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2023年12月6日水曜日

自民党安倍派のパーティ券問題について

 先週からかかっていたインフルエンザですっかり体力を取られて更新も滞っていましたが、ようやく今日になってまともに体が動くようになりました。昨日までは鼻かむと常に血が混じってたし。

 それで久々の政治トピックですが、自民党安倍派で何でもパーティ券販売のノルマを設け、ノルマ達成者にはパーティ券で集めた政治資金をキックバックしていたという報道が出ています。詳しい処理とか管理までは細かく勉強していませんが、正当な収集理由なく集めた資金を情報公開なしで派閥内で再分配していたことが問題だったそうで、特捜部はこの案件で一山上げようしているようです。
 この問題に関して母体となる自民党内では安倍派への批判は薄いのですが、どうも自分が見ている限りだと野党からも批判が薄いように感じます。理由としては言うまでもないでしょうが、この手のパーティ券資金の再分配はどこの派閥も政党もやっているように見え、あまり批判するとその批判が跳ね返ってくることが目に見えているため、どこも薄目な反応になっているのだと思います。

 そもそも論として、私自身はこの問題を見て思うこととしては何故政治資金をパーティ券で集めなければいけないのかという点です。直接現金で集めると意地汚さそうに見えるからというのが恐らく理由ですが、パーティ券という名目上、建前だけでも政治パーティを開かなくてはならなくなります。これにはもちろん食事代や会場代などの経費が掛かってくるため、政治家の手元に入ってくるお金は、

パーティ券売上-経費=集められた政治資金

 という計算となり、パーティ経費の分だけ有権者が支払った政治資金が目減りするということになります。政治家としてはお金が欲しい、パーティ参加者としては支持政治家にお金を寄付したいという目的で恐らくやっているかと思いますが、なんかこれだと双方にとってマイナスな結果にしかならない気がします。

 もちろん個人献金額には上限を設けるなどして金権政治化する事態は避けるべきでしょうが、基本政治活動にはお金がかかるものだし、政策や人柄を支持する人からその資金を募ってかき集めるのも私は政治家の仕事の一つだと思います。逆に徹底的にこうした個人や団体から政治家への献金を規制しようってのなら、政治家の活動資金をすべて税金で賄わなくてはならなくなり、こっちはこっちでまた別の問題を引き起こすというか、すでに政党助成金でいろいろ問題が起きています。

 あくまで主観として述べると、献金にまつわる政治と金の問題を排除するために政党助成金の制度は作られましたが、この結果として政党助成金を分配する党本部の権力が増し、結果的に政治家個人は以前よりも小粒になった気がします。以前はそれこそ献金を集められるような人望なり手腕が求められましたが、今はその辺を助成金で賄うようになったため、知名度さえあればプライベートや能力で劣る色物議員が増えてしまい、また党本部に気に入られるか否かでポストも決まってしまっているように見えます。何となく、政治家の育成という点で政党助成金は失敗だったように見えます。

 これ以上広げると収拾がつかなくなるのでまとめに入りますが、パーティ券の再分配自体はもちろん現行法に反するなら取り締まるべきでしょうが、それ以前として政治献金について、今一度立ち返るべきに来ているのではないかというのが私の見方です。端的に言えば政党助成金の制度が日本の政治を矮小化させ、またこの助成金自体が小沢一郎をはじめとする制度設立者の不正の温床にもなっている点があり、なくせとは言いませんがこの際助成金の総額を思いきり減らした方がいいのではないかと思います。
 その代わりとして、公開を原則に個人献金を受け取りやすい制度にして、党本部が税金をバックとした助成金で異常な権力を持つ今の状況を改革すべきだと思います。そこまで今回のパーティ券に関する報道で議論が広がらない点に、ひそかに不満に思っています。

2023年12月2日土曜日

レオパレスは改修工事をきちんと行っているのか?

 先日、同僚とのふとした会話からテレビ東京が放送する「ガイアの夜明け」という番組に話題が及びました。この番組は企業ドキュメントで、実在する企業を密着取材して放送するという内容で、見方を変えるとテレビで事業を紹介してやるから代わりに宣伝費を出して的な、経済報道であるあるなバーター的な内容となっています。そのため一部視聴者からは「提灯番組」などとも呼ばれていましたが、その評価を覆したのが、あの伝説となったレオパレス回でした。

 この「ガイアの夜明け」で放送されたレオパレス回では、ほかの回同様に社長への直接インタビューシーンも放送されたのですが、そのシーンで番組スタッフはレオパレスの社長に対し、サブリース契約でオーナーに対し賃下げを強く要求するよう社員に指示するメールを提示して、「かなり違法なことをやってませんか?」的に、何故か社長への直接インタビューが直接追及へと切り替わる場面となっていました。なので登場当初はやや楽しそうにインタビューに臨んでいた社長でしたが、一瞬で顔が変わり、「いや、そんなの知らない……」と、苦し気に否定するだけでした。
 敢えて言えば提灯から刃物が飛び出すかのような番組となり、ぶっちゃけレオパレス側も当時は相当混乱したかと思います。こんなサプライズ、それまでになかったんだし。

 その衝撃の放送から翌週、テレビ東京はまたもレオパレス追及番組を組み、サブリース問題だけでなく建設したアパートの多くで界壁が設けられていないなどの建築基準法違反を取り上げ、レオパレス叩きにうなりをあげました。これらテレ東の報道がきっかけとなりレオパレスへ社会の非難が一斉に殺到し、政府もレオパレスに立ち入り捜査を行うなど、事態はどんどんレオパレスにとって悪化していきました。その後、「組織的に指示したわけじゃない」などと誰でもわかる嘘をつきつつも、界壁などの建築基準違反は今後改修工事にて是正していくとレオパレスは約束しましたが、これまでがこれまでだけにどうせ口だけだろうと内心私は思っていました。

 そんなことがあったことを同僚との会話で思い出し、あれからレオパレスが廃業したという話も聞かないけどどうしたことやらと思って業績を確認してみると、騒動発覚後に一時大きく落ち込んだものの、直近においては大分業績が改善し、株価も以前のような水準に戻っていました。はっきり言えば意外この上なく、不正規模の大きさから当時ですら改修にあたってレオパレスのキャッシュフローは尽きるという見方もあっただけに、いったいどうやってここまで持ち直したのかという点で気になりました。

当社施工不備物件の改修に関するお知らせ(株式会社レオパレス21)

 まず初めに、当時やると言った改修工事を実際には行わなかったのかという疑いを持ちました。なので調べてみたところ、一応改修工事は当初掲げた目標完了時期は達成不可能として2024年末へと延期されてはいたものの、現在も工事は続けており、これまでの改修軒数や今後の改修軒数などの数字データを定期的に公開していました。
 割とこういう問題は喉元過ぎたら無視する会社が多いだけに、こうしてきちんとデータを定期的に公開している点は正直に好感が持てます。もっとも敢えて全体母数の数字を隠している節があり、工事の実際進捗率について伏せているのは往生際が悪いとは思いますが。


 もっとも、その改修工事の実施に関して全く疑惑がないわけでもないようです。上記の全国賃貸住宅新聞の記事によると、改修工事を未実施のまま期間満了を理由にオーナーとの契約をレオパレスが切ろうとし、契約が切れた後は改修保証を行わないなどということを契約に盛り込もうとしたという疑惑が、今年4月になんと国会で指摘されていたようです。もちろんこうした改修義務放棄は違法であると国交省も回答しているようなのですが、まぁレオパレスならやりかねないことだと思えるだけに、あまり不思議には感じません。

 むしろこうやってオーナーとの契約を切ることで、改修すべき物件数を減らして、「回収がこれだけ進みました!」的に主張しているのではないかいう風にも見ています。っていうか本当にまじめに回収する気があるなら、過去調査において検出した改修対象軒数と、時系列での改修軒数をリストアップし、場合によっては改修物件の名称なども公開するものだと思います。それをやらないあたり、何かしら数字を操る作為が背後にあると疑ってかかるべきです。

 結論から言えば、業績はよくなっているかもしれないが依然としてレオパレスは後ろめたいものを隠しているという印象を覚えます。そういう意味では今後とも、この会社とはかかわりあいになりたくないものです。

2023年11月30日木曜日

京都市営地下鉄は延線すべきじゃないか

【画像あり】京都、人多すぎて死亡wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(暇人速報)

 かねてから報道されていますが京都がオーバーツーリズム、っていうかなんでこんなとこまで横文字使うのか意味わからないけど観光客の激増によっててんてこ舞いのようです。実際、先月に自分が京都に行った時も、かつて自分が学生としていた時と比べ明らかに人が増えていると感じましたが、中でも公共交通機関の満杯ぶりが目に余りました。

 具体的には京都駅から金閣寺、嵐山方面へ向かうバスでしたが、始発の京都駅の時点でほぼ満杯となり、途中のバス停からはとてもじゃないけど乗り込めないし、また途中のバス停で降りようと思っても満杯過ぎて降車できないくらいの込みようでした。なので結局、自分とビンラディンによく似たうちの親父も終点の金閣寺まで乗って、そっから歩いて等持院に行きました。
 何気に幕末に尊王攘夷主義者によって首が切られた足利尊氏などの木造見れたのはよかった。

 私見として述べると、京都の公共交通で一番ネックというか問題が多いのはこの嵐山方面、具体的には西北部だと前から思っています。何故かというとここは京都の玄関口である京都駅から直接行く方法がバスしかなく、その結果としてバスに乗客が集中し、道路も混雑する悪循環を作っているように思えてなりません。
 一応、鉄道では嵐電という四股名みたいなトラムで走る路線がありますが、京都駅からこの嵐電に乗るには相互接続のアクセスが悪く、日本語もわからない外国人観光客からすれば恐らく乗ろうとはしない路線です。っていうか自分も嵐電には一度も乗ったことないような気がする。

 いうまでもなく、嵐山は京都の観光地の中でも清水寺、伏見稲荷と並んで集客力が最も高い観光地の一つです。この嵐山への交通アクセスが悪くバスに集中することで、京都市全体の公共交通を悪化させているというのが自分の見方です。そんな元凶に対する対策ですが、結論から言えば京都市営地下鉄を延線するのが最適解だと私は思います。

 京都市営地下鉄烏丸線はその名の通りに、京都市のど真ん中を走る烏丸通を南北に貫く路線です。ただ、意外と京都市中央部には観光地が少なく(二条城くらいか)、また建設途中で何度も遺跡が出てきて工事が中断し、費用が高騰したため乗車料金が高く設定されていることから、スカスカというわけじゃないけど利用客は決して多くありません。言い換えれば、運送余力をまだ残しています。

 先ほどにも書いた通り、京都の交通で一番問題なのは京都駅から嵐山までのアクセスの悪さであり、これを改善しようってんなら、この京都市営地下鉄を延線し、京都駅からそのまま嵐山まで行けるように伸ばすことが一番いいように考えています。
 具体的には北大路駅のあたりでそのまま北上して国際会館まで行く現在の路線に加え、嵐山方面へ西に延びる路線をもう一本掘るのがいいかと考えています。こうすることにより外国人観光客は運送力の高い鉄道で直接嵐山へ行くことができ、バスの運行本数も減らせられ、みんながハッピーになれるという算段です。

 とはいえ実際にやろうってことになると移籍だらけの京都の地下を掘るわけだから、下手すりゃ黒部川ダム以上の難工事になる可能性もあるでしょう。ただ長い目で見た場合、恐らく今後20年は京都の観光客は増加し続けると私は考えており、であれば思い切ってやるべきなんじゃないかと考えています。まぁ京都市はあれだえ有利な条件で赤字団体だから、あんま期待しちゃいけないんだけど。
 なおもし可能であれば、西だけじゃなく東へ、具体的には嵐山と銀閣寺をつなぐ路線も作れたら最高だと思います。嵐山を午前に訪れ、午後に東山を回る観光客も多いと思え、この東西の移動は現状では実質的にバスとタクシーしかありません。もっとも東山方面こそ遺跡が多いとみられるエリアなだけに、実際やろうとなるとMRJみたいなプロジェクトXになるかもしれません。

 もっとも実現出来たら、文字通りに金閣寺と銀閣寺を結ぶ路線になるので、イメージ的にはすごいいい感じな気がしますが。

2023年11月29日水曜日

日大アメフト部廃部の報道に触れ

 先日、このブログで中国で流行っている肺炎は言われているほど自分の周りでは流行っていないと書きましたが、なんか月曜から風邪気味になって、今日はとうとう仕事休んでダウンしていました。っていうか先週も風邪かかったのに何故?

 話は本題ですが、かねてから大麻問題で揺れていた日大アメフト部がとうとう廃部される運びとなりました。結論から言えば、事ここに至っては廃部もやむなしだと私も思います。
 大麻問題と無関係の部員に関しては本当に心の底から同情心を覚えますが、かつての悪質タックル事件といい、一連の問題はアメフト部員個人のものというよりアメフト部という組織が起こしているとしか言いようがなく、組織としてのけじめをつけるうえでも廃部以外に選択肢はないでしょう。

 そもそも今回の大麻問題でおかしいのは、本来矢面に出て無関係の部員を守るべき立場にあるアメフト部監督が一切表に出てこないという点です。この一点で以っても日大アメフト部は常識では考えられないおかしい組織であると判断せざるを得ず、大麻を隠し持って犯人隠避したあの副学長といい、責任ある組織の態をなしていません。
 そのうえで、やはり一番致命的だったのは犯人隠避を行った副学長であり、辞任するということですが、日大はもっと早くに彼を犯人隠避、大麻不法所持などの容疑で彼を刑事告訴すべきだったのではないかと内心思います。彼こそがこの問題における最大の癌であり、仮に内部通報があった直後に警察に捜査を依頼し、見つけた大麻片もすぐ提出していれば、廃部にまでしなくても済んだのではないかと思います。

 林真理子理事長に関しても、挑発に乗る形でほかに逮捕者は出ないなどと無駄にタンカを切ったりするなどその資質に疑問を感じますが、その辺は反省したのかこのところは囲み取材に一切応じなくなったのと、上記の副学長と対決したあたりは改善がみられるように思え、火中の栗となるでしょうがこのまま学長の立場で改革を続行すべきだと思います。

 重ね重ねとなりますが、無責任な大人たちによってその夢を絶たれた無関係な日大アメフト部員らに関しては深い同情の念を覚えます。同時に、早大相撲部でも大麻関連の逮捕者が出ており、印象によるものかもしれませんがかつてより大学の大麻汚染が広がっている気がします。
 この点、広がりに歯止めをかけ、大麻をしっかり根絶するためにも、大学スポーツ界は競技の垣根を越えてこの辺の対策をもっと力を入れるべきかもしれません。それこそ部員に大麻逮捕者がその時点で1年間試合出場停止とするなど、統一した基準なんかあってもいいでしょう。日大を他山の石とすべきでありません。

2023年11月26日日曜日

突然パソコンの音がエコーに(;´・ω・)

 上海は冷え込むかと思いきや再び暖かくなり、今朝も穏やかな気温の朝でした。なもんだからのっそり起きてまた「アクション対魔忍」で遊ぼうとパソコンを開いたところ

(゚д゚)!

 という感じで、自分の耳を疑いました。何が起きたのかというと、パソコンのスピーカーから出てくる音が何故か反響したようなエコー音になっていたためです。

 明らかに機能まで聞いていたゲーム音声とは異なる音が流れており、一体どうしたことかとサウンド周りの設定を弄るも一切直らず、せっかく前のノーパソの内蔵スピーカーの質が悪かったのでノーパソを取り換えたのになんてこったいとちょっと頭を抱えました。
 こうなった原因についてはちょっと思い当たることがあり、昨夜寝ながらパソコンしていた際にちょっと音量を変えたのですが、その際にサウンドの設定を開いて「立体音響」という設定項目をみて「何か変わるのかな」と弄った記憶があります。多分あれが原因だと思うのですが、その立体音響の設定項目を再びオフとかに変えても、エコー音は改善しませんでした。

 こうなっては仕方ないのでGoogleで早速トラブルシューティングしたところ、出くわしたのが以下のYahoo知恵袋でした。


 どうも私と同じような症状に出くわした人が質問しているのですが、それに対する回答は「サウンドドライバ(Realtek)を削除しろ」というものでした。詳細はリンク先に書かれてありますが、デバイスマネージャーからRealtekのドライバを削除すれば、再起動するとまた一から復元されると書かれてあり、もしかしたら一切音が出なくなるのではないかと戦々恐々で試してみたところ、なんとこれ一発で見事にエコー音が消え、元のスピーカー音が戻ってきました。
 上の質問者も全く同じだったそうで、返信で改善された旨が書かれてあります。

 それにしても原因はいったい何だったのか。エコー音がしていた際、イヤホンで音を聞いたら特に問題ない音が聞こえたので、内蔵スピーカーに問題があったのではないかと考えています。同じ問題ではこのほかにもマイクが音を拾ってエコーになるというものもありましたが、別にマイクで拾った音を流していたわけではないので、今回の私の事例ではマイクは多分無関係だと考えています。どちらにせよ、すぐに直ってくれてよかったε-(´∀`*)ホッ

2023年11月25日土曜日

悪役俳優のほうが目立つスパイダーマンの映画

 先月の日本滞在中、かねてより見たかった映画として「ジョーカー」のほか「スパイダーマン」の最新シリーズ三部作のうち2作目の「ファーフロムホーム」と3作目の「ノーウェイホーム」を自宅のAmazon Primeで見ました。ちなみに「ファーフロムホーム」は見た直後に金曜ロードショーでテレビ放送され、翌週には「ノーウェイホーム」も放送されていました。
 まぁ日本語字幕版で見たいから別にいいんだけどさ。

 どちらも前評判にたがわぬ見事な傑作で、特に「ノーウェイホーム」に関しては過去シリーズでスパイダーマンを演じたトビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドがそのまま出演するという非常に豪華な作りで、近年見た中でも稀にみる傑作だと感じました。っていうか公開当時に映画館でちゃんと見たかった。

 ネットでいろいろ批評を見ると結構裏話が多く書かれてあり、決戦前に3人のスパイダーマンが決意を確認しあうシーンで2代目スパイダーマンことアンドリュー・ガーフィールドが「ありがとう、君たちを愛してる!」と抱き着くシーンがありますが、あれは何でもアンドリューのアドリブだったそうです。本人曰く「感極まって、自然と出てきた」そうですが、過去の出演作の「ハクソー・リッジ」の熱演ぶりといい、非常に感情が強い人なんだなぁと思わせられるシーンでした。
 実際にそう伺わせられるエピソードとして、まだ情報公開前にアンドリューが映画関係者に「あんたまたスパイダーマンやるんだって?」と聞かれた際に否定はしたものの、「あんた嘘が下手ね。今のうちに嘘つく練習をしておきなさい」と言われたらしい。

 また別の裏話として悪役のグリーンゴブリン役を演じたウィレム・デフォーについてほかの出演者によると、「ウィレム・デフォーが出るあるシーンを30テイク撮影した。その30テイクには一つとして共通する動画はなかった」と語られています。これはどういうことかというと、ウィレム・デフォーは30テイクすべてで異なる演技の仕方をして見せたそうです。その演技の幅の広さと芸達者ぶりに他の出演俳優らも大いに驚いたそうです。

 実際にというか映画の批評を見ていると、「ノーウェイホーム」で最も評価されていたのはこのウィレム・デフォーで間違いありません。約20年ぶりに同じ役を演じるにあたって、かつての出演時と変わらぬ怪演を見せたほか、オリジナルの1作目でも穏やかそうな父親の表情を見せたかと思ったら、狡猾な悪役の表情へ瞬時に入れ替わる演技が素晴らしく、それが今回の「ノーウェイホーム」でもいささかも衰えていなかったのには自分も驚きました。

 同じく悪役として、ドクターオクトパス役を演じたアルフレッド・モリーナに関しても自分としては感慨深い思いとともにその演技を見ていました。もともと私は全映画の中で「スパイダーマン2」が一番好きで何度も見ているのですが、この作品でアルフレッド・モリーナは変心した大学教授役を演じており、学者らしい知的な表情を見せる一方、こちらもまた狡猾な悪人顔を使い分けており、主演のトビー・マグワイア同様にその演技ぶりには一目置いていました。
 そのアルフレッド・モリーナもこの「ノーウェイホーム」にて、こちらも約20年ぶりの出演ながらかつてと全く変わらない姿で現れ、そのふてぶてしくも知的さを感じるセリフの話し方といい、やっぱすごい俳優だったと改めて感じさせられました。なお本人は相手役のトビーとの再会がこの映画で最もうれしかったことと話しており、撮影途中で何度もトビーと話してたそうです。

 以上の二人を見るにつけ、割とこのスパイダーマンの映画は主役以上に悪役を演じた俳優の方が演技面での卓越さを見せつけられることが多い気がします。3シリーズ目第1作の「ホームカミング」でもヴァルチャー役を演じたマイケル・キートンの演技が自分の中で一番印象に残っており、主役もさることながら悪役俳優の活躍が人気を支えている気がします。

 もっともこれはスパイダーマンに限るわけじゃなく、ほかのヒーロー映画でも共通する特徴なのかもしれません。「ダークナイト」でジョーカーを演じたヒース・レジャーは言うまでもなく、傑作ヒーロー映画はたいてい主役以上に悪役の演技が評価される傾向があり、極端なことを言えば悪役がヒーロー映画の成否を左右する面が大きい気がします。そういう意味では大御所俳優を持ってくるスパイダーマンのキャスティングは毎回当たっているのかもしれません。

2023年11月23日木曜日

中国では疎外論が知られていない?

 なんか中国で謎の咳が流行っているという報道が出ていますが、自分の周りでも風邪ひく人がこのところ増えています。ただ症状としてはそれほど重くなく、気温の変動が激しいために体調崩している人が多いだけのではないかと思っておりそれほど深刻視していません。

 話は本題ですが、以前に自分の友人がこのブログの記事で「疎外論について書いた記事が一番面白かった」と話してくれたことがありました。詳細はリンク先の14年も前の記事に書いていますが、全共闘世代ならいざ知らず、現代においてこの疎外論について触れられることは実際そう多くはないでしょう。

 ここでもこの疎外論について簡単に説明すると、要するに人間がその利便性のために作ったシステムや価値観が時代を経たり場面が異なったりすることで、概念だけが独り歩き(疎外)して逆に人間を束縛してしまうという現象のことを指しています。卑近な例で用いると、「経済」という概念はもともとは食料などの物資を公平かつ効率的に分配するために編み出された概念でしたが、現代においてはたびたび「経済」を維持するために生活の我慢や犠牲が強いられたりすることがあり、そのような状態を「疎外」と呼んだりします。

 この疎外論は共産主義概念の創立者、ではないけど大きく体系化したマルクスが提唱した概念で、彼のが科学的社会主義思想は現代においては実際に応用できないし応用したとしてもうまく機能しない無価値なものとほぼ完全に判定されていますが、疎外論だけに関しては今でも十分通じるというか、普遍的な概念として私を含め高く評価する人がいます。
 ちなみになんで私がこの疎外論について詳しいかっていうと、かなりガチな共産党闘士時代を経て温厚となった大学の恩師がこの方面に詳しく、授業の合間にこうした社会主義豆知識をよく教えてくれたからです。現在連絡を出せず、本当にこの恩師には申し訳ない気持ちがします。

 それでこの疎外論ですが、「社会主義国の中国なんだから一般教養としてみんな知ってるはずだよな(*‘∀‘)」などと思って周りの中国人に「疎外論ってすっげーよな(^ω^)」などと話題に出してみたところ、みんなしてキョトンとした顔され、若干空気を悪くさせることが何度かありました。
 これはどういうことだと思って色々調べたところ、調べ方が悪かっただけかもしれませんが、どうも中国ではこの疎外論はほとんど知られていないような気がします。中国の大学ではマルクス主義精神の一般教養科目が必須科目となっていて大学生は全員講義を受けるようになっているのですが、肝心要のこの疎外論については教えられていないようで、なんかすごいもったいない気がします。

 あくまで私個人の見解ですが、中国は疎外論を教えたらまずいと思っているわけではなく、マジで単純に理解している人が少なく、学界においてもほとんど知られていないんじゃないかとみています。そうなると中国のマルクス研究はいったいどんなレベルなんだといいたくもなってきますが、まぁ実際中国もマルクス主義が空辣な概念だということはほぼ理解しており、だから時代を経たこともあってあんまりみんな興味ないのかもしれません。
 それを言ったら日本でも、私の学生時代と比べてもマルクス主義に関する研究や議論がさらに後退したなという気がします。私の時代でも酔狂な人間はいくらか学んでおり、2008年のリーマンショック時に格差議論が過熱した際は「今だからこそマルクス」という全く実態に合っていない空辣な宣伝文句とともにマルクス本が売り込まれていましたが、あの時代を最後に、日常生活でマルクスの名を見ることはなくなった気がします。

 私個人としては、やはり資本主義を比較分析するうえではマルクス主義経済システムの知識は少しはもっておいた方がいいと思い、経済学に興味ある人にはぜひ手に触れる程度で学んでほしいと思っています。マルクス主義を学ぶことで、「資本主義には市場原理があって限界があるが、社会主義の搾取には限界がない」というある中国農村調査の結論の意味が分かるようになるし。
 ちなみにこの結論を中国人の同僚に話したら、「なるほど(゚д゚)!」とすごい真面目な顔して納得してました。多分あの同僚はきちんと資本主義経済システムとマルクス主義経済システムを理解しているから、あの結論をすぐ理解できたんだと思う。