ページ

2021年6月14日月曜日

金額でクオリティの差がつかない日本

 つい先ほど、夕食がてら時計屋で電池を交換してもらってきました。電池交換した時計はカシオの1000円で売っているゴムバンドのスポーツウォッチで、薄くてゴムバンドだから夏場自転車乗る時とかに良くて数年前に購入しました。あとで知りましたがうちのソ連人民の敵である親父も文字板が違うだけの同じ時計買っててなんやねんとか思いました。
 ちなみに買ったのはヨドバシで、調べてみたら「MQ-24-9ELJF」という型番で、今も1000円のままでした。

 その電池交換の際、店員から「50元(850円)と80元(1360円)のどっちだ?」と聞かれ、迷わず「80元」と答えました。これは何かというと電池の料金のことで、50元の方は約1年、80元の方は約2年もつ電池だと前に同じ店で聞いていたので、迷わず80元を選んだわけです。
 っていうか今書いてて気が付いたけど、電池の方が時計本体より高くなってんじゃねーか。これじゃ本体買いなおした方が安かったじゃん……。

 話を戻しますが、かつての自分だったらこういうところで変なケチ意識を出して50元の電池を選んでたと思います。しかしいくらかお金に余裕ができたのと、あと中国で暮らす期間が長くなったことから、こういう二者択一の際は高い金額の方を選ぶようになってきています。一体何故かと言うと、価格が品質に直結しているからです。

 中国の場合、安い商品を探そうとしたら本当に底がないくらい安い商品がいくらでもあります。しかしその手の安い商品、それこそ例えば布団シーツとかだと本当に質が悪く、選択したら一瞬で色落ちしたり、肌触りが悪かったり、経年劣化が激しかったりと不都合な事実が後からどんどん湧いて出てくるので、一番安い商品は基本買わないようにしています。
 一方、高けりゃいいってわけじゃありませんが、ある程度値段で差別化されている商品は差別化されるだけの要因をきちんと兼ね備えており、少なくと同じ店の商品であれば品質面で「安価<効果」の図式が成り立つため、単発ではなく比較的長く使う耐久消費財であれば意図的に高いものを購入するようにしています。そっちの方が明らかに生活上のストレスは小さいし。

 これが日本だと逆で、私も日本だったら一番安い商品を手に取る確率が上がると思います。何故かというと高い商品であっても安い商品とほとんど品質や機能面で差がなく、また安い商品でも全く使えないということはほぼなく、下手すりゃ高い商品を1回買うよりも、安い商品を買い換えていく方がコスパで上回ることも少なくないでしょう。

 そんな風に電池交換した後ですき家の焼肉キムチ丼を食べながら考えていると、案外こういう金額でクオリティに差がつかない、言い換えると最低価格製品に対する手厚い保障が日本のデフレを加速させているんじゃないかとふと思いました。
 前述の通り、中国だったら価格と品質がかなり相関してくる、感覚的には価格が2倍なら品質は4倍という具合で乗数的に正比例してくるのですが、日本の場合は加算的、価格が2倍なら品質はプラス2くらいな正比例に留まるため、安い商品でいいやと選ばれてしまうことがある気がします。っていうか企業側も、そうした感覚で価格を設定しているようにすら見えます。

 その結果と言うか、高価格帯よりもエコノミーな低価格帯商品が売り上げの中心となってデフレが加速しているというのが私の見方です。ついでに言うと、消費者もその感覚に慣れてしまって高価格帯商品をほとんど選ばない、というより低価格帯商品であっても高価格帯商品並みのクオリティと保障(アフターサービス)を当たり前のように求めてくるのが習慣となってきているようにも見えます。この辺もデフレに悪い意味で貢献しているでしょう。

 なお金額とクオリティが一致しないという点に関してかつて、関西人の知人が東京の飲食店がそうだと言っていました。曰く、高いお店でもおいしいとは限らないそうで、関西は高いお店だったらきちんとうまい店が多いとのことです。味音痴な自分はあんまその辺気にしたことはないです。
 逆にい自分が金額とクオリティが一致しないと思うのは主にゲームで、アホみたいなクソゲーに高い金額で買ってしまった後は悔しさでいっぱいになります。特に最近はインディーズゲーが増えており、単価自体は全体的に低いものの、アクセル踏むだけで軸線が勝手にまっすぐ向くレースゲーとか、ほんとなめんなよとやたら怒り狂ったことがあります。

6 件のコメント:

川戸 さんのコメント...

家電業界のアイリスオーヤマが低価格帯の製品を市場展開していますが、これが安物買いの銭失いと評判です。私が一人暮らしを始める際に同社の一人暮らしセット(全て新品の炊飯器と冷蔵庫、電子レンジが合わせて3万円)を検討したところ、母親に猛反対されたことが印象深いです。
また同社はノートパソコンも取り扱っていますが、型落ちのceleronにメモリ2GBという、ドンキ製なら2万円で販売しているジャンクを5万円という法外な価格に設定しています。しかもそれをある学校が授業のために仕入れたというのですから、日本のIT教育が危ぶまれます。
そういう意味で、日本の低価格信仰も崩れつつあると思います。安くて良い物は西友のプライベートブランド食品とダイソー電池くらいかな。

花園祐 さんのコメント...

 今一番自前で家電を作っているのは恐らくパナではなくアイリスオーヤマなんじゃないかと密かに見ていますが、そんなクオリティだったとは。少なくともノーパソは、自分が7年前にエプソンで格安で買ったスペックすら下回ってて確かにやばいですね。
 この記事に続きを書いてもいいですが、高価格帯商品も日本は値段と釣り合ってない気がします。こうした価格設定の不一致が、なんかいたるところで起きてる気がして経済混乱させてるのでは。

川戸 さんのコメント...

すみません、アイリスオーヤマのノートPCについて聞き及んだ情報が私の勘違いでしたので訂正させていただきます。
メモリは4GBでストレージが64GB、お値段税込み約55,000円となっております。
これに入ってるWindowsOSは10proという業務用OSです。なぜなら、これらの仕様は文科省が定める教育用PCの仕様書を満たすものであり、同社が教育機関に販路を拡大せしめんとする姿勢が表れているからです。よって、このPCが実際に教育機関に採用されたという情報は私の勘違いによるデマです。申し訳ございませんでした。
できれば、以前取り上げて下さったハードウェアやソフトウェア問題がIT教育に引き起こす弊害などを記事にして下されば、個人的に嬉しいです。

花園祐 さんのコメント...

 わざわざご確認いただき、ありがとうございます。まぁメモリ4Gでも今じゃいっぱいいっぱいで、これから小学生に配るってんならもうちょい機種を選べよなって感じしますね。自分も今新しいノートPC、できれば32GBクラスがほしいけど、「時期が悪いおじさん」じゃないですが今は本当に時期悪いので買い悩みます。
 ハード・ソフトウェア問題の記事と言うのは前にJBpressで出したハード信仰関連の記事ですか?まぁそれでなくてもIT教育に関しては各話題はあるので明日以降にでも書きます。今日はヘロヘロなので(ヽ´ω`)

ルロイ さんのコメント...

確かに東京の飲食店は高いのに微妙な店がよくありますね。大体、素材や店の雰囲気には物凄いこだわってるけど肝心の調理にこだわってないパターンです。東京じゃなくて大阪ですけど、テレビで高級ラーメン店が紹介されてて、「フォアグラとキャビアとトリュフが入ったラーメン」みたいなの出てて思わず「頭悪っ」と声を出してしまったことがあります。
逆にちょっと郊外で、都心の名店で働いてた人がこじんまりと店を出してたりもして、そういうところは安いのにすごい美味しかったりします。

日本人は傾向的に、質を無視する人ほど金儲けに走り、質を重視する人ほど儲けを無視するように感じます。クオリティとコストが比例しない不思議な国です。

花園祐 さんのコメント...

>日本人は傾向的に、質を無視する人ほど金儲けに走り、質を重視する人ほど儲けを無視する

 これは言われてみてまさにそうだと思うとともに、「俺絶対後者だσ(゚∀゚ )オレ」とも思いました。
 郊外のお店がおいしいというのは実は上海でもそうで、表通りは家賃が高いものの客がいっぱい入ってくるのに対し、裏通りのお店は家賃は安いけど客は来ず、本当に味で勝負するしかなく、味が悪ければすぐ潰れるからというのが理由だと同僚とよく話してます。