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2024年1月7日日曜日

大河でやるべきなのは北条氏では?

 このところのテレビ離れも反映しているのか、NHKの大河ドラマは年を追うごとに評判が悪くなっている気がします。朝ドラも「あまちゃん」あたりがピークで近年はニュースの話題にすらならなくなっており、視聴者もどんどん縮小していることを考えると今後もさらなる縮小を続けるのではないかとみています。

 さてそんな今年の大河ドラマは全然内容を調べていませんが、源氏物語の作者である紫式部が主人公とのことです。
 関係ないけど源氏物語大好きな日本語に堪能な知り合いの中国人OLがある日源氏物語の話題を振ってきたので、「あの作者、日記に同時代の女流コラムニスト(清少納言)は高慢ちきでいけ好かない奴だとめっちゃ悪口書いてたよ(´・ω・)」と教えてあげたら軽く引いていました。

 話は戻しますが今年の大河は内容が余り史実に沿わず、また篤姫以外の女性主人公の大河ドラマは朝ドラを意識したファンタジーな展開が多くてあまり評判が良くないこともあり、前評判はあんまいいように見えません。かといって毎年ファンが付いてきやすい戦国時代ばかり取り上げるわけにもいかず、なんかよくわからないノリでファンタジーでもいいから平安時代をやるようになった感がある気がします。

 なら一体どんな大河ドラマだったら受けるのかですが、個人的には近年徐々に研究が深まり、関心も高まっている後北条こと、戦国時代に小田原を拠点とした北条氏一族を取り上げるのがベターなんじゃないかとひそかにみています。
 戦国時代は基本的に近畿と東海に注目が集まり関東はあまり取り上げられないのですが、もう一つの理由として当時の関東は非常に勢力争いが激しいうえに群雄割拠が続いており、あまりまとまりがないというのも関心が低くなる理由だと思います。そんな中で北条氏が徐々に勢力を拡大し、一時は上杉謙信と激しい攻防を繰り広げますが、こちらがひと段落ついてからというものは関東支配をほぼ確立しています。

 最終的には秀吉の小田原征伐によってその歴史を閉じることとなったものの、北条氏の時代の関東地方は非常に治安が行き届き、また検地が熱心に行われていたことから当時の各地の石高なども事細かに記録が残されているといわれます。実際、小田原征伐の際に住民らはこぞって北条氏に味方したといわれ、領民の信頼を強く得ていたそうです。
 それ以上に、伊勢新九郎こと北条早雲はかつては素浪人から大名になりあがったといわれていましたが、実際は京都の室町幕府直参、つまり中央官僚で、関東の混乱を視察し、収拾するために派遣されてきたことが近年になってわかってきました。その中央官僚が何故関東に覇を唱えるようになったのか、この辺は親戚関係にある今川氏との絡みを含め今後の研究を待たねばなりませんが、こうした最新の知見を一般に広めるうえでも北条氏で大河ドラマを作る価値はあるような気がします。

 もっとも北条氏を主役に取り上げた場合、如何に武田信玄が信用のならない奴だということがはっきり見えてくるため、山梨県辺りは制作に反対するかもしれません。マジで北条市の視点で見ると、武田信玄は藤原竜也氏が演じてばかりいるクズにしか見えなくなってきます。

2024年1月6日土曜日

中国のネットローンの問題性

【官製アプリ開発の実態】新型コロナ接触確認アプリCOCOAはなぜパッとしなかったのか?(ロボティア)

 配信自体は去年でしたが紹介してなかったので、遅ればせながらこちらの記事をこの前書いて載せました。失敗プロジェクトとして2回連続で官製IT案件を取り上げましたが、変に分けるより2回連続でこの手の話をやった方がいいのかなという思惑からで、明日書く予定の記事ではソフトウェアではなくハード案件にするつもりです。

 それで話は本題ですが、大体2年くらい前に上海人の友人から、「最近中国ではスマホなどで利用するネットローンが急拡大し、返済に困る人が増えているなど大問題になっている」といわれ、この問題をぜひJBpressで記事化すべきだと言ってきました。ただこの友人に対し私は、日本のサラ金のほうが大手を振ってやっているのに比べると中国のネットローンはそこまで深刻だとは思えないとして、この友人の提案を断り、結局記事化しませんでした。

 そんな感じで数年の時を超えた現在、昨日にちょっと中国人の同僚に大学時代の生活について尋ねたところ、このネットローンの話が少し出てきました。というのも、親の仕送りに満足できない子が一部使っていたという話だったのですが、これを聞いてようやく自分もこのネットローンの問題点に気が付くことができました。

 知ってる人には早いのですが、中国の大学生は基本アルバイトをしません。しないというよりできないに近く、学生アルバイトを募集する企業や商店がほとんどないためです。その理由は何故かというと日本ほど中国の学生は自由な時間が多くないというのもありますが、中国の場合だとフルタイムの労働者もその辺にたくさんおり、パートタイマーを雇うくらいならフルタイマーを雇った方が店の側にとって都合がいいため、アルバイトをいちいち募集しないという背景があります。
 そのため、中国の学生の収入は基本的に親の仕送りと奨学金頼みとなり、家賃なんかは基本的に大学の中に寮があるので比較的安く抑えられるものの、食費や生活費は全部親の采配次第となります。

 さて、そんな中国人の大学生がネットローンを使ったらどうなるのか。恐らく使うとしても大半の人は「どうしても欲しいものがあるから今月使って、来月の仕送りから返済しよう」的に、消費の繰り上げ的に使うと思います。しかしある意味で最も消費意欲が高い年代ともいえることを考えると、消費能力を超えて、具体的には月1000元(約2万円)しか仕送りがないのに5000元(約10万円)を借りてiPhone買ったりした場合、果たしてその後に返済できるかとなるとだんだん怪しくなります。

 日本であれば仕送り以上にお金を借りたとしても、アルバイトの時間を増やしたりするなどして収入を増やすことにより返済に至ることができますが、中国だとアルバイトによって収入を増やすことはそもそもできません。そう考えると、何かの拍子に消費能力を超えた融資を受けてしまうと、親や友人に泣きつくしか中国人の大学生はできなくなります。

 以上を踏まえると、中国の大学生は消費意欲が満々ながら収入が制限されているため、こうしたネットローンはかなり危険な果実なのではないかという見方がもたげてきました。しかもこのネットローン、本当にスマホ一つですぐに契約できたりするので、親の目が届きづらい点もあります。
 実際、ものすごい金額を借りて首が回らなくなる若者増えてきているといいます。特に中国なんか高校までの勉強がものすごい厳しくて大学デビューする若者も多いと聞くだけに、見ていて危うさしか感じません。

 以上を踏まえると、18歳以上という条件だけでこの手のネットローンを使わせるのは、中国だとかなり危険であるような気がします。実際に就労しているなら話は別ですが、扶養されている学生の間であれば親の承認が必要とするなどの対策が、中国だと必要であるような気がします。

 なお中国人の友人はネットローンは金利も高いと話しており、先ほど調べてみると5%から20%台まであり、確かにこれは中国の市場金利と比べても高めな印象があります。なお日本のサラ金の金利は18%など10%台後半に集中しており、これと比較すると確かに高いでしょう。

 ちなみに自分はサラ金などの消費者融資はこれまで一切利用したことがありません。そんなに消費しない、っていうか生活費以外には漫画とゲームとプラモにしか使わないため貯金はたまっていく一方なため縁がないのですが、高額のために1回くらいは利用してもよかったような気がします。

 最後に余談ですが、前述の通りに中国の大学生は親の仕送りに頼る生活をしているため、人によっては非常につつましい生活を送っており、贅沢をかなり我慢しなければなりません。自分の友人の中国人も2000年代前半に学生だった頃、仕送りは月400元でその中で食費などの費用を賄っていたのですが、「どうしても我慢できなかった……」といい、ある日イージスガンダムのプラモを月の仕送りの半分に相当する200元で購入するという賭けに出たそうです。
 これを聞き、日本人からすればちょっとした消費に思えるガンプラが、当時の中国の若者にとっては生活を犠牲にして初めて得られる高価な贅沢だったということを知り、なんかすごい衝撃を受けました(;´・ω・)

2024年1月4日木曜日

自然に対する養老孟司氏との認識齟齬

 養老孟司氏といえば書籍「バカの壁」でおなじみの解剖医で、現在も講演や執筆活動を旺盛に行っています。「バカの壁」が出たのはもう随分と前ですがその発売時は大いに話題となってベストセラーとなり、当時はよくテレビにも出演していたのを覚えています。
 私も当時、よく売れて話題になっているということからこの本を手に取って読んでいるのですが、自分でも非常に不思議なのですが、「バカの壁」の定義を含め、この本に何が書かれていたのか当時も今も全く覚えていないのです。

 読んだ本の内容が全く記憶に残らないなんていうことは他にはほとんどなく、同時期に読んだ渡辺淳一の「鈍感力」なんかかなり良く覚えているだけに、自分がなぜ「バカの壁」の内容を全く覚えていないのか当時から非常に不思議でした。そのため、「バカの壁」は確か3回くらいは繰り返し読んだはずなのですが、それにもかかわらず内容を覚えることができませんでした。
 一体何故「バカの壁」は私の記憶に残らなかったのか。結論から言えば、私と養老氏で根本的な価値観や考え方が大きな開きがある、特に自然に対する認識で大きな齟齬があるためではないかと、この度ようやく気が付きました。

 なんで急にこんなことに気が付いたのかというと、養老氏の別の本を読んだのがきっかけでした。その本は最近文庫化された「自分は死なないと思っているヒトへ」という本で、養老氏の結構前の講演内容をまとめた本です。
 主に生活スタイルが都市化していくことで意識ばかり先行するようになった現代社会の特徴を指弾する内容となっているのですが、この本の中で養老氏は「自然」こそが大事で、その対となる存在にあたる都市、人工物に対しては全体を通して批判的に語っています。

 この養老氏の言う自然についてですが、養老氏が子供だった頃の鎌倉にはたくさんの自然があり、趣味の昆虫採集にもいそしむことができたなどという風に語られます。そのうえで、海外、特にブータンなんかはこの手の自然が残っており、東京などには公園などはあるけどああいうのは人の手が入った人工物であり自然ではないと否定しています。

 以上のような養老氏の自然観を読んでいる最中、自分の中である疑問がもたげました。具体的には、「真冬で極寒の中にある北海道の平野とか、水一滴存在しない高所山岳地帯などは、養老氏の中の自然に含まれているのか?」という疑問です。
 書籍を読む限り、養老氏が「自然がある場所」として挙げられている環境というのはどれも、昆虫がたくさん生息する森林しかみられません。そうした場所の自然のありがたみや恵みについて養老氏は度々強調しているのですが、私にはこれが腑に落ちず、そもそも自然というのは恵みだけをもたらす存在ではないという風に認識しています。

 前述に挙げた、人間、それどころか虫を含むほとんどの生物にとって生存し続けることが困難な場所もまた、人の手が全く入っていない自然地帯です。むしろ、森林以上にナチュラルな場所だとすら考えています。
 そのうえで、自然というのは人に恵みをもたらすだけでなく、時に善人であろうと悪人であろうと関わらず、容赦なくその命を刈り取る厳しさも持っていると考えています。人が死ぬほどの暑さや寒さ、そして乾燥だけでなく、台風や地震などといった災害もまた自然の一部だと私は考えており、ただ一方的に人へ恵みをもたらしてくれるありがたい存在ではありません。敢えて例えるなら人を導く一方であっさり消し去ることもある、一神教における神のような二面性を持った存在として私は自然を見ています。

 そうした見方から私は自然に対し恵みをくれるありがたい存在とは見ず、如何にしてその逆鱗に触れずにおこぼれに預かるかを考える、畏怖の対象としてみています。そもそも自然を管理、支配するということは人類にとって土台無理な話であり、昨今の環境対策とかに関しても、人が及ぼせる範囲内で自然を人類にとって有利な方向へ誘導する程度の小細工に過ぎないという風にも見ています。

 あくまで私の解釈ですが、養老氏の自然に対する概念にはこうした自然に対する畏怖感、そしてその厳しさに対する警戒感が見られず、自然はいいものと全面肯定しているようにしか見えません。そのうえで都市、人工物に対し非常に否定的なことを何度も述べられていますが、私は人が密集して暮らす都市ができたからこそ人同士の距離感など初めて得られた感覚もあると思え、「都市だからダメ」という風に言い切ることは早急ではないかとも思います。

 そもそも前述のような認識から、私は自然そのものが美しいとは思っていません。あくまで自然というのは美しさも内包しているだけで、むしろその全容は呵責なく人間を一度に大量に弑することもある恐ろしさをはらんだものとみています。
 そうした自然の脅威に対し、寒さや暑さの対策を盛り込んで組まれた住宅や、水害を防ぐための信玄堤をはじめとする治水措置などは完全な「人の手によるもの」でありナチュラルな存在ではありませんが、私はこれら人工物は自然の脅威を抑えようとする人類の叡智の結晶であり、そこには強い美を内包していると考えます。

 また養老氏が「人の手が入ったもの」と批判する公園、特に庭園などに関しては、自然の中に含まれる美を人間が見出し、抽出、再構成したものであり、これこそが自然の美であるとも私は考えます。山岳地帯の風景など、全く人の手が加えられていない自然の美も確かに存在するとは思いますが、人の手が入ったからと言って自然の美ではないと全否定するのは間違っているような気がします。

 以上のように、自然に対する認識で私と養老氏の間にはかなり埋めがたい認識の齟齬があるように思え、恐らくこの根本的な価値観の違いから、養老氏の主張する内容を私がほぼ全く飲み込めず、その著作を読んでも記憶に残らないのではないかと思います。
 そのうえで養老氏が述べる「自然」というのは、はっきり言えば子供時代を過ごした鎌倉の風景、いわば憧憬のことを言っているのではないかという気がします。だから人を寄せ付けない自然は含まれないし、当時の鎌倉とは程遠い現在の東京などの姿を否定的に語っているのではないかと思え、この辺の「自然」という言葉の定義の差が、自分との間で認識齟齬を生んだのではないかと推測しています。

2024年1月3日水曜日

能登半島地震と羽田空港事故に対する中国人の反応

 日本はまだ三が日でしょうが自分は昨日から普通に働いています。ただオフィスの日本人はほぼ全員が日本に帰省中とあって、自分とチーム内の後輩一人だけがオフィスにきて出勤しました。
 そんな三が日の今日、一昨日に能登半島での地震があり、昨日には羽田空港の接触炎上事故があって、「まさか三日連続で大きな事件が起きたりしないだろうか」とやや戦々恐々な気持ちでニュースを見ていましたが、地震被災者の救援活動こそ続いているものの、今日においてはまだそこまで大きな事件や事故がなく、ややほっとする気持ちでいます。

 そんな大きなニュースが新年早々二日連続で続いた日本ですが、中国においてもこれらニュースはトップニュースとして報じられています。その反応についてあくまで自分がネットでさらっと見て、周りの中国人同僚に話を聞いた限りの水準で話すと、まず能登半島の地震については発生当初、そこまで大きく関心は持たれていなかった気がします。
 四川省などの内陸部は別として、中国の大半の地域は基本的に地震と縁がなく、日本で震度7と聞いてもどれほどの災害なのかいまいちピンと来ていない気がします。また発生当初は死傷者を含めた被災状況がまだ詳細にわからず、報道でも映像がまだあまり報じられなかったこともあり、何となく中国の報道を見ていると実態より小さく報じられているような印象がありました。この点に関しては、関心が低いというより感覚がつかめないところが大きいと思え、仕方ない気がします。

 一方、昨日の羽田空港の事故に関しては発生当初より大きく注目されました。自分自身も、報道を見た中国人の友人から連絡があって初めて事の次第を知ったのですが、その後に海上保安庁の機体からは死傷者がでてしまったものの、日航機の乗客乗員は全員避難できたという報道を見て、中国でも非常に大きな驚きとともに受け止められています。
 同僚が送ってくれたネットのコメントでは、「俺はこれからは多少値段が高くてもJALの便を使う。彼らはその優秀さを証明して見せた」といった内容が書かれており、基本的にJALの対応を褒める内容で溢れています。実際、それだけのすごいことをやってのけたと私も考えています。

 一方、中国で当初一部で報じられた内容には、「民間航空機が軍用機に接触し……」という風に、海上保安庁をどうも海上自衛隊と誤解したような記述がみられました。友人なんかまさにこれに引っかかっていたので、海上保安庁はさすがに軍ではないと訂正しました。
 まぁ自衛隊も軍隊ではないと日本政府は言っていますが、さすがにそれは無理があると自分は考えています。

 ちなみにたまたまですが、中国人の同僚がこの年末年始に初めて日本を訪れていたのですが、その初めての日本旅行で東京とはいえ能登半島の地震の揺れを体感した上、発生後とはいえ、事故当日に羽田空港を訪れていたというのを今日聞きました。事故の影響で出発が遅れたものの上海行の便は夜中に出発することができ、今日早朝に上海についたそうです。でもってほとんど寝ないまま、今日出勤してきました。

2024年1月1日月曜日

元旦の大地震

 今日元旦は午前中にゲームし続け、午後からプラモ(A-6イントルーダー)を作り、作り終えた後にお年玉とばかりに同僚が送ってくれたスターバックスのオンラインクーポン券を使うためスタバに行きました。クーポン商品を受け取ってそのまま席について何気なくスマホでニュースを見たところ、石川県能登半島付近で大きな地震があり、震度七も記録したことをそこで初めて知りました。
 被災者の方々にとっては寒い冬のこの時期に避難を余儀なくされ、大変な目に遭われたことに深く同情するとともに、無事であることが願われます。同時に、今も余震が懸念され現場では混乱が続いているとのことですが、迅速な救助や救援が進むことも併せて願われます。

 今回のこの自信を見てまず真っ先に思ったこととしては、災害は時期を選ばないという点でした。縁起のいい元旦だから災害なんて起こるわけがない、というわけはなく、どんな吉日であろうと自然災害は時と場所を選ばず発生するものであり、用心を欠かすことはできないということを改めて痛感されました。私のいる上海においても「中国では一部地域を除いて地震は起きない」という楽観視はする者ではないでしょうし、日ごろから備蓄食料を含め災害への対策を忘れてはならないものだと考えさせられます。

 むしろ年の初めだからこそ、こうした災害への警戒感を引き締める上で重要かもしれません。まとまりのない記事ですが、2024年の最初の記事としてはやはりこの点について触れておかねばならないと感じた次第です。

2023年12月31日日曜日

我一向是無所謂的(わたしは一向にかまわんッッ)

 先日、中国人の同僚に「私の好きな中国人キャラ」として漫画の「バキ」シリーズに出てくる烈海王の画像を百度で検索したところ、彼の名台詞でスピンオフ作品でも引用されてある「わたしは一向にかまわんッッ」について、見出しの通り「我一向是無所謂的」(実際には簡体字で直されてた)と翻訳されていました。
 元の言葉に合わせるならば無理して「一向」を入れなくてもいいのですが、これを翻訳した人は敢えてこの言葉を入れたと思います。その甲斐あって元のセリフを知っている人間からすれば非常に通りのいい訳語となっており、また烈海王はもともと中国人ということもあり、なんか中国語で書いたセリフのほうが似合っているような印象すらあります。

 こう言った翻訳に関して、法律文書ならともかく、エンタメ作品では如何に意訳するかというテクニックがやはり求められてくるでしょう。この手のものとして伝説的なセリフとしてスターウォーズエピソード3の「地の利を得たぞ(I have the high ground!)」というのがありますが、これに関しては「(高みから見下ろす感じで)この未熟者め!」と訳している人がいましたが、私もこっちの方がいいと考えています。
 なお同じ戸田奈津子氏のスターウォーズの誤訳で有名なのは「義勇軍」とすべきところを「ボランティア軍」と訳した例もあり、原語に引っ張られすぎだろと内心思います。

 上のは悪い例ですが、逆にいい訳され方したなと思うものとして「With Great Power Comes Great Responsibility」があります。これは言うまでもなくスパイダーマンに登場するセリフで、かつそのヒーロー性を代表するセリフですが、日本語では「大いなる力には、大いなる責任を伴う」と訳されています。下手な訳者だったら「Comes」を無理やり入れて「大いなる力とともに大いなる責任が来る」という風に訳してたかもしれませんが、単純に「伴う」でまとめ成語としたのは素晴らしい手腕だと思います。

 なおこのセリフですがつい最近見た映画解説動画によると、原典の漫画版スパイダーマンのある回で小さくモノローグに入れられていた言葉だったそうです。それを映画の初代「スパイダーマン」の監督であるサム・ライミがベンおじさんが今際の際にピーターへ伝えるセリフとして使用し、スパイダーマンを誕生させるきっかけと変えたことで、一気に普及しました。多分後代にも語り継がれ、今後英語のことわざになってくんじゃないかな。

2023年12月29日金曜日

ジェットスターのストライキを見て

 年末年始で運送業者にとっては忙しいも稼ぎ時の中、LCCの一角であるジェットスターでは現在ストライキが行われています。この影響で一部便が欠航にもなっていることから話題となってニュースでも大きく報じられていますが、私個人はこのストライキは社会不安を煽ったりする政治的な類ではなく、純粋の従業員の待遇改善を目指したストライキであるように見えることからスト中の従業員を応援する立場にあります。
 というより本来的に言えば賃金上昇を訴えかけている政府も、ジェットスターの労働組合をもっと応援してもいいような気がします。もちろん過度な肩入れはよくありませんが、「ストライキは従業員の権利である」などという一言くらいは岸田総理もかけてあげてもいいのではないかと思います。まぁ今の自民党がそんな余裕すらないというのもわかりますが。

 もう一つこのストライキを見て思うこととしては、ジェットスター以外でこの手のストライキ報道がなされないという点です。日本企業の業績は円安の影響もありますが総じて良く、株価も高値で推移しているだけに、日本の労働者は企業に対しもっと従業員への還元を訴えてもいいはずです。にもかかわらずストライキを含む団交の類は一切耳にせず、経営者側が勝手に賃金引き上げてくれるのをただ待つばかりな企業や業界が多いように思え、何やってんだよと内心思っていました。

 それだけに今回のジェットスターのストライキは他の業界にもぜひ波及していってほしいと思うと同時に、こうした団交がこれだけ条件の揃った今の日本でほとんど行われていないというあたり、なんかそれはそれで日本の労働者も情けなくなったというような感があります。端的に言って闘争心に欠けているように思え、争いはもちろんよくありませんが、戦闘民族サイヤ人に限らず一定の闘争心は人間にとって大事だと思うだけに、言い方悪いですが臆病な日本人が増えたなという印象を持っています。

 逆にそうした風潮の中で、今回パイロットを含めジェットスターがこうして注目の集まりやすい、ややもすれば予約便が欠航となった消費者から反発を受けやすい時期にストライキを決行して待遇を要求していることは非常に立派だ思え、今後の交渉次第ではあるでしょうがいい方向に向かうことを陰ながら祈っています。