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2019年11月28日木曜日

気になるニューフィット

 あんま書くことないので最近感じた所感を述べると、本当は今冬に発売予定だったけど来年にずれ込んだホンダの新しい「フィット」がなかなかいいなとか思っています。先日、同僚が日本に一時帰国した際にベストカーの東京モーターショー特別号を買ってきてくれてそれにも特集されていましたが、その圧倒的な内容積を残しつつ、デザイン面などが改良されててコンパクトカー好きの自分からしても心打つ出来栄えです。
 なおホンダのデザインに関しては2000年代後半からすごい迷走していて、ダサいことで有名なトヨタを遥かに上回る酷いデザインの車ばかり連発していた気がします。ようやくここ数年、看板車種のアコードを筆頭に大分マシになってきた気がしますが、興味ある人はちょっと前のカタログとかで見比べるといいでしょう。

 話は戻りますがそのフィットですが、確かN-BOXにも搭載している自動ブレーキシステムの不良原因が突き止められないためとかで発売が延期されたと聞きます。他の会社はともかくとしてホンダの場合、一度リコールに絡む不具合が起きると他のメーカーと比べて明らかに改善対応にかかる期間が長いです。それこそ現行三代目フィットなんてハイブリッドシステムのソフトウェアがなかなかうまくいかず発売した直後は何度もリコールを繰り返しては再びリコールを発表するという、泥縄的な動きを見せていました。
 また中国でもSUVのCR-Vでリコール(確かエンジンコントロール)を出した際、中国当局と改善措置内容で非常に揉めて、何ヶ月にも渡って販売を中断する羽目となっていました。これは何も中国だからというわけじゃなく、その他の前例から見ても明らかにホンダだからでしょう。

 そのため今回のフィットも、来年の発売を予定していますが果たして本当にそうなるのか少し不安なところがあります。もっともすぐ発売したからと言って私が日本に戻るわけでもないので購入することはまずないでしょうが、「ホンダはリコール対応が長い」というのは地味に一つの特徴として認知してもいい気がします。

2019年11月25日月曜日

アニメーター記事の裏側

革命的戦車T-34の名を聞くとロシア人の顔が輝く理由(JBpress)

 今日JBpressで配信されていた記事ですが、読んでてめっちゃ面白かったです。「ロシア人にとってT-34は日本人にとってのゼロ戦みたいなもの」という表現とか超イカス。あと冒頭ページに貼られている映画「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」のポスターの「全露No.1メガヒット」という煽り文句も「全米」じゃなくてじわじわくる。

中国人アニメーター、日本でスキル高めて続々と帰国(JBpress)

 でこっちが今日配信された自分の記事です。結論から言うと個人的には大満足な記事でした。

 アクセス順位は今3位、少し前は2位でしたが、朝見た段階では8位で、昼過ぎ辺りからグイグイ順位上げていったのが印象的でした。これまでこんな変動するのは見たことがなく、ネットを見るといくつかのニュースサイトなどが取り上げており、それによって順位が上がっていったんだと思われます。

 今回の記事の背景を簡単に説明すると、まず冒頭でも書かれているように中国メディアが最近、日本人アニメーターを中国の会社が引き抜き始めたと報じて、それを日本語に翻訳したニュースを私が見て、「こんな報道あったよ」とJBpressに紹介したら「ぜひ中国にいるアニメーターに取材して記事書いて」と言われたから書きました。もっとも、中国にいるアニメーターといって誰に聞けばいいのか最初全くわかんないしで、とりあえず友達に「誰かいる?」と聞いたら、一発で日中間で仕事しているアニメ業界関係者を紹介してくれて、無事取材ができました。
 その取材相手ですが非常に中国アニメ業界に対し造形の深い人物で、なおかつこちらの取材意図などもすぐ理解して色々アドバイスくれて、取材するこちら側としては非常にありがたい人でした。記事中に使っている図表等のデータも全部この人がくれたもので、単なるインタビュー記事に終わらない深みを添えてくれました。

 昨日は金髪ツインテールについてなんか語っていましたが、私自身は実はそんなにアニメとかは見たりせず、ましてや業界事情なんて全くわからないくらい疎かっただけに、上記の取材相手が非常に協力的だったのは幸運で、取材していて今のアニメ業界はこうなっているのかと、色々と勉強になりました。こういう業界当事者でないとわからない事情というのは、私自身がマスコミ業界にいて外と中では全然見方が変わるというか、外に出る情報は中を全然反映しないというのを経験していただけに、最低限の裏取り(中国人アニメーターの給与水準など)は行ってはいるものの、なるべく取材相手から得た情報は変な脚色などはせず、そのまま反映するように努めました。
 もっとも、そういう構成なもんだから記事文章は基本、「~とのことです。」という伝聞調に語らざるを得ず、そのせいで中盤当たりでは文章、話題の接続で書いてて非常に苦労しました。真ん中あたりの段落だけで、5時間位かけて書いたような気がします。それでも十分というか、もっとスムースなつなげ方があったような気がする。

 記事に対する自己評価としては上記の通り文章の拙さを感じるものの、その分取材した情報を可能な限り減らさず落とし込めたとは思え、取材記事としては今年出した中ではナンバーワンの出来だとみています。内容自体も日中間のアニメーター事情、並びに中国のアニメ産業動向を俯瞰できる内容になっており、外に出して恥ずかしくないと言っていいでしょう。
 惜しむらくは来週に出す記事内容が全く決まってないってことです。っていうか先週忙しくて記事準備とか全く何もできていません。最悪、緊急脱出用のネタは一応持ってはいるけど、先週がつらすぎ多分何も考えずに来週末もボーッと過ごしたいです。

2019年11月24日日曜日

ツインテールとツンデレの関係

 昨日の記事にも書いた通り先週は異常なくらい忙しくて、今日も午前中は寝たきり雀でした。こうした猛烈な作業環境の中、時間が刻々と迫ってくる中で私は同僚に、

「ツインテールってなんでツンデレが多いんだろ?」
「わかるー」

 という会話を振りました。
 なんでこんな話になったのかと言うと、その前に「賭ケグルイ」の話題になって、自分は漫画を序盤しか読んでないけどメインヒロインより、あのツインテールの子のが好きだったと話しました。その後しばらくしてから、そのツインテールが日本産フッ化水素なみに純度の高いツンデレだったと気づき、またこの前やった「シークレットゲーム」に出てくるツインテールも30年ものワイン並なツンデレだったことを思い出し、「ツインテール=ツンデレ」という図式が成り立つのではないかと思い立ちました。

 この私の新たな学説に対し同僚は、「それに金髪が加わるとタカビー属性も加わって、よりツンデレ純度が増す」とすかさず補足してくれました。実際その通りというか、前段落で挙げた二人がまさに金髪ツインテールで、その他にも思いつくキャラはいくらでもいます。
 では一体何故金髪ツインテールはツンデレなのかですが、これは金髪ツインテールがツンデレと言うよりかは、ツンデレキャラには金髪ツインテールのデザインが加えられやすいからでしょう。いう慣れば「ツンデレ」のアイコンとして「金髪ツインテール」があり、知らず知らずのうちに我々は、「金髪ツインテールを見たらツンデレだと思え」と言わんばかりの暗示をメディア業界から受けていたのかもしれません。

 少し真面目な話をすると、多かれ少なかれファッション、特に女性の髪型は何らかの性格や役割付を持たしたアイコンとなることが多く、同じようにおかっぱ頭も「幼い」や「大人しい」といった性格のアイコンとなっている節があります。男性の髪型に関しては辮髪やお下げが中国系キャラになるというくらいですが、女性に関して漫画やアニメでは予め、その性格に合わせてアイコンとして髪型が、知らず知らずのうちに設定されているところがあります。

 なおこの会話の後に同僚から、「同じようなアイコンだと、昔は胸の大きな女性キャラは包容力のある年上女性が多かったが、最近はむしろ高圧的、タカビーなキャラとなることが多い」と指摘し、それに対し私も、「そだねー」と返しました。このように同じアイコンでも、時代によって込められる意味が変わって来ることもあるようです。

 こんな会話をしているけど、本当に先週は忙しかったです。

2019年11月23日土曜日

GSOMIA延長について

 今週は記事の更新が少なかったですが、これは仕事が忙しかったせいです。今の会社に入社以来、というより瞬間風速的には自分のサラリーマン人生で最も激しい一週間で、休日出勤底ないというか既にやりまくってるせいで上司に止められていますが、今日はお昼にスーパー銭湯行ったのを除くと、朝から昼まではリアルにベッドの上で寝たきりでした。

 話は本題ですが例の韓国とのGSOMIA延長についてです。メディアは非常に意外だったというような反応ばかりですが、私個人に関しては土壇場での韓国の態度逆転もありうるだろうと考えていたこともあり、そんな驚きというものはありませんでした。
 むしろメディアの報道では当初、「条件付きで延期」や「条件付きの期限延長」、「条件付き撤回通告」などと、今回の韓国の決定について報じたことのほうが印象に残りました。はっきり言えばこれは翻訳が悪いせいだと思え、一見して韓国側がどういう態度なのか、何を決めたのかよくわからない表現のように思えます。単純に、「撤回保留」という表現で十分だと私は思うのですが。というのも、条件が条件になってないからです。

 今回の決定について韓国側は日本が韓国向け輸出条件について協議することを条件に撤回通告を延期(=撤回通告期間の延長)すると主張していますが、別に通称に関しては窓口自体は閉じていないし、また韓国側には既に輸出品目の使用用途をきちんと明確にする、第三国輸出への摘発強化しさえすれば最恵国待遇に戻すと伝えているので、別に日本側としてはなにか特別にすることは今後もないでしょう。
 そのような実態を考えると、韓国側の主張に合わせてそもそも「条件付き」という言葉をつけること自体が何か間違っている気がします。第一、GSOMIAを終了すると言っているのは韓国側で、それを日本側としてはさして止める立場でもありません。

 その上で気になるのは、日本側が前回輸出条件を引き上げたフッ化系材料について、韓国の「国産化成功」、「代替調達」などという日本語報道が最近あまり見なくなったことです。一部製品については条件引き上げ後、サムスン電子などには輸出が認められて実施されていると聞いていますが、LG電子は国産材料を試用したラインで大量に歩留まり、もとい不良品が発生したという報道を以前見たことがあり、LGには輸出許可が降りたという報道も見ないだけに、実はこの点が気になっています。
 はっきり言ってしまえば何故LGには許可が降りないのか。これまで日本から輸入してきた材料の用途でなにか問題があったからできなくて、変な材料とか使い始めているのではと怪しんでいます。そうした点を考えると、やはりサムスンはグローバル企業でしっかりしているんだなという印象を今回覚えました。

 その上で今後の予測を述べると、恐らく今後も平行線で、「議論は着々と進んで成果を得ている」と韓国側というか文政権は主張し続けると思います。それでいいと思うならそれでいいと私は思いますが。

 最後にもう一つ気になる点を挙げると、米中の日本駐留費こと思いやり予算について時事通信が先日、米国は4.5倍の増額を要求したと報じましたが、この報道について訝しんでいます。何故かというとこの報道に追従したのは今回は朝日新聞だけで、他の大手メディアは記者会見での菅官房長官の否定発言こそ取り上げたものの、自分が確認する限り初動では後追い報道をしていなかったからです。
 更に言うとこの報道は実は今回が初めてではなく、7月にも全く同じ報道があったからです。しかも報道元はまた時事通信で(この時は5倍だった)、この時は他のメディアからは後追い報道がほぼ全くありませんでした。

 報道元が限られているのと、米国側から正式な関連発表は出ていないということもさることながら、実際に日本にこんな金額を請求できるわけがないという点で強い疑問を感じています。何故かと言うと米軍駐留国では日本が最も費用を分担していると言われ、仮に日本が費用負担を引き上げた場合、他の韓国やドイツと言った駐留国の負担割合も相応に引き上げなければおかしいと日本側は主張できる根拠を得ることとなります。
 その上で、「日本はこれまでも多大な負担割合だったのだから、他のこれまで少ない金額した負担してこなかったところから日本が負担してきた分まで応分に請求すべきでは」と主張して、他の国を色々巻き込むという対応もできるのではないかと思います。

 敢えて例えるなら、アパートの家賃を日本だけがこれまで他の国の家賃の数倍を払ってきており、今回日本が5倍に引き上げるなら、他の国は下手したら10倍とかにならなきゃ不公平だというわけで、他の国が上げるなら相応に家賃引き上げに応じる、という論理です。もしくは、これまで安く支払ってきたところが、最低限日本と同じ家賃を払ってもらうところから始めるべきだと主張するとか。

 無論、こうした考えに反発するのは日本国民以上に他の駐留国で、米国に対するヘイトもかなり増すことになります。そうした相場を考えた場合、トランプ大統領自身は別として、果たして米国が日本に5倍引き上げ要求を出せるかと言ったら、他の駐留国の反発を抑えられるかと言ったら私は疑問です。むしろ私自身は、本気で米国がこういう引き上げ要求を公的に出してくれたら、日本としては交渉の幅が広がってかなり有利に立てると前向きに見ています。

2019年11月21日木曜日

亜細亜大学野球部の闇

【野球】赤星「何億積まれても亜細亜大には戻りたくない」(ぶる速)

 知ってる人には早いですが、大学野球の名門と言ったら長嶋茂雄氏を排出した立教大学やハンカチ王子こと斎藤佑樹選手を排出した早稲田大学などが有名ですが、地味に大学リーグ戦の成績やプロ排出数でひときわ抜きん出ているのは亜細亜大です。その亜細亜大からは元阪神の赤星氏、元中日の井端氏、そして今や二代目大魔神と呼び声の高い横浜の山崎康晃選手など一級クラスのスター選手も多く出ているのですが、彼ら亜細亜大出身スターは大学時代についてみんな口を揃えて、「地獄だった」としか口にしません。
 実際に上記リンク先のまとめ記事に引用されているセリフを見ると、


1: 2019/11/19(火) 11:53:33.70 ID:IDQfkJkVa
赤星
「何億積まれても亜細亜大学に戻りたくない」
「あんな所だと最初からわかっていたら絶対入学しなかった」

井端
「亜細亜大学は地獄だった。 1・2年生は電車で座るのも禁止。ある日、前後の車両に先輩がいないのを確認して 『よっしゃー』と座ったら、 先輩が踏切に立って見張ってた」

東浜
「ある日寮から抜け出してコンビニに行ったら生田監督に見つかって部員全員に謝罪した。翌日坊主にして草むしりをした」

山崎康
「亜細亜大学で野球をしていて笑ったことは1度もなかった」

吉川尚
「高校3年の時に亜細亜大学の練習に参加した。 推薦が決まっていたが数日後内定を取り消し中京学院大を受験した」


 上記の各セリフもさることながら、何が一番凄いかって上のリンク先記事では入団前の山崎選手の写真がありますが、今の爽やかな姿からは想像もできないいかつい顔で、最初どこの鉄砲玉かと本気で思いました。またその練習や生活については以下の記事でより具体的にその地獄内容が書かれています。

赤星憲弘や山崎康晃が絶望したアジア大学野球部の地獄(アマ野球コレクション)

 このほかWikipediaをみると、ソフトバンクの東浜選手が編み出した亜細亜大出身者しか使わない「亜大ツーシーム」という変化球が存在するようで、東浜選手と大学時代に寮で同部屋だった薮田選手、山崎選手、九里選手が使ってるというわけのわからない絆があるようです。なお山崎選手は同ツーシームについて、東浜選手と九里選手の連続写真を机に貼って眺め続けて盗んだと述懐しています。
 っていうかこの四人が同部屋だったってのも色々おかしい。

 まぁネタ的に面白いというか、大学野球ってあまり見てませんが早慶とか以外にもこんなキャラの濃い学校があッたと知ってなんかマイブームになってます。一回この亜細亜大OBで、「母校訪問、そして……」みたいなイベントとかやってみたら面白そうなのに。

2019年11月18日月曜日

沢尻エリカの代役

 既に各所で報じられているように女優の沢尻エリカ氏が麻薬所持容疑で逮捕、完落ちし、NHKは鍋をひっくり返したような大混乱に陥っているそうです。話題はやっぱり大河ドラマの代役を誰にするかですが、この事件の報道を見てとっさに私はなろう系主人公のように、「ふむ、それでは逆張りして酒井法子氏でどうか?」と思いました。いやぶっちゃけ本当にこれやったらNHK見直すわ。

 ネットの掲示板を見ていると、スケジュールが空いてそうで演技力も高いということから、能年玲奈ことのん氏の待望論が強いように感じます。実際事務所独立騒動で干されて以降は大役を任されていないので、あったらあったで彼女にもいい話なんじゃないかなという気がします。
 このほか濃姫という役で選ぶんだったら、敢えて若手じゃなくて年季入った女優、大竹しのぶ氏とかでももういいんじゃねとか思ったりもしています。まぁこの人だとスケジュール空いてないだろうけど。

 それにしても今回ほど、「ああやっぱり」と思う麻薬絡みの逮捕事件は今までありません。ぶっちゃけ清原氏のときもやっぱりと私は思いましたが、今回ほどの納得感は得られませんでした。発言や素振りが明らかにおかしい人はやっぱりそういう理由があるんだなということでしょうが、友人からは来週出す記事の前後でこういうビッグニュースが出ると煽りを食らうだろうと、なんか妙な警告くらいました。まぁ実際、何もなく普通に読まれてくれればいいのですが。

2019年11月17日日曜日

中国語の動詞の見分け方の重要性

 最近自分語りが多いような気がするから、たまにはフラットな話題として中国語学習のポイントについて触れようと思います。なお前文を呼んで、「最近じゃなくいつもじゃん」とか思った人は私のことをよく理解してくれている人な気がします。

 さて単刀直入に結論から述べると、少なくとも日本人における中国語学習において最大の課題と言えるのは中級から上級への指導方法、テキストが極端に少ないという点にあると断言できます。初級から中級レベルの中国語学習テキスト(中国語検定4~3級、HSK1~4級)は非常に豊富であり、一般向け学習サービスもたくさんあるものの、こっから上に行くとなるとまずテキストが少なく、なおかつ指導方法もあまり確立されていないように見えます。
 それでも中国のドラマ見るのが好きだったり、私のように業務上で中国語使う必要ある人なんかは時間とともに上達していくのですが、日本国内にとどまっている人となるとなかなか中級からのステップアップが難しく、効果的な手段としては留学くらいしかないのが現状な気がします。

 その上で、私の場合は文章処理がメインということもあるので中国語の高難度な文章を読むテクニックをここでいくつか紹介すると、一番のポイントとしては「まず最初に動詞を見つけること」に尽きます。
 そんなの当たり前だろと思う人も多いでしょうがもう少し説明すると、中国語は言うまでもなく漢字ですべて構成されており、そのため動詞と名詞の区別が困難な言語に当たります。適当に拾ってきた文章で一例を用いると、

「动画动漫等行业迎来爆发式增长」

 上記文章には「增长」という言葉があり、これはそのまま「増加、増える」と訳されがちですが、実際には「成長」という意味です。「増加」と間違えるのは「增」という漢字の印象に引っ張られているだけで、明確な間違いです。なおひどい場合には常用漢字に直すだけで「増長」と訳す人もいますが、これだと完全に別の意味になります。
 話は戻りますが、「成長」と訳せる単語があるからこれが動詞だと思って、「動画アニメなどの業界が爆発的に成長するのを迎える」という風に訳す人もいるかも知れませんが、大きく間違いではないものの、これだと10%くらい少しずれた訳し方です。何故かというとこの文章の動詞は「增长」ではなく「迎来(迎える)」で、先程の「增长」は名詞として訳さなければならないからです。その為正しい訳は、「動画アニメなどの業界が爆発的成長を迎え……」という風になります。

 確かに「增长」という単語を「成長する」という動詞として扱うこともないわけではなく、むしろ結構な頻度で動詞として使われます。しかし上記の文章のように、普段動詞として使われる単語がそのままの形で動名詞(「~こと」)として出てくるパターンが中国語には多く、本来名詞として扱わなければならない単語を動詞として読んでしまって、全体の訳が崩れるパターンが多いです。
 それこそさっきの例文だと、「動画アニメなどの業界を迎え、爆発的に成長する」みたいに、動詞を二つつけて訳してしまうケースも散見されます。

 こうしたミスを避ける上で最も効果的なのは、最初に挙げた通り「その文章の中の動詞を見つける」ことです。同一対象に複数の動作を及ぼす(「調べ、分析する」みたいな)場合を除き、基本的に一文において動詞は一つだけです。そのため、まず何が動詞なのかをしっかり見つけ出し、その動詞を中心に前に名詞、後ろに目的語をつけてく具合に訳していくとミスが少なく訳せたりします。そのため読解、翻訳においては文章の腰に当たる動詞を特定することが重要だとよく周りにも言っています。

 その動詞の見分け方で敢えてもう一つポイントを挙げると、「并」という単語があります。これは接続詞なのですが、同じく接続詞の「和(及び)」と同一視して「及び」と訳されている事が多いですが、実際には順接として、「~し、」みたいに訳すとすんなり行きます。というのも「和」は「名詞+和+名詞」のように名詞同士を並列させるのに対し、「并」は「動詞+并+動詞」のように動詞同士を並列させます。
 そのため例えば「观看大熊猫幼仔,并拍摄视频」という文章だと、「パンダの赤ちゃんを観察するとともに、動画を撮影する」という風に訳せます。もっとも私はさっき書いたように「并」は順接の方が美しいと思うので、「パンダの赤ちゃんを観察し、動画を撮影する」と訳すでしょうが。

 この「并」という接続詞が実は動詞の特定で非常に役に立ち、さっきも書いたようにこの文字は動詞同士をつなぐ役割を果たすため、前後にある単語が確実に動詞であると特定できます。また基本的に「并」が使われるのは構造の複雑な複文であるため、複文文章構造を解き明かすのにもすごい使えます。先の例文だと「并」の直後に来ている「拍摄(撮影する)」が動詞と判断できます。
 なおこの単語も動名詞化することが多く、その際は「撮影」と訳します。

 問題は対となるもう一つの動詞の特定です。もっともここまで来ていたら文脈からすぐ「观看(観察する)」が対の動詞で、「大熊猫幼仔(パンダの赤ちゃん)」が目的語だとすぐ読めるでしょう。この例文はまだ状況がわかりやすい文章ですけど、法律や契約関係の文章だと状況がわからず、何のお金がどっちからどっちへどう動くのかとイメージしづらく、そういう際にこうした接続詞と動詞から主語や目的語を特定するやり方が効果を発揮したりします。

 もう一つこの動詞の特定がいかに中国語で重要であるかという理由を説明すると、中国語には漢字一文字の単語も珍しくありません。何が厄介なのかという、漢字二文字の単語1個を漢字一文字の単語2個にも読めてしまうことがあるからです。
 それこそさっきの「观看大熊猫幼仔」の「观看」も「观(観察する)」と「看(見る)」の二つの単語に分けて読むこともできます。その場合、「パンダを見る動物の赤ちゃんを観察する」という風に訳せないこともなく、意外とこうした単語の識別ミスでえらいことになるパターンが多いです。これを防ぐ上でも最初の段階で、「观看」二文字で一つの動詞と見分けなければなりません。

 以上のポイントは私が一定度中国語を学んだ状態で身につけた技術で、中級クラスの時はあまり意識していませんでした。そういう意味で上級クラスに踏み入る上で重要なテクニックとなりうると考え、ここで紹介することにしました。