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2013年6月28日金曜日

衆参ダブル選挙を予測した方々に対して

 また例によって関係ない話題からですが、以前にも紹介した「銀のさら」のCMがまた面白いです。こういうのを見ていて思うけど、つくづく自分は不条理なネタが大好きな気がします。

 話は本題に入りますが、これから次回参議院選挙についての私の見解を思いっきり書こうかと考えているのですがその前に、どうあがいても理解不能な政治予測が先月から今月にかけて出回っていたのでそれについて個人的な批判をします。

参議院選挙直前の衆議院解散による衆参同時選挙はあるのか?(児玉克哉三重大学副学長・教授)

 やり玉に挙げて少しかわいそうな気がするのでフォローを入れると、今回問題視している「衆参同時選挙が起こるかも?」と予想した人は他にもいっぱいいますし、日経新聞など大手紙の政治部記者もたくさん書いています。その人たちに対して強く言いたいのですが、お前たちの気は確かか?

 本来、予想というのは外れる可能性もあるのだし当たってるかどうかでいちいち批判すべきではないとは思うものの、この衆参同時選挙がさも起こるかのように意見を主張した方に対しては強い疑念を持ちます。

 今回このような主張をした人たちの意見をまとめると、昨年12月に実施された総選挙は一票の格差が大きく、各裁判所からも無効とはしないまでも次々と違憲判決が出されております。そのため上記リンク先の児玉三重大学副学長によると、このままいけば司法から選挙無効判決が出る可能性もあり、そうなってしまっては選挙をやり直さなければならなくなります。なので一票の格差を是正する「0増5減」の選挙区改正を実施した後、7月21日に実施が予定されている参議院選挙に合わせて安倍首相は衆議院も解散し、同時選挙を行ってくる可能性が高いというようなのが主な主張です。

 言ってはなんですが空想も甚だしい意見としか私には思えません。日本の司法というのは三権分立という言葉があってないくらいに行政のいう事に従いますし、仮に選挙無効という意見を出してもその意見を出した裁判官が左遷されてなかったことになるだけでしょう。また前回衆議院選挙で自民、公明の与党は大勝しており今ここで解散してもメリットはほとんどなく、たとえ司法からクレームが来たって政治的判断で無視するのが結果のような気がします。
 有権者からしても去年選挙やったにもかかわらずまた総選挙をやろうものなら変に感じるでしょうし、下手したらその疑念によって与党は今より議席を減らす可能性もあります。以上の様に衆議院解散、同時選挙に打って出るというのは動機も、メリットも、民意もない行為でしかなく、やろうとする人間はまずいないでしょうし、いたとしたら余程の馬鹿か変人に限ります。まぁ昔、一人の変人が誰も予想しない中で衆議院解散に打って出て、見事に大勝してのけたことはありますが。

 重ねて厳しく批判しますがこの衆参同時選挙という予想は想像する価値すらない予想であって、こんなくだらない意見を主張して無駄に有権者を惑わせてどうするのだと同じような意見を言ってた人たちに強く皮肉を言ってやりたいです。どうせ実現性の低い予想をするならもう少し状況解説とか参考に足る内容を発信するべきで、こんなしょうもないこと言うというのはもう政治センスがないに等しいのだし仕事を変えた方がいいと私から是非お勧めします。

2013年6月27日木曜日

ゲーム会社、インデックスの破綻について

 自分は以前はそんなにアニメを見る方ではなかったのですが、今期に限っては「進撃の巨人」、「はたらく魔王さま」、「デビルサバイバー2」の三本のアニメを毎週欠かさず見ております。「進撃の巨人」に関しては漫画も大ヒットしているので説明するに及ばず、アニメスタッフも超人気漫画ということで力の入れようが明らかに違ってて私も高く評価しているのですが、実はそれ以上に評価しているのが「はたらく魔王さま」です。
 細かいあらすじは語りませんが魔王がマクドナルドのアルバイター、勇者がNTTドコモのコールセンター契約社員という、非正規雇用化が進む現代社会をうまく題材に使った原作の面白いストーリーはもとより、こちらもアニメスタッフが非常にいいというか演出が他のアニメと比べて段違いにいいように思えます。それこそ見せ方一つでここまで面白く出来るのかと感心させられるくらいで、映像の世界は奥が深いと思い知らされる出来です。またヒロインに対してネット上で、「ウォールエミリア」、「板金」などと揶揄されているのも見ていてかなり笑えます。

 と、そんな趣味の話は置いといてそろそろ本題に入りますが、私が今見ている三本目のアニメ、「デビルサバイバー2」は同名のゲーム作品を元にしたアニメ作品なのですが、このゲームを制作した株式会社インデックスが本日、経営破綻して民事再生法の適用申請を出してきました。

金融商品取引法違反の疑いで強制調査を受けたインデックス(ジャスダック上場)、民事再生法の適用を申請(帝国データバンク)

 もともと「デビルサバイバー」をはじめとする一連のゲーム作品はアトラスという会社が作っておりました。ただインデックスが大分前にアトラスを買収してからはアトラスはブランド名となり、その後も「ペルソナシリーズ」を始め人気作を出し続けそこそこ成功して生き残ったゲーム会社だったのかと思いきや、思いっきし粉飾決算をやらかして損失を隠しており、それがばれたもんだから一気に民事再生法へと駆け込んだ模様です。
 非常に残念な話なのですが、本業のゲームの方では固定ファンもついてて海外でも高い評価を受けるなど好調だったにもかかわらず、日本振興銀行と株式を相互保有した後に振興銀が破綻しちゃったもんだから一気に財務体質が悪化し、多大な負債を抱えたもんだから粉飾決算をやるようになってしまったと発表してます。もっとも、ゲーム部門も全部が全部ヒットしてたわけじゃないってのもありますが。

 それにしても「デビルサバイバー2」のアニメが絶賛放映中で、来月には追加要素を詰め込んだ「デビルサバイバー2 コードブレイカー」を発売しようとしていた矢先であるだけに非常に残念な事態です。というのもアニメが面白いもんだから自分も買ってやってみようかと思っていた矢先で、親父からニンテンドーDSをふんだくる準備も進めていたのですが、果たして予定通りに発売されるのか。まぁこんだけ発売日が近ければ、発売中止にすることはないと思うけど。

 っと、ここまで書いておいて今気が付いたのですが、 「デビルサバイバー2 コードブレイカー」はニンテンドー3DS専用ソフトで、親父からニンテンドーDSをふんだくってもハードが対応してないのでこれじゃ遊べません。っていうか今年3月に暑い日も寒い日も上海(+香港)で一緒に二年間も頑張ってきた自慢のPSPが実家のリフォーム中になくなっており(施工業者の人間に盗まれた可能性が大)、この際だから3DSを買っちゃおうかなぁ。前の会社で「ゲーム業界記事が唯一書ける男」として名を馳せてたんだし(買う事とは関係ないか)。

 あと最後に蛇足かもしれませんが、自分の持病もあるのかもしれませんが何故か一昨日に突然、旧アトラスで女神転生シリーズのプロデューサーとして深く開発に関わった岡田耕始氏のことが急に気になりました。この人は有名プロデューサーとしてゲーム業界では非常に名が知れた人だったのですが、アトラスを退社した後に自分のゲーム会社「ガイア」を起ち上げたもののあんまりうまくいかなかったようで、HPが大分前から休止していることから既に破綻していると言われております。
 同じように「ロックマン」や「バイオハザード」シリーズに関わった元カプコンの岡本吉起氏も独立後、開発したゲームの売れ行きははっきり言って非常に悪く、社員を解雇した上で現在は活動を停止しております。

 私が思うに、ゲーム業界というのは非常に回転が早い業界です。発想がモノを言う世界なので以前にゲームをヒットさせた人間がまたヒットするゲームを作れるかと言ったら必ずしもそうではなく、逆に若いスタッフ達でも発想や仕組みが良ければヒット作品を作れる可能性があるような業界に思えます。またプレイヤーの感覚もすぐに変わってしまうので、変に過去の成功体験を活かそうと考えると足元をすくわれる可能性すらあります。
 岡田氏、岡本氏に限らず元有名プロデューサーが独立したもののあんまりうまくいかないという話をよく聞くのですが、その原因は「回転の早い業界」にあるんじゃないかと個人的に思います。素人の癖にえらそうな口きいて少し申し訳ない気持ちもするのですが。

 久々にまとまりがない記事を書きあげてしまった感があります。流れをまとめると以下の通りです。

1、見ているアニメの感想
2、インデックスの破綻
3、アトラスのゲーム
4、PSPが盗難(;Д;)
5、有名ゲームプロデューサーの独立後

 性格もあるでしょうが、こういうまとまりのない記事というものにたまに自分で美を感じます。自分も文章に対して「崩し」を求める頃になってきたのかな。

2013年6月25日火曜日

上海総合株価指数の大幅下落について

 今日はちょっと久々に中国の経済ネタ、しかもリアルタイムなネタにチャレンジしようと思います。

 日系メディアでも報じられておりますが昨日の6月24日、日本の日経平均株価に当たる中国の株価の目安、上海総合株価指数が前日比で5.3%も下落して2000ポイントの大台を割り、1963.23ポイントにまで落ち込みました。この辺はここのチャートを見てもらえればわかりやすいですが、この1年間は2000ポイント台をうろうろしていたことを考えると今回の下落はインパクトが大きいと言わざるを得ません。
 そして一夜明けた今日25日も株価は乱高下を繰り返し、終値は前日比0.19%下落の1959.51ポイントとなり依然と低迷する状態が続いております。先週末に行われた都議選で自民党が大勝したにもかかわらず日経平均が伸び悩んでいるのも、この中国の株価大幅下落も大きな原因の一つになっているように私は思います。

 では何故ここにきて中国の株価が大幅に下落したのでしょうか。こういう時、原因は一つだとしばしば主張する人がいますが私としてはやはり複数の要因が絡まりあった結果だと思えるので、ひとまず中国メディアなどで主張されている要因を片っ端から挙げていきます。

1、経済指標などに現れる全体景気の鈍化
2、銀行の貸し渋り
3、企業などによる迂回融資に対する規制予測

 まず一番目については何も言うことなく、HSBCが今年通年のGDP成長率が前年比0.4ポイント減の7.4%になると予想するなど、このところ弱気な予想が相次いでます。
 そして2番目についてですがこれは中国メディアの記事に書かれていたもので、なんでも金融監督を行う部署が商業銀行に対する資産査定を近々実施する予定で、その査察をパスするために各銀行が現金比率を上げようと躍起になったことから融資を抑え始め、資金流通が悪くなったと書かれてありました。まぁ有り得ないとは言えない意見です。

 そして三番目、これはさっき報道ステーションでもやっておりましたが、経済成長が鈍化していることから銀行も中小企業への融資は慎重になっているものの、大企業に対しては今まで通り寛大に融資しているそうです。ただ大企業ではお金はあっても投資計画はそれほどないため、銀行からもらったお金を市場金利より高い金利で中小企業へ貸し付けるという迂回融資を行って利ざやを稼いでるらしく、こうした行為が続けば不良債権が広まる可能性もあるために銀監会が規制をかけるもようだ、という予想が出始めたことで、融資経路がさらに狭まり株価も下落すると見られたことによって株を手放す株主が出たなどと言われています。

 このように市場の不安が色々絡み合うことによって高まったことが原因で株価が下がったという話なのですが、私としてもこの意見が正しいと見ています。更に言えば株価の下落がさらなる下落を呼んだことによって大幅下落を招いてるともいえるのですが、中国当局側もさすがに黙ってみていることはなく、「市場の期待する金融政策を実施し、資本の流動性を高める」などというアナウンスを出しております。
 今後の予想ですが、正直言ってわからないとしか言いようがなく、しばらく中国株は手を出さない方がいいというくらいしか言えません。恐らく中国政府は力技で一時的になんとかすることは出来ても、証券市場は去年あたりからずっと不調で、香港も暗い状態が続いていることから急速な値上がりは期待できず、下手に手を出すくらいなら様子を見るのが一番じゃないかという気がします。

 最後にどうでもいいですが、中国のニュース見ていてこんなニュースにびっくりしました。

印度CPI增幅连续三个月回落 今年已经三次降息(中国証券報)

 書かれている内容はインドのCPI上昇率(インフレ率)が三カ月連続で鈍化しているというものですが、何に驚いたのかというとその数値です。というのも5月のインドのCPI上昇率はなんと9.31%で、物価上昇が激しいなどと日系メディアに叩かれる中国の約4倍もの数値です。インドでこんなにインフレが進んでいるなんて全然知らなかったなぁ。

2013年6月23日日曜日

近年の漫画雑誌印刷部数の推移

 知ってる人には早いですが私は社会学出身でやたら統計が大好きです。前職中も統計記事ばっかり書こうとするから、「お前はもうちょっと外部で人の話を聞いて書け」などとありがたいお叱りも喰らったくらいなのですがへこたれず、何か統計物で書いて見ようかなと思っていた矢先、日本雑誌協会さんが非常にいい統計データを公表してくれていたので、今日は漫画雑誌の印刷部数の推移について書いてこうと思います。そういうわけで御託はいいので早速、三大週刊少年漫画雑誌こと「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年マガジン」、「週刊少年サンデー」の発行部数のグラフ(手作り)をどうぞ。





 まず注目すべき結果なのはやはりジャンプです。どちらのグラフを見てもらってもわかりやすいですがマガジンもサンデーも右肩下がりに印刷部数が減少しているのに対して、四半期で減少となる時期はあるものの全体として落ち込みが見られません。現に2009年第1四半期(1~3月)と2013年第1四半期で比較してもジャンプだけが約3万5,000部の増加となっており、逆にマガジンは約29万部、サンデーは約28万部とそれぞれ減少しています。

 市場全体で考えると少子化でターゲットとなる読者層が減少する中、はっきり言ってマガジンやサンデーの様に部数が減少していくことの方が自然です。にもかかわらず部数を維持できているということは読者層、または年齢層を拡大するのに成功していると捉えるべきなのかもしれません。
 それにしてもマガジンは1990年代の後半には部数でジャンプを逆転した時期もあったのに、今ではダブルスコアを付けられるくらいまでに引き離されたというのはなかなか厳しい現実です。もっともそんなこと言ったらサンデーの方が状況は深刻で、このペースだと今年第2四半期(4~6月)は確実に50万部を切ってしまい、採算的にベースを維持できるかとすら思ってしまいます。

 あと最後に細かい点ですが3誌ともに2011年の第2四半期に、期間中も大きな前期比マイナスを記録しています。これは恐らく東日本大震災に伴う流通の混乱が最大の原因でしょう。

 と、少年誌に関してはここまでにして続いて青年漫画雑誌も早速グラフ投入です。




 青年漫画雑誌は少年漫画雑誌と比べると雑誌数も多く、また発行時期も週刊、隔週刊、月刊もあって比較し辛かったです。ほかにもデータを取った雑誌があるんですが、ひとまず代表格を私選でピックアップしたのが上記のグラフです。
 こちらは少年漫画誌と比べて勝ち組と負け組が分かれることなく、折れ線グラフを見てわかる通りにどの雑誌も右肩下がりでV字回復する見込みすら立たないような状況です。改めてこうしてみると漫画雑誌業界はどこも苦しい現状にあるようで、特にこっちの青年漫画雑誌なんか隔週刊が多いにもかかわらずこれだけ部数落として採算乗るのかと、こちらも見ていて不安に感じてきます。

 雑誌別で見ていくと2009年からの4年間でビッグコミックが約15万部、ヤングマガジンも約15万部、ヤングジャンプが約14万部と部数が減少してます。個人的にちょっと深刻だなと感じるのはヤングジャンプで、出版している集英社は2011年に同じ青年漫画誌のスーパージャンプ、ビジネスジャンプを廃刊して発行雑誌を整理したにもかかわらず部数が下降線を辿っています。まぁそのかわりにグランドジャンプ作ったからかもしれないけどさ。

 このほかの雑誌でも部数が比率的に落ちており、アフタヌーンに至ってはいつの間にか10万部の大台すら割っています。月刊誌でこの発行部数だとこれまた採算おかしくないの聞きたくなるのですが、「ああっ女神様っ」、「大きく振りかぶって」、「げんしけん」などそこそこ知名度の高い作品も擁しているのになかなか売れないもんです。もっとも私個人としてはアフタヌーンだと「シドニアの騎士」を最も高く評価しておりますが。

 あと今回個人的に残念だったのは、スクウェア・エニックスの月刊少年ガンガンの発行部数が公表されていなかった点です。会員名簿を見るとちゃんと日本雑誌協会に入っているのですが何故だか未公表です(・д・)チッ
 何故ここの発行部数が気になるのかというと、2000年代最大の漫画ヒット作と言ってもいい「鋼の錬金術師」が2010年に連載を終えましたが、この前後でどれだけ変動があったのか、ヒット作完結のインパクトがどの程度なのかを測りたかったからです。ネットの噂によるとやはり部数が大幅に減少しているとのことですが、どれもデータの出典元が明らかにされていないから正直信用できません。ただガンガンは本当に「鋼の錬金術師」のワンオフ雑誌、例えて言うなら黒田選手しかまともな投手がいなかった一時期の広島カープみたいだったので、部数が大幅に落ち込んでいるというのも理解できなくはないですが。まぁカープの投手陣はこのところ盛り返してきたけど。

わからないことをわからないと言う意識

 昨日の記事でも少し触れましたが、私が意見を発信する際に気を付けていることとして「わからないことははっきりとわからない」と言うようにしています。これには一つエピソードがあり、その時は私が中学生の頃に戻ります。

 当時、確か中学一年生の夏休みに出された読書感想文の宿題用として図書館で何故か死刑関連の本を読んでいたのですが、その本で死刑は犯罪抑止につながるのかどうかという項目で、「ここ数年の犯罪件数は増えていると思うか?」という質問のアンケートが載せられており、「はい」、「いいえ」、「わからない」の三通りの回答割合が掲載されていました。確か「はい」の割合が最も高かったと思うのですが実態は逆で、むしろ当時の犯罪件数は減少傾向にありました。
 これと同様のものでよく少年犯罪の認知件数がありますが、テレビでセンセーショナルに報じられることから増加傾向にあると思われがちですが、前年比では増えたりする年もあるものの、1980年代と2000年代を比較すると大幅に減少しております。なんで増加していると思われるのかというと、マスメディアがセンセーショナルに報道しがちだからだと言われている、というかそれしか有り得ません。

 話は戻りますがまだくちばしの青いガキンチョだったこともあり、実際には犯罪件数が減っているという事実にかなり驚くとともに、「何故自分は見たこともない統計に対して増えているなどと勝手に判断したのだろう」と思い、「わからない」と回答した人たちになにやら敬意を持ちました。今思い返すとこの頃に統計に対する意識というものが芽生え、わからないものは調査して調べる、または統計結果を必ず出すようにしようという変な性格が方向づいたのだと思います。

 ソクラテスの無知の知ではありませんが、知らないということを知らないというのは簡単そうに見えて実は必ずしもそうではないような気がします。自分が一体何を理解していて何を理解していないのかを把握することは重要ではありますが、それをきちんと実践できてるかとなるとまだ疑問です。出来ないなりにしろそういったことに気を付けることが意見を主張する上で大事なのではというのが、今日の私の意見です。

2013年6月22日土曜日

このブログの公正・公平さについて

 日本に帰国してからこのブログの読者と会う機会が増えていますが、その際にブログの感想を尋ねるとよく、「発信される意見がどれも公平な視点で書かれている」ということを数多く聞きます。このブログは現在、歴史系記事がアクセスゲッターとなってはありますが一応は政治解説ブログとして出発しており書いてる本人は今も政治解説ブログだと信じており、政治というやや機微なテーマを扱うことから偏った意見を発信するブログにしてはいけないとは心がけていたものの、こうして読者から公正・公平という意見をもらえて素直にうれしく感じました。
 もっとも、こんなことを言ってもらえるのはわざわざ会ってくれるほどのコアな読者だったためと言われればそれまでなのですが、折角だから具体的に私が意見を主張する上でどのような点にを気を付けているのか、またどういったところが公平だと見てもらえているのかを今日はちょっと書いてみようかと思います。

 まず先にも書いた通りに、このブログを起ち上げるに当たってなるべく公正な視点で政治意見を主張しようと一応は気を付けており、気を付けるに当たって主に意識したのは以下の三点です。

自分の立場、身分を明確にする
最終的に自分がどの意見を支持するのかを明示する
わからないことははっきりとわからないと明示する

 ごくごく単純ですが、この三原則は意識して守るようにしております。

<自分の立場、身分を明確にする>
 上から解説していくと1番目は基本中の基本ではありますが、はっきり書けば大手マスコミなどが疎かにしている点だと言ってもいいと思います。たとえば非正規雇用問題を書くに当たって私が正社員か、契約社員か、フリーターか、その属性によって主張する意見は同じでも中身は変わってしまうこともあります。正社員の手厚い保護手当への批判をフリーターの身分で行うよりも正社員の身分で批判する方が説得力があるのは言うまでもないことですが、一番よくないのは自分がフリーターなのか正社員なのか、どっちの身分に今いるのかを明らかにしないことだと思います。読者の側からしたらこんなの見えるわけがなく筆者の側から提示するよりほかないわけですが、その意見に対する判断材料としても重要になってくるものなだけに言われなくても筆者側が明らかにすべき情報だと私は考えます。

 ただ先ほどの正社員の手当てに関するものであればまだ正社員でもフリーターでも意見の中身がしっかりしていれば大きな問題にはなりませんが、それこそ死刑廃立問題、原発再稼働問題においては立場や身分を隠し立てすることは完全に欺瞞となります。昨年などは原発再稼働を市民に問う意見公聴会で電力会社社員が組織的に参加し、かつ自分が利益受益者であることを隠しながら再稼働に賛成という意見を主張しましたが、これなどまさに我田引水な駄目な典型でしょう。
 大手メディアも死刑問題や税制問題において専門家の意見を取り上げることがありますが、こういうのは大抵そのメディアが持つ意見に近い片側の専門家で占められる(死刑問題なら廃立派の専門家しか出さないなど)ことが多いにもかかわらず、さも中立を装って専門家の意見として載せるのを見てたら読者もいい気がしないでしょう。だったらもっと堂々と、「うちの新聞は廃立派だ!存立派の意見聞きたきゃヨソ行けヨソ!」と言い切った方がいいんじゃないかと他人事ながら思います。一回でいいからこんなこと書く新聞見てみたいな( ・∀・)イイ!!

<最終的に自分がどの意見を支持するのかを明示する>
 次に2番目についてですが、基本的にこのブログではよっぽどのことがない限り判断材料となる肯定派、否定派の意見を両論併記するようにしております。そして両論を併記した上で筆者である私はどっちの意見が優勢であるかを判断し、自分の支持する意見を直接的にはっきりと書くように心掛けています。
 これも大手メディアに多いのですが両論を併記しただけで投げっ放すというか、どっちの意見が書き手として正しいと思うかは書かないことが多いです。まぁこの辺に関してはメディアも企業という立場もあるのだし多少は理解できなくはないのですが、私自身もそうですが読者としては読後に消化不良な感じを持たざるを得ず、私自身がそういうのに不満だから「じゃあ俺が書いてやるよ( ゚Д゚)ドルァ!!」ってばかりにこのブログを始めたきっかけになったのですが。

 ただこの意見を明示するという行為ですが、この辺の書き方は地味に自分のストロングポイントというか腕の見せ所なのかなと思う時があります。基本的に私が意見を主張する際は、「100%絶対的にこっちが正しい」と書くことも結構ありますが、実際には8:2ないし6:4でこっちの意見が正しいと思うというような、否定する意見にも一理あると思うことが多いです。一理はあるものの全体的利益や現在の情勢、下手したら私個人の感情を考慮した上で優先すべきは賛成する意見だという具合にして自分の立場を明示するわけですが、この辺の感覚をどのように読者に伝えるかはなかなか難しく今でもまだ力が及んでないとは自覚するものの、そもそもこういう書き方をする意見発信者が世の中で極端に少ないため、私個人の勝手な当て推量ですが読者の人からしたら新鮮に映っているのかもしれません。

わからないことははっきりとわからないと明示する
 最後のこの原則もそうですが、基本的に意見を主張する際は言い切った方が絶対的に得です。「~はこうなる!」といった具合に言い切って、もしその予想が間違えていたら、「外しました。予想が甘かったです(´・ω・)スマソ」と言い切ると相手側も批判し辛くなります。たまにこれを理解してなくて、「~になる可能性も無きにしも非ずという意見があり」などと書いたり言ったりする輩もいますがこれだと聞いてる側も不快感覚えるし、外した際も曖昧に弁明してたらその態度自体が批判されることになります。どうでもいいですが、前職の上司も講演をする際は、「外してもいいから予想を言う時は自信たっぷりな振りして言う」と言っており、何事も言い切った方がいいと言った自分を何故か誉めてくれました。

 それでこのわからないことをはっきりと明示することについてですが、予想や判断をする上ですべての判断材料を網羅することは無理に決まっており、基本的には手持ちの判断材料で決めるしかありません。ではその判断材料から漏れたものはどうするかといったら無視するよりほかなく、たとえば現地に住んでいる人の感情などはわかりようがないのですが、こうした材料についてなるべく言及する様には心がけています。書き方としては、「現地住民はどのように感じているかわからないまでも、あくまで外から見ている立場の自分の意見は~」といった具合で、最初の「立場や身分を明示する」という原則にも通じますがどの重要な判断材料を無視した、またはわからないかは書くに越したことはありません。逆に知らないにもかかわらず知った風な口きいて書くのは私個人も気に入りませんし、読む側からもいい気がしないでしょう。
 このわからないということをはっきりわからないと言うことについてはちょっとバックグラウンドがあり、この辺の経緯についてはまた次回に紹介します。

 またずいぶんと長くなりましたが、自分が公正・公平を期すために気をつけている点はざっと以上の三点です。細かい点ならまだありますが私個人としては上記の三点をきちんと守ってさえ言れば大きく道を外すことはないと考えており、もし自分の意見が公平に見られているのならこうした原則が担保してくれているのだと思います。

2013年6月20日木曜日

韓国の近現代史~その十六、光州事件

 まだなかなか終着点の見えないこの連載ですが、前回は朴正煕の死後、軍部内での権力争い(粛軍クーデター)で機先を制することによって全斗煥が実権を握ったところまで紹介しました。軍部内で実権を握ったことによって取り立てて政権基盤を持たない当時の崔圭夏大統領に対する全斗煥の影響力は強まり、この時点でほぼ傀儡政権化しておりましたがそれでも飽き足らず、全斗煥は本命の大統領就任に向けて行動を開始します。この過程で起きた民衆運動こそが1980年の光州事件で、今日はこれを紹介します。

5.18光州民主化運動(Wikipedia)

 事件の発端となったのは軍部を握った全斗煥が新たに施行した戒厳令がきっかけでした。朴正煕政権時代も夜間の外出を禁止するなど厳しい戒厳令が敷かれておりましたが、朴正煕の死後に大統領に就任した崔圭夏はそれまで行動を制限していた金泳三や金大中など民主派活動家の行動制限を緩めたことにより、韓国では一時民主化ムードが立ち込め「ソウルの春」という時代がありました。しかしこうした流れを止めたのは全斗煥でした。彼は自分が立候補する大統領選に際して敵となると見た金泳三、金大中らをこの戒厳令によって逮捕・拘束し、政治活動を著しく制限しました。

 これに怒ったのは金大中の出身地域に当たる全羅南道にある光州市の市民。現在はどうだかわかりませんが当時の韓国は地域意識が非常に高く、政治も地元出身の議員が熱烈に応援される状況だったらしく、一連の金大中への制裁に激しく起こり、反対運動デモが頻繁に実施されました。こうした動きに全斗煥も黙っていません。早速軍隊を光州市に差し向けてデモ鎮圧に動いたのですが、これに対して光州市民側も態度を強行化させ、大きな暴動へと発展していくこととなりました。

 ウィキペディアの記述を引用すると、当時人口75万人だった光州市に投入された総兵力は2万人と、非常に大規模と言ってもいい数字です。鎮圧部隊は群衆に向かって一斉射撃を行ったほか、光州市をぐるりと包囲して情報を完全にシャットアウトし、市民側代表者と武装解除に向けた交渉を行ったと言われております。この間、韓国国内では光州市で何が起こっているのかが全く報じられず、この時の事実はそれからしばらく中国における天安門事件よろしく口伝てでしか伝わら中たようです。

 むしろ逆にというべきか、海外では重大な政治弾圧事件だとして大きく報じられ、アメリカの当局関係者も関心を持ったと言われております。私自身は今回の連載開始に向けた勉強でこの事件を始めて知ったのですが、名古屋・広島に十年以上も左遷され続けてとうとう東京本社に戻ることなく会社を退社したうちの親父は事件を覚えており、一定の年齢層以上は多かれ少なかれ日本での報道を見聞きしていたようです。

 最終的に武装した市民の指導者らが射殺されるなどして、包囲は約10日間を以って終わりを告げます。事件の死亡・負傷者については未だはっきりしておらず今後の研究が待たれるのですが、ウィキペディアが引用している「518記念財団ホームページ(リンク切れ)」の発表によると死者数は240人、行方不明者数は409人、負傷者数は5019人と、どれも大衆運動の鎮圧事件とみるには大人数です。

 こうした政治弾圧を行いつつ全斗煥は崔圭夏に大統領を辞任するよう圧力をかけ、彼を引き摺り下ろします。そして行われた大統領選挙で当選したことにより念願の大統領職に就任することとなるわけですが、その際の施政はソウル五輪の招致などなかなか見るべき点が多いので、次回でまたゆっくり解説します。