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2018年12月20日木曜日

昨日出た記事について

 本題と関係ありませんが、「アクシズの脅威」というゲームにて何故か「ドム」の量産が始まった後に「プロトタイプドム」の開発が終了しました。不思議なタイムパラドックスを見て、狐に包まれたような不思議な感覚を味わいました。

総括・中国バブルはなぜ崩壊しなかったのか?(JBpress)

 それはさておき本題に移ると上記リンク先は昨日出た自分の記事ですが、結論から言うと実は少し失敗したと思う点がある記事でした。それは何故かというと、当初はもっとたくさんのチャイナリスクとして指摘されている問題をさらって何故それが「リスク」から「ダメージ」に転化しないのかを幅広く解説しようと思っていたところ、住宅バブルと少子高齢化を取り上げただけであっさり文字数が埋まってしまい書けなかったからです。
 自分でもびっくりでしたが、グラフの作成を含め約2時間程度で書きあがってしまい、どうすんねんこれとちょっと途方に暮れたところもあります。一応メジャーな問題二つ上げたから記事としての体裁は保っているものの、やはり読み心地的には本人としても納得がいかず、もう少し攻勢を考えるなり、見出しを工夫するなりしてもよかったかもしれません。

 なおこの次、先週末に書いた再来週に出る予定の記事に関しては、自分でもあり得ないくらいに経済コラムとしては完成度が高くて気に入っています。

 話は戻り今回の記事のヤフコメですが、まぁどうせたくさんの批判が来るだろうと思っていましたが、自分が思っていたより記事内容に同調する声も多く、中でも「中国バブル崩壊論は予測というより期待」といった内容のコメントが散見され、割と自分の言いたいことをきちんと受け取ってくれている人はいるなとは感じました。
 一方で、「崩壊はこれからだ」、「既に始まっている」と言っている人については正直、そんなこと言ってて恥ずかしくないのかと内心思います。中国経済が好調だというデータを出せば情報操作されていると言い、逆に不調だというデータが出ればそれみたことかと信じるダブルスタンダードには飽き飽きしていますが、ちょっと目に付くコメント垂れてた奴がいたので晒します。



jis*****

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今年の後半期から急激に給与が下がっているのを考慮していませんね。
2018年前半と後半で給与の逆転が始まっているのですよ。
このまま給与の下落が続けば来年は確実に大暴落が始まりますよ。
世界の企業もそれを感じ取っているのか、最近になって撤退している企業が相次いでいます。
スズキも撤退したと言ってましたからね。
ファーウェイショックも中国は隠していますが思っているよりも深刻だと思います。
おそらく連鎖的に中国の他企業に波及するでしょう。
潤っているのは深圳だけと言う事をお忘れなく。



 上記のコメントですが、少なくとも中国で賃金が下がっているなんてデータを私は見たことがありません。また日本国内の報道を見ていても、中国崩壊論はあるとしても、このような言及野された方をしている報道は私は知りません。でここだけの話、自分以上にあらゆる分野のニュース、特に中国関連を網羅している人間はかなり限られると思われます。
 それどころか都合がいいのでまとめて解説しますが、中国の企業では基本毎年定期昇給があり、昇給幅は数%、具体的には5%前後毎年上がります。一時期ほどではないものの物価も年々上がっているので給与がそのままだと貧しくなることから、定期昇給を行わなければガチでストライキ、人材流出につながるだけに、同じ会社にいて給与が下がるケースは少なくとも私は見たことがありません。まぁ倒産間際の遅配なら別ですが。
 あと賃金観測によく使われる大卒初任給もずっと上がっており、2010年くらいは2000~3000元だったのがもう現在は5000元をオーバーしています。

 それ以上に大きいのは、日本でも一部報道されていましたが今年に中国は個人所得税改革を行い、低所得層から富裕層に至るまでほぼすべての納税者の所得税が減税されました。年収2000万円を超える層ですら減税対象に含まれ、低所得層に至っては月収5000元くらいまでなら所得税がゼロ扱いになるなど、かなり手厚い減税策となっています。
 それと同時に、消費税も大半が引き下げられ、もっとも幅広く適用される税率は17%から16%に引き下げられています。事実上、手取収入は増えて物価は引き下げられ、国全体で消費を活発化させようと手厚い政策が採られています。この環境で給与阿が下がっていると、何を根拠にどこのデータで言っているのか、真面目に見せてもらいたいものです。勝手な妄想するのは人の好き好きですが、それを口に出すか出さないかは、特に海外報道においては許されないケースもあると私は考えます。

 それにしてもよくもまぁ堂々とこんなこと言えるなと思います。まぁいちいち相手にしなくてもいいのかもしれませんが。

 それともう一つコメントを見ていて思ったのは、「中国は共産主義だから」というコメントが多いのが目につきました。このコメントについて私の方から少し言わせてもらうと、政治体制的には共産党の一党独裁ではありますが、経済体制においては既に中国は日本以上の資本主義国だと私は捉えています。具体的には中小企業が潰れることに対して全く呵責がなく、むしろ効率化を進めるためにしょうもない企業は潰すか、統合させて産業再編するべきだと下から上まで本気で言っています。

 昔、私が日本は中小企業を大事にし過ぎると言ったところ同僚だった女性社員が、「中小企業が潰れてその経営者や従業員の華族が路頭に迷ってもいいんですか?」と食って掛かってきたことがありましたが、多分大阪出身だからそういう思想を持ったのでしょうが、

「日本の多くの中小企業は経営効率も悪く実質破綻していながら、妙な補助金とかで無駄に生き永らえ、きちんと黒字を出せる経営効率のいい企業から客を食って余計に経済を悪化させている。でもって場合によってはまともな黒字企業の方が補助金を得るコネがなくて逆に潰れるケースもある。そうしたゾンビ企業(十年くらい前だが本当にゾンビ企業という言葉を当時使った)が生き永らえるせいで、そいつらの何倍もの数の人間が路頭に迷うことになるんだよ」

 と言って黙らせましたが、ガチであの時は無言で殴りつけてもよかったと思います。そう思うくらい、必要以上に中小企業を保護する悪弊について、日本人は無関心過ぎると日ごろ思います。

2018年12月18日火曜日

ハリウッドの黒人男優らについて

 ハリウッド映画における黒人俳優を敢えて言い表すなら、代表的マイノリティとするべきなのかなと個人的に思っています。人種的、配役的にはマイノリティに属すものの、現実としては日本人を含むアジア系や中東系の人種と比べれば人数、配役ともに恵まれており、ハリウッド映画において優秀な俳優を供給し続けています。

 そんな黒人俳優、特に男優についてですが、以前と比べればややその傾向ハウス待って来たかなとは思うものの、私が子供だった頃から黒人男優と言ったら「面白黒人」とも言うべきポジションが多く、具体的には「おしゃべり」、「冗談好き」、「でかい」の三拍子が揃っているのがお約束でした。なお戦争映画ではたまに寡黙な黒人俳優も出てきますが、大体がどれも上記の三拍子が揃ってて、あとでかくて画面映えすることから割と善戦して倒れるようなキャラも多かったような。
 そうした「面白黒人」というポジションはいつから確立したのかと言われれば定かではありませんが、個人的にその代表格として多くの人間に認知されているのは間違いなく、「ビバリーヒルズコップ」等で有名なエディ・マーフィーでしょう。コメディアン出身という背景に加え、徐々にキャリアの中で演技力を高めていったことから代表的黒人俳優として認知されており、私の中でもハリウッド映画における黒人俳優のポジションを固めた最大の人物だとみています。

 そんなエディ・マーフィーに、「あいつは42歳でブレイクしたんだぜ」と、かつて自分が主演する映画に端役として出演していながら、現在は自分を大きく上回るようになった相手への高度な皮肉を吐かせたのは、サミュエル・L・ジャクソンです。エディ・マーフィーの言う通りにキャリアとしてはかなりの遅咲きですが、現在国人男優の中でもキャリア、ギャラ等の面で最高峰にいるのは間違いなくこの人でしょう。
 主な出演としては「スターウォーズ」のメイス・ウィンドウや「アベンジャーズ」のニック・フューリー等ですが、どれも威厳のある大物感があるキャラばかりで、実際にその表情、特に眼力は画面的にも印象が強く、演技力も申し分ないことから現在の地位にも深く納得します。個人的には、「パルプフィクション」で演じたギャング役のセリフの言い回しが一番好きですが。

 そんな上記の二人とはやや趣が異なり、どちらかと言えば前線よりも後ろから暖かく見守る系の大物国人男優としてはモーガン・フリーマンがいます。多くの出演作の中でも個人的に一番印象が強いのは「セブン」でブラッド・ピットと組む定年間際の刑事役ですが、黒人キャラは割と荒々しいキャラが多い中、非常に知的なその演技はなかなか他の人では見られません。

 以上の三人が私が見る中で最大級の黒人大御所俳優三人衆ですが、これに次ぐスターに挙がってくるのはウィル・スミスでしょう。この人は「メン・イン・ブラック」などのキャリア序盤でこそ典型的な面白黒人でしたが、近年は重厚感のある演技もできるようになり、何より度の出演作でもヒットを飛ばすというのは実力の賜物でしょう。
 そんなウィル・スミスからやや遅れてブレイクしてきたものの、現在は「アベンジャーズ」のジェームズ・ローズ役でお子様の間でもすっかり有名となってきたのがドン・チードルです。この人はどの映画でもあまり面白黒人っぽいキャラは見せず、むしろなんでか知らないけどやたら忍耐を求められ顔全体で大汗かくようなキャラばかり演じている気がします。特に「ホテル・ルワンダ」の主演では、汗かいてないシーンなんてないんじゃないかっていうくらいでしたが、逆を言えばそういう緊迫感を伴う中で責任感を示す俳優と言ったら今この人が一番ではないかとすら思わせられます。

 同じく、「アベンジャーズ」出演組だとブラック・パンサー役のチャドウィック・ボーズマンがいます。この人の場合は何気にアベンジャーズに出る前の、米メジャーリーグ史上初の黒人選手であるジャッキー・ロビンソンを描いた「42」も観ていますが、この映画の時点で類まれな演技力と画面映えする仕草から売れるだろうなという感触を覚えていました。ブラック・パンサーではまだ若さ故の暴走っぽいシーンをよく見せられはしますが、42での演技は先のドン・チードル同様に忍耐を誇示する場面が多く、なんとなくですがこの辺りから黒人ときたら「面白黒人」というものではなく、「我慢に我慢を重ね責任を果たす」というような忍耐系のキャラが増えてきたように思えました。近年の黒人キャラの描かれ方も、なんとなくそういうのが増えてきているような気がするし。

 このほか有名どころを挙げると、「ラッシュ・アワー」シリーズのクリス・タッカーは一時期めっちゃビッグになってましたが、最近はなんか見ないなと思ってたら全然映画に出演していなかったようです。なぜやろう。
 あとダニー・グレッグという「プレデター2」で主演を演じた人もいますが、この人は後に「ソウ」という有名ホラー(スプラッター?)映画でもプレデターの時みたいに刑事役を演じてますが、こちらでは犯人のジグソウの罠にかかって相棒同様にあっさりやられちゃいます。このシーンは見ていて、「なんでプレデターには勝てるのにジグソウなんかに負けちゃうんだよ」と、個人的にやや不満でした。

2018年12月17日月曜日

札幌大爆発を見て(゚Д゚;)

 既に各所でも報じられていますが札幌市内で大爆発があったという事件について、今になってようやく写真とか確認しましたがそのとんでもない内容に唖然としました。爆発の規模はもとより、建物一棟丸ごと吹っ飛ぶような大惨事にも関わらず、死者は一人も出ていないという結果を見てなんか変な信仰に目覚めちゃいそうな気すらしました。

 それに輪をかけて凄いのが爆発原因で、既に報じられていますがなんでもアパマンの社員がわざわざ室内でスプレー缶に穴開けて、ちょっと休憩とばかりに給湯器付けたところで爆発したとのことですから、原因は間違いなくアパマンでしょう。何気にアパマンは一回利用してあまりいい印象を覚えなかっただけに「滅びよ!」などと心の中で祈ってます。

 以上の感想のほかに何か書くようなことなどもないのですが、さすがに今回の事件はインパクトが強すぎたので、記録がてら残しておこうと考えました。それにしても事実は小説よりも奇なりと言いますが、こんな内容の爆発事故、ギャグマンガに描いたって「嘘くせぇ!」とか言われて一笑も取れないでしょう。そう考えるとアパマンの人は想像を超えたことをやってのけたと言えそうです。
 っていうかガスまみれの中でこんな大爆発起こしておきながらよく死なずに済んだものだ(゚Д゚;)

2018年12月16日日曜日

記事書いている最中にやってること

 昨日一昨日と更新しませんでしたが、理由はまたJBpress用の記事を書いてたためです。もっとも一昨日は仕事終わって夕食を外で食べてすぐ寝て、昨日は仕事で疲れてたからお昼の2時から5時まで昼寝して、ウォーシップガンナー2ってゲームで遊んで、情報収集、原稿執筆をし始めたのは夜8時からでしたが。

 人によっては見方が変わるかもしれませんが、原稿書いている最中は割と長時間集中して、何時間もずっとパソコンに向かっていられます。ひどいときなんか朝から晩まで食事求刑を除いてずっとパソコンで作業していたこともあり、時間はかかりますがあまり疲れは感じません。
 では原稿を書いている最中はずっとキーボードを叩いているのかというと、実際は書きながらあれこれ調べ物したり、資料をまとめたりするので、このブログやよほどの生活コラムじゃない限りはキーボードを叩き続けるなんて言うケースはありません。

 では作業中は黙々としているのか、実はこれも違って、大体いつも歌ってます。歌う曲はあまり定型はなく、Youtubeとかで見つけた曲とかもそのまま聞きながら歌い始めることも珍しくありません。
 一体何故歌うのか問うと、決して歌が好きというわけではありませんしむしろ下手な部類ですが、なんとなく聞いてたら歌詞覚えてたら歌ってしまう癖がついてしまっていました。はじまりはそう、2000年代初頭に大学のレポートを書いていた頃でした。

 当時、なんでもいいから社会学に関する内容でレポートをかけと言われて当時集団自殺が流行っていたからこれをテーマに、自殺サイトなどを巡ったりして書いていました。で、この際、大半の自殺サイトは「このサイトは自殺を増長させるものではありません」とか言っておきながらどのサイトも背景真っ黒で、割と気分的に欝々とさせるものが多く、最初ノリノリだった私もだんだんと気分が滅入っていき、なんかして気合入れて作業しないとともって、Gガンダムの主題歌を歌い始めてのがすべてのきっかけでした。
 なお当時住んでいた下宿の壁はレオパレスなんて目じゃないくらい薄かったので、後で聞いたら隣の友人が「最近やけにノリノリだね」と言ってくれました。

 それで今回の作業で一番歌っていたのは、何気に銀河鉄道999の曲でした。これ歌いながら、かつて「暴走特急時速999」って動画あったことを思い出していました。

2018年12月13日木曜日

ヤマトからの偽SMS

不在通知で偽サイトへ、ヤマト運輸装う偽SMS(読売新聞)

 今日上記記事の見出しを見て、このところ仕事が忙しくて疲れているのか、「えっ、ヤマトってあの宇宙戦艦から?」とリアルに間違えました。すぐにこの「ヤマト」はクロネコの方だということに気が付いたのですが、もし宇宙戦艦からSMSが来るとしたらこんな感じなのかもしれません。


「地球の諸君

 突然の通信、失礼する。私は宇宙戦艦ヤマトの艦長をしている沖田という者だ。
 この度連絡に至ったのは、我が艦の危機を君たちに救ってもらいたいがためだ。

 軍事機密故に詳細を明らかにすることはできないが、現在我が艦は非常に困難な状況にあり、
 地球へ帰還するに当たり厳しい状態にある。
 この状況下において、大変心苦しい限りではあるが、地球にいる諸君らにはいくらかの
 志しを分けていただきたい。先立つものは金とはいうが、我が艦とクルーらが
 無事帰還できるよう、我々にいくらかの寄付を行っていただけないだろうか。

 もし共感してくれるのであれば、アンドロメダ銀行のイスカンダル支店にある口座へ
 1口10元で振り込んで欲しい。無論、この資金はヤマトが帰還するために使うもので、
 無事帰還した暁には必ずやその気持ちに報い、いただいた分の返金を保証しよう。

 突然のことで戸惑われているのではないかと思うが、我々は必ず地球に
 帰還することをこの場で約束する上、どうか我々の無事と帰還を信じてほしい。
 我々が帰ってくるその日まで、遠い星空を見上げながら待っていてくれ。

 波動砲より愛をこめて 沖田」


 ぶっちゃけ、ヤマトについてはあんまり詳しくないので適当に書きました。
 まぁでも実際にヤマトを装うSMSとするならこれくらい怪しくあるべきでしょう。

2018年12月11日火曜日

戦争の天才と外交の天才

 仮に戦争の天才と外交の天才が揃い踏んだらどうなるのか。この仮定に対する回答として最も適切なのは、19世紀中盤のプロイセンにあると言って間違いないでしょう。この時期のプロイセンには参謀総長にモルトケ、首相にはビスマルクがおり、両者は決して仲がいいという間柄ではなかったものの互いの才能を認めた上で相手の領分は侵さず、絶妙なコンビネーションでプロイセンの急拡大を後押ししました。
 実際に、モルトケがオーストリアやフランス相手に大勝しまくる中、ビスマルクは勢力均衡の原則に従って相手国を救済するかのような和睦を結ぶことがありました。こうしたビスマルクの行動に対してモルトケは反発はせず、むしろ協力するかのようにビスマルクと一緒になって皇帝の説得にも回ったそうです。

 この時代のプロイセンを除くと、戦争と外交の天才が一緒になる例は近代だとちょっと出づらいですが、無理にもう一つ上げるとしたらこの直前、18世紀初頭のフランスにおいてこの奇跡のコラボが実現しています。具体的には、皇帝ナポレオンと外務大臣タレーランのタッグです。
 ナポレオンについては言わずもがなですが、タレーランに関しては外交上手を指して、「現代のタレーラン」と比喩に使われるほど、欧州世界で高名な外交官です。日本ではあまり取り上げられることが少ないですが、ナポレオンがあちこちにケンカを売って相手を叩き潰した後、賠償金を含む和睦条約を悉く結んで終戦に持ち込むなど火消しに長けていました。もっともその賠償金の一部はフランスの国庫ではなく、「妥協してやる代わりに……」としてタレーランの懐に入ったそうですが。

 ただ、先ほどのモルトケとビスマルクも普段は仲が良くなかったですが、このナポレオンとタレーランに至っては互いの才能を認め合いつつも、普段の関係は最悪そのものでした。特にナポレオンはタレーランをひどく毛嫌いしており、何度も解雇しては、外交に詰まると再雇用するという繰り返しでした。
 そんなタレーランが最も活躍したのはワーテルローでナポレオンが大敗した後のことです。ドイツ、イギリス、ロシア、オーストリアの連合軍がパリに迫る中で和睦交渉にでると、「フランスを叩き過ぎると他の国が今度はお前の国を攻める」などと巧みに囁き、最終的には敗戦国であるフランスの代表であるタレーランの案を連合国が飲む形で条約が締結されました。決して誇張ではなく、太平洋戦争で日本が連合国に日本の和睦案を丸々飲ませたというような神業をやってのけたわけです。

 このプロイセンとフランスの例を見るにつけ、やはり戦争と外交のどっちかと言われれば外交を主とし、戦争を従とする方が国家としては強いのかもしれません。翻って見て、交戦力のない現代日本の外交力は如何ほどのものかと考えると、期待よりは不安の方が大きいのが正直なところです。

2018年12月10日月曜日

産業革新投資機構の役員辞任報道について

産業革新投資機構vs.経産省 取締役9人辞任の裏側(JBpress)

 既に各所で報じられている通り、日本最大の官民ファンドである産業革新投資機構において民間出身の全役人が突然辞任するという事態になりました。この件について私が見た報道では、民間出身役員らとスポンサーに当たる政府の意向でズレがあったためとされ、そのずれについては一部の報道では、役員らの高額報酬であったり、投資先が当初の目的とは異なる短期的な利ザヤ狙いの会社であったためなどと報じられていましたが、上記の大西康之氏の記事を読んだところ、なんとなくそれらとは違うのではと思うようになりました。

 先に書いておくと大西氏はかねてから自分も尊敬していた記者で、エレキ方面の経済記事であれば間違いなく現代日本でトップではないかとも見ています。なおこの前聞いたところによるとエレキだけでなく経済全般に強く、今をときめく(?)カルロス・ゴーン氏の日産入りを最初に報じた上に、日産に来る直前のゴーンに単独で取材してたりしてたそうです。

 話は戻りますが上記の大西氏の記事によると、政府と役員の対立は投資方針にあったようで、その内容というのもゾンビ企業を救うか否かという点だったそうです。
 これまでも産業革新投資機構は死に体だったJDIやパイオニアなどに投資というか救済を行っていますが、本来ならその名の通り将来の産業革新を担うベンチャーなどを応援する目的で設立されたにもかかわらず、こうした事業破綻した大企業の救済ばかり行っていることに役員らはかねてから疑問に感じていたそうです。

 その上で、本来の設立趣意に沿うバイオ系ベンチャー企業への出資を行おうとした矢先、国と経産省によって潰されていたようです。恐らくこれが前述の「短期的利ザヤ狙い」とされた案件かもしれません。

 この記事で言わんとしていることには納得、というより私も前々から考えていたことで、官民ファンドとは名ばかりに政界に発言力のある大企業を救済するだけの「ゾンビマスター」だと、産業革新投資機構について思っていました。何気にリメイクが発表されているバイオハザード2の話題を見たばかりだったので、「Gウイルス」という単語も頭に引っかかります。
 その上で、こうしたゾンビ企業の救済は果たしてメリットがあるのかという点で疑問でした。はっきり言えば市場主義に舵を切って国有企業の民営化に取り組む中国とは真逆に、日本はこの産業革新投資機構だけでなく年金機構や日銀などが多くの主要企業の最大株主となるなど、実質的に国有化が進んでいます。でもってそれら企業が成長力を持つのかと言えば逆で、むしろ衰退する企業にほど金を流し込んでおり、えてしていうならゾンビやタイラントを作るGウイルスをまき散らしているようなもんです。

 そのような観点で言えば今回役員らが一斉に辞任したというのもうなづける話です。本来ならば市場に任せて取り潰さなければならない旧大企業を政府の意向で延命すれば、市場が歪むに決まっています。今夜会見が行われているとのことですが、明日以降の解説記事もじっくり読む必要がありそうです。