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2017年6月26日月曜日

出版社のルーズな内部統制

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話【試し読み】(マンガハック)

 上記ページで試し読みできるマンガを私は冷凍たこ焼き好き(あと納豆も)の友人から紹介を受けたのですが、一見して読んだ後の私の感想はというと、「ダボって言葉使ってるから作者は岡山辺りの人だろうね」でした。
 そんな私の感想を横目にこの漫画はよく売れており、ついこの間までAmazonのKindleコミックのランキングでずっと3位につけていました。もっとも当時の1位と2位は作者が同じ、「中間管理職トネガワ」と「1日外出録ハンチョウ」でワンツーフィニッシュだったというのがもっとすごかったけど。トネガワは私も買いました。

 そろそろ真面目な話題に移すと、この本の中身は言ってしまえば杜撰な漫画編集者に振り回された作者がその内実を暴露するという内容です。見る人によって感想は異なるでしょうが、私の感想は上記の通り作者の岡山弁が気になったのと、「進撃の巨人」作者に対し「漫画じゃなくてジャンプ持ってこい」といった少年ジャンプの編集者を思い出したのと、まあこの業界なら珍しくもないなという感想でした。先二つに関してはそうでもないでしょうが最後の三つ目の感想は一時期とはいえメディア業界に所属した、っていうかいまでも実質付き合いのある身であるが故の感想で、多分一般的ではないでしょう。

 結論から言うと、出版会社を含むメディア業界は契約や業務執行など諸々の面で内部統制が非常にルーズです。特に原稿の外部発注に関しては基本的に正式な契約書を交わさず、メールや口頭で述べた原稿料を源泉徴収して向こうへ振り込むのが普通で、ライターに関してはまだしも漫画家さんについては企業に勤めた経験がない人も多いだけに結構喰われている(カイジ風に)人も多いのではと思います。
 また業務に関しても規範化はほとんどなされておらず、個人情報の取り扱いなどについてもいろいろ緩いです。いくつかその一端をうかがわせる事件を挙げると以前にあった「少年チャンピオン」の懸賞品未送付問題とか、「テルマエ・ロマエ」の映画原作契約を作者へ一切の説明なしに出版社が締結したなど、これらの問題は多分多かれ少なかれどこの出版社でもよくあることでしょう。

 最近この方面の企業統制に関わることが多いので気になってしまうのですが、出版社の内部統制は一体どうなっているのか疑問に感じることが多いです。上記漫画の相手となったKADOKAWAグループは一応上場して監査も受けてるはずなんですが、それでもあんま従業員の業務統制はしっかりできてなさそうです。
 いわんやと言っては何ですが、ほかの出版社はどうなのか。基本的に出版社は大手でも上場していないのが当たり前ですが、きちんとした監査を受けず内部統制もしっかりやってないから案外自分たちの危機的状況もわかっていなければ、何のために給料もらってるんだかわからない編集スタッフも数多く抱えたりしているのではと密かに疑っています。もっともこの分野、内部統制がしっかりしているからと言って立派な編集が育つかと言ったらまた別で、ある程度偶然に頼らざるを得ないというのもわかってはいるんですが。

 なお今回記事を書くにあたって前情報とかないのかなと思いネットで「出版社 内部統制」などで検索をかけましたが、出版社が出版している内部統制関連の本しかヒットしませんでした。こういう本出してる連中がいい加減な契約とか業務をしているのかと思うとなんか複雑な気分となります。

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