上のまとめ記事ですが、一時は「ポスト宮崎駿」といわれていたアニメ監督の細田守氏ですが、その後「君の名は」で一気にスターダムに上がった新海誠氏にすっかりお鉢がとられたことについていろいろ議論されています。それでこの見出しですが、あながちとてっつけた見出しではなく、実際かつてはこのようにしてアニメ業界は細田氏をもてはやし、かなり熱心に祭り上げようとしていました。
何故こう断言できるのかというと、実際に当時のことを非常によく覚えているからです。具体的な時期としては「サマーウォーズ」が公開された後の2011~2012年ごろで、これから世界のアニメを率いる名監督などとあっちこっちで宣伝記事が出ていました。それと同時に、「一体何故細田氏が祭り上げられるのか」という、上記まとめ記事と全く同じ趣旨の記事を2012年当時に出ていました。
その記事では単純に、「アニメ業界が一般にも通りのいい、スターとなる監督を欲しがっているため」と言い切っていました。最近また「君たちはどう生きるか」を公開しましたが、大仁田厚氏と同様に宮崎駿氏もしょっちゅう引退宣言を出しては撤回する人で、2012年ごろももう新作は作らないなどということを言っていました。宮崎市がアニメ業界からいなくなった後、「この人が作っている」とばかりに名前だけでも売れるアニメ監督を当時のアニメ業界は熱望しており、ちょうどそのころに名前が売れ出した細田氏がまさに格好の候補となったことで、業界の期待を集め祭り上げられるようになったという風に書いていました。
一体なんでこんなことを細かく覚えているのかというと、友人に勧められて「サマーウォーズ」を私も見ましたが、あの作品に関して全く面白いと感じることができず、むしろそのひとつ前の「時をかける少女」のほうがよかったのにという印象を覚えていたからです。宮崎氏とまでいかずとも、細田氏が何故これほどまでに名監督だといわれるのかが端的に疑問だっただけに、上記のスタートして祭り上げようとしているという記事の内容がストンと落ちたことから、当時の空気なりもかなりはっきり覚えています。
なお新海氏に関しては、確かにこの人はすごいと感じています。単純に背景の色の使い方が非常にうまく、またその色が映えるような展開をきちんと作るという意味でこっちは間違いなく歴史に残る人物だという風にみています。にしても細田氏との比較で言えば、なんかマー君とハンカチ王子みたいになったなぁ。
話は戻しますが、アニメ映画業界に限らずどの業界においてもスターというのは望まれます。スターがいるかいないかで消費者の拡大や維持は大きく変わるだけに、業界がスターがいないってんなら無理やりにでも作ろうという気持ちは非常にわかります。
例えばスポーツ業界なんかは、野球だとやはり王、長嶋時代は特別で、その後は桑田、清原のKKコンビが大いに業界を引っ張りましたが、近年は大谷選手が活躍し過ぎてなんか日本国内のスターがちょっと出辛い雰囲気になってきています。むしろOBだけど張本勲氏のほうがお茶の間にも浸透しているスターな気がします。
またゴルフ業界についていえば、男子ゴルフなんかは石川遼選手が活躍したころは非常に盛り上がりましたが、彼以降はやyスターが不在で、それに伴い人気も凋落してきているように見えます。女子ゴルフも同様で、ばくだんいわに似ていると言われた宮里藍氏などが活躍したころは華やかなり氏でしたが、なんか近年は渋谷日向子氏しか話題にならず、また彼女も絶大というほどの浸透度を持っているようにも見えないため、業界が物凄い推しているのはわかるけどなんか暖簾に腕押しみたいにも見えてきます。
このほかクリエイティブな業界に関して言うと、今回改めて思ったこととして、スターとなる人物が思ったよりいないのがゲーム業界です。元々、若手クリエイターで特に顕著ですが、引き抜きが激しいためにゲーム業界では制作者名をあまりアピールしない傾向があるものの、それを推しても漫画やアニメ業界と比べるとザ・この人的に知名度の高いクリエイターが少ない気がします。
強いて挙げるとしたら、「メタルギアソリッド」シリーズの小島秀夫氏、あと「タクティクス」シリーズの松野泰己氏なんかは強い支持を受けていますが、それ以外だとアニメ業界における宮崎駿氏的な人物はあまり出てきません。まぁドラクエの堀井雄二氏なんかも通りがいいですが、ドラクエ以外あまり作らないし、制作本数もやや少ない感じがします。
また昨日一気に炎上したレゴランドの社長みたく、ゲーム業界は世間慣れしていない人が多いのか、一時は高い知名度を得ながらもその後の発言で顰蹙を買い、フェードアウトしていった人も少なくありません。代表格は「龍が如く」シリーズの名越稔洋氏で、10年前と今とで比べるとその名前のヒット数は文字通り桁違いに下がってるでしょう。彼の場合は完全に自身の発言で人気を落としており、余計なことを言わなければシリーズも続いているんだし、高い評価を維持できたのになという気がします。
一方、初代ドラクエの制作者でありチュンソフトの創業者である中村光一氏は、会社を経営してきただけに発言は落ち着きながら、長くこのゲーム業界をリードしてきています。ただ、発言が落ち着きすぎてて若干キャラが濃くないこともあり、一般への知名度はそれほどではなくスターだと言い切れないところがあります。いや凄い人だとは思ってますが。
以上のようなことを帰宅途中の電車の中で考えいたところ、やはり一般にも通りのいいクリエイターがゲーム業界は少ないからこそ、よくゲーム作品のアピール時に「大物声優が出演!」などと声優名をやたら前面に出してアピールしてくるのかなということに気が付きました。なおそうした声優名を前に出したゲームはクソゲー率が高いと言われており、実際自分もそう思います。大物声優が出演するとしても、その名前をアピールしないゲームのほうが面白いことが明らかに多いです。
それにしてもスターといえば、さっきも挙げた楽天のマー君こと田中選手のフェードアウトぶりは色々残念に感じるところがあります。先の安楽騒動での批判もありますが、いくら成績が以前ほどではないにしろ、近年の人気の低下ぶりはちょっと目に余ります。
もっとも彼の場合、本人というよりイーグルスというチームが安楽騒動をはじめなんかギスギスしていて、ファン離れを引き起こしているようにも感じます。同じく成績の振るわない中日なんかは逆にコメ騒動などネタ的な話題に事欠かず、妙に盛り上がっているのと比べると対照的です。