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2022年2月6日日曜日

ローラースルーゴーゴーの真実

『ちびまる子ちゃん』はまじが明かす“神回”の裏側、家が全焼した「永沢君」の正体は(週刊女性PRIME)

 また凄いインタビュー記事が出たというか、読んでてめちゃ面白かったです。
 上の記事は漫画「ちびまるこちゃん」の登場人物である「はまじ」のモデルとなった当人への、作中内容は本当のところどうだったのかということを尋ねたインタビュー記事です。人気のある作回に絞って尋ねており、そんなこの漫画を読み込んでない自分でも「あ、あれね」と思い出せる話が多いです。

 中でも自分が記事を開いた瞬間から、「あれはないのか?」と考えていた「ローラースルーゴーゴー」の話についても、このインタビューでしっかり触れられています。「友蔵のローラースルーゴーゴー」と言えば話が早いこの神回について上記インタビューでは、実際に当時流行っていたものの、作中ではまじはまるこに料金を取って貸し出していますが、モデルの浜崎氏は当時、実際にはローラースルーゴーゴーを持っておらず、自分も友達に貸してもらって遊んでいただけだったそうです。
 まぁさすがにあの展開(貸し出して、山田に乗り壊されて、弁償してもらったところ金取っていたことがばれて怒られる)は、子供心にもフィクションだろうとは思ってましたが。

 このほかインタビューでは、浜崎氏が若い頃にビートたけし氏や西川のりお氏に弟子入りを志願していたという事実も明かされているのが印象に残ります。この点で言えば作者の故さくらももこが将来芸人になりそうと言っていたのも、あながち間違ってはいなかったのでしょう。

 それにしても「友蔵のローラースルーゴーゴー」は、「迂闊な発言や決断で多大な出費に迫られる」といった意味で、故事成語にしてもいいんじゃないかとすら思います。

2022年2月5日土曜日

中国の女性の社会進出具合


 今日は上海郊外にある余山というところに往復50㎞を自転車で走って行ってきました。改めて思うのは先月まで本当に運動不足だったということで、しっかり自転車で走る度に体が以前に比べ動くようになってくるのを感じます。
 去年秋は夏場の激務からあんま動けず、1月は扁桃腺が腫れたせいでさらに動かなくなり、運動不足をはっきり自覚するとともに、ガチで疲れやすくなっているのを感じてました。そのためこの春節休暇の間はしっかり運動しようと思っており、昨日に油差したこともあって自転車がめちゃ早く動き、そこそこ楽しく走れてきました。


 それで本題ですが昨日上の記事見てブックマークしておいたので、少しこの話題に触れます。記事にも書かれている通り、中国は結婚した夫婦はどの苗字も名乗れる、つまり相手側の名字でも、元からの名字でも男女それぞれが自由に選ぶことができ、一般的に男女ともに旧姓を名乗り続けることが大半です。なお子供は父親側の姓を名乗ります。
 以前に馬鹿な日本の政治家が夫婦別姓になると家族の紐帯が途切れるなどとほざいていましたが、日本などよりもずっと家族関係が密な中国が夫婦別姓であることを考えると、あまりに妄想に満ちた発言に思えてなりません。その上で私自身は、やはり女性が結婚を機に苗字を変えるとなると、昔ながらいざ知らず現代においては携帯やクレジットカード番号を始め、あらゆる契約で修正が必要となることから、日本も早く選択的夫婦別姓を採用すべき立場を取ります。

 そんな夫婦別姓もさることながら、女性の社会進出という点でも中国は日本より進んでいると感じます。出産などのイベントもあるとはいえ、日本と比べるとベビーシッターの雇用が一般的であり、またシッター代を払ってでも職場に復帰してキャリアを継続することが、企業側にもよしとされる文化があります。
 やや偏見かもしれませんが、日系企業の場合は出産を機に単純労働力の女性を解雇し、もっと若く給与も安くで済む若者を入れようとする傾向があるのではと見ています。職種別採用じゃないことが大きな原因であるとともに、ハナから女性のキャリアアップを考慮していないのではないかとも見ています。

 話を戻すと、実際に大手企業でも女性のマネージャー職は珍しくなく、夫婦においても嫁の側の方が収入がでかいというのもさほど珍しくありません。そのため上の記事でも書かれている通り、農村では未だに男尊女卑の意識が強いものの、大都市部においては女性の方が家庭内でパワーがでかいというのがあんま珍しくないです。そもそも中国の女性は気が強い人のが多いので、なんとなくですがDVも女性が加害者というパターンが多い気すらします。

 それはさておき、あくまで自分が見て来た中で述べると、管理職となる女性は全体として単純に優秀な人が多いです。優秀だからこそ管理職になれると言えば聞こえは早いですが、日本においてはむしろそういうケースはあまり見てこず、社長や役員などとの距離感で管理職になる女性の方が多かったとすら思います。
 では中国は何が違うのかというと、単純に競争原理が強く働いているからだと思います。具体的に仕事でどんな業務ができるのか、どれだけ売上上げているのかがシンプルに評価されるのと、よけにな足の引っ張り合いをしていたら第三者にあっという間に追い抜かれるという空気すらあるだけに、日本と比べると妙な妨害とかせず、自身の給与アップにつながるのであれば貪欲に仕事をするエリート女性が多い気がします。また会社側も、その辺で男性に対する妙なえこひいきとかせず、割と公平な目で見ます。

 そういう意味で上の記事に書いている通り、日本でキャリアアップが閉ざされた女性が中国に来ると、かえって中国の方が働きやすいと感じるというのも道理です。実際に何人かの日本人女性がまさにそのようなことを話しており、女性に限るわけじゃないですが、こと仕事面においては中国の方が日本よりずっと環境がいいと私も思っています。何が環境を良くさせているのかというと、先にも書いた通り競争原理がシンプルに働いているからでしょう。

 逆を言えば、日本は女性の社会進出を応援だとかどうこう言っていますが、ただ単に競争原理を最優先にするだけでこの手の問題はほぼすべて解決されると私は思います。しかしそうした競争原理の導入へ日本企業が踏み込まないのは、やはり一部の身内びいきを温存させたい一心じゃないかとも思います。
 以前にも書きましたが、日本企業の経営者は利益に対して驚くほど貪欲さがないです。増益につながる手段が目の前にあっても、何故か見て見ぬふりするのが本当に自分は不思議です。

2022年2月4日金曜日

ガチですごかった木製爆撃機


 昨日から今日にかけて、デ・ハビランド社がかつて作った二次大戦期の「モスキート」という飛行機のプラモを作っていました。知ってる人には早いですがこの飛行機、当時としても開発時点では「あり得ない」と言われた木製飛行機で、且つある意味で史上初のステルス機です。


 この飛行機の開発経緯についてはウィキペディアなどで詳しいですが、金属などの材料が不足することを念頭に、「じゃあ全部木製で作っちゃえばいいじゃん!」という、如何にもその場のノリを本気で実行に移す英国人的なチャレンジ精神(=無謀)から、デ・ハビランド社で開発がスタートします。ただ企画を持ち込まれた英軍では、当時としても時代遅れと見られていた木製飛行機という構想に興味を示さず、具体的な発注も行わないと拒否しますが、「じゃあ俺たちが勝手にやってやんよ」と、受注の目途すらないのにデ・ハビランド社で開発が続けられます。


 こうして試作機を作り上げたところ、飛行テストで最高速度600㎞/h超という、このサイズ(爆撃機サイズ)の飛行機で当時としてはあり得ない数値を叩き出します。ちなみに最高速度で言えばB29は576㎞/h、零戦は518㎞/hで、単純計算でゼロ戦に対し1.2倍の速度を持っていたことになります。なお最終的にモスキートの最高速度は高高度にて664km/hにも達したそうです。


 一体何故モスキートはこれほど早かったのかというと、木製なため機体重量が極度に軽かったためです。また機体強度に関しても、優れた設計から金属製の飛行機に劣ることはなく、むしろ木製ゆえに敵機から機銃で撃たれて翼に穴が開いても深刻な損傷とならず、そのまま問題なく飛行できたというメリットすらあります。
 もっとも木製ゆえの弱点が全くなかったわけではなく、対日本のアジア戦線では高温多湿の環境から木材が腐食することが多く、ヨーロッパ戦線ほどには活躍できなかったそうです。ひどいのになると、キノコが生えて来たとも言われています。


 こうして戦線に投入されたモスキートでしたが、機体に違わず圧倒的な速度を武器に、爆撃や偵察、果てには夜間戦闘機としてマルチな用途に応用され、各方面で優れた実績を叩き出してきました。また前述の通り耐久性も案外よく、損傷率も他の飛行機に比べて悪くなかったようです。


 またこれは開発者も想定外でしたが、機体が全木製ということもあり、レーダーに映らないという特徴までも備えていました。この特徴は夜間爆撃などで特に力を発揮したとされ、「史上初のステルス機」という見方を持つ人もいます。


 そのほか機体が木製なため、家具工場などでも生産でき、また生産資源的にも木材で行けるという生産効率面においても他の飛行機を凌駕するメリットがありました。一見すると冗談で作られたように見えるものの、大戦期における実績や貢献は半端なく、傑作飛行機としてファンも少なくない機体です。
 そうした背景から自分も前から興味があり、通いのプラモ屋に置いてあったので購入して今回作りましたが、組立は楽しかったもののかなり大変でした。昨日に5時間ぶっとおしで組み立てたものの、室温が10度を切る中で作業したため最後の方は指が震えて組み立て辛かったです。


 また一般の戦闘機とは違い爆撃機に分類される機体であることから、そのサイズのでかさには結構ビビるものがありました。上の写真は同じ縮尺(1/48)で前に作ったコルセアのプラモとの比較ですが、羽の大きさからして全然違うのがよくわかると思います。

コックピットに入るラダーを付けたバージョン

 組立に関してはタミヤ製とあって基本的によくできているものの、主翼と本体は付け根部分に設けられた二つ穴に釘を通すような感じでパーツを入れるとパチッとはまるように設計されているものの、本体と主翼に少しでも狂いがあるとこの穴にパーツが通らなくなっています。私もまさにその通らなかった口で、最終的にはパーツを通すのをあきらめ、主翼と本体は接着剤でくっつけました。

 爆撃機系の機体は一応前にも「Su-34フルバック」を作っているものの、あっちは戦闘機ベースの攻撃機であり、ガチな爆撃機はある意味これが初めてです。はっきり言って置き場所に困るという点があるものの、やっぱそのサイズゆえの迫力というか見栄えは非常に優れており、知り合いからはもう「次はB-52行け」と早速言われました。

2022年2月2日水曜日

救いのない物語は何故面白いのか

 連休三日目ですが先週あたりからやけに寒く、今日にいたっては雨も降り、震えながら過ごしています。室内気温も10度台で動かないし、さすがにこれだと自分もきつい。
 でもって雨で外いけないから自宅でプラモ作ろうとしたところ、中国メーカー(小号手)の古いキットのせいかパーツの整合性が悪く、また組立が異常に面倒くさくて「やってられるか(# ゚Д゚)」と言って投げだしました。ただ自分が創るの下手なだけですが、無駄にストレス溜めるくらいならと思ってもう作るのやめて、別の買い置きしているプラモをまた今度作ろうと思います。

 さて話は本題ですがそんなかんだでプラモ作りを投げ出し、買い置きしていたあるRPGのゲームを遊んでました。このゲーム、非常に救いのない話で、マルチエンドですが基本主人公は一切救われず、ルートによっては物語序盤から一緒についてきたヒロインとも戦う羽目となり、殺害にも至るというショッキングな内容で、徹頭徹尾プレイヤーの心を折りに来ています。
 ただ、そんな内容ながら遊んだ人からの評価は高く、自分も実際にそうした評判を聞いてこのゲームを遊んでみようと思いました。一体何故こんな救いがない内容、鬱度満載な内容ながらそれほど評価が高いのかと言いたいところですが、むしろ話は逆で、救いがなく心を深くえぐるからこそ評価が高いというべきでしょう。

 このゲームに限らず、古来より鬱度の高いシナリオというかストーリーは「悲劇」というジャンルとして成立してきました。シェイクスピアは言うまでもなく、日本国内でも夏目漱石の「こころ」を筆頭に、読後に読者を暗い気分にさせたり落ち込ませたりするような内容であっても名作に数えられる作品は少なくありません。
 映画、ゲームにおいてもこれは同じで、前者であればやはり今でも語り継がれるのブラッド・ピットの出世作の「セブン」で、後者のゲームにおいては、自分は生憎プレイしなかったのですがPS2の「ドラッグ・オン・ドラグーン」に至っては「史上最高の電波ゲー」とまで評されています。詳しくは他のサイトの紹介を見てもらえばいいですが、個人的にビビったのは子供を亡くしたことがきっかけで胎児を食べるようになった女性キャラクターがいるのですが、このキャラを声優として演じていたのは林原めぐみ氏で、当時妊娠中だったと聞いて、「何考えてんだこのゲームのスタッフども(;´・ω・)」と心底思いました。

 実際に私が遊んだ中で有名な鬱ゲーとしてはスーファミの「ライブ・ア・ライブ」なんか有名ですが、このほかこっちのサイトにあるゲームで実際遊んだのになると以下の通りです。

・サイレン
・コープスパーティ
・零~深紅の蝶
・かまいたちの夜2
・ゆめにっき
・勇者30(言及されているステージはクリア方法を変えると感動の嵐になる)
・滅やばたにえん
・夕闇通り探検隊
・ファイナルファンタジーVII
・フロントミッション
・ファイナルファンタジー零式
・青鬼
・サガフロンティア
・serial experiments lain
・ペルソナ2 罪
・ブレスオブファイア4
・ガイア幻想紀
・Linda³
・ドラゴンクエストII 悪霊の神々
・ダブルキャスト
・零
・ダンガンロンパ
・弟切草

 まぁぶっちゃけこれらの作品は有名どころが挙げられているだけで、なんとなくホラーが鬱に分類されているだけと感じる作品が多いです。この中でガチで鬱作品と自分が思えるのは「ブレスオブファイア4」と「Linda³」、「ファイナルファンタジー零式」くらいじゃないかと思います。「コープスパーティ」に至ってはギャグホラーです。
 また「ガイア幻想紀」が挙げられていますが、これより同じ会社の次の作品である「天地創造」の方が結末の鬱度で言えば高い気がします。

 という感じでまた話が脱線してきたので戻すと、端的に言って、こうした救いがない作品というのが何故評価されるのかというと、結局人間というのはどれだけ心が動かされたか、つまりそれまでの既存概念や価値観がひっくり返されたり、疑うきっかけを作らされたりなど、感情がどれだけ揺り動かされたというのがそのまま「面白さ」と感じるのだと思います。文字にするとそのまま「感動」となりますが、感動はストーリーを素晴らしく思うプラス方向だろうと、ストーリーにショックを受けるマイナス方向だろうと、振り幅が大きければ大きいほどその本人の心理に影響を及ぼし、気分的に楽しくなるかどうかは別として「面白さ」として感じられるのだと思います。
 ではその振り幅は何によって決まるのか。やはりその作品に触れた人間の想定を破る、既存の知識や概念にない展開をどれだけ見せるかによって決まると思います。あり得ない逆転劇、想像もしてなかった結末、かつて考えたことすらない悲惨な描写、これらがそのまま作品の面白さに直結するとかねてから考えています。

 その上で、世の中やはりハッピーな方がいいってことで基本的に普通の作品はハッピーエンドで終わることが多いのですが、だからこそ少数派のアンハッピーエンドこそ悲劇が少数派の強みを生かしてかえってその作品に触れたものの心に残りやすくなるという特徴がある気がします。いわば心を充足させる作品が多いだけに、心をえぐる作品がえぐる分量が大きくなっているような感じです。

 私自身、世にハッピーエンド作品が溢れているからこそ、悲劇的な作品に惹かれている自覚があります。まぁそれ以前に、本来の世の中不幸に満ちているからハッピーエンド作品はどことなく嘘くさく感じてしまうというのもありますが。
 ただこの手のアンハッピーエンドを狙った作品においては方向性を勘違いし、ただグロテスクな猟奇的描写を載せるだけの作品も少なくないです。先にも書いた通り、ホラーと鬱はジャンルがやはり別れると私は考えていますが、鬱な作品を狙ってホラーになってしまうパターンがかなり多い気がします。でもってそういう作品はホラーとしては評価できても、「悲劇」としては全く評価できなくなるわけです。

 じゃあ「悲劇」ってなんやねんという風になりますが、ぶっちゃけこれに関しては自分の中でも答えが出ていません。有体に言えば、「裏切り」はホラーでなく確実に悲劇に分類されると考えており、こうした裏切りがテーマな作品はまず悲劇と呼べるのではないかと思います。さっき挙げたゲームの中では「ブレスオフファイア4」なんかまさにそうですし。
 もう一つ確実に悲劇と呼べるテーマとしては、「無意味、無価値」も悲劇だと思います。これも「ブレスオブファイア4」が当てはまり、「天地創造」も若干入るというか、これまで頑張ってきた過程がすべて無価値とされる結末はやはりいろんな人の心を一発で折ってくれる気がします。

 そういう意味では冒頭に上げた「救いのない物語」というのは、後者の「無意味、無価値」がバックボーンとなるからこそ人を惹きつける悲劇となっているのかもしれません。ただキャラクターが死んでいくだけではなく、それまでやってきた努力が否定され、むざむざ死んでいく、消えていくからこそ人の心を揺り動かし、作品としての面白さに繋がってくるのではないかというのが、この記事書きながら考えた結論です。

 普段、こういう記事書くときは自転車乗りながら思考を巡らせますが、この記事はそういう自分にしては珍しく書きながら一から最後まで話を組み立てました。やはりしっかり休養を取った上で、何らかの作品に触れた直後にすぐ書きだすというのは執筆においてはプラスです。

2022年2月1日火曜日

石原慎太郎逝去に対する中国の反応

 今日は運動不足解消のため自転車で50km走ってきましたがその最中、春節の上海の風景観ながら「上海→蒼天の拳→阿弖流為II世」という感じで原哲夫氏の漫画を連想ゲームしていて、阿弖流為II世に出てきた石原慎太郎モデルのキャラはよく似てた、っていうか似せ過ぎだったなどと思いながら休憩に寄ったコンビニでニュース見たら逝去報道出ててあら偶然みたいに思いました。
 ちなみにこの漫画の石原慎太郎モデルのキャラはWikipediaだと、

「東京都知事。独自の情報ルートで田村麻呂が異星人である事実を掴み、未納分の税金を取り立てるべく自ら装甲車に乗り込み、銀座の町に出動するが、毛利総理の放った刺客によって銃弾を撃ち込まれ死亡した。」

 と紹介されています。

 わざわざ書かなくてもいいかなとは思いますが折角なので日記風に残すため、この報道に対する中国の反応を少し見てみました。っていうか中国の記者も、初一(=元旦)からこんな風に速報書く羽目になってちょっと同情する。

 まず反応としては明らかに多く、速報ベースで日本側の報道を紹介する記事がすでに大量に出ています。記事コメントもそこそこついているものもみられますが、恐らく若い世代なのか「誰?」というコメントもみられ、この辺は時代経ってるしなという気がします。
 速報の内容としては経歴紹介とともに「尖閣諸島問題で日中関係を悪化させた」、「右翼論客」などと書かれていることが多く、中国絡みの報道としてはなくてはならない部分でしょう。

 見方を変えると、逆にこれほど速報が出るほど中国人にとっても著名な日本人であったということの証左と言えるでしょう。実際、日本人としては蒼井空に並ぶくらいの知名度を石原慎太郎は持っていたと自分は思います。比較対象がなんですが。
 ただ表舞台から引いてもはや何年も経っていることもあり、かつては蛇蝎の如く嫌っていた中国人の間でも、今回の報道を見てその存在を思い出した人が多いのではないかと思います。その上で、彼に代わる「右翼論客」的な著名な人物が日本人からその後現れてもいないようにも思います。これは親中派が増えたというよりも、排他的な外交思想、というより反米思想の持主がかつてと比べ全くでなくなったことが影響していると推察します。

 いろいろ言われますが、私個人は石原慎太郎は反中思想というより反米思想が先立っており、その延長線で中国を批判していただけだとみています。彼にとっては中国どうこう以上に日本の米国からの完全独立が優先すべき目標であり、その方針に基づく価値観から中国も嫌いになっていっただけだと思います。
 やはりこの辺の反米か親米かは戦前生まれと戦後生まれで全く価値観の変わる部分であり、時代が下るにつれて戦前生まれの反米思想の持主も漸減傾向にあるでしょう。というよりここ数年、明確な反米思想に基づく政治的発言を私自身全く聞かず、「反米」という単語自体が死語になってきた感すらあります。

 そういう意味では実際に政治的影響力を有した反米思想の持主としては、石原慎太郎がほぼ最後の人物となる可能性があります。かつて日本の外交議論は反米か親米かの二種類しかないと言われましたが、現代においてはこれが反中か親中に置き換わってきており、昭和の価値観じゃもはややってけないというのが書いてて思ったことです。

2022年1月31日月曜日

ある中国人少女の「中華一番!」に対する誤解

 仕事柄、中国人同僚と接する機会も多いのですが、地味にそうした同僚との会話でさりげなく最近の中国人の関心事を探ったり、それとなく質問して記事の取材として使うことが多いです。ちなみに以前、自分の記事をある同僚に見せたところ、「この記事で挙げてるアイドルって私が教えた奴じゃん!」とツッコミ入れられました。実際、「最近、中国ではどんなアイドル流行ってんの?」とさりげなく聞くスタイルで取材してました。

 そのように懇意にしていて取材によく使う中国人同僚女性の一人と、この前食事に行く機会がありました。この女性は日本での留学時によく岐阜県を訪れていたので岐阜にいくらか土地勘のある自分とも話が合うのと、単純に賢くてやや難しめな経済論の話題もきちんと応答できるためいろいろメシ食わせてよく話を聞くのですが、ある時に「子供の頃に、一番好きなアニメがあった(´・ω・`)」とやおら話を振ってきました。
 話を聞くと、中国が舞台で、登場人物もみんな中国人の料理アニメで、その子が子供のころ放映されていたという材料から、「それはきっと『中華一番!』(チョンファーイーファン)だな」と見事当てて見せてやりました。実はこのアニメ、自分も少し気になるところがあって、以前にも別の中国人に話題を振っていた作品でもありました。

 日本の漫画やアニメ作品ではラーメンマンを筆頭に、中国系なキャラクターが結構よく登場します。モデルパターンとしてはまさにラーメンマンのようなカンフーの使い手が多く、「バキ」シリーズに出てくる烈海王など明確に強キャラ扱いされ、人気のあるキャラも少なくありません。
 こうした中国系キャラについて中国人はどう思うのかが実は前から気になっており、日本のアニメに出てくる中国人キャラをどう思うか一時期は手あたり次第聞いていました。ただ反応は芳しくなく、そこまでアニメを見ていなかったり、または見ていても中国人キャラが出てこない作品だったりしてあんまこれという感想は聞かれませんでした。

 唯一、「聖闘士星矢」の紫龍というキャラはある程度通りがいいのですが、知り合い「別に好きじゃないし人気ない(`・ω・´)」という返事がきました。まぁ実際、日本でもあんま人気がなく、戦闘の度にクロス脱ぐから露出狂とか言われているけど。

 話を戻すとその同僚は子供の頃に中華一番!が大好きだったらしく、何度もビデオとかで見返していたそうです。この作品は2019年、2021年にリブートみたいな感じで「真・中華一番!」というタイトルにてアニメがまた作られていたので、「そんなに子供のころ好きだったのならこっちの最新版も観てるの?観てないならおすすめ」的に話したら、「実は……」と言いながら、顔をうつ向かせてきました。そして、

「実は……『中華一番!』はこれまでずっと中国のアニメ作品だと勘違いしていて、日本の漫画が原作だとは子供の頃は全く知りませんでした。そのリブートがされた二年くらい前に、初めて日本の作品だと知りました。」

 という、さほど衝撃でもない告白をしてきました。

 ぶっちゃけ、この同僚の言い分も全く分からないでもありません。登場人物はみんな中国人で日本人は出てこないし、舞台も中国で普通に中国の地名がバンバン出てきます。でもって料理もうどんやそばなんて出てこずすべて中華料理で、同僚も実際試しに作中に出てくる料理を作ったそうですがまずかったそうです。

 もちろん本人に悪気はなく、ガチで中国産アニメと誤解していただけなのですが、逆を言えばそれだけ原作が中国人が見ても日本の作品だとはわからないほど中国らしさを表現できていたと言えるでしょう。ただなんていうか、結構破天荒な展開も多いだけに、中国人に誤解されていたという点でなんかいろいろ笑えて来ます。

 なお帰り際に同僚には、「自分が一番覚えているのは『黄金饅頭』だ」と言いましたが、この料理を同僚は覚えていませんでした。残念(´・ω・)

漫画レビュー「僕が私になるために」

 最近、ウクライナがよく話題になるためウクライナの歴史をまた勉強しなおそうとホロドモール(「ホモドロール」と一回打ち間違えた)を調べていたところ、Wikipediaのホロドモールが出てくる作品に「白百合は朱に染まらない」というのがあり、試しにこの漫画のAmazon紹介ページを見てみました。
 この「白百合は朱に染まらない」は旧ソ連の女性パイロットを扱った漫画とのことで、「平沢ゆうな」という作家が描いているとのことでした。ついでにこの作者の過去の作品とか見ようとAmazon紹介ページを見てみたところかわいらしい自画像が描かれてあり、「おいおい、こんな子が独ソ戦まともにかけるとでも?」などと無駄に舐めたこと思いつつ、ついでに作者のWikipediaページを見ました。するとそこには、

「メンサ会員、物理学修士」

 と書かれてあり、この時点で「えっ、何この人!?ってかなんで漫画家してんの?」とびっくりしましたがさらにその先には「性転換手術を受け、男性から女性に性別を変更」とも書かれてあって、なんなのこの人を通り越して「なにこれめちゃ面白そうな経歴(;´・ω・)」という感想を持ちました。でもって買って読んだのがこの「僕が私になるために」です。

 この漫画はタイトルの如く、作者が性転換手術を経て、法手続きを行って男性から女性へと性別を変えるまでのいきさつをまとめたかなりマジな漫画です。絵柄こそ少女漫画を意識したような少年漫画風に描かれていますが内容はかなり壮絶で、男性だった頃の性同一性障害による自らの身体への悩み、また家族の反応への恐怖などが書かれてあります。
 なお家族に関しては兄妹は非常に応援してくれて、この点で非常に恵まれていたと書かれています。

 その後日本での診断や紆余曲折を経てタイで性転換手術を受けることとなるのですが、なんでもこれが初の海外渡航だったらしく、いろいろタイ、っていうか東南アジアの無茶ぶりに驚く様が描かれています。ただそれ以上に、性転換手術について非常に詳細に書いており、個人的には切り取った男性器の幻肢痛(ファントム・ペイン)に悩まされたという過程は、読んでてマジで鳥肌立ちました。
 っていうかこの世にそんな恐ろしい痛みがあるのかとガチ恐怖し、読んだ後に自転車乗って帰る際、なんか運転がおぼつきませんでした。

 そんな激しい痛みを乗り越えて術後期間を経て日本に帰り、裁判所で戸籍などの性別変更手続きはどうやるのかなども詳細に描かれています。読んでて感じたこととして、単純にやっぱ賢い人だという印象を受けるというか、非常に読みやすく内容が頭に入ってきやすく描かれています。
 なお裁判所で女性の裁判官に、「あらあなた私よりかわいいわね」と言われたこと書いてましたが、「自慢か?」とちょっぴり思いました。ちなみに本人の現在の姿はネットで確認できますが、一見して本当に女性にしか見えません。

 あと末尾部分で、女性となった後の感想として本当に男性の頃と比べ力がなくなったとも書かれてました。それまでは女性が重たいものを持ちたがらないのことをやや特権的に言っていると感じていたものの、実際に女性になって体力がなくなり、世の中の女性に対して謝りたくなったことが書かれています。この点についてはすごい説得力あるというか、ちょっと自分もレディーファーストを考え直そうと感じました。

 こんな感じで、多分男性にすれば読んでて痛いイメージがかなり激しくする内容ですが、文字通り普通の作家なら体験し得ない体験をかなり詳細に描いており、実際のトランスジェンダーはこのような過程を経るのかというのを見る上ではよくできた漫画だと感じました。っていうかこの経歴だけでもこの人は他の漫画家と一線を画す。
 ちょっと毛色の変わった漫画ですが、逆にこの経歴と先に書いたわかりやすい構図などから将来化けるかもなという印象を覚えたので紹介することにしました。いやはや世の中広いもんだなという気がいします。