ページ

2023年8月24日木曜日

プリプリプリコジン

 自分でもくだらないってことは十分わかってるけど、今日を逃したらもう一生この言葉は使えないと思ったのでこの見出しにしました。後悔はありません。

 さてそんなロシアのPMOのワグネル創設者でありリーダーであったプリコジンが今日、プリ故人になったというニュースが入ってきました。
 結論から言うとあのプーチンに対する反乱からよく2ヶ月も無事でいたなと思うと同時に、この2ヶ月の猶予期間中に何故身の安全を図らなかったのが逆に不思議です。プーチンがあのまま許すはずなど考えられず、まだ手出ししてこない間位にイスラエルやサウジなどロシアが手を出しづらい中東諸国にでも亡命しておけばよかったというのに、呑気にロシアとベラルーシの間をいつまでもうろうろしていた辺り、この暗殺は当然の帰結でしょう。あまりの迂闊さから、同情心は全く覚えません。

 それよりもウクライナ戦争に関しては、ちょっと気になるニュースが入っています。それは何かというとF-16の供与ではなく、あのグリペンの供与です。
 グリペンとはスウェーデンのサーブが作っている小型戦闘機で、現代の偵察、空戦、地上空爆のあらゆる作戦をこなすマルチロール機の走りともいうべき戦闘機で、米露以外の戦闘機としてはフランスのラファール(この前日本に来た)と並び世界各国で比較的セールスに成功した傑作機です。

 このグリペンについてスウェーデンがウクライナに供与する、とはっきり言わないものの、ウクライナ人パイロットの訓練を進めていることを明かしました。実質的に供与することはもはや決定的なのですが、一部の専門家も言っていましたがF-16以上にこのグリペンの方が今のウクライナにとっては有用な戦闘機となり得るのではないかと密かに思っています。
 その理由というのも、グリペンはF-16と比べると操作系がウクライナがこれまで使ってきたミグ29などに近いほか、メンテナンスが圧倒的に簡潔で、1回出撃してから再び出撃するまでほかの戦闘機だと数時間は必要だというのに、グリペンだと数十分ですぐ再出撃できます。また一般高速道路からも離発着できるほど利便性が高く、ロシアから度々飛来するドローンやミサイルにいちいち迎撃せざるを得ない状況を見ると、こちらのグリペンの方が今役に立つように思えます。

 そのグリペンは確か数年前に大幅改修が行われ、電子システムなどが一気に更新されたと言われています。スウェーデンとしてもこのウクライナ戦争でグリペンが活躍すれば更なるセールスにつながる可能性があるだけに、多少の費用が嵩むとしてもウクライナに供与する価値はあるでしょう。

 その上で、このウクライナ戦争は恐らく誰もが今年秋までにウクライナ軍がクリミアまで進出してロシアを追い出して終戦することを願っているでしょうが、現実にはその公算は難しくなってきています。恐らく来年も戦争は続き、ロシアも持久戦によって兵数や物資で劣るウクライナが音を上げるのを待っているようにも見えます。
 しかしこの戦争でウクライナが中途半端な妥協に至ったり敗戦することは、日本のみならず世界にとっても悪影響を及ぼします。そうならないためにも、これまで通り、否これまで以上に世界はウクライナを支援する必要があると感じます。

2023年8月23日水曜日

原発処理水反応に見る中国外交の拙さ

 恐らく今は甲子園に次いで原発処理水の海洋放出が騒がれているトピックでしょうが、中国では先週あたりはいったんトーンダウンしたのに、今週に入ってからまた激しく報じられるようになりました。ただ中国における国際報道は基本的にお上が決めるので、中国人の関心が高いというよりかは中国政府が「騒げ、宴だ!」的に指図しているので、民意かというとそうでもありません。
 もっとも中国人がこのニュースに全く関心がないというわけでもないでしょう。このところまた忙しくて周りの中国人に話を聞いていませんが、やはりできることなら海に流してもらいたくないでしょうし、日本産の魚介類を食べることに抵抗を感じる人は少なくないと思います。そこへきて官製報道で大きく取り上げられれば、嫌が応にも不安は高まるでしょう。

 ただあくまで私個人の感想で述べると、恐らく2ヶ月も立たずにこのニュースに対し中国人は関心をなくすと思います。

 こう考える理由はいくつかあり、まず既に中国は日本産魚介類に対して検査を強化して事実上通関を止めており、市場で日本産魚介類を食べる機会がかなり減ってきてるからです。直接目の前で並べられるならともかく、そうでもなければそこまで気にし続けられるとは思えません。
 むしろ、今思いついたけど中国近海にも放射能が流れてくると盛んに煽っているから、中国近海で獲れる魚介類の方に風評被害きて、中国の漁師が困る事態になるような気がします。っていうか多分そうなるだろうし、不安払拭するためにモニタリングしたら日本以上にトリチウム含有量多いのがばれたりして延焼させるかもなぁ。

 関心が長く続かないもう一つの理由として、今中国の経済がマジでやばい状態でリストラも普通にありふれていることから、経済懸念が強すぎて国際問題に気が回らないという予想です。そして最後に、今回中国が大きく煽り過ぎているからこそ、かえって長く続かないという見方です。

 人間というのは感情を出すのにもエネルギーを使うもんで、激しく激怒し続けるというのは案外難しかったりします。国際問題とかでもそうで、短期間にワーッと騒ぎ立てられるものほど翌年にはきれいさっぱり忘れられるのに対し、ちょっとした事の積み重ねによる不信感の増大なんかは逆にその後も長く覚えられる傾向があるように思えます。
 今回の原発処理水に関しては、放出後に健康被害が目に見える形ではっきり出る人が続出すれば話は別ですが、報告されているデータが真実だとしたら逆に体調悪くする方が難しい水準です。放出後も日本人が国産の魚介類をおいしそうに食べていて健康でい続ければ、「なんでこんなことにいつまでも騒いでいるんだろう?」と逆に自問するようになるでしょうし、何か月、何年にもわたって「日本の魚介類はやばい」と騒ぎ続けようにも、多分そこまで気力も持たなくなってくるでしょう。そこらへん含めて、騒げるのはもって2ヶ月じゃないかと考えています。

 以上が中国世論に対する私の個人的見解ですが、今回の中国の反応としてはむしろ、中国外交の拙さというか手数のなさの方が気になります。今回何故中国がこれほど大きく騒いでいるのかというと、一にも二にも日本が米国などと組んで行う中国に対する半導体規制に腹立ってて、その意趣返しとして嫌がらせをしたいということに尽きます。口では中国人の健康のため放出に反対だと言っていますが、この国の政府が国民の健康を考慮するなぞアヘン戦争以前からしてまずありえません

 中国としては日本の半導体規制参加はマジで頭の痛い問題らしく、だからこそやたらと「米国の手先め、恥ずかしくないのか!」などと盛んに非難してきて、今回の原発処理水問題で騒ぐのも、あわよくば半導体規制からの離脱を日本に促したいという狙いもあるように見えます。
 ただ仮にそうだとすると少し奇妙な点として、半導体の問題で何故水産物に話を広げるのかということになります。敢えて邪推すると、半導体規制に対抗する材料が中国にはほかにないという外交における手数のなさが今回の問題で透け出ているのではないかと思います。

 一応、今月から半導体材料のガリウムとゲルマニウムの輸出規制を中国は開始していますが、それ以外には半導体問題で目立つアクションはありません。まだ隠し持っているのかもしれませんが、かつてのレアアース規制と比べるとずいぶんと大人しいなという印象を覚えます。
 むしろ過去のレアアース規制で、日本を含む世界各国でレアアース代替が一気に進み、中国はそれ以前に持っていたレアアース市場を一気に失って未だ挽回できていないという痛い経験もあるだけに、あの時と比べると今の中国の貿易紛争における態度は大人しいもいいところです。今回の日本の魚介類を狙った世論誘導を見ていると、マジでほかに手がないのではないかと思うくらいで、仮にこれから日本や米国が半導体規制をどんどん強化していっても、何ら対抗策が打てないかもしれません。

 それにしてもこの原発処理水問題、時間をかければかけるほど中国にとっては不利になる外交問題だと私は思うし、反対するならデータをきちんと示して代案出せばいいのですが、それすらできないあたり中国外交は合理性と自己利益の追求を失ってきているようにも見えます。以前と比べていてもこのところの外交の拙さは目に余るほどであり、また経済絶好調時代も東南アジアを筆頭に上から目線の外交を繰り返して恨み買ってるから、これから景気が下振れしていってもマジで誰も助けてくれない気がします。

2023年8月20日日曜日

ビッグモーター元社員は雇う価値があるか?

 「もしかしたらあるのかな?」と思ってネットで検索したら宦官のBL漫画が存在することがわかりました。このことを知り合いの中国人OLに話したら「中国なら小説だってあるよ(*^▽^*)」と返事され、さすが本場だと思いました。
 っていうか確認するつもりはないけど、宦官なのにどうやってするんだろう?

 話は本題ですが今も新たな情報が出続けているビッグモーターですが、正直ヤクザでもここまで阿漕な商売やるのかって疑問です。ネットで誰か言ってたけど、街路樹切断を鬼滅の刃にかけて「木殺隊」などと呼んでましたが、ほぼ全店舗でやってれば仮に本社指示がなかったとしても経営陣は監督責任を十分問えるでしょう。
 っていうか、この事件で未だ逮捕者が一人も出ていないという点がそもそもおかしいです。仮にヤクザがこういう行為を行っていたら問答無用で逮捕されるだろうことを考えると、ヤクザ差別もいいところでしょう。でもってこの逮捕者に関しては、冷たい言い方かもしれませんが本社指示に従って保険金不正を直接行った従業員も対象とすべきだと私は考えます。

 前述の通り、故意に顧客の商品を壊したり、保険金を不正に搾取するなどといった行為は明確な犯罪です。近畿日本ツーリストの社員が国庫補助金を搾取してこの前捕まりましたが、規模、搾取元の違いこそあれやってることはそんなに変りないと思えるのに、何故かいまだに逮捕者が出ていません。検察が証拠集めを準備しているならまだ理解できますが、100人くらい一斉に逮捕したってもこの事件に関しては全く問題ないでしょう。
 そうはいっても本社のノルマ矯正などでやむなく犯罪に手を染めた現場従業員は可哀そうだという意見もあるかもしれませんが、極端な比喩を用いれば、「命令されたら不要な殺人にも手を染めるのか?」といったところです。ビッグモーターで行われた行為は小学生ですら明らかに犯罪だとわかる行為で、指示命令されたからと言ってそうした行為に手を染めておいて「自分は無罪だ」とほざく人間がまともだとは私は思いません。悪いことだと思わなかったとも言い訳するかもしれませんが、悪いことかどうかすらわからない人間(小学生レベル)だと自分で言っているようなもので、そんな人間を社会に野放しにしていいかと言ったらそうではないと私は思います。

 その上で、買収による救済などはあり得るものの、今後ビッグモーターは破綻することは間違いありません。その破綻時、または現在進行形で離職している従業員をほかの企業が野党価値はあるのかと言ったら、上記理由から私は全くその価値はないと思います。少なくとも騒動が表面化してから離職した人間に関しては全く救う価値がない、はっきり言えば人間だとすら思えません。

 前述の通り、ビッグモーターで行われた行為は小学生でもわかるレベルの犯罪行為です。そうした行為を上が命令した、周りがやっているからという判断理由で実行数らたり、まともな思考判断能力を持っている人間ではないと断言できます。未成年ならまだしも、そのような言われたとおりに犯罪行為すら行うロボットっぽい人間が業務で役に立つかと言ったら、多分物の役に立たないでしょう。まぁ鉄砲玉みたく犯罪のお先棒を担がせる程度ならいけるかもしれませんが。
 その上で実際どうなるかは今後の捜査にも寄りますが、ぶっちゃけビッグモーター従業員はこれまた前述の通り逮捕処分される可能性が全くないとは言い切れません。退職後とはいえ勤務中に行った行為で今後訴追されるリスクがあるように見えるだけに、雇用主の立場で見ればリスクの高い求職者にしか見せません。

 もっとも違法行為を強制指示された際に将来を見越して、強制の証拠を何らかの形で残していた人間であれば話は別かなという気がします。逮捕リスクが劇的に低くなるのに加え、その抜け目なさは業務で役に立つ素養を示しているように思えます。

 何もビッグモーターの社員に限るわけじゃないですが、日本人は自律性、自我があまりにも低すぎることから、本人の素養以上に所属した組織によって犯罪に手を染めるかどうかが左右されすぎる気がします。こういった周りに流されてはならないと戦後に口を酸っぱく散々反省すべきと言われたのに、未だ日本人は自らを律することのできない人間が多すぎると言わざるを得ません。
 どことなく、「上が命令してきただけだから自分は悪くない」という考えを免罪符にしているようにも見えるだけに、将来の禍根を絶つためにも、ビッグモーター従業員に関しては退職済みの人も含めその行為に対ししっかり罪を問うべきだと考えます。

 今日家から一歩も出ずにゲームして、昼寝したからなんか文章のノリがいい。やっぱ普段働き過ぎてるんだろうな(ヽ''ω`)

2023年8月19日土曜日

買いたいものがほぼなくなってきている中国人

 このところ中国経済の批判ばかり繰り返していますが、ちょっと重ね過ぎだと思うものの日本の失われた十年にやはり状況が酷似している気がします。特にほかの誰も言っていない点として、もはや今の中国人に借金してでも買いたいものがほぼないという点です。

 日本は失われた10年こと1990年代、幾度も消費刺激策と言っては公共工事などでお金をばらまいたものの、そのお金は大半が預貯金に積み上がり、銀行も預かったお金を振り向ける投資先もなかったことから(郵貯についてはやや別腹)、市場にお金がだぶついて不況に拍車をかける結果となりました。
 この時何故日本人はお金を使わなかったのか。結論から言えば、将来への不安ももちろん大きいですが、物に溢れて既に新たに買いたいものなぞなかったためという見方もあり、自分もこの説を支持します。

 具体的には冷蔵庫や掃除機などの家電はほぼ全世帯フル装備となっており、テレビに関しても液晶テレビが出るまではブラウン管の技術革新は弱く、特に大型ブラウン管テレビに至っては重量も増すため明確なデメリットも存在しました。やはり消費というのは新規商品が出ないと動かないもので、MDプレイヤーやデジカメ、あとインターネット開始とともにパソコンなんかは90年代においても消費が非常に活況を呈していました。

 ここで目線を中国に向けると、中国も00年代ならともかく現在の20年代においては、日本同様に生活家電はほぼフル装備状態であり、冷房のない家の方がもはや珍しい状態です。また冷房がある家でも2台、3台あっても珍しくなく、購入があっても買い替え需要くらいしかなくなっています。
 一応、車に関しては今でも書いたがる中国人もいますが、やはりそれも以前と比べると購入意欲は明らかに落ちてきている気がします。若者世代などはそこまで車を欲しがってもおらず、今後雇用状況が悪化するにつれこうした見方はより広がることでしょう。

 女性に関して言えば、化粧品やバッグなどの高級品に対する需要はまだ強いものの、家族単位で欲しがられるものとくればほぼ全くなくなっており、敢えて言えば住宅需要はなんだかんだ言いつつ根強いものの、例の住宅市況不安から「今買うべきなのか?むしろこれから下がるんじゃないの?」という意識が広がっており、買い控えがますます広がるでしょう。
 また旅行こと観光需要はなくはないですが、それでも10年前と比べるとかなり落ちてきている気がします。10年前はそれこそ初めて海外旅行に行く人ばかりでしたが、現代では海外旅行経験はそれほど珍しくなく、日本人よりはまだ意欲はあるものの、海外旅行のためにお金をためてバーっと使う感覚はもはやないと思います。

 もっとも、団体旅行が解禁された日本旅行に関しては、これまで行けなかった思いもあってかつてほどではないものの日本国内での爆買いは一定程度起こると自分は予想します。というのも、「花園さんはいつ日本に行くの?(^ω^)」と、同僚の中国人女性からお土産を期待する打診を既に結構受けているからです。中国でも同じもの買えるらしいですが、日本の方が安いので日本で買ってきてほしいとのことです。

 以上のような感じで、もはや中国人もお金があっても使う先がない状態になりつつあることから、中国政府が行おうとしている消費拡大政策は、農村などの貧困地域を除けばそこまで大きな効果を生まない、特に富裕層ほどその傾向が激しくなるとみています。
 それでも敢えて逆転打を打とうというのなら、数年前に禁止した予備校ビジネスを再び認めることです。教育費というのはある意味、消費の果てがないというか、使おうと思えばいくらでも使えるけど必ずしも使った分だけ効果があるわけではなく、とは言いながらも使わざるを得ない分野です。お金が余っている層ほど子供の教育に無限にお金を使う可能性があるだけに、教育ビジネスを復活させることで就職先のない大学生の雇用も確保できるし、終わりなき消費分野も作れるわけなだけに、自分だったら「お金は子供の将来に使おう!(*^▽^*)」などと、一度業界潰しておきながらどの口が言うんだというような音頭で業界振興をします。

 最後に、自分もあんまり買いたいものがないというか物欲がないので、割とお金はたまる一方です。これはこれで経済にも悪いしということで、以前と比べるとなんか靴とか鞄でやたら高いものを買うことが増えました。まぁゲームやプラモにお金を使い続けるのに比べたら、こっちの消費の方がまだ有意義かと思います。

2023年8月17日木曜日

大体「太閤記」が悪い

 先週、というより6月から続く激務ゆえか、なんか最近左手がキーボード叩いているときに固まるような感覚を覚えるようになりました。試しに手を広げたりしてみたら左腕全体痛くなったりして、多分、酷使し過ぎて神経痛んできたんだと思います。
 なお自分だけかもしれませんが、手、特に指の神経は視神経と物凄い関連が深いように思えます。指を伸ばしたり手のひらを広げる運動をすると、途端に目がしばしばするようになりそのまま涙があふれてくることもあります。でもってその後、やたら視界がよくなるというか見えやすくもなってきます。若干思い当たる人なんかは、胸の前で合掌して、そのまま合掌した手を合わせたまま腹のあたりまで下げてみるのを試してみるといいです。

 あとストレスたまっているせいか、今日会社でスマホ弄ってまた戦車注文しました。なんか午後の紅茶を午前に飲むかのような悪いことをやっちまった気がします。

 話は本題ですが、時期にして2000年代前半に入ったあたりからこれまで定説というか常識扱いされてきた戦国時代のエピソードが、否定されるケースが増えてきました。その代表格は信長関連のエピソードで、「桶狭間の戦いは奇襲ではなかった」、「長篠の鉄砲三段撃ちはなかった」など、これまでこうしたエピソードをもとに作られた小説とかドラマをどうしてくれんだよ的なくらいにひっくり変わる新説がどんどん出てきました。
 でもってこうした新説は徐々に勢いを持って行ったというか、従来の説は信憑性が低いという見解が広まり、2020年を越した現在においてはもはやほぼ否定されつつあります。

 ではそもそも何故、三段撃ちをはじめとしたエピソードは信憑性が低いにもかかわらず、日本人の常識と化すまで普及していったのか。結論から言えば、小瀬甫庵が書いた「太閤記」が大体の原因です。

太閤記(Wikipedia)

 太閤記という本はいくつかありますが、もっとも代表的なのは江戸時代に儒学者であった小瀬甫庵が本とされています。この太閤記が、戦国時代をある意味で講談のパラダイスと化させ、フィクションまみれにした張本人、っていうか張本本と言っていいでしょう。

 作者の小瀬甫庵は1564年生まれの元医者で、秀吉の甥である豊臣秀次らに仕えたとされます。その後、紆余曲折合って晩年は加賀前田藩に仕え、大坂の陣も過ぎた江戸時代に初期に太閤記を執筆したとされていますが、この本の中に前述の桶狭間や長篠のいかにも小説っぽいエピソードが入っている、っていうか、この本以前にそうしたエピソードは誰も書物に記録していませんでした。それどころか書かれてある事件の日時もいい加減で、話の都合で発生の前後すらも入れ替えたりするほどのファンタジスタぶりを見せています。

 以上のような怪しさプンプンな点は明治や大正期の歴史家も認識していたそうですが、それでもこの本に書かれた如何にも小説っぽいエピソードは否定されることなくそのまま浸透し続けました。これは何故かというと、この太閤記は発刊当時に活版印刷によって世の中に大いに流通したというのが原因として何よりも大きいです。
 ほかのまっとうな歴史書と比べると、講談本としてながら大衆の目に触れる歴史本であり、尚且つ演劇などにも取り入れられたもんだから嘘から出た誠とばかりに、そのままフィクションの内容が史実であると思い込まれた模様です。

 確かに、発刊当時においても「嘘くせー( ゚д゚)、ペッ」と批判する人もいたし、近現代においても信憑性に異議を呈す学者もいましたが、やはり大衆にエピソードなどが浸透してしまうとなかなか「ヾ(*´∀`)ノ゙ うそです」なんて言いづらい雰囲気もあり、最終的にきちんと否定されるまで約300年かかったということとなります。
 ただ歴史に対する実証的な研究がこの20年の間でも強まっており、そうした現場の奮闘もあってか内容が否定され始めた20年くらい前以降、この「太閤記」という書名を世の中で見ることはほぼ全くなくなりました。逆に信長の事績に関する評論などでは「信長記」の引用が増え、もはやこちらが太閤記のお株を奪位のスタンダートと化しています。

 以上のように大衆に普及し過ぎたフィクションがリアルになるという過程は、現代においてもままあります。代表格は言うまでもないでしょうが幕末の坂本龍馬で、彼に関しても近年、数多くあるエピソードが年々否定され、どっかの教科書会社に至っては彼の名前を教科書から外したとも聞きます。薩長同盟も坂本龍馬の仲立ち以前に既に密約として成立していたとか、船中八策も龍馬が考えたものじゃないなど、いろいろと新説が出てきています。

 このほかだと東条英機や山本五十六に関しても虚実織り交ぜた見方が一時広がっていましたが、近年、特に山本五十六に関しては一発屋であったなど評価が急落しつつあります。あとネットで見ると壊血病の一件だけでやたら森鴎外を貶める記述をこのところよく見るようになり、なんか評価が落ちつつあるような気がします。

 こういうのを見ると、ふとしたことをきっかけに歴史というのは誤った見方が広がるものだなという気がします。逆に地上の星じゃないですが地味ながら立派なことを成した人がなかなかスポット当たらなかったりもするので、歴史を生かすも殺すもやはり講談次第であると思わせられます。先の太閤記といい坂本龍馬といい、司馬遼太郎の影響がともに強く、司馬史観が弱まってきたことが龍馬の評価急落にも大きくつながっているでしょう。

 そういうのを踏まえてもっと世の中に知られてほしいと自分が思うのは、最近評価が上がりつつあるけど樋口季一郎、戦国時代だと甲斐宗運、現代作家なら三浦綾子あたりです。

2023年8月15日火曜日

中国の経済対策が失敗する理由

 たった今ふと、「いいないいな、人間っていいな」の歌詞がリンダリンダで歌えることに気が付きました。だからなんだって気もしますが。

 話は本題ですが日本のメディアもこのところ散々報じているように、中国は今全土で不景気の波に包まれています。これまで何度も中国バブル崩壊論が実現しなかったこともあって本当にそうなのかと疑う人もネットを見ているといますが、確実にリーマンショック以降としてはこれまでに体験したことのない不景気だとみんなして口にしています。またどこそこの会社でリストラが起こっているとか、知り合いが解雇されたなどといった話題が後を尽きず、私自身もコロナ流行時なんかとは比べ物にならない経済的変動が起きていると実感しています。

 そうこうしていたら今日中国は若年層の失業率の発表を突然中止すると発表しました。直前の発表では確か24%くらいでしたが、大学院への進学や就職活動を停止した若者を含めると約50%くらいになるという学者もいたようですが、私自身の実感でも50%くらいだとみています。
 実際にというか以前私が面接した新卒予定の子を例にとると、多くの超有名企業でインターンをしていて、尚且つ留学経験もあり、語学能力もマナーも非常に優れているにもかかわらずまだ内定がないと話してて、マジで普通じゃあり得ないと感じるくらい優秀な人材が転がっています。マジな話、日系企業は日本語または英語の使える優秀な中国人人材を今のうちに中国本土からかき集めた方がいいでしょう。生半可な日本人より確実に貢献すると断言します。

 それくらい今の中国の大卒就職率は悪化していますが、前述の通り既存雇用者も大量リストラにあっており、どっちを向いても全年齢で不景気です。でもってこの景気は最低でも今年いっぱいは続き、10月までに効果的な対策を打ち出せなければ来年いっぱいは確実に続くと見込んでいます。ただ現在の中国政府はその適切な対策を打ち出せないと私は見込んでおり、来年以降も不景気状態が続くともう半ば確信しています。

 一体何故中国政府が適切な対策を打てないのかと言いたいところですが、本来ならば既に何か打ち出されていなければもう遅いという段階です。夏くらいには何か出すかなと思っていたらもう8月の半ばを過ぎており、これほど時間が経過しながら景気が悪化するのを中国政府は傍観しているだけでした。ようやくここにきて事態の深刻さに気が付いたのか、焦って先の失業率をはじめ経済指標の公表をやめたり、都合のいい数字だけやたらアピールするようになりましたが、その一方で未だ何も対策を出さないあたり、よほどまともな政策運営者がいないのでしょう。

 この経済対策を出さないという点ですが、理由は非常にはっきりしており、今の中国政府の指導層は「ゼロコロナをやめれば景気はすぐ好転する」とガチで信じ込んでいた節があります。確かにゼロコロナは多くの面で中国経済の活動を制約していましたが、だからと言ってやめたら再びかっぱつかするなるかと言ったら安直もいいところでしょう。
 それ以前に、私自身の実感でいえばゼロコロナにおける極端なロックダウンによる拘束などを受け、一般消費者は抑えられていた消費に餓えるどころか、生活することそれ自体に対する疲れのような諦念を覚えたような気がします。なんとなく私自身もお金をパーっと使うことに対し以前ほどの快感を覚えず、「なんでもいいからそっとしといてくれないかな( ´Д`)=3」みたいな気持ちを抱くことが多いです。ゲームの購入金額が先月えらい金額になったことは置いといて。

 またあの極端なロックダウンを受け、職を失った人たちは数万人どころじゃないでしょう。飲食店などは特に大きな打撃を受けていましたし、経営を続けられている人たちも、去年は数ヶ月分の売上をそのまま失った一方、何の保証もなく経費は発生し続けているのですから自分のために出費するお金なんてほとんどないはずです。でもって雇用環境は現在進行形で悪くなっていく一方ですから、消費がこれから増えるかっていったら、恐らく数年は増え続けるでしょうが景気を回復させる効果はほとんどないでしょう。

 この点が肝なのですが、今の中国政府の景気対策は消費、特に個人消費の拡大しか打ち出しておらず、この点こそが中国の経済対策が失敗する主要因だと私は見ています。

 中国が何故消費拡大に躍起になっているのかというと、確か経済に占める消費割合は米国が40%台、日本が30%台に対し中国は20%台くらいしかなく、拡大余地があるためだとよく国内で喧伝していますが、そもそも消費が景気の浮沈に影響するかと言ったら自分は疑問に思っています。

 もちろん経済全体に対する要素として消費は非常に大きく無視できませんが、景気が下り坂となっているシーンにおいて、消費拡大は転落から立ち直るてことなるかと言ったら、恐らくほぼ全くならないと私は考えています。
 こう考えるのも日本の先例があるからで、バブル崩壊から約10年間、日本国内では実はずっと個人消費は拡大し続けていました。しかし消費が拡大しながら企業業績は改善せず、90年代後半に入るとその消費すらも縮小し初め、いわゆる氷河期という時代を迎えることとなりました。

 その後の小泉改革などを見ても、消費拡大がきっかけとなって景気が拡大したというより、企業業績、つまり生産高が拡大して初めて景気が良くなったように思え、下り坂においては消費が景気を立て直す効果はほぼ薄いとみています。まぁ金融効果の方がでかかっただけかもしれませんが。
 そういう意味では個人消費以上に企業活動、特に金融の不良債権処理こそが今中国に求められる政策だと思うのですが、そのような対策を今の政権は打ちだそうとしません。恐らくは分かってはいながら、不動産業界をはじめ開けてしまえば一気に大混乱が起きるパンドラの箱化しているため、なるべくなら開かずに何とかしたいと考えみすみす立ち直る猶予を失っているように見えます。

 この点を少し掘り下げると、不動産業界は中国政府の官僚や幹部ら、特に地方政府なんかは深く噛んでいるため、不良債権処理を行うと彼らの資産も大損をこくため、やるにやれないのではないかと疑っています。また不動産業界ばかり注目されていますが、地味にもっと深刻なのはその上こと金融、つまり銀行じゃないかと少し訝しんでいます。ただでさえ日本以上に手数料が入ってこない業界だし。

 以上のような観点、具体的には景気回復にあまり効果のない消費拡大に固執し続けている、自らの懐を痛めるような不良債権処理に手を付けられないという点から、中国は効果的な対策を打ち出せず、この不況は来年以降も続くという結論になります。真面目な話、首相を退任した李克強に対して、あなたなら今どんな政策を打ちますかと聞いてみたいです。彼らが政権から去ったことこそが、最大の景気変動要素だったかもしれません。

2023年8月13日日曜日

もはや使えない夏の暑さ表現

 休日だけどやる暇ないからEラーニングをやってたら、やたら早口(中国語)で解説する動画見させられてあんま理解できないまま、視聴後の確認テストで3回落ちてやり直し喰らってかなり久々に家で怒鳴ってまた喉を潰しました。単元が3つある中でその最後の奴のみ異常なほどに早口でわかりづらく、ほか2つは1発で確認テスト通っていただけに未だに腹立たしいです。
 っていうか社内公用語が英語とはいえ、中国語か英語のEラーニングを強要してくるのって若干ひどくない?

 そんな感じで声出なくなった状態で昼食のため近くのマクドに出かけましたが、ほんのちょっとの距離とはいえ今日の天気はやばかったです。先々週は最高気温も35度行かず割と過ごしやすかったため夏も終わりかと思ったら、先週は再び35度越えが普通になり、しかも日差しが半端ないほど強くなりました。日差しが強くなった代わりに湿気はやや下がったものの、日差しに浴びるとマジでアイロンを当てられてるかのような焼かれる感触があり、今日歩いてても普通にそのまま1時間立ってたら死にかねないと感じるほどの日差しでした。

 そんな日差しを浴びている最中、夏の暑さを表現する言葉として「立っているだけでも汗が出るほどの暑さ」という言い方があったのを思い出しました。しかしこの表現、自分だけかもしれませんがこの10年間くらいでほぼ全く見なくなりました。それもそのはずというか、立っているだけで汗が出るのは夏の日常であって、特別暑いという意味をもはや持たなくなっています。むしろ、立ってても汗が出ない方が夏場はレアです。
 このように考えてみると、昔、具体的には昭和の頃までは立ってても汗が出ないほど夏は快適だったのかもしれません。気候の変動によりこうした季節感を出す言葉も、失われていくというのを今日はっきり感じました。

 この夏汗表現のほかにも、時代の変遷によって使えなくなる表現はほかにもあると思います。この辺、俳句なんかだと季語としてまとめられていますが、このうち特に使いづらいなと思うのは蛍の表現で、今や日本で蛍が見られる場所はかなり少なく、夏の風物詩的に表現するには共感が得辛いです。
 一方、同じ虫でもセミは今でも結構いると聞き、また上海市内でも樹木が密集している箇所ならよく鳴き声が聞こえてきます。このセミについては路上で死んでいるとみられたセミが急に動きだして驚かすことを「セミファイナル」という言葉で語られますが、この言葉は未だ現役で使えそうです。

 一方、いることはいるけど毎年ある日突然いなくなると感じるようになったのは蚊です。日本国内でもそうらしいですが、あまりの猛暑によって上海でも蚊が7月入ったあたりから一切見なくなりました。むしろ6月に散々噛まれたりしてたし。
 ついさっきも風を通すため窓を全開にしていましたが、2階にもかかわらず入ってきた蚊はゼロで、いない方がうれしいとはいえあまりに急にいなくなると逆に心配になってきます。こうした、夏真っ盛りに逆に蚊がいなくなるのはこのところ毎年で、去年も同じでした。

 その去年は最高気温が40度超えたり、最低気温が30度以上あったりして、今年以上に狂った夏でした。その去年との比較があるから、今年はまだマシと思えてきます。