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2012年11月25日日曜日

中国製タブレットPC購入

 上海はこのところほぼ毎日雨ですが、昨日は珍しく晴れとなりました。そんな晴れの日を狙ったわけじゃないのですが、友人と一緒に電気屋に行って前から購入を検討してたタブレットPCを購入しました。


 買ったのは上の写真の「藍魔」というブランドのタブレットPCです。この「藍魔」はアルファベットだと「ramos」というブランド名なのですが、例のやたらキャラの濃い元サッカー選手とは関係ありません。
 価格は中国メーカー製ということもあって800元(約1万円)と非常にお手頃。ストレージは16GBで大きさはほぼi-Padと変わらず、まずはタブレットPCをお試しで使ってみようと考えてたので十分な性能です。ただ大きさですが、上の写真だといまいちわかりづらいです。何か比較になるようなものはないかなと思って部屋の中を探してみたら、ちょうどいいのがありました。


 タブレットPCの横にあるのは、うちの親父がガシャポンで当ててきた興福寺阿修羅神像です。ちゃんと製作時の色である赤色に塗られてます。親父曰く、奈良県に遊びに行った際に親父の従弟と一緒に仏像専門のガシャポンで手に入れ、何故か去年上海に訪ねてきたときに贈られました。親父の従弟によると阿修羅像が出てくるのは珍しいらしく、出てきたときはいい年したおっさん二人ではしゃいでたそうです。

 
 話は戻ってタブレットPCの裏面です。


 こちらも阿修羅像と比較。

 なお現在私のいる部屋ではWiFiを飛ばしていないため、今朝スターバックスへ行っていろいろとこのタブレットPCを試してみました。入っているソフトはアンドロイドのため表示言語を日本語に直すのはすぐできますが、日本語入力システムが入っていなかったので探してみると「Simeji」というソフトに行き当たり、無事インストールすることができました。このほかネットにつなげてあれこれ弄りましたが、そこそこ大きさもあることからアクセスしたりページを見る分には問題なく、現在スマートフォンを持っていないので代用品としては十分です。
 ただ中国政府の検閲によって現在中国ではGoogle関連のサイトが使いづらく、Gmailなどにアクセスしてアンドロイドのアプリを探すことが出来ませんでした。真面目にこういうことする奴らには死んで欲しいです。


 話は戻って阿修羅像ですが、折角だからいろいろほかの角度でも写真を撮ってみました。


 横っ面。


 背面図。この場合、後頭部と言っていいものか。


 正面どアップ。


 再び横っ面。なんか手のポーズといい挑発されているような。


 この写真は現在の私の部屋のPCを設置しているデスクです。なんか棚の中の一部がPC設置用に出来ているので使っていますが、見てわかる通りに足を入れる下部のど真ん中にガラス板が置かれていて、毎日この板を股で挟むようにしてブログ書いてます。なんでこんな写真を入れたのかというと、小さくてわかりづらいですが一番上の棚に置いてあるのが阿修羅像で、ここが彼の定位置だからです。


 下から見上げるとこんな具合で、いつも拝みながらパソコンしてます。それにしても今日は一体何の話が主題なのかよくわからなくなってしまった。

  追伸
 自分でもしつこいことは重々承知ですが、例の「積み木くずし」のドラマ放映特需を受けて昨日のインスタントアクセス数が26,891回に達しました。それどころかアクセス数を稼いでいる記事に至っては、gooブログ内の記事別アクセス数で昨日トップになりました。なんとなく実感がわきませんが、素直にうれしいです。

2012年11月23日金曜日

デフレ経済を読み解く~デフレの原因

 間に一回挟んで再びデフレ関連の記事です。今日はみんながデフレだデフレだと叫んでる一方で意外と議論されないデフレの原因について私の考えを紹介します。

 まず最初に断っておきますが、これはデフレに限るわけではありませんが人間というのは基本的に因果関係をシンプルに一対一で結びたがる思考をしています。平たく書くと一つの結果には一つの原因があるはずだと思い込みがちという意味ですが、世の中そんなに簡単なわけではなく実際には一つの結果は二つや三つ以上の原因から生まれることもあれば、一つの原因から二つの結果が生まれたり、場合によっては三つの原因から二つの結果が生まれたりすることもあります。
 このデフレも類に違わず、日銀を中心に「これが答えだ!」と怪しい占い師のように主張してくることもありますが、実際には複数の要因が一緒に作用して起こっているというのが私の考えです。ではどんな原因があるのか、世の中に出回ってて間違っているのも含めて片っ端から書いていくことにします。

1、安い中国製品の流入説
 これは前回の記事でも書きましたが念のためおさらいです。この説は人件費が安い中国で作られた製品が大量に日本に流入してきたことから物の価格が下がりデフレになったというわかりやすい説ですが、これは実際にはデフレの原因にはなっていないと私は考えています。理由は前にも書いたように中国製品とは競合しない散髪や修理といったサービスの価格も下落しているのと、同じく大量の中国製品が流入しているアメリカではデフレどころかインフレを記録しているからです。昔に中国製品が入ってきて価格が下がっていることを「良いデフレ」と評する意見を見たことがありましたが、商品を安くして販売量を増やして儲けた企業、特に家電メーカーがもいたんだからこの点に関してはまさにいいデフレだったと言えるでしょう。

2、生産年齢人口の減少説
 これは日銀が盛んに主張している説ですが、私の知る限り日銀はこの説に対して具体的なデータを出して説明しているのを見たことがありません。そもそもなんで人口減がデフレにつながるのかよくわかりませんが今回下地にしている岩田規久男氏の「デフレと超円高」(講談社現代新書)によると、生産年齢人口が減少しているドイツやウクライナ、ルーマニアなどではインフレとなっており、デフレなのはこれまた日本だけです。これに限るわけじゃないけど、真面目に日銀の連中が働かずに給料もらっていることが不思議です。

3、生産性の向上説
 これもこのところよく見ますが、なんていうかどれも日本国内だけで考えるからおかしな方向に進むんだなと思う説です。これは生産性が向上、いうなれば一つの製品やサービスを生み出すためにかかる労力やコストが減少することによって商品価格が下がり、物価も下落していったという主張なのですが、先進国中で最低クラスの生産性を誇る日本でよくこんな説を主張できるなといろいろ思います。この点に関しても岩田氏のデータによると、OECDが調べた1995年から2007年までの生産性上昇率で日本の1.27%を上回っている国、下回っている国両方でほとんどインフレとなっており、はっきりいって生産性は何も相関がありません。普通に考えればわかることだけど、ある意味でこの説を主張する人は凄い人だと思います。

4、規制緩和説
 大きな原因ではないけど少し影響していると思うのはこれです。小泉内閣時代に日本はあらゆる面で規制緩和を推し進めたことによって、それまで参入障壁が高かった業種を中心に新規参入が相次ぎました。主なのは人材派遣とタクシー業界、あと大店法が緩和された小売業界ですが、サービス競争よりも価格競争が先行する面も見られ、タクシー業界に至っては複数企業が連名で規制を強化してくれと陳情するほどに至りました。まぁ何が何でも規制緩和は悪いと言うつもりはなく、これによって花開いた企業もあれば、規制に守られて時代遅れになっていた企業も淘汰できています。もっとも、一番規制に守られているテレビ業界で規制緩和がないのが私には不満ですが。

5、年代による富の偏り
 これもあくまで遠因していると思う説ですが、今の日本はかつてないほどに年代別で富の偏りが出来上がっております。具体的に言えば年代が高まるほど富が増え、逆に若年世代は異常なまでに富を持っていないばかりか日々の収入も少ない状況です。育児や娯楽など本来消費が活発化する世代に富が行きわたらず上の世代に富が塩漬けされているような状態から消費が動かず、物価も収入の少ない若年世代に合わせて減少しているというのがこの説ですが、じゃあ若年失業率の高いスペインとかほかの国はどうなのかという疑問がまだあります。反証は出来なくはないけど。

6、政府の政策
 何気に一番でかいと思うのがこの説ですが、政府、というより多くの政策決定者の間で「デフレが望ましい」という意識があるのではないかと思います。というのも政治家を始め政策決定者は比較的高年齢層が多く、預金のある人からすればインフレになればなるほどその預金の価値は減り、逆にデフレであればどんどんと価値が高まっていきます。一応口ではデフレは問題だと言いながらも、内心ではデフレに誘導するように政策を動かしているのではないかと疑わざるを得ません。

7、日銀の政策
 こっちははっきりしていて、日銀はデフレが望ましいと公言しているようなものです。昨日今日の報道でも自民党の政策案に対してハイパーインフレになると否定的ですが、日銀というはバブル崩壊の失敗から伝統的に、「インフレになるくらいなら安定的なデフレの方がいい」という思想が強いと聞きます。残念ながら今の姿勢を見ているとやはりその噂は本当だったと思わざるを得ず、1%のインフレすらあってはならないというような思想の仕方をしている気がします。でもってこういう日銀の姿勢があるからこそ為替取引をする世界中のディーラーも、「日本はインフレになりそうになったら日銀が止めてくれる」と織り込んで日本円を買って円高になってるというのが岩田氏の主張です。

8、社会保障への不安
 これは私が以前からも主張している説ですが、年金をはじめとして日本の社会保障、特に失業が定年となり収入がなくなった後の生活をどう切り盛りするか、行政がきちんと支援してくれるのかという不安がこの15年くらいの間で急劇に高まっており、消費を切り詰め預金しようという意識が強く働くようになっているのも大きな要因だと思います。実際にこの前実家帰った時も、家を買うくらいなら賃貸の方がいいと家族会議で結論出しました。


2012年11月22日木曜日

手段の目的化に伴う弊害

 最近はすっかり読まなくなりましたが、以前によく漫画家の小林よしのり氏の「ゴーマニズム宣言」を読んでおりました。読まなくなった理由はもうちょっとついていけないかなーっと思う回数が増えてきたせいでありますが、あの薬害エイズ問題が大きく取り上げられたころの話は非常に面白く、今でも他人に薦めることが出来ます。
 その薬害エイズ問題のくだりで書かれた話ですが、管直人元首相(当時厚生大臣)が被害者に正式に謝罪した後、「運動から日常に帰れ」と小林氏は主張しておりました。この言葉の意味とは薬害エイズ問題でデモ運動を繰り返したことによって政治家、ひいては厚生省を動かす事には成功したのだから、後の処理は政治のプロに任せてこれ以上は必要でない限りデモ運動などするべきではない、普通の日常に戻るべきだそうです。

 当時はなんとなく、「へぇ変わったこと言うなぁ」とか考えてましたが、後年に改めて思い返してみると実に重要な提起だったとこの言葉を高く評価するようになりました。というのもその下りでも書かれていましたが、薬害エイズ問題の被害者への謝罪と補償を要求する手段として運動があり、その目的が達成された後も運動を続けるというのは運動それ自体が活動の目的になってしまっており、本末転倒な行動となってしまうからです。
 以前にも、といっても本人も覚えていませんが私はブログ(恐らく陽月秘話時代)で、手段それ自体を目的にしてはならないと主張しましたが、その源流はこの小林氏の言葉にあります。最近またこのテーマであれこれ思索を進めたのですが、やはり手段が目的化するとどんどんと行動が矮小化していくというか、はっきり言ってしまえばくだらない人生になる可能性が高いという弊害があるように思えてきました。

 いくつか例にとると、「何故働くのか」という問いに対しては普通、少なくとも私の常識では「生計を得るため」が一番まともな答えだと思います。構造的には「生計を得る」が目的であって、その目的達成手段として「働く」があることになるのですが、この例で手段が目的になるということは「働くために働く」という風になります。
 もちろんこんなの日本語の文章としても明らかにおかしく成立するはずはないのですが、一工夫するとこれが成立するようになります。その工夫とは、手段が目的となるのに合わせて新たな手段を作ることです。先程の例だと、「働くために仕事を増やす」、「働くために遅く残る」、「働くために会社を辞めない」という具合で、なんていうか不毛な言葉ばかり並びます。ただ不毛と言いつつも、こういったことが今の日本に起こっているのではないかと本気で考えてます。

 更に話を発展させると、手段が目的化するのは何も一回だけとは限りません。これまた同じ例だと、「仕事を増やすために余計な作業手順を作る」、「余計な作業手順を作るため人員を増やす」と、このように下がれば下がるほど本末転倒というか何がしたいのかだんだんわからなくなってきます。それでも強気で言い続けるなら、これが今の日本の現状だと私は考えます。
 こんな具合で話をまとめると変な感情は挟まず手段はやはり手段だと割り切るべきで、目的というのは窮屈にもなりますし高尚なものへ引き上げる必要は全くありませんが引き下げてはならないものだと思います。引き下げてしまうと本人は満足かもしれませんが、少なくとも私の目から見て楽しい人生にはなりません。

 もっともこう言いつつも、実際には多かれ少なかれ目的が手段化するのは必定なところもあるとは認めます。最近また社会学的な思考が復活しつつあるのか物事を構造でとらえる傾向が高まっているのですが、人間というのは目的と手段がいくつか入れ子構造になっており、一番大事な目的(生存など)を敢えて第一目的とするなら、それを達成するための第一手段というのが第二目的になるのだと思います。でもって第二目的の達成手段が第二手段=第三目的……という具合で、段階欲求論を主張したマズローさんだったらきっと理解してくれそうな感じで今理解してます。
 最後に重ねて言うと、曖昧でもいいから人生の目的こと大目的というのは多少は意識した方がいいと思います。自分の場合は前の記事で書いたような花園家再興とともに自分の実力をどこまで引っ張り上げられるのかがこの大目的に当たりますが、この目的にそぐわない行動はほとんど取らず、逆に沿う行動に対してはかなり大胆に実行できている気がします。少なくとも今の人生にはあまり後悔はなく、悪い気はしないので人にも勧めたいと思った次第です。

  おまけ
 以前に人生の目的などについて友人と議論した際、「僕はニュータイプになりたいから宇宙に行くことを人生の目的にするよ( ゚∀゚)」と言い出す友人がおりました。その友人曰く、「宇宙に行けたのなら帰りは燃え尽きてもいい」、「いざそうなったらシャア少佐ーっ、って叫んでやるよ」とまで話してたので、「いやそこはアメリアっー、だろ」と一応突っ込んでおきました。

2012年11月21日水曜日

デフレ経済を読み解く~構造デフレ論について

 また例の如く本題とは関係ありませんが、ついに鳩山由紀夫元首相が政界引退を決めました。野党などはトカゲのしっぽ切りだなどと引退に追い込んだ民主党執行部を批判しておりますが、私に言わせればトカゲのしっぽどこかがん細胞と言っていいくらいの人間なので、批判したい気持ちはわかりますが今回ばかりは日本政治界全体にとっても明るい話題なので「おめでとう!」、「よくやった!」くらい言ってもいいんじゃないかと勝手に思ってます。

 話は本題に入りますが、デフレに関する議論がようやく活発化してきました。一番大きいのは自民党がデフレ対策としてインフレ目標を定めることや日銀に建設国債を引き受けさせる、さらには日銀法を変えるという内容を公約に掲げていることですが、これに対してデフレの諸悪の根源ともいうべき日銀、野田首相を始め批判する人は多く、恐らく選挙における主要なテーマになっていくでしょう。
 ただデフレ自体が議論されることは私としても大いに歓迎したいです。というのも経済対策として公共事業とか支援策とかあれこれ言う人は多いですが、デフレが解決されないことにはそういった政策ははっきり言って無に等しいです。ではデフレはどう対処すればいいのか、麻生元首相なんかは二の矢、三の矢の公共事業だとかいいそうですが、そんなの借金作って終わりだと私は考えてます。

 そういうわけで頃合いもいいし、前から準備していたのもあってこれからしばらくデフレについてあれこれ書いていこうかと思います。書く前に先に紹介しておきますが、ここで書いていく話は先日読んだ岩田規久雄氏の「デフレと超円高」がベースになっています。

デフレと超円高(Amazon)

 学者ということもあって所々に専門用語が多いのがたまに傷ですが、日本のデフレに関してよくまとめられているのでお勧めの一冊です。そんなこの本で構造デフレ論についてなるほどと感じさせられたので、今日はこの箇所に絞って解説します。

 まず構造デフレ論とはなんぞやからですが、いくつか種類がありますが代表的なのはグローバル化に伴う価格下落です。90年代以降、日本を始め世界各国では中国に代表される人件費の安い国で作られた製品が流入しましたが、これらの価格の低い商品に対して国内メーカーも競争せざるを得なくなり、どんどんと商品単価が下がっていったことがデフレの原因だとする説です。
 この議論で整理しなければポイントはいくつかありますが、まず競合する商品の価格が下落していったのは確かな事実です。それこそパソコンなんて90年代は30万円を超すのもざらだったのが、今や10万円を切るのが当たり前です。このほかの家電、繊維、あと100円ショップで売られる雑貨なども中国製に押されてどんどん価格が下がっていきました。

 そうした状況を見れば確かに中国製品との競争の結果、物の単価が下がっていきデフレになっていったと言われればなんとなく納得できそうですが、上記の岩田氏はこの構造デフレ説をただの一言で否定しています。その一言というの、「海外と競合していない商品、サービス代も下がっている」というものです。
 岩田氏が例に挙げたのは散髪代というサービス費用ですが、統計によると90年代以降はこの散髪代はほぼずっと下がりっぱなしです。仮に家電などの製品が安くなれば手元に残るお金は増え、自然な経済環境であればその余ったお金は別方面に使われていきますが、先ほどの散髪代のようにほぼすべての方面で日本は90年代以降は価格下落が起こっております。ならその余ったお金はどこに行ったのか、言ってしまえば社会保障の先行き不安から大半は預金へと回ったのが実情ですが、こうした競合しない商品・サービス代でも価格が下がっていることから構造デフレ説は間違いだと主張していますし、私もこの説を支持します。

 では何がデフレの原因なのか。これもパパッと語ると預金へと回ったお金がその後どこへ運用されたのか、こういったところがポイントになって最終的な結論として日銀の金融政策と世界の状況が問題だと岩田氏は主張するわけですが、その辺についてはまた次回以降に説明します。


2012年11月17日土曜日

家電エコポイント制度の是非を問う

 前から書きたかったネタなので連投でもう出してしまいます。それにしても夕方5時から6時の一時間を昼寝に費やしたのになんでもう眠いのだろうか。あくびが止まらん。

エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業(Wikipedia)

 日本ではリーマンショック後、政府の景気対策として自動車と家電製品を対象に環境性能の高い商品に限り消費者の購入に際し補助金を支給する政策、エコカー制度とエコポイント制度を実施しました。今回はエコカー制度に関してはそれほど触れずに家電のエコポイント制度に限り主張を展開しますが、結論から言うと果たして投資効果はあったのかという疑問を持っております。
 まず最初になんでこんな話をしようかと思ったのかですが、私の周囲の人間だけかもしれませんがエコポイント制度は失敗だったという人間が非常に多いからです。特に家電業界に近い人間ほど、「あれは市場を歪めた」といって、家電大手企業が現在大赤字を記録する下地を作ってしまったと指摘しています。私としてもほぼ全く同じ考えで、プラスの面よりはマイナスの面の方が大きかったのではないかとみています。

 具体的に何がまずかったのかというと、友人が主張している通りに「市場を歪めた」というべきか、本来そこにないはずの需要を無理やり引っ張り出して利益の先食い現象を作ってしまったということにつきます。眠いのでなんかすっとんだ書き方がさっきから続いていますが順を追って説明すると、そもそもエコポイント制度は2009年のリーマンショック直後、消費が急激に落ち込むことを懸念して作られた消費促進策です。この制度によって家電を安く購入できるようになったことから懸念されていた消費の落ち込みは家電業界(+自動車業界)では起こらず、むしろ売上げ的には一時的に伸びました。しかしこのエコポイント制度が昨年3月を以って終了するやそれまでの反動から今度は急激に売れ行きが悪化し、ソニー、パナソニック、シャープの家電大手3社が揃って大赤字を記録する一因となりました。

 私がエコポイント制度に何故疑問を持つのかというと、上にも書いてある通りに誰も誉めていないということが一つです。「いやぁあの制度には助けられた」という輩は一度も見たことがなく、むしろ今の惨状を作った要因だとして問題視する人が圧倒的に多いです。またもう一つ大きな理由を挙げると、今の中国も似たような感じだからです。
 中国でもリーマンショック直後に家電の購入促進策「家電下郷」、「以旧換新」という2つの政策を実施して一部地域を除いて昨年に終了しましたが、日本ほどではないですがそれまで空前の利益を叩きだしていた家電メーカーが終了後は一転して苦しい経営へと追い込まれるようになり、確か空調が強い挌力(グリー、ゲーム会社と同じ名前なのは偶然の一致)なんかは単期で一度赤字にも転落していたような。成長市場の中国ですら反動の影響がこれほど強いのだから、日本での影響は中国以上なんじゃないかと思います。

 実際に細かい数字を検証したわけではありませんが、エコポイント制度を実施していなければリーマンショック直後に家電メーカーの売上げは大きく落ち込んでいたでしょうが、果たして現在の落ち込みほど落ち込んだのかと疑問に感じます。また更に付け加えると、リーマンショック直後に下手に延命策など取らなければ事業見直しがもっと早くに進んで、無駄な設備投資が行われず今ほどの赤字を先ほどの3社は作らずに済んだのではないかとも思います。机上の空論ではありますが。
 ただいくつか根拠を挙げるとこれもちょっと細かく確認しておらず友人からの情報なのですが、今年上半期に三菱電機は液晶パネル事業で黒字だったそうです。同事業で大赤字を記録したシャープはその原因を世界的なパネル価格の下落と主張しましたが、それだと三菱電機は何故黒字だった野かということになります。友人曰く結局は設備投資の差で、無駄なことをしなかったから三菱電機は黒字となったとのことです。

 事業を見直すのは早ければ早いに越したことがなく、そういう意味でエコポイント制度は本来死ぬべき患者に無駄な延命治療を施してかえって苦しませる結果となったのかもしれず、たとえリーマンショック直後に大赤字を記録することになっても、やはり市場に任せるべきだったのかもしれません。
 政府はエコポイント制度についてCO2排出量削減につながったなどと自画自賛していますが、この制度はもっと検証する必要があるかと思います。敢えて私の方から改善点を挙げるとしたらもっと分野と範囲を絞るべきで、それこそテレビや冷蔵庫は除外してまだ普及途上にあったLED電球などに絞って小規模に実施するべきだったでしょう。

 じゃあ家電と一緒に補助金が出された自動車業界はどうなのか、それほど反動があるのかという論点もありますが、少なくとも家電業界ほど自動車業界は反動の影響を受けていません。一体何故と言われるとちょっと自分もわかりかねますが、両業界でどうしてこう違うのか、原因をしっかり検証することが次回以降の政策に役立つのではないかと思え、ちょっと問題提起を兼ねて今回こうして記事化することにしました。
 なお全く根拠なく推論を述べると、自動車業界のエコカー補助金はなんていうかプリウスの一人勝ち、次点でホンダのハイブリッド車に恩恵が集中したから家電業界ほど影響なかったんじゃないかという気がします。その売れまくったプリウスは今でも納車待ちが長いというし。

次回総選挙に対する雑感

 昨日はプライベートでの嵐の一週間が終わり、なんか燃え尽き症候群のような状態でまたブログを休んでしまいました。というか一週間に取材三回、特集記事数本を抱えるのは無理があるだろう……。そんなわけで今日は頑張って書こうと考えており、まず一本目には折角解散したわけだし次の総選挙について思うことを片っ端から書いてこうかと思います。

 まず今回の解散時期ですが、前の記事で時期を一ヶ月勘違いしたくらいに私も驚いています。昨日になるまで本当に11月16日に解散するのか半信半疑でしたが本当に解散していて、何故だか取材先から帰る際に地下鉄の駅で目の前で乗りたい電車が走り去って「ファッキン……」とつぶやいたら前のおっさんがビクッと反応してたのを思い出しました。ほんとどうでもいい。
 前の記事でも書いてありますが今回これほど急に解散が行われたのは、野田首相が以前から構想していたということもありますが、新党の連中が選挙準備を整える前に勝負に出て突き崩すという狙いが民主、自民で一致したからだと思います。やるべき課題を残してなどあれこれ批判もされていますが、私としてはこのタイミングで解散に出た野田首相はやるなと思うのと同時に、解散するや次々と民主党から離党者が出ていることから割と期待しております。前回の総選挙時の時点で民主党が大勝したら理想と現実に揺れて離党者が相次ぎ、政界再編が起こると各所で予想されていましたが、小沢一派も抜けていることだし三年かかったとはいえようやく実現したと言ったところでしょうか。あと鳩一羽を除名でもしてくれたら民主党は完璧なのに。

 それで次の選挙後の結果ですが、私の予想としては民主から離党者が相次いでいることに加えて新党が乱立していることから、前にも主張した通りに単独過半数を握る政党は出ないと見ております。そのため次の内閣は連立政権になる可能性が高く、日本維新の会などは連立政権に第三局として与し実権を得る方向を目指しておりますが、実際には恐らく民主、自民、公明の民自公の連立になる可能性が高い気がします。それこそ民主党に小沢一派、自民党が谷垣総裁だった時代ならともかく、野田首相と安倍総裁はともに親米保守であるだけでなく考えている方針が近いようにも感じますし、消費税増税でも谷垣時代に公明とと共に一緒にやっていることからこのまま連立化するのが自然な流れに思えますし、その後の政局を考えるとこういう形が私としても望ましいと考えています。連立政権の首相は野田首相が私にとっては好ましいですが、流れとしては安倍総裁になるでしょう。

 一方、第三局についてはやっぱりガタガタになるのがこちらも自然な流れでしょう。今日になって日本維新の会と太陽の党が一緒にやっていくと発表しましたが、この両党では政策方針が所々異なっており、かつ太陽の党はあくまで私の印象ですが初めから選挙後に当選した議員を引き連れて自民党に合流する気じゃないかとにらんでます。また日本維新の会に関しては友人が言っていたようにスポンサーの不在が明らかで、普通の選挙戦を展開するだけでも苦しく、どれだけ候補者を立てられるのか未知数もいいところです。加えて柱に掲げる政策方針がちょっとはっきりしておらず、むしろ民主党がTPP交渉参加を掲げるとしていることに対して反対すると反応し、相手のペースに載せられてしまっている始末です。人気も発足当初から落ち込んでおり、橋下市長の想定通りとはいかないと予想します。
 また付け加えておくと、前回総選挙時にできたみんなの党などのほかの第三局に関しても同様です。みんなの党に関しては私もそこそこ期待しておりましたが主張する政策が公務員制度改革しかなく、この手の議論が下火になるや一緒になってフェードアウトしてほかの政策はみんな反対という当たり前の野党と化してしまったのが残念です。今回出来た新党も早くもそうなる気配があり、その辺を見越して民主党もTPP議論を改めて吹っかけてきたのでしょう。

 それにしても来月選挙時に自分が日本にいないというのが悔やまれます。こんなの私だけでしょうが水野晴郎ばりに言わせてもらうと政治って本当にいいものですねぇ、考えてるだけでも楽しいし。

2012年11月15日木曜日

中国の新指導部が発足

 既にコメントで指摘を受けておりますが、昨日の記事で衆議院の解散時期を正しくは11月16日だったところを12月16日と勝手に勘違いして記事を書いちゃってました。早すぎるからさすがに今月はないだろうとか思ってましたが、しっかり確認しとけばよかったよ……。

中国の新指導陣が決定…中国共産党常務委員「チャイナセブン」(サーチナ)

 話は本題に移って、というかこのところ政治記事ばかりですがようやく今日になって中国の新指導部が発足しました。前にも書きましたがまた簡単に説明すると、中国の最高意思決定機関は中国共産党常務委員会といって、ここのメンバーから総書記や首相といった役職の人間が選ばれます。でもって本日この常務委員のメンバーが発表され、下馬評通りに次の総書記の習近平と首相の李克強がちゃんと入っております。
 今回のメンバーの特徴ですが、リンク先のサーチナの記事に書いてある通りにメンバー人数が9人から7人に減っております。もっともこの辺の仕組みはよくわからないので理由とかそこらは別の解説者に任せますが、あまりまだ共産党の政治構造とか勉強してないのもあって上記の二名以外はあまりどういった経歴なのかはわかりません。ただ敢えて一意見を書いておくと、ちょっと日本のメディアは陰謀論が過ぎるかなという気がします。

 たとえば今一番多く出ているのは「前の総書記の江沢民が裏で糸を引いている」というものですが、影響力が全くないというわけではないものの言われているほど大きくはないんじゃないかというのが私の意見です。さすがに今回の党大会で胡錦濤の横に座っていたのは何かしら意図があってのことだとは思いますが、なんでもかんでも黒幕をこの人に押し付けるのはちょっと無理がある気がします。そんな無理のある話が何故だか好きなところが日本人にはありますが。
 あと今出てきた胡錦濤ですが、前の記事で気になる点として挙げておりましたがどうやら人民解放軍のポストも下りて、事実上政界から完全引退するようです。色々推測は出ておりましたが、前の江沢民は数年間は軍事ポストを渡さなかったこともあって本当にそうなるとは驚きです。もっともこの辺のパワーゲームの内幕は、数十年後にならないとわからないでしょうが。

 話は新指導部に戻しますが、早くも習近平政権になったら日中関係はこうなるとかあれこれ出ていますが、これは断言してもいいですがどれも憶測記事で信用に足るものはないと言っていいです。これも前に書きましたが、中国はトップ個人の意思で外交が動くのではなく党の意思で決められるため、長期的には影響はするでしょうがトップが交代したからと言って急に方針が変わるようなことはあり得ません。中国としても対日交易は重要視しているため今の尖閣問題も落としどころを探しているような状態でしょうし、何かまた動きがあれば、それこそ石原新党がホームラン打つようなことがあるならともかく急激に悪化するようなことはないと私は考えています。

 最後に個人的な話ですが、早くこのネット検閲をどうにかしてもらいたいというのが私の願いです。昨日もスカイプで友人と会話中にきっかり8分ごとに回線が3回切られました。日本にいると信じられないでしょうがGoogleも反応が悪くなっている上、一部のキーワードを入れると検閲されたりと、フランス革命張りに自由を叫びたくなる日々です。