムと揉めている南沙諸島、西はインドと揉めているカシミール地方でそれぞれあからさまに挑発的な行動をとっており、これら地域での権益や帰属の拡大を巡って動いています。一体何故中国が今年に入ってからこうした動き活発化させてきたのは言うまでもなくコロナ流行が影響しているとみられます。

 具体的には、多分一般メディアで書いても「隠蔽している」と言われて信じられないでしょうが、中国はいち早くコロナの国内流行を鎮静化させ、一部で集団感染が発生しつつも他の都市への拡大は防いでいます。それに対し日本を始め他の国では未だにコロナが流行し続けており、国内の感染拡大予防措置で手一杯だから外交に手が回らないと踏んだのか、5月くらいから中国は急に上記エリアでの拡張政策を取るようになってきました。
 もう一つファクターを挙げるとすると、米国の大統領選が近いということも中国は計算に入れたかもしれません。大統領選挙での再選を目指し政治的実績が欲しいトランプ大統領(最近だとイスラエルの周辺諸国との国交回復)は、コロナで国内も荒れているし中国との外交のためにいろいろとは動けないと踏んだのだと思います。

 ただ結果論で言うと、仮定とは言えこうした中国の目論見は外れました。結果的にはこれらの中国の拡張政策は「コロナで大変な時に余計な面倒作りやがって(# ゚Д゚)」的な感じで当事者たちの反感を買っただけでなく、香港に対しても突然強権的な態度に切り替えたことは欧州諸国を刺激し、先日のチェコ議長の台湾訪問と「台湾マイフレンド」発言によって、はっきりと表面化するようになりました。
 また静観するとみられたトランプ大統領がここでも中国の期待を裏切る(応える?)形で台湾に対する支援を打ち出すなど、一言で言えば、なんも実入りないのに無駄に周囲のヘイトを高めるだけで終わりました。

 なお中国国内では、「コロナの国内不満をそらすため、中国を悪者に仕立てるよう挑発的な態度を取っている」などとインドなどについて説明しています。仮にインドだけの問題だったら一考に値したでしょうが、こうもあちこちで同時多発的に拡張政策を取っている中国が言ってたら、さすがに私も信じるはずもありません。まぁ大半の中国人は信じてるけど。

 さすがに事ここに至って中国も自分がやっていることがヘイト稼ぐだけであまり意味ないことに気が付いたのか、8月あたりから目に見えてトーンダウンしてきました。それどころか比較的まだ話が通じそう(カモにしやすそう)と踏んだのか、露骨に日本に対して「ニホンマイフレンド」的に秋波を送るようになってきています。この辺、次の菅氏の総理就任後により露骨になってくるという気がします。

 日本の外交としては大きく二つ選択肢があり、一つは中国の秋波に応えて仲良くする態度を見せる。こうすれば中国としてもありがたいし、何か譲歩なりを引き出すきっかけになるかもしれませんが、正直言って今中国から譲歩を引き出して得るものというのはあんまないです。通商とかでも一切揉めてないし。
 一方、「だが断る」戦略としては米国と一緒になって、とまではいかずとも、台湾とより近づくという戦略があります。無論これは米国だからこそあんな露骨にできるのであって、日本がやったら中国をマジギレさせる手段です。ただマジギレさせるほどでなくとも、台湾との交流を増やすとか、非政府系団体を使って台湾政府の立場を応援するなどして、間接的に中国にさらにプレッシャーをかけるというのははっきり言って有効だと思います。具体的には、「これ以上騒動起こすなら日本は米国とともに台湾につく」的な懸念を中国に持たせる方針です。

 また台湾を絡ませなくても、遠交近攻じゃないですがインドと仲いい振りするのも有効でしょう。「覇権主義に断固反対」と名指しせずに一緒に発言するだけで中国にとっては嫌な主張に見えてくるはずです。インドとしても、対中国政策で最近日本と米国との連携を探っているだけに、また日本と組んでも何も損することがないという点から渡りに船という風に見えます。

 もっともこうした外交はやはり米国あってのものというところがあるだけに、日本としてはひとまず次の大統領選の結果が出るまでは静観の一手に尽きるでしょう。ただもう一つ中国について言っておきたいこととしては、なんで一斉に全方向でこんなことをやったのか、アホなの?と言いたいです。
 仮にターゲットをインドやベトナムに絞ってやっていればここまで世界各国から警戒はされなかったでしょう。それをあからさまにコロナのタイミングを狙って同時にこんなことやってれば、そりゃヘイトを集めるに決まっています。この方向を定めない拡張方針を何故取ったのか、誰が取ったのかはわかりませんが、はっきり言ってあげるとこれは完全なミスであったと断じることができます。センスない政治家もいるもんです。

3 件のコメント:

上海熊 さんのコメント...

"インドと仲いい振りするのも有効”これはもう既にやってますね。海上自衛隊とインド海軍による2国間演習もやってますし、日系企業のインド進出も年々増えてます。

個人的には今の中国の対外拡張政策は習近平主席の3選を確実にする為もあるのかな、と思ってますが分かりません。

花園祐 さんのコメント...

 日本人はカレーの祖国としてインドに親近感を持っている人が多いですが、なんとなく見ている限りだと、インドの側は日本に対してそこまで親近感を持っていないように実は感じます。日本のインドカレー屋も、ほとんどネパール人が経営しているとも聞きますし。
 最近の中国の行動はなんとなく、中国らしくないように見えます。普段かなり合理的なのになんかやたら感情的になってて、その辺、おっしゃる通りの背景が動いているのかもしれません。

上海熊 さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。