ページ

2023年12月22日金曜日

イスラム教が定着したら離れない理由

 先日、ちょっと気になったこともあり島田裕巳氏の「帝国と宗教」という本を買って今日読み終えましたが、期待に違わず面白い内容でした。内容は領土拡大に積極的な国こと帝国が、これまでどのように宗教と関わってきたのか、また国内維持のためにどう宗教を利用してきたのかについていろいろ語っており、歴史も宗教も好きなので非常に楽しめました。

 わかりやすい話として、チンギスハンのモンゴル帝国は広大な領土を支配しながらその後継国(キプチュク・ハン国など)どれもその支配を維持できなかった理由について、モンゴル人は土着の信仰をもってはいたものの文字文化がなく体系化されておらず、それぞれの支配地域でキリスト教やらイスラム教を取り込まざるを得ず、結果的に分裂、崩壊していったと解説されています。
 それに対しイスラム帝国は税金さえ払えばキリスト教やユダヤ教などの信仰をそのまま維持することを認めつつも、イスラム教に改宗することによって税金が免除されるなど携帯電話の契約のようなお得なプランをたくさん用意して領土内でイスラム教徒への改修者を増やしてったそうです。なおかつ教えが体系化されていて国内統治の手段として使われた結果、現在のトルコのもとになったオスマン帝国も数百年という長寿命国家になったと説明されており、自分も同感します。

 そのイスラム教について島田氏は、「聖と俗が区別されていない宗教」と述べており、なかなか興味深い説明でした。これはどういう意味かというと、仏教やキリスト教では出家者は世俗と切り離された生活をし、浄土真宗やプロテスタントのように例外はありますが、妻帯を禁止するなど俗世間とは隔絶された生活を営むことになります。
 それに対しイスラム教は創立者のムハンマド自体が商人であり、俗世の人間であったことから、教えを布教する聖職者という区分がそもそもないそうです。もちろん、イスラム法学者のようにイスラム教内でで権威を持ち尊敬の対象となる指導者こそいるものの、仏教やキリスト教のように先任者が講やミサを主宰するのではなく、あくまで教徒の代表がモスクなどの礼拝をはじめとする一連の儀式を主導しており、「俗世と断った聖職者がいない」という、言われてみればそうだけど言われてみるまで意識していなかった点についてこの本でも詳しく解説されています。


 そのうえでこうした聖職者が明確に区分されていないことから、イスラム教は聖と俗の区別自体が非常にあいまいで、生活そのものが宗教信仰になっていると島田氏は指摘しています。仏教やキリスト教では信仰を行うにあたりある種特別な聖職者の話を聞いたり、寺院や教会といった特殊な施設に赴いたりするなど、宗派によって差はありますが一定の神秘主義的行為を行うことが多いですが、イスラム教もないわけではないものの、どちらかというとラマダンや豚肉禁止をはじめ、生活習慣を規定することそのものを信仰としていると説明されており、これも言われてみればまさにその通りです。

 そのため、イスラム教では生活そのものが信仰活動となり、いったん根付いてしまえばそれそのままライフスタイルとなるため、イスラム教は定着したら別の宗教へ改宗する人が少ないと説明されていました。これが自分の中で深く納得したというか、現代のインドをはじめイスラム教が広められた地域において先祖返り的に仏教やヒンズー教が復活しないのは、こうした生活に根差した信仰活動こそがイスラム教の根幹だということになかなか感じ入りました。
 逆に仏教、特に日本の密教は神秘主義的傾向が強いので、鞍替えが起こりやすそうとも感じます。

 オチらしいオチはないですが、イスラム教が信者を増やし続けるという背景に関しては信仰が広まっているというより、一度教えを受けた人間はライフスタイルレベルにまで信仰が入ってくるため信仰を変えず、信者が増えるというより減らないという特徴にこそその背景があるのではないかと思えます。教えが魅力的だとか現代にあっているとかではなく、底堅さこそがイスラム教の強みなのかもしれません。

2023年12月20日水曜日

落ちぶれたサマンサタバサを見るのはマジ楽しい(^ω^)


 上の記事をはじめ、最近女性物バッグメーカーのサマンサタバサが落ちぶれているというニュースをよく見ます。これらニュースを私の感想はというと、もはや死語だけど昔のネット用語に言う「メシウマ状態(^ω^)」で、非常に気分いいことこの上ないです。なんでかっていうと、このサマンサタバサって会社は昔から大嫌いだったからです。

 かつてこのブログにもその経緯の記事を書いていますが、私は記者時代にこのサマンサタバサに何度か取材をしていますが、毎回といっていいくらいその取材態度は非常に最悪で、マジで喧嘩売ってんじゃないかと思うくらいひどいものでした。これは私に限らずほかの同僚に対しても同じで、その態度の悪さは編集部内でも話題になるほど呆れたものでした。

 具体的に述べると、ニュースリリースを出したのでそのリリース内容を確認するため電話をかけると、「担当者はいません」と、何故か自分が出したリリースへの説明や回答を拒んだ上、

「では担当者が戻ってきたら折り返しお電話くれませんか?」
「はいわかりました。それでは失礼します」
「まだ私の連絡先をお伝えしていませんよね?」

 という感じで、露骨に早く電話を切ろうとすることが多かった、っていうか毎回でした。ちなみにその後、連絡先を伝えたものの折り返しの電話は10年以上経た今も鳴らされていません。

 またこれは同僚の話ですが、ある会社意思決定に関するリリースが出されたのでその内容について取材して記事化した後、しばらく経ってそのリリースとはほぼ真逆のリリースが出されたので改めて取材をかけたところ、「前回リリースの内容はなかったことになりました」とおくびもなく言ってのけ、なんか記事にして報じたうちの媒体がガセ流したような感じにさせられたこともありました。
 これに限らずこの会社はリリース内容について一貫性がなく、昨日言ったことを翌日否定するような広報体制だったので、その後は具体的な動きをはっきり見せるまでは取材も記事化もしない風になりました。

 以上の実体験を踏まえて言うと、東洋経済やITメディアはその落ちぶれた背景についてあれこれもっともらしく分析していますが、私に言わせれば単純に経営者、従業員の質がとんでもなく低かったこと以外に理由が見つかりません。それでも昔は違ったのかもしれず、なんか変にブームに乗って一時は大きくなったのかもしれませんが、かえってそれが彼らを勘違いさせたというか、大企業病に陥って余計におかしくなっていった可能性もあります。どちらにしろ、高い人気を得ていた時代において既に、サマンサタバサは崩壊への序曲を奏で始めていたと私には思えます。

 なおサマンサタバサ以外に取材態度が悪かったのは毎日放送で、あと当たりはずれがあるけど電通もそうでした。逆に取材対応がいい、というより広報の人の質が異常に高いと感じたのはファミリーマートとDeNAで、今でもこの二社は一目置いています。

ダイハツの不正発表の衝撃

 すでに各所でたくさん報じられているので記事リンクをつけませんが、ダイハツの不正発表の内容というか衝撃がかなりすごいです。他のメーカーへOEMで出している車種も含めほぼ全車種で販売停止もさることながら、ニュースではあまり報じられていませんが報告書によるとライトの設置軸や重量検査のごまかしなど不正内容は多岐にわたり、直近10年で言えば日系メーカーとしては最高ランクの不正でしょう。
 不正内容の詳細についてはひとまず置いて、今後のダイハツへの影響についてここでは書いていくことにします。

 まず前述の通りほぼ全車種で販売を停止することになり、なおかつ不正内容は衝突安全性能などの安全基準にも及ぶことから、販売停止期間は長期に及ぶ可能性があります。下手すりゃ半年くらい販売できない車種もあるかと思え、ダイハツ本体以上に、ディーラー店へのダメージが非常に大きくなると予想しています。

 また仮に、っていうか現時点でも恐らくそうなると予想されますが、リコールを実施することとなった場合、その影響はどこまで及ぶのか途方もない点でやばいです。不正は長年行われてきていたということから、下手すりゃ過去30年分くらいの販売車種についてリコールを実施せざるを得なくなる可能性もあります。少なくとも、過去10年分はほぼ確実に実施せざるを得ないでしょうから、リコール対象は数百万台……で済むのだろうか?というのも、トヨタなどへOEMで出している車がダイハツは多いだけに、夢の千万台越えもありうるかもしれません。
 もしそこまでリコール規模が拡大したら、かつてのエアバッグのタカタ同様、ダイハツ自身が持たなくなる可能性もあります。その場合、日本自動車メーカーの再編が確実に起こりうるでしょう。

 その再編観点で言えば、今回の騒動で一番の追い風というか漁夫の利を得るのはライバルであるスズキに間違いありません。そもそも、ダイハツはトヨタの子会社ですが、近年になってスズキは鈴木修氏が経営から退くのに合わせてトヨタの資本を受け入れはじめ、トヨタグループとの距離を詰めてきています。元々、豊田家と鈴木家は創業家同士が仲良しこよしということもあり、ダイハツとスズキの2大軽自動車メーカーを抱えてトヨタどうすんだよと前から思うところがありました。
 そこへきて今回のダイハツの不正発覚で、これから来年1年にかけてダイハツはシェアを落とし続けることは間違いなく、その分をスズキとNボックス擁するホンダが軽自動車業界のシェアを奪うわけですが、スズキに至ってはさらに再編の恩恵を受けるかもしれません。

 端的に言って、もし私がトヨタ幹部であれば、ダイハツとスズキを合併させるでしょう。軽自動車メーカーどうして商品はほぼすべて競合、っていうかお互いに売れた車をパクリあっているので、統合すれば販売台数は変わらないとしても、車種を1台に絞れるようになるのでめっちゃプラスです。同じトヨタグループにあるのだし、どう考えたってこの2社は統合させた方がトヨタとしてはお得でしょう。

 上記は私の妄想であり実際にトヨタがこのように動くかどうかはまた別ですが、今回の不正発覚はまじめにダイハツの屋台骨すらへし折りかねない衝撃なだけに、もし再編が起こるとしたら、親会社のトヨタとしてはどう動くかがカギを握るでしょう。日野みたく外部に持ち分売却する可能性もありますが、日本国内でダイハツをディールしようっていうメーカーがほかにあるかと言ったらちょっと浮かばず、買うとしたら外資メーカーになってくるのではないかと思います。

 私個人としてはダイハツの車は前から好きだったので今回のニュースは残念この上ないですが、経済ニュース的には久々にワクワクするというか、予測の余地が広いだけに興味の尽きない話題です。

2023年12月19日火曜日

キャラ要素盛り盛りなブラックラグーンのルマジュール

 本日、約2年ぶりにマンガの「ブラックラグーン」の最新巻にあたる13巻が発売されました。あらかじめ予約していたので昨夜にダウンロードしてすぐ読みましたが、長く待たされただけあって相変わらず面白い内容でした。

 多少ネタバレになりますが、前の12巻から登場しているルマジュールというキャラクターがこの13巻でも出てくる、っていうかほぼ主役級にずっと出続けています。12巻で登場した時から思ってましたが、ルマジュールはこの作者にしてはやたらキャラ要素が盛り盛り入ったキャラだと思っており、それもあってかネットでの反応も見ているとなかなか人気高そうです。実際自分も読んでて、このキャラいるから面白いんだろうなと感じたりします。

 ではこのキャラの要素には何があるのかというと、リストアップすると以下の通りです。

・ツンデレ
・ツインテール
・アイパッチ
・殺し屋
・普段着がスーツ
・小柄な体格
・妹キャラ
・変なところで義理堅い
・っていうか性格が完全ヤクザ系
・妙なところで図々しい
・背中が○○

 決して誇張ではなく、以上の要素がこのルマジュールという一人のキャラに内包されています。割とブラックラグーンのキャラって「フライフェイス」ことバラライカ女史をはじめ単独のとんでもない個性が造形をはっきりさせているキャラが多いと思っていたのですが、ルマジュールに限っては要素、っていうか美少女系萌え要素をかなりふんだんに盛り込まれていると感じ、ここにきてまたすごいキャラを作ってきたなという印象を覚えます。狙ってこういうキャラに仕立てたとしたらかなりすごい。

 なお13巻のほかの内容ですが、粛清シーンはまたかなりどぎつい描写になっています。まぁブラックラグーンの世界では日常ですが、今まであまりこういうはっきりと殺害する、それも女性キャラでああいうシーンを書くのはなかったなという気がします。幼児では前からあるけど。

2023年12月18日月曜日

再びコラム連載を開始

 先ほど昨日残った冷や飯をニンニクと一緒に炒めてオニオンライス作って食べましたが、部屋の中が焼いたニンニクの匂いがして、食べた後のほうが飢餓感を覚えるようになりました。


 それで本題ですが、上記のロボティアというテック系サイトでまたコラムの連載を開始しました。

 一体なんで急にコラムの連載を開始したのかというと、こちらのサイト運営者より以前にもコラム執筆を打診されていたものの、当時は世を忍ぶ仮のサラリーマンとしての本業に加えJBpressの連載も抱えていたため、キャパオーバーになるとして応えることができませんでした。それが今春にJBpressの連載を終え、かなり久々に夏季を除くどの週末もフルに満喫できるようになって謳歌していたところタイミングよく秋口にロボティアの担当者より再び連絡があり、今ならまたコラムを書けると自分も伝えたので、こうしてまた連載を開始するに至りました。

 コラムを連載するにあたり書く記事に関しては自由にしてよいとは伝えられていたものの、テック系メディアなのと、記事本数がJBpressと比べ少ないことに鑑みて、何かしたら技術関連でなおかつ一つのテーマに絞って連載した方がいいのではと考え、担当者とも何度か検討を行ってきました。ただ技術関連といっても自分は決してAIとかに造詣が深いわけでもなく、ノギスの使い方くらいなら説明できますが、果たして素人の自分で何が書けるんだろうかという点が少しネックになりました。

 その際に閃いたのが、自分の得意技は割と昔の内容でも急に思い出したり、最近起きた出来事に結び付けて説明したりすることで、過去の技術関連ニュースならいろいろ総括して記事化できるかもという案でした。その際にたとえ話として出したのが今回配信した東芝テックの特許庁システム開発プロジェクトの失敗で、これなんか単体でも十分記事に書けるし、自分も当時生で見ていて周りの人にも話を聞いていたのですぐ書けると伝えました。
 また同時に、こうした失敗したプロジェクトをNHKが放送していたプロジェクトXの逆バージョンとして取り上げていけば、相当かけるネタが生まれるし、「いったいなぜ失敗したのか」という観点ならテーマの一貫性も保持できるということに気が付きました。そっからはとんとん拍子で、「プロジェクトE(nd)」というカテゴリで、ひとまずスタートしようという結論に至りました。

 比較的持ちネタが豊富なのと、自分自身も興味ある書き物なので今後時間を見つけ次第にどんどん書いてどんどん配信していくつもりですが、こうしてまたこのブログ以外でコラムを連載できるようになったのは自分としてもうれしい限りです。ただ問題なのはかつてと比べると本当に取材時間が取れなくなっており、何か力を入れる記事ネタが見つかった際にはどうしようかなと今考えています。まぁそれは後で考えればいいだけですが。

 それにしてもつくづく思いますが、子供のころから物書くことを仕事にしたいとは思ってはいたものの、まさか本当に今のような立場になれるとは当時思いませんでした。最初は新聞記者になりたかったけど今の状況見ていると案外ならなくて正解だったと思うと同時に、結局物書く実力があれば媒体なんてあんま関係ないなと思えます。それはともかくとして最近ほんとドライアイがつらい( ;∀;)

2023年12月17日日曜日

錣山親方(寺尾)の死去

元関脇寺尾の錣山親方死去 60歳 細身の体で闘志あふれる突っ張り 親方として阿炎ら育成(日刊スポーツ)

 以前からあまり体調がよくないとは聞いていましたが、元寺尾こと錣山親方が逝去されたとのことです。錣山親方に関しては親方時代はもとより、現役時代もまだ私が子供だった頃に直接見ており、当時から細見イケメンの力士として非常に高い人気を持っていました。

 親方となってからは比較的バラエティ番組にもよく出演し、自分が覚えているものだと「さんまのからくりテレビ」でボビー・オロゴン氏が体験入門する回で錣山部屋が受け入れて出演していました。相撲解説に出る際も、こちらもこのところ体調不良が伝えられている北の富士勝昭氏と並んで非常に活舌が良く、なおかつわかりやすい解説ぶりであったことから、北の富士勝昭氏の後を継ぐとしたら錣山親方だろうと内心思っていただけに、この訃報は大変残念に思います。

 以前、元力士の方が運営するちゃんこ屋を訪れて相撲談義をした際、近年は大柄な力士が増え小兵力士の見せ場が減っていることを嘆いていました。かつては舞の海氏、そしてこの錣山親方のような小兵力士がその持ち味ともいえる技を見せていましたが、やはり彼らが活躍した時代は見ていて楽しい相撲が多かった気がします。もちろん、現代の角界も面白いことに違いはないですが、

 ただ改めてこの訃報に触れるにつれ、小兵ながら活躍された寺尾関の業績が偲ばれるとともに、改めて角界における惜しい人物を亡くしたと感じます。末筆ながら、深くご冥福をお祈り申し上げます。

2023年12月16日土曜日

繰り返される夏のトムラウシ山遭難事故

 一昨日の上海の最高気温は20度だったのですが、今日の最高気温は4度、でもって最低気温はー1度と報じられています。実際、自分の部屋の室温も一昨日まで18度だったのに今日は自分が警戒し始める13度台に落ち、夜は電気カーペットつけないとさすがに寝れないでしょう。
 日本も今日は各地で夏日を記録したそうですが、明日明後日にかけて上海のように劇的に寒くなると思います。この激しい寒暖差は結構体に応えるもので、自分も昨日からやや神経が痛んでいるのか少し前後不覚になり、また前からやたら心臓が動悸をするのでこの前成田空港で買ってきた救心を飲んでたりします。


 話は本題ですが、通勤途中に読むものがなくて以前に購入した山渓文庫の羽根田治氏の遭難ルポを読み直していましたが、その中でもやはり特に印象深かったのがこちらの2009年に起きたトムラウシ山遭難事故です。夏山遭難としては8名の死者という史上空前の大規模遭難で、さほどこの手の遭難物に興味のない人の間でも上記のWikipedia記事はよく読まれているという有名な事故です。
 私自身も関連記事を読み漁り事故の経過や地名などもある程度覚えるようにもなったのですが、実はトムラウシ山ではこの2009年以前にも、夏山シーズンに2名がなくなるという遭難事故が起きています。


 以前はなかったと思うのですがなんかWikipediaの記事ができていたのでリンクをつけます。私自身はこの2002年の事故は前述の羽根田氏のルポで読んでいたのですが、大まかな経緯を話すと台風が接近して天候が荒れ始める中、天気予測を見誤って登山を強行した結果、女性4人パーティのうち1人が亡くなったほか、8人の山岳ツアーで女性客1人が亡くなるという運びとなっています。経緯について詳細に報じられているのは前者の4人パーティの例です。
 この事故は7月に起きていますが、亡くなった二人はどちらも死因は低体温症でした。真夏真っ盛りにもかかわらずこのトムラウシ山では一気に気温が冷え込むことがあり、また降雨があれば風雨を避けられるような森林もコースに少なく、対策となる衣服やテントがなければ急激に体温が低下することがあると報じられています。

 私がこれまで知っていたトムラウシ山の事故はこの二つだったのですが、記事を読み返してネットでほかにも何か関連記事がないかこの前何気なく調べてみたところ、なんともう1件、夏季のトムラウシ山における遭難事故があったことを知りました。


 こちらの事故について上記リンク先のブログの方が、たまたま遭難者と事故直前に鉢合わせていた方と知り合いだったほか、事故現場近くにいた方の証言も得られ、事故詳細について詳しくまとめてくれています。
 その内容によると遭難者は高齢の男性1名の単独登山者で、2015年の7月に悪天候の中で出発を強行したものの途中で動けなくなり、別の登山者が見つけ救助を行ったものの体力が持たず、凍死されたとのことでした。たまたま当時トムラウシ山にいた別の登山者によると、当時の気温の荒れ具合は凄まじく、強風でロープが切れたり、気温はマイナス5度を記録したとのことで、7月にそんな気温が出てくることにただただ驚くことばかりです。

 ただそれ以上に注目すべき点として、上記3件の遭難事故はすべて同じコースだという点です。

 ヒサゴ沼避難小屋を朝出発し、北沼を超えてトムラウシ山へ向かい、トムラウシ温泉へと下りていくというルートなのですが、3件とも夏季に、また天候が荒れ急激に冷え込んだ結果凍死者が出るという経過まで完全に一致しています。もちろん事故の起こりやすいコースや岩壁なんてどこだってあるでしょうが、なかなかに衝撃的な夏山遭難事故がこうも何度も同じ山、同じコースで繰り返すものなのかという点で少し驚きを感じます。
 遭難者の遭難当時の装備に関してはそれぞれ分かれるでしょうが、それ以上に事故原因ははっきりしており、悪天候での強行にあると断言できます。このうち2009年の事故では悪天候から山頂には上らず、下山を優先するためその山腹を迂回するルートを通っていますがそれでも死者を出す事故へと発展しています。この点、やはりどの事故を見ていても、途中で動けなくなった際にビバークする場所がなく、かといってエスケープするルートもなく、そのまま体温と体力を奪われるという結末が多いような気がします。

 もしかしたらトムラウシ山のほかにも同じような事故が多発する場所もあるかもしれませんが、これほどまでに大々的に報じられる遭難事故が過去にありながらさらに事故が起きるという点で、なんか魔性めいたものをこのコースに感じます。そもそも自分は登山なんてしませんが、トムラウシ山のこのコースだけは、薄気味悪さも感じるので何としても避けたいというのが本音です。