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2012年1月2日月曜日

中国人でも鬱になる!?

 我ながらまた挑戦的なタイトルになりますが、これもよそではなかなか聞けない話なのでちょっと頑張って書いちゃいます。
 これは取材先から聞いた話なのですが、こちらではまだ日本ほど一般名詞化していないものの中国人でも鬱になる人は年々増えており、しかもその割合は日本と比べても決して大きく劣るほどではないとのことで、今後大きな社会問題となる可能性すらはらんでいるそうです。なんかこう書くと中国人が鬱になるということ自体が意外な感じで中国人からも、「俺たちをなんだと思っているんだ(#゚Д゚) プンスコ!」と言われそうですが私を含め多くの日本人からすると、中国人は日本人と比べていい意味で悩みが少なそうで鬱とか精神病とは程遠い存在だと考える人が多いと思えます。それだけに中国人を現地工場で大量に雇用する日系企業からすると従業員のメンタル面でのケアが遅れがちになり、最悪自己都合退職を招いてしまうケースもあります。

 中国人は悩みが少ない、こんな認識が日本人の間で生まれる背景にはどうも価値観というか文化の違いが大きいようです。私がその取材者から聞いた話では、日本人というのは会社など職場が原因というかそこでストレスを抱えやすい傾向がある一方で、中国人は家族や友人など身内との関係でストレスを抱えやすいとのことで、たとえが恋人に振られたりする場合は日本人でもそこそこストレスを抱え込みますが、中国人の場合は出社すらできなくなるほどのストレスを受けることもあり、このほか既婚者が伴侶を病気などで失った場合は致命的といっていいほどの大きなストレスを持つそうです。なんかこう書くと日本人が如何にも薄情な感じにも見えるな。

 こうしたストレス原因のほかにも、ストレスへの対処というか反応も異なるそうです。これもたとえを用いると、仕事でなにがしかの失敗をした場合に日本人は、「うわやっちゃったー。どうしよー(;><)」ってな感じで深刻に思うのに対して中国人は割かし、「あ、ミスった。まいっか(∀`*ゞ)テヘッ」ってな具合で、多少はストレスを受けますが日本人ほどはあまり深刻に考えず、すぐ次の行動に移れる傾向があるそうです。そのかわりこういったミスや問題への対処が日本人と比べて遅れる、というか極端な場合は放置することもあるので問題を長引かせてしまうこともあるらしいのですが、まぁこの場合だと日本人と中国人のどっちが優れているかは一概に言い切れないですが。

 こうしたストレスへの反応傾向が日本人と比べて明確なタイプの違いがあるために日本人からしたら中国人はややもすると職場では無責任で、鬱になるとは思えないと誤解されがちなのですが、逆に言えば中国人からすれば日本人は職場で深刻に物事を考え過ぎてちょっとのことでもビクビクし過ぎる上、家庭を顧みないとか思われてるかもしれません。私としてはこの点では断然中国人の方を持つというか、本当に些細なミスとかで全然関係ない、ともすれば人格否定のような発言を行う日系企業の体質は明らかに問題があるとかねてから感じます。下手をすれば、ミスに対するフォローよりその当事者へのあげつらいを優先するところすらあるし。

 最後にあまり関係ない話かもしれんが、夫婦別姓に対して名前は忘れましたが誰か国会議員が「そんなものを導入したら日本人の家族の紐帯が切れる」とか抜かしていましたが、また随分と官僚的な思想だなと聞いた当時に思いました。というのも中国では昔から夫婦別姓にもかかわらず明らかに日本人よりも家族間の仲がいいです。制度によって価値観が動くことはありますが、それでも基本的には価値観に対して制度は動くものです。狭い視野の中で動くくらいならその国会議員も世界各地を渡り歩いて勉強してみたらどうかと提案してあげたいものです。

中国の道徳観について

 潮風大使さんから質問を受けたので、今日は中国の道徳観について解説します。どうでもいいですが今日はやることもなかったので一日中ゲームをして過ごしたところ、今なんかやけに眠いです。それにしてもディリータは嫌な奴だ。

 本題に入りますが中国では昨年、路上で寝そべっていた少女が二度も車にひかれたにもかかわらず誰も助けずに放置されるという映像がインターネットに流れ、日本でも大きく取り上げられたかと思います。この事件は中国本土でも大きく取り上げられ、「生活は豊かになっていく一方、道徳観が薄れてきた」と主張する人間が後を絶たず、ちょっとした議論のトピックスになりました。またコメント欄で潮風大使さんも引き合いに出していますが、これ以外にもいろいろ信じられないような不道徳な映像が流れることもそれほど珍しくありません。
 ただこうした事件があることを踏まえた上で言わせてもらえば、私は中国の道徳観が極端に日本に劣っているとは思っていません。我ながら思い切ったことを言うもんだと思いますが、決して根拠のないことを言っているつもりはありません。

 まず中国の道徳観が落ちているかどうかという議論については、間違いなく落ちていると言ってもいいでしょう。これは私の留学中にお世話になった中国人教師から聞いた話ですが、やはり経済成長とともに中国人の他人を労わる気持ちは落ちているとはっきりと述べ、一例としてその先生が大学進学に当たって列車に乗って北京に始めてきた際は若い女の子が一人で乗り込んできたこともあり、周りの人間が荷物を荷棚に載せてくれたりあれこれ声をかけてくれたりしてもらったそうなのですが、現在だとこのような光景はそうそうお目にはかかれないと言っていました。
 またこうした個人的な話だけでなく、教育関連でもよくこの手の話題が挙がってきます。自分が見た本ではこうした道徳観の低下に歯止めをかけるために儒学こと論語の音読を義務教育に復活させるべきではないかという意見が提唱され、新聞とかでもたまに載せられたりします。こういうとなんですが、なんていうかこういう議論は懐かしい匂いがするというかなんというか。

 以上のようなことから、どうも中国人自身も世の中の道徳観がどうも低下してきているということは自覚しているようです。ただ道を譲ったりしないなど一般マナーについては明らかに悪いけど、普段の生活上で観察している限りだと中国の道徳観は極端に退廃はしていない、日本と比べてもそこまで悪くはないという印象を覚えます。
 具体的な例を挙げると、これなんか中国に長期滞在した人なんかはすぐに納得してくれるでしょうが電車やバスに乗っている際に老人や赤ちゃんを抱いている母親が乗り込むと中国人はすぐさま席を譲ります。日本でもこうした光景はもちろん見られますが、はっきり言って日本以上に中国人はこうした際の対応が早く、その他にも具合が悪くなった人などがいるとみんな一斉に声をかけて心配します。

 中国人は日本人と比べると基本的に口うるさい分、やたら他人に対してもいろいろ気に掛ける所があります。私自身もそうした中国人と付き合っていると日本人ゆえか「そんな余計な心配せんでも」と思ったりしてたまにうっとうしく感じる時もありますが、そこらへんは文化の違いと割り切ってなるべく相手に合わせています。また確かに口うるさい分、親身になっていろいろと気をかけて配慮をしてもらえることも多く、私の周りだと今の部屋に入る際に間に立った仲介業者のおっさんとはなんか長々と縁が続いてて、何か世話になる度にたばこを買って渡すという関係が続いています。

 ちょっと回りくどい言い方になってしまいますが、中国人と日本人のこうした道徳観というか気質を比較するならば「ウェットとドライ」という一言が一番しっくりきます。もちろん中には信じられないような詐欺事件とかも起こったりしますがそうした事件については中国人らも真面目に怒りますし、またビジネス面でも「騙したもん勝ち」という風潮がはびこるのを良しとせず、事業で成功した人間についても「散々悪いことして儲けやがって……」などと冷ややかな目で見る姿勢が強いように感じます。
 ただ外国というフィルターもあるせいか、日本にいると目に入りやすい中国人はそうした「やり手の経営者」ばかりでしょうし、またインターネットやらが発達したことから少女のひき逃げ事件のように極端な例ほど注目されやすくなっているところがあります。そういった極端な例が目に入るようになったという意味では確かに道徳観は低下していると言っても過言ではないものの、一般市民レベルではまだそこまで捨てたもんじゃないよというのが私の意見です。

 分けて書くのもあれなんでこのままもう一つの質問こと、今年にそれぞれ総書記、首相に就任することがほぼ確実視されている習近平と李克強についてですが、まず前提として中国では総書記は外交と軍事、首相は内政ときちんと役割分担がなされております。そのため習近平はこのところあちこちに外遊に出たりなどと顔を売っているわけなのですが、中国国内の評価だと私の友人なんかは就任前の胡錦濤同様に「なんか冷たそう」と述べておりいまいち確固とした印象が持たれていないような感じです。対する李克強については次期首相候補として国勢調査の責任者を務めたりなど、国内においては習近平より顔を出す機会が多いように見えます。私自身の意見を言えば、李克強の方がやっぱりメディアで見る機会とか多いせいかなんかこっちの方が優しそうって感じを覚えています。

 それでこの両者の関係ですが、習近平は江沢民をトップとする上海閥というグループに属しているとされ、逆に李克強は共産党青年団出身ということから同じ出身の胡錦濤に近いとされています。そのため二人の総書記経験者がいる派閥に分かれていることからあれこれ憶測も立っていますが、少なくとも表面上はそれほど仲が悪いようには見えません。私の見立てでは確かに数年前であれば次の総書記の椅子を巡って競争があったのかもしれませんが確か二年くらい前に習近平が軍事関係のポストに就いたことから決着は既についており、現時点においては争う余地がもはやなく、また前述の通りに総書記と首相で役割がはっきり分かれていることから対立する要素というものは少ないんじゃないかと思います。

2012年1月1日日曜日

オウム、平田信の出頭について

 上海に戻りましたが思ったよりネット回線が復活するのが早く、昨日の朝にはまたすぐ使えるようになりました。ただ折角だから敢えて昨日は何も書かず日がな一日をぼーっと過ごしていましたが、香港から戻ってくると「空ってこんなに広かったんだ」と視界が広いことに戸惑いを覚えます。そんなわけで新年一発目の記事となるわけですが、まさか今日の未明にこんなニュースが入ってくるとは誰も想像だにしなかったでしょう。

オウム真理教・平田容疑者が出頭、逮捕へ(読売新聞)

 一連のオウム事件、ひいては国松元警察長官狙撃事件で重要人物と見られていた平田信容疑者が、昨夜未明に突然出頭し逮捕されました。既に十年以上も指名手配されていながら一向に手がかりすらつかめなかった人物であっただけに、今朝にニュースを見て私も息をのみました。具体的に平田容疑者がどのような経歴でどんな案件に関わっているかは多分他所でも取り上げられているのでここでは触れませんが、何故今頃になって出頭してきたのかという理由については既に一部で言及されている通り、麻原彰晃死刑囚の死刑執行を防ぐためだと私も見ています。

 日本の死刑制度は「共同正犯」といって一つの犯罪に複数の容疑者が関わっている場合、執行は原則的に同じ日に執行されることが慣例となっております。そのためあさま山荘事件の日本赤軍メンバーなどは一部が現在も逃亡していることから事実上、執行することは今後も不可能とされており(それ以外にも政治犯ということも影響していると見られている)、現に悔しい限りですが永田洋子は獄中で昨年に病死しました。
 この共同正犯が今回の出頭とどうかかわってくるのかですが、1995年に明るみとなった一連のオウム事件について、既に逮捕されているメンバーらの裁判が実は先月にすべて結審したということがキーになります。

 私はオウム裁判がすべて結審したという報道を見て真っ先に思い浮かんだのは、「これで麻原の死刑執行準備が整った」ということでした。今回出てきた平田容疑者のようにまだ逃亡しているメンバーこそいれども少なくとも裁判を受けた人間らについてはこの後罪刑がひっくり返ることもないし、民主党政権だったことから2011年に1人も死刑が執行されなかったことも含めて、2012年中に麻原を含むオウム事件の死刑囚に対して一斉に死刑を執行すべきだと主張しようと考え、執筆こそしていなかったものの記事を実際に準備していました。
 しかしそれが今回の平田容疑者の出頭によって崩れました。今回平田容疑者が出てきたことでまたオウム事件について新たに彼の裁判を行う必要があり、少なくともその裁判が終わるまでの間は共同正犯は同時執行するという原則がある限り、麻原の死刑執行は実現できません。恐らくこういった意図があって出てきたのだと思います。

 こうしたことを踏まえた上で敢えて主張させてもらえば、それでも麻原の死刑執行は今年中に行うべきです。もし麻原が執行されずに獄中で病死をしたらこの事件の被害者、そして遺族はどうなるのか。またこの事件の捜査に関わってきた警察の方々についても、そして一民間人の自分もどうにも納得できすることはできません。聞くところによるとまたオウムが信者数を拡大させているとも言いますし、麻原の死刑執行によって何かしら強い反応を起こすかもしれませんが、これまで連中を見ていてつくづく思いますが麻原を生かしておいても長期的には悪い影響の方が強いように見えます。
 共同正犯の原則は私も理解できます。しかしこのオウム事件だけはほかの犯罪と一緒にしてはなりませんし、通常の枠内で取り扱っては必ず大きな錯誤を生みます。真面目にこの件については、早い決着を望みます。

2011年12月29日木曜日

世界の2011年を振り返る

 昨日に休むと言っておきながら、今日もネットが使えることとなったのでさりげなく更新です。明日以降もわからんが。
 さて日本国内、というより世界中のメディアで年末ということもあって今年を振り返る特集記事が組まれております。何気にこのブログも「陽月秘抄」になってからちょうど一周年ということもあるので、2011年について、それも日本国内についてはどうせよそでもやっているのだから久々に国際政治っぽい話題で思い当たることを書いて効果と思います。

 まず今年一年を一言で言うなら、「大量に死んだ年」というのが自分の中で挙がってきます。こういうと東日本大震災を思い浮かべる方が多いかもしれませんがそれは国内の話で、世界レベルでは良くも悪くも世間を大きく騒がせた人物が次々と死んでいったせいか12月の今に至ってはもはやその死んだという事実がいまいちパッと来ない人物までいます。
 具体的にどんな連中が死んだのか、下記にざっと記します。

オサマ・ビンラディン
カダフィ大佐
スティーブ・ジョブズ
金正日

 てっきり今年はビンラディンが死んだ年として記憶されるのかと中頃まで思っていましたが、その後もどんどんと有名な人間が死んでいき、最終的に金正日が年末に死んだことでこのまま彼が話題を独占したまま年を越しそうです。さすがにスティーブ・ジョブズ氏は異なりますが、ほかの三人については言ってしまえばアメリカがかつて名指しで批判するほど敵対していた人物で、ちょっと素人っぽい考え方ですがこの三人がまとめた死んだことでアメリカの一種の軍事プレゼンスというか、差し当たっての脅威は減少したかと思います。これでベネズエラのチャベス大統領とイラクのアフマディネジャド大統領も死んでいたら、オバマ大統領はホワイトハウスでツイストを踊っただろうな。
 アルカイダについてはさすがにその脅威がなくなることはないでしょうがそれでも一つのシンボルだったビンラディンが死んだことで以前よりは弱体化が予想されますし、カダフィも死んだことであの地域のアメリカの影響力も強まるでしょう。そして北朝鮮に至ってはさすがにしばらくは継承でごたごたして外に向かって仕掛ける余裕はないでしょうし、仮に仕掛けてきたとしても今の状態では中国側も思わぬ行動に出る可能性もあってアメリカにとってはかえって好都合でしょう。

 このように見るならば、「アメリカの敵が一気に減った一年」としてとらえられるんじゃないかと思います。ただ不安要素もないわけではなく、北アフリカではエジプトなどで混乱が続いていることからテロ勢力の拡大が懸念されますし、アメリカ本国でも現在のオバマ大統領は来年の大統領選で再選するかちょっと微妙な状況です。
 ちなみに首脳の交代というと、これは一部でも報じられていますが来年は結構あちこちで変わる予定となっております。アメリカ以外で主だったところを挙げるとロシア、中国、香港、台湾と東アジア諸国で揃い踏んでおり、日本ももしかしたらまた例年の如く変わるかもしれませんしタイもまだまだ不安定、そしたら今日はカザフスタンもなんだか政情が怪しくなっているというニュースまで入ってきました。

 中国なんかは胡錦濤の次は習近平と決まっているのでまだ気楽なもんですが、ロシアでは昔では考えられなかった反プーチンデモが起こるなどまだ確定的ではありません。さらに日本メディアはお気楽ですが欧州債務危機も多分来年に本格的に火を噴く可能性が高く、今年も色々死んだせいでそれなりに騒がれはしましたが、後年になって2011年は嵐の前の静けさだったと評されるかもしれません。ちなみに友人は、「ある意味でターニングポイントの年」と評していますが。

 私個人で言えば今年は激動に次ぐ激動で、なんか3~4年分を一気に過ごしたかと思うくらいに心身への負担のでかい一年でした。何があったか事細かには書きませんが、来年に対してはさすがにもう少し落ち着きたいと思う反面、さらなる波乱を求めている節がどうもあります。本当に些細でどうでもいいことですが、夏頃は随分と目つきが緩くなっていたのを気にしていましたが、年末の今に至ってはまた学生時代後期並みに鋭さを戻してきているので、多少のことがあってもなんとか乗り切るだろうという妙な自信に溢れています。

2011年12月28日水曜日

しばらくお休みの予定

 今週に上海に帰任する予定のため、多分明日からしばらくこのブログをお休みさせていただきます。というのもこっちで無線通信が出来なくなる上、上海に戻ったらまたネットの契約とか結ぶ必要があり、うまくいけばすぐに再開できるかもしれませんが下手すら来年初頭まで更新できない可能性があります。それにしても、書く話題が多い時にこうなるとは。先月なんか疲れもあったけど、真面目にネタがなくて苦しかったというのに……。
 そういうわけなので、また適当に見に来て再開されたら応援よろしくお願いします。

2011年12月26日月曜日

香港の風水、および見えない何かについて

 昨日に引き続き1日2本の投稿、書いててなんだがいろいろと不安になってくる。こういう風に妙にテンションが舞い上がった後には決まって体調を崩しており、気のせいか夕方も一時的に物凄い悪寒に襲れました。夜を早く寝ようにも今日も2時間昼寝しちゃったし……って、昼寝のし過ぎが体調を崩す原因なのかもしれないが。
 そうしたことは置いといて本題に入りますが、先日に友人が訪ねてきて香港案内をしていた際にこんなことを話しました。

「香港のショッピングモールとホテルはどこも、1階から2階にかけ中央が吹き抜けになっている。これは龍が空に昇れるようにという風水学の概念からなのだが、香港人はやたら風水を信じるもんだから建築にもきちんと反映されている」

 実際に来てもらえばわかりますが、香港では利便や効率性を明らかに度外視して吹き抜けを作っている建物があちこちにあります。これらはすべて風水学の影響によるものなのですが、日本ではドクターコパがテレビに出なくなって久しいものの、香港では未だ現役で庶民の生活にも幅広く浸透してみんなも気にしています。

 これが多分うちの両親とかだったら「へぇ、そうなんだ」という感じで会話が終わったでしょうが、その友人は「クーロンズゲート」という結構マイナーなゲームをしていたこともあり、この私の説明にほかの人とは明らかに違う食いつきを見せました。このゲームは開発に4年かかり、プレイした人間からは「4年間もスタッフは何をやってたんだ」と思われたちょっと残念なゲームでしたが、ちょうど舞台は香港で風水学をテーマにしたアドベンチャーゲームであるだけにこの友人も興味を持ったんだと思います。なんでもその友人はこのゲームの影響で一時、風水師になろうかと思った時期もあったそうです。

 別に詳しく勉強したわけじゃありませんが風水というのは陰陽とかスピリチュアリズムと違って、意思を持った心霊とかは出てきません。そのかわり「気脈」という、人間で言えば血液のような運気の流れというものを大事にして、この気脈が血栓みたいにどっかで詰まったりしないよう上手く流れるよう構築物の配置をあれこれ考える学問……というかは概念です。元々、風水は中華圏で発達した概念でありますが恐らく香港が世界で最も風水が普及している所で、実際に私もここでプロの風水師に会ったことがあります。

 話は戻って友人との会話ですが、もちろん互いにふざけ半分ですが昨日に書いた「シチズンの呪い」を始め、ここ数週間でやたら私の運勢が悪いのは今住んでいる部屋の風水が悪いのではないかと指摘されました。そもそも風水のせいにしなくたって、狭いのは香港だから仕方ないとして今の部屋は明かりをつけても妙に薄暗い上に必要性が全く感じられない妙な段差があるなど、私も初めて入った際には「えっ、俺ここに住むの?(;゚д゚)」と思ったほどでした。上海の部屋よりはきれいだけど。
 仮に自転車で走り回れる環境であれば休日はずっと外に出て乗り回しているのですが、香港は真面目に自転車を一台も見ない、というより絶対に走れない環境ということもあって休日は家にこもっていることが多いです。それだけに今の部屋の環境は真面目にストレスの種で、やや贅沢ですがもうちょっと何とかならないかと常々感じています。会社指定だから動かしようがないけど。

 ただこのところの運のなさ、それも自分のミスによる災難だったらまだ納得できるものの、シチズンの問題など明らかに自分の範疇を越えたところで災難が降りてくるのはなにか目に見えない力が働いているんじゃないかとこのところ感じます。折しも友人に持ってきてもらった水木しげる氏の漫画「神秘家列伝」の中で水木氏が度々、「目には見ることができないが未知の力というものは確実に存在しており、私(水木氏)はそういったものを出来る限り絵に描くことで伝えようとしている」と書いてあって、なんか妙に納得してしまいました。香港にいるのももうあと少しだけですが、頼むから余計なものにはとっとと離れてもらいたいです。

ソニーとサムスンの液晶事業の合弁解消について

 今日の香港はクリスマス休暇でどこも休み。休みにやることが何も見つからない香港なだけに、かえって仕事のある日よりストレスがたまるので昨日のアジアゲームショーの記事を書いたりして過ごす。別に仕事が好きってわけじゃないけど、こうもやることないと「ファイナルファンタジータクティクス」しかやらなくなってしまうし……。

 話は本題に移って、ちょっと気になるニュースというか「ああ、やっぱり」というニュースがあったので一言入れておきます。多分ここで行う私の解説は他所ではまず聞けない内容なので、いい記事になるでしょう。

ソニー、サムスンとの合弁解消=液晶事業、全株売却へ(時事通信)

 上記リンク先のニュースによると、ソニーがサムスンと提携していた液晶事業の合弁を解消して、一緒に作った共同会社の株を全部手放すそうです。なんでこんなニュースに執着したのかというと、以前にある家電メーカーに勤める友人からこの提携について、「ソニーはきっと裏切るよ」という話を聞いていたからです。確かこれ聞いたのは2年前かな。
 その理由はと友人に聞くと、「何も液晶に限らずソニーは他のメーカーと合弁を始める傍から次々と撤退しており、もはや物作りの会社という社風が全く感じられない会社になっているから」と答えました。そのため今年9月に発表された、ソニー、東芝、日立の3社による日の丸パネル連合「ジャパンディスプレイ」についても、早晩破綻すると予言しています。もっとも「ジャパンディスプレイ」について言えば別の液晶部材関係の友人も、「赤字部門が結託しても何もならない」と言っており、むしろ業界の人ほど冷めた目で見て部外者の間でしか盛り上がっていないように見えます。

 そんなわけで友人の予言が今回的中したわけですが、折も折で先日、ソニーの後継者問題に関する記事を見たばかりだったのでちょっと思うところがあります。その記事の内容というのは現社長兼CEOのハワード・ストリンガー氏がもう大分高齢になっていることからそろそろ後釜が必要と内外から言われているのですが、どうもソニー内部ではっきりと後継者だと言える人物がいないようです。というのも現在のソニーは家電などハード部門よりもゲームなどソフトウェア部門に注力している節があり、この二つの折り合いをどうつけるかで揉めているという話で、私も外から見ているとどうもそんな感じに見えます。

 そこでさっきの友人の話で、「ソニーはもう物作りの会社じゃない」という一言です。私自身、もう日本の家電メーカーは赤字を垂れ流すテレビなんか作るのをやめた方がいいと考えており、ソニーなんかソフト部門に特化した方がいいんじゃないかと真面目に思います。業界の間で会社自体がそういう社風だともう思われているんだし、今度の政権交代を経て一気にその動きを加速した方がいいのではと、部外者で素人ではあるものの一意見として記しておきます。

 ついでなのでこのほかの経済ニュースについてもちょこっと触れておきますが、なんかネットを中心に「野村証券危機説」というのが最近流れているそうです。はっきり言ってこの会社は凄い嫌いで潰れてくれるなら実に結構なことなのですが、生憎というかここ香港ではそういった危機説を報じるニュースは見当たりませんし、私が見ている限りでも今現在ですぐ潰れるような要素は見当たりません。唯一というか野村証券に関連する話題だと、シンクタンクの野村総研のみを別の企業に売却するのではという報道であれば先々週くらいに見ました。野村総研には大学で嫌いな奴が就職したので「ヒャッホーヽ(*´∀`)ノ」と喜んだのですが、こっちだけでも実現してくれないかな。

【トヨタ アクア 発表直前】ディーラーが感じた弱点と誤解(レスポンス)

 こちらは今回トヨタが発売した、待望のコンパクトHVカーのアクアの記事ですが、なんていうか読んでて「この記事書いた奴は大丈夫か?(;゚Д゚)」と思ったので取り上げます。記事の内容は「前評判が高いアクアだけど、実はこんなところに弱点と誤解があるよ」というように書かれていると見出しを見て思うのですが、一読して「誤解しているのはお前の方じゃないか」と私は思いました。
 曰く、「スマートエントリーやプッシュスタートなどのオプションをつけ、プリウス並みの装備にしようとすると20万~30万の追加。そうするとプリウスと価格面で大差ない」という点がアクアの問題点として挙げられてまうが、そもそもトヨタがターゲットにしている販売層というのは「スマートエントリーやプッシュスタートなど、余計なオプションはいらないからもうちょっと価格の安いHVカーが欲しい」というような層じゃないかと私は思います。あくまで私の価値観ですが、仮にこうだとしたら上の指摘は意味がないんじゃないでしょうか。あとは「なんでもいいからともかく燃費を低く」っていうような層とか。新車をことごとく、「ランエボには敵わないけど、まぁそこそこ速い車だね」と評価する、三菱自動車贔屓が過ぎるベストカー以上におかしな評論記事です。