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2013年6月23日日曜日

近年の漫画雑誌印刷部数の推移

 知ってる人には早いですが私は社会学出身でやたら統計が大好きです。前職中も統計記事ばっかり書こうとするから、「お前はもうちょっと外部で人の話を聞いて書け」などとありがたいお叱りも喰らったくらいなのですがへこたれず、何か統計物で書いて見ようかなと思っていた矢先、日本雑誌協会さんが非常にいい統計データを公表してくれていたので、今日は漫画雑誌の印刷部数の推移について書いてこうと思います。そういうわけで御託はいいので早速、三大週刊少年漫画雑誌こと「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年マガジン」、「週刊少年サンデー」の発行部数のグラフ(手作り)をどうぞ。





 まず注目すべき結果なのはやはりジャンプです。どちらのグラフを見てもらってもわかりやすいですがマガジンもサンデーも右肩下がりに印刷部数が減少しているのに対して、四半期で減少となる時期はあるものの全体として落ち込みが見られません。現に2009年第1四半期(1~3月)と2013年第1四半期で比較してもジャンプだけが約3万5,000部の増加となっており、逆にマガジンは約29万部、サンデーは約28万部とそれぞれ減少しています。

 市場全体で考えると少子化でターゲットとなる読者層が減少する中、はっきり言ってマガジンやサンデーの様に部数が減少していくことの方が自然です。にもかかわらず部数を維持できているということは読者層、または年齢層を拡大するのに成功していると捉えるべきなのかもしれません。
 それにしてもマガジンは1990年代の後半には部数でジャンプを逆転した時期もあったのに、今ではダブルスコアを付けられるくらいまでに引き離されたというのはなかなか厳しい現実です。もっともそんなこと言ったらサンデーの方が状況は深刻で、このペースだと今年第2四半期(4~6月)は確実に50万部を切ってしまい、採算的にベースを維持できるかとすら思ってしまいます。

 あと最後に細かい点ですが3誌ともに2011年の第2四半期に、期間中も大きな前期比マイナスを記録しています。これは恐らく東日本大震災に伴う流通の混乱が最大の原因でしょう。

 と、少年誌に関してはここまでにして続いて青年漫画雑誌も早速グラフ投入です。




 青年漫画雑誌は少年漫画雑誌と比べると雑誌数も多く、また発行時期も週刊、隔週刊、月刊もあって比較し辛かったです。ほかにもデータを取った雑誌があるんですが、ひとまず代表格を私選でピックアップしたのが上記のグラフです。
 こちらは少年漫画誌と比べて勝ち組と負け組が分かれることなく、折れ線グラフを見てわかる通りにどの雑誌も右肩下がりでV字回復する見込みすら立たないような状況です。改めてこうしてみると漫画雑誌業界はどこも苦しい現状にあるようで、特にこっちの青年漫画雑誌なんか隔週刊が多いにもかかわらずこれだけ部数落として採算乗るのかと、こちらも見ていて不安に感じてきます。

 雑誌別で見ていくと2009年からの4年間でビッグコミックが約15万部、ヤングマガジンも約15万部、ヤングジャンプが約14万部と部数が減少してます。個人的にちょっと深刻だなと感じるのはヤングジャンプで、出版している集英社は2011年に同じ青年漫画誌のスーパージャンプ、ビジネスジャンプを廃刊して発行雑誌を整理したにもかかわらず部数が下降線を辿っています。まぁそのかわりにグランドジャンプ作ったからかもしれないけどさ。

 このほかの雑誌でも部数が比率的に落ちており、アフタヌーンに至ってはいつの間にか10万部の大台すら割っています。月刊誌でこの発行部数だとこれまた採算おかしくないの聞きたくなるのですが、「ああっ女神様っ」、「大きく振りかぶって」、「げんしけん」などそこそこ知名度の高い作品も擁しているのになかなか売れないもんです。もっとも私個人としてはアフタヌーンだと「シドニアの騎士」を最も高く評価しておりますが。

 あと今回個人的に残念だったのは、スクウェア・エニックスの月刊少年ガンガンの発行部数が公表されていなかった点です。会員名簿を見るとちゃんと日本雑誌協会に入っているのですが何故だか未公表です(・д・)チッ
 何故ここの発行部数が気になるのかというと、2000年代最大の漫画ヒット作と言ってもいい「鋼の錬金術師」が2010年に連載を終えましたが、この前後でどれだけ変動があったのか、ヒット作完結のインパクトがどの程度なのかを測りたかったからです。ネットの噂によるとやはり部数が大幅に減少しているとのことですが、どれもデータの出典元が明らかにされていないから正直信用できません。ただガンガンは本当に「鋼の錬金術師」のワンオフ雑誌、例えて言うなら黒田選手しかまともな投手がいなかった一時期の広島カープみたいだったので、部数が大幅に落ち込んでいるというのも理解できなくはないですが。まぁカープの投手陣はこのところ盛り返してきたけど。

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