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2019年2月22日金曜日

書評「ドキュメント単独行遭難」、「山岳遭難の教訓 --実例に学ぶ生還の条件--」

 普段から企業の内部統制とかリスクマネジメントに関わる仕事をやってますが、その自分をして究極のリスクマネジメントとはなにか問われるならば、それはまさしく登山におけるリスクマネジメントだと思います。

  

 上の羽根田治氏の本はどちらもつい最近買って読んだ本ですが、前々からチェックしておりいつか買って読んでみようと思っていた本でした。どうしてここに至って最終的に手にとったのかというと、山岳遭難に関する後述するウェブ記事を読んでいたところ、その記事の著者がまさにこの本の作者である羽根田氏だったということに気が付き、この人の本はやはり買いだと思い立って即購入し、先週の土日に一気に読み上げました。

 ネットで見る限りですが、なんか最近ディアトロフ峠事件に関するウェブ記事をよく見ます。なんでもTV番組の「アンビリーバボー」で最近特集されたことがきっかけとなったようですがこの事件自体は前から知っており、というかこの事件に限らず山岳遭難事例に関する記事や報告書は以前からよく読みふけっていました。

 一体何故そんなに山岳遭難に執着するのかというと、単純に物語として面白いのがその最大の理由です。ふとしたきっかけや不運、準備不足などから一瞬で生死の狭間に放り込まれるのが山岳遭難であり、そうした生死をかけた場面で遭難者がどのような決断や行動をとったのかという記録はどれも非常に臨場感に富んでおり、下手な小説やドラマを見るよりずっと興味を惹かれます。何よりも、これら遭難記録は全てノンフィクションということも大きいです。
 そうした物語としての楽しさもさることながら、「一体何故遭難したのか」、「どうして生還できたのか」、「どうすれば生還できたのか」という分析はどれも示唆に富んでおり、自分を含めたヒトの行動判断傾向を考える上で知的好奇心が強く刺激されます。

 この辺はぜひとも実際に遭難記録を読んで感じてもらいたいのですが、多くの山岳遭難はほんの些細な判断ミスや準備不足で発生し、生き死にが分かれたりしています。ある携行品が持ってきたか否かで救助までの時間が変わったり、また天候のちょっとした読み違えと行動判断ミスで引き返せなくなったりと、山とは関係ない実生活においても思い当たるところがあるような単純なミスがほぼすべての遭難のきっかけとなっています。

 特にこの本を読んでて非常に胃がキリキリするという点として、正常性バイアスに関する言及です。正常性バイアスというのは、「多分なんとかなるだろう」みたいな感じで現実に置かれた状況以上に物事を楽観的に判断してしまう認知行動を指すのですが、山岳遭難ではこれが非常によくみられます。具体的には、

「なんか道間違えてる気がするけど、そのうちちゃんとした登山道に出られるだろう」
「登山届出すところ見つからないけど、普通に登って帰ってこられるだろう」
「なんか天気悪いけど、すぐ往復できるから問題ないだろう」

 自分で書いてて如何にも死亡フラグの立つようなセリフばかりですが、実際にこういった判断に基づく行動から発生した遭難事例が本の中では数多く紹介されています。特に2番めのセリフの事例なんか、山の中で動けないまま14日間のサバイバルに突入することとなっています。
 こうした正常性バイアスですが、山岳遭難と比べると半端なくレベルの低い話ものの、私自身も自転車で遠出している際にしょっちゅう体験しています。具体的には、

「なんか道間違えてる気がするけど、思い過ごしだろう」→方角自体間違ってた
「そろそろ休憩取りたいけど、もう少し走ってからでもいいだろう」→休憩場所が見当たらなくなる
「初めていく場所で地図ないけど、なんとかなるだろう」→案の定山の中で迷う
「予定到着時刻から遅れそうだからショートカットしよう」→行き止まりに突入して余計に時間ロス

 自分でも不思議なくらいにこうした判断を実際にやってしまうのですが、やはりどれも正常性バイアスが働いているという自覚があります。本の中の山岳遭難事例もまさに上記のような、一瞬立ち止まって考えれば無謀だとすぐわかるような誤った判断から、取り返しのつかない事態を招く例が多いです。
 そういう意味で、ヒトは何故正常性バイアスを働かせて誤った判断を下してしまうのかを考える上で、山岳遭難事例は追体験材料として格好の資料だと私は考えており、他に人にもそうした追体験をぜひとも勧めたいからこそこんな文章を書いています。

 そうした追体験を経た上で述べるなら、「ヒトは追い込まれれば追い込まれるほどリスクが目に入らなくなり楽観的且つ大胆になる」と断言できます。賭博で負ければ負けるほどのめり込むのなんかまさにその格好事例ですが、この現実を普段から意識しているか否かが正常性バイアスを抑える上では重要となるでしょう。
 このように、企業活動におけるリスクマネジメントにおいても応用できるというか、なまじっか生死のかかったサバイバル事例でインパクトも強いだけに、遭難事例を学ぶことはリスク管理上でも非常に有益だと普段から感じています。もっとも、さすがに企業の内部不正リスクに関してはいくら遭難事例を学んだところで追体験することは難しいでしょうが。できたら逆にすごい。

2012年ゴールデンウィークの遭難事故を検証する(日本山岳救助機構合同会社)

 大分話が脱線しましたが、今回紹介する本の作者である羽根田氏が書いたウェブ記事を紹介します。非常に長いコラムですが読み応えがあり、このコラムを読んで面白いと感じられたら最初に紹介した本も手にとることを強くおすすめします。
 最後にお断りというべきか、私自身は登山はおろかハイキングもほぼ全くやりません。もとより縁がないのもさることながら、さしたる訓練も受けていないのでやるべきではないのですがそれ以前に、こうした遭難事例の本を読むと「自分には向いていない」と強く感じます。

 そういえばこの前の記事で紹介した叔父さんも、大学入学直後に山岳部に行ったと話していました。歓迎会でしこたま酒飲まされた後、「じゃあこれ登ってみよう」とポルダリング強要されてヤバイと思ってすぐ逃げたと言ってましたが。

2019年2月20日水曜日

奴らは今どうなっているのか?

 今日またふと、あいつらは今どうなっているのかが突然気になってネットで調べ始めました。その「あいつら」とは誰かというと、こいつらです。

窓辺とおこ(twitter)

 この窓辺とおことは誰かというと、Windows10の非公式擬人化キャラクターです。ドスパラことDSPが作って自社+マイクロソフトの宣伝に使っているキャラクターですが、ここでは以前から「窓辺ななみ」などOSを擬人化したキャラクターを出しており、現在のWindows10でもやっぱりというかちゃんと作っていたようです。

 さっそくこのツイッターサイトを見たところ、Windows7がもうすぐサポートサービス終了ということもあってカウントダウンをやっていました。何気にこの窓辺ななみに関してはデビュー時からずっとおっており、声優も「ななみ」というので友人も大好きな水樹奈々氏が担当したりするなど熱が入ってて、何故だか知らないけど自分も一時期のPC壁紙はずっとこの子でした(四季に合わせて画像は変更)。そうした過去もあるだけに、折角だからとこのツイッターサイトトップのとおことななみが映っが壁紙をさっきセットしました。

 話は戻りますがこの窓辺とおこ、なにやら一部でヤンデレキャラとして認知されているようです。

日本人が描いた「Windows10強制アップグレードの擬人化」が面白いwww(台湾の反応 kaola.jp)

 詳しくは上のサイトを見てみればわかりますが、Windows10はその7、8から移行を促すため、2016年に無料でのアップデートサービスが行われました。これ自体はマイクロソフトにしては珍しいというか非常に親切だと思うサービスなのですが、やはりマイクロソフトだったというべきか、問題だったのはその強引さでした。
 とにもかくにも「早く更新しろ!」の連呼が激しく、PCを開けてネットに繋ぐたびに「今なら無料でWindows10にアップデートできます」と表示され続け、当時はそのしつこさに若干ノイローゼっぽい感情を覚えた人も少なくなかったと思います。

 そうした経緯もあってか、窓辺とおこはこの無料アップデートサービスが終了してから登場したと思うのですが、「しつこい」、「うざい」、「拒否を許さない」といったキャラクターが生まれながらにして備えられ、ヤンデレキャラとして認知されてしまったようです。
 実際そうした肉付けが上のサイトで紹介されている漫画に描かれており、具体的には、

「今なら無料でWindows10にアップデート!いつする?今する?後でする?」
「いえ、アップデートはしません」
「ハァ?今か後かって聞いてんのよ」

 実際にこんな感じで、か最初はアップデートを「する」「しない」という選択肢が「今する」「後でする」の二択で有無を言わさず迫ってこられたり、多分中には本人が気づかないうちにアップデート予約がなされて、PCを開けたらアップデートされていた(知らないうちに中に入り込まれていた)人もいたでしょう。
 そう考えると実際のエピソードからうまくキャラ付けされているような感じして、今日調べたのになんかすっごくこのキャラ好きになりました。やはり日本人というのはアニミズムというか擬人化こそがその精神性に最も合致した精神行動と思えるところがあり、こうした細かなエピソードから魂を込めるのが本当にうまいと思います。何気にこの前書いた中国ゲーム業界の記事の取材中も、やっぱキャラクター作りにかけては日本は未だ他国の追随を許さないと思えましたし。

2019年2月18日月曜日

今日のゲーム記事について

市場は10年で10倍に、一斉にゲームを始めた中国人(JBpress)

 春節休暇の間にコーエーテクモとケンカしながら書いた記事が今日ようやくアップされました。もっともこれ単体ではなくこの後も同じ中国ゲーム業界をテーマにした記事をこのあと2本用意していて既に提出もしていますが、今回のアクセスがあまり良くなかっただけに果たしてどうなることやら。

 記事内容についてはそんな書くことも多くありませんが、正直言ってこんなに急拡大していたと走らずに驚くことが多かったです。ガチな話、日本で全く人気が出なくても、中国でちょっとヒットすれば十分元が取れるくらいな市場規模になってました。
 取材自体はマクロデータは簡単に集められ、またコーエーテクモと違ってDeNAさんは終始親切に取材に対応してくれ、あと超頼りになる業界関係者がいて非常に楽でした。特にその業界関係者は明かしてしまうと自分の元同僚で、ある日突然、「私の貯蓄残高は53万です」というメッセージを送ってくるくらい日本語に精通した中国人です。っていうか中国人なのに日本語の新聞記事を普通に書いててヤバイくらいの才能でした。現在ゲーム業界に身を置いており、元ニュースライターでもあるので着眼点やポイントも悪くなく、彼の証言が豊富だったことで当初2回だったこの連載は3回に膨れ上がることとなりました。

 ただ今回の記事、出す前の段階でやはりゲーム業界、それも中国という点で敬遠されるかもなという懸念はありました。比較的ゲームを嗜む私ですらこっちの業界事情については詳しくなく、日本にいる人からしたらゲーム業界に身を置く人ですらごく一部しか関わりを持っていない可能性があり、そういう意味ではアクセス面では次回のレトロゲームをてこにするしかないかもという予感を持ってました。
 とはいうものの、報道という面ではきちんとこうして記事にまとめて出したことに後悔はなく、また報道価値も確かにあると考えています。さっきも書いたとおりに市場規模がヤバイくらい拡大しており、なおかつ開発力も明らかにつけてきているため、ゲーム業界関係者じゃなくてもやはりその概要くらいは把握しておいたほうがいい市場であることに間違いありません。この情報がきちんと利用されるかどうかは別として。

 とはいえ、アクセスを稼がないことには意味はなく、その点は十分な反省点です。この連載の後の歴史記事は多分ヒットできると思うからまだ正気保てますが、その次の記事はまだ企画段階だけど取材が困難なところもあるから現時点ですでに不安です。

2019年2月17日日曜日

運動不足(ヽ´ω`)

 先程数年ぶりにSkypeのプロフィール画像を更新しました。更新前も更新後もデーモン閣下の写真に変わりはありませんが。

 今日、久しぶりに自転車で遠出して、自宅から片道22キロの場所まで往復してきました。はっきり言って距離的にそんなでもないのですが、本当にこのところ運動不足というかほとんど自転車に乗れなかったので今もフラフラです(;´Д`)ハァハァ

 一体何故自転車にそんなに乗らなかったのかというと、単純に天気が悪かったからです。今冬の上海は明らかに例年と比べて悪い天気が多く、友人ともほぼ毎日、「今日も太陽見れなかった」などと言い合うくらい曇りか雨天ばかりです。そのためいざ休日に自転車で遠出しようと思っても雨で家から出られないということも珍しくなく、正直言って運動不足もいいところでした。

 またこれは私個人の事情ですが、先週の春節休暇の最中に一回くらいは遠出しようと考えていたのですが、これができませんでした。何故かと言うと連休が始まって早々、自転車漕いでてなんか足に引っかかるなと思ってペダル付近をよく見たところ、前のギアと接続しているワイヤーが切れかかっており、それが右足にパシパシ当たっていたことに気が付きました。
 ワイヤー自体は完全には切れてはいなかったものの、仮にこれが切れたらギア操作は不可能となるばかりでなく、下手したら走行不能になる恐れすらありました。そのため近場はそのまま乗り続けていましたが、遠隔地で切れたらえらいことになると思って遠出は控え、その結果春節中も自転車で遠出することはできませんでした。

 このワイヤーの問題は既に解決しており、春節の終わり間際に馴染みの自転車屋に行ったところ店が開いていたので、そのまま店のおじさんにワイヤーをつなぎ直してもらいました。ついでに、ストッパーも破損していたので取り替え、またバーテープ(ハンドルのグリップに巻くテーピング用テープに近い分厚いテープ)も三年間同じものを巻いてていい加減汚れてきていたので、新しいのに巻き直してもらいました。
 新しいバーテープは店においてあった一番安いやつを何も考えなしに選びましたが、以前のバーテープと比べて非常に薄い素材となっており、強く握りしめられるので案外悪くなく気に入っています。前のバーテープは分厚くて握った際には柔らかく、あれはあれで良かったですが、薄いのもまた悪くありません。

 なお今回の遠出の前に、かなり久しぶりに自転車のボディを拭いた上でチェーンに油をさして行きましたが、正直自分でもびっくりするくらいチェーンの回転がよく快適になり、これまでメンテナンスを怠っていたことを深く反省する羽目となりました。
 っていうかこの土日を過ごしてみて改めて、1月から先週の春節の間にかけて本当に体調悪かったんだなと痛感しました。というのも春節中は体調悪い自覚があって長めに寝ようと心がけたものの、昼寝とかすると夜全く眠れなくなって余計に体調悪くなってたりしたのですが、昨日は我慢できなくて原稿書いてる最中に仕事ほっぽりだして昼寝しましたが、夜もぐっすり眠れて1日で合計11時間眠れました。先週までは体を休めようとも休められないくらい体調悪かったようです。

 なお今日は昼寝とか一切していませんが、朝から原稿書いて書き上げた後に自転車をメンテしてそのまま遠出し、夕方に帰ってきてから部屋の掃除して夕食作ってこうやってブログ書く辺りは以前とは違って余裕がある気がします。
 あと関係ないけど「五等分の花嫁」8巻は超面白かった!

2019年2月16日土曜日

どれい契約

スーパートリック・ゲームズ株式会社 の求人情報詳細(ファミキャリ)

 先日、ゲーム業界の求人状況などを調べていたところ上記求人票を見つけ驚愕しました。何に驚愕したのかというと賃金待遇で、

想定年収20万円~45万円
給与形態:年俸制

 と書かれてあったからです。

 まぁ流石にひと目見て「年収」と「月収」を間違えて書いたんだろうということはわかるのですが、下に書いてある「年俸制」という言葉がジワジワきます。っていうかこんな賃金で応募する奴は流石にいないでしょう。奴隷契約もいいところだ。
 っていうかこの求人票、数日間このままの状態ですが、修正がずっと行われないのはちょっとどうかなという風に思えます。もっとも修正以前に、募集企業も人材サイトもアップ前に普通気が付かないものだろうか。

2019年2月14日木曜日

狂ったデザインオブ三菱

「会社を上げてシャブでもキメてんのか、それとも何かの罰を背負わされてるのか」

 今日はやる気がない、っていうか見えないところでめちゃくちゃ記事書いててもうあんま書きたくないのですぐ終わるネタを紹介しますが、冒頭のコメントは下のまとめ記事に入れられた一言ですが、私もすごく的確だと感じます。

 【画像】 新型の三菱ekワゴンがヤバすぎると話題に(痛いニュース)

 先日にもこのブログで三菱のデリカが信じがたいほどダサいデザインになっていると書きましたが、何をトチ狂ったかトールワゴンのekワゴンでも同じフロントマスクを採用しているようです。はっきり言ってキャプテン・アメリカの衣装よりダサいと感じるとともに、三菱の連中は何を考えているのか、わざと売れない車作ってどうするんだと不思議でしょうがありません。


なお上の記事で「外見だけ見て国産車でカッコいいのマツダくらいじゃん。あとは相変わらず、トヨタが狂気のようなデザインだった時に比べればマシになってきたくらい」というコメントがありますが、これにも割と同意します。
 現在の日系自動車業界においてデザイン面ではマツダが明らかに抜けており、中国でもやはりその外観が評価されてきていると感じます。っていうかポルシェやベンツと並んでもアテンザはあんまり見劣りしないのがすごいです。

 一方、トヨタとホンダも最近は大分マシと言うか、2010年代中盤の狂ったようにダサいデザインから脱却してきたように感じます。っていうかトヨタの社長ですら、「トヨタの車がダサいって現場にはいつも言ってるのに……」と発言してる辺りは自覚はあったようですが。
 そのトヨタですが、割と最近のデザインは好きです。特にカローラは大衆車ながら割と好みのデザインで、昔と比べて弾数も減ってるだけにいま日本で私が乗るとしたらこれかアクセラかだと思います。もっとも、レクサスのデザインは未だに好きになれないというかまだダサい気がしますが。

 ついでなので書くと、日産に関してはスカイラインのアピールが間違っている気がします。あの車、カラーが黒とシルバーだと全く映えませんが、それ以外の色だとものすごくかっこよく見え、どうも映像や画像の見せ方が悪い気がします。こう思うのもこのところ通勤途中でブルーのスカイラインの横を毎日通っており、生で見たらめちゃかっこよくてびっくりしました。

2019年2月13日水曜日

統計不正、修正はほんとに不可能?

 最近またずっと雨ばっかで寒くて辛いです。寒さには明らかに強い私ですが、脂肪が極端に少ないせいか(体脂肪率は恐らく生涯15%を超えたことない)やはり湿気が高まると途端に寒いと感じます。

 話は本題に入りますがなんか国会では悪夢論争という、文字だけでみるとなんかの宗教論争みたいな議論とか、クソどうでもいい五輪相の発言ばかりが取り上げられててなんやねんって感じします。やはり今真剣に議論すべきは間近に迫った消費税増税とそのポイント還元問題、そして次に先日明らかになった厚生労働省の勤労統計の不正調査であり、頼むから議論を早く戻してくれと見ていて思います。
 なおポイント還元問題についてはそもそも軽減税率を設けることに私は反対で、一律16%くらいにすべきでしょう。何故16%かというと、中国は日本の消費税に当たる増値税の一般的な税率がこれまで17%だったのが去年から16%に引き下げられたからです。なお運送サービスなど一部業種はもっと低く設定されています。

 話は戻しますが、勤労統計不正についてあまり取り上げられないけど実は腑に落ちない点があります。

データ廃棄で、統計の修正不可能 不正調査、野党が関係省庁を聴取(共同通信)

 今回統計不正がバレた調査について2004年から2011年までのデータについては既に廃棄しているのでもう再集計、分析できないと厚生労働省は言っていますが、はっきり言えば疑っています。というのも賃金に関するデータであれば税金や年金など様々なデータに結びついており、これらのデータから当時に調査対象がどれだけの賃金水準だったのかを測定することは不可能ではないのではないかと考えるからです。
 それこそ、大半のサラリーマンに適用される源泉所得税の過去データを追えば、流石に10円単位は難しいかもしれませんが100円単位くらいの誤差でいいなら算出できるでしょう。こんな漢字で一人一人探っていけば、労力はかかるかもしれませんが当時の正しいデータを得て再分析することができるように思えます。労力が足りないってんなら、前に年金機構の下請けがやってたように中国の業者とかに投げたらどうだとも言いたいですし。

 何故こんな事を言うのかというと、多分やろうと思えばできるけどやりたくない、このまま隠しておきたいというサボタージュのために厚生労働省が「できる」とは口にしないように見えるからです。この統計不正がバレた際、原因や問題点や責任者が明らかになるより早く再集計が不可能だといち早く発表しており、正直見ていて再集計の可能性を探った素振りは全く見られませんでした。
 でもってもっと突っ込んだこと言うと、廃棄したというデーも実際にはまだ残っているのではと疑っています。森友問題の際もそうでしたが、ないと言った書類やデータが後から次々と出てくるなど近年の官僚機構ではあるデータも「ない」と言い切る事があり、うかつに信用することができません。

 というか、本音を言えばデータが廃棄されていたという方が実はもっと問題が深刻な気がします。たかだか20年も経過していない、直近においてはわずか8年前のデータすら廃棄するなど、記録という行為についていくらなんでも疎かすぎて逆に不安になります。これも先程の森友問題もそうでしたが、記録が残らない、改竄されるほど国家にとって害のある官僚行為はありません。真面目に記録を廃棄した担当者に関しては見せしめを兼ねてきつい処分を下す必要があるとすら思えます。
 まぁ多分、この勤労統計については上記のように過去の税金データから洗い直せと指示すれば、「実はありました!」みたいに出てくる気がしますが。あともっと言えば、多分他にも統計不正は探せばでてくるでしょう。日本は統計を軽んじていることが原因だという人もいますが私はそれ以前に、不正しても誰も何も処罰されないし不完全でもあっても目を引く統計が尊ばれる社会であることのほうが根深いと見ています。