特に発表が2週間以上遅れたという点については、まずもって裏があるとみていいでしょう。好意的に見ればこの間に責任の所在を明らかにしてその後発表された社長退任まで織り込む準備をしていたと言えますが、まぁこれは違うでしょう。そう思うのは不正発覚直後に記者会見をしていない点で、どうせ辞めるつもりだったら記者会見で頭下げてから発表した方が効果あるのに、記者会見せず追及が強まってから急に辞任発表だったので、恐らくはどうにかなると踏んでたのだと思います。
その上で、不正発覚から発表が遅れたのはやはり当初は隠蔽しようとしたのではという可能性を疑っています。憶測にすぎませんが、隠蔽がどうにもできないと踏んだから遅れて発表したのではという風に見ています。
今回の事件を見て真っ先に思い浮かんだのは、会社は違えど過去に同じく大規模な不正を連続してやらかした三菱自動車の例です。あっちは性能偽装までやってのけた大物ですが、やはり同じ三菱グループということもあって、「三菱グループは都合の悪い事実をもみ消そうとする」という印象を私以外にも覚えた人が多いのではないかと思います。
そうでなくてもただでさえ三菱グループは弱り目に祟り目状態で、三菱商事は伊藤忠の後塵を拝すわ、三菱重工は客船、飛行機と立て続けにビッグプロジェクトを落とすわ、三菱自動車に至っては「まだいたの?」と存在すら疑問視されるような状態で、かつてと比べると三菱グループの影響力は目に見えて落ち込んできています。
頑張っているのは三菱鉛筆くらい?というのはありがちな冗談です。ちなみに三菱鉛筆が三菱グループと無関係だと話すと中国人もみんな驚くのが面白い。
個人的にこういった大メーカーが検査不正事件を起こすと、内心「ざまぁみろ」という印象を覚えます。というのもこういった大メーカーほど下請けの部品メーカーが不良や検査ミスを出した際、鬼の首を取ったかのようにやたら激しく追及し、一部メーカーは会社ごとの不良事例を入り口前の掲示板に貼りだしているところもあります。
でもってこの手の大メーカーは「ISO取ってないと取引しない」、「工程自体に問題があるからこうしろ」、「明日までに対策報告書を出せ」とか居丈高に指示してきます。三菱電機は判明から2週間もたっているのに調査報告書を出さず調査中とか抜かすのに。
こうした対策や工場監査時の指示には実現性を無視した内容も少なくなく、「お前ら自身、絶対こんなこと普段やってないだろ」と言いたくなるようなもの少なくありませんでした。その辺、現場の中小企業らはよく認識していて、「ハイわかりました!」と言って実際にはやらない現場猫的な展開を見せることも少なくないのですが、一回中国の日本商工会である大メーカーが労災対策として自社の取り組みを紹介したところ、「そんな現実離れしたことを中小が毎回やれると思ってんのか!」とタンカ切ったおっさんがいましたが、多分会場にいた他の人もみんな心の中でぱちぱちしてたと思います。
逆を言えば、現実離れした、コストを度外視した労災や不良対策をさも当然のように提示するメーカーほど自分は信用していません。というのも明らかにそんなのこいつらもやってないと思え、そうした自分たちですらやらないことを平気で他人に強要するということは、根本的にそうした現場対策を理解していないからで、検査不正なりなんなりをやっているんだろうという疑いを持ちます。
今回の三菱電機とは私はこれまで縁のない人生で普段どんな風なのかはわかりませんが、今回の検査不正ではわざわざそれらしく見える検査値を出すプログラムまで用意してたってことで、結構救いようがないなって感じがします。さっきプレスリリース見たら、社長が開いてもない取締役会を言い訳に使うため嘘ついていたとまで書かれてあるし。