・ユグドラ・ユニオン(STING)
ユグドラ・ユニオンとは2006年にゲームボーイアドバンス向けに発売され、2008年にPSPへ移植されたシミュレーションRPGゲームです。私がこのゲームをやってみようと思ったきっかけは、制作したのがかつて遊んだ(でもって印象に残った)ことのある「バロック」というゲームを作ったSTINGであったことと、批評サイトで変態的システムRPGだと書かれていたためです。実際、この批評は間違っていません。
簡単にゲーム概要を説明すると、ストーリーは亡国の王女が国家再興を期して生き残り(+山賊)と協力して戦うというシミュレーションRPGの祖たる「ファイアーエンブレム」並みにオーソドックスなものです。ただシステムが上記にも挙げた通りに変態的というか他の同ジャンルのゲームと一線を画す内容で、初見で見てみた人は多分ビビると思います。
通常のシミュレーションRPGではターンごとに出撃しているユニットキャラを動かし、攻撃を指定し、その結果によって味方がやられたり敵を倒したりします。然るにこのユグドラ・ユニオンでは、ユニットキャラを動かして攻撃するという点でこそ共通しているものの、攻撃できるのは1ターンにつき全キャラ含めて1回こっきりで、しかも1ターンに移動できるマスの数はターン冒頭に選んだカードによって決まり、それを出撃している全キャラで共有します。具体的に説明すると、冒頭で選んだカードの移動距離が4マスだったとしたら、出撃しているユニットキャラが5体いる場合、どれか一つのキャラを4マス動かすか、4体のキャラを1マスずつしか動かすことができません。もちろん2体のキャラを2マスずつ動かすこともできますが、このようにユニットキャラ個別に移動距離が決まってるわけじゃなく、その気になれば単騎で突出させることも可能で戦術がかなり広く設計されています。
また上記に書いた通り攻撃できる機会も1回だけで、あるユニットキャラで隣接する敵ユニットを攻撃したらそれでそのターンの攻撃は終わりで、ほかのユニットは一切攻撃できません。もっとも、攻撃を仕掛ける際にその当事者であるユニットキャラの周囲に別の仲間ユニットがいれば、二戦目、三戦目、四戦目とばかりに連戦が発生して攻撃に加わることができますが。
このように文字で説明していても一切意味が分からないようなやたら面倒くさいシステムしていますが、実際にはゲームの進行とともに徐々に機能が解放され、ゲーム内でのチュートリアルも丁寧であるためシステムが分からず困るようなことはありませんでした。ただ全部分かった上でも複雑かつ奥の深いシステムで、何故こんなものを作ったのか誇張ではなく理解に苦しみます。
こうした戦闘システムもさることながらこのゲームの別の大きな特徴として、漫画家のきゆづきさとこ氏による丸っこくて非常にかわいらしいキャラクターによって、血生臭く情け容赦一切ないスパルタンなストーリが展開されるという点です。簡単にその概要を明かすと、主人公の王女ことユグドラは国の再興を目指して戦い、ストーリーの途中で見事に元の領土や首都を奪還します。そしたら今度は、「攻めてきた国を叩き潰さないと平和は来ない」と述べ、今度は逆に攻め込むという展開になります。
その結果、エンディング時には敵軍のキャラクターは民間人を含めほぼ例外なく死亡し、味方キャラも自爆特攻したりするなどして死屍累々たる有様が広がります。しかも選択によっては、下界でもう必要ないから聖剣を返せという天使に対し、「聖剣の振るうところに正義あり」と言って神界にすら牙を剥きます。一体何故こうなった。
なんか書いてていろいろあれですが、ゲームとしての骨格は非常によくできており、難易度もシミュレーションRPGとしては非常に難しくできてて歯応えがあります。なお私がプレイしたのはPSP版ですが、ゲームボーイアドバンス版はもっと難しかったようで、クリアさせる気あるのかよと思うくらいです。またやりこみ要素も半端じゃなく、特にアイテムに関してはマップ上にノーヒントで埋まっており、1週目でコンプリートした人は恐らくエスパーでしょう。
最後にこのゲームの主人公というかヒロインである王女ユグドラは非常に高い人気を得て、メーカーのスティングもこのキャラをよく前面に出してコラボ企画に乗っています。そんなユグドラですが序盤はやたらと弱く下手すりゃ二軍行きレベルなのですが、後半にクラスチェンジするやすぐステータスがカンストするなどあり得ないほど強くなり、決め台詞の「寄らば斬ります」は「寄ってこなくても叩っ斬ってるじゃん」と誰もが思っただろうし、公式でも「寄ってこなけりゃ寄って斬るだけですけどね」というセリフを続編で言わせています。
なおこのユグドラはあるステージに限ってバトル勝利台詞がいつもの「みんなの勝利です!」ではなく、「絶対に、許さない……」に変わるのですが、正直このセリフを音声で聞いたときはぞっとしました。それもそのはずというか演じる声優は中原麻衣氏で、「ひぐらしのなく頃に」の竜宮レナをはじめとして数多くのヤンデレキャラを演じてきたヤンデレ声優の代名詞というべき人であり、普段はすごくお嬢様っぽくかわいらしい声してるのに突然人間変わったかのような暗く沈んだ冷たい声に切り替わるため、中原氏の声聞くのは何気にこのゲームが初めてでしたがこの声マジこえぇと心の底から思いました。
次回はこの続編の「ブレイズ・ユニオン」を取り上げます。こっちは先に書いておくと、私の中で評価めっちゃ低いです。
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