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総理(Amazon)
つい先日、というか先々週に上記の本を読みました。この本を手に取ったきっかけは友人からの猛プッシュを受けてのことで、「単独の政治本でこれほど好評なレビューが集まることはまずない」とまで言われて購入はしたものの、当時タブレットPCを故障により紛失していたことからなかなか読めず、新たにファーウェイのタブレット(性能めっちゃええけどビックカメラの店員、パスポートのこと聞いてくれたらよかったのに)を購入したことからようやく先々週に読むことができました。
読了後、上記の勧めてくれた友人にさっそく感想を伝えましたがその内容というのも、「一体何故こんな本を俺に勧めたんだ?」という、自分でもかなりびっくりするくらい辛辣なものでした。さすがにストレートでここまでは言わず、「正直、勧められもののそれほど評価できない。というより、一般に読まれるべき本ではないしむしろ『読むなこんなもん!』というべき対象だ」というくらいやんわりとは言いました。
私が何故これほどまでに辛辣な感想を持ったのかというと、政治解説本として単純に恐ろしく質が悪いからです。書かれている内容というのも筆者の山口敬之氏と安倍首相、麻生大臣との距離や関係性についてしかなく、途中に至っては、「あの政治的決断は自分が両者のメッセンジャーをやったからなされたんだぞ」という具合ではっきり書かれているところがあり、言い換えれば安倍首相と距離が近いことをあからさまに自慢する内容すら書かれています。
一応、消費税増税先送りや総裁選再出馬の前後については詳細に書かれてはいますが、これらに関しては他の政治本でも十分把握できる内容だし、後者に至っては安倍首相をよく見せるために露骨なミスリードすらなされています。
具体的に言うと、安倍首相が何故一度降りた総理の職を再び目指したのかという点について山口氏は、「東日本大震災と中川昭一の死が影響した」と指摘していますが、これは政治家の分析としては大いに間違っていると私には思います。まず東日本大震災について「影響を受けた」という政治家はたくさんいる、というか思想や感情に影響を受けていない人は日本人全体を含めてまずおらず、それた大多数の人たちと安倍首相の間では何が違うのかが書かれていません。強いてあげれば、
「被災地訪問に山口氏が同行していた」という点だけが異なり、こう書くことで安倍首相の話を引き立てられるからでしょう。
次に中川昭一の急死についてですが、確かにこれは安倍首相も少なからず影響を受けていますが、私が見るに現在の安倍首相のメンタリティに最も強く影響させた死は間違いなく松岡利勝でしょう。覚えている人には早いですが戦後初めての現役大臣(農水)の自殺にまで発展し、やはり今の安倍首相を見ていてリスク管理や大臣クラスの失言に対し、松岡自殺事件を意識していると思う節が多々見られます。中川昭一の自殺はお涙頂戴になりますが松岡利勝の自殺は安倍首相を貶める書き方になるから敢えて
全く言及しなかったのではないかと私は見ています。
そのほかこの本の欠点を述べると、安倍首相と麻生大臣しか政治家が出てきません。恐らくこの二人以外にあんま友達がいないのと、だからこそこの二人に利用されたんじゃないかなと思うのですが、文章を読んでいても安倍首相の政敵となる相手、具体的には石破氏に対してはやや辛辣な書き方が見え隠れしています。言い換えれば、安倍首相の忖度を受けて書かれた本じゃないのかなと思えてならず、内容からして読んでて事実を見誤る要素がふんだんに盛り込まれ、必要以上に安倍首相を持ち上げる記述があるため正直言って私は不快感を覚えました。
唯一評価できる点を挙げるとすると、日本の政治記者というのはしばしば派閥単位で志向を巡らせることが多く、政治家個人単位で分析したり書いたりすることは案外少なかったりします。それら一般の政治記者の本に比べると派閥の話がほとんど出てこず安倍首相個人を中心に据えて書かれているため、観点としては悪くはありません。もっとも派閥単位で書けるほど人づきあいがなかっただけかもしれませんし、安倍首相個人を語る上では彼の御母堂を無視するというのは私の中ではありえませんが。昭恵夫人に対してすらも全く言及されていないし。
それがためAmazonのレビューで好評意見が多いというのも、私からすればやや奇妙に移りました。何人かは私と同じような感想を持っており上記に挙げた点についても指摘されている人がいましたが、この本を評価した方々についてはもっといい政治解説本があるのだからそっちの方を読んだ方がいいのにと思えてなりません(友人を含め)。
具体的には、文芸春秋にある赤坂太郎氏の定期コラムが一番簡潔でいいでしょう。これ書いている人は朝日新聞の記者だという噂がありますが、すでに十年以上も同じ調子で書かれていることを考えると複数人のペンネームかもしれません。
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「私はレイプされた。不起訴はおかしい」著名ジャーナリストからの被害訴え、女性が会見(BuzzFeed Japan)
そんな具合で友人に対しても遠慮なく不満をぶつけるくらいフラストレーションたまっていたところ、出てきたのが上記疑惑です。事件の訴え自体はその友人からも知らされていましたがこうしてトップニュースになるあたり本人もニュースな男になったじゃないかと感心しています。
件の疑惑が真実であるかどうか私には判断する根拠や術はもちろんありません。ただ先ほどの本の内容、特に自分と安倍首相の近い関係をジャーナリストでありながら自慢するという記述の仕方を見る限り、自尊心が高い上に何か自慢せずにはおられず、思想に偏向がある人物のように私は感じたため、疑惑が事実であっても何も驚きがありません。
繰り返しになりますが、政治家との距離を自慢するというのは私の価値観ではジャーナリストとしてまずあり得ない行為で、友人や記者仲間とかに自慢するだけならまだしも、堂々と本に書いてしまうあたりは正常じゃない気がします。私個人としては、こういう方にはあまりジャーナリストと名乗ってもらいたくないというのが結論です。