これまた大分前、時間にすると六年も前の話になりますが、ある日友人から前にNHKがやっていた「真剣10代しゃべり場」という番組内でのある討論の話を紹介されました。この番組自体は私は一回も見たことはないのですが、何でも高校生くらいの子達が番組内で集まってテーマごとに忌憚なく意見を言い合う番組だったらしく、その内容に賛否両論が分かれたものの当時はそれなりに話題になった番組らしいのですが、ある回にて一人の高校生の男の子が、
「世の中みんなが社長になればいいんじゃないの?」
という意見を提案したそうです。
この男の子の意図することには、みんな雇われて上司からがみがみ言われてストレスを溜めながら働くくらいならいっそみんなが社長になってそれぞれバラバラに、自由に仕事をやった方が効率的なんじゃないのという、なんていうか男なら小学生の頃に一度は考えるであろう提案をこの番組でぶちまけたそうです。その結果は案の定というか、他の出演者からボロクソに「世の中そんなに甘くない」とか「うまくいくわけないだろ」とばかりに散々批判され、提案者の子は最後はパンチドランカー状態になったかのように元気をなくしていたそうです。
この話を紹介してくれた友人は話し終えた後、私に男の子のその提案をどう思うかと聞いたのですが私はというと、「確かに甘い考えといえば甘い考えではあるが、非常に前向きで明るい意見だと思うし、その子の心意気は素晴らしいと思うよ」と答えたところ、友人もそう思うと同調しました。
確かに社長、というよりは一事業主としてやっていくことは日本に限らずどの国でも大変なことですが、皆が皆それこそ一つの会社の社長のように個人として責任を抱える一方で、自分で自由に裁量できる範囲が今より拡大できればそこそこ世の中面白くなるんじゃないかと個人的に思います。戦後の日本はそれこそ可能な限り横並びであることが重要視されてきましたが、別に法律で決められているわけでもないのに大卒の初任給がどこも20万円±1万円で画一化されているのはやっぱりやり過ぎなんじゃないかなと思ったりします。
特に私の世代なんかは「個性を強く持て!>(゚Д゚ )」と散々言われてきて育ってきた世代でもあるので、近頃の若者を見ているとなんでもかんでも横並びであるよりは、個人ごとに多少のアレンジがあった方が仕事については働きやすいんじゃないかと思います。まぁ横並びから大きく外れたら、それはそれで不安にかんじる世代でもあるんだけど。
ここで最初の「みんなが社長になればいい」という意見ですが、さすがにみんな社長になれとまでは言いませんが、私はみんな揃って出勤し、みんな揃って休みを取って、みんな揃って同じ給料の現状に対して、正社員でも個人ごとにいくらか応用の利く様な働き方にこれからは変えていく方が全体の利益に叶うのではないかと提案します。それこそプロ野球選手のように毎年年度末にそれぞれ雇用主に意見を言って、自分の要求を通したり相手の要求を呑んだり、それによって年俸も変動するような、そういった形態がすこしはあってもいいんじゃないかとおもいます。たとえるなら、
「(´д)<あなたはこの一年でこれというスキルアップがなかったとはいえ大きなミスもなく仕事をしてきたので、来期の年俸は今期の維持で300万円でどうでしょう?」
「( ゚Д゚)<私はこの一年、成績の上がらなかった部署にいたので功績など作りようがありませんでした。にも関わらず大きなミスもしなかったのでもう少し上げてください」
「(´д)<それはどこの部署も一緒です。悪かった部署にいたのは考慮しますが、会社全体でみればあなたに特段の功績があったようには思えません」
「( ゚Д゚)<私はこの部署で、うだつの上がらない上司の愚痴を一年間黙って聞いて部署内の調和に貢献したと自負しております。この点を評価してせめて10万アップさせてください」
「(´д)<あなたの上司の愚痴には同情しますが、社会人としては基本的なことなので我慢してください」
「( ゚Д゚)<ではこれから私の上司だけでなく、あなたの上司の愚痴ももう聞いてあげません」
「(´д)<それでは、来期は15万円アップの315万円で契約しましょう」
という具合に、それぞれインセンティブ的なものがあった方がいいんじゃないかと思います。
さすがにこの会話文は極端な例ですが、例えば給料を一段下げる代わりに有給休暇日を増やしたり、土曜の午前に出勤する代わりに水曜日は午後から出勤できるようにしたり、全社員で画一的な規則ではなくそれぞれがそれぞれの希望を反映できる働き方の方もあってもいいんじゃないかと思います。さしあたって私は、有給休暇日の範囲内で場所ごとに一日相撲を観戦にいけるように契約したいです。
おまけ
中国の一部の企業は年度末などのボーナスが物納で行われるそうです。多分クリスマスプレゼントみたいに決められた金額の範囲内で社員の希望の品を会社が買ってプレゼントするのだと思いますが、これだったら会社の経費で処理できるので、日本にあっても悪くないと思います。なお昔は中国の公務員もこれだったらしく、旧正月の前に魚とか大根を持って帰る官僚がたくさんいたらしく、あの頃の方がアットホームで良かったと懐かしがっている官僚も少なくないようです。
ここは日々のニュースや事件に対して、解説なり私の意見を紹介するブログです。主に扱うのは政治ニュースや社会問題などで、私の意見に対して思うことがあれば、コメント欄にそれを残していただければ幸いです。
2009年5月20日水曜日
2009年5月19日火曜日
現状分析の必要性
これは有名なエピソードなので知っている方もたくさんおられると思いますが、元プロ野球選手の牛島和彦氏が現役時代、当時の投手コーチから「9回2死満塁、カウント2-3からどんな球を投げるか?」という質問を受けた際、他の投手がそれぞれの決め球を挙げる中で一人だけ「分からない」と答えたそうです。その理由を問われると牛島氏は、
「どのような状況で2-3となったかによって、最後に投げる球も変わってくる。2-3となるまでの経緯がないと、最後の球も決められない。点差によっても投げる球は変わるし、一概に決められるものではない」(Wikipedia引用)
というように答えて、コーチも納得したそうです。なお後年に牛島氏はこの時を振り返り、もしこの時のコーチが稲尾和久氏でなければきっと嫌われただろうと述べています。
これはなかなか含蓄深いエピソードで私も気に入ってよく使っているのですが、この時の牛島氏の発言の趣旨を改めて要約すると、「現状のピンチに対する対策はなぜピンチに至ったのかという過程、そしてそのピンチが今後どれほど広がる可能性があるのかを把握していなければ決められない」というものだと私は理解しています。
この意味は何も野球に限らず日常の様々な場面でも当てはまり、よくよく考えてみると何かトラブルが起きた際に人は一般的な対処法に頼りがちですが、状況によってはその対処法が逆効果を起こしてしまうことも少なくない気がします。例えばこれはある実例ですが、昔アマゾンの密林に航空機が墜落した際、その後の調査で奇跡的に墜落後も生存していた乗客が何人かいたようなのですが無事に生還したのはたった一人の少女だけだったそうです。
通常、山で遭難するなどサバイバルな状況になった場合は下手に動いて体力をすり減らすよりもじっと救助を待った方が生存できる確率は高いといわれているのですが、この時の墜落の場合は密林という墜落地が見つけづらい場所であったことから、墜落後にすぐに人里を求めて密林を歩いた少女だけが生き残り、その他の墜落後に生存していたであろう乗客は皆墜落地を動かずに死亡してしまったそうです。なおその墜落地は少女が保護された後に行った証言から判明したそうです。
このようにサバイバル知識としては非常に一般化している「動かずに救助を待つ」という対処法も、時と状況によっては逆の結果を生むこともあり、よくよく自らの置かれた現状と近く予想される事態を考慮して対策や行動を行うことが非常に重要だと私は考えております。
そういう意味で現下の政府の経済対策として提出している補正予算案について、私は果たして現状分析がしっかりなされて作られているのか疑問に思ってしまいます。今日街頭に立っていた選挙候補者などは小出しに財政出動はやるべきではなくまとめて一気に行うことが重要だと演説しており、確かにその言も全く理解できないわけではありませんが、どこに問題があると分かって効率的に資金を振りまけるのかというと、今回の補正予算案はエコポイントがなんに還元されるのかがまだ決まっていないのをみるとそういった現状分析はしっかりとなされていないのではないかと思ってしまいます。
こういう風に思うのも私がやたらと調査にうるさい社会学士の端くれだからかもしれませんが、私は今の補正予算案、ひいては国会を通過した本予算案もいわゆる一般的対処法として戦後扱われ続けた「ケインズ的不況対策」に忠実に則ったものに見えます。ケインズの提唱した政策は確かに過去に実績を挙げたとされますがそれが今回の場合にも適用できるのか、そうした議論が今国会で行われることを期待します。
「どのような状況で2-3となったかによって、最後に投げる球も変わってくる。2-3となるまでの経緯がないと、最後の球も決められない。点差によっても投げる球は変わるし、一概に決められるものではない」(Wikipedia引用)
というように答えて、コーチも納得したそうです。なお後年に牛島氏はこの時を振り返り、もしこの時のコーチが稲尾和久氏でなければきっと嫌われただろうと述べています。
これはなかなか含蓄深いエピソードで私も気に入ってよく使っているのですが、この時の牛島氏の発言の趣旨を改めて要約すると、「現状のピンチに対する対策はなぜピンチに至ったのかという過程、そしてそのピンチが今後どれほど広がる可能性があるのかを把握していなければ決められない」というものだと私は理解しています。
この意味は何も野球に限らず日常の様々な場面でも当てはまり、よくよく考えてみると何かトラブルが起きた際に人は一般的な対処法に頼りがちですが、状況によってはその対処法が逆効果を起こしてしまうことも少なくない気がします。例えばこれはある実例ですが、昔アマゾンの密林に航空機が墜落した際、その後の調査で奇跡的に墜落後も生存していた乗客が何人かいたようなのですが無事に生還したのはたった一人の少女だけだったそうです。
通常、山で遭難するなどサバイバルな状況になった場合は下手に動いて体力をすり減らすよりもじっと救助を待った方が生存できる確率は高いといわれているのですが、この時の墜落の場合は密林という墜落地が見つけづらい場所であったことから、墜落後にすぐに人里を求めて密林を歩いた少女だけが生き残り、その他の墜落後に生存していたであろう乗客は皆墜落地を動かずに死亡してしまったそうです。なおその墜落地は少女が保護された後に行った証言から判明したそうです。
このようにサバイバル知識としては非常に一般化している「動かずに救助を待つ」という対処法も、時と状況によっては逆の結果を生むこともあり、よくよく自らの置かれた現状と近く予想される事態を考慮して対策や行動を行うことが非常に重要だと私は考えております。
そういう意味で現下の政府の経済対策として提出している補正予算案について、私は果たして現状分析がしっかりなされて作られているのか疑問に思ってしまいます。今日街頭に立っていた選挙候補者などは小出しに財政出動はやるべきではなくまとめて一気に行うことが重要だと演説しており、確かにその言も全く理解できないわけではありませんが、どこに問題があると分かって効率的に資金を振りまけるのかというと、今回の補正予算案はエコポイントがなんに還元されるのかがまだ決まっていないのをみるとそういった現状分析はしっかりとなされていないのではないかと思ってしまいます。
こういう風に思うのも私がやたらと調査にうるさい社会学士の端くれだからかもしれませんが、私は今の補正予算案、ひいては国会を通過した本予算案もいわゆる一般的対処法として戦後扱われ続けた「ケインズ的不況対策」に忠実に則ったものに見えます。ケインズの提唱した政策は確かに過去に実績を挙げたとされますがそれが今回の場合にも適用できるのか、そうした議論が今国会で行われることを期待します。
2009年5月18日月曜日
新型インフルエンザの感染拡大について
すでに各ニュースでも報道されている通り、これまで数人だった感染者数が先週土曜日から関西地域を中心に急拡大し、今日には確認感染者数だけで百人を超すなど新型インフルエンザが猛威を振るっております。今回の新型インフルエンザはわかっている情報の限りだと、毒性についてはH5N1型の鳥インフルエンザよりは大幅に弱いものの空気感染によって爆発的に広がるなど感染力については折り紙つきといわれており、現在の事態を見る限りそれらの情報に間違いはないと思います。
さて今回の日本の感染拡大についてですが、当初はカナダに学校主催のツアーにて訪れていた関西の高校生らが国内初の感染者として報告され、現在感染が拡大化している地域が神戸を中心としているのを見るとやはりこの時の潜在的感染者から広まったとみるべきかもしれません。しかしこういってはなんですが、遅かれ早かれこのような事態にはなると予想されていたので、感染が広がっている現在においてそのカナダへの旅行を企図した学校や、初の感染者となった高校生らを非難するのは明らかに間違った行為でしょう。
・【新型インフル】「帰ってくるな」「謝れ」…大阪・寝屋川市や学校に中傷殺到(MSNニュース)
残念なことに、上記にリンクを貼ったニュースでも書かれている通りに中には心無いクレームをつけてくる人間も少なからずいるようです。
しかしただでさえ感染力の強いこの新型インフルエンザですから、私はそれこそ可能な限りの対策を行ったとしても国内での感染拡大は防げなかったと思います。というのも現在感染者数が多いのはカナダやアメリカ、メキシコといった国ですが、こういった国で感染者が多いのは感染している人間が他国より多いというのも事実ですが、それ以上に感染者がそうであるとわかる医療体制を持つ先進国という要素の方が強いと思います。それこそ発展途上国やお隣のだだっ広い中国にいたってはたとえ感染者がいたとしても、なかなかそれが新型インフルエンザだと気づけないばかりか中国の地方政府によっては感染の事実を隠蔽しようとするところもある気がします。
言ってしまえばそういった感染者が出ていないと思って旅行したところで帰ってきたら感染していたということもおおいに考えられ、ここ数週間の間に日本が行っていた水際対策が無駄だったとは言いませんが、防ぎきるのには自ずから限界があったでしょう。
ではこれからどうすればいいかですが、まずは慌てずに落ち着くことです。先ほどの高校生へのクレーマーのように大騒ぎしたところで感染者が減るわけでもないのですし、また一部の報道によると複数の医療機関が今回の新型インフルエンザが疑われない場合においても診療を拒んだという行為も報告されております。警戒を怠るのは以ての外ですが、無用に慌ててパニックを起こすというのもまた愚考です。幸い、今回の新型インフルエンザは毒性はそれほど強くないといわれているので、社会機能が著しく低下するのを避けつつどう感染拡大を防ぐかといった対策の整備を推し進めるのが第一でしょう。
またこれはまだ結論として出されていないものの、今回の新型インフルエンザは老人にはかかりづらいとアメリカなどから報告されております。これは逆に言うのならば若者ほどかかりやすいということになり、日本でも高校生らが最初に感染した(成人の教師一人も含まれていましたが)事実を考慮するとあながち無視できない傾向のように思えます。だとすると対策で重要になるのはそういった若者の感染をどう防ぐかということで、小、中、高の学校でどれほどまで休校や感染予防対策を採るかが肝心になってきます。さっそく関西の学校では本日から休校になったところが多かったそうですが、それをどこまで行うか、また休校した分の授業をどこで補填するのか、そういった議論が今後必要になってくると思います。
さて今回の日本の感染拡大についてですが、当初はカナダに学校主催のツアーにて訪れていた関西の高校生らが国内初の感染者として報告され、現在感染が拡大化している地域が神戸を中心としているのを見るとやはりこの時の潜在的感染者から広まったとみるべきかもしれません。しかしこういってはなんですが、遅かれ早かれこのような事態にはなると予想されていたので、感染が広がっている現在においてそのカナダへの旅行を企図した学校や、初の感染者となった高校生らを非難するのは明らかに間違った行為でしょう。
・【新型インフル】「帰ってくるな」「謝れ」…大阪・寝屋川市や学校に中傷殺到(MSNニュース)
残念なことに、上記にリンクを貼ったニュースでも書かれている通りに中には心無いクレームをつけてくる人間も少なからずいるようです。
しかしただでさえ感染力の強いこの新型インフルエンザですから、私はそれこそ可能な限りの対策を行ったとしても国内での感染拡大は防げなかったと思います。というのも現在感染者数が多いのはカナダやアメリカ、メキシコといった国ですが、こういった国で感染者が多いのは感染している人間が他国より多いというのも事実ですが、それ以上に感染者がそうであるとわかる医療体制を持つ先進国という要素の方が強いと思います。それこそ発展途上国やお隣のだだっ広い中国にいたってはたとえ感染者がいたとしても、なかなかそれが新型インフルエンザだと気づけないばかりか中国の地方政府によっては感染の事実を隠蔽しようとするところもある気がします。
言ってしまえばそういった感染者が出ていないと思って旅行したところで帰ってきたら感染していたということもおおいに考えられ、ここ数週間の間に日本が行っていた水際対策が無駄だったとは言いませんが、防ぎきるのには自ずから限界があったでしょう。
ではこれからどうすればいいかですが、まずは慌てずに落ち着くことです。先ほどの高校生へのクレーマーのように大騒ぎしたところで感染者が減るわけでもないのですし、また一部の報道によると複数の医療機関が今回の新型インフルエンザが疑われない場合においても診療を拒んだという行為も報告されております。警戒を怠るのは以ての外ですが、無用に慌ててパニックを起こすというのもまた愚考です。幸い、今回の新型インフルエンザは毒性はそれほど強くないといわれているので、社会機能が著しく低下するのを避けつつどう感染拡大を防ぐかといった対策の整備を推し進めるのが第一でしょう。
またこれはまだ結論として出されていないものの、今回の新型インフルエンザは老人にはかかりづらいとアメリカなどから報告されております。これは逆に言うのならば若者ほどかかりやすいということになり、日本でも高校生らが最初に感染した(成人の教師一人も含まれていましたが)事実を考慮するとあながち無視できない傾向のように思えます。だとすると対策で重要になるのはそういった若者の感染をどう防ぐかということで、小、中、高の学校でどれほどまで休校や感染予防対策を採るかが肝心になってきます。さっそく関西の学校では本日から休校になったところが多かったそうですが、それをどこまで行うか、また休校した分の授業をどこで補填するのか、そういった議論が今後必要になってくると思います。
2009年5月17日日曜日
刑事裁判における心神耗弱による免責について
昨日友人とこの頃私がよくハマっているスカイプで会話をした際、昔に話したことのある話題を敢えて取り上げてみました。その話題を話したのは確か五年前だったと思いますが友人もよく覚えており、今回もまた盛り上がったので一つ今日はその話題について解説しようと思います。その話題というのも、刑事裁判において免責理由となる心神耗弱についてです。
私の専攻は社会学ですが昨日話した友人は法学部の出身で、大分以前に日本の刑事裁判の仕組みについて簡単に説明を受けました。日本の刑事裁判というのは基本的には、「どう犯罪者を更正させるか」という方法を考える裁判であって、被告人を更正させるのに三年間が必要と判断されれば懲役三年が判決され、具体的な期間が定まらないほど難しいと判断された場合は無期懲役、そして更正のしようがないと判断されれば死刑が判決される、というような建前で行われているそうです。
しかしこうした判決は被告人が一般的な物事が理解でき、更正するための教育を受けられる責任、理解能力があることを前提に下りるようになっています。そのためいわゆる心神喪失状態の人間などは、たとえ犯罪を犯しても更正を行うことが出来ないとして極端な場合だと無罪判決が下りることもあるそうです。またこれに準ずるものとして犯罪時に著しく心神が衰弱、もしくは耗弱しているなど失調をきたしている場合は、正常な判断でその犯罪を実行したものとみなされず罪が減刑されることもあるそうです。
実際にニュースなどで裁判の模様が報道される場合に十年位前から、「被告は犯行当時心神耗弱状態にあり……」という弁護人の説明をよく聞くようになりましたが、私はというと元から大の心理学嫌いということもあり、そんなうさんくさいもので刑罰が減免されるなんてどこかおかしいんじゃないかと前から思っていたので、五年前のある日にその友人に話してみました。するとその友人がなんで最近の裁判でこれほどまでに弁護側が心神耗弱を陳述で述べるのかという理由について、以下のように教えてくれました。
まず殺人などの凶悪犯罪の場合、一般人の感覚からしたら犯人の犯行時の心境は明らかに常軌を逸している場合が多く、そうした状況に心神耗弱という理由をつけやすいために弁護側はこのところ率先して弁護理由に挙げるようにしているそうです。なおかつこの心神耗弱を減刑理由に挙げたとしても弁護側は裁判にて何も不利になることはなく、それが通りさえすれば被告の減刑は果たせるのだから言うだけ言ってみようととりあえず使う弁護人が多いのではと言っていました。
実際に私の目からしてもこのところの裁判では明らかに心神耗弱とは言えなさそうな犯人にすらもこれを弁護理由に挙げる弁護人ばかりで、そのたびに犯行時の犯人の精神状態が裁判にて争点になっては裁判が無駄に長期化しているのではないかとこのところ思います。ただでさえ判決が下りるまで時間がかかるといわれる日本の裁判において、それこそ全然精神がしっかりしていた犯人に対して無理やりにまで心神耗弱を弁護理由に挙げられる様を見せられると、一市民として犯人もろともそうまでして減刑を勝ち取ろうとする弁護人らに対し、それが彼らの仕事なのですから仕方はないのですが腹立たしさを覚えます。
しかもこれはこの前にテレビで見た話ですが、こうした心神耗弱を判定するには専門の精神科医が約一ヶ月もかけて判定せねばならず、なおかつそうしてまで出した結果は精神科医によってまちまちで一致しないことも少なくないそうです。なので無駄に裁判を長期化させないために、明らかに心神耗弱が疑われない場合においてそれを弁護理由に挙げた場合には、被告や弁護人に対して一定のペナルティを与えるなり一定の基準を設けるなりしててでも、こうした無秩序な心神耗弱の乱用に終止符を打つべきではと素人ながら思います。
私の専攻は社会学ですが昨日話した友人は法学部の出身で、大分以前に日本の刑事裁判の仕組みについて簡単に説明を受けました。日本の刑事裁判というのは基本的には、「どう犯罪者を更正させるか」という方法を考える裁判であって、被告人を更正させるのに三年間が必要と判断されれば懲役三年が判決され、具体的な期間が定まらないほど難しいと判断された場合は無期懲役、そして更正のしようがないと判断されれば死刑が判決される、というような建前で行われているそうです。
しかしこうした判決は被告人が一般的な物事が理解でき、更正するための教育を受けられる責任、理解能力があることを前提に下りるようになっています。そのためいわゆる心神喪失状態の人間などは、たとえ犯罪を犯しても更正を行うことが出来ないとして極端な場合だと無罪判決が下りることもあるそうです。またこれに準ずるものとして犯罪時に著しく心神が衰弱、もしくは耗弱しているなど失調をきたしている場合は、正常な判断でその犯罪を実行したものとみなされず罪が減刑されることもあるそうです。
実際にニュースなどで裁判の模様が報道される場合に十年位前から、「被告は犯行当時心神耗弱状態にあり……」という弁護人の説明をよく聞くようになりましたが、私はというと元から大の心理学嫌いということもあり、そんなうさんくさいもので刑罰が減免されるなんてどこかおかしいんじゃないかと前から思っていたので、五年前のある日にその友人に話してみました。するとその友人がなんで最近の裁判でこれほどまでに弁護側が心神耗弱を陳述で述べるのかという理由について、以下のように教えてくれました。
まず殺人などの凶悪犯罪の場合、一般人の感覚からしたら犯人の犯行時の心境は明らかに常軌を逸している場合が多く、そうした状況に心神耗弱という理由をつけやすいために弁護側はこのところ率先して弁護理由に挙げるようにしているそうです。なおかつこの心神耗弱を減刑理由に挙げたとしても弁護側は裁判にて何も不利になることはなく、それが通りさえすれば被告の減刑は果たせるのだから言うだけ言ってみようととりあえず使う弁護人が多いのではと言っていました。
実際に私の目からしてもこのところの裁判では明らかに心神耗弱とは言えなさそうな犯人にすらもこれを弁護理由に挙げる弁護人ばかりで、そのたびに犯行時の犯人の精神状態が裁判にて争点になっては裁判が無駄に長期化しているのではないかとこのところ思います。ただでさえ判決が下りるまで時間がかかるといわれる日本の裁判において、それこそ全然精神がしっかりしていた犯人に対して無理やりにまで心神耗弱を弁護理由に挙げられる様を見せられると、一市民として犯人もろともそうまでして減刑を勝ち取ろうとする弁護人らに対し、それが彼らの仕事なのですから仕方はないのですが腹立たしさを覚えます。
しかもこれはこの前にテレビで見た話ですが、こうした心神耗弱を判定するには専門の精神科医が約一ヶ月もかけて判定せねばならず、なおかつそうしてまで出した結果は精神科医によってまちまちで一致しないことも少なくないそうです。なので無駄に裁判を長期化させないために、明らかに心神耗弱が疑われない場合においてそれを弁護理由に挙げた場合には、被告や弁護人に対して一定のペナルティを与えるなり一定の基準を設けるなりしててでも、こうした無秩序な心神耗弱の乱用に終止符を打つべきではと素人ながら思います。
2009年5月16日土曜日
民主党新代表に鳩山氏就任について
今日は折角の土曜日なのに昼前から頭痛がし始めたので安静にしようと寝ていたらどんどん悪化して、三時ごろには脳溢血かと思うくらいのあまりの痛さに「ウワァァ>(ノ´Д`))」ってな具合に顔文字入れると緊迫感がなくなりますが、リアルに悲鳴を上げるほどの辛さでした。元々頭痛持ちだけど、今日ほどの痛みがあったのは初めてかもしれません。
それでも夕方五時くらいまでずっと寝ていてようやく今になって小康状態になり、無事今日の相撲も見ることが出来ました。それにしても昨日は夜十一時に床に着いたのに、すごい睡眠時間だ。
そういうわけで今日のニュースですが、昨日にも書きましたが民主党の代表選についてです。下馬評どおりに鳩山氏が勝利して新代表に就任しましたが、今回の鳩山氏の就任について友人が早速メールにて、これで吉田茂の孫と鳩山一郎の孫が戦い合う構図となり、自民党の初代総裁である鳩山一郎の孫が自民のカウンターパートに回るというのは因果なものだと言っていますが、まさにその通りでしょう。
なお吉田茂と鳩山一郎はなかなか因縁が深く、鳩山は大政翼賛会に属していなかったことから戦後に自由党のリーダーとなるのですが、戦前の思想弾圧事件の滝川事件に文部大臣時に関与していたとして戦後にGHQから公職追放に合い、その鳩山のピンチヒッターとして自由党の総裁となったのが吉田茂でした。その吉田は鳩山がいないことをよくいろいろ好き勝手に振る舞って鳩山の公職追放が解けた後も総裁の座に居座ろうとし続けましたが、最終的には世論に押されて鳩山へとバトンタッチをすることになったのですが、なんとなく今の政界の構図と通じるものがあります。
さて今回鳩山由紀夫氏が当選したことで今後の政局にどのように影響するかですが、鳩山氏は就任後の会見にて総選挙をすぐに行うのであれば補正予算案の参議院での審議をしっかりと行うことを条件に、早めに法案を通すのに応じてもよいと話しましたが、当の自民党の麻生首相があまり早くに選挙をやりたがっていないのと、決断が遅いことを考えればやはり選挙は八月以降になると私は予想します。
では仮にこのままの体制で選挙になるとしたらどんな政策を民主党が打ち出してくるかですが、一つ考えられるのは世襲制についてだと思います。私も「国会議員の世襲比率」の記事でわざわざ自分で調査しましたが、格差社会といわれて久しいこの世の中では議員の世襲は大きな争点になる可能性があり、また先月に自民党内でも屈指の叩き上げ議員である菅義偉氏が自民党内で独自に世襲制限を設けようとしたところ、多くの重鎮議員によって研究会を潰されたこともあって選挙後の自民党内の造反を誘発させる意味合いでも効果的だと考えられます。
またこの世襲制限について、鳩山由紀夫氏が主張するのはある意味うってつけだと私は思います。というのも鳩山氏は血筋で言えば確かに世襲議員ではあるものの、初当選時より父親の選挙区とは関わりのない北海道の選挙区より出馬を続けており地盤で言えば世襲議員に当たりません。この前読んだ記事によるとどうもイギリスの選挙で政治家の子弟が出馬する際は、まさにこのように親の地盤のある選挙区とは全然別の選挙区から出馬させるように政党が仕向けるそうです。そうした別天地ともいえる選挙区でドブ板選挙を学ばせ、たとえそこで当選しなくとも党内の職に就かせて養うことで政治家の育成を行うそうなのですが、私が理想とする世襲制限はまさにこの形で、そういう意味では鳩山氏の現在の立場というのはそのモデルケースでもあり私も支持しやすい形でもあります。
最後にこうした鳩山氏の代表就任に対して自民党の対応の仕方ですが、ふざけてやるんだったら麻生氏を一回降ろして、あえてここで弟の鳩山邦夫氏を総裁にして兄弟骨肉の戦いになったりしたらいろいろと面白そうですし、邦夫氏本人もどこかそれをねらっている節も見えます。なお先月号の文芸春秋にてこの二人の対談もありましたが、思ったより仲が悪くないなという印象を受けました。
どうでもいいですが由紀夫氏は東大工学部卒(これからは技術の時代だと考えて入学したそうです)、邦夫氏は東大法学部の出身で、文字通り華麗なる一族のはずなんですが、お互いにキャラが濃いからあまり華麗そうには見えないのは不思議なものです。
それでも夕方五時くらいまでずっと寝ていてようやく今になって小康状態になり、無事今日の相撲も見ることが出来ました。それにしても昨日は夜十一時に床に着いたのに、すごい睡眠時間だ。
そういうわけで今日のニュースですが、昨日にも書きましたが民主党の代表選についてです。下馬評どおりに鳩山氏が勝利して新代表に就任しましたが、今回の鳩山氏の就任について友人が早速メールにて、これで吉田茂の孫と鳩山一郎の孫が戦い合う構図となり、自民党の初代総裁である鳩山一郎の孫が自民のカウンターパートに回るというのは因果なものだと言っていますが、まさにその通りでしょう。
なお吉田茂と鳩山一郎はなかなか因縁が深く、鳩山は大政翼賛会に属していなかったことから戦後に自由党のリーダーとなるのですが、戦前の思想弾圧事件の滝川事件に文部大臣時に関与していたとして戦後にGHQから公職追放に合い、その鳩山のピンチヒッターとして自由党の総裁となったのが吉田茂でした。その吉田は鳩山がいないことをよくいろいろ好き勝手に振る舞って鳩山の公職追放が解けた後も総裁の座に居座ろうとし続けましたが、最終的には世論に押されて鳩山へとバトンタッチをすることになったのですが、なんとなく今の政界の構図と通じるものがあります。
さて今回鳩山由紀夫氏が当選したことで今後の政局にどのように影響するかですが、鳩山氏は就任後の会見にて総選挙をすぐに行うのであれば補正予算案の参議院での審議をしっかりと行うことを条件に、早めに法案を通すのに応じてもよいと話しましたが、当の自民党の麻生首相があまり早くに選挙をやりたがっていないのと、決断が遅いことを考えればやはり選挙は八月以降になると私は予想します。
では仮にこのままの体制で選挙になるとしたらどんな政策を民主党が打ち出してくるかですが、一つ考えられるのは世襲制についてだと思います。私も「国会議員の世襲比率」の記事でわざわざ自分で調査しましたが、格差社会といわれて久しいこの世の中では議員の世襲は大きな争点になる可能性があり、また先月に自民党内でも屈指の叩き上げ議員である菅義偉氏が自民党内で独自に世襲制限を設けようとしたところ、多くの重鎮議員によって研究会を潰されたこともあって選挙後の自民党内の造反を誘発させる意味合いでも効果的だと考えられます。
またこの世襲制限について、鳩山由紀夫氏が主張するのはある意味うってつけだと私は思います。というのも鳩山氏は血筋で言えば確かに世襲議員ではあるものの、初当選時より父親の選挙区とは関わりのない北海道の選挙区より出馬を続けており地盤で言えば世襲議員に当たりません。この前読んだ記事によるとどうもイギリスの選挙で政治家の子弟が出馬する際は、まさにこのように親の地盤のある選挙区とは全然別の選挙区から出馬させるように政党が仕向けるそうです。そうした別天地ともいえる選挙区でドブ板選挙を学ばせ、たとえそこで当選しなくとも党内の職に就かせて養うことで政治家の育成を行うそうなのですが、私が理想とする世襲制限はまさにこの形で、そういう意味では鳩山氏の現在の立場というのはそのモデルケースでもあり私も支持しやすい形でもあります。
最後にこうした鳩山氏の代表就任に対して自民党の対応の仕方ですが、ふざけてやるんだったら麻生氏を一回降ろして、あえてここで弟の鳩山邦夫氏を総裁にして兄弟骨肉の戦いになったりしたらいろいろと面白そうですし、邦夫氏本人もどこかそれをねらっている節も見えます。なお先月号の文芸春秋にてこの二人の対談もありましたが、思ったより仲が悪くないなという印象を受けました。
どうでもいいですが由紀夫氏は東大工学部卒(これからは技術の時代だと考えて入学したそうです)、邦夫氏は東大法学部の出身で、文字通り華麗なる一族のはずなんですが、お互いにキャラが濃いからあまり華麗そうには見えないのは不思議なものです。
2009年5月15日金曜日
民主党代表選挙について
やや出遅れた感がありますが、今日はこの数日間の間ずっとトップニュースで報道されている明日投票の民主党代表選挙についてです。小沢前代表の突然の辞任によって会期中にもかかわらず行われた今回の代表選ですが、私の目からすると代表選の中身より、それを報道する周囲のマスコミの側に迷走が見られたような一週間でした。
まず今回の代表選の日程についてですが、辞任から約一週間という実に短期間で投票が明日行われるため、政策の中身などが議論できず拙速すぎるのではという意見が民主党内の議員やテレビの評論家などから寄せられましたが、私はこのような批判やや見当違いなのではという気がします。というのも既に書いていますが現在は国会の会期中でして、その途中で最大野党の民主党代表の選挙戦を長々やってしまえばその分だけ審議の遅滞につながってしまうため、恐らく今この選挙期間の短さについて批判をしている方たちの大半は長くしても批判していたであろうと思います。私としてはこの場合、やはり国会の審議を優先するべきという立場から選挙期間をこれだけ短くした民主党前執行部の判断を支持します。
次に候補者についてですが、前評判どおりに鳩山由紀夫前幹事長と岡田克也元代表の一騎打ちとなりました。この両者が立候補することは小沢前代表の辞任直後から有力視されており、実際に立候補した際も規定路線とばかりにそれほど大きな反応はなく、この二人のどっちが次の代表になるのかと選挙戦の行方にばかり注目が注がれていたように思えます。しかしこれは一昨日のワイドショーにてある評論家がコメントしていた内容ですが、仮にこの選挙戦に年金の追求で一躍名を挙げた長妻昭氏が立候補していたらどうだったのだろうかと、面白い仮説を立てた方がいました。
よく岡田氏は民主党内でもクリーンなイメージが強い政治家だと言われていますが、はっきりいいますがクリーンさから年金問題での追求の実績といい、国民からの高感度で言えば長妻氏の方が岡田氏をはるかに上回っているでしょう。強いて長妻氏に足りないものを挙げるとすれば党役職の経験と年齢ですが、実際に代表に就任できないにしろもし選挙戦に出ていれば議論も深まり、色々と面白かったのではないかと思います。
では鳩山氏と岡田氏、どちらが代表にふさわしいのかですが、私としてはどちらも程よくいいのではないと見ているのですがどこのニュースでも、「クリーンさから国民的人気で言えば岡田氏だが、党内情勢から察するに鳩山氏が勝ってしまうだろう」という、なんだか岡田氏にどこも勝ってもらいたいかのような報道ばかり目に付きます。確かに岡田氏は真面目そうで私も嫌いではないのですが、仮に岡田氏が勝った上にその後の総選挙で民主党が大勝して彼が総理大臣につくとなると、あのフランケンシュタインを髣髴とさせる生真面目な顔で外交や行事などの露出の多い仕事を、果たしてやっていけるのかなと一抹の不安を感じます。まぁそれを言ったら鳩山氏も宇宙人っぽい顔をしているので大差ないかもしれませんが。
それにしても今回の代表選の報道の仕方ですが、私からするとやや目に余る解説が多い気がします。さっきも言ったとおりにどのマスコミも「世論は岡田、党内は鳩山」と、この程度であれば別に問題はないのですが、一部のコメンテーターからは、「鳩山では小沢の影響が強すぎる」とか「小沢の路線を引き継いでしまう」など、前幹事長だったという経歴から以上のような批判が数多くなされているのですが、これまた昨日の朝のニュースで評論家が言っていた言葉ですが、「小沢のどんなところを引き継ぐのがよくないのか、そうしたことに何も触れないまま鳩山氏を批判する輩が多い」という指摘があり、私もまさにその通りだと思いました。
引き継ぐのが小沢氏の政策目標なのか、それとも西松事件での献金構造なのか、どっちにしろ鳩山氏がこれらの点で小沢氏と同じかとは到底思えません。仮にあるとすれば鳩山氏が小沢代表時代に幹事長であったという事実ですが、もしこれだけでさっきのような批判をしているとすれば中身よりも外見の議論になってしまいます。
また西松事件以降に鳩山氏が一貫して小沢氏を庇っていた事を批判の材料にする人もいますが、幹事長という役職なんだから庇って当然でしょうし、そんな立場にありながら選挙に良くないから早くやめろと勧告する方が私はかえって問題な気がします。
むしろ私はあの騒動の際、鳩山氏が一貫して小沢氏を庇い続けながら党内の結束を呼びかけたのを高く評価しています。鳩山氏も当時言っていましたが小沢氏のあの事件での責任をどうこう言い合うより、党内で意見が割れる姿を国民に見せることが一番よくないと考えており、オフレコで直接小沢氏に直接辞任を促すのならともかく早々にマスコミの前で早く辞めるべきと言った前原誠司氏に対して政治家としての資質をやや疑いました。第一、あの西松事件自体がおかしな捜査なんだし。
とはいえ岡田氏は岡田氏で真面目に着実に政策に取り組んでくれそうな期待感もあるので、この記事ではやや鳩山氏を持ち上げることばかり書いていますが私は最初に言ったように別に岡田氏がなっても民主党的にも、国民的にもまぁいいんじゃないかなと思っております。なにが一番問題なのかといえば今の麻生首相が居座ってなかなか選挙を行わないのが問題で、ポスト麻生の最有力候補の与謝野馨氏も今日の発言で、「鳩山氏ではいざという時に逃げる印象がある」と言っていましたが、あれだけ霞ヶ関埋蔵金はないと言っていたくせにちゃっかり今年の予算に大臣として組み込んだあんたが言うことかと、こちらも資質を疑う発言でした。
最後に一つ気になったこととして、どうして今回はあの出たがりの菅直人氏が出なかったのかなという疑問があります。この点についてどこのマスコミも触れておらず、しかもあまりチェックしてはいないものの菅氏の代表選に対する意見もまだ一度も見ていません。どうしちゃったんだろうなぁ(´Д`)?
まず今回の代表選の日程についてですが、辞任から約一週間という実に短期間で投票が明日行われるため、政策の中身などが議論できず拙速すぎるのではという意見が民主党内の議員やテレビの評論家などから寄せられましたが、私はこのような批判やや見当違いなのではという気がします。というのも既に書いていますが現在は国会の会期中でして、その途中で最大野党の民主党代表の選挙戦を長々やってしまえばその分だけ審議の遅滞につながってしまうため、恐らく今この選挙期間の短さについて批判をしている方たちの大半は長くしても批判していたであろうと思います。私としてはこの場合、やはり国会の審議を優先するべきという立場から選挙期間をこれだけ短くした民主党前執行部の判断を支持します。
次に候補者についてですが、前評判どおりに鳩山由紀夫前幹事長と岡田克也元代表の一騎打ちとなりました。この両者が立候補することは小沢前代表の辞任直後から有力視されており、実際に立候補した際も規定路線とばかりにそれほど大きな反応はなく、この二人のどっちが次の代表になるのかと選挙戦の行方にばかり注目が注がれていたように思えます。しかしこれは一昨日のワイドショーにてある評論家がコメントしていた内容ですが、仮にこの選挙戦に年金の追求で一躍名を挙げた長妻昭氏が立候補していたらどうだったのだろうかと、面白い仮説を立てた方がいました。
よく岡田氏は民主党内でもクリーンなイメージが強い政治家だと言われていますが、はっきりいいますがクリーンさから年金問題での追求の実績といい、国民からの高感度で言えば長妻氏の方が岡田氏をはるかに上回っているでしょう。強いて長妻氏に足りないものを挙げるとすれば党役職の経験と年齢ですが、実際に代表に就任できないにしろもし選挙戦に出ていれば議論も深まり、色々と面白かったのではないかと思います。
では鳩山氏と岡田氏、どちらが代表にふさわしいのかですが、私としてはどちらも程よくいいのではないと見ているのですがどこのニュースでも、「クリーンさから国民的人気で言えば岡田氏だが、党内情勢から察するに鳩山氏が勝ってしまうだろう」という、なんだか岡田氏にどこも勝ってもらいたいかのような報道ばかり目に付きます。確かに岡田氏は真面目そうで私も嫌いではないのですが、仮に岡田氏が勝った上にその後の総選挙で民主党が大勝して彼が総理大臣につくとなると、あのフランケンシュタインを髣髴とさせる生真面目な顔で外交や行事などの露出の多い仕事を、果たしてやっていけるのかなと一抹の不安を感じます。まぁそれを言ったら鳩山氏も宇宙人っぽい顔をしているので大差ないかもしれませんが。
それにしても今回の代表選の報道の仕方ですが、私からするとやや目に余る解説が多い気がします。さっきも言ったとおりにどのマスコミも「世論は岡田、党内は鳩山」と、この程度であれば別に問題はないのですが、一部のコメンテーターからは、「鳩山では小沢の影響が強すぎる」とか「小沢の路線を引き継いでしまう」など、前幹事長だったという経歴から以上のような批判が数多くなされているのですが、これまた昨日の朝のニュースで評論家が言っていた言葉ですが、「小沢のどんなところを引き継ぐのがよくないのか、そうしたことに何も触れないまま鳩山氏を批判する輩が多い」という指摘があり、私もまさにその通りだと思いました。
引き継ぐのが小沢氏の政策目標なのか、それとも西松事件での献金構造なのか、どっちにしろ鳩山氏がこれらの点で小沢氏と同じかとは到底思えません。仮にあるとすれば鳩山氏が小沢代表時代に幹事長であったという事実ですが、もしこれだけでさっきのような批判をしているとすれば中身よりも外見の議論になってしまいます。
また西松事件以降に鳩山氏が一貫して小沢氏を庇っていた事を批判の材料にする人もいますが、幹事長という役職なんだから庇って当然でしょうし、そんな立場にありながら選挙に良くないから早くやめろと勧告する方が私はかえって問題な気がします。
むしろ私はあの騒動の際、鳩山氏が一貫して小沢氏を庇い続けながら党内の結束を呼びかけたのを高く評価しています。鳩山氏も当時言っていましたが小沢氏のあの事件での責任をどうこう言い合うより、党内で意見が割れる姿を国民に見せることが一番よくないと考えており、オフレコで直接小沢氏に直接辞任を促すのならともかく早々にマスコミの前で早く辞めるべきと言った前原誠司氏に対して政治家としての資質をやや疑いました。第一、あの西松事件自体がおかしな捜査なんだし。
とはいえ岡田氏は岡田氏で真面目に着実に政策に取り組んでくれそうな期待感もあるので、この記事ではやや鳩山氏を持ち上げることばかり書いていますが私は最初に言ったように別に岡田氏がなっても民主党的にも、国民的にもまぁいいんじゃないかなと思っております。なにが一番問題なのかといえば今の麻生首相が居座ってなかなか選挙を行わないのが問題で、ポスト麻生の最有力候補の与謝野馨氏も今日の発言で、「鳩山氏ではいざという時に逃げる印象がある」と言っていましたが、あれだけ霞ヶ関埋蔵金はないと言っていたくせにちゃっかり今年の予算に大臣として組み込んだあんたが言うことかと、こちらも資質を疑う発言でした。
最後に一つ気になったこととして、どうして今回はあの出たがりの菅直人氏が出なかったのかなという疑問があります。この点についてどこのマスコミも触れておらず、しかもあまりチェックしてはいないものの菅氏の代表選に対する意見もまだ一度も見ていません。どうしちゃったんだろうなぁ(´Д`)?
2009年5月14日木曜日
出版大手、ブックオフ株取得について
なんか先週はブログを書くのが非常に億劫でして、そうした気分が反映されてか当時の記事を改めて読み返してみるとなんか文章がひどいのばっかなのですが、今週に入ってからは徐々にやる気を取り戻し、一昨日辺りから文章表現にも改善が見られてきたので一安心してます。
・大手出版連合、ブックオフ株取得の狙いは?(MSNニュース)
そういうわけで本日は出版大手三社が中古本販売業最大手のブックオフの株式取得に動いているという、それこそ今後の日本の出版市場を占う上でも大きなニュースについてです。
さすがに出版業界に知り合いはいないので直接話に聞いたわけではないのですが、伝わる限りの情報だとやはり出版会社からするとブックオフは親の敵のようにまで思われているらしく、実際に漫画家や作家の方らも公然と批判する人が数多くいます。何でそんなに憎いのかってこれはいわずもがなですが、安価で手に入ってしまう古本屋が全国チェーンでこれだけ多く展開しているせいで本が出版される傍から中古市場に流れ、消費者も新品より安い古本を選ぶようになって販売数が減り、売る側の出版会社からするとそれがそのまま売り上げや利益の減少につながってしまうからです。中には、近年の出版不況の最大の原因がこのブックオフだとまでいう出版界の人までいます。
おそらく今回の出版大手のブックオフ株取得の目的は、こうした古本の流通を制限するという目的があって行われていると思います。以前にも中古ゲームの販売を巡ってソフト会社と販売店との間に90年代に何度も法廷闘争が起きており、出版会社と古本会社のこうした争いはいわば宿命的なものといっていいでしょう。実際に作家の方の中にはブックオフの販売振りでは出版会社は採算が取れないとまで言う人もいるほど苦しいらしく、今回の出版会社の実力行使とも取れる行為に対して私も特段卑怯なことだとは思わず、業界を健全に成長させていくにはやむを得ないかと多少の理解はできます。とはいえ株式の取得後、出版会社がどのように出版業界、ひいては日本人と本の関わりを作っていくかというグランドデザインをまだ何も示していないというのは少し残念ではあります。
実際に株式の三割も取得すれば大きな株主総会で大きな議決権を得ることになり、それこそいきなりブックオフに古本業を廃止させることだって可能です。しかし以前にも「出版不況について思うこと」で私が書いたように、昨今の出版不況はブックオフの存在よりも本の質の低下やむやみやたらな値上げの方が原因的には大きいように思えるので古本をなくせば一気に問題解決に至れるとは思えず、ただでさえ少子化で読者層が縮小してくのだからそういった点についてもなんらかの姿勢を示すことが重要なのではないかと思います。
たとえば私個人の意見を挙げるのならば、発売から三ヶ月とか半年と期間を決めてその期間の間は古本の販売を一切禁じるかわりに新品の本の価格を今より少し値下げする、ジャンプコミックスなら現在420円のところを400円にするなど、利益を互いにある程度維持しながら読者が大きく不利益を被らないようにする方法などを出版会社と古本会社で一緒に作っていくべきだと思います。肝心なのはこうした協議を一般にも広く公開して、なおかつ読者層をどう拡大するのかという視点を持って取り組むことです。非公開でやればそれはそのまんま談合になってしまいますが、業界全体で健全な成長を図るのであれば協議の公開を原則としてこうした協定を結ぶのは私は問題ないと思います。自分たちだけのパワーゲームで古本のありなしを決めるより、知識の育成に関わる本というものを扱うゆえに読者のことを念頭において今後の業界のあり方を考えてほしいです。
・大手出版連合、ブックオフ株取得の狙いは?(MSNニュース)
そういうわけで本日は出版大手三社が中古本販売業最大手のブックオフの株式取得に動いているという、それこそ今後の日本の出版市場を占う上でも大きなニュースについてです。
さすがに出版業界に知り合いはいないので直接話に聞いたわけではないのですが、伝わる限りの情報だとやはり出版会社からするとブックオフは親の敵のようにまで思われているらしく、実際に漫画家や作家の方らも公然と批判する人が数多くいます。何でそんなに憎いのかってこれはいわずもがなですが、安価で手に入ってしまう古本屋が全国チェーンでこれだけ多く展開しているせいで本が出版される傍から中古市場に流れ、消費者も新品より安い古本を選ぶようになって販売数が減り、売る側の出版会社からするとそれがそのまま売り上げや利益の減少につながってしまうからです。中には、近年の出版不況の最大の原因がこのブックオフだとまでいう出版界の人までいます。
おそらく今回の出版大手のブックオフ株取得の目的は、こうした古本の流通を制限するという目的があって行われていると思います。以前にも中古ゲームの販売を巡ってソフト会社と販売店との間に90年代に何度も法廷闘争が起きており、出版会社と古本会社のこうした争いはいわば宿命的なものといっていいでしょう。実際に作家の方の中にはブックオフの販売振りでは出版会社は採算が取れないとまで言う人もいるほど苦しいらしく、今回の出版会社の実力行使とも取れる行為に対して私も特段卑怯なことだとは思わず、業界を健全に成長させていくにはやむを得ないかと多少の理解はできます。とはいえ株式の取得後、出版会社がどのように出版業界、ひいては日本人と本の関わりを作っていくかというグランドデザインをまだ何も示していないというのは少し残念ではあります。
実際に株式の三割も取得すれば大きな株主総会で大きな議決権を得ることになり、それこそいきなりブックオフに古本業を廃止させることだって可能です。しかし以前にも「出版不況について思うこと」で私が書いたように、昨今の出版不況はブックオフの存在よりも本の質の低下やむやみやたらな値上げの方が原因的には大きいように思えるので古本をなくせば一気に問題解決に至れるとは思えず、ただでさえ少子化で読者層が縮小してくのだからそういった点についてもなんらかの姿勢を示すことが重要なのではないかと思います。
たとえば私個人の意見を挙げるのならば、発売から三ヶ月とか半年と期間を決めてその期間の間は古本の販売を一切禁じるかわりに新品の本の価格を今より少し値下げする、ジャンプコミックスなら現在420円のところを400円にするなど、利益を互いにある程度維持しながら読者が大きく不利益を被らないようにする方法などを出版会社と古本会社で一緒に作っていくべきだと思います。肝心なのはこうした協議を一般にも広く公開して、なおかつ読者層をどう拡大するのかという視点を持って取り組むことです。非公開でやればそれはそのまんま談合になってしまいますが、業界全体で健全な成長を図るのであれば協議の公開を原則としてこうした協定を結ぶのは私は問題ないと思います。自分たちだけのパワーゲームで古本のありなしを決めるより、知識の育成に関わる本というものを扱うゆえに読者のことを念頭において今後の業界のあり方を考えてほしいです。
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