昨日から今日にかけて、デ・ハビランド社がかつて作った二次大戦期の「モスキート」という飛行機のプラモを作っていました。知ってる人には早いですがこの飛行機、当時としても開発時点では「あり得ない」と言われた木製飛行機で、且つある意味で史上初のステルス機です。
この飛行機の開発経緯についてはウィキペディアなどで詳しいですが、金属などの材料が不足することを念頭に、「じゃあ全部木製で作っちゃえばいいじゃん!」という、如何にもその場のノリを本気で実行に移す英国人的なチャレンジ精神(=無謀)から、デ・ハビランド社で開発がスタートします。ただ企画を持ち込まれた英軍では、当時としても時代遅れと見られていた木製飛行機という構想に興味を示さず、具体的な発注も行わないと拒否しますが、「じゃあ俺たちが勝手にやってやんよ」と、受注の目途すらないのにデ・ハビランド社で開発が続けられます。
こうして試作機を作り上げたところ、飛行テストで最高速度600㎞/h超という、このサイズ(爆撃機サイズ)の飛行機で当時としてはあり得ない数値を叩き出します。ちなみに最高速度で言えばB29は576㎞/h、零戦は518㎞/hで、単純計算でゼロ戦に対し1.2倍の速度を持っていたことになります。なお最終的にモスキートの最高速度は高高度にて664km/hにも達したそうです。
一体何故モスキートはこれほど早かったのかというと、木製なため機体重量が極度に軽かったためです。また機体強度に関しても、優れた設計から金属製の飛行機に劣ることはなく、むしろ木製ゆえに敵機から機銃で撃たれて翼に穴が開いても深刻な損傷とならず、そのまま問題なく飛行できたというメリットすらあります。
もっとも木製ゆえの弱点が全くなかったわけではなく、対日本のアジア戦線では高温多湿の環境から木材が腐食することが多く、ヨーロッパ戦線ほどには活躍できなかったそうです。ひどいのになると、キノコが生えて来たとも言われています。
こうして戦線に投入されたモスキートでしたが、機体に違わず圧倒的な速度を武器に、爆撃や偵察、果てには夜間戦闘機としてマルチな用途に応用され、各方面で優れた実績を叩き出してきました。また前述の通り耐久性も案外よく、損傷率も他の飛行機に比べて悪くなかったようです。
またこれは開発者も想定外でしたが、機体が全木製ということもあり、レーダーに映らないという特徴までも備えていました。この特徴は夜間爆撃などで特に力を発揮したとされ、「史上初のステルス機」という見方を持つ人もいます。
そのほか機体が木製なため、家具工場などでも生産でき、また生産資源的にも木材で行けるという生産効率面においても他の飛行機を凌駕するメリットがありました。一見すると冗談で作られたように見えるものの、大戦期における実績や貢献は半端なく、傑作飛行機としてファンも少なくない機体です。
そうした背景から自分も前から興味があり、通いのプラモ屋に置いてあったので購入して今回作りましたが、組立は楽しかったもののかなり大変でした。昨日に5時間ぶっとおしで組み立てたものの、室温が10度を切る中で作業したため最後の方は指が震えて組み立て辛かったです。
また一般の戦闘機とは違い爆撃機に分類される機体であることから、そのサイズのでかさには結構ビビるものがありました。上の写真は同じ縮尺(1/48)で前に作ったコルセアのプラモとの比較ですが、羽の大きさからして全然違うのがよくわかると思います。
コックピットに入るラダーを付けたバージョン
組立に関してはタミヤ製とあって基本的によくできているものの、主翼と本体は付け根部分に設けられた二つ穴に釘を通すような感じでパーツを入れるとパチッとはまるように設計されているものの、本体と主翼に少しでも狂いがあるとこの穴にパーツが通らなくなっています。私もまさにその通らなかった口で、最終的にはパーツを通すのをあきらめ、主翼と本体は接着剤でくっつけました。
爆撃機系の機体は一応前にも「Su-34フルバック」を作っているものの、あっちは戦闘機ベースの攻撃機であり、ガチな爆撃機はある意味これが初めてです。はっきり言って置き場所に困るという点があるものの、やっぱそのサイズゆえの迫力というか見栄えは非常に優れており、知り合いからはもう「次はB-52行け」と早速言われました。
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