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2011年11月3日木曜日

政府の人事院勧告見送りについて

人事院勧告見送りを閣議決定 平均7・8%引き下げ法案優先(産経新聞)

 ちょっと古い、と言っても先週のニュースですが、不思議に思う点がかなり多いニュースなので今更ながら取り上げます。

 上記リンク先のニュースの中身を簡単に解説すると、国家公務員はストライキ権など一般労働者に認められている労働権が認められていない代わり、人事院という政府とは別の団体が毎年の情勢を把握して国家公務員給与の規模を決めております。そんなわけで今年も人事院は来年度の国家公務員給与の規模を震災を鑑みて平均0.23%引き下げるべきという勧告を政府に提出したわけなのですが、震災を鑑みたというには0.23%マイナスという数字は正直私には小さすぎるように感じます。
 私と同じような感想を持ったのはほかならぬ政府こと野田政権でした。政府は今回、人事院が出してきた勧告を無視しし、2013年まで国家公務員給与を平均7・8%引き下げる臨時特例法案の成立を優先すると発表したというのがニュースの中身です。

 結論から言えば、私は政府の勧告見送りを指示します。
 政府は今回人事院の勧告を見送るかわりとしてこれまで国家公務員の労働協約締結権付与を認めると報じられておりますが、国家公務員が労働協約権を持ったところで社会からの監視が強くなった今では常識はずれな要求は国家公務員もできないかと思われますし、公務員改革を今後進める上でも労働権付与は今後もより検討していくべきです。ただそれ以上に、今は震災復興のため少しでも歳出を減らしてお金をかき集める必要があります。仮に国家公務員給与を7.8%引き下げたところで捻出される額はは2000~3000億円と微々たるものですが、こうした細かいところから歳出削減を積み上げていくことこそが今は大事かと思います。

 またそれ以上に、借金漬けの日本の財政を考える上でも公務員給与削減は避けては通れない道です。現行の制度では立ち行かないことは誰でもわかっており、将来的には下記の東洋経済の記事が主張する通りに地方公務員も含めて現行から相当額を削減しなければなりません。なおこの東洋経済の記事では地方自治体はどこも大赤字が続いており民間では給与削減がされて当たり前だと触れ、公務員により労働権を与えて給与額は労使交渉をして決めるべきだと主張しており、私もこの意見に基本的に賛成です。

国家公務員給与削減を機に、人事院勧告制度を見直せ(東洋経済)

 というような感じでざらっと人事院勧告見送りについての私の立場と意見を書きましたが、私が何故この件で不思議に思うかというと、ネットでしか情報を確認していないからかもしれませんが私が見る限り、どうもその内容の大きさに対して報道の扱いがやけに小さいような気がしてなりません。
 それこそ言ってしまえばTPPなんかより、というのは言い過ぎですが負けず劣らずもっと議論するべき議題だと思うのですが、マスメディアの反応というか日々流れるニュースではあまり大きく日の目を浴びていないというか、「あれ、これだけしか書かないの?」って思うことが多いです。

 またこの件については政府に対して批判的で、どちらかというと人事院の肩を持つ報道が目立ちます。下記の産経のニュースはまだ中立的な書き方がされているように感じますが、同じ人事院総裁のインタビュー記事でもメディアによっては如何なものかと思わせられるところも見受けられました。

江利川人事院総裁インタビュー 政府の給与削減法案を批判「懲戒処分と同じ」 政府敗訴の可能性にも言及(産経新聞)

 なお上記インタビュー中で江利川人事院総裁は政府の見送りを「憲法違反だ」と批判し、政府の主張する削減案だと課長以上の職員は10%カットとなり「懲戒処分の水準だ」と述べています。誰も言わないから私が言いますが、リーマンショック以降はどこの会社でも課長、部長級以上は多かれ少なかれ10%前後給料が基本給から削減されており、現に私がかつて所属した会社でもそうでした。だとすると江利川総裁の中では世の中は懲戒処分の嵐だということになるのですが、どうもこの人は世間の空気を読めてないようです。

 またこうした政府の対応に野党の自民党も江利川総裁とタッグ組んで、「憲法違反だ」と石原幹事長が批判しています。どうも真意を図りかねるのですが、石原幹事長の言葉を額面通りに受け取るなら自民党は国家公務員の給与を下げるなと言っているのでしょうか。第一、憲法をこういうところに持ってくるのは個人的にどうかと思う。

 繰り返しになりますが、東日本大震災を受けて今の日本は非常事態以外の何物でもなく、民間起業では倒産が相次ぎまた経営が続けられている会社もほとんどの所で給与削減、引き下げが実施されているかと思います。そういう中では聖域など全くないと言っても過言ではなく、国家公務員の給与引き下げも可能ならば実行していく必要が高いです。もとより公務員給与は一流民間企業に準拠しており、多少下げたところで中小零細企業社員のように生活が成り立たなくなることはないでしょう。まぁ最も削減、というより徴収すべきは東電ですが。

 ただ東洋経済の記事でも言及されておりますが、自衛隊員の給与についてはやはり特例として引き下げず、現状をなんとしてでも維持するべきでしょう。管政権でも自衛隊については特別言及されていたので実現する公算は高いとみていますが、この件では野田首相に期待したいです。
 最後にホントどうでもいいですが、一回でいいから会見で野田首相に、「野田なのだ!」って登場してもらいたいです。

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