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2011年11月7日月曜日

中国漁船拿捕の中国側報道

 なんか忙しくて更新がまたえらく空きました。忙しいと言いつつも昨日も太閤立志伝5をしてたわけですが、秀吉プレイでいきなり信長を裏切るや、明智光秀も裏切って部下になり、徳川家康が対織田同盟を申し込んできて、伊賀忍軍が協力を申し出るなど、どれだけ信長が周りから憎まれているのかよくわかる作りです。

 それはさておき久々のホットな中国話題ですが、海上保安部は6日、長崎県沖で航行していて停船命令に従わず逃げようとした中国漁船一隻(もう一隻いたがこっちは逃げられた)を拿捕し、船長以下十一名を拘束しました。これに対する中国側の報道はどんな感じかと興味がわいたので、早速Yahoo中国から記事を拾ってきました。

中国使馆证实中国船长遭日方逮捕 正与日方交涉
日本巡逻艇与中国渔船碰撞 船长面临半年监禁

 結論から言うと、期待していたような激しいことは記事に書かれていませんでした。これだったら前の拘束鉄道事故直前のあのむかつく鉄道部の主張の方が面白かったような。
 内容を簡単に翻訳すると、まず最初の記事では拿捕までの経過は基本的に共同通信の記事に従っており、「中国語での停船命令に応じず」と表現しております。その上で長崎の中国総領事館側のインタビュー内容を載せ、領事館も事件を把握しており、現在調査と日本側との交渉を行っていると報じています。2番目の記事では仮に船長が有罪となった場合、日本の法律だと半年の懲役の上に罰金が科されるという風に書いています。

 あまりはっきりとは言えないものの、この報道を見る限りですと中国側もこの件で大事にしたくない、外交問題にはしないつもりという意思が感じられます。中国本土のテレビがどう報じているかまではわかりませんが、ここ香港でも一応字幕ニュースとかで流れるくらいなので注目されているのは間違いないものの、前の尖閣諸島沖の漁船衝突事故のように加熱することはなく淡々と処理が進んでいくと思います。

2011年11月3日木曜日

政府の人事院勧告見送りについて

人事院勧告見送りを閣議決定 平均7・8%引き下げ法案優先(産経新聞)

 ちょっと古い、と言っても先週のニュースですが、不思議に思う点がかなり多いニュースなので今更ながら取り上げます。

 上記リンク先のニュースの中身を簡単に解説すると、国家公務員はストライキ権など一般労働者に認められている労働権が認められていない代わり、人事院という政府とは別の団体が毎年の情勢を把握して国家公務員給与の規模を決めております。そんなわけで今年も人事院は来年度の国家公務員給与の規模を震災を鑑みて平均0.23%引き下げるべきという勧告を政府に提出したわけなのですが、震災を鑑みたというには0.23%マイナスという数字は正直私には小さすぎるように感じます。
 私と同じような感想を持ったのはほかならぬ政府こと野田政権でした。政府は今回、人事院が出してきた勧告を無視しし、2013年まで国家公務員給与を平均7・8%引き下げる臨時特例法案の成立を優先すると発表したというのがニュースの中身です。

 結論から言えば、私は政府の勧告見送りを指示します。
 政府は今回人事院の勧告を見送るかわりとしてこれまで国家公務員の労働協約締結権付与を認めると報じられておりますが、国家公務員が労働協約権を持ったところで社会からの監視が強くなった今では常識はずれな要求は国家公務員もできないかと思われますし、公務員改革を今後進める上でも労働権付与は今後もより検討していくべきです。ただそれ以上に、今は震災復興のため少しでも歳出を減らしてお金をかき集める必要があります。仮に国家公務員給与を7.8%引き下げたところで捻出される額はは2000~3000億円と微々たるものですが、こうした細かいところから歳出削減を積み上げていくことこそが今は大事かと思います。

 またそれ以上に、借金漬けの日本の財政を考える上でも公務員給与削減は避けては通れない道です。現行の制度では立ち行かないことは誰でもわかっており、将来的には下記の東洋経済の記事が主張する通りに地方公務員も含めて現行から相当額を削減しなければなりません。なおこの東洋経済の記事では地方自治体はどこも大赤字が続いており民間では給与削減がされて当たり前だと触れ、公務員により労働権を与えて給与額は労使交渉をして決めるべきだと主張しており、私もこの意見に基本的に賛成です。

国家公務員給与削減を機に、人事院勧告制度を見直せ(東洋経済)

 というような感じでざらっと人事院勧告見送りについての私の立場と意見を書きましたが、私が何故この件で不思議に思うかというと、ネットでしか情報を確認していないからかもしれませんが私が見る限り、どうもその内容の大きさに対して報道の扱いがやけに小さいような気がしてなりません。
 それこそ言ってしまえばTPPなんかより、というのは言い過ぎですが負けず劣らずもっと議論するべき議題だと思うのですが、マスメディアの反応というか日々流れるニュースではあまり大きく日の目を浴びていないというか、「あれ、これだけしか書かないの?」って思うことが多いです。

 またこの件については政府に対して批判的で、どちらかというと人事院の肩を持つ報道が目立ちます。下記の産経のニュースはまだ中立的な書き方がされているように感じますが、同じ人事院総裁のインタビュー記事でもメディアによっては如何なものかと思わせられるところも見受けられました。

江利川人事院総裁インタビュー 政府の給与削減法案を批判「懲戒処分と同じ」 政府敗訴の可能性にも言及(産経新聞)

 なお上記インタビュー中で江利川人事院総裁は政府の見送りを「憲法違反だ」と批判し、政府の主張する削減案だと課長以上の職員は10%カットとなり「懲戒処分の水準だ」と述べています。誰も言わないから私が言いますが、リーマンショック以降はどこの会社でも課長、部長級以上は多かれ少なかれ10%前後給料が基本給から削減されており、現に私がかつて所属した会社でもそうでした。だとすると江利川総裁の中では世の中は懲戒処分の嵐だということになるのですが、どうもこの人は世間の空気を読めてないようです。

 またこうした政府の対応に野党の自民党も江利川総裁とタッグ組んで、「憲法違反だ」と石原幹事長が批判しています。どうも真意を図りかねるのですが、石原幹事長の言葉を額面通りに受け取るなら自民党は国家公務員の給与を下げるなと言っているのでしょうか。第一、憲法をこういうところに持ってくるのは個人的にどうかと思う。

 繰り返しになりますが、東日本大震災を受けて今の日本は非常事態以外の何物でもなく、民間起業では倒産が相次ぎまた経営が続けられている会社もほとんどの所で給与削減、引き下げが実施されているかと思います。そういう中では聖域など全くないと言っても過言ではなく、国家公務員の給与引き下げも可能ならば実行していく必要が高いです。もとより公務員給与は一流民間企業に準拠しており、多少下げたところで中小零細企業社員のように生活が成り立たなくなることはないでしょう。まぁ最も削減、というより徴収すべきは東電ですが。

 ただ東洋経済の記事でも言及されておりますが、自衛隊員の給与についてはやはり特例として引き下げず、現状をなんとしてでも維持するべきでしょう。管政権でも自衛隊については特別言及されていたので実現する公算は高いとみていますが、この件では野田首相に期待したいです。
 最後にホントどうでもいいですが、一回でいいから会見で野田首相に、「野田なのだ!」って登場してもらいたいです。

2011年10月31日月曜日

世界人口70億人突破を受けて

 本日国連は世界人口が70億人を突破したという発表を行いました。自分が記憶している中で少なかった頃は55億人だったと思いますが、短い間にまた随分増えたものだなという気がします。それにしてもさすがに55億人の頃はまだ遠かったですが、ここまで来ると100億人の大台もなんだか現実味を帯びてきました。

 ここでちょっとふざけた予想をしますが、将来的には今のCO2排出権取引みたいに世界で人口抑制策が実施されるかもしれません。それこそ国ごとに何万人まで生んでいいという枠が作られ、それを超えた分には超えていない国からお金で出産権利を買ったりとか。
 ただ真面目な話、人口が100億人を超えると本格的に地球の資源は持たなくなると思います。詳細について詳しくないですが現在の食糧生産を支えている化学肥料において、その原料となるリンの枯渇が近々起こるという話も聞きます。化学肥料なしで現在の食糧生産は考えられず、仮にリンが枯渇した場合は世界で急激に食糧がなくなり、残った食料が恐ろしく高騰するのではないかと言われています。そういう意味で飽食の時代というのはもう過ぎ去りつつあり、ある意味歴史上で自然であった飢餓の時代がまた来るかもしれません。

 では飢餓の時代を迎えたらどうなるのか、自給率の低い日本は終わってしまうのかと心配される方もいるかもしれませんが、恐らくそのような時代でも食糧取引はお金で取引されるので経済力さえ維持していれば日本が飢餓に陥ることはなく、むしろ有利になってくる可能性があるかもしれないと私は見ています。
 ここで一気に話を飛ばしますが、これからの30年くらいを考えた場合、人口が少なければ少ないほど国際世界で有利になる可能性が高いと私は見ています。日本の例をはじめとしてテクノロジーの発達によって必要な労働力は非常に少なくなってきており、先進国は多かれ少なかれ「どれだけ生産力を挙げるか」ではなく「どれだけ仕事を割り振るか」が大きな課題となっているように、社会保障の負担というかバランス取りが政府の一番大きな仕事となってきています。

 ただ現在はまだ食糧とエネルギー価格が安いためにアメリカのフードスタンプみたいに維持できることができますが、世界人口が増え資源が本格的に不足し、食料とエネルギー価格が上昇したらその分だけ社会保障費も肥大化するわけです。その時に食わせる人口が少なければ少ないほど余計な出費が減るわけで、ある意味超長期的な視野に立つならば少子化は推進するべきじゃないかと最近考えるようになってきました。
 少子化は確かに直近20年で言えば日本にとってマイナスです。しかし30年以降の世界を考えるなら、無理して対策しない方が却って日本のためになるんじゃないかとよく思います。

 日本の人口は現在1億2千万人ですが、まずは7千万人くらいを目指すべきじゃないかと、秋の夜長に思うわけです。

2011年10月30日日曜日

ハリウッド人気子役のその後

 映画を見る方かと問われるならば「見ない方」と答える私ですが、ハリウッド映画における人気子役のその後の人生について何故かデータがそこそこ集まっているので日本でもおなじみだった子役俳優を何人か紹介しようと思います。

リバー・フェニックス(代表作:スタンド・バイ・ミー
 夏休みの少年による冒険物語と言ったらこの作品しかないとまで言われる「スタンド・バイ・ミー」で、主人公の親友役としてリバー・フェニックスは出演しています。作品の中でリバーが演じた役は準主役ともいうべきキャラというのもありますが、作中で明らかに主役を食うほどの演技力を見せており見た人にとっては忘れられない印象を持ったかと思います。
 この作品以降もリバーは活躍を続け若くしてハリウッドの大物として知れ渡りますが、皮肉にも彼が「スタンド・バイ・ミー」で演じたキャラクター(弁護士となるも喧嘩の仲裁中に刺殺される)のように麻薬の過剰摂取によって23歳の若さで早世しています。もし彼が生きていたら、ハリウッドの勢力図は今とは大きく異なっているのではないかと最近にも報じられるほど、その死は各界から惜しまれています。
 なお彼の弟であるホアキン・フェニックスも俳優をしており、「グラディエーター」では兄に劣らずローマ皇帝コモドゥス役で名演(怪演?)を見せており、こちらも主役のラッセル・クロウを食うかのような存在感を発揮しております。

エドワード・ファーロング(代表作:ターミネーター2
 映画初出演ながらターミネーター2で主役のジョン・コナー役を演じ大成功を納めるものの、ここで紹介するほかの俳優らと同様に成長とともに麻薬とアルコールに溺れ、リンクを貼っているウィキペディアのページを見てもらえばわかりますがあの若かりし頃に見せた美少年の姿はもうそこにはなく、一応俳優は続けているそうですがそのあまりの堕落ぶりに「ターミネーター3」への出演は見送られたそうです。

ブラッド・レンフロ(代表作:依頼人
 個人的にかなり記憶に残っている俳優です。私が代表作に挙げた「依頼人」のオーディションで上のエドワード・ファーロングを見出した人物に選ばれ、この作品以降も見事な演技と相まって若手俳優として一躍名を上げます。ちょうど全盛期の頃に日本のゲームの「バイオハザード2」のテレビCMで主人公の男性警察官役でも出演していましたが、私生活はまた例によって早くから麻薬とアルコール漬けで、25歳で過剰摂取によって急死しています。

マコーレ・カルキン(代表作:ホームアローン
 天才子役と言ったら自分らの世代にとってまず第一に、このマコーレ・カルキンが挙がってくるんじゃないかと思います。コメディ映画の「ホームアローン」は日米で大ヒットしてその名を世界中に知れ渡らせたマコーレ・カルキンですが、彼の成功後に両親が不仲からドル箱と言っていい彼の親権を巡って対立し、それが影響したのかこちらもまた早くからアルコール浸りとなっていったそうです。一応今でも俳優業はしているそうですが、20代前半期に活躍できなかったというのは非常に残念なものです。
 ちなみにアメリカでは仲が良かった故マイケル・ジャクソンの裁判に証人として出廷し、マイケルの児童虐待裁判で彼の無実判決を決定づける証言を行ったことから、「マイケルを救った人」としての印象が強いそうです。

イライジャ・ウッド(代表作:危険な遊び
 マコーレ・カルキンが子役として当時圧倒的な知名度を持っていた頃、彼と二分する人気を持っていたのがイライジャ・ウッドです。代表作はちょうどそのマコーレと共演し話題となった「危険な遊び」を挙げていますが、彼の真の代表作は有名故にお気づきの方も多いでしょうが主役のフロド役を務めた「ロード・オブ・ザ・リング」に他ならないでしょう。
 イライジャはこれまで上げてきたほかの子役に比べると成人後も俳優として成功しており、今も現役で活動を続けています。一見するとちょっと頼りなさげな見かけをしていて、「ロード・オブ・ザ・リング」の前に主役で出た「パラサイト」もそのまんまな高校生役を演じていますが、やっぱりフロド役は彼でなければ今じゃ想像できないことを考えると相当な演技力だと私は考えています。
 ただ「ロード・オブ・ザ・リング」の3作目ではフロドの従者であるサムがストーリー上であまりにもかっこよかったことから、キャラが食われているのではという指摘が私の周りでよくされていました。そんなサムを演じたショーン・アスティンも、知られざる有名子役だったということに最近気が付きましたが。

ショーン・アスティン(代表作:グーニーズ
 上述の通りに「ロード・オブ・ザ・リング」のサム役で好演を見せたショーン・アスティンですが、なんと彼は往年の冒険映画「グーニーズ」のあの喘息持ちの主人公役も演じていました。実際にグーニーズ以降はヒット作に恵まれていなかったそうですが、あの少年がサムだったなんてと知った際には大いに驚いたものです。どうでもいいことですが、昔ファミコンゲームでよくグーニーズしていました、クリアできなかったけど。

ジョナサン・キー(代表作:インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説
 そんなショーンとグーニーズで共演していた子供の中には、「インディ・ジョーンズ、魔宮の伝説」で主役のインディを助ける少年を演じたジョナサン・キーも出演しています。こちらは現在俳優をしておらず武術指導など映画スタッフとしての道を歩んでいるそうです。

 という感じでざらっと紹介しましたが、日本でもそうですがやはり子役として有名になったからと言って俳優として大成するのは難しいようです。それにしたってアルコールと麻薬依存が多過ぎる気がしますがそれはアメリカ故ということで、今後は「ハリー・ポッターシリーズ」に出演している俳優らがどのように活躍していくのかが注目ですが、私の予想としてはやはり大多数は埋もれていき、ショーン・アスティンのように30代に入った頃にぽっとまた芽が出る人が現れるんじゃないかと見ています。

2011年10月29日土曜日

忘れられない二つの寓話 後編

 前回記事に続き、私が小学生時代に読んで影響を受けた評論文の話をします。前置きはいいので、さっさとあらすじを紹介します。

 私が読んだその評論文ではまず最初、雪山で遭難した男の話から始まりました。
 雪山で遭難して凍死しかけていたその男は、九死に一生の所である民家を見つけて尋ねたところ、その民家の中にいた姉妹は快く男を部屋の中へ招き入れました。男を招き入れると快活そうな妹は男にいろんな言葉をかけて明るく励まし続けた一方、無愛想な姉は何も言わず、黙々と男へ与えるスープの準備を続けました。
 作り話ですがこの姉妹の行動についてその評論の筆者は、確かに妹の行為は無駄ではないものの、男にとって本当に必要なものは姉が用意する体を温めるスープであって励ましの言葉ではないと断じ、たとえ相手を思っての行動でも本質が伴っていなければ意味がないという結論にまとめていました。

 さらっと書きましたが、この評論文自体はそれほど特別な内容を説いているわけではないものの何故かずっと心の中に残っています。この評論だけが原因ではありませんが現実の私の行動もこの筆者の考え方に沿うようになっており、外見や飾りとかよりも中身というか本質を重視する性格になっています。
 一番代表的なのは普段使う言葉で、今でもよく注意というか激怒までされましたが、社内で仕事している最中に私は「お客様」という言葉は使わずに普通に「客」といつも発声します。私に激怒した人なんかは客に対して尊敬の気持ちがないなど失礼だとか言っていましたが、私は買主と売主は本来対等の関係なのに買主側の権威をむやみやたらに引き上げたことがクレーマーの跋扈に繋がったという考え方もありますが、そもそも「客」という言葉自体に一定の敬意が込められていると思っており、「お客様」というのはやや過剰な尊敬表現でむしろ中身がないように思うことから使いません。さすがに客の目の前であれば周囲に合わせて用いますが。

 第一、言葉がぶっきらぼうとはいえその意図したいことが真に相手のことを考えているなど本質を用いているのであれば、言葉尻を捉えてああだこうだ言うのは随分と不毛な気がします。こういうちょっとねじくれた考え方をしているせいか、遠回しな言い方は好まないために相手に対して直接的にキツイ言葉を言うこともあって「そこまで言わなくとも」と言われることもありますが、遠回しだろうが直接的だろうが言っている内容は一緒にもかかわらず何をかという気がします。

 また言葉だけでなく行動面でも、評論中のエピソードの姉のようにやることさえ本質を得ていれば余計な愛想も必要ないと考えています。そのため愛想があろうとなかろうと、やることがやれない人間に対しては同じ評価を付け、「彼は仕事はダメだけど明るいのが救いだな」という評価は一切しません。「明るいだけのただのポンチ」と言うことはありますが。

 現在の日本はあちこちでコミュニケーション力とかいうものの必要性が叫ばれていますが、このコミュニケーション力の意図するものが表現力であれば私も頷きますが、愛想というのであれば順番が違うんじゃないかと問いたいです。私がここまで強く愛想というものを否定するのも、「失われた十年」の間は社会全体でまさに外見ばかりが重視され、中身が全く伴っていない不毛な議論に終始し続けたという印象が強いからです。景気が良くなってきたら借金を減らそうと言って1000兆円まで積み上げたり、破たんすることが見えていながらほったらかしていた年金など、重要な問題は先送りしてどうでもいい議論ばかりだったなぁという反省があります。

2011年10月27日木曜日

忘れられない二つの寓話 前編

 私は中学受験をした関係から小学校四年生から塾通いを始めましたが、この過程で得た大きな経験として当時に大量の評論文を読んだことが挙げられます。基本的に塾での国語の時間は現代文を読んで問題解答に取り組むのがオーソドックスですが、題材に使われる評論はそれこそ授業ごとに変われば毎週行われるテスト時にはまた別の評論が出てくるなど、真面目な話であれだけ多種多様な評論をまとめて読むというのは成人や大学生でもほとんどいないんじゃないかと思います。
 そんなたくさん読んだ評論(小説もあるが)の中で、未だに折に触れては思い返し、自分に強い影響を与えた話が二つあります。最近スランプを克服してきているのもあり、ちょっと前後編に分けてその二つの評論こと寓話を紹介しようと思います。

 本日紹介するのは評論というか昔話ですが、以下にざらっとあらすじを書きます。

 時代は江戸時代頃で、ある日武士が鍛練として外で弓を打ち込んでいると、商人らしき男が近くに座りその様子を眺め始めました。武士はその商人の前で的のど真ん中に何本も矢を的中させ「どうだ俺の腕前は( ゚∀゚)」と商人に尋ねましたが、武士の問いに対し商人は「手馴れてますね」と、大して感動する素振りも見せず答えました。
 商人の答えにむっとした武士は、「これだけ正確に的中させているのに手馴れているはないだろ。達人級の技だぞ俺の弓は(゚Д゚#)」と言い返しました。すると商人は財布から穴の開いた貨幣を取り出すや瓢箪に詰めた油を上から注ぎ、こともなげに油をひっかけることなくその貨幣の穴に通してみせました。
 妙技を見せた商人は「毎日その作業に携わっていれば自然と腕は熟達します。達人などと自分の腕を誇るまでもないでしょう」と語り、武士もその言葉を受け商人に非礼を詫びたとのことです。

 何故だか知りませんが、この寓話だけは今の今までずっと忘れずによく思い返しております。
 この話の中の商人の言う通り、私は大抵の行動というか作業での上手い下手というのはその作業にどれだけ慣れているかの違いでしかなく、才能とかそういったものが作用する要素というのはごくごく微量だと考えています。そのためたとえどれだけ自分がほかの人より優れた技術、それこそタッチタイピングの早さとか文章量の多さなどで勝っているとしても、それらはただ自分がそうしたものに触れる時間が長かっただけでほかの人も時間をかければ同じ水準に達することができるので威張れるようなことじゃないと肝に銘じてます。もっともこれとは逆ベクトルの考え方もあって、自分よりゲームが上手い人とか見ると、「俺だって同じくらい練習すればすぐに並べるんだよ」などと妙な負けん気を持ったりしますが。

 ここで少し話が飛びますがよく他人を指導していて思うこととして、人間には鍛えられる部分とそうでない部分ではっきり分かれる気がします。これまたたとえを出すと文章を書く技術なんかはまさに前者で、指導する際はどれだけ文字量を多く文章を書かせるかにかかってきて、相手が書く気を起こすようなテーマを出すことが重要になってきます。逆に後者こと鍛えられない部分、センスとでも言うべきものは全く以って成長させることができないわけじゃないものの、ただ時間をかければ伸びるわけでは決してありません。もっともこういうのは非常に少ないですが。
 オチらしいオチに乏しいですが今回が私が言いたかったことというのは、大抵の技術というのは時間さえかければ上達速度に差こそあれども誰でも習得できる可能性が高いということで、「出来る、出来ない」ではなく「やるか、やらないか」ではないかということです。

2011年10月25日火曜日

香港の諸情報

 時期も時期なので香港についての情報を簡単に紹介します。どうでもいいですがこの「(`ハ´)」の顔文字は香港人にも当てはまるのかちょっと疑問です。

 まず香港に来てちょっと面食らったのは街中を走っているタクシーで基本はちょっと古い日本のトヨタ・クラウンで占められております。一体どういう経緯でクラウンが採用されたのかまではわかりませんがタクシーに限らず日本車は数多く走っており、10年以上前に発売されて不人気に終わった三菱・FTOを見た時なんかは軽い感動すら覚えました。
 なおタクシー事情とくれば中国本土もなかなか面白く、各都市ごとにどんな車種が使われているのかはっきりとした地域差があります。基本使われるのはその都市を本拠とする自動車メーカーの車で、北京は北京汽車の提携相手のヒュンダイ・ソナタ、上海は上海汽車の提携相手であるフォルクスワーゲン・サンタナ、武漢は東風汽車の提携相手のプジョーの車が使われてます。

 話は戻って香港ですが、街の特徴として際立っているのは観光ホテルなんかはたくさんあるのにビジネスホテルが規模に比べるとほとんどないというのがあります。観光用ホテルも毎年やってくる旅行客の数からすると少ない方ですが、普通に繁華街とかビジネス街を歩いていても安くて簡単に泊まれそうなビジネスホテルは全くと言っていいほど見つからず、香港出張に来る人をいろいろ困らせているという話も聞きます。
 何故香港にビジネスホテルがないかと言えば恐らく地価が高すぎるのと真面目に立てられそうな土地がないことが原因だと思います。自分もこっち来てから知りましたが香港島はそこそこ面積はあるものの土地のほとんどは急斜面のある山で、人が住めそうな平地は全くと言っていいほどありません。しかもその平地の大半は埋め立て地で、現在ですら海岸行くと埋め立て工事しているのが確認できるほどです。

 次に香港の料理についてですが、中華料理のほかにもインドネシアやタイ料理もいろいろ豊富で、なんか変わったカレーとかあちこちで見受けられます。同じ中華料理でも味付けは北京や上海とは違っており、話を聞くと自分は言ったことはないですが広州など南方の味付けに準じているようです。
 こうした現地料理に加えて見逃せないのは日本食店の圧倒的な多さです。上海も多いと言えば多いですが香港はそれとは比べ物にならないくらいに多く、香港人らもごく普通に通っては食べたりしていて値段もほかの料理と比べて大差はありません。さらにこれもこっち来てから知りましたが、何気に香港は日本食品の輸出地として最大の地域で、それもあってかジェトロなんかはしょっちゅう日本食の試食会をあちこちで開催してたりします。

 ちょうど今、TPPに加盟するかどうかで日本は揉めてますが、私としてはある程度議論は出来たしもう加盟する方向でいいのかと思っています。よく加盟すると日本の農業はダメになると言いますがこれを一番主張しているのは日本の農業を一番駄目にした張本人ともいえる農水省で、逆に加盟賛成派の意見、たとえばアメリカとのオレンジ輸入自由化で果実産業は散々ダメになると言われたが実際はその後に果実輸出量は増えっていったなど、聞いてて納得させられる話が多いです。
 おまけに食品というのは工業品と違って値段が安いかどうかで買うかどうかがすぐ決まるものじゃなく、あのと言ったらなんですが中国人ですら相次ぐ混入事件を受けて粉ミルクは海外メーカー製しか買わないように、いくら海外のものが入ってきたとしてもアメリカのBSE騒動の際に怒り狂った日本人はそうそう品質の低い食べ物を受け付けないでしょう。むしろ品質面で圧倒的な強み(リンゴなんか中国のはあまりおいしくない)を持つ日本の農作物を海外に輸出促進をTPP加盟で図るべきではないかと、香港の現状を見ていてつくづく思います。

 ……香港の話するといったくせに政治の話に擦りかえるあたりが自分らしい。