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2024年9月3日火曜日

中国のネット身分証検討を見て


 なんか知らんが作る前は一切興味もなく安いから買っただけなのに、作り終えてからこのX-29がやたら気に入るようになってきました。同じエリア88の風間真が乗ったF-20タイガーシャークも同様に作った後から好きになりましたが、あの漫画の作者が主役に乗せるだけあっていい機体なのかもしれません。


 話は本題ですが上のニュースを見て率直に言って疑問を感じました。結論から書くとこれは完全に本人特定が目的ではなく、本人特定は政府によって簡単に行われるというのを威圧的に見せることが目的でしかなく、こんなことをしても不満の種は消えることはなく、むしろ前以上に増大すると断言できるからです。

 順を追って説明すると、そもそも中国で誰かに成りすましてネット上で意見を発信するなら別ですが、匿名で意見発信することは現状ですでに不可能です。ネットへのアクセスやプロバイダー契約においては携帯電話番号が絶対必要で、またネットカフェを使うにしても入店時に国民番号などで本人特定が行われます。まぁこの身分証を偽造するならまだいけるか。
 にもかかわらずここでさらにネット身分証を作るとしたら、敢えて言えば運転免許証に対する証明書を別に作るようなもんで、本人特定や証明において如何なる価値も持ちません。にもかかわらず敢えて作ろうとする辺り、前述の通り中国政府がネット上で批判とかしたらすぐ捕まえるぞという脅し目的で敢えて作ろうとしていると私は見ており、これも比喩で言えば機関銃の横に実際には作動しない機関銃をさらに置くようなものです。

 しかしそもそも論で言えば、仮にこんなことをしても社会に対する不満や批判は中国では少なくならず、むしろかえって今まで以上に表面化するという風にも予想します。というのも、不満というのは吐き出さなければ出さないほどどんどん増大するものだと考えるからです。

 この辺は多分まだどっかにあると思うけどこのブログで書いたかつて大きく認知されていた「ネット右翼」という言葉が現在ほぼ死語化している理由と同じです。平成初期から中期にかけての自虐史観時代において、表立って愛国主義的な発言はマイルドなものですら一般社会で主張することは憚られる傾向がありました。そのため世間で発言できないこの手の感情はかえってそのうっ憤を晴らすかのようにネット上で先鋭化するようになり、極端な愛国主義が当時はネット上でよく叫ばれていました。
 しかし平成後期に自虐史観が薄れたというか左翼主義思想や勢力が社会における影響力とともに大きく後退すると、愛国主義的発言が公でも以前より自由に発言できるようになりました。その結果、ネットで喚かなくても普通に発言してストレスもためないため、ネット上では先鋭化した発言が消えるどころか「ネット右翼」と呼ばれた勢力自体も現状ほぼ消失しています。

 こんな感じで、批判や不満は抑えれば抑えるほど先鋭化する傾向があり、統治者というのはこの手の不満の吐き口をどこかで用意しておくものです。現状ではやはりネット世界がこの手の吐き口になりやすいのですが、日本の場合は日常のストレスが芸能人やスポーツ選手にこのところ向けられることが多くこれはこれで対策が必要ですが、今回のように中国がネットに対する統制を強めようものなら、多分その不満は社会の目につくところで今後より露わになると思います。
 以上のような見解から、何を考えこんな無意味なことをするのかと疑問に思った次第です。そもそも反乱分子をより潰そうってんなら、わざわざこんな風にアピールせずに黙って本人特定手段を追加すればいいだけで、こうして見え見えアピールもするあたりつくづくセンスがない気がします。

 そもそも以前に知り合いの中国人が言っていましたが、江沢民や胡錦涛時代は海外旅行をはじめ、社会における自由がどんどん広がっていった時代だった。それが習近平時代になってからは社会上の制約がどんどん増え、挙句にはコロナ規制もあってどんどん閉鎖的になっていると評しましたが、実に簡潔に中国の移り変わりを説明した評価だと思います。
 あまり言及する人はいませんが、胡錦涛時代はそれまで外資参入規制のあった産業がどんどん解放されて、経済の自由度は飛躍的に高められていました。それが習近平時代に入ってからはその手の話はついぞ聞けず、唯一自分が覚えているのは自動車は新エネルギー車のみ外資100%の出資設立を認めるようになっただけで、そのほかの開放措置は本当に聞きません。本当に何がしたいのか、言い方悪いですが自ら中国経済を不況に突っ込ませるようなことしかしないなという気がします。

2024年9月1日日曜日

三中全会の報告の問題点





 50元(約1000円)と安かったのでX-29を買って作って遊んでました。デカール貼りが鬼作業過ぎる(;´・ω・)
 知ってる人には早いですがエリア88で主人公が最後に乗った機体で、使用していた米国本国よりも日本の方が知名度の高い機体と言って間違いないでしょう。にしてもパイロットはこんな顔だったっけ(。´・ω・)?

 話は本題ですがこのところ「Sntinel Girls 2」こと「救国のスネジンカ」というゲームで忙しくあまりブログ書く気が起きませんでした。なおこのゲーム、「救国」と書いていますが救われるキャラは誰一人として存在せず、前作の「溶鉄のマルフーシャ」を正当進化させた内容で相変わらず素晴らしいです。

 そんなんで 何か各ネタないかなーと思っていた矢先、先日発表された中国政府の三中全会報告について何も書いていなかったことに気が付きました。三中全会というのは中国共産党中央常務委員会(人気5年)がその新体制発足時に発表する、これからの5年間について方針を語る中国においてほぼ最上位の政権方針を指します。
 もっとも有名な三中全会報告と言ったら鄧小平が最高権力を握った年に出された「改革開放」にほかならず、三中全会と言ったらほとんどこの時の方針を意味するほど浸透しています。

 それで今回の三中全会報告ですが、本来なら体制発足時である去年に出されるはずが何故か今年初夏まで発表が延期されていました。その理由は単純に中国の経済不況が深刻で、具体的な対策を出すことができない、方針で揉めていたためと言われていますが、恐らくその通りでしょう。
 このようにして時間をかけてまで今年出された三中全会報告ですが、その内容に対して市場は物足りないとして失望するという意見が多く出ました。私自身も同感で、そう感じた理由は主に以下の通りです。

・不良債権の削減目標が出されなかった
 かつて日本の失われた十年時、当時の竹中平蔵大臣は不良債権を3年で半減化するという目標を掲げ、2年半で実現しました。これが当時は非常に大きかったと思え、現在の中国も当時の日本同様にデフレ不況に入りつつあることから、こうした不良債権の具体的な数値削減目標が欲しかったところですが、「不動産子女をてこ入れしつつ地方債務などを減らしていく」という、あいまいな書き方で終わりました。

・地方への税源移譲
 その地方債務問題については、地方への税源移譲が触れられていました。知ってる人には早いですが中国の地方予算はその多くの歳入を不動産売却収入から得ています。日本人からすると理解しがたいのですが、中国の地方の収入源は日本と比べて非常に少なく、また中央からの助成金も日本ほど割合が高くないため、何かやろうとなると土地の使用権を民間企業に売って予算にするしかなく、そのため不動産市況によって地方財政が左右されやすい傾向にあります。
 こうした状況だというまでもなく債務は高まっていく一方で、これに対し中国政府は今回、地方に増値税を含む間接税などの中央と地方の配分比率を見直すなどして、地方へ税源を移譲するという方針を出しました。一見すると地方に自治を促すいい政策に見えますが、見方を変えるとこれは中央が地方の債務に対し今後責任を持たない、地方の借金は地方でどうにかしろという突き放しではないかと私は見ています。要するに、地方の貯まった負債について中央政府は救済しない姿勢の表れであるように見えます。

・不良債権の処理方法
 上の二つと相まって、不動産業界を中心に返す宛てのない負債額が中国ではどんどん膨れ上がってきていますが、この負債を最後どこに引き受けさせるのかという方針が見えませんでした。一応報告では、不動産業界の活性化を促して処理するような方針を出してはいますが、仮に不動産企業が潰れたらどうするのか、現状からみると先に住宅購入費用を支払った消費者個人に負担させるのではないかという風に読み取れます。
 逆の見方をすると、不動産業界の負債に関して銀行は一切補償しない、損失を引き受けないという方針であるかのように自分には見えました。こう考えるのも中国政府としては銀行、それも国有銀行をなるべく守りたい、安全地帯にいさせたいという動機があるように見え、だからこそ不良債権の処理方法、責任の所在についてやたらあいまいな姿勢を取っているような気がします。
 しかし銀行以外に巨額の不良債権を処理できる受け皿なぞなく、遅かれ早かれかつての日本の住専問題や金融恐慌の時と同様に銀行が矢面に出ざるを得なくなると思います。これは遅れれば遅れるほど傷が広がるものであり、今回こうした姿勢を出さなかったことで中国の未来は数年間が消し飛ぶことになると私は予想しています。

 主に気になったのはこの三点ですが、それ以外でもこれはと目を引く内容が乏しいものがありました。

 ただもう一点あげると、今回の三中全会報告では毛沢東に関する言及があまりなく、逆に鄧小平とその「改革開放」路線についての言及が増えているような気がしました。言うまでもなく習近平は毛沢東信奉者で、プーチン同様に失敗した指導者を何故信奉するのか理解しがたいのですが、ここへきて急に鄧小平路線を打ち出したあたり、焦りを非常に感じます。それだけ彼自身も現状の中国に対して自信を失ってきていることの現れともみえ、今後も政策方針を巡っては二転三転が続くかもしれません。

2024年8月31日土曜日

戦国大名の本拠地移転

 相変わらず政策議論の盛り上がらない自民党総裁選ですが、かつてあったのに今や全く語られなくなった政策議論として、道州制と首都移転があります。どちらも重要だと思う議論でしたが、今やだれも関心がなく今後も盛り上がることはないでしょう。

 このうち首都移転についてですが、戦国時代においては地味に本拠地移転は非常に重要な要素であったと思います。この本拠地移転を度々繰り返したのは言うまでもなく織田信長で、父の代からの清州城からスタートして、美濃攻めのために前線に近い小牧山城へ引っ越して以降、岐阜城、安土城と次々に拠点を移しています。実現こそしなかったものの、安土城の次には本願寺跡地、即ち大阪への引っ越しも検討していたと言われており、戦国の引っ越し王の名は伊達じゃありません。
 この信長の本拠地移転の目的は色々ありますが、第一に領土拡大に当たっての前線により近いところから迅速に指揮を行うためにあると言っていいでしょう。交通の便はさることながら、当時の中央(京都)に近づくように移しており、非常に合理的な判断をしていたと言えます。

 逆にどれだけ合理性がありながらも本拠地移転を行わず、非常に惜しいことをしていたと思うのが武田家と上杉家です。武田家は滅亡するまで甲斐(山梨県)の躑躅ヶ崎館を本拠地としていましたが、ここはお世辞にも交通の便がいい場所とは言えず、また前線となる他国の境界にも近い場所ではありませんでした。それ以前に、石高の良くないエリアでもあったし。
 事情を無視して合理性から考えれば、今川家滅亡後に占領した駿河に本拠地を移していれば徳川家、北条家の眼前でややリスクはあるものの、主力を前線へ動かしやすく武力で優っているというのなら領土拡大は確実に捗っていたでしょう。しかし武田家はそのような本拠地移転はとうとう行いませんでした。

 上杉家に至ってはもっと影響が大きかったというか、仮に上杉謙信が本拠地を越後(新潟県)から峠を越えた北関東地方に本拠を移してさえいれば、きっと彼は北条家も打倒して関東を支配していたことでしょう。というのも上杉家は桶狭間の戦いより前はほぼ毎年関東地方へ遠征し、北条家の支配を切り崩しては領土を拡大してはいたものの、冬になって越後に帰り路が雪で閉ざされると、北関東で北条家が盛り返して領土を奪い返し、一度は帰順した豪族らも再び北条家につくということを繰り返していました。
 仮に上杉謙信が北関東に本拠地を置き関東地方に対し年間を通してにらみを利かせていれば、小田原方位にも成功しているだけに関東地方一円を支配できたことでしょう。逆を言えば何故それをしなかったのかと言えば、本拠地を移せなかった事情があったということになります。

 武田も上杉も共通していますが、本拠地を移そうにも空いた元本拠地を維持する、任せられる人材や基盤が両家にはなかったため、どちらも本拠地を移すことができなかったと考えられます。電話のある今の時代と違って通信状況の悪かったあの時代、反乱が起きても遠隔地に連絡がいくには数日は必要で、仮に本拠地を移して反乱が起きようものなら根拠地を失う羽目となります。
 また拠点防衛を任せようにも、下手な人材に任せたら他勢力に切り取られるし、また有能な人物に任せたら裏切られて独立される恐れがあります。この点、信長は自らの息子らに多くの領土管理を任せ、与力というか参謀に重臣を置いて補佐させています。

 こうした領土管理面の問題もさることながら、兵の動員面でも彼らは本拠地を移せない事情があったと推察されます。当時、織田家を除いてどの勢力も自領の農民を主兵力としていましたが、その動員は大名自らというよりは各地の豪族任せな一面がありました。
 具体的には大名は各地の豪族に動員を命じ、これに応じた豪族らが兵を引き連れ集合する形態が主でした。大名自身も直接動員力を持っていたものの、全体に対する比率はそこまで高くなかったと言われます。

 こうした動員方式を取っていたことから、基本的に大名も豪族もその土地に縛られていた面があります。自分の兵隊を自由にどこでも移動したり配置したりすることはできず、戦争のたびに引っ張っていくようなありさまで、本拠地を移転したところでその兵士たちも一緒に移転できるというわけじゃありませんでした。なのに本拠地を移転しようってもんなら、恐らく兵士のみならず、支配地が地元に縛られている豪族たちも拒否したことでしょう。
 唯一の例外は織田家で、織田家のみ当時としては農業に従事せず、戦にのみ専従する専属兵士を大量に抱えており、信長の命令一つでいつでもどこでも移動させることができました。部下の家臣らも同様で、織田家の家臣らはある時期までほとんど領土を与えられず、俸禄のみで雇われていたため、上司である信長の命令一つでいつでもどこでも転勤することが可能でした。
 こうした織田家の動員体制には争っていた毛利家の人間からも、「織田家はうちよりもかなり先を行っている」と舌を巻くほどでした。

 こうした動員体制から信長はより領土拡大や支配に都合のいい本拠地へポンポン移動できたのに対し、武田や上杉は本拠地から動けず、むしろ領土が拡大するにつれてその兵士の前線までの移動がより長く困難になっていく面もあったように見えます。そうした点も考慮すると、織田家以外の勢力はその地元民を使う動員方式により、領土拡大はある範囲で制限がかかりストップしてしまう傾向もあったように見えます。

 以上を総括すると、腰が落ち着かず本拠地を度々移していたことから信長は支配地を拡大していったように見えますが、むしろ本拠地を何度も移せるくらい融通の利く動員体制を築いていたからこそあれだけ勢力を拡大できたと言えるかもしれません。

 なお織田家以外に本拠地移転をした大名としては、徳川家が岡崎城から今川家滅亡後に浜松城へと移し、岡崎城は長男の信康に任せていました。ただこの結果として家臣内で岡崎派と浜松派の派閥争いが起こり、岡崎派に担ぎ上げられた信康は一悶着あって切腹させられる羽目となっているだけに、領土の遠隔管理の難しさが見られます。
 このほか北条家も伊豆で旗揚げした後、勢力拡大初期に本拠を小田原城へと移しています。これは単純に伊豆だと実際行ったから実感わきますが、半島の出口抑えられたら一瞬で密室が出来上がるほど交通が閉ざされており、支配拡大にも困難な地域だったから移って当然とも言うべき選択です。逆に小田原はちょうど関東から東海へ至る入り口に当たり、交通面でも要衝であったことからいい場所柄だったのでしょう。

2024年8月28日水曜日

空の軌跡FCの思い出

『英雄伝説 空の軌跡FC』リメイクが2025年に発売決定!!(ガハログ)

 なんか今日はときメモをはじめ昔のゲームのリメイク制作発表が相次ぎましたが、こちらの「英雄伝説 空の軌跡FC」のリメイク発表を見て、「ああ、こいつかよ」とげんなりした思い出が浮かんできました。

 このゲーム、確か自分が大学生の頃に秋葉原のジャンク屋にて500円くらいで売っていたのを見て購入しました。さっそく自宅に帰って遊んだのですが、結論から言うと非常に面白くなく、途中で遊ぶのやめて放り投げました。
 一体何が不満だったのかというと一言で言えばお使いゲーの極みみたいなもので、全然ストーリーが進まないのに「あれ買ってきて」、「あれ何匹か殺してきて」、「これ届けに行って」などというお使いを延々こなし続ける内容で、これの何が面白いんだと当時すごい疑問に思いました。

 しかも使用キャラはエステルとヨシュアの二人ですが、この二人に性能差はほぼなく、ただ殴るかスキル使うか、しかもスキルも似たり寄ったりで戦闘に一切戦術性がなく、はっきり言ってドラクエ1の方が戦闘はよく練られていたほどです。こんな感じで異常につまらないと思い、その後続編が出たと聞いて「あの内容で?」と正直耳を疑ったほどでした。

 そんなこのゲームですが一つだけすごい思い出があります。それはこのゲームのヒロインのエステルのことで、彼女の名前を見るたびにかつて少年ジャンプで連載されていた「少年エスパーねじめ」に出てくる練川えすてるというキャラクターを思い出すため、このゲームを遊んでいる最中は「少年エスパーねじめ」、そして同じ作者の別作品である「純情パイン」がずっと頭をもたげました。
 特に「純情パイン」の方は小学生男女二人組のヒーロー物だったため、男キャラのヨシュアの方も段々と作者の小玉なみえっぽいキャラに見えてならなくなりました。なので今回のリメイクの報道を見るやまた「練川えすてる」という単語がもたげ、今日は仕事になりませんでした。

 いやはっきり言うけど、このゲーム作った人には本当に金返せって言いたくなるくらいつまらなかったと言ってあげたいです。20年近く経つけど、この20年間で一番つまらなかったRPGゲームを挙げるとしたら迷わずこのゲームを私は挙げます。

2024年8月26日月曜日

政策議論がいまだ薄い総裁選


 この週末に友人から贈られたT-34-85を作ってました。いつもの1/35サイズでなく1/48ですがコンパクトで非常によく、またディテールも戦車なので薄まってなくて久々に作ってて楽しいキットでした。やっぱロシアは嫌いだけどロシアの戦車はすごくいい(´∀`*)ウフフ

 話は本題ですが今日、自民党の河野太郎氏が総裁選出馬会見を行い、これまで主張してきた脱原発は抑えた一方、パーケンプールしてた自民党議員には返金を求めるという政策を打ち出しましたが、これ見て私が思ったことは「ああ、受かる気ないんだな」ということでした。
 前者はともかく後者の主張は大衆受けするかもしれませんが肝心の総裁選で投票権を持つ自民党の議員からは反発食うことは間違いないし、そもそも他の派閥が悉く解散したのに対しその支持母体である麻生派は意地になって残っていて河野氏をバックアップしているのを見ると、なんか矛盾しているような印象を覚えます。そもそもパーケンプール問題について河野氏は先の麻生派存続もあってかこれまであまり言及していたように見えず、なんか唐突に批判始めたなという印象があります。逆にこれまで主張していた脱原発は放棄したりと、言い方悪いですが日和見な態度に見えます。

 もっとも、こうして「総理になったらこうする」という政策主張の口火を切った点はまだ評価できます。というのも今回の総裁選、立候補を表明しているどの候補も具体的な政策や方針についてあまり言及しておらず、政策というよりイメージで選んでくれと言うようなあまり政治的じゃない総裁選を呈しているからです。一体何故し得柵議論が深まらないのかと言えば、ぶっちゃけ岸田政権が主要な問題をあらかた片付けて、今差し迫って議論するトピックが少ないせいじゃないかと思います。

 先のパーケンプール問題でも、国民には手ぬるいと思われていますが関係議員らには一応の処分が下され、主要派閥も会計団体が解散したりとかつての自民党ならありえなかった対応は取られています。また外交に関しては特に差し障りなく順調で、経済も株価を含め上がり調子だし、統一教会も完全にとどめは刺していませんが安倍政権だったらありえない対応を岸田政権はやってのけています。
 またここ数年で一番の懸案だったコロナ対策に関しても、脱コロナ政策がすでにいきわたり、むしろ現在は人食いバクテリアの方が恐れられるなど社会衛生に関しても議論する点はもはやありません。自分としては次にどんな産業を育成するのかがトピックにして議論にしてもらいたいですが、こちらに関心のある人は少ないのが現状です。

 以上を踏まえると、政治トピックというか課題が少ない状況下から河野氏がパーケンプール問題をやり玉に挙げたというのも苦肉の策だったのではないかとすら思えてきます。一応、岸田政権下で行われた増税に対する批判も多いですが、具体的にどう税制を弄るかというところまではエコノミストを含め日本ではほぼ誰も議論してないし、私自身もこの増税は団塊の世代の医療費がこれからかかってくる日本にとって必要だと思うことから、減税なんてとんでもないという立場です。

 こうした背景から、これから本格的に総裁選を争う候補者にとっては何を政治トピックにして、世間の関心を集めるかが重要になってくると思います。それこそ以前であれば年金問題が最重要トピックとして注目を浴びやすかったですが、近年においてはもはや誰も議論しなくなってるし、見て見ぬふりする人も多いことから、こちらはあまり取り扱われないでしょう。政治家も、あまり触れたくないでしょうし。

 唯一、もしかしたら火付け役になるかもと思うのが立件民主党の総裁選に出馬する野田元総理の存在です。彼がもしその総裁選で野党の立場から今の日本における政治的課題を的確に指摘し、それがホットトピックとなったら、自民党の総裁選でもその問題への対策、対応について各候補者に質問が続き、大きな流れになるかもしれません。そういう意味では、ぜひこのタイミングで野田総理には与党を攻撃、批判する上でも、的確な指摘をしてもらえればと密かに願っています。

 でもって、その火が付いたホットトピックに対し実効性は別として支持される対策や見解を出した自民の候補者は、運が良ければ一気に目玉になるかもしれません。特に今回の総裁選は派閥があらかた解消された状態での総裁選であり、議員間でも浮動票が増えるように思え、本当に読みづらい選挙となっています。この中でどれだけキャラクターを出しつつ、政治玄人もうならせる方針を出せるかが今後カギになるかもしれません。

2024年8月24日土曜日

石破氏の可能性はもうない

 岸田総理の突然の辞任発表によってある意味で誰も準備していない平等な状態でスタートした今回の自民党総裁選ですが、かねてから立候補を検討していた候補者が今週は次々と正式に立候補を表明するようになりました。このうちアンパンマン顔でおなじみの石破氏についてですが、私自身は彼のことを嫌っているわけではないし鳥取県出身の友人が修学旅行で東京に来た際に国会議事堂を案内したのは彼だったと話していたこともあって好感も持っていますが、現状で比較的はっきり予想できる点としては彼の落選位しかありません。

 今回の総裁選では前述の通り前状況なく突如始まったのと、これまであまり知名度の高くなかった比較的若い層の議員も立候補を表明していることから、正直に言って非常に読みづらく、今後どう転ぶかまだ予断のつかない状態です。にもかかわらず何故石破氏の落選だけこうもはっきり言えるのかというと、完全に時機を失っているからです。
 元々、彼の人気が高かったのは彼自身のカリスマや評価によるものではなく、「反安倍」というスタンスによるものであったことは間違いありません。自民が安倍一色だった時代に冷や飯食いとなりながらも反安倍スタンスを続け、自民内外を問わず安倍元総理に反感を抱く層からの支持を一身に受けていたことがこれまでの彼の人気の原動力でした。

 しかし統一教会問題を経て安倍は自体がほぼ瓦解しており、また菅政権にはともかくとして直近の岸田政権に対してはそこまで批判的な姿勢を見せず、端的に言って埋没するような状態にありました。
 それでも立候補者らがこれまで自民を率いてきた旧来からの政治家、具体的には菅氏や二階氏、麻生氏らの息のかかった人間ばかりだったり、萩生田のような安倍派然とした候補者だけであれば石破氏にも得られる票があったと思うものの、今回の総裁選では小泉氏や小林鷹之氏をはじめ比較的若い層も立候補しており、「これまでの自民党政治とは一線を画す」イメージでは石破氏よりも彼らの方が強く、これまで石破氏が得ていた支持も彼らが持っていきそうな雰囲気です。

 それ以前に石破氏には総理になって何がしたいかという方針や政策に至っては完全皆無であり、その能力についてもはっきり言って疑問視しています。極端なこと言えば、反安倍、反麻生しかないでしょう。
 恐らく今後討論会が進むにつれてこの点がどんどん露呈する可能性もあり、これらを考慮すると立候補初日に言うのもなんですが現時点で自分が予想して言えることとしては彼の落選くらいしかありません。

 では誰が受かるのか。現状は小泉氏リードですがかつての総裁選と比べると派閥の力が弱まり自民重鎮の影響力も薄まっていることを考えると、本当に予想し辛い印象を受けます。比較的表立って活動しているのは菅氏で早くもかつての盟友の河野氏を切って小泉氏支持を鮮明にしたものの、内心、これはちょっと早すぎるのではないかという気がします。仮に「キングメーカーぶっている」という批判が強まればこのダメージが小泉氏にも回る可能性もあるだけに、せめて9月に入ってから表明すればよかったのではという風に私には見えます。まぁ偉そうなこと言える立場じゃないですが。

2024年8月23日金曜日

漫画「ナポレオン」の完結に触れて

 見出しにもある通り、長谷川哲也氏の漫画「ナポレオン-獅子の時代(途中から覇道進撃)」の最終巻が今日発売され、昨夜夜遅くまで日本から来た友人らと人民元の効率的な送金方法を議論したにもかかわらず、夜中にダウンロードして読んでました。でもって今日の通勤途中に3回くらい読み直してました。

 完結巻とあってこの巻ではセント・ヘレナ島に流されたナポレオンが死ぬまで、そして死後の関係者のその後が描かれていますが、出てくるのは揃いも揃ってジジイばかりで、若手キャラと言えば息子のナポレオン2世くらいでした。まぁいいんだけど。
 ただそれもあってか、イタリア遠征を思い出す最終シーンでナポレオンやその旗下の元帥たちが当時の若々しい姿で一斉に描かれるのは感無量であり、万感の思いとともに自分も眺めていました。

 それにしてもこの漫画ですが総巻数は42巻にも及び、横山光輝のライフワークと言える「三国志」の60巻には及ばないものの、連載期間は20年超を数え、ナポレオンを描いた漫画としては最長であり最高であるというのは揺るがないでしょう。
 私はこの漫画を1巻が発売された大学生の頃から読み始めたのですが、大体6巻くらいの頃に地元の本屋が何故かこの漫画を入荷するのをやめやがったせいで途中で中断を挟んだものの、その後覇道進撃に入ったあたりから再び読み始めるようになりました。

 ナポレオンについては少年時代よりその関心は強く、割とよく歴史漫画だけじゃなく評伝も読んではいたのですが、大体どの評伝もナポレオン本人にばかりスポットを当てていてその周辺人物についてはあまり触れられてきませんでした。それがこの長谷川氏の漫画では主人公のナポレオン以上にその部下であるネイやダヴーといった元帥らの活躍が華々しく描かれているばかりか、彼の政敵となったタレイランやロシア皇帝らも細かく描かれ、正直今まで読んできた評伝は何だったのかと言いたくなるような衝撃を受けました。それと同時に、ナポレオンも一人で成り立つのではなく、その優秀な部下らがいて初めてあれだけのことをやってのけたのだということも理解しました。

 そんなナポレオンを伝説足らしめているのはやはり、栄光を極めた後で転落をしている点にあると思います。説明するまでもなく、ロシアと英国を除いたほぼすべての欧州大陸を一時支配したものの、ロシア遠征での失敗を皮切りにフランス以外の支配をすべて失い、流刑後に一度は復権するもワーテルローの戦いを経て百日天下に終わり、流刑地で寂しく死去するという結末が、死後に多くの人間の共感を得たのだと思います。

 今回改めてそのナポレオンの事績を思い浮かべるにつれ、彼の場合は彼自身の後継というより、彼の部下の後継を育てられなかったことが致命的だったのではないかという風に思い至りました。ナポレオンの部下のほとんどはイタリア遠征時における幕僚たちであり、アウステルリッツの戦い以降は目立った戦績を残すようになる新参の将軍はあまり出てこなくなります。しかも従来からの幕僚たちも時代や戦争を経るにつれてランヌやベルティエをはじめ徐々に世を去り、残ったネイやスルトを率いて挑むも彼らがワーテルローで致命的な敗戦を犯し、ナポレオンは失脚するに至ります。
 それこそ仮にロシア遠征時にでも従来の元帥らに並び立つような才覚の人物を新たに登用し、幕僚の層を厚くして年代層を若返らせておけば、また何か違ったのではないかという気がしないでもありません。この辺、人気漫画作品に頼ってたところその作品が連載終えるや人気が急落する漫画雑誌に近いような気がします。

 まぁそれを言ったら、ナポレオン自体も後年の軍事的才能の枯渇ぶりは目に余るのですが。

 それにしても20年以上の読み続けてきた漫画がこうして終わるというのはなかなか感慨深いものです。長谷川氏はナポレオンの連載中にも「セキガハラ」をはじめ色々ほかの作品も描いていますが、今後どういう作品を描くのか、恐らくまた手に取ると思うので今から楽しみにしています。