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2023年11月25日土曜日

悪役俳優のほうが目立つスパイダーマンの映画

 先月の日本滞在中、かねてより見たかった映画として「ジョーカー」のほか「スパイダーマン」の最新シリーズ三部作のうち2作目の「ファーフロムホーム」と3作目の「ノーウェイホーム」を自宅のAmazon Primeで見ました。ちなみに「ファーフロムホーム」は見た直後に金曜ロードショーでテレビ放送され、翌週には「ノーウェイホーム」も放送されていました。
 まぁ日本語字幕版で見たいから別にいいんだけどさ。

 どちらも前評判にたがわぬ見事な傑作で、特に「ノーウェイホーム」に関しては過去シリーズでスパイダーマンを演じたトビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドがそのまま出演するという非常に豪華な作りで、近年見た中でも稀にみる傑作だと感じました。っていうか公開当時に映画館でちゃんと見たかった。

 ネットでいろいろ批評を見ると結構裏話が多く書かれてあり、決戦前に3人のスパイダーマンが決意を確認しあうシーンで2代目スパイダーマンことアンドリュー・ガーフィールドが「ありがとう、君たちを愛してる!」と抱き着くシーンがありますが、あれは何でもアンドリューのアドリブだったそうです。本人曰く「感極まって、自然と出てきた」そうですが、過去の出演作の「ハクソー・リッジ」の熱演ぶりといい、非常に感情が強い人なんだなぁと思わせられるシーンでした。
 実際にそう伺わせられるエピソードとして、まだ情報公開前にアンドリューが映画関係者に「あんたまたスパイダーマンやるんだって?」と聞かれた際に否定はしたものの、「あんた嘘が下手ね。今のうちに嘘つく練習をしておきなさい」と言われたらしい。

 また別の裏話として悪役のグリーンゴブリン役を演じたウィレム・デフォーについてほかの出演者によると、「ウィレム・デフォーが出るあるシーンを30テイク撮影した。その30テイクには一つとして共通する動画はなかった」と語られています。これはどういうことかというと、ウィレム・デフォーは30テイクすべてで異なる演技の仕方をして見せたそうです。その演技の幅の広さと芸達者ぶりに他の出演俳優らも大いに驚いたそうです。

 実際にというか映画の批評を見ていると、「ノーウェイホーム」で最も評価されていたのはこのウィレム・デフォーで間違いありません。約20年ぶりに同じ役を演じるにあたって、かつての出演時と変わらぬ怪演を見せたほか、オリジナルの1作目でも穏やかそうな父親の表情を見せたかと思ったら、狡猾な悪役の表情へ瞬時に入れ替わる演技が素晴らしく、それが今回の「ノーウェイホーム」でもいささかも衰えていなかったのには自分も驚きました。

 同じく悪役として、ドクターオクトパス役を演じたアルフレッド・モリーナに関しても自分としては感慨深い思いとともにその演技を見ていました。もともと私は全映画の中で「スパイダーマン2」が一番好きで何度も見ているのですが、この作品でアルフレッド・モリーナは変心した大学教授役を演じており、学者らしい知的な表情を見せる一方、こちらもまた狡猾な悪人顔を使い分けており、主演のトビー・マグワイア同様にその演技ぶりには一目置いていました。
 そのアルフレッド・モリーナもこの「ノーウェイホーム」にて、こちらも約20年ぶりの出演ながらかつてと全く変わらない姿で現れ、そのふてぶてしくも知的さを感じるセリフの話し方といい、やっぱすごい俳優だったと改めて感じさせられました。なお本人は相手役のトビーとの再会がこの映画で最もうれしかったことと話しており、撮影途中で何度もトビーと話してたそうです。

 以上の二人を見るにつけ、割とこのスパイダーマンの映画は主役以上に悪役を演じた俳優の方が演技面での卓越さを見せつけられることが多い気がします。3シリーズ目第1作の「ホームカミング」でもヴァルチャー役を演じたマイケル・キートンの演技が自分の中で一番印象に残っており、主役もさることながら悪役俳優の活躍が人気を支えている気がします。

 もっともこれはスパイダーマンに限るわけじゃなく、ほかのヒーロー映画でも共通する特徴なのかもしれません。「ダークナイト」でジョーカーを演じたヒース・レジャーは言うまでもなく、傑作ヒーロー映画はたいてい主役以上に悪役の演技が評価される傾向があり、極端なことを言えば悪役がヒーロー映画の成否を左右する面が大きい気がします。そういう意味では大御所俳優を持ってくるスパイダーマンのキャスティングは毎回当たっているのかもしれません。

2023年11月23日木曜日

中国では疎外論が知られていない?

 なんか中国で謎の咳が流行っているという報道が出ていますが、自分の周りでも風邪ひく人がこのところ増えています。ただ症状としてはそれほど重くなく、気温の変動が激しいために体調崩している人が多いだけのではないかと思っておりそれほど深刻視していません。

 話は本題ですが、以前に自分の友人がこのブログの記事で「疎外論について書いた記事が一番面白かった」と話してくれたことがありました。詳細はリンク先の14年も前の記事に書いていますが、全共闘世代ならいざ知らず、現代においてこの疎外論について触れられることは実際そう多くはないでしょう。

 ここでもこの疎外論について簡単に説明すると、要するに人間がその利便性のために作ったシステムや価値観が時代を経たり場面が異なったりすることで、概念だけが独り歩き(疎外)して逆に人間を束縛してしまうという現象のことを指しています。卑近な例で用いると、「経済」という概念はもともとは食料などの物資を公平かつ効率的に分配するために編み出された概念でしたが、現代においてはたびたび「経済」を維持するために生活の我慢や犠牲が強いられたりすることがあり、そのような状態を「疎外」と呼んだりします。

 この疎外論は共産主義概念の創立者、ではないけど大きく体系化したマルクスが提唱した概念で、彼のが科学的社会主義思想は現代においては実際に応用できないし応用したとしてもうまく機能しない無価値なものとほぼ完全に判定されていますが、疎外論だけに関しては今でも十分通じるというか、普遍的な概念として私を含め高く評価する人がいます。
 ちなみになんで私がこの疎外論について詳しいかっていうと、かなりガチな共産党闘士時代を経て温厚となった大学の恩師がこの方面に詳しく、授業の合間にこうした社会主義豆知識をよく教えてくれたからです。現在連絡を出せず、本当にこの恩師には申し訳ない気持ちがします。

 それでこの疎外論ですが、「社会主義国の中国なんだから一般教養としてみんな知ってるはずだよな(*‘∀‘)」などと思って周りの中国人に「疎外論ってすっげーよな(^ω^)」などと話題に出してみたところ、みんなしてキョトンとした顔され、若干空気を悪くさせることが何度かありました。
 これはどういうことだと思って色々調べたところ、調べ方が悪かっただけかもしれませんが、どうも中国ではこの疎外論はほとんど知られていないような気がします。中国の大学ではマルクス主義精神の一般教養科目が必須科目となっていて大学生は全員講義を受けるようになっているのですが、肝心要のこの疎外論については教えられていないようで、なんかすごいもったいない気がします。

 あくまで私個人の見解ですが、中国は疎外論を教えたらまずいと思っているわけではなく、マジで単純に理解している人が少なく、学界においてもほとんど知られていないんじゃないかとみています。そうなると中国のマルクス研究はいったいどんなレベルなんだといいたくもなってきますが、まぁ実際中国もマルクス主義が空辣な概念だということはほぼ理解しており、だから時代を経たこともあってあんまりみんな興味ないのかもしれません。
 それを言ったら日本でも、私の学生時代と比べてもマルクス主義に関する研究や議論がさらに後退したなという気がします。私の時代でも酔狂な人間はいくらか学んでおり、2008年のリーマンショック時に格差議論が過熱した際は「今だからこそマルクス」という全く実態に合っていない空辣な宣伝文句とともにマルクス本が売り込まれていましたが、あの時代を最後に、日常生活でマルクスの名を見ることはなくなった気がします。

 私個人としては、やはり資本主義を比較分析するうえではマルクス主義経済システムの知識は少しはもっておいた方がいいと思い、経済学に興味ある人にはぜひ手に触れる程度で学んでほしいと思っています。マルクス主義を学ぶことで、「資本主義には市場原理があって限界があるが、社会主義の搾取には限界がない」というある中国農村調査の結論の意味が分かるようになるし。
 ちなみにこの結論を中国人の同僚に話したら、「なるほど(゚д゚)!」とすごい真面目な顔して納得してました。多分あの同僚はきちんと資本主義経済システムとマルクス主義経済システムを理解しているから、あの結論をすぐ理解できたんだと思う。

2023年11月21日火曜日

ベレンコ中尉の逝去に触れて


 航空機ファンならもはやおなじみですが、かつて1976年にソ連から函館空港へ亡命してきたベレンコ中尉(当時)が亡命先の米国で亡くなっていたことが今日報じられました。関係ないけどカダフィ大佐同様、どうもこの人は「中尉」ってつけて呼ばないといけないような気がする。

ベレンコ中尉亡命事件(Wikipedia)

 事件内容は上記のWiki記事に詳しく載せられていますが簡単に自分から説明すると、腐敗した軍と奥さんとの不和に当時悩んでいた空軍パイロットのベレンコ中尉は日本経由で米国への亡命を企図します。この際、当時のソ連軍最新鋭機であったMig-25に乗って日本の北海道へと向かい、突然の最新鋭機の侵入に慌てて戦闘機(F-4)を発進させた日本側でしたが、当時のレーダーや航空機は海面近くで低空飛行するMig-25を見失ってしまい、みすみす函館空港にベレンコ中尉を着陸させてしまう失態を犯しています。
 侵入目的が亡命だったからよかったものの、これが本当の軍事攻撃だったらどうなったことかと当時散々に叩かれ、これ以降に低空に対する索敵能力(ルックダウン能力)が日米ともに強化されていくこととなります。

 話は戻りますが函館空港に着陸したベレンコ中尉は割とすんなり関係者との間で亡命交渉が進み、念願通りに米国へすぐに渡ることとなります。むしろ問題というか当時注目されたのはこの時の亡命に使用されたMig-25で、前述の通りソ連軍の最新鋭機で米軍からも一目置かれていた機体でした。
 それが無傷で手元に入ってきたもんだからソ連が「はよ返せ」と言ってくるのを「ちょっと待ってね(^_-)-☆」と言って日米の軍事関係者はMig-25を徹底的に分解し、その性能やスペックを細かく調べたうえできちんと熨斗つけてソ連に返してあげたとさ。分析の結果、当初恐れられたほどのスペックはないことがわかり、日米というか西側諸国は大いに安心したといわれています。

 このMig-25ですが、当初は最高速度がマッハ3を超える超高速戦闘機で、ミグシリーズ伝統の高い格闘性能も持ち合わせているとして米軍からは非常に恐れられていました。上記の分析の結果、速度に関しては確かにマッハ3級と、これは半世紀経った現在においても実際に就役して量産された戦闘機としては最高の速度性能を持ち合わせていましたが、その脅威の最高速度を出せるのは本当に一瞬だけで、なおかつ航続距離も短いうえに格闘性能はそんなでもないということがわかりました。
 結論から言えば、超高速戦闘機というよりは超高速戦術攻撃機のような機体であり、超高速で接近して爆弾を落とす、または敵機が接近してきたら急いで発進して迎撃するような機体であり、実際の制空権を争うような戦闘ではあまり役に立たない機体でした。おまけに電子系統をはじめ部品も粗悪であり、頻繁に交換しなくてはならないため運用コストもめちゃ高だったそうです。現代で運用しているのは恐らく北朝鮮くらいでしょう。

 以上のように亡命してきたベレンコ中尉以上に注目されたMig-25でしたが、当時プラモメーカーのハセガワのみがこの機体のプラモを販売していたことから注文が集まり、ハセガワにとっても過去最大のセールスを記録するヒット商品になったそうです。何となくこの過程を見ていると、ハセガワがソ連に裏金渡してステルスマーケティングさせたんじゃないかと疑いたくなりますが、さすがに本気で言っているわけではありません。

















 で、これがそのハセガワのMig-25のプラモを組み立てたものです。何気に今年8月にたまたまプラモ屋に置いてあって、「一応有名なキットだし、古くて安いから(千円以下)作っとくか」みたいなノリで作っていました。


 前述の通り古いキットということもあってパーツ数は少なく、私の実感では小学生でもそれほど苦労することなく組み立てられるんじゃないかと思います。パーツもどれもサイズがでかくて細かい作業要求されないし。

F-4との比較

 組み上げた際の感想としては「ともかくデカい」に尽きました。上は因縁あるF-4と並べた写真ですが、全長や全幅で恐らく1.5倍はあるでしょう。でかいせいで置き場所にもかなり困るんだけど。


 またもう一つの感想として、現行最強機と呼び声の高い米国のF-22ラプターに造形が近いような印象を受けました。全長もラプターが22mに対しMig-25が21.5mと近く、またエアインテークがコックピット横付配置なのも一致してて、もしかして米軍がMig-25を参考にラプター設計してたんじゃないかという風な想像がもたげました。まぁラプターのプラモはまだ一度も作ったことないんだけど。

 真面目にこのMig-25は前述の通りパーツ数が少なくてデカいため、作るのは超簡単です。自分のようにもう何十機と部屋の中に置いている人間と違って一機もプラモがない方なんか、デカくて目を引くのでインテリア代わりに作るのをお勧めします。その際はぜひ下の広告リンク踏んで買ってもらえればなおうれしいです(^ω^)

 っていうか日本の国防にも大きな影響を与えた人物なのだし、岸田首相は池田大作に弔意出すならベレンコ中尉にも弔意出したらどうかと思います。それよりもむしろ、今からでも遅くないから安倍なんかよりも水木しげるに対して国葬を行うべきで、本当にやるってんなら自分もすぐ寄付します。

2023年11月20日月曜日

岸田首相の池田大作への弔意の是非

 リンクはいちいち貼りませんが、先日逝去が報じられた創価学会会長であった池田大作に対し岸田首相が弔意のメッセージを送ったことについて批判が起きているようです。こうした批判について私自身としては、批判が起こるのは仕方ないにしてもそこまで目くじら立てるものではないというのが自分の見解です。

 初めに申しておくと、こと宗教に対して私は日本人の中でも非常に寛容な立場で、これまでも実際に各宗教関係者の説法を聞いたり活動に参加したりしています。現在は特定の信仰を持っているわけではないですが、実害が及ばない限りは宗教家だからと言ってその相手と距離を置くことはせず、むしろその信仰内容について聞いたりします。この辺、自分の出身が社会学ということも影響しているでしょう。

 話を戻すと今回の岸田首相の弔意への批判としては、特定の宗教関係者へ弔意を出すことは不公平であるとし、政教分離に反するというものが大半かと思います。この意見には私も共感するところはありますが、どちらかといえば岸田首相は連立相手の公明党にとって最大のスポンサーの長である池田大作に弔意を示したのではないかと考えています。いわば宗教関係者というよりは政治関係者としての扱いであり、であれば連立相手の実質的裏ボスなんだし、むしろ弔意を出さない方がかえって失礼になるんじゃないかなとも思います。

 ただそうはいっても池田大作の本身はやはり宗教関係者であり、たとえ政治関係者と岸田首相が見なしていても世間はそうは受け取りません。となるとやはり政教分離に反するかという話ですが、仮にこれがローマ法王だったとした場合、日本の首相がその逝去に際して弔意を送らないことはありうるのかという話になってきます。ぶっちゃけローマ法王クラスなら欧米各国をはじめほぼすべての国の首相から弔意が届けられると思いますが、これに関して政教分離なんて野暮なことをいちいちいう人はいないでしょう。

 何が言いたいのかというと、相手が宗教関係者だからと言って日本の首脳や政治家が弔意を出してはならないわけでもないだろうというのが、私の意見です。それこそ統一教会みたいな宗教の皮をかぶった反社団体であれば話はもちろん別ですが、創価学会は統一教会ほど派手にトラブルも起こしていないし、一時行っていた言論弾圧も最近はさほどしなくなったことを考えると、首相とはいえ弔意くらいは出しても罰は当たらないんじゃないかと思います。さすがに香典の支払いは控えた方がいいとは思いますが。

 唯一自分がちょっと争点になるなと思う点としては、じゃあ創価学会以上の日本の宗教団体には今後弔意を出さなくてはいいのかという論点です。それこそほかの日本仏教界の各宗派トップが亡くなって弔意を出さなかったら、若干不公平な感じもしなくもないです。池田大作を完全に政治関係者として捉えるならこの議論はいらないかもしれませんが、ローマ法王クラスは当然として、どこまでのラインの宗教家に対し弔意を出すのか、ちょっと基準が今後あいまいになるのではという懸念を持ちました。まぁ無視してもいいんだけど。

 なお比叡山最大の地獄修行こと千日回峰行の達成者に関しては、無条件で国民栄誉賞をあげてもいいし、その逝去の際には首相は弔意を出すべきだと勝手に考えています。っていうかむしろ出してほしいし、そうやってマジ凄い宗教家に対しては国ももっと敬う姿勢を見せるべきだと思っています。

2023年11月19日日曜日

日本新興宗教史にとって特別な1年

 今日、過去数年間にわたり毎週土日いずれかのランチに使ってきた日本食店が数日前に閉店したことを知りました。マジで生活の一部が失われたかのような喪失感に襲われてリアルに寝込み(昼寝)ましたが、いまだショックが抜けきれません。落ち着いたお店でゆっくり食事取れるのがよかったのに……。

 話は本題ですが、すでに各メディアで取り上げられているように創価学会の名誉会長であった池田大作が逝去されたそうです。逝去とはいってもこの10年近くはほぼ全く露出せず、動静もまったく伝えられなかったため私としてはかつての原節子のように「まだ生きてたんだ」という印象のほうが深いですが、今回の逝去に伴う創価学会、公明党への影響は計り知れないでしょう。

 よく勘違いされていますが創価学会は池田大作が創設したわけではなく、彼自身は教団の三代目トップです。創価学会に入信して以降、教団の不動産事業で大きくのしあげ、創価学会を現在の規模に仕立てたいわゆる中興の祖のような人物でしたが、長年にわたり強い影響力と人気を持ちすぎていたことから彼に続くトップ人材が教団内から出てこず、その点に関しては創価学会自身も危惧していたかのように見えます。
 実際、創価学会は昭和後期に集団就職した若者を取り込むことで信徒数を拡大してきましたが、平成に入って以降はいわゆるその子供世代に当たる二世信者しか新規入信がほぼなく、その勢力規模は平成時代においてほぼ一貫して縮小し続けていました。それは公明党の集票力にも表れており、近年は自民党からも思ったより集票力がないと足元を見られているとも報じられていただけに、今回の池田大作の逝去は連立維持においても影響を及ぼすことはほぼ間違いないでしょう。

 その池田大作に隠れてと言っては何ですが、恐らく多くの人はすでに今年3月に幸福の科学の教祖であった大川隆法が亡くなったという事実を忘れているかと思います。幸福の科学についてはその後大きな動静は報じられていませんが、いまいち後継者についてはっきりしない状態が続いており、恐らく今後勢いを失っていくような感じがします。
 また同列に扱うかはちょっと微妙ですが、統一教会に関しても今年に入り宗教法人格の抹消手続きに国が着手し、このまま抹消されることはほぼ確実です。その際、過去の被害者への補償も恐らく国が強制的に財産保全などの手段によって行うとみられ、もともと韓国本国でも日本からの献金で成り立っていた宗教であるだけに、往年の勢いは今後保つことはできないでしょう。

 以上の創価学会、幸福の科学、統一教会という三つの宗教に関して、たまたまでしょうが今年になって大きな変動を起こすイベントが一挙に起きた感じです。そういう意味では、2023年は将来の日本新興宗教史においてそこそこ変動の大きな1年として記録されるのではないかと思います。
 ひそかに気になる点として、今後勢いをなくすこれら教団の信者らは今後どうなるのか。単に信仰を失うだけなのかほかの宗教に鞍替えするのかが気になり、特に後者では受け皿となる教団があるのかという点で専門家に話とか聞いてみたいものです。

 なお先日とある宗教の関係者に話を聞いたところ、コロナ流行下で各宗教団体も会合を制限していたそうで、入場者数を限定したり、Web読経会などを行っていたそうです。こうした取り組みによって、それまで「LINEなんてまったくわかんない!」と言っていた高齢者層もすっかりLINEを使いこなすようになったそうで、こうした宗教も日本のIT普及を後押ししていたんだなと妙な納得感を得ました。

2023年11月16日木曜日

上海における無人運転の現況

 先日、相互リンク先である潮風大使さんのロッテのクライマックスシリーズに関する記事にコメントしたところ、中国での無人タクシーやバスに関する現況についてリクエストを受けました。放置していたつもりはないですが記事書くのが遅れてしまいました(;´・ω・)

 結論から書くと、上海市内で無人タクシーやバスは基本運行されておらず私自身も見たことがなく、これらは今も変わらず有人運転がなされています。無人運転に関しては中国も技術開発を進めていて政府も研究会社(主に百度やアリババなどインターネット起業)への支援を積極的に行っていますが、少なくとも現状において目に見えるほどの大々的な商用利用には至っておらず、ごく一部の特別区のみに限り無人運転が許可されていると思われます。

 ただ公共交通事情について日本との違いを述べると、車両の電動化は非常に進んでいます。バスに関してはほとんどがすでにEV化されており、タクシーに関してもEVが明らかに増えてきています。
 何気に普段はあまりタクシーを使わないのですが、先日日本から上海に戻った際に空港から自宅までタクシーに乗ったところ、たまたま乗った車両がまさにそのEVでした。EVタクシーに乗るはこれが初めてでしたが、やっぱり走行中の騒音が極度に小さいのと、振動が小さくて乗り心地もよかったのが非常に印象的でした。

 紙幅が余っているのでもう少しネタに絡めてこっちの生活事情について触れると、「無人」とくれば以前に上海では無人コンビニが登場しましたが、今やその無人コンビニは見なくなったというか絶滅しています。理由はやはり設備費用が採算に合わなかったためとみられ、折衷案としてか最近は建物内でQRコードを読み取ることで開く冷蔵庫があり、中の商品を取ると自動で商品代金が電子決済用ウォレットで決済されるという自動販売が増えてきている気がします。結局のところ、自動販売機が最強ってことでしょう。

 また数年前は自転車のライドシェアが流行りましたが、このライドシェア自体は定着して今も利用者がたくさんいます。ただ当時できた会社の多くはすでに潰れ、残っている企業もあんま儲かってない印象があります。
 もともとあのビジネスはサービス利用を開始するにあたり預託金を収めさせ、その預託金を使って別に投資して稼ぐというものであり、ライドシェアの使用料で稼ぐモデルではありませんでした。そう考えると、定着した今になっても儲からないというのも自然な成り行きです。

 ただ当時のライドシェアサービスの開始時は日常の風景が一変して、世の中が変わっていくという感覚を強く受けました。しかしその後のコロナ流行以降はそうした日常を一変させるような、それこそさっきの無人運転のような新たなサービスは上海では見られなくなり、以前ほど中国社会も革新的な雰囲気が薄れてきている気がします。新規サービスを始めようとする事業者も減ってきているように思え、先日の中国で最大のオンラインショッピングセール日である11月11日も若干飽きられ気味なのか、明らかに以前ほどの盛り上がりに欠けるものでした。
 なお自分はこの日を狙ったわけじゃないですが、新しい電気カーペットを購入しました。去年まで使っていたカーペットは冬シーズンの真っ最中に壊れ、慌てて新規にカーペットを購入したものの焦りからか若干サイズが使いづらいものを選んでしまったため、今回新たに大きめのサイズを購入しました。ダブルベッド全体にフィットしたサイズで、半面ごとに温度を調整できるため今度のは満足しており、前の小さめのカーペットは今後場別のところで活用する予定です。
 なおセールで200元(約4000円)から160元(約3200円)に割引されてましたが、そこまで飛びつくほどの割引金額じゃなく、こりゃ盛り下がるのも当然かと思いました。

2023年11月15日水曜日

宝塚歌劇団のいじめ、パワハラ騒動を見て

 先月、大阪で会った後輩とジャニーズ事務所の問題に触れた際、「この次は宝塚でしょう」と後輩が高らかに宣言してました。その後輩の言う通り、宝塚歌劇団もビッグモーターやジャニーズ事務所のように今炎上しています。
 なおその後輩もソ連人民の敵であるうちの親父も何気に宝塚市出身だったりします。もっとも親父は歌劇団についてはあんま興味なさそうで、自分も関心はありません。

 宝塚ではかなり陰湿ないじめが行われているということは以前から自分も聞いていましたが、数年前にも報道された際は今回ほど炎上することはありませんでした。事ここに至って炎上した背景としては、いじめの被害者とされる方が自殺しているなど事案が深刻であったこともさることながら、やはりその前のジャニーズ事務所の炎上も影響しているような気がします。
 ジャニーズについても性的虐待報道はかねてからありましたが、本格的に炎上したのは今年が初めてであり、それまでメディアは文春を除き完全に黙殺していました。なおマンガ「GANTZ」に出てくるあるキャラは、ジャニーズ事務所と思しき芸能事務所に一時所属していたものの、「社長に襲われそうになったからやめた」と語っており、2000年ごろの時点であの疑惑は周知の事実であったことを物語っています。

 話を戻すとジャニーズの問題を受け世間もこの手の権威があるからって好き勝手やっている組織に対して目を向けるようになったほか、メディアも口先だけとはいえジャニーズ問題黙殺について反省する態度を見せ、こうした芸能業界の闇について積極的に報じようとする姿勢を見せるようになってきており、それが今回こうして宝塚歌劇団への批判につながっていたように見えます。
 もっとも宝塚歌劇団はジャニーズ事務所ほどメディアに対する影響度というか脅迫する力は持っていませんでした、それでも固定ファンが非常に強い組織です。メディア関係者の中にも固定ファンが少なからずいてそれらが恐らくこれまでのいじめ報道を閉ざしていた諸悪の根源だと思いますが、そうした固定ファンのディフエンスも今回は役に立たなかったようです。

 もっともそれ以前の話として自殺した方の睡眠時間は1日約3時間、それ以外の時間はほぼすべて演技指導などの勤務をしていたという時点で、労基はいったい何をやっているんだって話になってきます。もちろん劇団員という特殊な職業であることを考慮すると杓子定規に労働時間を制限すべきではないと思いますが、それにしたってこれほどの激務に対し一切指導とか行わないってのはいかがなものかと思います。っていうか残業代を支払うよう指導くらいはしろよな。

 ジャニーズにしろ宝塚歌劇団にしろ、これまでほぼ周知でありながら黙殺されてきた暗部が今年一気に明るみに出るとともに、どちらも記者会見でわざと視聴者の反感を煽ってるのかって言いたくなるほど炎上させた点で共通しています。端的に言ってほかの方も指摘しているように価値観がいまだに古いというか昭和のままで、平成から令和にかけての変化を一切行わず、伝統の名のもとに無意味でカビの生えた思想に凝り固まっているということがそもそもの原因でしょう。
 それこそ根性論が強かったスポーツ界なんかは平成において一気に様変わりしたというか割と早い段階で合理的な方向に移っていき、それが現在の野球やサッカーなどの国際戦における優れた成績につながっているように見えます。これは実業にも言えますが、国際競争が激しい業界ほど市場が合理的になるのに対し、鉄道や電力など国際競争が行われないインフラ系業界ほど改革が遅れる傾向があり、なまじっか権威があってあまり競争にさらされなかったジャニーズ事務所や宝塚歌劇団もその口に入るのかもしれません。

 それにしも時代は変わるもので、しごきで有名な亜細亜大野球部なんかも今後丸くなったりするのだろうか。まぁ今のままでもかなり強いけどあそこ。