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2014年10月17日金曜日

ストレス重圧化の文章表現

 以前の記事にも書きましたが10/8のソフト更新以降からAmazonKindleでダウンロードが急劇に遅くなる事態が続いています。先程から「極黒のブリュンヒルデ(10巻)」をかれこれ4時間以上もダウンロードしておりますがたった44Mのファイルに対してちまちまとしかダウンロードできず、しかも途中で何度も失敗してやり直す羽目になることから未だに完了しません。しかもWiFi接続しているのに「ダウンロードするならネットワークを繋げ」と何度もエラーメッセージが出てきて、いい加減にタブレットかマウスを投げつけたくなるほどイライラしてきました。さっきAmazonのヘルプセンターにも「てめぇどういう了見だ」って文句書いたけど。
 
 普段からこのブログを読んでる人間ならわかるでしょうが、私の文章は結構感情が素直に出やすくイライラしていたりするとただでさえ過激な表現が普段以上に凶暴な表現になってきます。ただ文章表現者の立場からすると文章ほど執筆者のその時々の感情が出やすい物はなく、むしろ今ある感情が文章の中に出てこないのであればその人は表現力が足りていないのではとすら私は考えます。ちょうど現在の状態と好対照なのは昨日の記事で、比較的落ち着いた状態で書いていることから書いている内容は「暴力」であるのに割と淡々と書けて書き終えた後は割といい気分で出られました。
 
 そんなわけで今日はまたちょっと重たいテーマの内容を続けて書こうと考えていましたが今の精神状態だととてもまともな記事になるとは思えないためまた再延期です。見ている人間からすれば何を言っているのだという気もするでしょうがストレス重圧化では文章なんてなかなかまともに書くことが出来ず、政治家とかへの文句ならともかくちゃんとした内容ならしかるべき状態で書くべきだと言いたいわけです。
 もっともすごい作家や漫画家というのはそのような高いストレス重圧化にありながらも凄い作品を書いて来たりします。具体的にどんなストレスかというとその多くは貧困などで、お腹すかせた状態でありながら高い芸術作品を作るのは文字通り神業です。逆を言えば自分はまだその領域に達していないということになりますが、それでもほぼ毎日こうやって記事書けるんだから人並み以上にはストレスとかには強い気がしますけど。

2014年10月16日木曜日

暴力が支配する閉鎖空間

 香港で話題になっているので中国と民主主義について一本記事を準備中ですが、このところ中国ネタばかり書いていて今日もまた中国ネタになるとやや過剰投下な気もするので今日は一風変わったネタを書いていきます。先に書いておくとこういう他愛のない出来事から深い話に持っていくのが案外得意なのかもしれません。
 
 先日日本に帰国している際、たまたまAmazonのKindleストアで電子書籍の日替わりセールをチェックしてみたら「漂流ネットカフェ」という漫画が99円という価格で販売されていました。この漫画の作者は押見修造氏という方ですが、彼の代表作は知ってる人には有名なあの「惡の華」という漫画で、私も前回の日本帰国時に最終巻を読み終えてそのあまりのぶっ飛んだ内容というか言いようのないストーリー展開にびっくりさせられた作者だっただけに、ほかの作品はどうなのかと思っていた矢先だったので迷わず購入しました。
 
 この「漂流ネットカフェ」は全7巻なのですが1巻を購入してすぐに引き込まれ、そのまま徐々に買い進めていって先週にようやく最後まで読み終えました。大まかなあらすじを書くと妊娠中の妻を持つサラリーマンの主人公はある日何気なく立ち寄ったネットカフェで中学生時代の発行為の相手と十数年ぶりの再会を果たします。再会を果たしたその直後、主人公たちがいたネットカフェは360度周囲に何もない湿地帯へワープし、原因も何もわからないまま主人公とヒロイン、そしてワープ時にネットカフェにいたメンバーたちは思い思いにその世界から元の世界へ帰る方法を探る……といったところです。
 タイトルからも察することが出来るように、この作品は楳図かずお氏の傑作の一つである「漂流教室」のオマージュが入っていて序盤などは意識して似たようなエピソードを持ってきているなと思う節があります。もっとも後半に行くにつれて「忘れられない初恋の人」というテーマ性がどんどん強まっていくのですが両作品に強く共通している点として、体格・腕力に優れた人物が暴力によって自分以外の人間を支配しようとする点が挙げられます。
 
 正直に言うと「漂流教室」は前から読みたいと思いつつもまだ手に取れていないのですが、ざらっとあらすじを聞く限りだとワープ後の世界で唯一の大人に当たる人物が暴力でもって度々主人公を妨害する様が描かれていると聞きます。この「漂流ネットカフェ」だとさらに露骨で、腕力のある人物が初めから周囲の人物を暴力で屈服させ、主人公を罠にはめようとしたりなどと文字通りの横暴の限りを尽くします。Amazonのレビューを見るとこの人物による暴力描写がはっきり不快だと述べて作品の評価を低くする方も見受けられるのですが、私の目から見ても見る人によっては強い嫌悪感が持たれ評価は二分すると思えるだけに、そのような評価が出てくるのもやむを得ないなという気がします。ちなみにどれくらいの暴力描写かというと、端的に述べると途中で誰も逃げられないようみんなのアキレス健を切ったりします。
 しかしそうした暴力描写に嫌悪感を示すレビューの中には、「このような暴力描写を描く作者の妄想がひどい」という一文が目に留まりました。この意見自体を批判する気は毛頭ありませんが、私は一見して逆に、「閉鎖空間ならきっとこうなるだろう」と逆に、程度の差はあれこの漫画の中で描かれている描写は現実に近いという印象を覚えました。
 
 何故私がこのように考えるのかというと、以前に読んだあるシベリア抑留体験者の話が浮かんできたからです。その抑留体験者はちょっと変わった人で抑留中にもかかわらず二次大戦での日本の敗因を分析し、記録しており、元々技術者であったことからその内容はリアリスティックに科学的な見地に基づいていてそれも非常に面白いのですが、ちょっと気になったというか記憶に強く残ったのはシベリア抑留者の収容施設の話でした。
 その人物によると収容所の中では文字通り「無法」な世界で最高権力者は言うまでもなくロシア兵であることに間違いないのですが、収容者である日本人の中で腕力などに優れた者がその力に物を言わせ、ロシア兵に取り入るなどしてほかの日本人を暴力的に支配することがどの施設にも見られたそうです。具体的な記述はそう多くありませんでした気に入らないなどの理由で同じ日本人を殴る蹴るは当たり前で、配給される食事を強奪したりいじめたりと、おおよそ法も秩序のない世界であったと書かれてあり壮絶な世界が広がっていたのだと思えます。
 
 このシベリア抑留の体験者が書いた著作に対し批評を寄せた、一時期ユダヤ人だと僭称したある作家(わかる人いるかな?)も戦後、フィリピンの捕虜収容所に収容された経験を持ち、その収容所でも全く同じ光景が広がっていたと話し、シベリア抑留体験者の話は真実味があると高く評価しております。そしてこの二人は共に、「収容所内の暴力による支配者らは帰国が近づくにつれ、元気をなくしていった」という事実を述べています。
 どう解釈するかは勝手です。私は後者の作家が書いたように、無法な収容所から法の秩序のある世界に戻ることで閉鎖された空間の支配者からただの一般人に戻ることをお山の大将たちは恐れたという説に納得しており、それと共に人間というのはたとえ小さかろうが、本質的な自由が無かろうが支配者であり続けたいとする妙な支配欲を多かれ少なかれ持つのだなという風に感じました。そして法という秩序が無ければ暴力によってその支配欲が強く発散される、そのためには同胞を痛めようが気にしなくもなる……なんていう具合で。
 
 ここで話は最初の「漂流ネットカフェ」に戻りますが、暴力でネットカフェを支配するキャラクターは序盤はまだその世界からの脱出を図ろうとする節があるのですが、中盤からは全く以ってその意思を失い、むしろ脱出する手段が見え始めてくるやその手段を妨害しようとする、つまり閉鎖された空間に自ら居続けようとする行動を取ります。作者の押見氏が意識的に描いたのかどうかはわかりかねますが、私にとってすればこのような描写は上記の収容所体験者の話と一致し、ある意味でリアリティがあり実際にこうなったら案外こういう奴が出てくるのかもしれないと思えてきました。
 
 近年の日本では暴力というと犯罪といじめがらみではよく取り上げられますが、その本質についてはあまり議論が無いように思えます。もっとも議論した所で何かいい解が生まれるのか私も疑問ですが、暴力には様々な型がありなおかつ手段ではなくその用途ははっせい原因を探ることで見えてくるものはある気がします。何が言いたいのかというと、平時は大人しい奴でもいざ閉鎖空間に放り込まれたり、秩序が無くなったりすると暴力的になる人間は少なくなく、人間の良心や団結信というものはどこまで通用するのかななんていうのをちょっとはみんな意識してみたらと言いたいわけです。自らも含めて。
 
  補足
 補足ならぬ蛇足でしょうが、シベリア抑留において日本人にとって日本人は被害者以外の何物でもないでしょう。しかし先程の暴力的な支配者の話を聞くにつけ、抑留中に日本人が殺した日本人は何人いたのか、ちょっと気になりました。

2014年10月15日水曜日

上海の今後のオフィス賃貸料予測

 上記の写真は先週、友人と共に上海で遊び回っている最中に浦東地区で撮影した写真です。どうでもいいですがこの写真を撮った日の前日は会員割引を持つ友人を使って上海市内のシェラトンホテルに男二人で宿泊しましたが、その際に友人はダブルベッドの部屋を主張してきましたが却下してツインの部屋にしました。
 
 話は写真に戻りますが、この写真に写る二本のビルは上海在住者であれば誰でも知っているビルです。右側の栓抜きみたいな形をしたビルは「上海環球金融中心」といって日本の森ビルがおったてたビルで、完工してからは上海で最も高いビルだったこともあり事実上のランドマークタワーとして君臨し続けました。その森ビルに対して左の建築中のビル、こちらは「上海タワー(上海中心)」といって中国系企業が現在建設しているビルなのですが計画段階で森ビルの高さを追い越す予定で、久々に上海に来てみたら既に現時点で高さを追い越していたため写真に撮りました。改めてこうしてみるとこれまで上海で一番高いビルだった森ビルが追い越されなんとなく寂しさを覚えると共に、やっぱ横にもっと高いビルが出来ちゃうと幾分スケールダウンの印象が否めないと感じました。
 ただこの上海タワーを見ながら友人と、「果たして上海タワーのテナントはすべて埋まるのか?」という話で盛り上がりました。結論から言うと恐らく人気にはなるものの完全に埋まることは有り得ず、またその他の要因も相まって供給が需要を上回り上海のオフィスビル賃貸料は今後下落していくのではという予測が立ちました。
 
 まず上海のオフィスビル市場についてですが、現時点でも供給の方が多いため選り好みしなければ比較的楽に条件の合う空きオフィスを見つける事が出来ます。
 通信インフラや床の強度(金庫を置いても抜けない程度の)などの関係で銀行を始めとする金融企業などは入れる場所が多少は限定され、日系の銀行各社はこれらの条件をすべて満たす森ビル内にほぼすべてが入居しております。森ビルはこうした方面の設備が充実していたこともあり完工後にリーマンショックが起こったもののテナント事業に関しては比較的うまく言っており現在もランドマークタワーとして機能しているのですが、逆を言えばこうした充実した設備を必要とするビルは既に森ビルで足りており、上海タワーが出来上がったとしてもそこに移る企業は果てしているのか、この点が非常に疑問です。
 
 また需要の面から考えても既に世界各国のグローバル企業はどこも上海市内に拠点を構えており、一昔前ならともかく現在において新たに上海に進出してくる企業の数は既にピークを越えています。さらに大手は既に進出済みであるため今後やってくるとしたら中堅の企業がメインとなるでしょうが、そのような規模の会社となるとロケーションがいいとはいえ高額なオフィスビルを選ばず市内にある別の比較的安価なビルを選んでくる可能性もあります。
 ですが上海タワーは浦東地区の一等地にあり、なおかつ森ビルより背の高さが高いという立場上、賃料は最低でも森ビルと同等、もしくはより高く設定しないとメンツが立たなくなります。そうした事情を考えるにつけ、果たして上海タワーに入ってくる企業はいるのか、一部の中国国有企業が政府の肝煎りで来ることはあっても到底全部屋が埋まるとは思ないと考えたわけです。しかもこの上海タワー、でかいだけあって完工後の供給量がビル一つの割には半端なく多いでしょうし、下手したら急激な供給数の増加によって周辺ビルの賃料も下げかねません。
 
 このように初めから見えていたけど案の定良いうわさの聞かない大阪の「あべのハルカス」よろしく、上海タワーもそのでかさは認めますがテナント事業はちょっと先行きがよろしくないのではという風に私は考えているわけです。しかも上海タワーだけはでなく、浦東の北エリアをこの前歩いてみたらあちこちでオフィスビルの建築が進められている現場が見られ、上海市内全体でオフィスビルの供給が過剰過ぎるのではないかという印象を覚えます。現状で上海のオフィスビル市場がどうなっているか詳しく研究はしておりませんが、今後数年間は大幅な供給が続くことを考えると賃料平均は今後下がっていくように思えてきます。
 
 私は日本の反中主義者が主張する中国の住宅バブルは起こらないと考えております。理由は簡単で、どの中国人も現在の住宅価格は高すぎると主張する一方で購入需要は非常に高く、仮に価格が少しでも下がれば今度は一斉に購入する消費者が現れすぐさま住宅市場の景気を持ち上げ直すであろうという風に見ているからです。
 しかしオフィスビルに関しては見方が違って、少なくとも上海市内に限ればいくらホットな経済都市であっても現在の着工、供給数は過剰に感じられ、バブル崩壊とまではいかないまでも長期的には賃料が下落していき苦しくなるデベロッパーも出てくるのではと見ています。まぁ森ビルさんは問題ないだろうけどね。
 
Office Space Across the World 2014(クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド)
 
 最後におまけですが、上記サイトは英語ですが国際不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドがまとめたオフィス賃料の世界ランキング2013年版です。リンク先は英語で書かれていますが日本語で検索すれば日本のサイトが出てくるので英語が苦手ならそっちに当たった方が良いかもしれません。けど案外こういうリリース文の英語はわかりやすいし原文の方が的を得たこと書いてることが多いのでなるべくこっち呼んだ方が良いと思うけど。
 で、このランキングによると昨年はロンドンがオフィス賃料で世界一位となり、二位には香港が入ってアジアナンバーワンを維持しています。以下、十位以下までを列記します。
 
<オフィス賃料世界ランキング(2013年)>
1、ロンドン(英国)
2、香港(香港特別行政区)
3、モスクワ(ロシア)
4、北京(中国)
5、東京(日本)
6、ニューヨーク(米国)
7、リオデジャネイロ(ブラジル)
8、ニューデリー(インド)
9、パリ(フランス)
10、オーストラリア(シドニー)
 
 改めて見てみるとなかなか面白く、中国だと北京が一番高かったというのは恥ずかしながら自分も知りませんでした。でもってその北京が既に東京を上回っていたということも。
 アジアナンバーワンが香港であることは間違いなく、確か2011年はロンドンより上で世界一位でした。実質このランキングは毎年ロンドンと香港が一位、二位を争っており、世界中でもこの二つの都市はやや異常なくらいにオフィス需要が高く、現地にいたことのある私の肌実感でも香港はまだまだオフィスビルが足りてなくて企業経営者はみんな困っている状態です。
 でもって最後、いつの間にかモスクワが三位に入っているのも衝撃的でした。そんなに企業の進出ラッシュが続いているのかなぁ。この手の記事は香港居た頃によく英語サイト入って調べながら書いてたからなんだか書いてて楽しいです。

2014年10月14日火曜日

Android版キンドルの更新不具合について

 昨日に引き続き頭痛に苦しんでいるので今日はサッと書き上がる愚痴ネタでも書きます。まぁ昨日の頭痛は薬飲んで直したけど、今日昼間に作業監査した工場でいきなり紹興酒振る舞われたのが良くなかったんだろう。
 
 結論から述べると、先日更新があった電子書籍アプリのAndroid版キンドルの不具合がなんかひどいです。友人から、「今Amazonで安売りしているから~メイドにはまった(中略)」という連絡があったので自分も「シャーリー(2巻)」という作者が色んな意味でおかしいメイドが主人公の漫画を購入したのですがダウンロードが遅いのなんの。その前にもキンドルでは同じ回線で購入していましたがその時と比べてダウンロード速度は文字通り雲泥の差と言っていいくらい遅く、先月あった更新から遅くなっているのでここはまたおかしくさせたのではという疑念がよぎりました。
 とはいえ昨晩に長時間かけて何とか「シャーリー」葉ダウンロードできましたが、今日また読み返そうとクリックしたら何故か「WiFiに繋がってないよ」都かわけのわからないメッセージが表示され、もう一回クリックしたら何故か既にダウンロード済みの電子書籍をまたダウンロードし始めました。なんなんだよなぁもう。
 
 キンドルのAndroid版ソフトがおかしいのは今に始まったことではなく、昨年の更新時も音量ボタンをページめくりにする機能がそれ以前は使えてたのに、設定上存在するにもかかわらず突然使えなくなり、またページの表示が一部白くなったりという不具合がありました。この時の不具合はそれから数ヶ月後の更新で改善しましたが、今度の葉ダウンロード速度という重たい機能なだけにいつまで続くのかやれやれって感じします。
 ネットのレビューを見てみるとどうやらほかのユーザーにも同様の問題は起きているようで、これだけ大規模な問題は普通事前テストかなんかで気づくもんじゃないかなぁと個人的に思います。前にも不具合があっただけに、ソフト開発メンバーを早く入れ替えてもらいたいもんです。

2014年10月12日日曜日

中国のビジネスホテル市場2014年版

 今日は昼間に冬用の布団を新たに買ってきた(今まで持ってなかった)のですが、あまりのふかふかぶりに「気持ちいい、チョー気持ちいい」なんて在りし日の頃の北島選手みたいなこと言いながら昼寝して、なかなかベッドから起き上がることが出来ませんでした。いや、もちろん北島選手は今でも存命ですが。
 話は本題に入りますが、先日の記事では中国の大手ビジネスホテルチェーンを二系列も創業した季琦氏を取り上げましたが、改めて見てみると中国のビジネスホテル市場は案外面白いなと思えてきて、物のついでだし現在の市場状況はどうなのかと調べてみました。調べてみたのは大手ホテルチェーン各社の店舗数などですが、恐らくよそではまず見かけないというかこんなのに手を出すのは確実に私だけなので、日本語では本邦初公開とばかりに中国の大手ビジネスホテルチェーン各社の説明と現況を一気にまとめます。
 なお各欄に書いてある店舗数はすべて各社のホームページで公開されている情報を基にしておりますが、どこも凄い勢いで店舗を作りまくっているので実態はこれよりやや多いと見た方が良いかもしれません。

  如家連鎖酒店集団(Home Inn
店舗数:2200軒(自称では2500軒強
設立年度:2002年の設立で2006年には米ナスダックに上場
概要:中国の旅行予約サイト大手の携程旅行網(シートリップ)と首都旅遊集団の合弁によって設立され、1号店は上海市の世紀公園前店。元々のCEOは現在「漢庭酒店」を引っ張る季琦だが今のCEOは孫堅(マジ)。中国におけるビジネスホテルチェーンの先駆者でもあり最大手。
  傘下ブランド
1、如家酒店:1800軒。何故か今まで一度も泊まったことないから今度泊まってレビュー書こ。
2、和颐酒店Yitel):18軒。ハイローエンドクラスブランド。名前はソフィテルをパクったと見える。
3、莫泰168(Motel 168):380軒強。ここだけ詳しくは下記に。
4、雲上四季酒店(Fairy land):35軒。2008年発の雲南省内のビジネスホテルで2014年5月に如家が2.3億元で買収。名前は国際高級ホテル大手の「フォーシーズンズ」をパクったのだろう。


  莫泰168Motel168
店舗数:380多家
設立年度:2003年
概要:上海の老舗ホテル「上海美林阁酒店」が別ブランドとして2003年に設立、2006年にはモルガンスタンレーが出資。破竹の勢いで店舗数を伸ばしていたが2011年に上記の如家連鎖酒店集団に買収され傘下ブランドとなる。
 元々は名前の通りに一泊168元という価格で提供していたが現在はどこも一泊200元前後していてなんだかなって気がする。親会社の如家酒店どうよう低価格路線のビジネスホテルで、私も何度か泊まったことがありますが布団はややしっとりしていて、WIFIが繋がり辛くてパズドラが遊べなかった。
 なお、上海浦東空港に隣接されている「大衆空港賓館」もここの系列。このホテルには二度泊まったことがありますが、空港とはエレベーターで直結されており、朝ホテルをチェックアウトして即空港でチェックインできる利便性でなんとなく重役出勤をした気分になれます。一泊200元台なので使う機会がある人には是非お勧めします。ちなみにここの布団はしっとりしてません。


  華住酒店集団(以前は漢庭集団)
店舗数:約1900軒(別ページだと1600軒)
設立年度:2005年で2010年には米ナスダック上場
概要:如家酒店の創業者の一人である李琦によって設立。数年のハンデこそあれ元々の如家酒店と互す勢力にまで成長している。一回だけ泊まったことがあるけど可もなく不可もなく値段相応のビジネスホテル。WIFIは繋がりやすくパズドラで遊べた。
  傘下ブランド
1、漢庭酒店(Hanting Hotel):1400
2、禧玥酒店:ハイクラス
3、漫心度暇酒店:リゾートホテルっぽい。
4、全季酒店All Seasons):約100軒、ここもフォーシーズンズホテルから名前パクッたと思うがそろそろいい加減にしろ。
5、星程酒店:約100軒、2008年設立のミドルクラスホテルチェーンだが2012年に華住酒店集団によって買収された。
6、怡莱(elan):ビジネスホテル
7、海友酒店:ビジネスホテル


  7天连連鎖酒店集团(7 days Inn)
店舗数:2000軒強
設立年度:2005年で、2009年にニューヨーク証券取引所に中国のビジネスホテルとしては初めて上場。
概要:創業者は鄭南雁という人物で、電算科出身でも元々はホテル管理ソフト開発会社の社長でシートリップとも縁があった模様。グループの店舗数では如家集団に次ぐ勢力で、近年は安かろう悪かろうからミドルクラスのホテルへと脱却を図ってるようだ。生憎私は一度も泊まったことがない。


  錦江之星
店舗数:1000軒くらい
設立年度:1996年
概要:物流、レンタカー、旅行事業を行う上海錦江国際実業投資股份有限公司の傘下ホテルチェーン。中国としては比較的高級なホテルの「錦江飯店」もここの系列化で、錦江之星もどっちかっていうとハイミドルな部類に見える。ビジネスホテルチェーンとしては老舗に当たるが新興勢力と比べ展開はややゆったり。まぁクラスも多少違うってのはあるけど。


  格林豪泰(GreenTree Inn) 
店舗数:1000軒くらいかな、はっきりしない
設立年度:2004年設立
概要:米系George realty系列のビジネスホテルチェーン。差異との説明を見る限りだとホテルなのフィットネス施設に力入れてる模様。
  傘下ブランド
1、格林東方酒店:一泊300~600元のミドルクラスホテル
2、格林豪泰酒店:一泊150~320元のビジネスホテル
3、青皮樹酒店:一泊150~300元のビジネスホテル
4、格林聯盟酒店:一泊150~400元の似たようなもん


  速8(Super 8 Hotel)
店舗数:約500
設立年:2004
概要:米系ホテル大手ウィンダムワールドワイド傘下のビジネスホテルチェーン。海外では「Super 8 Hotels」という名称だが、「速8」を中国語で読むと「スーパー(Suba)」と聞こえるのでこういう名称にしたのだろう。泊まったことないけど今度パジャマパーティをするのに使おうかな、一緒にやる人がいないってのが最大の問題だけど。


  まとめ
 以上が私がばっと調べた限りの中国の大手ビジネスホテルチェーン概要です。注目すべき点は二つあり、上位三社がどれも旅行予約に関連するIT企業を母体にして発足している点なのですがこの点について勝手な推測を述べると、中国はやっぱ国土が半端なく広くて日本みたいに駅前の土地をどうこうするかとかではなく、予約や会員割引といったネットワークの充実さがこの業界の競争点になっているような気がします。言ってはなんですが、アメリカ的です。
 もう一点の注目点は、各ホテルチェーンの設立年度が2005年前後に集中しているという点です。ちょうどこのころが中国経済が最も成長していた頃でそうした景気の追い風を受けたと共に、中国でビジネスホテル市場がこの時期に花開き、その後定着していったと考えるべきでしょう。
 個人的な所感ですが私が北京に留学していた2005年は街中のあちこちに「招待所」と書かれた北朝鮮を連想させる簡易宿泊所が見られたのですが、近年の中国ではこのような宿泊所はとんと見かけず、本当に少なくなったと感じます。恐らくビジネスホテルチェーンに取って代わられて消えていったのだと思いますが、なんだかんだ言いつつこうしたサービス産業の質がこの十年で底上げされたのだなとしみじみ感じる次第です。

ワードプレスでブログを薦めない理由

 昨日、姉妹サイトの「企業居点」の方で一昨日にこのブログに書いた記事をコラムとしてアップロードしてみたのですが、久々に本気で家の中で怒鳴り続けるほどイライラする作業でした。壁に頭突きしなかっただけまだストレスたまっていないようですが。
 結論から述べると、「企業居点」に使っているワードプレス(Wordpress)というソフトはこういう記事ブログを運営するには最低限の機能すら持っておらず不適格としか言いようのないソフトであることがわかりました。具体的にどういう点が問題なのかというと、改行と行頭スペースに不具合が多発するからです。
 
 改行はHTMLの世界だと大まかに二種類あり、一般的な改行の<br>と段落分けに当たる<p>です。<br>はこのブログの様に一行ずつ開業を行うのですが<p>の方はというと段落分けのため、通常の改行と比べてやや広くスペースが空けられます。マイクロソフトのWord最新版もなんかこういう風に二段階になってたような。
 この改行におけるスペースの差ですが、書く側からすると面倒くさいことこの上ありません。広くスペース空けるのであれば改行を二回打てばいいだけなのにワードプレスは普通にEnterキーを打って改行すると<p>で識別され、ちょこっと開けたいだけなのにドバっと空間が広がります。もっとも直接HTMLテキストを弄って<p>を<br>に変えればこの問題は解消できます。
 
 今回一番問題となったのは二番目の行頭スペースです。この記事でもそうですが日本語は段落を変えた後の次の文章の頭は空白にして、「こっからまた仕切り直しだよ!」ということを表現します。然るにクソ憎たらしいワードプレスは英語の文章スタイルに合わせているのか先頭にスペースがあると自動的に削除する仕組みとなっており、何度あれこれどうやっても行頭のスペースが反映されず、見てみてみすぼらしい文章にしかなり得ませんでした。
 
 一応、<div>のタグをくくることによって行頭に無理矢理スペースを付けることはできますが、そうすると今度は変に改行が進んでしまいまた別な意味で見栄えが悪くなりました。仕方ないので行頭のスペースはあきらめてこんな風にしてアップロードしましたが、恐らく見ている方としては何とも思わないかもしれませんが書いてる方からすると一見して馬鹿みたいな見え方になっているように感じて本気でクソ忌々しいです。よくわからないと感じられるでしょうが、自分はそれなりに日本語の文章の体裁にこだわりがあります。
 
 そういうわけでワードプレスは英語ならいざ知らず日本語でブログ書くには明らかに向いておらず、普通の感覚があるなら使うべきではないでしょう。ブログソフトに限るわけではないですが私はテキストエディタというのは基本、シンプルであればシンプルであるほど優れていると思っており、そうした考えからマイクロソフトのWordも余計な自動編集機能が多いことから昔は毛嫌いして蛇蝎の如く嫌っていました。もっとも今じゃオートコレクトの解除方法や応用法なども身に着けたので前ほどアレルギーは減ってきており、記者時代も社内で唯一私だけがWordで文章を編集する人間でした。
 
 逆に今までのテキストエディタで何が良かったかというと、やっぱりあのビレッジセンターが出してたWZエディタが白眉でした。これの何が良かったかというと縦書きの体裁と表示画面がよく、中学から高校にかけて小説を書く時はすべてこれを使っていました。ただ縦書きがこうじ過ぎて、授業で課題として出された英語の和訳まで縦書きにして提出した際には講師などから「見辛い」と不平を言われてしまいましたが。普通に、「ケリーがその場を立ち去ると、すぐに電話がかかってきました」みたいな和訳文ですら縦書きで書いてたしなぁ。
 
  追伸
 実はこのブログを始める際も縦書きにできないか非常に試行錯誤をして、開始当初は横書きで表示されるこのブログにすごい不満がありました。ただ小説ならともかくこうした日記帳の文章はさすがに縦書きだと読み辛いし見栄えも悪いと感じるので今ではそうしたこだわりもなければ拒否反応もないのですが、どこかのブログのテンプレートに縦書きで表示できるのがあるのを見た時は素直に心が動きました。

2014年10月9日木曜日

創業家列伝~季琦(華住酒店集団)

 この連載ではこれまで既に逝去済みというか過去の創業家しか取り上げてきませんでしたが、ちょうどニューヨーク証券取引所に上場したアリババとそのCEOのジャック・マーこと馬雲が注目されていることもあるので、今日は現役バリバリで私が面白いと感じている中国の創業家を取り上げようと思います。
 中国に住んでいた、もしくは一定期間滞在したことのある人なら恐らく「如家酒店」、もしくは「漢庭酒店」という名前のビジネスホテルを見た、もしくは聞いたことがあるかと思います。この二つのビジネスホテルは文字通り中国のどこでも、上海みたいな大きな都市に至ってはどの地下鉄駅前にも一軒か二軒は見受けられ、覚えるつもりはなくてもいつの間にか覚えてしまうくらいやたら多く見かけます。まぁそれだけチェーンネットワークが行き届いているということなのですが、この二つのビジネスホテルチェーンの名前は知っていても、二つとも同じ創業家によって設立されたという事実は日本人はおろか中国人の間でもあまり知られていません。その創業家こそ、今日取り上げる季琦という人物です。

季琦(百度百科、中国語)

 季琦氏は1966年の生まれで、江蘇省の南通市如東県の出身です。今だったら南通もそこそこ発展していますが季琦氏が生まれ育った頃はほかの中国の都市と変わらず辺鄙な田舎で、大学進学に合わせて初めて上海にやってきたときについて季琦氏は、「かなりのカルチャーショックを受けた」と述べています。
 季琦氏は進学先の上海交通大学で機械科に入り大学院まで進んで卒業した後に上海市内の国有企業に就職しますがどうもしっくりこなかったようで、二年くらい勤めた後に退職し、貯金したお金を持ってアメリカに半年間ほど(一年って書いてあるサイトもある)旅行に出かけます。どこで読んだか忘れましたがこの記事を書くに当たって中国の後のサイトを調べていたらその時のアメリカ旅行でもカルチャーショックを受けたことが書かれてあり、「上海は凄い進んでいるかと思ったがアメリカの都市はもっと進んでいる」と述べたそうです。まぁそりゃそうだろう。

 アメリカから帰国後の1995年、季琦氏は知人と一緒にシステム開発などを行うIT会社を設立して企業家としての第一歩を踏みます。起ち上げた会社は中国の改革開放政策の追い風を受けてグングンと成長していくのですが、彼の大きな転機となるのはなんといっても1999年の「携程旅行網(シートリップ)」という旅行予約サイトの起ち上げです。
 こちらも中国でそこそこ長く住んだ人間なら言わずもがなですが、日本ではまだちょっと知名度が低いと思うので簡単に説明します。携程旅行網ことシートリップというのは中国で最大手の旅行予約サイトで普通の中国人なら知らないものはいないくらいの高い利用率を誇ります。日本で言えばJTB(私はあんま使わないけど)くらいの影響力を持っており、日本語で表示した上で日本円に換算した料金表示で中国のホテル予約が出来ることから私もこのところよく使っています。ぶっちゃけ、簡体字の方が見やすいけど。

 このように私もべた褒めする位にシートリップはインターネット黎明期ということもあり、先進的なサービス性などで中国の旅行予約市場を一気に握って急成長を遂げ、2003年にはアメリカのナスダック市場への上場も果たします
 このシートリップの成功一つとっても大した経営者だと評価してもいいのですが、面白いことに季琦氏はシートリップとは別業種の会社を2002年にまた起ち上げています。その会社こそ恐らく現在の中国ビジネスホテル市場で最大手に当たる「如家酒店集団」です。この会社はシートリップと首都旅遊集団の合弁によって設立されたのですが、季琦氏は2002年の設立に合わせシートリップ総裁から如家酒店集団のCEOに役職を変えております。当時の中国のビジネスホテル市場を実際に見てたわけでないし詳しく検証もしておりませんが、恐らくこの如家酒店は民間のビジネスホテルチェーンとしては初めて出てきた本格派だったようで、こちらもシートリップ同様に設立から瞬く前に店舗数、業績で急成長を遂げ、なんと設立から4年後の2006年にはこちらもナスダック市場への上場を果たしております。

 二つの会社、それも異なる業種でナスダックへの上場を果たす企業を創ってる時点で明らかに只者ではないのですが、実は如家酒店が上場を果たした時には季琦氏はこの会社から離れていました。離れて何をしてたのかというと、別の新たなビジネスホテルチェーンを設立しており、それが冒頭に掲げた「漢庭酒店」です。なんか書いてる自分もややこしくなってきた。

 シートリップや如家酒店の経営陣と何かあったのか、会社を離れる理由があったのかまではちょっと調べ切れていませんが、何故か上昇気流に乗っていたこの二社を離れて季琦氏は2005年より、また一から新たなビジネスホテルチェーンを作っていました。この漢庭酒店というビジネスホテルチェーンを運営するのは華住酒店集団という会社ですが、江蘇省の昆山駅前店からスタートしてまたこちらも店舗数を現在に至るまで拡大させ続けており、季琦氏の前のねぐらに当たる如家酒店に次ぐほどの大手にまで成長を遂げています。でもってまたお約束というか2010年にまたもアメリカのナスダック市場に上場を果たしていて、ここまで書いてて「お前、どんだけナスダック好きなんだよっ!!」て言いたくなってきます。

 現在の季琦氏は華住酒店集団のCEOを続けているのですが、いくら中国が破格の経済成長を遂げていた期間とはいえわずか十年ちょいの間に三社の上場企業を創るというのは怪物というよりほかないでしょう。特に面白いのはシートリップという旅行予約事業を営む会社からビジネスホテルチェーンが生まれている点で、同じような会社が中国にはほかにもありますが、どっちかっていうと不動産関連業が中心になって動いている日本とはまた別の流れがあってみていて新鮮に感じます。少ない土地をどうこうというわけじゃなく、だだっ広い中国なだけにネットワークなり通信インフラがこの手の経営では重要なのかもしれません。

 最後にこの季琦氏について少し思い出を語ると、2012年に漢庭酒店がどっか別のビジネスホテルチェーンを買収したのですが、そのニュースを翻訳記事化するに当たってちょこっと主要なビジネスホテルチェーンを調べ、シートリップと如家酒店、漢庭酒店が同じ創業家から生まれているというこの事実に気が付きました。初見で面白いと感じて今度ビジネスホテル業界で特集記事でも書いてみようかと企図したのですが、最終的には上司にも企画せずそのまま自分の中で流してしまっていました。
 何故流してしまったのかというと、一つはその頃にはもうオリックスの金子選手みたいに来シーズンは契約せずにFA宣言する気満々だったということと、仮に提案しても上司はこの企画を通さないだろうと踏んだからです。読み物としてはそこそこ面白いものになるという確信はありましたが、現在中国には高級ホテルならともかく、日本のビジネスホテルチェーンはほとんどというか全く進出しておらず、書いたところでその記事を参考にするような日系企業が中国には存在しないため、記事として成立しないと考えました。

 実際に提案していたらどうだったかはわかりませんが今の現時点を持ってしても無理に記事化するまでもなかったと考えています。ブログには好きなことをかけるし自分が面白いと思ったらすぐに載せられますが、メディアライターとしてはやはりメディアに合わせた記事を書く必要があり、そうした好みで書こうとする記事を選ぶべきではないと考えており、あの時の自分の判断は間違っていなかったと思います。とはいえ、やっぱり面白い内容だしほかの人にも見せたいからブログで書いちゃうのですが。

 なお今回の記事を書くに当たって周りの中国人に対して「季琦って人は知ってる?」と訪ね回りましたが、みんなシートリップや如家酒店、漢庭集団は知っていても季琦氏については不思議なくらいに誰も知っていませんでした。なんでこう知名度がいまいち低いのかやや疑問ですが、少なくとも日本人で今日書いた記事内容を知ってる人間となるとかなり限られてくるんじゃないかと思います。