そんな伊能忠敬について今日通勤途中にまた「風雲児たち」を読み返してたら、彼の結婚に至る過程がかなりカオスだったことに気が付きました。伊能忠敬は元々伊能家の出身ではなく別の有力町人の一族だったのですが、少年時より聡明であったことから親戚を介して紹介される形で、伊能家に婿入りすることとなりました。ただ、その婿入りの経緯がかなりカオスだったりします。
というのも伊能家では何故か男ばかり次々と亡くなり、先代の一人娘のミチが迎えた跡取り予定だった婿も結婚後にすぐ亡くなりました。そこで新たな跡取りとして白羽の矢が立ったのが忠敬だったわけですが、その指名時の忠敬の年齢はなんと14歳という、現代では中二という年齢でした。
しかもお気づきでしょうがその相手はミチで、この時は忠敬より三つ上の18歳でいて未亡人という設定てんこ盛りな相手でした。ところがこれだけではなく、なんとこの時ミチは前の夫の子供を身ごもっていたということでした。
以上のような経緯から、さすがの忠敬も「いやこれ無理だって(;゚Д゚)」と言ったこともあり、結婚自体は3年置いてから執り行うこととなりました。そのため、忠敬が17歳、ミチが21歳、でもって前の夫の子供が2歳半くらいの時に正式に結婚して伊能家の跡取りとなりました。っていうか17歳で子連れの年上シンママ娶るなんて、この時点で忠敬は偉人じゃんとか思ってしまいます。
その後、忠敬は周囲の期待に見事にこたえて伊能家の事業を拡大させ、飢饉が起きるや迅速に食料を買い集めて周辺に安く供給し、あまりにも有能で地域の顔役にもなったことから名字帯刀も許されるなど完璧超人かのように活躍します。その後、妻ミチとは死別し、二人目の妻を取るもその人もすぐ亡くなり、三人目の奥さんも迎えていますが、生前のミチとは非常に夫婦仲が良かったと伝えられています。
伊能忠敬というと「老いてますます盛ん」とばかりに年取ってからのことばかり取り上げられていますが、若い時からも地元佐原で多方面で活躍しており、そこら辺を取り上げられないのは若干不公平な気すらします。そもそも、上記の結婚の経緯そのものの方が面白く、もっとこういうエピソードをみんな発信すべきでしょう。